特許第5748111号(P5748111)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5748111
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】同軸コネクタ装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 24/50 20110101AFI20150625BHJP
   H01R 12/71 20110101ALI20150625BHJP
【FI】
   H01R24/50
   H01R12/71
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-212587(P2013-212587)
(22)【出願日】2013年10月10日
(65)【公開番号】特開2015-76312(P2015-76312A)
(43)【公開日】2015年4月20日
【審査請求日】2014年7月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】第一精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083909
【弁理士】
【氏名又は名称】神原 貞昭
(72)【発明者】
【氏名】平川 猛
【審査官】 前田 仁
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5191568(JP,B2)
【文献】 特開2009−104836(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 24/38−24/50
H01R 12/71
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手方コネクタの信号用導体に接触接続される本体部と該本体部から伸びる信号用接続端子部とを有した信号接続用接触導体と、
該信号接続用接触導体の本体部の周囲に配されて上記相手方コネクタの接地用導体に接触接続される環状部と該環状部から伸びる接地用接続端子部とを有した接地接続用接触導体と、
上記信号接続用接触導体の信号用接続端子部及び上記接地接続用接触導体の接地用接続端子部の夫々が部分的に埋設されたもとで、上記信号接続用接触導体と上記接地接続用接触導体とを相互に絶縁された状態をもって保持する絶縁基体と、
を備えて成り、
上記信号接続用接触導体の本体部が、全体として筒状体を成していて、上記相手方コネクタの信号用導体に当接する当接凸部が設けられた当接接触部と該当接接触部から上記本体部が成す筒状体の仮想中心軸に沿う方向に伸びて上記絶縁基体に埋設される第1の基部とを有しており、上記当接接触部における上記本体部が成す筒状体の仮想中心軸に直交する方向の上記当接凸部を含んだ厚み寸法が上記第1の基部における上記本体部が成す筒状体の仮想中心軸に直交する方向の最大厚み寸法以下とされ
上記接地接続用接触導体の環状部が、全体として筒状体を成していて、上記相手方コネクタの接地用導体に係合する係合凸部が設けられた係合接触部と該係合接触部から上記環状部が成す筒状体の仮想中心軸に沿う方向に伸びて上記絶縁基体に埋設される第2の基部とを有しており、上記係合接触部における上記環状部が成す筒状体の仮想中心軸に直交する方向の上記係合凸部を含んだ厚み寸法が上記第2の基部における上記環状部が成す筒状体の仮想中心軸に直交する方向の最大厚み寸法以下とされ
上記信号接続用接触導体の本体部が成す筒状体の仮想中心軸と上記接地接続用接触導体の環状部が成す筒状体の仮想中心軸とが一致するものとされることを特徴とする同軸コネクタ装置。
【請求項2】
上記信号接続用接触導体の本体部における第1の基部が、上記絶縁基体の一部が入り込む凹部が設けられたものとされることを特徴とする請求項1記載の同軸コネクタ装置。
【請求項3】
上記信号接続用接触導体における信号用接続端子部が上記本体部における上記第1の基部から伸びているとともに、上記接地接続用接触導体における接地用接続端子部が上記環状部における上記第2の基部から伸びていることを特徴とする請求項1記載の同軸コネクタ装置。
【請求項4】
上記信号接続用接触導体の本体部における当接接触部に設けられた当接凸部が、上記本体部の内側に向かって突出するものとされるとともに、上記接地接続用接触導体の環状部における係合接触部に設けられた係合凸部が、上記環状部の内側に向かって突出するものとされることを特徴とする請求項1記載の同軸コネクタ装置。
【請求項5】
上記信号接続用接触導体の本体部における当接接触部が、所定の間隔を置いて環状に配置された複数の弾性当接片部を有し、該複数の弾性当接片部に上記当接凸部が設けられることを特徴とする請求項4記載の同軸コネクタ装置。
【請求項6】
上記接地接続用接触導体の環状部における係合接触部が、所定の間隔を置いて環状に配置された複数の弾性係合片部を有し、該複数の弾性係合片部に上記係合凸部が設けられることを特徴とする請求項4記載の同軸コネクタ装置。
【請求項7】
上記絶縁基体が、インサート成形によって上記信号接続用接触導体の本体部における第1の基部,上記信号用接続端子部の部分,上記接地接続用接触導体の環状部における第2の基部及び上記接地用接続端子部の部分と一体化されて形成されることを特徴とする請求項1記載の同軸コネクタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の特許請求の範囲に記載された発明は、回路基板等に取り付けられて、当該回路基板等からその外部への、あるいは、当該回路基板等へのその外部からの電磁波シールドが必要とされる信号の伝達に供される同軸コネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回路基板に配された導体を流れる高周波信号は、当該回路基板からその外部へと伝送されるにあたり、あるいは、当該回路基板にその外部から伝送されるにあたり、外部からのノイズの混入防止,外部への漏洩防止等のため、電磁波シールドが必要である信号として扱われることが多い。このような、電磁波シールドが必要である信号についての、特定の回路基板からその外部、例えば、他の回路基板への伝送、あるいは、特定の回路基板へのその外部、例えば、他の回路基板からの伝送が行われるに際しては、当該特定の回路基板に取り付けられるものとされる同軸コネクタ装置が用いられる。
【0003】
回路基板に取り付けられる同軸コネクタ装置は、通常、絶縁基体に、信号の伝達に供される信号接続用接触導体と、信号接続用接触導体に供給される信号に対する電磁波シールド作用をもたらすべく、信号接続用接触導体を包囲するものとされて接地電位を伝達する接地接続用接触導体と、が配されて構成され、回路基板に取り付けられたときには、信号接続用接触導体が回路基板に設けられた信号端子に接続されるとともに、接地接続用接触導体が回路基板に設けられた接地端子に接続される。そして、その使用に際しては、例えば、他の回路基板に取り付けられた他の同軸コネクタ装置である相手方コネクタと嵌合接続される状態におかれ、その信号接続用接触導体が、相手方コネクタにおける信号用導体に接触接続されるとともに、その接地接続用接触導体が、相手方コネクタにおける接地用導体に接触接続される。それにより、伝送されるにあたって電磁波シールドが必要とされる信号の回路基板間における伝送が、信号接続用接触導体を包囲する接地接続用接触導体による電磁波シールドが果たされるもとで行われる。
【0004】
斯かる同軸コネクタ装置にあっては、それが取り付けられる回路基板を内蔵する電子機器等の小型化及び軽量化に伴って、他の電気/電子部品とともに、小型化と回路基板上の厚み寸法を出来るだけ小とする低背化とが図られることが要求され、それに加え、その製造過程において組立て工数の低減と組立て精度の向上とが図られて、製造コストが低減されるものとされることが望まれている。さらに、このような要求及び要望が満たされたもとで、相手方コネクタに嵌合接続されたとき、信号接続用接触導体及び接地接続用接触導体が相手方コネクタにおける信号用導体及び接地用導体に夫々適正に接触接続された状態が安定に維持されることも求められている。
【0005】
このような状況において、絶縁基体に信号接続用接触導体と信号接続用接触導体を包囲するものとされた接地接続用接触導体とが配されて構成される同軸コネクタ装置であって、小型化とある程度の低背化とを図ることができ、しかも、その製造過程において組立て工数の低減と組立て精度の向上とが図られて、製造コストが低減されるようになすことが意図されたものが、従来提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
特許文献1に示される従来提案されている同軸コネクタ装置(プラグコネクタ(21))は、相手方コネクタ(レセプタクルコネクタ(11)) における信号用導体(ピン状中心導体(12)) に接触接続される信号接続用接触導体(ソケット状中心導体(22))と、その中央部分において信号接続用接触導体を保持して回路基板(第2基板(2))に配される絶縁基体(第2絶縁ハウジング(24)) と、円筒状に形成されて信号接続用接触導体を保持した絶縁基体をその外周を包囲して収容する接地接続用接触導体(第2筒状外側導体(23)) とを備えて構成されている。このようなもとで、信号接続用接触導体が金属管によって形成された先端部を有するものとされていて、信号接続用接触導体が相手方コネクタにおける信号用導体に接触接続される際には、当該先端部が相手方コネクタにおける信号用導体にそれが挿入される状態をもって嵌合する。
【0007】
斯かる従来の同軸コネクタ装置にあっては、その小型化と低背化とを著しく阻害する構造はみられない状況のもとで、その製造過程において、インサート成形により信号接続用接触導体と絶縁基体とを一体化して形成する成形工程と、インサート成形により一体化された信号接続用接触導体と絶縁基体とを、円筒状に形成された接地接続用接触導体の内側に係合させて取り付ける取付工程が実施される。即ち、特許文献1に示される、絶縁基体に信号接続用接触導体と信号接続用接触導体を包囲するものとされた接地接続用接触導体とが配されて構成される同軸コネクタ装置は、先ず、信号接続用接触導体と絶縁基体とがインサート成形により一体化され、その後、インサート成形により一体化された信号接続用接触導体と絶縁基体とが円筒状に形成された接地接続用接触導体の内側に取り付けられることによって製造されるのである。
【0008】
このように、インサート成形により信号接続用接触導体と絶縁基体とを一体化する手法がとられることにより、信号接続用接触導体が絶縁基体に配される構成を得るにあたっては、組立て工数の低減と組立て精度の向上とが図られ、それにより製造コストが低減されることになる作用効果が期待される。ただし、接地接続用接触導体が絶縁基体に配される構成を得るにあたっては、インサート成形により一体化された信号接続用接触導体と絶縁基体とを円筒状に形成された接地接続用接触導体の内側に取り付ける手法がとられるので、組立て工数の低減と組立て精度の向上とが図られ、それにより製造コストが低減されることになる作用効果は得られない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−104836号公報(段落0036〜0038, 0043〜0046、図1〜4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述のような、先ず、信号接続用接触導体と絶縁基体とがインサート成形により一体化され、その後、インサート成形により一体化された信号接続用接触導体と絶縁基体とが円筒状に形成された接地接続用接触導体の内側に取り付けられることによって製造される、従来提案されている同軸コネクタ装置にあっては、信号接続用接触導体と絶縁基体とがインサート成形により一体化されることにより、信号接続用接触導体が、相手方コネクタにおける信号用導体に当接接触する接点となる凸部が設けられたものとはされていず、信号接続用接触導体の相手方コネクタにおける信号用導体との接触接続は、信号接続用接触導体における金属管によって形成された先端部が相手方コネクタにおける信号用導体にそれが挿入される状態をもって嵌合することにより行われる。このように、信号接続用接触導体の相手方コネクタにおける信号用導体との当接接触が接点となる凸部が用いられることなく行われる従来提案されている同軸コネクタ装置においては、相手方コネクタに嵌合接続されたとき、信号接続用接触導体が相手方コネクタにおける信号用導体に適正に接触接続された状態が安定に維持されなくなってしまう虞がある。
【0011】
上述の従来提案されている同軸コネクタ装置において、信号接続用接触導体が相手方コネクタにおける信号用導体に当接接触する接点となる凸部が設けられていないものとされているのは、信号接続用接触導体が相手方コネクタにおける信号用導体に当接接触する接点となる凸部が設けられたものとされると、その凸部の存在により、インサート成形による絶縁基体成形後の型抜きが困難とされる事態がまねかれて、信号接続用接触導体と絶縁基体とを一体化するインサート成形自体が困難となってしまう、もしくは、インサート成形に用いられる金型の形状及び構造が著しく複雑になってしまうからである。
【0012】
さらに、上述の従来提案されている同軸コネクタ装置にあっては、接地接続用接触導体が絶縁基体に配される構成は、接地接続用接触導体と絶縁基体とを一体化するインサート成形によるのではなく、インサート成形により一体化された信号接続用接触導体と絶縁基体とを円筒状に形成された接地接続用接触導体の内側に取り付けることにより得られているので、接地接続用接触導体が絶縁基体に配される構成を得るにあたっては、組立て工数の低減と組立て精度の向上とが図られているわけではなく、また、製造コストが低減されることにはならない。従って、装置全体についてみると、その製造過程における組立て工数の低減と組立て精度の向上、さらには、製造コストの低減が、効果的に図られていることにはならない。
【0013】
斯かる点に鑑み、本願の特許請求の範囲に記載された発明は、相手方コネクタの信号用導体に接触接続される信号接続用接触導体と、信号接続用接触導体の周囲に配された部分を有して相手方コネクタの接地用導体に接触接続される接地接続用接触導体と、信号接続用接触導体と接地接続用接触導体とを相互に絶縁された状態をもって保持する絶縁基体とを備えて成り、金型構造を簡素化することができるもとでインサート成形により絶縁基体と信号接続用接触導体及び接地接続用接触導体とを一体化して形成することができて、製造過程における組立て工数の低減と組立て精度の向上さらには製造コストの低減を効果的に図ることができる同軸コネクタ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願の特許請求の範囲における請求項1から請求項7までのいずれかに記載された発明(以下、本願発明という。)に係る同軸コネクタ装置は、相手方コネクタの信号用導体に接触接続される本体部とそれから伸びる信号用接続端子部とを有した信号接続用接触導体と、信号接続用接触導体の本体部の周囲に配されて相手方コネクタの接地用導体に接触接続される環状部とそれから伸びる接地用接続端子部とを有した接地接続用接触導体と、信号接続用接触導体の信号用接続端子部及び接地接続用接触導体の接地用接続端子部の夫々が部分的に埋設されたもとで、信号接続用接触導体と接地接続用接触導体とを相互に絶縁された状態をもって保持する絶縁基体とを備えて構成される。そして、信号接続用接触導体の本体部が、全体として筒状体を成していて、相手方コネクタの信号用導体に当接する当接凸部が設けられた当接接触部とそれから本体部が成す筒状体の仮想中心軸に沿う方向に伸びて絶縁基体に埋設される第1の基部とを有しており、当接接触部における本体部が成す筒状体の仮想中心軸に直交する方向の当接凸部を含んだ厚み寸法が第1の基部における本体部が成す筒状体の仮想中心軸に直交する方向の最大厚み寸法以下とされ接地接続用接触導体の環状部が、全体として筒状体を成していて、相手方コネクタの接地用導体に係合する係合凸部が設けられた係合接触部とそれから環状部が成す筒状体の仮想中心軸に沿う方向に伸びて絶縁基体に埋設される第2の基部とを有しており、係合接触部における環状部が成す筒状体の仮想中心軸に直交する方向の係合凸部を含んだ厚み寸法が第2の基部における環状部が成す筒状体の仮想中心軸に直交する方向の最大厚み寸法以下とされ、信号接続用接触導体の本体部が成す筒状体の仮想中心軸と接地接続用接触導体の環状部が成す筒状体の仮想中心軸とが一致するものとされる。
【0015】
特に、本願の特許請求の範囲における請求項4に記載された本願発明に係る同軸コネクタ装置にあっては、信号接続用接触導体の本体部における当接接触部に設けられた当接凸部が、本体部の内側に向かって突出するものとされるとともに、接地接続用接触導体の環状部における係合接触部に設けられた係合凸部が、環状部の内側に向かって突出するものとされる。
【0016】
さらに、本願の特許請求の範囲における請求項7に記載された本願発明に係る同軸コネクタ装置にあっては、絶縁基体が、インサート成形によって信号接続用接触導体の本体部における第1の基部,信号用接続端子部の部分,接地接続用接触導体の環状部における第2の基部及び接地用接続端子部の部分と一体化されて形成される。
【0017】
上述のように構成される本願発明に係る同軸コネクタ装置は、例えば、回路基板の面上に絶縁基体が配され、信号接続用接触導体の信号用接続端子部が回路基板に設けられた信号端子に接続されるとともに、接地接続用接触導体の接地用接続端子部が回路基板に設けられた接地端子に接続されて、回路基板に取り付けられたもとで、他の同軸コネクタ装置である相手方コネクタとの嵌合接続がなされて使用される。そして、相手方コネクタとの嵌合接続がなされる際には、信号接続用接触導体の本体部が相手方コネクタにおける信号用導体に接触接続されるとともに、接地接続用接触導体の環状部が相手方コネクタにおける接地用導体に嵌合して接触接続される。
【0018】
信号接続用接触導体の本体部は、全体として筒状体を成していて、相手方コネクタの信号用導体に当接する当接凸部が設けられた当接接触部とそれから本体部が成す筒状体の仮想中心軸に沿う方向に伸びて絶縁基体に埋設される第1の基部とを有しており、当接接触部における本体部が成す筒状体の仮想中心軸に直交する方向の当接凸部を含んだ厚み寸法が第1の基部における本体部が成す筒状体の仮想中心軸に直交する方向の最大厚み寸法以下に選定されている。また、接地接続用接触導体の環状部は、全体として筒状体を成していて、相手方コネクタの接地用導体に係合する係合凸部が設けられた係合接触部とそれから環状部が成す筒状体の仮想中心軸に沿う方向に伸びて絶縁基体に埋設される第2の基部とを有しており、係合接触部における環状部が成す筒状体の仮想中心軸に直交する方向の係合凸部を含んだ厚み寸法が第2の基部における環状部が成す筒状体の仮想中心軸に直交する方向の最大厚み寸法以下に選定されている。そして、信号接続用接触導体の本体部が成す筒状体の仮想中心軸と接地接続用接触導体の環状部が成す筒状体の仮想中心軸とが一致するものとされている。
【0019】
このようなもとで、信号接続用接触導体の本体部は、例えば、本願の特許請求の範囲における請求項4に記載された本願発明に係る同軸コネクタ装置におけるもののように、それにおける当接接触部に設けられた当接凸部が、本体部の内側に向かって突出するものとされ、また、接地接続用接触導体の環状部における係合接触部に設けられた係合凸部は、例えば、本願の特許請求の範囲における請求項4に記載された本願発明に係る同軸コネクタ装置におけるもののように、環状部の内側に向かって突出するものとされる。
【0020】
また、絶縁基体は、例えば、本願の特許請求の範囲における請求項7に記載された本願発明に係る同軸コネクタ装置におけるように、インサート成形によって信号接続用接触導体の本体部における第1の基部,信号用接続端子部の部分,接地接続用接触導体の環状部における第2の基部及び接地用接続端子部の部分と一体化されて形成される。
【発明の効果】
【0021】
上述の本願発明に係る同軸コネクタ装置にあっては、相手方コネクタとの嵌合接続がなされる際に相手方コネクタにおける信号用導体に接触接続される信号接続用接触導体の本体部が、相手方コネクタの信号用導体に当接する当接凸部が設けられた当接接触部とそれから伸びて絶縁基体に埋設される第1の基部とを有したものとされ、当接接触部の当接凸部を含んだ厚み寸法が第1の基部の最大厚み寸法以下に選定されるとともに、相手方コネクタとの嵌合接続がなされる際に相手方コネクタにおける接地用導体に接触接続される接地接続用接触導体の環状部が、相手方コネクタの接地用導体に係合する係合凸部が設けられた係合接触部とそれから伸びて絶縁基体に埋設される第2の基部とを有したものとされ、係合接触部の係合凸部を含んだ厚み寸法が第2の基部の最大厚み寸法以下に選定される。
【0022】
このように、信号接続用接触導体の本体部当接接触部における本体部が成す筒状体の仮想中心軸に直交する方向の当接凸部を含んだ厚み寸法が第1の基部における本体部が成す筒状体の仮想中心軸に直交する方向の最大厚み寸法以下に選定されているとともに、接地接続用接触導体の環状部の係合接触部における環状部が成す筒状体の仮想中心軸に直交する方向の係合凸部を含んだ厚み寸法が第2の基部における環状部が成す筒状体の仮想中心軸に直交する方向の最大厚み寸法以下に選定されていることにより、簡素化された金型構造を用いて、信号接続用接触導体と接地接続用接触導体とを相互に絶縁された状態をもって保持する絶縁基体を信号接続用接触導体及び接地接続用接触導体と一体化して形成するインサート成形を、絶縁基体成形後の型抜きが困難とされる事態をまねくことなく行うことができる。斯かる際におけるインサート成形は、例えば、本願の特許請求の範囲における請求項7に記載された本願発明に係る同軸コネクタ装置におけるように、絶縁基体が、信号接続用接触導体の本体部における第1の基部,信号用接続端子部の部分,接地接続用接触導体の環状部における第2の基部及び接地用接続端子部の部分と一体化されて形成されることになるものとされる。
【0023】
これよりして、本願発明に係る同軸コネクタ装置によれば、金型構造を簡素化することができるもとでインサート成形により絶縁基体と信号接続用接触導体及び接地接続用接触導体とを一体化して形成することができ、それにより、製造過程における組立て工数の低減と組立て精度の向上さらには製造コストの低減を効果的に図ることができることになる。
【0024】
さらに、本願の特許請求の範囲における請求項4に記載された本願発明に係る同軸コネクタ装置にあっては、信号接続用接触導体の本体部における当接接触部に設けられた当接凸部が、本体部の内側に向かって突出するものとされ、また、接地接続用接触導体の環状部における係合接触部に設けられた係合凸部が、環状部の内側に向かって突出するものとされ、信号接続用接触導体の本体部が、それにおける当接接触部に相手方コネクタの信号用導体が挿入されるもとで、当接接触部に設けられた当接凸部を相手方コネクタの信号用導体に当接させて、相手方コネクタの信号用導体との接触接続をとり、また、接地接続用接触導体の環状部が、それに相手方コネクタの接地用導体が挿入されるもとで、係合接触部に設けられた係合凸部を相手方コネクタの接地用導体に係合させて、相手方コネクタの接地用導体との接触接続をとる。その結果、信号接続用接触導体の本体部が相手方コネクタにおける信号用導体に適正に接触接続された状態が安定に維持されるとともに、接地接続用接触導体の環状部が相手方コネクタにおける接地用導体に適正に接触接続された状態が安定に維持されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例を示す斜視図である。
図2】本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例を示す平面図である。
図3】本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例を示す正面図である。
図4図2におけるIV−IV線断面を示す断面図である。
図5】本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例に備えられる信号接続用接触導体を示す背面側から観た斜視図である。
図6】本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例に備えられる信号接続用接触導体を示す正面側から観た斜視図である。
図7】本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例に備えられる信号接続用接触導体を示す平面図である。
図8図7におけるVIII−VIII線断面を示す断面図である。
図9図7におけるIX−IX線断面を示す断面図である。
図10】本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例に備えられる接地接続用接触導体を示す斜視図である。
図11】本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例に備えられる接地接続用接触導体を示す平面図である。
図12】本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例の製造過程における一工程の説明に供される斜視図である。
図13】本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例の製造過程における一工程の説明に供される断面図である。
図14】本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例の製造過程における一工程の説明に供される断面図である。
図15】本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例の製造過程における一工程の説明に供される断面図である。
図16】本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例の製造過程における一工程の説明に供される断面図である。
図17】本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例の製造過程における一工程の説明に供される斜視図である。
図18】本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例が相手方コネクタに嵌合接続された状態を示す正面図である。
図19】本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例が相手方コネクタに嵌合接続された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本願発明を実施するための形態は、以下に述べられる本願発明についての実施例をもって説明される。
【実施例】
【0027】
図1(斜視図),図2(平面図)及び図3(正面図)は、本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例を示す。
【0028】
図1図2及び図3において、本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例を成す同軸コネクタ装置11は、回路基板に取り付けられたもとで他の同軸コネクタ装置である相手方コネクタとの嵌合接続がなされて使用されるものとされる。そして、同軸コネクタ装置11は、例えば、合成樹脂材により形成されて、同軸コネクタ装置11が取り付けられる回路基板(図示省略)の面上に配されるものとされる絶縁基体12を備えている。絶縁基体12は、図2におけるIV−IV線断面を示す図4にも示されるように、平板状部13と平板状部13の中央部分に設けられた全体として円筒状を成す環状突出部14とを有したものとされている。
【0029】
また、同軸コネクタ装置11は、絶縁基体12の環状突出部14の内側に配されて相手方コネクタの信号用導体に接触接続される本体部15を有した信号接続用接触導体16と、信号接続用接触導体16の本体部15を包囲する絶縁基体12の環状突出部14の周囲に配されて相手方コネクタの接地用導体に接触接続される環状部17を有した接地接続用接触導体18とを備えている。これらの信号接続用接触導体16及び接地接続用接触導体18は、絶縁基体12により相互に絶縁された状態をもって保持されている。
【0030】
信号接続用接触導体16は、例えば、合金板材とされる弾性を有した導電材料により形成され、図5(斜視図),図6(斜視図)及び図7(平面図)に示されるように、本体部15に加えて本体部15の一端部から伸びる信号用接続端子部20を有している。信号接続用接触導体16の本体部15は全体として筒状体を成すものとして形成されており、斯かる本体部15は、相手方コネクタの信号用導体に当接する当接凸部21が設けられた当接接触部22と当接接触部22から本体部15が成す筒状体の仮想中心軸(以下、第1の仮想中心軸という。)に沿う方向に伸びて絶縁基体12の平板状部13に埋設される基部23とを有している。
【0031】
本体部15における当接接触部22は、第1の仮想中心軸を包囲する方向において所定の間隔を置いて環状に配置された複数、例えば、3個の弾性当接片部24を有して構成されている。そして、複数の弾性当接片部24の夫々に、当接凸部21が筒状体をなす本体部15の内側に向かって突出するものとして設けられている。
【0032】
本体部15における基部23には、第1の仮想中心軸を包囲する方向に伸びる凹部25が設けられており、凹部25は、図4に示されるように、それに絶縁基体12の一部が入り込むものとされている。また、基部23は、それから信号用接続端子部20が伸びる本体部15の一端部を含むものとされている。従って、図7におけるVIII−VIII線断面を示す図8にも明瞭に示されるように、信号用接続端子部20は、本体部15における基部23から伸びていることになる。
【0033】
さらに、本体部15にあっては、図7におけるIX−IX線断面を示す図9に示されるように、当接接触部22を構成する3個の弾性当接片部24の夫々における第1の仮想中心軸に直交する方向の当接凸部21を含んだ厚み寸法t1が、基部23における第1の仮想中心軸に直交する方向の最大厚み寸法t2以下に選定される。即ち、本体部15当接接触部22における第1の仮想中心軸に直交する方向の当接凸部21を含んだ厚み寸法t1が、本体部15基部23における第1の仮想中心軸に直交する方向の最大厚み寸法t2以下に選定されるのである。
【0034】
また、接地接続用接触導体18は、例えば、信号接続用接触導体16と同様に合金板材とされる弾性を有した導電材料により形成され、図10(斜視図)及び図11(平面図)に示されるように、環状部17に加えて、各々が環状部17の一端部から伸びて絶縁基体12の平板状部13からその外部へと導出されるものとされた複数の接地用接続端子部30を有している。そして、そこから複数の接地用接続端子部30が伸びる環状部17の一端部及び複数の接地用接続端子部30の夫々は、絶縁基体12の平板状部13に部分的に埋設される。複数の接地用接続端子部30の夫々は、絶縁基体12が配された回路基板における接地端子に接続される。
【0035】
接地接続用接触導体18の環状部17は全体として筒状体を成すものとして形成されており、斯かる環状部17は、相手方コネクタの接地用導体に係合する係合凸部31が設けられた係合接触部32と係合接触部32から環状部17が成す筒状体の仮想中心軸(以下、第2の仮想中心軸という。)に沿う方向に伸びて絶縁基体12の平板状部13に埋設される基部33とを有している。
【0036】
環状部17における係合接触部32は、第2の仮想中心軸を包囲する方向において所定の間隔を置いて環状に配置された複数個の弾性係合片部34を有して構成されている。そして、複数個の弾性係合片部34の夫々に、係合凸部31が筒状体をなす環状部17の内側に向かって突出するものとして設けられている。
【0037】
環状部17における基部33は、それから複数の接地用接続端子部30が伸びる環状部17の一端部を含むものとされている。従って、図10にも示されるように、複数の接地用接続端子部30の夫々は、環状部17における基部33から伸びていることになる。
【0038】
さらに、環状部17にあっては、図4に示されるように、係合接触部32を構成する複数の弾性係合片部34の夫々における第2の仮想中心軸に直交する方向の係合凸部31を含んだ厚み寸法u1が、基部33における第2の仮想中心軸に直交する方向の最大厚み寸法u2以下に選定される。即ち、環状部17係合接触部32における第2の仮想中心軸に直交する方向の係合凸部31を含んだ厚み寸法u1が、環状部17基部33における第2の仮想中心軸に直交する方向の最大厚み寸法u2以下に選定されるのである。
【0039】
上述のような信号接続用接触導体16と接地接続用接触導体18とそれらを相互に絶縁された状態をもって保持する絶縁基体12とを備えて構成される同軸コネクタ11の製造過程においては、例えば、金型構造を用いたインサート成形により、絶縁基体12が信号接続用接触導体16及び接地接続用接触導体18と一体化されて形成される。斯かる金型構造を用いたインサート成形が行われるにあたっては、先ず、金型構造内に、信号接続用接触導体16と接地接続用接触導体18とが、図12に示される状態をもって配される。
【0040】
図12においては、信号接続用接触導体16と接地接続用接触導体18とが、信号接続用接触導体16における第1の仮想中心軸と接地接続用接触導体18における第2の仮想中心軸とが実質的に一致するものとされ、かつ、信号接続用接触導体16における信号用接続端子部20と接地接続用接触導体18における複数の接地用接続端子部30のうちの一つとが信号接続用接触導体16における本体部15を挟んで相互対向する位置に配されるものとされている。なお、図12に示される信号接続用接触導体16における信号用接続端子部20及び接地接続用接触導体18における複数の接地用接続端子部30のうちの一つの夫々は、仕上げ切断処理が施される前段階の状態におかれている。
【0041】
斯かる図12に示される信号接続用接触導体16及び接地接続用接触導体18は、図13に示されるように、金型構造を構成する下型40と上型41との間に配置される。上型41には、合成樹脂材が注入される成形キャビティ42と信号接続用接触導体16の本体部15における当接接触部22を収容するための第1の収容キャビティ43及び接地接続用接触導体18の環状部17における係合接触部32を収容するための第2の収容キャビティ44とが、下型40に対向するものとして形成されている。
【0042】
次に、図14に示されるように、下型40と上型41とが相互近接せしめられて上型41が下型40に密接する状態におかれる。このとき、信号接続用接触導体16の本体部15における当接接触部22を構成する複数の弾性当接片部24の夫々が、上型41に形成された第1の収容キャビティ43に収容されるとともに、接地接続用接触導体18の環状部17における係合接触部32を構成する複数の弾性係合片部34の夫々が、上型41に形成された第2の収容キャビティ44に収容される。斯かる際、信号接続用接触導体16の本体部15当接接触部22を構成する複数の弾性当接片部24の夫々における第1の仮想中心軸に直交する方向の当接凸部21を含んだ厚み寸法t1が、信号接続用接触導体16の本体部15基部23における第1の仮想中心軸に直交する方向の最大厚み寸法t2以下に選定されているので、複数の弾性当接片部24の夫々を収容する第1の収容キャビティ43は、例えば、基部23における第1の仮想中心軸に直交する方向の最大厚み寸法t2に相当する開口幅を有した極めて簡単な形状を成すもので足り、また、接地接続用接触導体18の環状部17係合接触部32を構成する複数の弾性係合片部34の夫々における第2の仮想中心軸に直交する方向の係合凸部31を含んだ厚み寸法u1が、接地接続用接触導体18の環状部17基部33における第2の仮想中心軸に直交する方向の最大厚み寸法u2以下に選定されているので、複数の弾性係合片部34の夫々を収容する第2の収容キャビティ44は、例えば、基部33における第2の仮想中心軸に直交する方向の最大厚み寸法u2に相当する開口幅を有した極めて簡単な形状を成すもので足りることになる。
【0043】
続いて、図15に示されるように、上型41に形成された成形キャビティ42内に合成樹脂材が注入されて成形キャビティ42が合成樹脂材によって充填されるインサート成形が行われる。そして、成形キャビティ42に充填された合成樹脂剤が固化されることにより合成樹脂製とされた絶縁基体12が、その平板状部13に、信号接続用接触導体16の本体部15における基部23と信号用接続端子部20の部分、及び、接地接続用接触導体18の環状部17における基部33と接地用接続端子部30の部分とが埋設されるとともに、その平板状部13の中央部分に環状突出部14が形成されたものとして得られる。それにより、下型40と上型41とにより構成される金型構造を用いたインサート成形により、絶縁基体12が信号接続用接触導体16及び接地接続用接触導体18と一体化されて形成されることになる。
【0044】
その後、図16に示されるように、下型40と上型41とが相互離隔せしめられ、インサート成形により信号接続用接触導体16及び接地接続用接触導体18と一体化されて形成された絶縁基体12を備えた同軸コネクタ装置11が、図17に示される状態をもって下型40と上型41との間から取り出される。図17に示される同軸コネクタ装置11にあっては、信号接続用接触導体16における信号用接続端子部20及び接地接続用接触導体18における複数の接地用接続端子部30のうちの一つの夫々が、仕上げ切断処理が施される前段階の状態におかれているが、これらの信号用接続端子部20及び複数の接地用接続端子部30のうちの一つの夫々に仕上げ切断処理が施されることにより、図1に示される同軸コネクタ装置11が得られる。
【0045】
このようにして得られる図1に示される同軸コネクタ装置11にあっては、信号接続用接触導体16の信号用接続端子部20が、その一端部が絶縁基体12の平板状部13からその外部に導出されて、絶縁基体12が配された回路基板における信号端子に接続される。また、信号接続用接触導体16の本体部15における当接接触部22が、絶縁基体12の環状突出部14の内側において絶縁基体12の平板状部13から突出して、それを形成する複数の弾性当接片部24内に相手方コネクタにおける信号用導体が挿入される状態をもって相手方コネクタにおける信号用導体に嵌合し、複数の弾性当接片部24の夫々に設けられた当接凸部21を相手方コネクタの信号用導体に当接させる。それにより、信号接続用接触導体16が相手方コネクタの信号用導体に接触接続された状態が得られる。
【0046】
さらに、図1に示される同軸コネクタ装置11にあっては、複数の接地用接続端子部30の夫々が、その一端部が絶縁基体12の平板状部13からその外部に導出されて、絶縁基体12が配された回路基板における接地端子に接続される。また、接地接続用接触導体18の環状部17における係合接触部32が、絶縁基体12の環状突出部14の外側において絶縁基体12の平板状部13から突出して、それを形成する複数の弾性係合片部34内に相手方コネクタにおける接地用導体が挿入される状態をもって相手方コネクタにおける接地用導体に嵌合し、複数の弾性係合片部34の夫々に設けられた係合凸部31を相手方コネクタの接地用導体に係合させる。それにより、接地接続用接触導体18が相手方コネクタの接地用導体に接触接続された状態が得られる。
【0047】
上述の同軸コネクタ11が相手方コネクタとの嵌合接続状態におかれる際には、絶縁基体12における環状突出部14の環状端縁部,絶縁基体12により保持された信号接続用接触導体16の本体部15の環状端縁部、及び、絶縁基体12により保持された接地接続用接触導体18の環状部17の環状端縁部が相手方コネクタに対向するものとなるように配置された同軸コネクタ11が、相手方コネクタに近接せしめられる。斯かる際における相手方コネクタは、例えば、図18及び図19に示される相手方コネクタ51とされる。
【0048】
図18及び図19に示される相手方コネクタ51は、例えば、合成樹脂材により形成されて、相手方コネクタ51が取り付けられる回路基板(図示省略)の面上に配されるものとされる絶縁基体52と、絶縁基体52の中央部分に円柱状の外観を有するものとして立設された信号用導体53と、信号用導体53を包囲する環状体を成すものとして絶縁基体52により保持された接地用導体54とを備えている。信号用導体53は、絶縁基体52が配された回路基板における信号端子に接続され、また、接地用導体54は、絶縁基体52が配された回路基板における接地端子に接続されている。
【0049】
そして、同軸コネクタ11が相手方コネクタ51との嵌合接続状態におかれたもとにあっては、図18及び図19に示されるように、同軸コネクタ装置11における信号接続用接触導体16の本体部15における当接接触部22が、それを形成する複数の弾性当接片部24内に相手方コネクタ51における信号用導体53が挿入される状態をもって相手方コネクタ51における信号用導体53に嵌合接触し、また、同軸コネクタ装置11における接地接続用接触導体18の環状部17における係合接触部32が、それを形成する複数の弾性係合片部34内に相手方コネクタ51における接地用導体54が挿入される状態をもって相手方コネクタ51における接地用導体54に嵌合係合する。
【0050】
信号接続用接触導体16の本体部15における当接接触部22が相手方コネクタ51の信号用導体53に嵌合接触する際には、当接接触部22を形成する複数の弾性当接片部24の夫々に設けられた当接凸部21を相手方コネクタ51の信号用導体53の外面部に当接させる。それにより、複数の弾性当接片部24の夫々に設けられた当接凸部21が、相手方コネクタ51の信号用導体53にその周囲から比較的大なる弾性押圧力を作用させる。その結果、信号接続用接触導体16が相手方コネクタ51の信号用導体53に、それにその周囲から比較的大なる弾性押圧力を作用させる状態をもって接触接続されることになり、同軸コネクタ装置11における信号接続用接触導体16が相手方コネクタ51における信号用導体53に適正かつ確実に接触接続された状態が安定に維持される。
【0051】
また、接地接続用接触導体18の環状部17における係合接触部32が相手方コネクタ51の接地用導体54に嵌合接触する際には、係合接触部32を形成する複数の弾性係合片部34の夫々に設けられた係合凸部31を相手方コネクタ51の接地用導体54の外面部に設けられた環状溝55に係合させる。それにより、複数の弾性係合片部34の夫々に設けられた係合凸部31が、相手方コネクタ51の接地用導体54にその周囲から比較的大なる弾性押圧力を作用させる。その結果、接地接続用接触導体18が相手方コネクタ51の接地用導体54に、それにその周囲から比較的大なる弾性押圧力を作用させる状態をもって接触接続されることになり、同軸コネクタ装置11における接地接続用接触導体18が相手方コネクタ51における接地用導体55に適正かつ確実に接触接続された状態が安定に維持される。
【0052】
上述の本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例をなす同軸コネクタ装置11にあっては、相手方コネクタ51との嵌合接続がなされる際に相手方コネクタ51における信号用導体53に接触接続される信号接続用接触導体16の本体部15が、相手方コネクタ51の信号用導体53に当接する当接凸部21が設けられた当接接触部22とそれから第1の仮想中心軸に沿う方向に伸びて絶縁基体12に埋設される基部23とを有したものとされ、当接接触部22における第1の仮想中心軸に直交する方向の当接凸部21を含んだ厚み寸法t1が基部23における第1の仮想中心軸に直交する方向の最大厚み寸法t2以下に選定されるとともに、相手方コネクタ51との嵌合接続がなされる際に相手方コネクタ51における接地用導体54に接触接続される接地接続用接触導体18の環状部17が、相手方コネクタ51の接地用導体54に係合する係合凸部31が設けられた係合接触部32とそれから第2の仮想中心軸に沿う方向に伸びて絶縁基体12に埋設される基部33とを有したものとされ、係合接触部32における第2の仮想中心軸に直交する方向の係合凸部31を含んだ厚み寸法u1が基部33における第2の仮想中心軸に直交する方向の最大厚み寸法u2以下に選定される。そして、信号接続用接触導体16における第1の仮想中心軸と接地接続用接触導体18における第2の仮想中心軸とが一致するものとされる。
【0053】
このように、信号接続用接触導体16の本体部15当接接触部22における第1の仮想中心軸に直交する方向の当接凸部21を含んだ厚み寸法t1が基部23における第1の仮想中心軸に直交する方向の最大厚み寸法t2以下に選定されているとともに、地接続用接触導体18の環状部17係合接触部32における第2の仮想中心軸に直交する方向の係合凸部31を含んだ厚み寸法u1が基部33における第2の仮想中心軸に直交する方向の最大厚み寸法u2以下に選定されていて、信号接続用接触導体16における第1の仮想中心軸と接地接続用接触導体18における第2の仮想中心軸とが一致するものとされていることにより、例えば、下型40と上型41とにより構成される簡素化された金型構造を用いて、信号接続用接触導体16と接地接続用接触導体18とを相互に絶縁された状態をもって保持する絶縁基体12を信号接続用接触導体16及び接地接続用接触導体18と一体化して形成するインサート成形を、絶縁基体12の成形後の型抜きが困難とされる事態をまねくことなく行うことができる。斯かる際におけるインサート成形は、例えば、絶縁基体12が、信号接続用接触導体16の本体部15における基部23,信号用接続端子部20の部分,接地接続用接触導体18の環状部17における基部33及び接地用接続端子部30の部分と一体化されて形成されることになるものとされる。
【0054】
これよりして、同軸コネクタ装置11によれば、金型構造を簡素化することができるもとでインサート成形により絶縁基体12と信号接続用接触導体16及び接地接続用接触導体18とを一体化して形成することができ、それにより、製造過程における組立て工数の低減と組立て精度の向上さらには製造コストの低減を効果的に図ることができることになる。
【0055】
さらに、同軸コネクタ装置11にあっては、信号接続用接触導体16の本体部15が全体として筒状を成し、その本体部15における当接接触部22に設けられた当接凸部21が、本体部の内側に向かって突出するものとされ、また、接地接続用接触導体18の環状部17における係合接触部32に設けられた係合凸部31が、環状部17の内側に向かって突出するものとされて、信号接続用接触導体16の本体部15が、それにおける当接接触部22に相手方コネクタ51の信号用導体53が挿入されるもとで、当接接触部22に設けられた当接凸部21を相手方コネクタ51の信号用導体53に当接させて、相手方コネクタ51の信号用導体53との接触接続をとり、また、接地接続用接触導体18の環状部17が、それに相手方コネクタ51の接地用導体54が挿入されるもとで、係合接触部32に設けられた係合凸部31を相手方コネクタ51の接地用導体54に設けられた環状溝55に係合させて、相手方コネクタ51の接地用導体54との接触接続をとる。その結果、信号接続用接触導体16の本体部15が相手方コネクタ51における信号用導体53に適正に接触接続された状態が安定に維持されるとともに、接地接続用接触導体18の環状部17が相手方コネクタ51における接地用導体54に適正に接触接続された状態が安定に維持されることになる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上のような本願発明に係る同軸コネクタ装置は、相手方コネクタの信号用導体に接触接続される信号接続用接触導体と、信号接続用接触導体の周囲に配された部分を有して相手方コネクタの接地用導体に接触接続される接地接続用接触導体と、信号接続用接触導体と接地接続用接触導体とを相互に絶縁された状態をもって保持する絶縁基体とを備えて成り、金型構造を簡素化することができるもとでインサート成形により絶縁基体と信号接続用接触導体及び接地接続用接触導体とを一体化して形成することができて、製造過程における組立て工数の低減と組立て精度の向上さらには製造コストの低減を効果的に図ることができるものとして、様々な電子機器等に広く適用され得るものである。
【符号の説明】
【0057】
11・・・同軸コネクタ装置, 12,52・・・絶縁基体, 13・・・平板状部, 14・・・環状突出部, 15・・・本体部, 16・・・信号接続用接触導体, 17・・・環状部, 18・・・接地接続用接触導体, 20・・・信号用接続端子部, 21・・・当接凸部, 22・・・当接接触部, 23,33・・・基部, 24・・・弾性当接片部, 25・・・凹部, 30・・・接地用接続端子部, 31・・・係合凸部, 32・・・係合接触部, 34・・・弾性係合片部, 40・・・下型, 41・・・上型, 42・・・成形キャビティ, 43・・・第1の収容キャビティ, 44・・・第2の収容キャビティ, 51・・・相手方コネクタ, 53・・・信号用導体, 54・・・接地用導体, 55・・・環状溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19