(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5748150
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】テクスチャ面を具える低熱膨張係数のスラッシュ金型、その製造方法、及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
B29C 33/38 20060101AFI20150625BHJP
C23C 8/36 20060101ALI20150625BHJP
C22C 38/00 20060101ALI20150625BHJP
C22C 38/52 20060101ALI20150625BHJP
C22C 38/08 20060101ALI20150625BHJP
B29C 41/38 20060101ALI20150625BHJP
B21D 37/01 20060101ALI20150625BHJP
【FI】
B29C33/38
C23C8/36
C22C38/00 301H
C22C38/00 302E
C22C38/52
C22C38/08
B29C41/38
B21D37/01
【請求項の数】18
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-515176(P2012-515176)
(86)(22)【出願日】2010年6月11日
(65)【公表番号】特表2012-530001(P2012-530001A)
(43)【公表日】2012年11月29日
(86)【国際出願番号】US2010038291
(87)【国際公開番号】WO2010144786
(87)【国際公開日】20101216
【審査請求日】2013年6月7日
(31)【優先権主張番号】61/268,369
(32)【優先日】2009年6月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500493207
【氏名又は名称】フォード モーター カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】シェイド,マシュー,マーティン
(72)【発明者】
【氏名】グリンベルグ,グリゴリー
【審査官】
田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】
特開平7−276392(JP,A)
【文献】
特開平6−172919(JP,A)
【文献】
特開平9−165653(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/38
B21D 37/01
B29C 41/38
C22C 38/00
C22C 38/08
C22C 38/52
C23C 8/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テクスチャ面を有する回転成形型であって、当該型が:ボディ部分と、シボ構造(grain texture)を有する金型上面とを有するシェルを具え、前記ボディ部分が、少なくとも100°乃至500°Fの温度で最大5.0×10−6in/in/°Fの熱膨張係数を有する鉄ニッケル系合金を含有しており、前記金型上面が、100°乃至500°Fの温度で最大5.0×10−6in/in/°Fの熱膨張係数を有する、アルミニウム処理された後に窒化処理された鉄ニッケル系合金を含有していることを特徴とする回転成形型。
【請求項2】
テクスチャ面を有する回転成形型であって、当該型が:ボディ部分と、シボ構造(grain texture)を有する金型上面とを有するシェルを具え、前記ボディ部分が、少なくとも100°乃至500°Fの温度で最大5.0×10−6in/in/°Fの熱膨張係数を有する鉄ニッケル系合金を含有しており、前記金型上面が、窒化物コーティングを具えることを特徴とする回転成形型。
【請求項3】
請求項1または2に記載の型において、前記ボディ部分の鉄ニッケル系合金が、少なくとも30重量%のニッケルを含有する組成物であることを特徴とする型。
【請求項4】
請求項1または2に記載の型において、前記ボディ部分の鉄ニッケル系合金が、少なくとも30重量%のニッケル、0.05重量%のアルミニウム、及び0.01重量%のクロムを含有する組成物であることを特徴とする型。
【請求項5】
請求項1または2に記載の型において、前記ボディ部分の鉄ニッケル系合金が、少なくとも30重量%のニッケル、0.05乃至0.75重量%のアルミニウム、及び0.01乃至1.5重量%のクロムを含有する組成物であることを特徴とする型。
【請求項6】
請求項1または2に記載の型において、前記ボディ部分が、少なくとも100のビッカーズ硬度(HV)を具える第一硬度を有し、前記上面が、前記第一硬度より高い第二硬度と最大1.5mmの厚さを有することを特徴とする型。
【請求項7】
請求項6に記載の型において、前記第一硬度が、100乃至350HVであり、前記第二硬度が、350ヌープ硬さ(HK)を超える微小硬さであることを特徴とする型。
【請求項8】
請求項7に記載の型において、前記微小硬さが、350乃至9,000HKであることを特徴とする型。
【請求項9】
請求項1または2に記載の型において、前記型が、3乃至10mmの厚さを有することを特徴とする型。
【請求項10】
請求項9に記載の型において、前記厚さが、前記型全体にわたって均一であることを特徴とする型。
【請求項11】
自動車内装部品の成形型を製造するプロセスであって、このプロセスが:
(a)100°乃至500°Fの温度で5.0×10−6in/in/°Fの熱膨張係数を有する鉄ニッケル系合金の型ブランクを提供するステップと;
(b)前記型ブランクを金型上面と下層のボディ部分を有する型形状に機械加工するステップと;
(c)前記金型上面にシボ構造を施すステップと;
(d)前記金型上面に表面処理をして、前記ボディのビッカーズ硬度より高いヌープ微小硬さを有する上面を提供するステップと;
を具えており、前記表面処理が、前記金型上面にイオン窒化処理するステップを具えることを特徴とするプロセス。
【請求項12】
自動車内装部品の成形型を製造するプロセスであって、このプロセスが:
(a)100°乃至500°Fの温度で5.0×10−6in/in/°Fの熱膨張係数を有する鉄ニッケル系合金の型ブランクを提供するステップと;
(b)前記型ブランクを金型上面と下層のボディ部分を有する型形状に機械加工するステップと;
(c)前記金型上面にシボ構造を施すステップと;
(d)前記金型上面に表面処理をして、前記ボディのビッカーズ硬度より高いヌープ微小硬さを有する上面を提供するステップと;
を具えており、前記表面処理が、前記金型上面にアルミニウム処理し、次いで前記金型上面に窒化処理するステップを具えることを特徴とするプロセス。
【請求項13】
自動車内装部品の成形型を製造するプロセスであって、このプロセスが:
(a)100°乃至500°Fの温度で5.0×10−6in/in/°Fの熱膨張係数を有する鉄ニッケル系合金の型ブランクを提供するステップと;
(b)前記型ブランクを金型上面と下層のボディ部分を有する型形状に機械加工するステップと;
(c)前記金型上面にシボ構造を施すステップと;
(d)前記金型上面に表面処理をして、前記ボディのビッカーズ硬度より高いヌープ微小硬さを有する上面を提供するステップと、
を具えており、前記表面処理が、前記金型表面にコーティングを塗布するステップを具えることを特徴とするプロセス。
【請求項14】
請求項11乃至13の何れかに記載のプロセスにおいて、前記鉄ニッケル系合金が、少なくとも30重量%のニッケルを含有する組成物を有することを特徴とするプロセス。
【請求項15】
請求項11乃至13の何れかに記載のプロセスにおいて、前記型ブランクを機械加工するステップが、コンピュータ数値制御(CNC)により機械加工するステップを含むことを特徴とするプロセス。
【請求項16】
請求項13に記載のプロセスにおいて、前記コーティングが、窒化物を含むことを特徴とするプロセス。
【請求項17】
請求項11に記載のプロセスにおいて、前記表面処理が、前記上面に500乃至2,000HK値のヌープ微小硬さを与えることを特徴とするプロセス。
【請求項18】
自動車部品を製造するプロセスであって、当該プロセスが:
請求項1または2に記載の回転成形型を提供するステップと;
ポリマー材料を前記型に導入するステップと;
前記型を加熱するステップと;
前記型を冷却してポリマースキンを形成させるステップと;
前記型から前記ポリマースキンを取り外すステップと;
を具えることを特徴とするプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、本明細書に参照によりその全体が組み込まれている、2009年6月11日出願の米国暫定出願第61/268,369号の優先権を主張する。
【0002】
[技術分野]
本発明は、形成温度範囲で熱膨張係数が小さい材料から作られるスラッシュ成形に使用可能な金型に関する。本発明は、更にこの金型の製造方法及び使用方法に関する。
【0003】
少なくとも一実施例では、本発明は、自動車工業で用いるスラッシュ成形の部品に使用される。一般に、自動車工業では、スラシュ成形を用いて機器やドアパネルなどの自動車の内装に用いる「A級」内装スキンを生産する。典型的なスラッシュ成形のプロセスは、装填した粉末ポリマー材料を加熱した金型表面に流し込み、所望の形状及び質感を具える成形部品又はスキンを形成するステップを含む。同じようなタイプの加熱した金型表面を使用する他のプロセスを、一般的にロトモールド、回転成形、及び粉末二次成形という。
【0004】
必要な部品のプロセスとタイプに応じて、このポリマー材料は、液体又は粉末でもよい。粉末ポリマー材料を用いる成形プロセスでは、金型を加熱し、このポリマー材料を融解させたら、冷却してこのポリマー材料を硬化させる。液体ポリマー材料を用いるプロセスでは、金型を加熱し、このポリマー材料を硬化させたら、冷却して部品を取り外す。
【0005】
金型の開口端の外縁に装填ボックスの開口上端を取り付けて密封させることにより、成形部品を製造する。次いで、この装填ボックスをひっくり返して装填ボックス内のポリマー材料を重力により装填ボックスから加熱した金型の表面に落下させる。ポリマー材料が加熱した金型の表面に供給されたら、通常この装填ボックスを直立位置に戻して余分なポリマー材料をこの装填ボックスに戻す。次いで、この流し込んだ材料を加熱した表面上で溶かす。金型の表面からポリマー材料を取り外す前に、このポリマー材料を硬化させる。更に、所望のスキン表面のテクスチャを作り出すべく、この金型の形成表面には、通常シボ又は凸凹が施される。
【0006】
スラッシュ金型の典型的構造は、加熱及び冷却可能な自己担持金属シェルを具える。特定のスラッシュ成形の適用では、ポリマー材料を融解中の金型温度は、500°Fに達することがある。通常は、熱油を循環させる、金型の後ろに取り付けられた加熱管システムを用いて金型温度を制御するが、熱風、赤外線、又は誘導、及び加熱された砂を用いて金型を加熱してもよい。適用に関係なく、金型を急速に加熱及び冷却する領域を形成する金型に関して、通常金属シェルの厚さは、比較的薄い。
【0007】
一般的に、自動車のスラッシュ成形型は、ニッケル製である。一般的に、電着又は蒸着プロセスを用いてニッケル金型が生産される。いずれの場合にも、ニッケルは主にシボやテクスチャを再現するのに望ましいが、高い耐食性、耐摩耗性、及び放出特性を有する金型のシェルも生産する。
【0008】
この方法で生産されるニッケル金型の使用に関する欠点は、予測不可能な、多くの場合には比較的短いライフサイクルを有することである。例えば、ニッケル金型は、30,000から45,000個の部品が最も一般的であるが、一般的に1,000から80,000個の部品を生産できる寿命を有する。比較的標準的な自動車のプログラムは、400,000乃至1,000,000個の部品の要求生産量を有するので、プログラム期間に50個の金型が必要とされることは珍しいことではない。
【0009】
ニッケルシェルの鋳造スキン型の主な故障モードは、熱サイクルがもたらす累積残留応力である。この熱サイクル応力は、材料の製造プロセスと時間とともにニッケル金型に亀裂を引き起こす材料のCTE(熱膨張係数)がもたらす結果である。金型の材料特性と厚さの変動により、応力の局部的領域を生じさせる熱膨張と収縮が起こることで亀裂が生じる。これは、製造手順が引き起こす不均一な金型の厚さによるものである。一般的に、電着又は蒸着プロセスを用いて、ニッケルシェルを製造する。これらのプロセス中で、金型の先鋭な先端又はへりにおいて堆積が増大し、その結果このシェルはそれらの場所にてより分厚くなる。これらの分厚い領域は、加熱及び冷却する間に異なる速度で金型の表面を横切って膨張し、この厚さの変動が、時間とともにシェル故障を引き起こす応力を生じさせる。多くの場合、シェルの故障は、シェルの亀裂によって引き起こされる。例えば、油を用いてニッケルシェルを加熱する適用では、銀ろう、鋼製の送油管、及びニッケルシェル間のCTEの違いが、三つの異なるCTEを生じさせ、三つの異なる材料間のこの不一致が、亀裂を導く応力を与える。
【0010】
上で説明したように、ニッケルのスラッシュ金型の寿命は、比較的予測不可能である。金型がいつ故障するのか不確実であるし、製造ラインの中断にかかわる費用のため、自動車部品の成形業者は、通常壊れる金型を考慮し、交換するために比較的大量の金型を手元に保持する。成形ライン上で壊れた金型の交換に関する製造中断時間に加えて、大量の金型を保管する施設を維持する費用、金型を交換する費用は、各型につき約50,000ドル乃至500,000ドルかかるなど比較的高額である。
【0011】
従って、現在入手可能なニッケル金型より長い寿命を有する金型が必要である。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、少なくとも一実施例において、テクスチャ面を具えるスラッシュ成形型を提供することにより、従来技術の一又はそれ以上の問題を解決したものであり、ここでこの成形型は、ボディ部分と、シボ構造を有する金型上面とを有するシェルを具え、このシェルは、少なくとも100HVのビッカーズ硬度(HV)を有するボディ部分を具える、100°乃至500°Fの温度でわずか5×10
−6inch/inch/°Fの熱膨張係数を有する鉄ニッケル系合金シェルである。少なくとも一実施例では、鉄ニッケル系合金は、少なくとも30重量%のニッケルを含む組成物を含有する。
【0013】
別の実施例では、ボディは、ビッカーズ(HV)で測定される第一硬度値を有し、金型上面は、ヌープ微小硬さ(HK)で 測定される微小硬さで、第一硬度値より高い第二硬度値を有する。少なくとも一実施例では、この微小硬さは、350乃至4,000HK値を有する。
【0014】
別の実施例では、鉄ニッケル系合金は、少なくとも30重量パーセントのニッケル、0.1重量パーセントのアルミニウム、及び0.25重量パーセントのクロムを含有する組成を有する。別の実施例では、鉄ニッケル系合金は、少なくとも30重量パーセントのニッケル、0.1重量パーセントのアルミニウム、0.25重量パーセントのクロム、0.1重量パーセントのジルコニウム、及び0.1重量パーセントのチタンを含有する組成を有する。更に別の実施例では、鉄ニッケル系合金は、少なくとも30重量パーセントのニッケル、及びアルミウム、クロム、ジルコニウム、シリコン、及びチタンから成る群より選択される少なくとも一の元素を含有する組成を有する。更に別の実施例では、鉄ニッケル系合金は、少なくとも30重量パーセントのニッケル、0.3重量パーセントのアルミニウム、及び0.7重量パーセントのクロムを含有する組成を有する。更に別の実施例では、少なくとも30重量パーセントのニッケル、少なくとも1%のコバルト、及びアルミニウム、クロム、ジルコニウム、シリコン、及びチタンから成る群より選択される少なくとも一の元素を含有する組成を有する。
【0015】
また更なる実施例では、金型上面は、その上面で配置されるコーティングを有し、このコーティングは、500乃至9,000HKの微小硬さを有する。
【0016】
また更なる実施例では、シェル部分は、そこを通ってシェルを加熱する油などの加熱媒体を提供する、温度で制御される複数の成形チャネルを有する。
【0017】
また更なる実施例では、シェルボディは、そこを通ってシェルをより効率的に加熱する空気などの加熱媒体を提供する、シェルの裏面に複数のフィン又は溝を有する。
【0018】
更に、本発明の一態様では、回転成形型が、テクスチャ面を具え、この型は、ボディ部分と、シボ構造を有する金型上面とを有するシェルを具え、このボディ部分は、少なくとも100°乃至500°Fの温度で最大5.0×10
−6in/in/°Fの熱膨張係数を有する鉄ニッケル系合金を含有する。
【0019】
別の態様では、回転成形型は、テクスチャ面を具え、この型は、ボディ部分と、シボ構造を有する金型上面とを有するシェルを具え、このボディ部分は、少なくとも30重量%のニッケルを有する鉄ニッケル系合金を含有する。
【0020】
特定の態様では、鉄ニッケル系合金は、少なくとも30重量%のニッケルを含有する組成を有する。他の態様では、鉄ニッケル系合金は、少なくとも30重量%のニッケル、0.05重量%のアルミニウム、及び0.01重量%のクロムを含有する組成を有する。更に別の態様では、鉄ニッケル系合金は、少なくとも30重量%のニッケル、0.05乃至0.75重量%のアルミニウム、及び0.01乃至1.5重量%のクロムを含有する組成を有する。
【0021】
一態様では、ボディ部分は、少なくとも100のビッカーズ硬度(HV)を有する第一硬度を有し、上面は、第一硬度より高い第二硬度と最大1.5mmの厚さを有する。これらの特定の態様では、第一硬度は、100乃至350HVであり、第二硬度は、350ヌープ硬さ(HK)を超える微小硬さである。これらの別の特定の態様では、微小硬さは、350乃至9,000HKである。更に別のこれらの別の態様では、微小硬さは、400乃至1,500HKである。また更なるこれらの特定の別の態様では、微小硬さは、600乃至1,000HKである。またなお更なるこれらの特定の別の態様では、微小硬さは、800乃至1,000HKである。更に別のこれらの態様では、微小硬さは、500乃至2,000HKである。
【0022】
別の態様では、上面は、0.002乃至1.5mmの厚さを有する。その他の態様では、上面は、0.4乃至0.6mmの厚さを有する。
【0023】
他の態様では、金型上面は、100°乃至500°Fの温度で最大5.0×10
−6in/in/°Fの熱膨張係数を有する、窒化処理された鉄ニッケル系合金を含有する。特定のこれらの態様では、この窒化処理は、イオン窒化処理である。
【0024】
別の態様では、金型上面は、100°乃至500°Fの温度で最大5.0×10
−6in/in/°Fの熱膨張係数を有する、アルミメッキ処理及び窒化処理された鉄ニッケル系合金を含有する。
【0025】
別の態様では、金型上面は、100°乃至500°Fの温度で0.1×10
−6乃至4.0×10−
6in/in/°Fの熱膨張係数を有する、鉄ニッケル系合金を含有する。
【0026】
他の態様では、金型上面は、コーティングを具える。特定のこれらの態様では、コーティングは、窒化物コーティングである。その他のこれらの特定の態様では、コーティングは、ニッケル、DLC、クロム、チタン、ジルコニウム、又はシリコンのうちの一つである。更にその他のこれらの特定の態様では、コーティングは、0.5乃至25μmの厚さを有する。また更にその他のこれらの特定の態様では、コーティングは、1乃至5μmの厚さを有する。更なるその他のこれらの特定の態様では、コーティングは、1乃至500μmの厚さを有する。
【0027】
別の態様では、この型は、3乃至10mmの厚さを有する。これらの特定の態様では、この型は、3.5乃至4.5mmの厚さを有する。別のこれらの特定の態様では、厚さは型全体にわたって均一である。
【0028】
別の態様では、100°乃至500°Fの温度での熱膨張係数は、最大2.5×10
−6in/in/°Fである。
【0029】
更に別の態様では、100°乃至500°Fの温度での熱膨張係数は、最大1.5×10
−6in/in/°Fである。
【0030】
また更に別の態様では、シボ構造は、0.005乃至1.0mmの深さを有する。これらの特定の実施例では、シボ構造は、0.1乃至0.4mmの深さを有する。
【0031】
他の態様では、自動車の内装部品の成形型の製造プロセスは、
(a)100°乃至500°Fの温度で最大5.0×10
−6in/in/°Fの熱膨張係数を有する鉄ニッケル系合金の型ブランクを供給するステップと、
(b)この型ブランクを機械加工して、金型上面と下層のボディ部分を有する型の形状にするステップと、
(c)この金型上面上にシボ構造を施すステップと、
を具える。
【0032】
別の態様では、このプロセスは、更に金型上面に表面処理をして、ボディのビッカーズ硬度より高いヌープ微小硬さを具える型の上面を提供する。
【0033】
更に他の態様では、鉄ニッケル系合金は、少なくとも30重量%のニッケル、0.05重量%のアルミニウム、及び0.01重量%のクロムを含有する含む組成を有する。これらの特定の態様では、鉄ニッケル系合金は、少なくとも30重量%のニッケル、0.05乃至0.75重量%のアルミニウム、及び0.2乃至1.5重量%のクロムを含有する組成を有する。
【0034】
他の態様では、型ブランクを機械加工するステップは、コンピュータ数値制御(CNC)された機械で型ブランクを機械加工するステップを含む。
【0035】
その他の態様では、型ブランクを機械加工するステップは、放電機械を使用するステップを含む。
【0036】
特定の態様では、CNC機械加工するステップは、少なくとも5本の軸上で機械加工するステップを含む。
【0037】
特定の態様では、シボ構造を施すステップは、金型上面を酸エッチングするステップを含む。特定の態様では、シボ構造を作るステップは、金型上面をレーザーエッチングするステップを含む。
【0038】
特定の態様では、シボ構造は、0.005乃至1.0mmの深さを有し、他の態様では、このシボ構造は、0.1乃至0.4mmの深さを有する。
【0039】
特定の態様では、この表面処理は、金型上面をイオン窒化処理するステップを含む。他の態様では、この表面処理は、金型上面をアルミメッキし、その後金型上面を窒化処理するステップを含む。
【0040】
他の態様では、この表面処理は、コーティングを金型上面に塗布するステップを含む。これらの特定の態様では、このコーティングは、窒化物を含む。これらの他の態様では、このコーティングは、ニッケル、DLC、クロム、チタン、ジルコニウム、又はシリコンを含む。他の特定の態様では、電気めっき、無電解めっき、CVD、又はPVDを用いてこのコーティングを塗布する。少なくとも一態様では、このコーティングは、シボ構造に影響を及ぼさない。他の態様では、この表面処理は、金型上面に1乃至500μmの厚さでニッケル電気めっき又は無電解ニッケルめっきするステップを含む。
【0041】
少なくとも一態様では、この表面処理は、359乃至4,000HKのヌープ微小硬さ値を有する上面を提供する。これらの特定の態様では、この表面処理は、500乃至2,000HKのヌープ微小硬さ値を有する上面、他の態様では、400乃至1,500HKのヌープ微小硬さ値を有する上面、更に別の態様では、600乃至1,000HKのヌープ微小硬さ値を有する上面を提供する。
【0042】
少なくとも一態様では、金型上面は、最大1.5mmの厚さを有する。別の態様では、金型上面は、0.2乃至1.0mmの厚さを有し、更に別の態様では、0.4乃至0.6mmの厚さを有する。
【0043】
特定の態様では、このコーティングは、0.5乃至12μmの厚さを有し、別の態様では、1乃至5μmの厚さを有する。
【0044】
特定の態様では、このシェルは、3乃至10mmの厚さを有し、他の態様では、3.5乃至4.5mmの厚さを有する。
【0045】
特定の態様では、シェルの厚さは、全体にわたって均一である。
【0046】
他の特定の態様では、100°乃至500°Fの温度で最大2.5×10
−6in./in/°Fの熱膨張係数を有し、更に別の態様では、100°乃至500°Fの温度で熱膨張係数は、最大1.5×10
−6in/in/°Fである。
【0047】
少なくとも一態様では、自動車部品を製造するプロセスは、上記の回転成形型のいずれか一つを提供するステップと、ポリマー材料をこの型に導入するステップと、この型を加熱するステップと、この型を冷却してポリマースキンを形成するステップと、この型からポリマースキンを取り外すステップと、を具える。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】
図1は、本発明の実施に基づいた成形型の側面図であり;
【
図2】
図2は、本発明の別の実施例を示す
図1に類似の図であり;
【
図3】
図3は、本発明の別の実施例を示す
図2に類似の図であり;
【
図5】
図5は、本発明の一実施例を製造する代表的な技法を示すフローチャートであり;
【
図6】
図6は、本発明の更に別の実施例の製品を示すフローチャートであり;
【
図7】
図7は、本発明のまた更に別の実施例を示す
図6に類似の図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明の詳細な実施態様を必要に応じて本明細書に開示したが、開示された実施態様は、種々の及び代替の形態で具現化した本発明の単なる代表例にすぎない。これらの形状は、縮尺が必ずしも正しいものでなく、いくつかの特徴を誇張又は最小化して、特定の構成要素の詳細を示した。従って本明細書に開示された特定の構造的、機能的な詳細を限定的に解釈するべきではなく、当業者が本発明を使用する教示を表現する基礎としてさまざまに解釈すべきである。
【0050】
実施例を除き、又は明示的に示さない限りは、反応及び/又は使用の材料又は状態の量を示す詳細な説明の全ての数量は、最も広い本発明の範囲を表す用語「約」により修正されると理解すべきである。
【0051】
特定の構成要素及び/又は条件は、変化するので、本発明は、特定の実施態様と以下に記載する方法に限定されるものではないことも理解されるべきである。更に、本明細書で用いる専門用語は、特定の態様又は本発明の実施態様を説明する目的でのみ使用するものであり、決して限定することを意図するものではない。
【0052】
明細書と添付の特許請求の範囲で使用する単数形「一の」や「その」は、文脈が明らかに他のものを示さない限り、複数の事象を含む。例えば、単数形における構成要素は、複数の構成要素を含むことを意図する。
【0053】
この出願を通して、文献が参照され、全体としてこれらの開示が参照により本発明に組み込まれたことより、本発明に付随する最先端の技術をより完全に記載した。
【0054】
図1に関して、少なくとも一実施態様では、本発明は、スラッシュ成形型10を提供する。スラッシュ成形型10は、ボディ部分12と金型上面部分14を有する。少なくとも一実施態様では、金型上面部分14は、16として概略的に示すシボ構造を有する。成形型10は、任意の適切なスラッシュ成形プロセスで使用可能である。
【0055】
特定の実施態様では、このシボ16は、5乃至1,000ミクロンの深さ又は凸凹を有し、別の実施態様では、50乃至600ミクロンであり、更に別の実施態様では、100乃至400ミクロンである。成形型10は、任意の適切な厚さを有してもよいが、特定の実施例では、この成形型10は、厚さの大部分を占めるボディ部分12を含めて平均3乃至10mmの厚さを有し、別の実施例では、3.5乃至4.5mmの厚さを有する。一実施例では、成形型10は、実質的に均一な厚さを有する。ここで均一とは、この型の部分が、この型の任意の他の部分と0.1mmを超える、異なる厚さを有しないことを意味する。特定の実施例では、金型上面部分14は、0.002乃至1.5mm、別の実施例では、0.2乃至1.0mm、及び更に別の実施例では、0.4乃至0.6mmの厚さを有する。
【0056】
図1に示す型10は、比較的特有の形状を有することを概略的に説明したものであるが、
図1の型10の形状は、図示するためだけのものであることを理解すべきであり、決して本発明に従った形状又は形式の成形型の側面又は形状を限定して解釈すべきではない。
【0057】
これに関連して、本発明の成形型10を使用して、任意の適切な形状又はサイズの自動車部品を製造することがある。本発明の型により製造する適切な部品のいくつかの例は、インストルメントパネル、ドアパネル、コンソール、及び天井材や座席など他の部品を含むが、これらに限定されるものではない。本発明の型で成形する代表的な部品は、PVC又はポリウレタンなどのその他の適切なポリマー材料であり、0.5乃至3mmの厚さを有し、2インチ乃至8フィートの長さと幅を有する。いくつかの実施例では、この成形される部品は、2乃至6フィートの長さ及び/又は幅を有することがある。
【0058】
この成形型10は、成形プロセス温度範囲で熱膨張係数(低CTE)の低い材料でできている。少なくとも一実施例では、この成形材料は、100°乃至500°Fの温度でわずか5×10
−6in/in/°Fの熱膨張係数を有する鉄ニッケル系合金を具える。他の実施例では、鉄ニッケル系合金は、100°乃至500°Fの温度で0.1×10
−6乃至4.0×10
−6in/in/°F、他の実施例では、100°乃至500°Fの温度で0.25×10
−6乃至2.5×10
−6in/in/°F、更に他の実施例では、100°乃至500°Fの温度で0.5×10
−6乃至1.5×10
−6in/in/°Fの熱膨張係数を有する。少なくとも一実施例では、鉄ニッケル系合金は、ASTM試験方法No.E−384による測定では、少なくとも100HVのビッカーズ硬度を有する。他の実施例では、鉄ニッケル系合金は、ASTM試験方法No.E−384による測定によると、200HV乃至350HV、他の実施例では、200乃至325HV、及び更なる他の実施例では、250乃至300HVのビッカーズ硬度を有する。
【0059】
得られる型が、100°乃至500°Fの温度でわずか5×10
−6in/in/°Fの熱膨張係数を有し、少なくとも100のベッカーズ硬度を有するならば、任意の適切な材料をこの成形型を製造するのに用いてもよいが、特に適切な材料は、鉄ニッケル系合金を含有する。一実施例では、この鉄ニッケル系合金は、以下の組成を有する:
【0060】
その他の実施態様では、鉄ニッケル系合金は、以下の重量パーセントを有する。
【0061】
更に別の実施態様では、鉄ニッケル系合金は、以下の重量パーセントを有する。
【0062】
上記した特性を有する任意の適切な鉄ニッケル系合金を使用することができるが、少なくとも一実施例において、Invar(登録商標)が、特に適していることが知られている。更に、Invar(登録商標)No.36とSuper Invar(登録商標)が、特に適しており、ペンシルベニア州、ワイオミッシングのCarpenter companyより入手可能であることが知られている。
【0063】
その他の実施態様の
図2を参照すると、成形型20は、ボディ部分22と金型上面部分24を有して提供される。ボディ部分22は、
図1関連して記載されるボディ部分12と同じような組成と特性を有する。少なくとも一実施例では、金型上面部分24は、26で概略的に示すようなシボを有する。特定の実施態様では、このシボ26は、5乃至1,000ミクロン、別の実施態様では、50乃至600ミクロン、及び更に別の実施態様では、100乃至400ミクロンの深さ又は凸凹を有する。成形型20は、任意の適切な厚さを有することができるが、特定の実施態様では、この成形型20は、厚さの大部分を占めるボディ部分を含めて平均3乃至10mmの厚さを有し、別の実施例では、3.5乃至4.5mmの厚さを有する。一実施態様では、成形型20は、実質的に均一な厚さを有する。ここで均一とは、この型の部分が、この型の任意の他の部分と0.1mmを超える、異なる厚さを有しないことを意味する。特定の実施態様では、金型上面部分24は、0.002乃至1.5mm、別の実施態様では、0.2乃至1.0mm、及び更に別の実施態様では、0.4乃至0.6mmの厚さを有する。
【0064】
図2に示す実施態様では、金型上面部分24は成形型20のボディ部分22の硬度より高い硬度を有する。この実施態様では、ボディ部分22は、ASTM試験方法No.E−384による測定によると、100乃至350のビッカーズ硬度及びASTM試験方法No.E−384による測定によると、上面部分24は、350乃至2,000HKの範囲の微小硬さ、更に別の実施態様では400乃至1,500HK、更に別の実施態様では600乃至1,000HK、及び更に別の実施態様では700乃至900HKの微小硬さを有する。金型上面部分24を表面処理することにより硬度が増大した金型上面部分24を提供する場合がある。金型上面24は、表面を硬化したケースとも見なされる。
【0065】
金型表面部分24を、イオン窒化処理により表面を硬化してもよい。イオン窒化処理は、一般的にこの技術の分野で知られているので、本明細書では詳しい説明をしない。一般的に、この型は、イオン窒化プロセスにさらされて所望の上面部分24の硬度が提供される。一般に、型20を加熱して、窒素を導入したチャンバに入れる。型20上で電圧をバイアスし、この型への窒素粒子の速度を速める。窒素粒子が、型20のアルミニウム、クロム、ジルコニウム、シリコン、又はチタンにぶつかると、窒素は、これらの元素と反応して型20の表面で、それぞれ窒化アルミニウム、窒化クロム、窒化ジルコニウム、シリコン窒化物、又は窒化チタンを形成する。窒化アルミニウム、窒化クロム、窒化ジルコニウム、シリコン窒化物、又は窒化チタンは、ボディ部分22の残りを形成する鉄ニッケル系合金よりも高い硬度を有する。
【0066】
イオン窒化処理が、例えば、ボディに最大1.5mm、型のボディに窒化物形成を広げ又は拡散させることを理解すべきである。一般に、型の最も固い部分が型20の金型上面24にちょうどくるように、硬化深さがボディ部分22に更に広がるので、型20の窒化部分の硬度が減少する。これに関連して、型20の金型上面部分24の微小硬さについて述べるときは、測定を金型上面で行い、成形型の完全に窒化処理された部分は、その上面として必ずしも同じ硬度を有さず、従って、そのようなものとして本発明と特許請求の範囲は、制限されるものではないと理解されるべきである。窒化処理の分野で経験を積んだ者が、窒化処理時に炭素など他の元素を組み込んで、チタン炭窒化物(TiCN)及びシリコンカーバイト(SiC)などの窒化物材料を製造することがあることは理解されるべきである。いくつかの実施例では、金型上面ではなく、ボディの表面の相当部分又は全体を窒化処理するプロセスを施して、ボディ表面の相当部分又は全体を硬化させた。
【0067】
一実施態様では、鉄ニッケル系合金は、例えばアルミニウム、クロム、ジルコニウム、シリコン、及び/又はチタンなど高いレベルの窒化元素を有するので、この型に更により硬い表面を提供する。この実施態様では、鉄ニッケル系合金は、以下の組成を有する:
【0068】
更に別の実施態様では、この鉄ニッケル系合金は、以下の組成を有する:
【0069】
更に別の実施態様では、この鉄ニッケル系合金は、以下の組成を有する:
【0070】
更に別の実施態様では、この鉄ニッケル系合金は、以下の組成を有する:
【0071】
他の実施態様では、イオン窒化処理の前に選択的な前処理ステップをして、この成形型の表面領域のアルミニウム量を増大させることがある。この実施態様では、イオン窒化処理の前に、成形型20をアルミニウム処理することがある。アルミニウム処理はよく知られているので、一般に本明細書で記載する。一般的に、アルミニウム処理は、アルミニウム蒸気がベースの金属の表面に拡散し、新しい金属的アルミニウム処理した合金を形成する、高温度の化学的プロセスである。表面に形成されるアルミニウム合金は、最大20%のアルミニウムを含むことがある。また、溶融めっきによりアルミニウム処理を行うことがある。任意の適切な方法で、この型をアルミニウム処理するが、一実施態様では、型の表面に関して、この型をアルミニウムの蒸気拡散にさらす。アルミニウムプロセスを用いて窒化処理に利用できるアルミニウムの量を増やすと、得られたイオン窒化処理された型20は、同様に処理したもののアルミニウム量がより少ないものより高い表面硬度を有する。これらの実施例では、この表面硬度は、500乃至2,000HKであり、別の実施態様では、600乃至1,500HK及び更に別の実施態様では、700乃至1,000HKである。
【0072】
図3に関して、型30は、コーティングを有して提供される。型30が、表面処理されず、代わりに金型上面上に沈着した表面コーティング34を有して、新しい型の上面を製造する点で、この実施態様は、
図2について記載し、説明した実施態様と異なる。例えば、
図3のボディ32の特徴は、
図2のボディ22の特徴に類似する。一般的に、表面コーティング34を施すと、表面を硬化又は拡散硬化したものよりこのシボ36は深くなる。この場合には、表面のシボ構造は、少なくとも200ミクロンである。
図3に説明した実施態様では、コーティング34は、0.1乃至25ミクロンの厚さを有し、別の実施態様では、0.5乃至12ミクロン、別の実施態様では、1乃至5ミクロン、及び更に別の実施態様では、3乃至4ミクロンの厚さを有する。成形型30は任意の適切な厚さを有してよいが、厚さの大部分を占めるボディ部分32を含めて、この成形型30は、特定の実施態様では、平均3乃至10mm、別の実施態様では、3.5乃至4.5mmの厚さを有する。一実施態様では、成形型30は、実質的に均一な厚さを有する。ここで均一とは、この型の任意の他の部分と0.1mmを超える、異なる厚さをこの型の部分が有しないことを意味する。
【0073】
コーティング34は、任意の適切なコーティングでよく、得られるコーティングが、350乃至9,000HK、更に別の実施態様では、500乃至4,000HK、更に別の実施態様では、600乃至2,000HK、及び更に別の実施態様では、700乃至1,500HKの微小硬さを有するような任意の適切方法が施される。コーティング34は、電気めっき、無電解めっき、物理蒸着(PVD)、又は化学蒸着(CVD)などの任意の適切なプロセスで施されてもよい。任意の適切なコーティングを施してもよいが、適切なコーティングの例としては、窒化アルミニウム、窒化ジルコニウム、シリコン窒化物、窒化チタン、及び窒化クロムが挙げられる。表面コーティング34は、金属の他にセラミック、高温ポリマー、又はこれらのコーティングの組み合わせでもよい。ニッケル、クロム、チタン、アルミニウム、及びその他の金属若しくは合金を含む金属コーティング及びセラミックコーティングをシェル並びに改善された金型の放出特性を保護及び密封するのに用いる。電気めっきなどの特定のコーティングは、1から500ミクロンまで、別の実施態様では、5から200ミクロンまで、及び更に別の実施態様では、10乃至100ミクロンの厚さの範囲である。
【0074】
図4Aに関しては、成形型40は、シェル42を具えて提供され、このシェルは、概略的に説明される補強要素52と、48で概略的に説明するように、そこに切り欠かれるか、はめ込まれた一般的に矩形状の加熱/冷却要素を有する。しかし、加熱/冷却要素48は、任意の適切な形状を有してもよいことを理解すべきである。
【0075】
図4Bに関しては、
図1に関して、示して記載した成形型に類似する成形型41を提供する。この成形型41は、シェル43を具え、このシェルは、49で概略的に説明するように、そこに切り欠かれるか、はめ込まれた一般的に円形状の加熱/冷却要素を有する。しかし、加熱/冷却要素49は、任意の適切な形状を有することがあることを理解すべきである。
【0076】
効率を高めるために、加熱及び冷却に関するチャネル、溝、及びフィンなど、温度を制御する要素を、金型にはめ込む形成過程中で、金型に組み込む(
図4B)か、金型を形成した後に、機械加工、溶接、はんだ付け、又はろう付けにより要素をシェルの裏に組み込む(
図4A)場合がある。
【0077】
図5に関して、成形型を製造する実施態様を説明する。鉄ニッケル合金の塊60を用意する。次いで、この合金を機械加工するか又は型70に流し込む。任意の適切な成形技術を用いてもよいが、二つの適切な技術は、CNCカッティングと放電加工(EDM)である。CNCカッティングは、広く知られており、一般的に金属を切断して所望の形状及び構造にするステップを具える。CNC EDMも広く知られており、一般的に、放電を伴って焼き払うことにより金属を除去するステップを具える。
【0078】
その他の成型金を製造する技術は、金属をニアネットシェイプに流し込むことである。流し込んだ後、CNC機械加工を用いてこの型の形状を修正し、所望の構造及びサイズにする。この型を成形した後に、任意の焼き鈍しステップ72を行う。任意の焼き鈍し後、材料のCTEは、安定し又は改善する。
【0079】
最後に、金型上面にシボを施す。このシボは、酸エッチング、レーザーエッチング、又は機械的エッチングなどによる任意の適切な方法で施すことがある。シボは、5乃至1,000ミクロンの深さを有し、別の実施態様では、50乃至600ミクロン、更に別の実施態様では、100乃至400ミクロンの深さを有する。
【0080】
図6に関して、型10を形成した後に、表面を窒化処理又はアルミニウム処理した後に窒化処理をする上記の表面処理する。
【0081】
図7に関して、型10を製造した後に上記のコーティングをする。
【0082】
代表的な実施態様を上記したが、これらの実施態様は、本発明の可能な形態の全ての記載を意図したものではない。むしろ、明細書で用いた用語は、制限というより説明の用語であり、本発明の精神及び範囲を逸脱することなくさまざまに変化することが、理解されるであろう。更に、さまざまな実施態様の特徴を組み合わせて更なる本発明の実施態様を形成する。