特許第5748075号(P5748075)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5748075燃料消費削減量算定装置及び算定表示プログラム並びに二酸化炭素排出削減量算定装置及び算定表示プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5748075
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】燃料消費削減量算定装置及び算定表示プログラム並びに二酸化炭素排出削減量算定装置及び算定表示プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/00 20120101AFI20150625BHJP
   G06Q 50/30 20120101ALI20150625BHJP
   G01F 9/00 20060101ALI20150625BHJP
   F02M 37/00 20060101ALI20150625BHJP
【FI】
   G06Q50/00 100
   G06Q50/30 100
   G01F9/00 ZZAB
   F02M37/00 H
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-70699(P2013-70699)
(22)【出願日】2013年3月28日
(65)【公開番号】特開2014-13559(P2014-13559A)
(43)【公開日】2014年1月23日
【審査請求日】2013年3月28日
(31)【優先権主張番号】特願2012-126639(P2012-126639)
(32)【優先日】2012年6月3日
(33)【優先権主張国】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成24年1月14日、http://www.eco−supporter.co.jp/index.htm、http://www.eco−supporter.co.jp/business.html、http://www.eco−supporter.co.jp/bn_01_gs.html
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成24年1月28日、http://www.eco−supporter.co.jp/index.htm、http://www.eco−supporter.co.jp/sv_02.html
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成24年2月1日、http://www.eco−supporter.co.jp/index.htm、http://www.eco−supporter.co.jp/file/press_240201.pdf
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成24年1月23日、http://www.smart−energy.jp/jse/、http://www.smart−energy.jp/jse/authentication.html
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】309003706
【氏名又は名称】日本エコサポーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130823
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 誠一
(72)【発明者】
【氏名】鹿内 靖
(72)【発明者】
【氏名】田口 富男
【審査官】 山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−048522(JP,A)
【文献】 特開2011−192249(JP,A)
【文献】 特開2008−046926(JP,A)
【文献】 特開2005−172359(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 50/00
F02M 37/00
G01F 9/00
G06Q 50/30
F26B 1/00−20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
常に同じ地点から運行を開始し、かつ、常に同じ一の整備工場でメンテナンスを受ける登録車輌の年間走行距離及び年間燃料消費量からなる走行データであって、車輌のエンジン吸気系パイプの吸入空気を改善して燃焼させる燃焼改善装置を装着する前の前記車輌のベースラインデータと、前記燃焼改善装置を装着した後の前記車輌のプロジェクトデータとを入力手段を介して入力させ、
前記プロジェクトデータの年間走行距離を前記ベースラインデータの年間走行距離を当該年間燃料消費量で除算し算出されるベースライン燃費で除算したベースライン消費量から、前記プロジェクトデータの年間燃料消費量を減算し、ベースライン消費量より、プロジェクトデータの年間燃料消費量が少ない場合はその減算後の数値を、プロジェクトデータの年間燃料消費量が多い場合はその減算後の数値をマイナスの数値で、出力手段を介して表示することを特徴とする燃料消費削減量算定装置。
【請求項2】
常に同じ地点から運行を開始し、かつ、常に同じ一の整備工場でメンテナンスを受ける登録車輌の年間走行距離及び年間燃料消費量からなる走行データであって、車輌のエンジン吸気系パイプの吸入空気を改善して燃焼させる燃焼改善装置を装着する前の前記車輌のベースラインデータと、前記燃焼改善装置を装着した後の前記車輌のプロジェクトデータとを入力手段を介して入力し、
前記プロジェクトデータの年間走行距離を前記ベースラインデータの年間走行距離を当該年間燃料消費量で除算し算出されるベースライン燃費で除算したベースライン消費量に前記車輌の燃料の排出係数を乗算して算出されるベースライン排出量から、前記プロジェクトデータの年間燃料消費量に前記排出係数を乗算して算出されるプロジェクト排出量を減算し、ベースライン排出量より、プロジェクト排出量が少ない場合はその減算後の数値を、プロジェクト排出量が多い場合はその減算後の数値をマイナスの数値で、出力手段を介して表示することを特徴とする二酸化炭素排出削減量算定装置。
【請求項3】
常に同じ地点から運行を開始し、かつ、常に同じ一の整備工場でメンテナンスを受ける登録車輌の年間走行距離及び年間燃料消費量からなる走行データであって、車輌のエンジン吸気系パイプの吸入空気を改善して燃焼させる燃焼改善装置を装着する前の前記車輌のベースラインデータと、前記燃焼改善装置を装着した後の前記車輌のプロジェクトデータとを入力手段を介して入力したコンピュータに、
ベースラインデータの年間走行距離を当該年間燃料消費量で除算したベースライン燃費を算出するステップと、
プロジェクトデータの年間走行距離をベースライン燃費で除算したベースライン消費量を算出するステップと、
ベースライン消費量からプロジェクトデータの年間燃料消費量を減算し、燃料消費削減量を算出するステップと、
ベースライン消費量より、プロジェクトデータの年間燃料消費量が少ない場合はその減算後の数値を、プロジェクトデータの年間燃料消費量が多い場合はその減算後の数値をマイナスの数値で、その燃料消費削減量を出力手段に表示するステップと
を実行させることを特徴とする燃料消費削減量算定表示プログラム。
【請求項4】
常に同じ地点から運行を開始し、かつ、常に同じ一の整備工場でメンテナンスを受ける登録車輌の年間走行距離及び年間燃料消費量からなる走行データであって、車輌のエンジン吸気系パイプの吸入空気を改善して燃焼させる燃焼改善装置を装着する前の前記車輌のベースラインデータと、前記燃焼改善装置を装着した後の前記車輌のプロジェクトデータとを入力手段を介して入力したコンピュータに、
ベースラインデータの年間走行距離を当該年間燃料消費量で除算したベースライン燃費を算出するステップと、
プロジェクトデータの年間走行距離をベースライン燃費で除算したベースライン消費量を算出するステップと、
ベースライン消費量に前記車輌の燃料の排出係数を乗算して算出されるベースライン排出量から前記プロジェクトデータの年間燃料消費量に前記排出係数を乗算して算出されるプロジェクト排出量を減算し、二酸化炭素排出削減量を算出するステップと、
ベースライン排出量より、プロジェクト排出量が少ない場合はその減算後の数値を、プロジェクト排出量が多い場合はその減算後の数値をマイナスの数値で、その二酸化炭素排出削減量を出力手段に表示するステップと
を実行させることを特徴とする二酸化炭素排出削減量算定表示プログラム。
【請求項5】
ある位置に常設されている乾燥機その他の燃焼機器の年間燃焼時間及び年間燃料消費量からなる燃焼データであって、乾燥機その他の燃焼機器のエンジン吸気系パイプの吸入空気を改善して燃焼させる燃焼改善装置を装着する前の前記燃焼機器のベースラインデータと、前記燃焼改善装置を装着した後の前記燃焼機器のプロジェクトデータとを入力手段を介して入力し、
前記プロジェクトデータの年間燃焼時間を前記ベースラインデータの年間燃焼時間を当該年間燃料消費量で除算し算出されるベースライン燃費で除算したベースライン消費量から、前記プロジェクトデータの年間燃料消費量を減算し、ベースライン消費量より、プロジェクトデータの年間燃料消費量が少ない場合はその減算後の数値を、プロジェクトデータの年間燃料消費量が多い場合はその減算後の数値をマイナスの数値で、出力手段を介して表示することを特徴とする燃料消費削減量算定装置。
【請求項6】
ある位置に常設されている乾燥機その他の燃焼機器の年間燃焼時間及び年間燃料消費量からなる燃焼データであって、乾燥機その他の燃焼機器のエンジン吸気系パイプの吸入空気を改善して燃焼させる燃焼改善装置を装着する前の前記燃焼機器のベースラインデータと、前記燃焼改善装置を装着した後の前記燃焼機器のプロジェクトデータとを入力手段を介して入力し、
前記プロジェクトデータの年間燃焼時間を前記ベースラインデータの年間燃焼時間を当該年間燃料消費量で除算し算出されるベースライン燃費で除算したベースライン消費量に前記燃焼機器の燃料の排出係数を乗算して算出されるベースライン排出量から、前記プロジェクトデータの年間燃料消費量に前記排出係数を乗算して算出されるプロジェクト排出量を減算し、ベースライン排出量より、プロジェクト排出量が少ない場合はその減算後の数値を、プロジェクト排出量が多い場合はその減算後の数値をマイナスの数値で、出力手段を介して表示することを特徴とする二酸化炭素排出削減量算定装置。
【請求項7】
ある位置に常設されている乾燥機その他の燃焼機器の年間燃焼時間及び年間燃料消費量からなる燃焼データであって、乾燥機その他の燃焼機器のエンジン吸気系パイプの吸入空気を改善して燃焼させる燃焼改善装置を装着する前の前記燃焼機器のベースラインデータと、前記燃焼改善装置を装着した後の前記燃焼機器のプロジェクトデータとを入力手段を介して入力したコンピュータに、
ベースラインデータの年間燃焼時間を当該年間燃料消費量で除算したベースライン燃費を算出するステップと、
プロジェクトデータの年間燃焼時間をベースライン燃費で除算したベースライン消費量を算出するステップと、
ベースライン消費量からプロジェクトデータの年間燃料消費量を減算し、燃料消費削減量を算出するステップと、
ベースライン消費量より、プロジェクトデータの年間燃料消費量が少ない場合はその減算後の数値を、プロジェクトデータの年間燃料消費量が多い場合はその減算後の数値をマイナスの数値で、その燃料消費削減量を出力手段に表示するステップと
を実行させることを特徴とする燃料消費削減量算定表示プログラム。
【請求項8】
ある位置に常設されている乾燥機その他の燃焼機器の年間燃焼時間及び年間燃料消費量からなる燃焼データであって、乾燥機その他の燃焼機器のエンジン吸気系パイプの吸入空気を改善して燃焼させる燃焼改善装置を装着する前の前記燃焼機器のベースラインデータと、前記燃焼改善装置を装着した後の前記燃焼機器のプロジェクトデータとを入力手段を介して入力したコンピュータに、
ベースラインデータの年間燃焼時間を当該年間燃料消費量で除算したベースライン燃費を算出するステップと、
プロジェクトデータの年間燃焼時間をベースライン燃費で除算したベースライン消費量を算出するステップと、
ベースライン消費量に前記車輛の燃料の排出係数を乗算して算出されるベースライン排出量から前記プロジェクトデータの年間燃料消費量に前記排出係数を乗算して算出されるプロジェクト排出量を減算し、二酸化炭素排出削減量を算出するステップと、
ベースライン排出量より、プロジェクト排出量が少ない場合はその減算後の数値を、プロジェクト排出量が多い場合はその減算後の数値をマイナスの数値で、その二酸化炭素排出削減量を出力手段に表示するステップと
を実行させることを特徴とする二酸化炭素排出削減量算定表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輛や乾燥機その他の燃焼機器の内燃機関に燃料の燃焼を改善する燃焼改善装置を取り付けた場合の燃料消費削減量及び二酸化炭素CO排出削減量を算定する燃料消費削減量算定装置及び算定表示プログラム並びに二酸化炭素排出削減量算定装置及び算定表示プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
我が国の温室効果ガスの排出量は年々増加の傾向にあり、その排出量の削減が重要な課題となっている。また、運輸部門における温室効果ガス排出量の多くは車輛によるものである。
従来、車輛の内燃機関に取り付けることにより、燃料の燃焼を改善し燃料消費及びCO排出の削減を可能とする燃焼改善装置が提供されている(たとえば、特公平7−59972号の燃焼空気の電磁波処理装置)。
【0003】
特公平7−59972号の燃焼空気の電磁波処理装置は、断熱材と、この断熱材に取り付けられた反射体と、この反射体上に設けられ、電磁波を燃焼空気に向けて照射するセラミックスからなる照射体とを備えるものである。この装置は、車輛のエンジン吸気系パイプ(エンジンエアダクトホース)に巻き付けて取り付ける。これにより、照射体から照射される電磁波により酸素が励起され、燃費が節減されるとともにCO等が低減できる。
しかし、上記燃焼改善装置による燃費の向上(燃料消費削減量)やCO排出削減量を数値化し可視化(見える化)することは困難であった。
【0004】
燃費を比較する場合、その燃費は走行距離と燃料消費量のデータのみから算出する。しかし、燃費は走行条件により常に変動する。
例えば、燃焼効率の改善が明らかな燃焼改善装置を装着しても、アイドリングをストップしなければ、燃費は低下する。一方、燃焼改善装置を装着しなくても、アイドリングをストップすれば、燃費は向上する。また、燃焼改善装置を装着しても一般道を走れば燃費は低下し、燃焼改善装置を装着しなくても高速道路を走れば燃費は向上する。また、燃焼改善装置を装着しなくても、夏場は他のシーズン(冬場)に比べて燃費は向上する。このように、走行条件が燃費に与える影響は大きく、燃焼改善装置の装着によって得られる効果、すなわち燃焼改善装置の装着による燃費向上を特定(数値化)することはできなかった。
【0005】
上記問題を解消するため、車輌に関する条件がそれぞれ異なる場合でも合理的且つ適切に燃費を評価することができる車輌の燃料消費率評価装置及び車輌の燃料消費率評価システム並びにその記録媒体が提供されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3314870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の車輌の燃料消費率評価装置は、燃料消費率評価装置に係るものであって、車輌の走行距離を消費燃料の量で除算した値である燃料消費率と、当該車輌に関する車種等の固定データ及び積荷の積載量等を数値化しその一部又は全部を加算した加算数値とを、乗算し、または除算し、若しくは該燃料消費率と上記加算数値とを加算し、又は該燃料消費率から上記加算数値を減算して評価値を算出し、該評価値を表示装置に表示させるものである。これより、車輌毎に異なる走行条件(固定データや流動データ)を加味した値が算出されることから、各車輌の燃費の評価をするに際し合理なものとすることができる。固定データとは、例えば、車種,排気量,重量,エンジンの種類,軸重等である。また、流動データとは、例えば、積荷の積載量,道路の渋滞状況,天候,気温,暖房時間,冷房時間,タイヤ及びタイヤの磨耗の程度等である。
【0008】
しかし、特許文献1の車輌の燃料消費率評価装置は、車種,排気量,重量,エンジンの種類,軸重等の固定データや、積荷の積載量,道路の渋滞状況,天候,気温,暖房時間,冷房時間,タイヤ及びタイヤの磨耗の程度等の流動データを数値化して、各車輌の燃費の評価を数値化するものであり、燃費の向上値(燃料消費削減量やCO排出削減量の値)を数値化するものではなかった。
【0009】
本発明は、上記問題を解決するものであって、車輛や乾燥機その他の燃焼機器の燃料消費削減量やCO排出削減量を数値化する燃料消費削減量算定装置及び算定表示プログラム並びに二酸化炭素排出削減量算定装置及び算定表示プログラムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の燃料消費削減量算定装置は、常に同じ地点から運行を開始し、かつ、常に同じ一の整備工場でメンテナンスを受ける登録車輌の年間走行距離及び年間燃料消費量からなる走行データであって、車輌のエンジン吸気系パイプの吸入空気を改善して燃焼させる燃焼改善装置を装着する前の前記車輌のベースラインデータと、前記燃焼改善装置を装着した後の前記車輌のプロジェクトデータとを入力手段を介して入力させ、
前記プロジェクトデータの年間走行距離を前記ベースラインデータの年間走行距離を当該年間燃料消費量で除算し算出されるベースライン燃費で除算したベースライン消費量から、前記プロジェクトデータの年間燃料消費量を減算し、ベースライン消費量より、プロジェクトデータの年間燃料消費量が少ない場合はその減算後の数値を、プロジェクトデータの年間燃料消費量が多い場合はその減算後の数値をマイナスの数値で、出力手段を介して表示するようにしたものである。
【0011】
本発明の二酸化炭素排出削減量算定装置は、常に同じ地点から運行を開始し、かつ、常に同じ一の整備工場でメンテナンスを受ける登録車輌の年間走行距離及び年間燃料消費量からなる走行データであって、車輌のエンジン吸気系パイプの吸入空気を改善して燃焼させる燃焼改善装置を装着する前の前記車輌のベースラインデータと、前記燃焼改善装置を装着した後の前記車輌のプロジェクトデータとを入力手段を介して入力し、
前記プロジェクトデータの年間走行距離を前記ベースラインデータの年間走行距離を当該年間燃料消費量で除算し算出されるベースライン燃費で除算したベースライン消費量に前記車輌の燃料の排出係数を乗算して算出されるベースライン排出量から、前記プロジェクトデータの年間燃料消費量に前記排出係数を乗算して算出されるプロジェクト排出量を減算し、ベースライン排出量より、プロジェクト排出量が少ない場合はその減算後の数値を、プロジェクト排出量が多い場合はその減算後の数値をマイナスの数値で、出力手段を介して表示するようにしたものである。
【0012】
本発明の燃料消費削減量算定表示プログラムは、常に同じ地点から運行を開始し、かつ、常に同じ一の整備工場でメンテナンスを受ける登録車輌の年間走行距離及び年間燃料消費量からなる走行データであって、車輌のエンジン吸気系パイプの吸入空気を改善して燃焼させる燃焼改善装置を装着する前の前記車輌のベースラインデータと、前記燃焼改善装置を装着した後の前記車輌のプロジェクトデータとを入力手段を介して入力したコンピュータに、
ベースラインデータの年間走行距離を当該年間燃料消費量で除算したベースライン燃費を算出するステップと、
プロジェクトデータの年間走行距離をベースライン燃費で除算したベースライン消費量を算出するステップと、
ベースライン消費量からプロジェクトデータの年間燃料消費量を減算し、燃料消費削減量を算出するステップと、
ベースライン消費量より、プロジェクトデータの年間燃料消費量が少ない場合はその減算後の数値を、プロジェクトデータの年間燃料消費量が多い場合はその減算後の数値をマイナスの数値で、その燃料消費削減量を出力手段に表示するステップとを実行させるようにしたものである。
【0013】
本発明の二酸化炭素排出削減量算定表示プログラムは、常に同じ地点から運行を開始し、かつ、常に同じ一の整備工場でメンテナンスを受ける登録車輌の年間走行距離及び年間燃料消費量からなる走行データであって、車輌のエンジン吸気系パイプの吸入空気を改善して燃焼させる燃焼改善装置を装着する前の前記車輌のベースラインデータと、前記燃焼改善装置を装着した後の前記車輌のプロジェクトデータとを入力手段を介して入力したコンピュータに、
ベースラインデータの年間走行距離を当該年間燃料消費量で除算したベースライン燃費を算出するステップと、
プロジェクトデータの年間走行距離をベースライン燃費で除算したベースライン消費量を算出するステップと、
ベースライン消費量に前記車輌の燃料の排出係数を乗算して算出されるベースライン排出量から前記プロジェクトデータの年間燃料消費量に前記排出係数を乗算して算出されるプロジェクト排出量を減算し、二酸化炭素排出削減量を算出するステップと、
ベースライン排出量より、プロジェクト排出量が少ない場合はその減算後の数値を、プロジェクト排出量が多い場合はその減算後の数値をマイナスの数値で、その二酸化炭素排出削減量を出力手段に表示するステップとを実行させるようにしたものである。
【0014】
本発明の燃料消費削減量算定装置は、ある位置に常設されている乾燥機その他の燃焼機器の年間燃焼時間及び年間燃料消費量からなる燃焼データであって、乾燥機その他の燃焼機器のエンジン吸気系パイプの吸入空気を改善して燃焼させる燃焼改善装置を装着する前の前記燃焼機器のベースラインデータと、前記燃焼改善装置を装着した後の前記燃焼機器のプロジェクトデータとを入力手段を介して入力し、
前記プロジェクトデータの年間燃焼時間を前記ベースラインデータの年間燃焼時間を当該年間燃料消費量で除算し算出されるベースライン燃費で除算したベースライン消費量から、前記プロジェクトデータの年間燃料消費量を減算し、ベースライン消費量より、プロジェクトデータの年間燃料消費量が少ない場合はその減算後の数値を、プロジェクトデータの年間燃料消費量が多い場合はその減算後の数値をマイナスの数値で、出力手段を介して表示するようにしたものである。
【0015】
本発明の二酸化炭素排出削減量算定装置は、ある位置に常設されている乾燥機その他の燃焼機器の年間燃焼時間及び年間燃料消費量からなる燃焼データであって、乾燥機その他の燃焼機器のエンジン吸気系パイプの吸入空気を改善して燃焼させる燃焼改善装置を装着する前の前記燃焼機器のベースラインデータと、前記燃焼改善装置を装着した後の前記燃焼機器のプロジェクトデータとを入力手段を介して入力し、
前記プロジェクトデータの年間燃焼時間を前記ベースラインデータの年間燃焼時間を当該年間燃料消費量で除算し算出されるベースライン燃費で除算したベースライン消費量に前記燃焼機器の燃料の排出係数を乗算して算出されるベースライン排出量から、前記プロジェクトデータの年間燃料消費量に前記排出係数を乗算して算出されるプロジェクト排出量を減算し、ベースライン排出量より、プロジェクト排出量が少ない場合はその減算後の数値を、プロジェクト排出量が多い場合はその減算後の数値をマイナスの数値で、出力手段を介して表示するようにしたものである。
【0016】
本発明の燃料消費削減量算定表示プログラムは、ある位置に常設されている乾燥機その他の燃焼機器の年間燃焼時間及び年間燃料消費量からなる燃焼データであって、乾燥機その他の燃焼機器のエンジン吸気系パイプの吸入空気を改善して燃焼させる燃焼改善装置を装着する前の前記燃焼機器のベースラインデータと、前記燃焼改善装置を装着した後の前記燃焼機器のプロジェクトデータとを入力手段を介して入力したコンピュータに、
ベースラインデータの年間燃焼時間を当該年間燃料消費量で除算したベースライン燃費を算出するステップと、
プロジェクトデータの年間燃焼時間をベースライン燃費で除算したベースライン消費量を算出するステップと、
ベースライン消費量からプロジェクトデータの年間燃料消費量を減算し、燃料消費削減量を算出するステップと、
ベースライン消費量より、プロジェクトデータの年間燃料消費量が少ない場合はその減算後の数値を、プロジェクトデータの年間燃料消費量が多い場合はその減算後の数値をマイナスの数値で、その燃料消費削減量を出力手段に表示するステップとを実行させるようにしたものである。
【0017】
本発明の二酸化炭素排出削減量算定表示プログラムは、ある位置に常設されている乾燥機その他の燃焼機器の年間燃焼時間及び年間燃料消費量からなる燃焼データであって、乾燥機その他の燃焼機器のエンジン吸気系パイプの吸入空気を改善して燃焼させる燃焼改善装置を装着する前の前記燃焼機器のベースラインデータと、前記燃焼改善装置を装着した後の前記燃焼機器のプロジェクトデータとを入力手段を介して入力したコンピュータに、
ベースラインデータの年間燃焼時間を当該年間燃料消費量で除算したベースライン燃費を算出するステップと、
プロジェクトデータの年間燃焼時間をベースライン燃費で除算したベースライン消費量を算出するステップと、
ベースライン消費量に前記車輛の燃料の排出係数を乗算して算出されるベースライン排出量から前記プロジェクトデータの年間燃料消費量に前記排出係数を乗算して算出されるプロジェクト排出量を減算し、二酸化炭素排出削減量を算出するステップと、
ベースライン排出量より、プロジェクト排出量が少ない場合はその減算後の数値を、プロジェクト排出量が多い場合はその減算後の数値をマイナスの数値で、その二酸化炭素排出削減量を出力手段に表示するステップとを実行させるようにしたものである。

【発明の効果】
【0018】
本発明は、燃料消費及び二酸化炭素排出の削減量算定対象の全車両や乾燥機その他の燃焼機器についての燃焼改善装置装着前後走行距離データ及び燃料消費量や燃焼時間データ及び燃料消費量に基づいて、車輛や燃焼機器の燃料消費削減量やCO排出削減量を数値化するものである。これにより、走行条件や燃焼条件を包含した公正妥当な燃費向上値を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に用いる燃焼改善装置の一例を表わす図である。
図2】本発明に用いる燃焼改善装置の原理と燃焼改善効果を表わす図である。
図3】本発明の燃料消費削減量算定装置及び二酸化炭素排出削減量算定装置のブロック図である。
図4】本発明の燃料消費削減量算定装置及び二酸化炭素排出削減量算定装置において動作する燃料消費削減量算定表示プログラム及び二酸化炭素排出削減量算定表示プログラムのフロー図である。
図5】本発明の燃料消費削減量算定装置及び二酸化炭素排出削減量算定装置の出力手段に表示される燃料消費削減量及び二酸化炭素排出削減量等の表示内容の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、燃焼改善装置装着前後の燃料消費の変動を可視化することを実現するものである。
【実施例】
【0021】
本発明の燃料消費削減量算定装置及び二酸化炭素排出削減量算定装置を図に基づいて説明する。図1は、本発明に用いる燃焼改善装置の一例を表わす図である。図2は、本発明に用いる燃焼改善装置の原理と燃焼改善効果を表わす図であり、同図(a)は燃焼改善装置の原理、同図(b)は燃焼改善装置の燃焼改善効果を表わす図である。図3は、本発明の燃料消費削減量算定装置及び二酸化炭素排出削減量算定装置のブロック図である。図4は、本発明の燃料消費削減量算定装置及び二酸化炭素排出削減量算定装置において動作する本発明の燃料消費削減量算定表示プログラム及び二酸化炭素排出削減量算定表示プログラムのフロー図である。図5は、燃料消費削減量算定装置及び二酸化炭素排出削減量算定装置の出力手段に表示される燃料消費削減量及び二酸化炭素排出削減量等の表示内容の一例である。
本発明の燃料消費削減量算定装置は、ある位置に所在する事業所に常備されている車輛の年間走行距離及び年間燃料消費量からなる走行データであって、車輛の内燃機関に燃料の燃焼を改善する燃焼改善装置を装着する前の前記車輛のベースラインデータと、前記燃焼改善装置を装着した後の前記車輛のプロジェクトデータとを入力手段を介して入力し、前記プロジェクトデータの年間走行距離を前記ベースラインデータの年間走行距離を当該年間燃料消費量で除算し算出されるベースライン燃費で除算したベースライン消費量から、前記プロジェクトデータの年間燃料消費量を減算し、その減算値を出力手段を介して表示させるものである。
また、上記燃料消費削減量算定装置により実行される本発明の燃料消費削減量算定表示プログラムは、ベースラインデータの年間走行距離を当該年間燃料消費量で除算したベースライン燃費を算出するステップと、プロジェクトデータの年間走行距離をベースライン燃費で除算したベースライン消費量を算出するステップと、ベースライン消費量からプロジェクトデータの年間燃料消費量を減算し、燃料消費削減量を算出するステップと、その燃料消費削減量を出力手段に表示するステップとを実行させるものである。
【0022】
本発明における「ある位置に所在する事業所に常備されている車輛」とは、たとえば、常に同じ一の事業所(同じ地点)から運行を開始する車輛、常に同じ一の整備工場でメンテナンス(車輛の修理、定期点検等)を受ける車輛である。ベースラインデータ及びプロジェクトデータの両者の一方を欠く若しくはそのデータの一部を欠く車輛、例えば廃車車両や新規登録車輛は含まれない。ベースラインデータとプロジェクトデータは、同一車輛の走行データである。
本発明における「年間」とは、少なくとも12か月であり、12か月の整数倍であってもよい。
なお、本発明の二酸化炭素排出削減量算定装置並びに二酸化炭素排出削減量算定表示プログラムにおける「ある位置に所在する事業所に常備されている車輛」及び「年間」についても、同様である。
【0023】
本実施例において用いる上記燃焼改善装置を図1に基づいて説明する。
図1の燃焼改善装置は、本願特許出願人が製造販売するものである(製品名:E−S/V(Eco-Supporter/Vehicle)。この燃焼改善装置は、帯状のものであり、基材の裏面に遮熱材を設け、その遮熱材上に電磁波を照射する照射体を備える。燃焼改善装置は、車輛のエンジン吸気系パイプ(エンジンエアダクトホース)に巻き付け、面ファスナーAに面ファスナーBを貼り付けて、取り付ける(図1(a))。燃焼改善装置の照射体(図1(b))からは、電磁波(4〜24μmの遠赤外線の波長)が照射される(図2(a))。燃焼改善装置をエンジン吸気系パイプに取り付けることによって、電磁波が吸入空気中の水蒸気(HO)に吸収され、最適な燃焼を得ることができる(図2(a))。また、燃料燃焼性試験による燃料の着火性の指標であるFIAセタン価は、燃焼改善装置を設置することにより向上する。さらに、燃焼性を示す主燃焼期間や燃焼後期の燃焼特性を判断する後燃え期間は短縮される(図2(b))。このような効果を有する燃焼改善装置は、車輛の内燃機関に装着することにより、燃料の燃焼を改善し、燃費を向上させ、CO等の排出量を低減させることは従来より知られている(例えば、特公平7−59972号)。
なお、図1の燃焼改善装置は、装着する車輛の排気量・燃料種に応じた型式のものが用いられるものとする。図1(b)の燃焼改善装置は、排気量2500cc、燃料種別・軽油の車輛に装着するものである。
また、本願発明における燃焼改善装置は、本願特許出願人の製品に限定するものではなく、車輛の内燃機関に燃料の燃焼を改善するものであればよい。
【0024】
図3の燃料消費削減量算定装置10は、ある位置に所在する事業所に設置されるコンピュータである。燃料消費削減量算定装置10は、登録車輛データ12、燃焼改善装置装着前の登録車両の走行距離データ14、燃焼改善装置装着前の登録車両の燃料消費量データ16、燃焼改善装置装着後の登録車両の走行距離データ18、燃焼改善装置装着前の登録車両の燃料消費量データ20及び燃料消費削減量算定表示プログラム22と、入力手段24と、出力手段26とを備えるものである。
入力手段24は、燃料消費削減量算定装置10にデータを入力し指示を与えるものであり、キーボードやマウス等のコンピュータに接続される入力用機器である。出力手段26は、ディスプレイ(モニタ装置)やプリンタ等のコンピュータに接続される出力用機器である。ディスプレイには、CPU28(中央演算処理装置)からの命令に従って入力画面や出力画面が表示される。図示しない入力インタフェースには、キーボードやマウス等が接続されており、入力インタフェースはキーボードやマウス等から送信される信号をバス30(信号線)を介してCPU28に送信する。
CPU28は、記憶装置32にある燃料消費削減量算定表示プログラム22を読み込んで実行し、各種データ12,14,16,18,20等の情報の加工を行う。CPU28は、バス30を介して各種データ12,14,16,18,20を蓄積する記憶装置や入出力回路に接続され、入出力回路を介してモニタ装置等が接続され、データやプログラム等のデータのやりとりを行うようになっている。
【0025】
登録車輛データ12は、一の事業所(複数の地域に事業所をもつ運送事業者のそれぞれの事業所も含む。)に常備されている車輛の識別データである。識別データとは、例えば、装着される燃焼改善装置の種別、車輛ナンバー(登録番号)、車輛メーカー名及び型番、納車時期、直近の車検日、排気量等である。
【0026】
燃焼改善装置装着前の登録車両の走行距離データ14は、登録車輛データ12に記録(登録)された車輛の年間走行距離である。走行距離データ14は、車輛ごとに毎月の走行距離を入力し12か月分の合計走行距離を算出し、登録車両すべての合計走行距離を加算して算出される。
【0027】
燃焼改善装置装着前の登録車両の燃料消費量データ16は、登録車輛データ12に記録(登録)された車輛の年間燃料消費量である。燃料消費量データ16は、車輛ごとに毎月の燃料消費量を入力し12か月分の合計燃料消費量を算出し、登録車両すべての合計燃料消費量を加算して算出される。
【0028】
走行距離データ14を燃料消費量データ16で除算することにより、ベースライン燃費(燃料消費削減量算定装置10を設置した営業所における登録車輛全体の燃料消費率)が算出される。
なお、本願において、燃焼改善装置装着前の走行データ(車輛の年間走行距離及び年間燃料消費量)をベースラインデータという。また、ベースラインデータに係る車輛の年間走行距離をDBL(単位キロメートルkm/年)で表し、年間燃料消費量をFBL(単位リットルL/年)で表す。ベースライン燃費は、DBL/FBL(単位km/L)により算出される。
【0029】
燃焼改善装置装着後の登録車両の走行距離データ18は、燃焼改善装置装着前の登録車両の走行距離データ14と同様、登録車輛データ12に記録(登録)された燃焼改善装置装着済み車輛の年間走行距離である。走行距離データ18は、車輛ごとに毎月の走行距離を入力し12か月分の合計走行距離を算出し、登録車両すべての合計走行距離を加算して算出される。
【0030】
燃焼改善装置装着前の登録車両の燃料消費量データ20は、燃焼改善装置装着前の登録車両の燃料消費量データ16と同様、登録車輛データ12に記録(登録)された燃焼改善装置装着済み車輛の年間燃料消費量である。燃料消費量データ20は、車輛ごとに毎月の燃料消費量を入力し12か月分の合計燃料消費量を算出し、登録車両すべての合計燃料消費量を加算して算出される。
【0031】
走行距離データ18を燃料消費量データ20で除算することにより、プロジェクト燃費(燃料消費削減量算定装置10を設置した営業所における燃焼改善装置装着済みの登録車輛全体の燃料消費率)が算出される。
なお、本願において、燃焼改善装置装着後の走行データ(車輛の年間走行距離及び年間燃料消費量)をプロジェクトデータという。また、プロジェクトデータに係る車輛の年間走行距離をDPJ(単位km/年)で表し、年間燃料消費量をFPJ(単位L/年)で表す。また、プロジェクトデータの年間燃料消費量FPJをプロジェクト消費量という。プロジェクト燃費は、DPJ/FPJ(単位km/L)で算出される。
【0032】
図3において、CPU28が実行する燃料消費削減量算定表示プログラム22の動作を図4に基づいて説明する。図4のフローは、ベースラインデータ及びプロジェクトデータが蓄積された状態でスタートする。
ベースラインデータの年間走行距離DBLを年間燃料消費量FBLで除算し、ベースライン燃費DBL/FBLを算出する(ステップS1)。
次に、プロジェクトデータの年間走行距離DPJをベースライン燃費DBL/FBLで除算しベースライン消費量(DPJ×FBL÷DBL)を算出する(ステップS2)。
次に、ベースライン消費量(DPJ×FBL÷DBL)からプロジェクト消費量FPJを減算し、燃料消費削減量を算出して(ステップS3)、その削減量を出力手段26に表示する(ステップS4)。
これにより、燃料消費削減量算定装置10を設置した事業所における燃料消費削減量を可視化することができる。
【0033】
(試験例)
軽油を燃料として走行する車輛(バス)106台を常備する一の事業所の燃料消費削減量を燃料消費削減量算定装置10により算出し、表示したところ、走行データ(ベースラインデータ及びプロジェクトデータ)、燃費および燃費向上率、燃料消費削減量は、図5のように表示された。
なお、上記車輛(バス)106台は、同車輛を所有する運輸業者が運営する一の整備工場でメンテナンス(車輛の修理、定期点検等)を受けている車輛である。
また、プロジェクトデータは燃焼改善装置装着後1年間の走行データであり、ベースラインデータは燃焼改善装置装着前1年間の走行データである。
(走行データ)
ベースラインデータは、年間走行距離DBL(登録車輛の年間総走行距離)3,989,750(km/年)、登録車輛の年間燃料消費量FBL(登録車輛の年間燃料消費量)927,977(L/年)である。
プロジェクトデータは、年間走行距離DPJ(燃焼改善装置装着済み登録車輛の年間総走行距離)3,950,683(km/年)、プロジェクト消費量FPJ(燃焼改善装置装着済み登録車輛の年間燃料消費量)868,234(L/年)である。
(燃費および燃費向上率)
ベースライン燃費DBL/FBLは4.30(km/L)、プロジェクト燃費DPJ/FPJは4.55(km/L)である。燃費向上率は、プロジェクト燃費からベースライン燃費を減算した値をベースライン燃費で除算することにより算出される。上記試験例における燃費向上率は、5.83%となる。
(燃料消費削減量)
ベースライン消費量(DPJ×FBL÷DBL)は、918,890(L/年)と算出され、プロジェクト消費量は、868,234(L/年)であるため、燃料消費削減量は、50,656(L/年)と表示される。
以上のとおり、燃料消費削減量算定装置10により、事業所の燃料消費削減量を数値化(算出)し、表示することができた。
なお、燃料消費削減量は、プロジェクト消費量と燃費向上率の積算によっても算出される。
【0034】
続いて、本発明の二酸化炭素排出削減量算定装置並びに二酸化炭素排出削減量算定表示プログラムについて、図3及び図4に基づいて説明する。
本発明の二酸化炭素排出削減量算定装置は、ある位置に所在する事業所に常備されている車輛の年間走行距離及び年間燃料消費量からなる走行データであって、車輛の内燃機関に燃料の燃焼を改善する燃焼改善装置を装着する前の前記車輛のベースラインデータと、前記燃焼改善装置を装着した後の前記車輛のプロジェクトデータとを入力手段を介して入力し、前記プロジェクトデータの年間走行距離を前記ベースラインデータの年間走行距離を当該年間燃料消費量で除算し算出されるベースライン燃費で除算したベースライン消費量に前記車輛の燃料の排出係数を乗算して算出されるベースライン排出量から、前記プロジェクトデータの年間燃料消費量に前記排出係数を乗算して算出されるプロジェクト排出量を減算し、その減算値を出力手段を介して表示させるものである。
また、上記二酸化炭素排出削減量算定装置により実行される本発明の二酸化炭素排出削減量算定表示プログラムは、ベースラインデータの年間走行距離を当該年間燃料消費量で除算したベースライン燃費を算出するステップと、プロジェクトデータの年間走行距離をベースライン燃費で除算したベースライン消費量を算出するステップと、ベースライン消費量に前記車輛の燃料の排出係数を乗算して算出されるベースライン排出量から前記プロジェクトデータの年間燃料消費量に前記排出係数を乗算して算出されるプロジェクト排出量を減算し、二酸化炭素排出削減量を算出するステップと、その二酸化炭素排出削減量を出力手段に表示するステップとを実行させるものである。
【0035】
図3の二酸化炭素排出削減量算定装置34において、記憶装置32には、二酸化炭素(CO)排出削減量算定表示プログラム36が記憶されている。その他の構成部については、燃料消費削減量算定装置10において既に説明したため、その説明を省略する。
また、前記排出係数は、車輛の燃料に関する、単位使用料当たりの発熱量HV(単位GJ/L)×単位発熱量当たりの炭素排出量CF(単位tC/GJ)×CO換算44/12(単位tCO/tC)で表されるものである(地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)に基づく温室効果ガス排出量の算定式における排出係数)。なお、燃料が軽油の場合、発熱量HVは39.1(GJ/kL)であり、炭素排出量CFは0.0189tC/GJ)である。
【0036】
図3において、CPU28が実行するCO排出削減量算定表示プログラム36の動作を図4に基づいて説明する。図4のフローは、ベースラインデータ及びプロジェクトデータが蓄積された状態でスタートする。
ベースラインデータの年間走行距離DBLを年間燃料消費量FBLで除算し、ベースライン燃費DBL/FBLを算出する(ステップS1)。
次に、プロジェクトデータの年間走行距離DPJをベースライン燃費DBL/FBLで除算しベースライン消費量(DPJ×FBL÷DBL)を算出する(ステップS2)。
次に、ベースライン消費量に前記車輛の燃料の排出係数を乗算して算出されるベースライン排出量から前記プロジェクト消費量FPJに前記排出係数を乗算して算出されるプロジェクト排出量を減算し、CO排出削減量を算出して(ステップS5)、その削減量を出力手段26に表示する(ステップS6)。
これにより、二酸化炭素排出削減量算定装置34を設置した事業所におけるCO排出削減量を可視化することができる。
【0037】
(試験例)
図5の走行データについて、CO排出削減量を二酸化炭素排出削減量算定装置34により算出し、表示したところ、CO排出削減量は、図5のように表示された。
(CO排出削減量)
ベースライン排出量(DPJ×FBL÷DBL×排出係数)は、2,406(tCO)と算出され、プロジェクト排出量(DPJ×FBL÷DBL×排出係数)は、2,274(tCO)と算出され、CO排出削減量は132(tCO)と表示される。
以上のとおり、二酸化炭素排出削減量算定装置34により、事業所のCO排出削減量を数値化(算出)し、表示することができた。
【0038】
上記試験例において、図5の表示画面に表れる数値(表示値)は、入力される数値(入力値)から燃料消費削減量算定装置10及び二酸化炭素排出削減量算定装置34が算出した数値(算出値)の端数を処理したものである。また、算出値は入力値に基づいて算出されるものであり、表示値に基づいて算出されたものではない。
【0039】
燃料消費削減量及びCO排出削減量の算定にあたり、年間の車両データを使用とすること及び同じ位置(事業所)からスタートする車輛に限定することにより、4つのシーズンの走行条件による燃料消費削減のばらつきの影響を受けることなく、上記削減量を算出することができる。
また、上例の実施例におけるCO排出削減量の算定方法(算定式)が客観的に合理的な算定方法であることについて、本願の特許出願人は、温室効果ガス排出量の第三者審査機関(株式会社日本スマートエナジー、東京都港区西新橋1−4―9)の認証を受けた(株式会社日本スマートエナジー認証番号2305003(自主的排出量認証)、事業名「Eco-Supporter/VehicleによるCO2排出削減量の算定方法に関する第三者認証」、認証書発行日2012年1月23日)。
【0040】
本発明を用いた燃料消費削減量や二酸化炭素排出削減量の算出によると、事業所によっては、その削減量がマイナスの数値で表示される場合もある。マイナスの数値となる原因としては、例えば、装着された車輛にその燃焼改善装置(の型式)が適合していないケース、その装着車輛の内燃機関に欠陥があるケース等が考えられる。従って、本発明による燃料消費削減量や二酸化炭素排出削減量の可視化(見える化)により、上記各ケースを発見でき、そのケースへの対応が可能になる。
【0041】
また、上記実施例では、車輛の燃料消費削減量や二酸化炭素排出削減量の可視化について述べたが、乾燥機その他の燃焼機器の内燃機関に燃焼改善装置を装着した場合においても、その燃焼機器の燃料消費削減量や二酸化炭素排出削減量を可視化できる。
乾燥機その他の燃焼機器の場合、車輛の場合における「ある位置に所在する事業所に常備されている車輛の年間走行距離及び年間燃料消費量からなる走行データ」は、「ある位置に常設されている乾燥機その他の燃焼機器の年間燃焼時間及び年間燃料消費量からなる燃焼データ」となる。なお、上記実施例において、「走行距離」は、燃焼機器の「燃焼時間」と読み替えるものとする。
【符号の説明】
【0042】
10 燃料消費削減量算定装置
24 入力手段
26 出力手段
14,18 走行距離データ
16,20 燃料消費量データ
22 燃料消費削減量算定表示プログラム
34 二酸化炭素排出削減量算定装置
36 二酸化炭素排出削減量算定表示プログラム
図1
図2
図3
図4
図5