特許第5748166号(P5748166)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5748166
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】変換単位分割の残差ツリー構造
(51)【国際特許分類】
   H04N 19/122 20140101AFI20150625BHJP
   H04N 19/18 20140101ALI20150625BHJP
   H04N 19/96 20140101ALI20150625BHJP
【FI】
   H04N19/122
   H04N19/18
   H04N19/96
【請求項の数】17
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-524164(P2014-524164)
(86)(22)【出願日】2012年8月8日
(65)【公表番号】特表2014-526207(P2014-526207A)
(43)【公表日】2014年10月2日
(86)【国際出願番号】US2012050042
(87)【国際公開番号】WO2013023005
(87)【国際公開日】20130214
【審査請求日】2014年1月31日
(31)【優先権主張番号】61/515,978
(32)【優先日】2011年8月8日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/570,098
(32)【優先日】2012年8月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510284071
【氏名又は名称】モトローラ モビリティ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】MOTOROLA MOBILITY LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ワン、リミン
(72)【発明者】
【氏名】ファン、シュエ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジェ フン
(72)【発明者】
【氏名】クン、ウェイ−イン
(72)【発明者】
【氏名】パヌソポーン、クリット
【審査官】 久保 光宏
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/087295(WO,A2)
【文献】 特表2013−534391(JP,A)
【文献】 Krit Panusopone, et.al.,"Efficient Transform Unit Representation",[online],Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG16 WP3 and ISO/IEC JTC1/SC29/WG11,2011年 1月,Document: JCTVC-D250(version 1),[平成26年10月23日検索],インターネット,URL,http://phenix.int-evry.fr/jct/doc_end_user/documents/4_Daegu/wg11/JCTVC-D250-v1.zip
【文献】 Yuan Yuan,et.al.,"Asymmetric motion partition with OBMC and Non-Square TU",[online],Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG16 WP3 and ISO/IEC JTC1/SC29/WG11,2011年 3月,Document: JCTVC-E376(version 4),[平成26年10月23日検索],インターネット,URL,http://phenix.int-evry.fr/jct/doc_end_user/documents/5_Geneva/wg11/JCTVC-E376-v4.zip
【文献】 Xiaozhen Zheng, et.al.,"Core Experiment 2: Motion Partitioning and OBMC",[online],Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG16 WP3 and ISO/IEC JTC1/SC29/WG11,2011年 3月,Document: JCTVC-E702(version 1),[平成26年10月23日検索],インターネット,URL,http://phenix.int-evry.fr/jct/doc_end_user/documents/5_Geneva/wg11/JCTVC-E702-v1.zip
【文献】 Liwei Guo, et.al.,"CE2: Asymmetric Motion Partition, Non-Square Quadtree Transform and Overlapped Block Motion Compensation",[online],Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG16 WP3 and ISO/IEC JTC1/SC29/WG11,2011年 7月,Document: JCTVC-F582(version 1),[平成26年10月23日検索],インターネット,URL,http://phenix.int-evry.fr/jct/doc_end_user/documents/6_Torino/wg11/JCTVC-F582-v1.zip
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N19/00−19/98,
CSDB(日本国特許庁)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンコーダを備える計算装置が、ビデオコンテンツの符号化単位(CU)の予測単位(PU)を受け取る工程であって、前記PUは、複数のPU分割型に分割可能である工程と、
前記計算装置が、前記PUのPU分割型を決定する工程と、
前記計算装置が、前記CUの変換単位(TU)への分割のための前記PU分割型に基づいて残差ツリー構造を決定する工程であって、残差ツリー構造は少なくとも3つのレベルを含む複数のレベルを含み、レベルの増加毎に該増加の前のレベルからのさらなる分割を含み、前記分割は、ノード2個のTUへ分かれる二元分割を含む、工程と、
前記計算装置が、前記残差ツリー構造および前記残差ツリー構造中の前記複数のレベルのうちの所望レベルに基づいて前記PU分割型のTU分割を決定する工程と、
前記計算装置が、前記TU分割を使用して変換演算を行う工程と
前記計算装置が、前記エンコーダからデコーダに前記所望レベルを伝える工程と、を備える方法。
【請求項2】
前記PU分割型は、
記残差ツリー構造中のレベルにおいて2N×2Nノード2N×Nの2個のノードに分かれる、2N×N PU分割型と
記残差ツリー構造中のレベルにおいて2N×2NノードN×2Nの2個のノードに分かれる、N×2N PU分割型とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記PU分割型は、
記残差ツリー構造中のレベルにおいて2N×Nノード2N×0.5Nの2個のノードに分かれる、2N×0.5N PU分割型と
記残差ツリー構造中のレベルにおいてN×2Nノード0.5N×2Nの2個のノードに分かれる0.5N×2N PU分割型とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記PU分割型は、
記残差ツリー構造中のレベルにおいて2N×2Nノード2N×0.5Nの第1ノードおよび2N×l.5Nの第2ノードに分かれる2N×0.5N PU分割型と
記残差ツリー構造中のレベルにおいて2N×2Nノード0.5N×2Nの第1ノードおよび1.5N×0.5Nの第2ノードに分かれる0.5N×2N PU分割型とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記計算装置が分割に前記残差ツリー構造のデフォルトの深さ使用する場合、各PU分割型は固定の所望レベルを有する請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記残差ツリー構造がTUの前記二元分割およびTUの四分木分割で分岐するノードを含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
1つ以上のコンピュータ・プロセッサと、
命令を含む非一時的なコンピュータ読取可能記憶媒体とを備える装置であって、
記1つ以上のコンピュータ・プロセッサは、前記命令の実行
ビデオコンテンツの符号化単位(CU)の予測単位(PU)を受け取る工程であって、前記PUは、複数のPU分割型に分割可能である工程と、
前記PUのPU分割型を決定する工程と、
前記CUの変換単位(TU)への分割のための前記PU分割型に基づいて残差ツリー構造を決定する工程であって、残差ツリー構造は少なくとも3つのレベルを含む複数のレベルを含み、レベルの増加毎に該増加の前のレベルからのさらなる分割を含み、前記分割は、ノード2個のTUへ分かれる二元分割を含む、工程と、
前記残差ツリー構造および前記残差ツリー構造中の前記複数のレベルのうちの所望レベルに基づいて前記PU分割型のTU分割を決定する工程と、
前記TU分割を使用して変換演算を行う工程と
を行うべく構成されており、
前記1つ以上のコンピュータ・プロセッサはエンコーダを実装し、該エンコーダは該エンコーダからデコーダに前記所望レベルを伝えるように構成されている、装置。
【請求項8】
前記PU分割型は、
記残差ツリー構造中のレベルにおいて2N×2Nノード2N×Nの2個のノードに分かれる、2N×N PU分割型と
記残差ツリー構造中のレベルにおいて2N×2NノードN×2Nの2個のノードに分かれる、N×2N PU分割型とを含む、請求項に記載の装置。
【請求項9】
前記PU分割型は、
記残差ツリー構造中のレベルにおいて2N×Nノード2N×0.5Nの2個のノードに分かれる、2N×0.5N PU分割型と
記残差ツリー構造中のレベルにおいてN×2Nノード0.5N×2Nの2個のノードに分かれる、0.5N×2N PU分割型とを含む、請求項に記載の装置。
【請求項10】
前記PU分割型は、
記残差ツリー構造中のレベルにおいて2N×2Nノード2N×0.5Nの第1ノードおよび2N×l.5Nの第2ノードに分かれる、2N×0.5N PU分割型と
記残差ツリー構造中のレベルにおいて2N×2Nノード0.5N×2Nの第1ノードおよび1.5N×0.5Nの第2ノードに分かれる、0.5N×2N PU分割型とを含む、請求項に記載の装置。
【請求項11】
前記1つ以上のコンピュータ・プロセッサが分割に前記残差ツリー構造のデフォルトの深さ使用する場合、各PU分割型は固定の所望レベルを有する請求項に記載の装置。
【請求項12】
前記残差ツリー構造がTUの前記二元分割およびTUの四分木分割で分岐するノードを含む請求項に記載の装置。
【請求項13】
計算装置が、符号化されたビデオコンテンツのビットストリームを受け取る工程と、
前記計算装置が、前記ビデオコンテンツの符号化単位(CU)の予測単位(PU)のPU分割型を決定する工程であって、前記PUは、複数のPU分割型に分割可能である工程と、
前記計算装置が、前記CUの変換単位(TU)への分割のための前記PU分割型に基づいて残差ツリー構造を決定する工程であって、残差ツリー構造は少なくとも3つのレベルを含む複数のレベルを含み、レベルの増加毎に該増加の前のレベルからのさらなる分割を含み、前記分割は、ノード2個のTUへ分かれる二元分割を含む工程と、
前記計算装置が、前記残差ツリー構造および前記残差ツリー構造中の前記複数のレベルのうちの所望レベルに基づいて前記PU分割型のTU分割を決定する工程であって、前記所望レベルは前記計算装置がエンコーダから受け取る工程と、
前記ビデオコンテンツを復号する際前記TU分割を使用して逆変換演算を行う工程とを備える方法。
【請求項14】
前記PU分割型は、
記残差ツリー構造中のレベルにおいて2N×2Nノード2N×Nの2個のノードに分かれる、2N×N PU分割型と
記残差ツリー構造中のレベルにおいて2N×2NノードN×2Nの2個のノードに分かれる、N×2N PU分割型とを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記PU分割型は、
記残差ツリー構造中のレベルにおいて2N×Nノード2N×0.5Nの2個のノードに分かれる、2N×0.5N PU分割型と
記残差ツリー構造中のレベルにおいてN×2Nノード0.5N×2Nの2個のノードに分かれる、0.5N×2N PU分割型とを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記PU分割型は、
記残差ツリー構造中のレベルにおいて2N×2Nノード2N×0.5Nの第1ノードおよび2N×l.5Nの第2ノードに分かれる、2N×0.5N PU分割型と
記残差ツリー構造中のレベルにおいて2N×2Nノード0.5N×2Nの第1ノードおよび1.5N×0.5Nの第2ノードに分かれる、0.5N×2N PU分割型とを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
つ以上のコンピュータ・プロセッサと、
命令を含む非一時的なコンピュータ読取可能記憶媒体とを備える装置であって
記1つ以上のコンピュータ・プロセッサは、前記命令の実行
符号化されたビデオコンテンツのビットストリームを受け取る工程と、
前記ビデオコンテンツの符号化単位(CU)の予測単位(PU)のPU分割型を決定する工程であって、前記PUは、複数のPU分割型に分割可能である工程と、
前記CUの変換単位(TU)への分割のための前記PU分割型に基づいて残差ツリー構造を決定する工程であって、残差ツリー構造は少なくとも3つのレベルを含む複数のレベルを含み、レベルの増加毎に該増加の前のレベルからのさらなる分割を含み、前記分割は、ノード2個のTUへ分かれる二元分割を含む工程と、
記残差ツリー構造中の前記複数のレベルのうちの所望レベルをエンコーダから受け取り、前記残差ツリー構造および前記所望レベルに基づいて前記PU分割型のTU分割を決定する工程と、
前記ビデオコンテンツ復号する前記TU分割を使用して逆変換演算を行う工程と
を行うべく構成されている、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変換単位分割の残差ツリー構造に関する。
【背景技術】
【0002】
映像圧縮システムは、圧縮操作の大部分についてブロック処理を使用する。ブロックは、隣接する複数のピクセルからなるグループであり、圧縮操作に関して1つの符号化単位として取り扱うことができる。理論的には、直に隣接するピクセル同士の間の相関を利用するために、より大きな符号化単位が好ましい。種々の映像圧縮規格、たとえば、動画の圧縮・伸長規格(MPEG:Motion Picture Expert Group)(MPEG)−1、(MPEG)−2、(MPEG)−4は、4×4、8×8、および16×16(マクロブロック(MB)と呼ばれる)のブロック・サイズを使用している。これらの規格は、一般的にマクロブロックにおいて固定変換サイズ(たとえば、4×4または8×8)を使用する。しかし、複数の変換サイズを使用する場合、どの変換サイズを使用するか指示するためにマクロブロック・レベル・パラメータが必要になる。このパラメータを含めることは、マクロブロック・レベル・パラメータを符号化する必要があるので、オーバーヘッドを増大させる。
【0003】
HEVC(high efficiency video coding)もブロック式ハイブリッド空間・時間予測符号化方式である。HEVCは、入力画像を図1に示す最大符号化単位(LCU:largest coding unit)と呼ばれる方形ブロックに分割する。各LCUは、符号化単位(CU:coding unit)と呼ばれるより小さい方形ブロックに分割することができる。図2にCUのLCU分割の例を示す。LCU100は、まず4個のCU102に分割される。各CU102も、さらに4個のより小さいCU102(その大きさはCU102の1/4である)に分割できる。この分割プロセスは、CUを分割できる回数に対する制限を課するような一定の基準に基づいて繰り返すことができる。図示したように、CU102−1、102−3、および102−4は、LCU100の大きさの1/4である。さらにCU102−2は、4個のCU、102−5、102−6、102−7、および102−8に分割されている。
【0004】
四分木データ表現は、LCU100のCU102への分割状況を記述するために使用される。図3は、図1aに示されているLCU分割の四分木104を示している。四分木104の各ノードには、このノードがさらに4個のサブノードに分割される場合には、“1”のフラグを割り当て、このノードが分割されない場合には、“0”を割り当てる。このフラグは、分割ビット(たとえば1)またはストップ・ビット(たとえば0)を呼ばれ、圧縮ビットストリーム中に符号化される。
【0005】
ノード106−1は、LCU100が4個のCUに分割されるので、上端CUレベルにフラグ“1”を含む。中間CUレベルでは、これらのフラグは、CU102がさらに4個のCUに分割されるか否かを指示する。この場合、ノード106−3は、CU102−2が4個のCU102−5〜102−8に分割されているので、フラグ“1”を含んでいる。ノード106−2、106−4、および106−5は、これらのCU102が分割されないので、フラグ“0”を含んでいる。ノード106−6、106−7、106−8、および106−9は、下端CUレベルにあり、したがってこれらのノードには“0”または“1”のフラグ・ビットは不要である。対応するCU102−5〜102−8が分割されないからである。図3に示した四分木104の四分木データ表現は、2進データ“10100”により表すことができる。この場合、各ビットは、四分木104のノード106を表す。この2進データは、エンコーダおよびデコーダに対しLCU分割を指示する。この2進データは、符号化され、かつ、オーバーヘッドとして送出される必要がある。
【0006】
HEVCは、方形または非方形のブロック変換を使用する。各CU102は、1個以上の予測単位(PU)を含むことができる。PUを使用して空間的予測または時間的予測を行うことができる。
【0007】
図4は、PUのCU分割の例を示す。図示のように、CU102は、4個のPU、202−1〜202−4に分割されている。8×8または4×4のただ1つの変換がマクロブロックに適用される先行規格と異なり、異なるサイズの一連のブロック変換をCU102に適用できる。たとえば図4に示したPU202のCU分割は、図5に示した一連の変換単位(TU:transform unit)204と関係づけることができる。図5において、PU202−1は、4個のTU204−5〜204−8に分割される。また、TU204−2、204−3、および204−4は、対応するPU202−2〜202−4と同じサイズである。CU内の各ブロック変換のサイズおよび位置は変わり得るので、TU分割を記述するために残差四分木(RQT:residual quadtree)と呼ばれるもう1つの四分木データ表現が必要である。図6は、RQTの例を示す。RQTは、LCU分割に関する四分木104について説明した方法と同様な方法で導き出される。たとえば、CU102が2個を超えるTU204に分割される場合、RQTの各ノードは、“1”のフラグを含み得る。ノード206−1は、“1”のフラグを含む。CU102が4個のTU204に分割されるからである。また、ノード206−2は、“1”のフラグを有する。TU204−1が4個のTU204−5〜204−8に分割されるからである。その他のすべてのノード206は、“0”のフラグを有する。TU204−2、204−3、および204−4は分割されないからである。RQTデータ表現における“11000”の2進データも符号化され、オーバーヘッドとして送出される必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
RQTは、各ノードを別の4個のノードに分岐する。TUが分割される場合には常に、TUは4個のTUに分割される。これは四分木表現を必要とし、それは、分割される各ノードについて4本の枝を含む。4本の枝を有することは、符号化して送出しなければならないデータの量を増大させる。さらに、4個のTUへの分割では、運動情報を効率的に表現できないことがある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つの実施形態では、1つの方法は、ビデオコンテンツの符号化単位(CU)の予測単位(PU)を受け取る工程を含む。PUは、複数のPU分割型に分割できる。この方法は、CUの変換単位(TU)への分割のためのPU分割型に基づいてPUのPU分割型および残差ツリー構造を決定する。残差ツリーは、ノードの2個のTUへの二元分割を含む。PU分割型のTU分割は、残差ツリー構造および残差ツリー構造中の分割の所望レベルに基づいて決定される。この方法は、次に変換操作においてTU分割を使用する。
【0010】
1つの実施形態では、1つ以上のコンピュータ・プロセッサと、実行される場合に1つ以上のコンピュータ・プロセッサを制御する命令を含むコンピュータ読取可能記憶媒体とを含む装置が提供される。これらのコンピュータ・プロセッサは、以下を行うように構成される:ビデオコンテンツの符号化単位(CU)の予測単位(PU)を受け取ること(この場合、PUは、複数のPU分割型に分割可能である)、PUのPU分割型を決定すること、CUの変換単位(TU)への分割に関するPU分割型に基づいて残差ツリー構造を決定すること(この残差ツリーは、ノードの2個のTUへの二元分割を含む)、残差ツリー構造および残差ツリー構造における所望の分割レベルに基づいてPU分割型のTU分割を決定すること、および変換操作においてTU分割を使用すること。
【0011】
1つの実施形態では、ビデオコンテンツを復号する1つの方法を提供する。この方法は、以下の工程を含む:符号化されたビデオコンテンツのビットストリームを受け取る工程、計算装置により、ビデオコンテンツの符号化単位(CU)に関する予測単位(PU)のPU分割型を決定する工程(この場合、PUは、複数のPU分割型に分割可能である)、計算装置により、CUの変換単位(TU)への分割に関するPU分割型に基づいて残差ツリー構造を決定する工程(この残差ツリーは、ノードの2個のTUへの二元分割を含んでいる)、計算装置により、残差ツリー構造および残差ツリー構造中の所望の分割レベルに基づいてPU分割型のTU分割を決定する工程、およびビデオコンテンツの復号に際する変換操作においてTU分割を使用する工程。
【0012】
1つの実施形態では、ビデオコンテンツを復号するように構成される装置を提供する。この装置は、1つ以上のコンピュータ・プロセッサと、命令を含む非一時的なコンピュータ読取可能記憶媒体とを含む。この命令は、1つ以上のコンピュータ・プロセッサにより実行される場合、以下を行うべく構成されるように1つ以上のコンピュータ・プロセッサを制御する:符号化されたビデオコンテンツのビットストリームを受け取ること、ビデオコンテンツの符号化単位(CU)に関する予測単位(PU)のPU分割型を決定すること(この場合、PUは、複数のPU分割型に分割可能である)、CUの変換単位(TU)への分割に関するPU分割型に基づいて残差ツリー構造を決定すること(残差ツリーは、ノードへの2個のTUへの二元分割を含んでいる)、残差ツリー構造および残差ツリー構造における所望の分割レベルに基づいてPU分割型のTU分割を決定すること、およびビデオコンテンツの復号に際する変換操作においてTU分割を使用すること。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】最大符号化単位(LCU)の一例を示す図。
図2】LCU分割の一例を示す図。
図3図2に示したLCU分割の四分木を示す図。
図4】PUのCU分割の一例を示す図。
図5】一連の変換単位(TU)のPU分割を示す図。
図6】RQTの一例を示す図。
図7】1つの実施形態に従ってビデオコンテンツを符号化および復号するシステムの一例を示す図。
図8】1つの実施形態による2N×2NのCUに関する5つの可能なPU分割を示す図。
図9】1つの実施形態による残差ツリーに関する可能なPU分割の第1例を示す図。
図10】1つの実施形態による残差ツリー構造の第2例を示す図。
図11】1つの実施形態による残差ツリー構造の第3例を示す図。
図12】1つの実施形態による可能なPU分割の第4例を示す図。
図13】1つの実施形態による信号授受を示すエンコーダおよびデコーダのより詳しい例示である図。
図14】1つの実施形態によるTU分割を決定する方法の簡略化フローチャート。
図15】1つの実施形態によるデコーダにおけるTU分割を決定するための簡略化フローチャート。
図16A】1つの実施形態によるエンコーダの一例を示す図。
図16B】1つの実施形態によるデコーダの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
個々の実施形態の性質および長所のより詳しい理解のために、以下の詳細記述および添付図面を提供する。
本出願において記述するのは、映像圧縮システムの技術である。以下の記述においては、説明を目的として、多数の例および具体的な詳細により具体的な実施形態の完全な理解を得ることを期する。請求項により規定される具体的な実施形態は、これらの例のみにより、または以下に記述するその他の特徴との組み合わせにより、特徴のすべてまたは一部を含み得、また、さらに本出願において記述する特徴および概念の変形形態および均等物を含み得る。
【0015】
図7は、1つの実施形態によるビデオコンテンツの符号化および復号のためのシステム700の例を示す。システム700は、エンコーダ702およびデコーダ704を含んでいる。これらの両方について以下においてより詳しく説明する。
【0016】
エンコーダ702およびデコーダ704は、それぞれ、残差ツリー構造管理部706−1および706−2を含んでいる。残差ツリー構造管理部706は、残差ツリー(RT)を使用して符号化単位(CU)の可能な変換単位(TU)分割を決定する。1つの実施形態では、残差ツリーは、予測単位(PU)の二元分割を可能にする。変換単位、予測単位、および符号化単位は、種々の名称により言及されるビデオコンテンツの単位とすることができる。二元分割は、PUを2個のTUに分割する。この場合、残差ツリーは、背景技術の項において残差四分木(RQT)に関して述べたように4個のTUへの分岐分割の代わりにノードの二元分岐分割を使用する。また、残差ツリーは、TUを直交分割により分割することができる。たとえば、一部のTUは2個のTUに分割され、また、一部のTUは4個のTUに分割される。
【0017】
図8は、1つの実施形態による2N×2NのCUの5個の可能なPU分割を示している。802では、PUはCUと同じサイズである。804では、CUは2N×Nの2個のPUに分割される。CUは水平に2個の矩形に分割される。806では、CUはN×2Nの2個のPUに分割される。この場合のCUは垂直に2個のPUに分割される。808では、CUは2N×0.5Nの第1のPUおよび2N×l.5Nの第2のPUに分割される。この場合、PUのサイズは異なる。810では、CUは2N×0.5Nの第1のPUおよび2N×l.5Nの第2のPUに分割される。この場合にもPUのサイズは異なる。しかし、CUは垂直に分割される。これらの分割について記述したが、当然のことながらその他の分割も認められる。
【0018】
残差ツリー構造管理部706は、図8に示した分割に基づいてTUの残差ツリー構造を形成する。種々の例について記述するが、その他の例も認められる。
図9は、1つの実施形態による残差ツリーの可能なPU分割の第1の例を示す。902には、種々の可能なPU分割が示されている。図9は、PU分割より下にRTの種々のレベル(LEVEL)を示している。レベルは、行われた分割の量とすることができる。たとえば、レベルの増加ごとに、前のレベルからのさらなる分割が行われる。1つの例では、904において、PUのレベル0の分割が示されている。この場合、すべてのPUは、2N×2NのTUサイズから始まる。
【0019】
906では、RTのレベル1分割が示されている。2N×2N PUについて、906−1において、レベル0の各ノードは4個のノードに分岐され、それぞれ、N×NのTUを表している。
【0020】
906−2において、2N×N PUについて、レベル0の各ノードは2個のノードに分岐され、それぞれ、2N×NのTUを表している。この場合、2N×2N TUは、水平に2個の矩形TUに分割されている。したがって、特定の実施形態は、ノードの二元分岐を提供する。
【0021】
906−3において、N×2N PUについて、レベル0の各ノードは2個のノードに分岐され、それぞれ、N×2NのTUを表している。この場合、PUは垂直に2個の矩形に分割される。これもノードの二元分岐である。
【0022】
906−4において、2N×0.5N PUについて、レベル0の各ノードは4個のノードに分岐され、それぞれ、2N×0.5NのTUを表している。この場合、2N×2N TUは水平に4個のTUに分割される。
【0023】
906−5において、0.5N×2N PUについて、レベル0の各ノードは4個のノードに分岐され、それぞれ0.5N×2NのTUを表す。この場合、2N×2N TUは垂直に4個の矩形TUに分割される。
【0024】
908において、残差ツリーのレベル2分割が示されている。908−1において、2N×2N PUについて、レベル1の各ノードは4個のノードに分岐され、それぞれ0.5N×0.5NのTUを表す。図示されている点線は、1個のTUの4個のTUへの分割を示す。908−1に示されている各TUは、4個のTUに分割することができる。
【0025】
908−2において、2N×N PUについて、レベル1の各ノードは2個のノードに分岐され、それぞれ、2N×0.5N(または908−6に示されているN×N)のTUを表す。908−2の点線により示されているように、1個のTUは水平に2個のTUに分割されている。906−2による別のTUもこのように分割することができる。別の実施形態では、各TUは908−6に示すように2個の方形のTUに分割することができる。
【0026】
908−3において、N×2N PUについて、レベル1の各ノードは2個のノードに分岐され、それぞれ、0.5N×2N(または908−7に示すN×N)のTUを表す。908−2において、点線は、TUが垂直に2個のTUに分割されることを示している。906−3による別のTUも同じ方法により分割することができる。別の実施形態では、908−7において、TUはN×Nの2個の方形のTUに分割することができる。
【0027】
908−4において、2N×0.5N PUについて、レベル1の各ノードは4個のノードに分岐され、それぞれ、N×0.25NのTUを表している。点線により示されているように、1個のTUがN×0.25Nの4個のTUに分割される。906−4による別のTUも同様な方法により分割することができる。
【0028】
908−5において0.5N×2N PUについて、レベル1の各ノードは4個のノードに分岐され、それぞれ、0.25N×NのTUを表している。点線は、TUが4個の0.25N×N TUに分割されることを示している。906−5による別のTUも同様な方法により4個のTUに分割することができる。
【0029】
この分割は、他のレベルへ続けることができる。全部で5個のPU分割について、上のレベルの各ノードは4個のノードに分岐され、それぞれ、水平と垂直の両方に2分割された親TU寸法のTUを表す。
【0030】
1つの例では、残差ツリー構造管理部706は、TU分割を決定するために1の残差ツリー深さのようなデフォルト設定を使用する。たとえば、このデフォルト設定は、904−1l、906−2、906−3、906−4、および906−5に太線で示した5個のTU分割を選択する。この場合、このTU分割は、現在のCU内のすべてのPUに適合できる最大可能TUに等しく設定される。具体的には、以下を使用することができる:
1. 2N×2N PUについて、残差ツリーのレベル0のTU分割が使用され、かつ、
2. 2N×N、N×2N、2N×0.5N、または0.5N×2N PUについて、残差ツリーのレベル1のTU分割が使用される。
特定の実施形態は、別のデフォルト分割を使用することもできる。
【0031】
図10は、1つの実施形態による残差ツリー構造の第2の例を示す。この例では、2N×0.5Nおよび0.5N×2N PUの二元分割の追加レベルを使用する。たとえば、1002において、レベル0のTUは、水平に2N×0.5Nの2個のTUに分割されている。また、1004において、レベル0のTUは垂直に0.5N×2Nの2個のTUに分割される。上記の2つの例は、TUの二元分割を示している。
【0032】
以下は、レベル0、1、2、3、およびその他のレベルの分割の要約である。
1. レベル0
・ 5個の残差ツリーは、すべて、2N×2NのTUから始まる。
2. レベル1
・ PU 2N×2Nについて、レベル0の各ノードは4個のノードに分岐され、それぞれ、N×NのTUを表す。
【0033】
・ PU 2N×Nについて、レベル0の各ノードは2個のノードに分岐され、それぞれ、2N×NのTUを表す。
・ PU N×2Nについて、レベル0の各ノードは2個のノードに分岐され、それぞれ、N×2NのTUを表す。
【0034】
・ PU 2N×0.5Nについて、レベル0の各ノードは2個のノードに分岐され、それぞれ2N×NのTUを表す。
・ PU 0.5N×2Nについて、レベル0の各ノードは2個のノードに分岐され、それぞれN×2NのTUを表す。
3. レベル2
・ PU 2N×2Nについて、レベル1の各ノードは4個のノードに分岐され、それぞれ、0.5N×0.5NのTUを表す。
【0035】
・ PU 2N×Nについて、レベル1の各ノードは2個のノードに分岐され、それぞれ、2N×0.5NのTUを表す。
・ PU N×2Nについて、レベル1の各ノードは2個のノードに分岐され、それぞれ、0.5N×2NのTUを表す。
【0036】
・ PU 2N×0.5Nについて、レベル1の各ノードは2個のノードに分岐され、それぞれ、2N×0.5NのTUを表す。
・ PU 0.5N×2Nについて、レベル1の各ノードは2個のノードに分岐され、それぞれ、0.5N×2NのTUを表す。
4. その他のレベル
・ 5個のPU分割すべてについて、上のレベルの各ノードは4個のノードに分岐され、それぞれ、水平と垂直の両方に2分割された親TU寸法のTUを表す。
【0037】
残差ツリーの深さが1のようなデフォルト値に設定された場合、以下を使用することができる:
1. 2N×2N PUについて、残差ツリーのレベル0のTU分割を使用する。
2. 2N×N PUまたはN×2N PUについて、残差ツリーのレベル1のTU分割を使用する。
3. 2N×.05N PUまたは0.5N×2N PUについて、レベル1の両方のノードが分岐されている残差ツリーのレベル2のTU分割を使用する。
【0038】
図11は、1つの実施形態による残差ツリー構造の第3の例を示す。この例では、レベル1のTUのサイズは、2N×2N PU型を除いてPUのサイズに等しい。たとえば、1102において、2N×N PUについて、レベル0の各ノードは、2個のノードに分岐され、それぞれ、2N×NのTUを表している。1104において、N×2N PUについて、レベル0の各ノードは2個のノードに分岐され、それぞれ、N×2NのTUを表している。1106において、2N×0.5N PUについて、レベル0の各ノードは2個のノードに分岐され、一方は2N×0.5NのTUを表し、他方は2N×l.5NのTUを表している。1108において、0.5N×2N PUについて、レベル0の各ノードは2個のノードに分岐され、一方は0.5N×2NのTUを表し、他方は1.5N×2NのTUを表している。これら4つの場合、残差ツリーは、二元分割を使用してTUを分割する。また、TUのサイズは、PUのサイズに等しい。
【0039】
以下は、レベル0、1、2、およびその他のレベルにおける分割の要約である。
1. レベル0
・ 5個の残差ツリーは、すべて、2N×2NのTUから始まる。
2. レベル1
・ PU 2N×2Nについて、レベル0の各ノードは4個のノードに分岐され、それぞれ、N×NのTUを表す。
【0040】
・ PU 2N×Nについて、レベル0の各ノードは2個のノードに分岐され、それぞれ、2N×NのTUを表す。
・ PU N×2Nについて、レベル0の各ノードは2個のノードに分岐され、それぞれ、N×2NのTUを表す。
【0041】
・ PU 2N×0.5Nについて、レベル0の各ノードは2個のノードに分岐され、一方は2N×0.5NのTUを表し、他方は2N×1.5NのTUを表す。
・ PU 0.5N×2Nについて、レベル0の各ノードは2個のノードに分岐され、一方は0.5N×2NのTUを表し、他方は1.5N×2NのTUを表す。
3. レベル2
・ PU 2N×2Nについて、レベル1の各ノードは4個のノードに分岐され、それぞれ、0.5N×0.5NのTUを表す。
【0042】
・ PU 2N×Nについて、レベル1の各ノードは2個のノードに分岐され、それぞれ、2N×0.5N(またはN×N)のTUを表す。
・ PU N×2Nについて、レベル1の各ノードは2個のノードに分岐され、それぞれ、0.5N×2N(またはN×N)のTUを表す。
【0043】
・ PU 2N×0.5Nについて、レベル1の2N×l.5Nのノードは3個のノードに分岐され、それぞれ、N×0.5NのTUを表す。
・ PU 0.5N×2Nについて、レベル1の1.5N×2Nのノードは3個のノードに分岐され、それぞれ、0.5N×NのTUを表す。
4. その他のレベル
・ 5個のPU分割すべてについて、上のレベルの各ノードは4個のノードに分割され、それぞれ、水平と垂直の両方に2分割された親TU寸法のTUを表す。
【0044】
また、残差ツリーの深さが1のようなデフォルト値に設定された場合、以下を使用することができる:
1. 2N×2N PUについて、残差ツリーのレベル0のTU分割を使用する。
2. 2N×N PU、N×2N PU、2N×0.5N PU、または0.5N×2N PUについて、残差ツリーのレベル1のTU分割を使用する。
【0045】
図12は、1つの実施形態による可能なPU分割の第4例を示す。この例では、残差ツリーは、高レベルのノードのすべてを共に分割する。たとえば二元分割が1202、1204、1206、および1208において示されている。1202において、2N×N PUについて、レベル0の各ノードは2個のノードに分岐され、それぞれ、2N×NのTUを表している。1204において、N×2N PUについて、レベル0の各ノードは2個のノードに分割され、それぞれ、N×2NのTUを表している。1206において、2N×0.5N PUについて、レベル1の2個のノードのそれぞれは2個のノードに分岐され、それぞれ、2N×0.5NのTUを表している。1208において、0.5N×2N PUについて、レベル1の2個のノードのそれぞれは2個のノードに分岐され、それぞれ、0.5N×2NのTUを表している。
【0046】
以下は、レベル0、1、2、およびその他のレベルにおける分割の要約である。
1. レベル0
・ 5個のRTは、すべて2N×2NのTUから始まる。
2. レベル1
・ PU 2N×2Nについて、レベル0の各ノードは4個のノードに分岐され、それぞれ、N×NのTUを表す。
【0047】
・ PU 2N×Nについて、レベル0の各ノードは2個のノードに分岐され、それぞれ、2N×NのTUを表す。
・ PU N×2Nについて、レベル0の各ノードは2個のノードに分岐され、それぞれ、N×2NのTUを表す。
【0048】
・ PU 2N×0.5Nについて、レベル0の各ノードは2個のノードに分岐され、それぞれ、2N×NのTUを表す。
・ PU 0.5N×2Nについて、レベル0の各ノードは2個のノードに分岐され、それぞれ、N×2NのTUを表す。
3. レベル2
・ PU 2N×2Nについて、レベル1の各ノードは4個のノードに分岐され、それぞれ、0.5N×0.5NのTUを表す。
【0049】
・ PU 2N×Nについて、レベル1の2個のノードのそれぞれは2個のノードに分岐され、それぞれ、2N×0.5NのTUを表す。
・ PU N×2Nについて、レベル1の2個のノードのそれぞれは2個のノードに分岐され、それぞれ、0.5N×2NのTUを表す。
【0050】
・ PU 2N×0.5Nについてレベル1の2個のノードのそれぞれは2個のノードに分岐され、それぞれ、2N×0.5NのTUを表す。
・ PU 0.5N×2Nについて、レベル1の2個のノードのそれぞれは2個のノードに分岐され、それぞれ、0.5N×2NのTUを表す。
4. その他のレベル
・ 5個のPU分割のすべてについて、上のレベルの各ノードは4個のノードに分岐され、それぞれ、水平と垂直の両方に2分割された親TU寸法のTUを表す。
【0051】
また、残差ツリーの深さが1のようなデフォルト値に設定された場合、以下を使用することができる:
l. 2N×2N PUについて、残差ツリーのレベル0のTU分割を使用する。
2. 2N×N PUまたはN×2N PUについて、残差ツリーのレベル1のTU分割を使用する。
3. 2N×0.5N PUまたは0.5N×2N PUについて、レベル1の両方のノードが分岐されている残差ツリーのレベル2のTU分割を使用する。
【0052】
1つの例では、エンコーダ702とデコーダ704間の信号授受は、どのTU分割を使用するかデコーダ704に指示するために行われる。図13は、1つの実施形態による信号授受を示すエンコーダ702およびデコーダ704のより詳しい例である。PU型決定管理部1302は、上述のPU分割のようなPU分割を決定する。1つの例では、PU型決定管理部1302は、2N×NのPU分割を決定し、それをTU分割管理部1304に出力する。
【0053】
TU分割管理部1304は、次にどのTU分割を使用するか決定する。たとえば、TU分割管理部1304は、予測残差を分析してCUの符号化コストを最小化するTU分割を選択することができる。別の例では、TU分割管理部1304は、ビデオコンテンツの符号化プロセスに関する符号化情報を受け取ることができる。TU分割管理部1304は、次にこの符号化情報に基づいてどのTU分割を使用するか選択することができる。1つの例では、TU分割管理部1304は、運動情報を分析してTU分割を決定することができる。たとえば、TU分割管理部1304は、同様な運動情報をTU中にグループ化するTU分割を決定する。TU分割管理部1304は、次に選択したTU分割を表すレベルをコーダ1306に出力する。コーダ1306は、選択されたレベルをデコーダ704に送られるビットストリーム中に符号化する。たとえば、レベル0、1、2、またはその他のレベルがビットストリーム中に符号化され得る。
【0054】
デコーダ704のレシーバ1308がビットストリームを受け取る。レシーバ1308は、ビットストリーム中にコード化されているレベルを決定することができる。たとえば、分割決定管理部1310は、次にPUに適用するTU分割を決定する。たとえば、PU型決定管理部1310は、現在のCUのPU型を決定する。分割決定管理部1310はPU型を受け取り、次にエンコーダ102から送られた残差ツリー情報を使用して現在のCUに適用するTU分割を決定する。たとえば、エンコーダ702が伝達したのがレベル1であり、かつ、PUが2N×N PUである場合、分割決定管理部1310は2N×NのTU分割を使用する。
【0055】
別の実施形態では、エンコーダ702およびデコーダ704は、TU分割を非明示的に決定することもできる。たとえば、残差ツリーの深さが1に設定されている場合にデフォルト値を使用したとき、図9〜12に関して上述したデフォルト分割が使用され得る。たとえば、エンコーダ702およびデコーダ704は、図9〜12において記述した可能なTU分割の1つでプログラムされ得る。1のデフォルト深さが使用される場合、エンコーダ702およびデコーダ704はPU型を決定し、かつ、上述したデフォルトTU分割を自動的に使用することができる。
【0056】
図14は、1つの実施形態に従ってTU分割を決定する方法の簡略化フローチャート1400を示す。1402において、残差ツリー構造管理部706−1は、PU型を決定する。1404において、残差ツリー構造管理部706−1は、適用する残差ツリーのレベルを決定する。たとえば、残差ツリー構造管理部706−1は、符号化されるビデオコンテンツの符号化情報を分析して残差ツリーおよびTU分割を決定する。1406において、残差ツリー構造管理部706−1は、決定されたTU分割に従って現在のCUを分割する。1408において、残差ツリー構造管理部706は、選択されたレベルをビットストリーム中にコード化する。また、エンコーダ702およびデコーダ704がレベルを非明示的に決定する場合、エンコーダ702は、レベルをビットストリーム中にコード化しない。
【0057】
図15は、1つの実施形態に従ってデコーダ704においてTU分割を決定する簡略化フローチャート1500を示す。1502において、残差ツリー構造管理部706−2は、現在のPUのPU型を決定する。1504において、残差ツリー構造管理部706−2は、残差ツリーのレベルを決定する。たとえば、このレベルは、エンコーダ702から与えられるか、またはデフォルト値が使用される。1506において、残差ツリー構造管理部706−2は、TU分割を決定する。たとえば、残差ツリーのレベルおよびPU型を使用してどのTU分割を現在のPUに適用するか決定する。
【0058】
したがって、特定の実施形態は、ノードの二元分割を可能にする残差ツリーを与える。これは、TUを4個のTUの代わりに2個のTUに分割することを可能にする。これは、符号化のためにより効率的なTUを使用することを可能にし得る。
【0059】
エンコーダおよびデコーダの一般的動作について、これから説明する。図16Aは、1つの実施形態によるエンコーダ702の例を示す。当然のことながら、当業者は、本出願における開示および教示に基づいて、ここで記述される符号化プロセスのバリエーションを察知するであろう。
【0060】
現在のPU、xについて、予測PU、x’が空間的予測または時間的予測により得られる。次に予測PUが現在のPUから控除され、残差PU、eがもたらされる。空間的予測ブロック1604は、水平、垂直、45度対角線、135度対角線、DC(均一平均化)および平面など、PUごとに異なる空間的予測方向を含み得る。
【0061】
時間的予測ブロック1606は、運動推定演算により時間的予測を行う。運動推定演算は、基準画像に対する現在のPUの最善一致予測を探す。最善一致予測は、運動ベクトル(MV)および関連基準画像(refldx)により記述される。運動ベクトルおよび関連基準画像は、符号化されたビットストリームに含まれる。
【0062】
変換ブロック1606は、残差PU、eについて変換演算を行う。変換ブロック1606は、上述したTU分割を受け取って変換演算を行う。変換ブロック1606は、残差PUを変換領域Eに出力する。
【0063】
次に、量子化器1608は、残差PU、Eの変換係数を量子化する。量子化器1608は、変換係数を有限個数の可能な値に変換する。エントロピー符号化ブロック1610は量子化された係数をエントロピー符号化し、これにより伝達されるべき最終圧縮ビットがもたらされる。コンテキスト適応可変長符号化(CAVLC:context−adaptive variable length coding)またはコンテキスト適応2進演算符号化(CABAC:context−adaptive binary arithmetic coding)などの別のエントロピー符号化方法も使用できる。
【0064】
また、エンコーダ702内の復号プロセスにおいて、逆量子化器1612は、残差PUの量子化された変換係数を逆量子化する。逆量子化器1612は、次に残差PU、E’の逆量子化された変換係数を出力する。逆変換ブロック1614は、逆量子化された変換係数を受け取る。逆量子化された変換係数は次に逆変換され、再構成された残差PU、e’をもたらす。逆変換ブロック1614は上述のTU分割を受け取って変換演算を行う。再構成されたPU、e’は、次に対応する予測x’(空間的または時間的)に加算されて新しい再構成されたPU、x’’を形成する。ループ・フィルタ1606は、再構成されたPU、x’’についてデブロッキングを行ってブロッキング・アーチファクトを低減する。また、ループ・フィルタ1616は、復号された画像のデブロッキング・フィルタ・プロセスの完了後に画素適応オフセット・プロセスを行うことができる。これは、再構成されたピクセルと元のピクセル間のピクセル値のオフセットを補償する。また、ループ・フィルタ1616は、再構成されたPUについて適応ループ濾過を行うこともできる。これは、入力画像と出力画像間の符号化歪みを最小化する。また、再構成された画像が基準画像である場合、その基準画像は、将来の時間的予測のために基準バッファ1618に記憶される。
【0065】
図16Bは、1つの実施形態によるデコーダ704の例を示す。当然のことながら、当業者は、本出願における開示および教示に基づいて、ここで記述される復号プロセスのバリエーションを察知するであろう。デコーダ704は、エンコーダ702から符号化されたビデオコンテンツの入力ビットを受け取る。
【0066】
エントロピー復号ブロック1630は、入力ビットストリームについてエントロピー復号を行って残差PUの量子化された変換係数を生成する。逆量子化器1632は、残差PUの量子化された変換係数を逆量子化する。逆量子化器1632は、次に残差PU、E’の逆量子化された変換係数を出力する。逆変換ブロック1634は、逆量子化された変換係数を受け取る。それは次に逆変換されて、再構成された残差PU、e’をもたらす。逆変換ブロック1634は、上述したTU分割を受け取って変換演算を行う。
【0067】
再構成されたPU、e’は、次に対応する予測x’(空間的または時間的)に加算されて新しい再構成されたPU、x’’を形成する。ループ・フィルタ1636は、再構成されたPU、x’’についてデブロッキングを行ってブロッキング・アーチファクトを低減する。また、ループ・フィルタ1636は、復号された画像のデブロッキング・フィルタ・プロセスの完了後に画素適応オフセット・プロセスを行うことができる。これは、再構成されたピクセルと元のピクセル間のピクセル値のオフセットを補償する。また、ループ・フィルタ1636は、再構成されたPUについて適応ループ濾過を行うこともできる。これは、入力画像と出力画像間の符号化歪みを最小化する。また、再構成された画像が基準画像である場合、その基準画像は、将来の時間的予測のために基準バッファ1638に記憶される。
【0068】
予測PU、x’は、空間的予測または時間的予測により得られる。空間的予測ブロック1640は、水平、垂直、45度対角線、135度対角線、DC(均一平均化)および平面など、PUごとに復号された空間的予測方向を受け取り得る。空間的予測方向を使用して予測PU、x’を決定する。
【0069】
時間的予測ブロック1642は、運動推定演算により時間的予測を行う。復号された運動ベクトルを使用して予測PU、x’を決定する。運動推定演算において内挿法を使用することができる。
【0070】
特定の実施形態は、命令実行システム、装置、システムまたは機械により、またはそれらと関連して使用される非一時的なコンピュータ読取可能記憶媒体において実現することができる。このコンピュータ読取可能記憶媒体は、特定の実施形態により記述される方法を実行するコンピュータ・システムを制御する命令を含んでいる。これらの命令は、1つ以上のコンピュータ・プロセッサにより実行される場合、特定の実施形態において記述されていることを行うために動作可能である。
【0071】
本出願における明細書および以下の請求項を通じて使用される場合、「1つの(a、an)」および「その(the)」は、複数に対する言及を含むものとする。ただし、文脈により明確に別の解釈が要求される場合を除く。また、本出願における明細書および以下の請求項を通じて使用される場合、「の中の(in)」意味は、「の中の(in)」および「の上の(on)」を含むものとする。ただし、文脈により明確に別の解釈が要求される場合を除く。
【0072】
上述の明細書は、種々の実施形態のほか、特定の実施形態の特徴を実現することができる方法を例示している。上述の例および実施形態は、単なる実施形態と考えるべきではなく、それらは、以下の請求項により規定される特定の実施形態の融通性および利点を説明するために提示されている。上記の開示および以下の請求項に基づいて、請求項により規定される本出願の範囲から逸脱することなく、その他の構成、実施形態、実現形態および均等物が使用できるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B