特許第5748081号(P5748081)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝ライテック株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5748081-発光装置及び照明装置 図000002
  • 特許5748081-発光装置及び照明装置 図000003
  • 特許5748081-発光装置及び照明装置 図000004
  • 特許5748081-発光装置及び照明装置 図000005
  • 特許5748081-発光装置及び照明装置 図000006
  • 特許5748081-発光装置及び照明装置 図000007
  • 特許5748081-発光装置及び照明装置 図000008
  • 特許5748081-発光装置及び照明装置 図000009
  • 特許5748081-発光装置及び照明装置 図000010
  • 特許5748081-発光装置及び照明装置 図000011
  • 特許5748081-発光装置及び照明装置 図000012
  • 特許5748081-発光装置及び照明装置 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5748081
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】発光装置及び照明装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/50 20100101AFI20150625BHJP
   H01L 33/54 20100101ALI20150625BHJP
   F21S 2/00 20060101ALI20150625BHJP
   F21V 3/00 20150101ALI20150625BHJP
   F21V 3/02 20060101ALI20150625BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20150625BHJP
   H01L 33/56 20100101ALI20150625BHJP
   F21Y 101/02 20060101ALN20150625BHJP
   F21Y 103/00 20060101ALN20150625BHJP
【FI】
   H01L33/00 410
   H01L33/00 422
   F21S2/00 231
   F21V3/00 320
   F21V3/02 400
   F21V19/00 150
   F21V19/00 170
   F21V19/00 450
   H01L33/00 424
   F21Y101:02
   F21Y103:00
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-526639(P2013-526639)
(86)(22)【出願日】2011年7月29日
(86)【国際出願番号】JP2011067527
(87)【国際公開番号】WO2013018175
(87)【国際公開日】20130207
【審査請求日】2014年1月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(72)【発明者】
【氏名】川島 淨子
(72)【発明者】
【氏名】小柳津 剛
(72)【発明者】
【氏名】玉井 浩貴
(72)【発明者】
【氏名】林田 裕美子
(72)【発明者】
【氏名】松田 周平
(72)【発明者】
【氏名】渋沢 壮一
(72)【発明者】
【氏名】緒方 正弘
(72)【発明者】
【氏名】上村 幸三
(72)【発明者】
【氏名】西村 潔
【審査官】 金高 敏康
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−094199(JP,A)
【文献】 特開2013−115005(JP,A)
【文献】 特開2007−036030(JP,A)
【文献】 特開2012−114107(JP,A)
【文献】 特開2003−347345(JP,A)
【文献】 特開2011−100545(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 − 33/64
F21S 2/00
F21V 3/00
F21V 3/02
F21V 19/00
F21Y 101/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光モジュールを具備する発光装置であって、
前記発光モジュールが、
基板と;
この基板上に配設された複数の半導体製の発光素子と;
蛍光体が混ぜられた透光性の樹脂を主成分としていて、前記基板上に接着された底面から盛り上がって一個以上の前記発光素子を個々に埋めて形成され、この盛り上がりの高さHに対する前記底面の径Dの比(H/D)が0.22から1.0である複数の封止部材と;
を備え
前記透光性の樹脂が、レジン系シリコーン樹脂であり、前記封止部材の形成後の硬さがショア硬度で54以上94以下である。
【請求項2】
請求項1に記載の発光装置において、前記封止部材はフィラーをさらに含み、前記基板上には前記発光素子が実装される実装パッドを有する配線パターンが設けられ、前記封止部材の前記底面の径Dは、前記実装パッドのパッド径D1の1.0倍以上、1.4倍以下である。
【請求項3】
請求項1に記載の発光装置において、前記基板上に設けられ前記配線パターンの少なくとも一部を覆い、樹脂を含む保護部材と;
前記基板上に前記実装パッドと隣接させて設けられたワイヤ接続部と;
をさらに具備し、
前記ワイヤ接続部の少なくとも一部は、前記実装パッドの端部に設けられた溝の内部に設けられ、
前記保護部材の一端は、前記溝の外部に設けられ、前記保護部材の他端は、前記溝の内部に設けられ、前記保護部材と前記ワイヤ接続部とは接触しておらず、
前記封止部材は、前記溝の内部および前記溝の外部において、前記保護部材と接合されている。
【請求項4】
請求項1に記載の発光装置において、前記発光モジュールを収容した拡散透光性のパイプを更に備えている。
【請求項5】
請求項に記載の発光装置において、前記パイプの透光率が85%以下であり、前記発光素子の配設ピッチが5mm以上9mm以下である。
【請求項6】
装置本体と;
前記装置本体に取付けられた少なくとも一対のソケットと:
拡散透光性の真っ直ぐなパイプ、このパイプが延びる方向に長く形成されて前記パイプに収容された発光モジュール、及び前記パイプの長手方向両端に取付けられた口金を備えて、前記ソケットに取外し可能に支持される直管形の発光装置と;
を具備する照明装置であって、
前記発光モジュールが、
基板と;
この基板上に配設された複数の半導体製の発光素子と;
蛍光体が混ぜられた透光性の樹脂を主成分としていて、前記基板上に接着された底面から盛り上がって一個以上の前記発光素子を個々に埋めて形成され、この盛り上がりの高さHに対する前記底面の径Dの比(H/D)が0.22から1.0である複数の封止部材と;
を備え
前記透光性の樹脂が、レジン系シリコーン樹脂であり、前記封止部材の形成後の硬さがショア硬度で54以上94以下である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、LED(発光ダイオード)等の半導体発光素子を有する発光装置、及びこの発光装置を光源として備える照明器具等の照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、複数のLEDを有した照明装置の光源(LED光源)の開発が進行している。この種の照明装置の光源として使用可能なLEDアレイが知られている。このLEDアレイは、プリント基板上に、第一の導電パターンと、第二の導電パターンと、LEDチップと、ボンディングワイヤと、透明樹脂を、夫々複数設けてなる。
【0003】
プリント基板の表面は白色レジストで覆われている。第一、第二の導電パターンは、プリント基板の長手方向に沿って配設されている。第二の導電パターンは複数の第一の導電パターンに対し個別に隣接されている。第一の導電パターンはLEDチップより大きい。各LEDチップは第一の導電パターンに夫々ダイボンドされている。ボンディングワイヤは、LEDチップと、これがダイボンドされた第一の導電パターンに隣接された第二の導電パターンとを接続している。透明樹脂は基板上にポッティングにより形成されている。この透明樹脂は、一個のLEDチップ及びこれに接続されたボンディングワイヤ等を埋めて、これらを封止している。
【0004】
基板上に滴下された未硬化の透明樹脂は、滴下直後ドーム状の凸を成すが、硬化されるまでの間にその裾が比較的容易に広がって、高さが低くなる。これにより、透明樹脂を所定形状にすることが難しい。
【0005】
ところで、所望の色の照明光を得るために蛍光体が透明樹脂に混ぜられることが一般的である。例えば、LEDチップが青色の光を発する場合で、白色の照明光を得るには、青色の光で励起されて黄色系の光を放射する蛍光体が、透明樹脂に混ぜられる。
【0006】
このように蛍光体が混ぜられている透明樹脂が所定形状とならない場合、この樹脂が封止したLEDチップから透明樹脂の表面の各部までの距離が、一定以上にならない可能性が高い。前記距離が短すぎると、LEDチップの発光色が優る傾向が強まる。この逆に、前記距離が長すぎると、蛍光体から放射される色が勝る蛍光が強まる。
【0007】
そのため、LED光源が視認される場合、それを見る角度によって色の差(これを角度色差という。)が生じることがある。
【0008】
この角度色差を改善するには、透明樹脂を囲むバンクをプリント基板上に形成して、このバンクで未硬化の透明樹脂の広がりをせきとめればよい。しかし、このようにすることは、部品数が増えて構成が複雑化するので、コスト高となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献2】特開平5−299702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
実施形態は、角度色差を改善して均質な照明光を出射することが可能な発光装置及び照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施形態の発光装置は、基板と、複数の半導体製の発光素子と、複数の封止部材を備えた発光モジュールを具備する。各発光素子を基板上に配設する。各封止部材は蛍光体が混ぜられた透光性の樹脂を主成分としている。これら封止部材を、基板上に接着された底面から盛り上がって一個以上の前記発光素子を個々に埋めて形成する。封止部材の盛り上がりの高さHに対する底面の径Dの比(H/D)を0.22から1.0とする。透光性の樹脂は、レジン系シリコーン樹脂とする。封止部材の形成後の硬さはショア硬度で54以上94以下とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施例1に係る照明器具を示す斜視図である。
図2図2は、図1の照明器具を示す断面図である。
図3図3は、図1の照明器具のランプが有した複数の発光モジュールが並べられた状態を示す正面図である。
図4図4は、図3の発光モジュールの一つを示す正面図である。
図5図5は、図4中F5部分を拡大して示す正面図である。
図6図6は、図4中F6部分を拡大して示す正面図である。
図7図7は、図4中F7−F7線に沿って示す断面図である。
図8図8は、図4中F8−F8線に沿って示す断面図である。
図9図9は、図4の発光モジュールを各実装部品と封止部材とを除去した状態で示す正面図である。
図10図10は、図9中F10部分の拡大図である。
図11図11は、図4中F11部分の一部を切欠いて示す拡大図である。
図12図12は、図4の発光モジュールが備える封止部材の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施形態1の発光装置は発光モジュールを具備する。この発光モジュールが、基板と;この基板上に配設された複数の半導体製の発光素子と;蛍光体が混ぜられた透光性の樹脂を主成分としていて、前記基板上に接着された底面から盛り上がって一個以上の前記発光素子を個々に埋めて形成され、この盛り上がりの高さHに対する前記底面の径Dの比(H/D)が0.22から1.0である複数の封止部材と;を備える。
【0014】
この実施形態1の発光装置は、例えば照明器具やディスプレイ装置等に搭載される光源として使用可能である。
【0015】
実施形態1で、基板は、単層若しくは複層の樹脂基板を用いることもできる。更に、基板の反りを抑制すると共に基板からの放熱性を向上させるために、裏面にアルミニウム、鉄、銅等の金属箔が積層された構成の基板を用いることが好ましい。
【0016】
実施形態1で、半導体製の発光素子は、代表的にはLED(発光ダイオード)チップを挙げることができるが、半導体レーザ等を用いることも可能である。発光素子にLEDチップを用いる場合、その発光色は、赤色、緑色、青色のいずれであってもよい。又、異なる発光色のLEDチップを組み合わせて用いることも可能である。
【0017】
実施形態1で、発光素子等を埋めた封止部材の主成分をなす樹脂には、透光性で熱可塑性の合成樹脂、例えば各種のエポキシ樹脂や各種のシリコーン樹脂等を用いることができる。実施形態1で、各封止部材が埋める発光素子の数は、一個に限らず、複数個であってもよい。
【0018】
実施形態1では、発光素子を封止した各封止部材のアスペクト比(H/D)を以上のように規定したので、発光素子から封止部材の表面の各位置までの距離を1mm以上確保できる。したがって、封止部材が硬化されるまでの間に広がらないようにするバンクを要することなく、角度色差を抑制可能である。
【0019】
実施形態2の発光装置は、実施形態1において、前記封止部材が、レジン系シリコーン樹脂であり、その形成後の硬さがショア硬度で54以上94以下である。
【0020】
実施形態2では、実施形態1において、更に、封止部材をなすレジン系シリコーン樹脂のショア硬度が(74±20)の範囲であるので、封止部材が硬化されるまでの間のチキソ性が向上される。それにより、封止部材が硬化されるまでの間に広がって封止部材の高さが低下することが抑制されて、発光素子から封止部材の表面の各位置までの距離を1mm以上確保できる。これに対して、封止部材のショア硬度が54未満の場合、チキソ性が低下して、発光素子から封止部材の表面の各位置までの距離を1mm以上確保し難くなる。又、封止部材のショア硬度が94を超えていると、未硬化の封止部材の流動性が規定値より低下する。これにより、封止部材を例えばポッティングにより形成する場合、適量のポッティングが難しくなって、ポッティング不良もたらされる可能性が高まる。
【0021】
実施形態3の発光装置は、実施形態1において、前記基板上に配線パターンが形成され、この配線パターンの一部からなる実装パッドに前記発光素子が実装されているとともに、前記基板上に前記実装パッドに隣接するワイヤ接続部が形成されていて、これら実装パッドとワイヤ接続部とを接続したワイヤを備え、このワイヤの前記発光素子に接続された一端部が前記発光素子の厚み方向にこの素子から離れるように突出され、前記ワイヤ接続部に接続された前記ワイヤの他端部が斜めであり、かつ、前記一端部と他端部との間の前記ワイヤの中間部が前記一端部から曲がって前記発光素子と平行となるように形成されていて、この中間部の前記発光素子に対する突出高さが75μm以上125μm以下である。
【0022】
実施形態3で、ワイヤは、ワイヤボンディングにより設けられるものであり、金属細線、例えば金の細線を好適に用いることができる。実施形態3で、ワイヤの中間部が、発光素子と平行となるようにワイヤの一端部から曲がって形成されているとは、中間部が発光素子と平行であることを含んでいる。しかし、実際には製造上のばらつきにより中間部が発光素子と完全に平行にならない場合がある。このようにばらついた態様も「平行となるように」なる文言の範囲に含まれている。このため、実施形態3で、ワイヤの中間部は発光素子と略平行であると言い換えることも可能である。したがって、ワイヤの中間部が、ワイヤの一端部から斜めに折れ曲がっていて、これら一端部と中間部とが挟む角度が鋭角になるように設けられた態様は、前記文言の範囲外である。
【0023】
ところで、発光装置の発光とその停止に伴い封止部材は膨縮する。この膨縮を原因として、封止部材に埋められたワイヤにはストレスが加わる。しかし、実施形態3で、ワイヤの中間部は、発光素子に接続されたワイヤの一端部から曲がって発光素子と平行となるように形成されている。これとともに、ワイヤの中間部の発光素子に対する突出高さは75μm以上125μm以下に規定されている。
【0024】
これにより、ワイヤに対する封止部材の膨縮の影響が低減されるに伴い、前記ストレスが低減される。よって、ワイヤの一端部と発光素子との接続部でワイヤが切れることを抑制できる。
【0025】
実施形態4の発光装置は、実施形態3において、前記基板上に前記配線パターンを覆った樹脂製の保護部材が形成され、この封止部材で前記実装パッドが覆われているとともに、前記実装パッドの周部の少なくとも一個所に溝が形成されていて、この溝に充填された前記保護部材の充填部位が前記封止部材に接着されている。
【0026】
実施形態4の発光装置では、実施形態3において、更に、樹脂製の封止部材と、これに覆われた金属製実装パッドとの接着性は、樹脂同士の接着性よりも劣る。これにより、封止部材が剥がれるおそれが考えられる。しかし、実装パッドの周部の溝に充填された樹脂製の保護部材の充填部位と実装パッドとは接着されている。このため、封止樹脂の保持性能が高められて、封止樹脂の剥がれを抑制できる。
【0027】
実施形態5の発光装置は、実施形態1において、前記発光モジュールを収容した拡散透光性のパイプを更に備える。この実施形態でパイプが樹脂製である場合、その樹脂としては例えばポリカーボネート樹脂を挙げることができる。
【0028】
実施形態5では、実施形態1において、更に、発光モジュールから出射された光を、パイプによって拡散させて、このパイプ外に照明光として出射できる。このため、実施形態5の発光装置は、パイプが真っ直ぐである場合、光源である直管形ランプとして実施でき。パイプが環状である場合、光源である環形ランプとして実施できる。
【0029】
実施形態6の発光装置は、実施形態5において、前記パイプの透光率が85%以下であり、前記発光素子の配設ピッチが5mm以上9mm以下である。
【0030】
この実施形態6で、パイプの透光率が85%以下であるので、複数の発光素子が輝点となってパイプに写り込み難くできる。発光素子の配設ピッチが5mm未満であると、発光素子が高密度配置となり、コストアップの主な要因となる。発光素子の配設ピッチが9mmを超えると、発光素子が低密度配置となり、前記写り込みの傾向が強まる。
【0031】
したがって、実施形態6では、実施形態5において、更に、複数の発光素子が輝点となってパイプに写り込むことを低コストで抑制できるとともに、パイプを略均一な明るさに光らせることが可能である。
【0032】
実施形態7の照明装置は、器具本体と;前記器具本体に取付けられた少なくとも一対のソケットと:拡散透光性の真っ直ぐなパイプ、このパイプが延びる方向に長く形成されて前記パイプに収容された発光モジュール、及び前記パイプの長手方向両端に取付けられた口金を備えて、前記ソケットに取外し可能に支持される直管形の発光装置と;を具備する照明装置であって、前記発光モジュールが以下の構成を備える。
【0033】
発光モジュールは、基板と;この基板上に配設された複数の半導体製の発光素子と;蛍光体が混ぜられた透光性の樹脂を主成分としていて、前記基板上に接着された底面から盛り上がって一個以上の前記発光素子を個々に埋めて形成され、この盛り上がりの高さHに対する前記底面の径Dの比(H/D)が0.22から1.0である複数の封止部材と;を備える。
【0034】
この実施形態7は、発光装置を光源である直管形ランプとして備えた照明装置であって、その発光装置が、実施形態1に記載された発光モジュールを備えている。このため、発光素子から封止部材の表面の各位置までの距離が1mm以上確保されることで、角度色差を改善して均質な照明光を出射することが可能な照明装置を提供できる、という効果を期待できる。
【実施例1】
【0035】
以下、実施例1の発光装置と、及びこれを光源として備えた照明装置例えば照明器具について、図1図12を参照して詳細に説明する。
【0036】
図1及び図2中符号1は直付け形の一灯用照明器具を例示している。この照明器具1は、器具本体(装置本体)2と、点灯装置3と、対をなすソケット4と、反射部材5と、発光装置として例えば光源をなす直管形のランプ11等を具備している。
【0037】
図2に示した器具本体2は例えば細長い形状の金属板で作られている。器具本体2は、図2を描いた紙面の表裏方向に延びている。この器具本体2は例えば屋内の天井に図示しない複数のねじを用いて固定される。
【0038】
点灯装置3は器具本体2の長手方向の中間部に固定されている。この点灯装置3は商用交流電源を受けて直流出力を生成するように構成されていて、その直流出力を後述のランプ11に供給する。
【0039】
なお、器具本体2に、図示しない電源端子台、複数の部材支持金具、及び一対のソケット支持部材等が夫々取付けられている。電源端子台には天井裏から引き込まれた商用交流電源の電源線が接続される。更に、電源端子台は図示しない器具内配線を経由して点灯装置3及び後述のソケット4に電気的に接続されている。
【0040】
ソケット4は、前記ソケット支持部材に連結されて器具本体2の長手方向両端部に夫々配設されている。両ソケット4は、後述するランプ11が備える例えばG13タイプの口金13に適合する既存のソケットである。しかし、これに制約されず口金の種類に適合したタイプのソケットを用いることができる。
【0041】
これらのソケット4は、後述の端子ピン13a,13bが接続される図示しない一対の給電端子等を備えている。後述のランプ11に電源を供給するために、片側のソケット4の給電端子のみに器具内配線が接続されている。他方のソケット4には給電用の配線は接続されていない。
【0042】
反射部材5は、例えば金属製の底板部5aと、側板部5bと、一対の端板5c(図1に一方のみ図示する。)を有していて、上面が開放されたトラフ形状をなしている。
【0043】
底板部5aは平らである。側板部5bは、底板部5aの幅方向両端から斜め上向きに折り曲げられている。一対の端板5cは底板部5aと側板部5bの長手方向の端が作る端面開口を夫々閉じている。底板部5aと側板部5bをなす金属板は、表面が白色系の色を呈するカラー鋼板からなる。このため、底板部5aと側板部5bの表面は反射面となっている。底板部5aの長手方向両端部に、図示しないがソケット通孔が夫々開けられている。
【0044】
反射部材5は器具本体2及びこれに取付けられた各部品を覆っている。この状態は取外し可能な化粧ねじ(図1参照)6により保持されている。化粧ねじ6は、工具を用いることなく手回し操作することが可能であり、底板部5aを上向きに貫通して前記部材支持金具にねじ込まれている。ソケット4は前記ソケット通孔を通って底板部5aの下側に突出されている。
【0045】
照明器具1は一灯用に制約されず、ソケット4を二対備えて、次に説明するランプ11を二本支持することが可能な二灯用の照明器具として実施することも可能である。
【0046】
ソケット4に取外し可能に支持されるランプ11を図2図12を参照して以下説明する。
【0047】
ランプ11は、既存の蛍光ランプと同様な寸法と外径を有している。このランプ11は、パイプ12と、このパイプ12の端に取付けられた口金13と、梁14と、少なくとも一個例えば4個の発光モジュール15を具備している。なお、4個の発光モジュール15を区別する場合は、添字a〜dを付して図示するとともに説明する。
【0048】
パイプ12は、透光性の樹脂材料で例えば真っ直ぐに形成されている。パイプ12をなす樹脂材料には、拡散材が混ぜられたポリカーボネート樹脂を好適に使用できる。このパイプ12の拡散透過率は90%〜95%である。図2に示すようにパイプ12は、その使用状態で上部となる部位の内面に一対の凸部12aを有している。
【0049】
口金13のタイプはG13であり、口金13はパイプ12の長手方向両端部に夫々取付けられている。これらの口金13はソケット4に取外し可能に接続される。この接続によってソケット4に支持されたランプ11は、反射部材5の底板部5aの直下に配置される。ランプ11から外部に出射される光の一部は、反射部材5の側板部5bに入射される。
【0050】
夫々の口金13は、図2で代表するように端子ピン13a,13bを有している。これらの端子ピン13a,13bは、口金13の外部に突出されている。端子ピン13a,13bは互に電気的に絶縁されている。各口金13の端子ピン13a,13bが各ソケット4に接続されることによって、ランプ11がソケット4に支持される。この支持状態で、片側のソケット4内の給電端子とこれに接した端子ピン13a,13bとにより、ランプ11への給電が可能である。
【0051】
図2に示すように梁14はパイプ12に収容されている。この梁14は、機械的強度に優れたバー材であり、例えば軽量化のためにアルミニウム合金で形成されている。梁14の長手方向両端は、口金13に電気的に絶縁されて連結されている。梁14は例えばリブ状をなした基板支持部14aを複数(一つのみ図2に図示する。)有している。
【0052】
図3に示すように4個の発光モジュール15a〜15dは、いずれも細長い長方形に形成されていて、真っ直ぐな列をなして並べられている。この列の長さは梁14の全長と略等しい。各発光モジュール15a〜15dは、これを通って梁14にねじ込まれた図示しないねじで固定されている。
【0053】
このため、発光モジュール15a〜15dは梁14と共にパイプ12に収容されている。この支持状態で、各発光モジュール15a〜15dの幅方向両端部は、パイプ12の凸部12aに載置されている。それによって、各発光モジュール15a〜15dは、パイプ12内の最大幅部より上側で略水平に配設されている。
【0054】
図7及び図8に示すように各発光モジュール15は、基板21と、配線パターン25と、保護部材41と、複数の発光素子45と、第一のワイヤ51と、第二のワイヤ52と、封止部材54と、各種の電気部品55〜59を備えている。
【0055】
基板21は、ベース22と、金属箔23と、カバー層24を有している。
【0056】
ベース22は、樹脂製、例えばガラスエポキシ樹脂製である。このガラスエポキシ樹脂製の基板(FR−4)は、熱伝導性が低く比較的安価である。ベース22は、ガラスコンポジット基板(CEM−3)又はその他の合成樹脂材料で形成しても良い。
【0057】
図7及び図8に示すように金属箔23は、基板21の裏面に積層されていて、例えば銅箔よりなる。カバー層24は金属箔23及びベース22の周部裏面にわたって積層されている。このカバー層24は絶縁材料例えば合成樹脂製のレジスト層からなる。基板21は、その裏面に積層された金属箔23及びカバー層24によって、反ることがないように補強されている。
【0058】
配線パターン25は、図7及び図8に示すように三層構造をなしてベース22の表面(つまり、基板21の表面)に形成されている。第一層Uはベース22の表面にめっきされた銅で形成されている。第二層Mは、第一層U上にめっきされていて、ニッケルで形成されている。第三層Tは、第二層M上にめっきされていて、銀で形成されている。
【0059】
従って、配線パターン25の表面は銀製である。この銀製の第三層Tは反射面をなしており、その全光線反射率は90%以上である。
【0060】
保護部材41には電気絶縁性の合成樹脂を主成分とした例えば白色のレジスト層を好適に用いることができる。この白色レジスト層は光の反射率が高い反射層として機能する。保護部材41は、配線パターン25の大部分を覆って基板21上に形成されている。つまり、保護部材41は、配線パターン25の複数個所を実装パッド26として残して配線パターン25を覆っている。これとともに、保護部材41は、配線パターン25の複数個所をワイヤ接続部27として残して配線パターン25を覆っている。更に、保護部材41は、後述する電気部品55〜59の実装箇所を残して配線パターン25を覆っている。
【0061】
各実装パッド26及び各ワイヤ接続部27は、基板21上に保護部材41が形成された段階で、この保護部材41で覆われることなく第三層Tが露出された部分で形成されている。図9に示すように各実装パッド26は基板21の長手方向に並べられている。各ワイヤ接続部27は、各実装パッド26と対をなしてこれら実装パッド26の近傍に夫々配設されている。そのため、各ワイヤ接続部27は、実装パッド26の配設ピッチと同じ配設ピッチで基板21の長手方向に並べられている。
【0062】
図10及び図11に示すように実装パッド26は、その周部少なくとも一箇所例えば四箇所に溝26a〜26dを有している。各溝26a〜溝26bは、互に90度隔てられている。これらの溝26a〜溝26bの奥行きは後述するパッド径D1の1/10〜1/5である。更に、実装パッド26の周縁は、90度毎に円弧状をなした縁部26eを有している。各縁部26eは溝26a〜26dのうちで実装パッド26の周方向に隣接した溝間に形成されている。
【0063】
実装パッド26が溝26a〜溝26bと縁部26eを有したことにより、この実装パッド26は略クローバー形状をなしている。溝26aは他の三個の溝26b〜26dよりも大きく、その内側にワイヤ接続部27が配設されている。実装パッド26は、その中心とワイヤ接続部27を通る直線L(図10に一点鎖線で示す。)を基準として左右対称に形成されている。
【0064】
このように実装パッド26が略クローバー形状であり、その溝26a内にワイヤ接続部27が設けられていることは、後述する封止部材54の直径Dを小さくすることに貢献できる。実装パッド26のパッド径D1は例えば3.6mmである。パッド径D1は、実装パッド26の中心を境に対をなして位置された縁部26e間の寸法である。
【0065】
各溝26a〜溝26bに保護部材41が充填されている。溝26a〜溝26bに充填された保護部材41の部分を充填部位42(図7及び図11参照)と称する。各充填部位42は実装パッド26の中心に向けて突出された凸部をなしている。これら充填部位42は、配線パターン25の積層方向に関して第三層Tの表面より突出されている(図7参照)。各充填部位42のうちの少なくとも一個は、実装パッド26に後述する発光素子45を実装する際、その実装位置を割り出す基準として用いられる。溝26aに対する充填部位42は、ワイヤ接続部27を避けて溝26aに充填されている。
【0066】
各溝26a〜溝26bに保護部材41が充填されている。溝26a〜溝26bに充填された保護部材41の部分を充填部位42(図7及び図11参照)と称する。充填部位42は、配線パターン25の積層方向に関して第三層Tの表面より突出されている(図7参照)。溝26aに対する充填部位42は、ワイヤ接続部27を避けて溝26aに充填されている。
【0067】
複数の発光素子45は、LEDのベアチップからなる。このベアチップには、例えば青色の光を発光するLEDのベアチップが用いられている。LEDのベアチップは、サファイヤ製の素子基板の一面に発光層を備えていて、平面形状は長方形である。図11に示すように発光層に、アノードをなす素子電極45bとカソードをなす素子電極45aが、例えばLEDのベアチップの長手方向に並べて設けられている。
【0068】
これら発光素子45は、前記一面と反対側の素子基板の他面を、反射面である実装パッド26に接着剤46(図7及び図8参照)を用いて固定されている。この場合、各発光素子45は、その素子電極45a,45bの並びを実装パッド26の溝26a,26cの並びに一致させて、実装パッド26上に夫々接着されている。こうして各実装パッド26上に実装された発光素子45は、基板21の長手方向(中心軸線が延びる方向)に並べられた発光素子列を形成している。これ列において発光素子45の配設ピッチは5mm以上9mm以下である。
【0069】
発光素子45の接着箇所は実装パッド26の中央部であることが好ましい。これにより、発光素子45の周りの反射面領域で、発光素子45から放射されて実装パッド26に入射した光を反射できる。
【0070】
この場合、実装パッド26に入射される光は、発光素子45に近い程強く、この強い光を前記反射面領域で反射できる。溝26a〜26dは、前記強い光を反射する反射面領域から外れている。このため、実装パッド26の表面(反射面)の面積は実装パッド26の周部の溝26a〜26dにより減らされているが、このことは、実装パッド26の反射性能を実質的に低下させることにはならず、無視できる。
【0071】
LEDのベアチップからなる発光素子45の発光は、半導体のp−n接合に順方向電流を流すことで実現されるので、この発光素子45は電気エネルギーを直接光に変換する固体素子である。こうした発光原理で発光する発光素子45は、通電によりフィラメントを高温に白熱させて、その熱放射により可視光を放射させる白熱電球と比較して、省エネルギー効果を有する。
【0072】
接着剤46は、接着の耐久性を得る上で耐熱性を有し、更に発光素子45の直下でも反射ができるようにするために透光性を有していることが好ましい。このような接着剤46として、シリコーン樹脂系の接着剤を好適に用いることができる。
【0073】
第一のワイヤ51と第二のワイヤ52は、金属細線例えば金の細線からなり、ボンディングマシンを用いて配線される。
【0074】
図7に示すように第一のワイヤ51は、発光素子45と配線パターン25とを電気的に接続して設けられている。この場合、ファーストボンディングにより、第一のワイヤ51の一端部51aが発光素子45の素子電極45aに接続される。セカンドボンディングにより、第一のワイヤ51の他端部51bが配線パターン25のワイヤ接続部27に接続される。
【0075】
第一のワイヤ51の一端部51aは、発光素子45の厚み方向にこの発光素子45から離れる方向に突出されている。ワイヤ接続部27は、発光素子45の厚み方向を基準に、この発光素子45の素子電極45a,45bよりも基板21側に寄っている。このワイヤ接続部27に対して第一のワイヤ51の他端部51bは斜めに接続されている。
【0076】
第一のワイヤ51の中間部51cは、一端部51aと他端部51bとの間を占めた部位である。この中間部51cは、図7に示すように一端部51aから曲がって発光素子45と平行となるように形成されている。発光素子45に対する中間部51cの突出高さhは、75μm以上125μm以下、好ましくは、60μm以上100μm以下に規定されている。これにより、ワイヤボンディングされた第一のワイヤ51は、発光素子45を基準とする高さを低く保持して配線されている(この配線構造を、本明細書では低配線ループと称する。)。
【0077】
このように配線された第一のワイヤ51の中間部51cと他端部51bは、発光素子45が列を形成する方向と直交する方向に延びている。こうした配線は実装パッド26に対する発光素子45の既述の配置により実現される。この配線により、第一のワイヤ51の長さを短くできる。このため、平面視において第一のワイヤ51が発光素子に対し斜めに配線される場合に比較して、第一のワイヤ51のコストを低減できる。
【0078】
第二のワイヤ52は、ワイヤボンディングにより発光素子45と実装パッド26を接続して設けられている。この場合、ファーストボンディングにより、第二のワイヤ52の一端部が発光素子45の素子電極45bに接続される。セカンドボンディングにより、第二のワイヤ51の他端部が実装パッド26に接続される。
【0079】
封止部材54は、図12で模式的に示すように主成分である樹脂54aに、蛍光体54bとフィラー54cとを夫々適量混ぜて形成されている。
【0080】
樹脂54aには透光性を有するレジン系シリコーン樹脂又はハイブリット系シリコーン樹脂が用いられている。レジン系シリコーン樹脂及びハイブリット系シリコーン樹脂は、三次元架橋された組織となっているので、透光性のシリコーンゴムよりも硬い
蛍光体54bは、発光素子45が発した光によって励起されて、発光素子45が発する光の色とは異なる色の光を放射する。実施例1では、発光素子45が青色の光を発するので、前記励起によって、青色の光に対し補色の関係にある黄色系の光を放射する黄色蛍光体が使用されている。これにより、発光装置であるランプ11の出力光として白色光を出射させることができる。
【0081】
封止部材54は、実装パッド26、ワイヤ接続部27、発光素子45、第一のワイヤ51、及び第二のワイヤ52を埋めることによって、これらを封止して、基板21上に形成されている。この封止部材54は、未硬化の状態で発光素子45を目掛けて滴下され、この後に加熱処理されることによって、硬化して形成される。封止部材54の滴下(ポッティング)にはディスペンサ等が用いられる。
【0082】
硬化された封止部材54は、基板21上にこの基板21の長手方向に所定間隔で並べられて、発光素子45の列に準じて封止部材列を形成して配設される。硬化された封止部材54は基板21上に接着されている。つまり、本実施例の場合、基板21上に形成された配線パターン25の実装パッド26、及びこの実装パッド26の周囲の保護部材41に、封止部材54の底面が接着されている。各封止部材54は、その底面から盛り上がって発光素子45を個々に埋めて形成され、ドーム形状ないしは富士山形状をなしている。
【0083】
封止部材54の直径D(図7参照)はパッド径D1の1.0倍〜1.4倍に規定され、実施例1の場合直径Dは4.0mm〜5.0mmである。これにより、封止部材54から実装パッド26の一部が食み出ることがない。これとともに、実装パッド26に対し封止部材54が多過ぎることがなく、後述のアスペクト比を保持しつつ封止部材54の使用量を適正にできる。なお、封止部材54の底面からの盛り上がりの高さHと前記底面の直径Dを規定するために発光素子45等を囲む枠等は存在しない。そのため、封止部材54の直径Dと高さHは、封止部材54の滴下量と、硬度と、硬化されるまでの時間によって制御されるようになっている。
【0084】
発光素子45を基準とする封止部材54の盛り上がりの高さHは1.0mm以上である。この1.0mm以上の高さHを確保するために封止部材54のアスペクト比は、0.22〜1.00に設定されている。ここに、封止部材54のアスペクト比とは、発光素子45を埋めた封止部材54の盛り上がりの高さHに対する封止部材54の底面の直径Dの比(H/D)である。
【0085】
更に、封止部材54の直交径の比は、0.55〜1.00である。ここで、直交径の比とは、図11に示すように基板21に接着された封止部材54の底面の互いに直交する直径X,Yの比を指している。直径Xは、発光素子45の中心を通って任意に描かれる前記底面の直径である。直径Yは、直径Xに直交して描かれる前記底面の直径である。
【0086】
図4から図6のいずれかに示す電気部品55はコンデンサである。電気部品56はコネクタである。電気部品57は整流用ダイオードである。電気部品58は抵抗である。電気部品59は入力コネクタである。
【0087】
コンデンサからなる電気部品55は、4個の発光モジュール15の夫々に実装されている。このコンデンサは各発光モジュール15の配線パターン25にノイズが重畳されることを抑制し、それによって発光素子45が誤発光することを防止する。
【0088】
図3に示すようにコネクタからなる電気部品56は、4個の発光モジュール15がなしたモジュール列の長手方向両端部に配設された発光モジュール15a、15dについては、それらの一端部のみに実装されている。更に、電気部品56は、発光モジュール15a、15d間に配設された発光モジュール15b、15cについては、それらの長手方向両端部に夫々実装されている。隣接した発光モジュール15の電気部品56同士はこれらに渡る図示しない電線により接続される。それによって、各発光モジュール15が電気的に直列に接続される。
【0089】
図5に示すように電気部品57〜59はいずれも発光モジュール15aの他端部に実装されている。入力コネクタからなる電気部品59は、発光モジュール15の配線パターン25に接続されている。電気部品59に接続された図示しない電線は、この電気部品59に近い方に配設されている口金13の端子ピン13a,13bに夫々接続されている。
【0090】
前記構成の直管形のランプ11を照明器具1のソケット4に支持させて、ランプ11への給電がされると、各発光素子45が夫々発光する。これに伴い、封止部材54から出射された白色光は、パイプ12で拡散されるとともにパイプ12を透過して外部に出射される。これにより、ランプ11の下方空間が照明される。これとともに、パイプ12から出射された白色光の一部は、反射部材5の側板部5bで反射されてランプ11よりも上側の空間を照明する。
【0091】
こうした照明の光源をなすランプ11が備えた発光モジュール15の実装パッド26は、表面が銀製の配線パターン25の一部で形成されている。これにより、発光素子45が夫々実装された各実装パッド26は光の反射面として機能する。
【0092】
これとともに、実装パッド26、発光素子45、ワイヤ接続部27、第一のワイヤ51等を埋めてこれらを封止した封止部材54は、レジン系のシリコーン樹脂で形成されている。レジン系シリコーン樹脂は、その架橋構造が三次元である。このため、シリコーンオイルやシリコーンゴムと比較して、酸素や水蒸気等のガスが透過する性能が低い。ちなみに、封止部材54の酸素透過性は1200cm(m・day・atm)以下であり、水蒸気透過性は35g/m以下である。この水蒸気透過性は20g/m以下であることが好ましい。
【0093】
このようにガス透過性が低いレジン系シリコーン樹脂で、表面が銀の反射層である実装パッド26が封止されている。これにより、大気中のガスが封止部材54を透過することを原因とする実装パッド26の変色により反射性能の劣化が抑制される。よって、光束維持率を向上できる。
【0094】
ちなみに、従来提供されている直管形のLEDランプの光束維持率は4万時間で70%程度である。これと比較して、実施例1のランプ11は、光束維持率を4万時間で94%に向上できることが、本発明者の試験により確かめられた。
【0095】
ところで、ランプ11の点灯と消灯が繰り返される度に、封止部材54は膨縮する。これに伴い、ストレスが封止部材54に埋められた第一のワイヤ51に加えられる。一方、レジン系シリコーン樹脂は、シリコーンゴムと比較して硬度が高い。封止部材54の硬度が高いと、第一のワイヤ51の発光素子45に対する突出高さhが高い程、第一のワイヤ51に加えられるストレスは増大する。
【0096】
しかし、第一のワイヤ51は低配線ループを形成して配線されている。つまり、第一のワイヤ51の中間部51cは、発光素子45に接続された第一のワイヤ51の一端部51aから曲がって発光素子45と平行となるように形成されている。これとともに、発光素子45に対する中間部51cの突出高さhは75μm以上125μm以下である。このように発光素子45とワイヤ接続部27とにわたる第一のワイヤ51は、その高さを低く規定して配線されている。
【0097】
これにより、封止部材54の膨縮に伴い第一のワイヤ51に与えられるストレスを軽減することが可能である。このため、ランプ11の点灯・消灯に基づくヒートサイクルによって、第一のワイヤ51の一端部51aと発光素子45との接続部で第一のワイヤ51が切れることが抑制される。
【0098】
以上のように実施例1のランプ11によれば、発光素子45に接続された第一のワイヤ51の断線を抑制しつつ光束維持率を向上することが可能である。
【0099】
更に、実施例1のランプ11が備えた封止部材54には蛍光体54bが混ぜられている。これとともに、発光素子45を基準とする封止部材54の盛り上がりの高さHに対する封止部材54の底面の直径Dとの関係を表すアスペクト比(H/D)は、0.22から1.00に規定されている。こうしたアスペクト比の規定により、発光素子45から封止部材54の表面の各位置までの距離を1mm以上確保することが可能である。
【0100】
それにより、角度色差が抑制されて、封止部材54から出射された光で照らされるパイプ12、及びこのパイプ12を透過した光で照らされる反射部材5の側板部5b等の部位の色むらを抑制可能である。言い換えれば、発光素子45の発光色が強く青みが勝って照らされる領域と、蛍光体54bからの放射光が強く黄色味が勝って照らされる領域とが、混在して目立つことを抑制可能である。
【0101】
しかも、実施例1では、封止部材54の形成後の硬さがショア硬度で54以上94に規定されている。これにより、前記角度色差を抑制することが可能である。
【0102】
即ち、封止部材54がフィラー54cを含有することで、封止部材54の硬度が上がり、ポッティングにより設けられる封止部材54の未硬化の状態でのチキソ性が向上される。このため、ポッティングされた封止部材がこの後加熱されて硬化されるまでの間に広がって高さHが低くなることが抑制される。
【0103】
したがって、前記した所定のアスペクト比(H/D)が確保されて、発光素子45から封止部材54の表面の各位置までの距離を1mm以上確保できる。
【0104】
なお、これに対して、フィラー54c混入されていないと、チキソ性が低下する。これに伴い、封止部材54はそれが硬化されるまでの間に容易に広がって、封止部材54の高さが低くなる。よって、発光素子45から封止部材の54表面の各位置までの距離を1mm以上確保し難くなる。又、フィラー54cの含有率が多すぎると、未硬化の封止部材の流動性が規定値より低下する。このため、適量のポッティングが難くなり、ポッティング不良がもたらされる可能性が高まる。
【0105】
更に、実施例1のランプ11が有した実装パッド26には、その周部に溝26a〜26dが形成されていて、これらの溝26a〜26dに充填された保護部材41の充填部位42が封止部材54で覆われてこの封止部材54に接着されている。これとともに、封止部材54の周部は保護部材41に接着されている。
【0106】
実施例1で、シリコーン樹脂製の封止部材54と、これに覆われた実装パッド26の銀製の表面との接着性は、樹脂同士の接着性よりも劣る。そのため、封止部材54の直径Dを小さくする場合、封止部材54が基板21から剥がれるおそれが高められる。
【0107】
しかし、既述のように実装パッド26の溝26a〜26dへの樹脂製の保護部材41の充填部位42は、樹脂製の実装パッド26に接着されている。これにより、実装パッド26等を封止した封止部材54の基板21に対する保持性能が高められる。
【0108】
したがって、実装パッド26が小径化された場合であっても、実装パッド26の剥がれが抑制される。このため、封止部材54の使用量を低減することが可能となる。これとともに、例えば、実装パッド26及び発光素子45の配設密度を高める場合に適している。
【0109】
更に、実施例1で、発光モジュール15を収容した拡散透光性を有する樹脂製のパイプ12は、発光モジュール15から出射された光を拡散させて、外部に照明光として出射する。しかも、パイプ12は真っ直ぐであり、このパイプ12の長手方向両端に夫々口金13が取付けられている。このため、実施例1のランプ11は、光源である直管形ランプとして実施できる。
【0110】
しかも、パイプ12の透光率は85%以下であり、発光素子45の配設ピッチは5mm以上9mm以下である。
【0111】
パイプ12の透光率が85%を超えて光透過性が高まる場合は、基板21の長手方向に並べられた複数の発光素子45が、輝点となってパイプ12に写り込む傾向が高まる。発光素子45の配設ピッチが5mm未満であると、それに伴い基板21の長手方向に沿って発光素子45が高密度配置となるので、コストアップの主な要因となる。この逆に、発光素子45の配設ピッチが9mmを超えると、それに伴い基板21の長手方向に沿って発光素子45が低密度配置となるので、前記写り込みの傾向が高まる。
【0112】
したがって、既述のようにパイプ12の拡散透光率と発光素子45の配設ピッチを規定した実施例1では、複数の発光素子45が輝点となってパイプ12に写り込むことを低コストで抑制できる。これとともに、パイプ12を略均一な明るさに光らせて照明することが可能である。
【0113】
実施例1は以上のように構成したが、本発明の実施形態は、実施例1に限定されない。例えば、実施例1では、口金を有するランプとして発光装置を説明したが、口金を備えない発光装置として実施することが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12