特許第5748172号(P5748172)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5748172
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】ガス加熱装置及びガス分解装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/10 20060101AFI20150625BHJP
   H01M 8/12 20060101ALN20150625BHJP
【FI】
   H05B3/10 Z
   !H01M8/12
【請求項の数】15
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2011-105098(P2011-105098)
(22)【出願日】2011年5月10日
(65)【公開番号】特開2012-238415(P2012-238415A)
(43)【公開日】2012年12月6日
【審査請求日】2014年2月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000693
【氏名又は名称】特許業務法人ハートクラスタ
(74)【代理人】
【識別番号】100101605
【弁理士】
【氏名又は名称】盛田 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】山口 篤
(72)【発明者】
【氏名】加藤 真博
(72)【発明者】
【氏名】真嶋 正利
【審査官】 宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−046268(JP,A)
【文献】 特開昭57−036794(JP,A)
【文献】 特開2006−225182(JP,A)
【文献】 特開2009−279482(JP,A)
【文献】 米国特許第06107612(US,A)
【文献】 米国特許第04334350(US,A)
【文献】 米国特許第04220846(US,A)
【文献】 国際公開第1993/013303(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/035691(WO,A1)
【文献】 実開昭49−140743(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/10
H01M 8/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスが流動させられる容器内に、多孔質発熱素子を充填して構成されるガス加熱装置であって、
上記多孔質発熱素子は、連続気孔を有するとともに通電することにより発熱する多孔質発熱体から構成された発熱部と、連続気孔を有するとともに上記発熱部に給電できる多孔質導電体から構成された導電部とを備え、
少なくとも上記発熱部は、複数の多孔質発熱体を組み合わせて上記容器内の充填空間に充填することにより構成されているとともに、
上記発熱部及び/又は上記導電部と、上記容器内面との間に、耐熱性及び通気性を有する絶縁部材が充填されている、ガス加熱装置。
【請求項2】
上記発熱部及び/又は上記導電部は、シート状又は板状をした多孔質体を複数積層して構成されている、請求項1に記載のガス加熱装置。
【請求項3】
少なくとも上記発熱部は、上記容器内のガスが流動する方向の所定距離範囲の空間において、上記多孔質発熱体を隙間なく充填して構成されている、請求項1又は請求項2記載のガス加熱装置。
【請求項4】
上記発熱部及び/又は上記導電部は、組み合わされた複数の多孔質体を、上記充填空間の形態に対応した輪郭に整形加工して形成されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のガス加熱装置。
【請求項5】
上記多孔質発熱体と上記多孔質導電体とは、別途形成されたものであるとともに、圧着又は/及び溶着によって接続されている、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のガス加熱装置。
【請求項6】
上記多孔質発熱体と上記多孔質導電体とが、一体形成された共通の多孔質体の所定領域を発熱体化又は導電体化することにより一体的に形成されているとともに、
上記多孔質発熱体及び上記多孔質導電体を設けた多孔質体を積層することにより、上記発熱部及び上記導電部が形成されている、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のガス加熱装置。
【請求項7】
上記多孔質導電体を構成する多孔質体の一部を合金化することにより、上記多孔質発熱体が形成されている、請求項6に記載のガス加熱装置。
【請求項8】
上記多孔質発熱体を構成する多孔質体の一部表面に導電層を設けることにより、上記多孔質導電体が形成されている、請求項6に記載のガス加熱装置。
【請求項9】
対接する多孔質発熱体及び/又は多孔質導電体が電気的に接続されている、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のガス加熱装置。
【請求項10】
上記多孔質導電体に所要の面積で接続された電極部を備える、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のガス加熱装置。
【請求項11】
上記発熱部及び上記導電部を構成する多孔質体は、発熱性又は導電性を有する外殻と、中空又は/及び導電性材料からなる芯部とを有する骨格を備え、
上記骨格が一体的に連続する3次元網目構造を構成している、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のガス加熱装置。
【請求項12】
上記3次元網目構造は、上記骨格を構成する複数の枝部が結節部に集合して一体的に連続しているとともに、一の結節部に集合する上記各枝部の外殻の厚みがほぼ一定である、請求項11に記載のガス加熱装置。
【請求項13】
上記骨格は、3次元網目状樹脂の表面にめっき層又は金属コーティング層を設けるとともに、上記樹脂を消失させることにより形成されたものである、請求項11又は請求項12に記載のガス加熱装置。
【請求項14】
上記外殻は、Niを50〜95%と、Crを5〜50%とを含む合金から形成されている、請求項11から請求項13のいずれか1項に記載のガス加熱装置。
【請求項15】
請求項1から請求項14のいずれか1項に記載したガス加熱装置を備えるガス分解装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ガス加熱装置及びガス分解装置に関する。詳しくは、ガスを流動させて加熱分解するガス分解装置に好適なガス加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、アンモニアは農業や工業に不可欠の化合物であるがヒトには有害であるため、水中や大気中のアンモニアを分解する種々の方法が知られている。高濃度のアンモニアを含む水からアンモニアを分解除去するために、アンモニア水を噴霧するとともに空気流と接触させて空気中にアンモニアを分離し、次亜臭素酸溶液又は硫酸と接触させる方法が提案されている(特許文献1)。また、上記方法と同じプロセスで空気中にアンモニアを分離して触媒により燃焼させる方法(特許文献2)や、アンモニア含有排水を、触媒を用いて、窒素と水に分解する方法が提案されている(特許文献3)。さらに、半導体製造装置の廃ガスには、アンモニア、水素等が含まれることが多く、アンモニアの異臭を完全に除去するには、ppmオーダーにまで除去する必要がある。この目的のために、半導体装置の廃ガス放出の際にスクラバーを通して、薬品を含む水に有害ガスを吸収させる方法が多く用いられてきた。一方、エネルギや薬品等の投入なしに安価なランニングコストで有害ガスを分解するために、リン酸燃料電池でアンモニアを分解する、半導体製造装置等における廃ガス処理の方法も提案されている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−31966号公報
【特許文献2】特開平7−116650号公報
【特許文献3】特開平11−347535号公報
【特許文献4】特開2003−45472号公報
【特許文献5】特許第3238086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているような中和剤等の薬液を用いる方法、特許文献2に記載されているような燃焼させる方法、特許文献3に記載されているような触媒を用いた熱分解反応による方法により、アンモニアを分解することはできる。ところが、これらの方法では、薬品や外部エネルギ(燃料)を必要とするばかりでなく、触媒等を定期的に交換する必要があり、ランニングコストが大きくなるという問題がある。
【0005】
また、装置が大掛かりとなり、既存の設備に付加的に設ける場合には、スペースを確保するのが困難である。また、リン酸型燃料電池を、化合物半導体製造の排気中のアンモニアの除去に用いる装置についても、電解質が液体であるため、空気側とアンモニア側との仕切りをコンパクトにできず、装置の小型化が難しいという問題があった。
【0006】
上記問題を解決するため、特許文献5に記載されているように、筒状の固体電解質層と、この固体電解質層を内外から挟むようにして積層形成された第1の電極層及び第2の電極層とを備えて構成される筒状MEA(Membrane Electrode Assembly)を採用することができる。上記筒状MEAの内側空間を、分解されるガスを含む気体が、軸方向に流動させられる。
【0007】
上記ガスを分解するには、ガスを含む気体の温度をできるだけ高めて、上記筒状MEAの第1の電極層(燃料極)に作用させる必要がある。このため、筒状MEAの全体を高温に、たとえば、800℃以上に保持する必要があり、加熱容器内に上記筒状MEAを収容して上記筒状MEAの全体を加熱するように構成されている。
【0008】
ところが、上記筒状MEAの外側から加熱する必要があるため、大きなエネルギが必要になる。また、筒状MEA内の加熱空間が小さいため、上記ガスの流量を増加させるとガスが上記筒状MEA内で滞在する時間が減少し、上記筒状MEA内でガスの温度が低下して、分解効率が低下するという問題が生じる。
【0009】
本願発明は、ガスを効率良く加熱することができ、ガス分解装置に好適なガス加熱装置及びこれを用いたガス分解装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明は、ガスが流動させられる容器内に、多孔質発熱素子を充填して構成されるガス加熱装置であって、上記多孔質発熱素子は、連続気孔を有するとともに通電することにより発熱する多孔質発熱体から構成された発熱部と、連続気孔を有するとともに上記発熱部に給電できる多孔質導電体から構成された導電部とを備え、少なくとも上記発熱部を、複数の多孔質発熱体を組み合わせて上記容器内の充填空間に充填することにより構成されているとともに、上記発熱部及び/又は上記導電部と、上記容器内面との間に、耐熱性及び通気性を有する絶縁部材が充填されているものである。
【0011】
本願発明では、連続気孔を有する多孔質発熱体から形成された発熱部に、ガスを流動させて直接加熱することができる。このため、流動するガスを、均一に効率良く加熱することができる。
【0012】
一方、上記発熱部が多孔質状に形成されているため、給電を行う配線との接触面積を確保するのが困難である。特に、本願発明に係るガス加熱装置を用いてガス分解装置を構成した場合、分解するガスによっては、上記発熱部の温度を800℃以上に保持しなければならない場合がある。このような場合、上記多孔質発熱体に配線を直接接続すると、配線の多孔質発熱体に対する接続面積が小さくなり、接続部近傍に過大な電流が流れて温度がさらに高まり、配線や発熱部が溶断したり劣化する恐れが高まる。
【0013】
本願発明では、上記不都合を回避するために、上記発熱部に給電する導電部が設けられている。上記導電部は、多孔質導電体から形成されるとともに、所要の接続面積で上記多孔質発熱体に接続される。これにより、接続部近傍において一部の領域に過大な電流が流れることがなくなる。したがって、配線や多孔質発熱体が溶断等するのを防止できる。上記導電部は、上記発熱部より抵抗率の小さい多孔質導電体、たとえば、Ni(ニッケル)、Cu(銅)等の多孔質体で形成することができる。上記多孔質導電体の抵抗率は、上記多孔質発熱体の抵抗率の100分の1以下に設定するのが好ましい。これにより、上記多孔質導電部が、発熱部のように高い温度で発熱することはなく、給電のための配線を容易に接続することができる。
【0014】
また、上記導電部が多孔質体で形成されているため、導電部にガスを流動させることができる。このため、容器内を流れるガスの流動を妨げることはなく、また、容器内の空間を有効に利用することができる。
【0015】
発熱部内にガスを流動させるには、発熱素子をガスが流動する空間を設けた容器内に収容する必要がある。また、流動するガスを上記多孔質発熱体に効率よく作用させるには、上記容器内に少なくとも多孔質発熱体を隙間なく充填するのが好ましい。一方、採用される容器内の充填空間に対応した形態を備え、気孔率等が一定の多孔質発熱体を一体形成するのは非常に困難である。
【0016】
本願発明では、少なくとも上記発熱部を、複数の多孔質発熱体を組み合わせて上記容器内の充填空間に充填することにより構成している。上記発熱部を、複数の多孔質発熱体を組み合わせて構成することにより、充填空間に対する充填率を高めることができるばかりでなく、各種容器の充填空間に対応する形態を容易に構成することも可能となる。このため、上記容器と上記発熱部との間に形成される隙間を最小限に設定することが可能となり、流動するガスを効率よく加熱することができる。
【0017】
また、上記導電部を、複数の多孔質導電体を組み合わせて構成することもできる。これにより、上記多孔質発熱体に対する接続面積を確保することができるとともに、容器内におけるガスの流動抵抗を均一化することもできる。
【0018】
発熱部を構成する各多孔質発熱体及び導電部を構成する各多孔質導電体の外観形態は特に限定されることはない。たとえば上記発熱部及び/又は導電部を、シート状又は板状をした多孔質体を積層して構成することができる。
【0019】
シート状又は板状の多孔質体は製造が容易であるとともに、各部の気孔率等が一定のものを容易に製造することができる。このため、シート状又は板状をした複数の多孔質体を積層して所要の形態や寸法を備える発熱部あるいは導電部を構成することにより、発熱部あるいは導電部における気孔率等を一定に設定することができる。これにより、発熱部及び導電部において、ガスを均等に流動させて、効率よく加熱することが可能となる。また、シート状又は板状の多孔質体は、切断等の加工を容易に行うことができる。このため、種々の容器に対応する外観形態の発熱部及び導電部を容易に形成することができる。
【0020】
容器内で流動するガスを均等にかつ効率良く加熱するには少なくとも上記発熱部を、上記容器内のガスが流動する方向の所定距離範囲の空間において、上記多孔質発熱体を隙間なく充填して構成するのが好ましい。これにより、上記容器内を流動するガスを、上記所定距離範囲の充填空間内において、上記多孔質発熱体内で確実に流動させて加熱することができる。
【0021】
上記容器内の充填空間に多孔質発熱体を隙間なく充填する手法として、容器断面より大きめの断面を有する発熱部を形成し、圧縮変形させながら容器内に充填する手法を採用することができる。これにより、容器内面と発熱部外周との間に隙間が生じるのを防止できる。一方、多孔質発熱体を圧縮変形させると、気孔率が低下してガスの流動抵抗が増加する。このため、上記距離範囲における体積充填率を120%以下に設定するのが好ましい。なお、多孔質導電体を同様に充填して導電部を構成することができる。
【0022】
発熱部や導電部を構成する多孔質体の変形能が低い場合や、歪を与えて充填した場合に多孔質体の劣化が促進されるような場合は、上記手法を採用するのは困難である。このような場合は上記発熱部及び/又は上記導電部を、複数の部材を組み合わせて構成された多孔質体を、上記容器の充填空間の形態に対応した輪郭に整形加工して形成することができる。これにより、容器内面と多孔質発熱素子外周部との間に形成される隙間を最小限に設定することが可能となる。なお、多孔質体を加工する手法は特に限定されることはない。たとえば、切削加工やレーザー加工等を採用することができる。また、多孔質積層体を、プレスにより型整形することもできる。この場合、外周部近傍のみが圧縮変形させられるようにプレス整形するのが望ましい。
【0023】
さらに、本願発明では、上記発熱部及び/又は上記導電部と、上記容器内面との間に、耐熱性を有する絶縁部材を充填している。
【0024】
上記絶縁部材を充填することにより、上記発熱部及び/又は上記導電部と、上記容器内面との間に隙間が生じないように構成することができる。また、上記多孔質発熱体及び上記多孔質導電体と、これを収容する容器内面との絶縁が確保できるため、上記容器を導電性を有する金属等の材料から形成することも可能となる。さらに、容易に変形できる絶縁部材を採用することにより、多孔質発熱素子を上記容器内に充填する作業も容易になる。
【0025】
上記絶縁部材の形態や特性は特に限定されることはない。たとえば、通気性のない絶縁部材を充填することにより、上記多孔質発熱体とこれを収容する容器の内面間の隙間でガスが流動するのを阻止することができる。これにより、多孔質発熱体内でガスを確実に流動させることができる。上記絶縁部材として、たとえば、耐火粘土等を採用することができる。また、アルミナ繊維、アルミナとシリカからなるセラミックファイバー等から形成されたシート状材料を採用することができる。
【0026】
さらに、上記絶縁部材として、通気性を有するとともに変形容易な多孔質材料を採用することができる。たとえば、所定の気孔率を備えるアルミナ繊維シートや、繊維集合体等を採用することができる。上記通気性のある絶縁部材を採用することにより、上記隙間においてガスを流動させるとともに、多孔質発熱体から伝導する熱によって加熱できるように構成することもできる。さらに、通気性のある絶縁部材の表面に、適用するガスの分解を促進する触媒を担持させることもできる。たとえば、銀、白金等の粒子を担持させたセラミック繊維等を採用することもできる。
【0027】
上記多孔質発熱部と上記多孔質導電部は、別途形成することもできるし、一体的に形成することもできる。
【0028】
たとえば上記多孔質発熱体と上記多孔質導電体とを、別途形成するとともに、圧着又は/及び溶着によって接続することができる。これにより、導電部を介して発熱部に確実に給電を行うことができる。
【0029】
また上記多孔質発熱体と上記多孔質導電体とを、一体形成された共通の多孔質体の所定領域を発熱体化又は導電体化することにより一体的に形成するとともに、上記多孔質発熱体及び上記多孔質導電体を設けた多孔質体を複数積層することにより、上記発熱部及び上記導電部を形成することができる。
【0030】
本願発明に係る発熱素子は、上記多孔質発熱部と上記多孔質導電部とが、一体形成された共通の多孔質体から形成することができる。これにより、上記多孔質発熱素子内の多孔質構造及び気孔率を一定にすることが可能となり、気体を流動させた際の流動抵抗を発熱素子内で均一にすることができる。このため、ガスの流動を阻害することなく、しかも、流動する気体を均一に加熱することが可能となり、ガス分解装置等に適用した場合、ガスを効率よく加熱することが可能となる。また、発熱部と導電部とを接続する必要がなくなるため、製造工程を削減することもできる。
【0031】
上記多孔質発熱体と上記多孔質導電体の少なくとも一方は、上記共通の多孔質体の所定領域を発熱体化又は導電体化することにより形成することができる。発熱体化又は導電体化する手法も特に限定されることはない。たとえば上記多孔質導電体を構成する多孔質体の一部を合金化することにより、上記多孔質発熱体を形成することができる。
【0032】
また上記多孔質発熱体を構成する多孔質体の一部の表面に導電層を設けることにより、上記多孔質導電体を形成することができる。上記導電層は、たとえば、金属等の導電性材料を、多孔質発熱体の所定の領域にコーティング等することにより形成することができる。さらに、絶縁性を有する多孔質体に、発熱性を有する領域と導電性を有する領域の双方を連続して形成することにより、上記多孔質発熱部と上記多孔質導電部とを形成することもできる。
【0033】
上記発熱体化あるいは導電体化する部位及び領域の大きさや数は特に限定されることはない。たとえば、2以上の発熱部と、これら発熱部に給電できる導電部とを備え、選択した1又は2以上の発熱部に上記導電部を介して給電することにより発熱させるように構成することもできる。この構成を採用することにより、発熱素子内の所要の発熱部を発熱させることが可能となる。これにより、気体の流動量等に応じて発熱素子の出力を容易に調節することが可能になる。また、発熱部の一部が溶断等によって発熱しなくなった場合にも、他の発熱部に給電することにより発熱素子の機能を維持することも可能となる。
【0034】
多孔質発熱体と多孔質と導電体とが一体形成される多孔質体の形態も特に限定されることはない。たとえば、シート状又は板状の多孔質体内に、上記多孔質発熱部と上記多孔質導電部とを連続して設け、このシート状多孔質体を積層することにより、上記発熱部と上記導電部とが一体形成された多孔質発熱素子を構成することができる。
【0035】
特に、シート状又は板状の多孔質発熱素子を複数積層することにより、所要の部位を発熱させることができる立体的な多孔質発熱素子を容易に構成することができる。なお、組み合わされる発熱素子の数及び形態は特に限定されることはなく、同一形態の多孔質発熱素子のみならず、異なる形態の多孔質発熱素子を組み合わせることができる。たとえば、気孔率や抵抗率の異なる発熱素子を組み合わせることも可能となる。
【0036】
接する多孔質発熱体及び/又は多孔質導電体を電気的に接続するのが好ましい。対接する上記多孔質発熱体及び/又は上記多孔質導電体を電気的に接続することにより、複数の多孔質体に形成された多孔質発熱体及び/又は多孔質導電体を一体化させて接触抵抗を低減させ、一の発熱部あるいは一の導電部として機能させることが可能となる。上記多孔質発熱体及び/又は上記多孔質導電体を電気的に接続する手法も特に限定されることはない。たとえば、対接する部分を溶接により接続して導通させることができる。また、複数の多孔質導電体の導電部を貫通して導通させる接続部材を設けることもできる。
【0037】
上記多孔質導電部に、給電を行う配線を直接接続することもできるが上記多孔質導電体に所要の面積で接続された電極部を設けるのが好ましい。たとえば、上記多孔質導電体の表面に所要の面積で接続される電極板を溶接等によって設けて、この電極板に対して配線を接続することができる。上記電極板の接続面積は、多孔質発熱部及び多孔質導電部の大きさや給電量により設定することができる。上記電極板を構成する材料も特に限定されることはなく、Cu板等を採用できる。また、複数の多孔質体を組み合わせて構成される発熱素子の場合、複数の多孔質発熱体及び/又は多孔質導電体の表面に掛け渡し状に上記電極板を接合することができる。また、複数の多孔質導電体を貫通して接続される棒状の電極部を設けることもできる。
【0038】
上記多孔質発熱体及び上記多孔質導電体を構成する材料及び形態は、特に限定されることはない。上記多孔質発熱体及び上記多孔質導電体を構成する多孔質体として、たとえば上記発熱部及び上記導電部を構成する多孔質体を、発熱性又は導電性を有する外殻と、中空又は/及び導電性材料からなる芯部とを有する骨格を備えて構成されるとともに、上記骨格が一体的に連続する3次元網目構造を構成するものを採用できる。
【0039】
上記多孔質体は、骨格が3次元網目構造に形成されているため、気孔率をきわめて大きく設定することができる。これにより、気孔内におけるガスの流動抵抗が小さくなり、大量のガスを流動させて加熱することが可能となる。また、上記骨格は、一体的に連続するように形成されている。このため、繊維状の発熱体を充填して構成される多孔質発熱体のように、隣接する各繊維間の接触抵抗が生じることがなく、多孔質発熱体内各部における電気抵抗が大きく変化することはない。また、上記多孔質発熱体と上記多孔質導電体とが同一の形態で連続しているため、境界部分において気体の流動抵抗や電気抵抗が大きくなることもない。したがって、多孔質発熱素子内を流動する気体の流れが偏在することもない。また、多孔質体内を流れる電流に偏在が生じることもなく、多孔質発熱体の全体を均一に加熱することが可能となる。
【0040】
また上記多孔質体における上記3次元網目構造は、上記骨格を構成する複数の枝部が結節部に集合して一体的に連続しているとともに、一の結節部に集合する上記各枝部の外殻の厚みがほぼ一定となるように構成するのが望ましい。上記結節部では各骨格(枝部)からの電流が集中するため、一の結節部に集合する各枝部の電気抵抗が異なると、結節部周りの一部の枝部に過大な電流が流れて温度が上昇し、骨格が溶断したり劣化する恐れがある。一の結節部に集合する枝部の外殻の厚みをほぼ一定に設定することにより、一の結節部に集合する各骨格の電気抵抗に大きな差異が生じることがなくなり、一の結節点に集合する一部の骨格に過大な電流が流れることもなくなる。これにより、多孔質発熱部における骨格の溶断や劣化を防止することが可能となる。
【0041】
多孔質発熱体の一の結節部に集合する枝部の外殻の厚みがほぼ一定であればよく、発熱体全体の外殻の厚みが一定であることまで要求されるものではない。たとえば、製造方法等によっては、外殻の厚みが、発熱体の表層部と内部で異なることが考えられる。この場合、表層部の結節部に集合する各枝部の外殻厚みと、内部の結節部に集合する枝部の外殻厚みが異なることになる。しかし、各結節部に集合する骨格の厚みがほぼ一定であれば、一部の枝部に過大な電流が流れることはなく、結節部近傍の骨格が溶断するのを防止することができる。また、結節部周りの骨格が均等な強度を備えるため、強度も確保することができる。
【0042】
上記骨格を形成する手法は特に限定されることはない。たとえば上記骨格を、3次元網目状樹脂の表面にめっき層又は金属コーティング層を設けるとともに、上記樹脂を消失させることにより形成することができる。上記骨格の外殻を金属めっき層又は金属コーティング層から形成することにより、骨格の厚みを非常に薄くかつ均一に設定することが可能となる。これにより、大きな気孔率を備える多孔質発熱体を形成することが可能となる。
【0043】
また、上記のように、外殻をめっき層等から形成すると、一の結節部に集合する骨格の外殻の厚みをほぼ一定に形成することが可能となる。これにより、結節部周りの外殻の電気抵抗に大きな差異が生じることがなくなり、多孔質発熱体の全域を均一に加熱することができる。
【0044】
上記芯部は、製造方法に応じて、中空又は/及び導電性材料から構成される。たとえば、上述したように、上記骨格を、3次元網目状樹脂の表面にめっき層を設けるとともに、上記樹脂を消失させることにより形成する場合、上記樹脂が消失した部分が中空状となる。また、上記めっき層を設けるために上記3次元網目状樹脂の表面に導電性材料をコーティング等して導電化処理を施した場合には、上記導電性材料からなる表面導電化層が中空芯部の内周面に残存する場合がある。さらに、めっき処理の後に熱処理等を施した場合は、外殻が収縮して、中空部分がなくなる場合もある。なお、上記芯部の構造は、発熱素子の全体において均一である必要はなく、部分によって異なっていてもよい。たとえば、芯部を構成する導電性材料が後の熱処理によって溶解して、発熱体内で偏在したり、一部の中空部が消失した状態であってもよい。なお、上記表面導電化層は、多孔質発熱体の所要の発熱性能を阻害しないように厚み等が設定される。
【0045】
上記導電性を有する外殻を構成する材料も、特に限定されることはない。たとえば、Niから上記多孔質導電体の外殻を形成することができる。また、発熱性を有する外殻を構成する材料も、特に限定されることはない。たとえば上記外殻を、Niを50〜95%と、Crを5〜50%とを含む合金から形成するのが好ましい。上記範囲の配合量に設定することにより、上記多孔質発熱体を効率よく発熱させることができる。なお、上記NiとCrの配合比を保持した状態で他の成分が配合されてもよい。
【0046】
なお、上記発熱性を有する外殻を、Niを主成分とするとともに導電部を構成できる金属多孔質体の所定部分に、Crを拡散させることにより合金化して発熱性を付与することにより形成することができる。Ni−Cr合金から、直接所要の気孔率を有する多孔質体を形成するのは困難な場合がある。たとえば、上述しためっき法によって、所要部分にNi−Cr合金のめっき層を直接形成するのは困難である。
【0047】
上記手法を採用する場合、まず、Niから多孔質導電部を構成できる多孔質体を形成し、この多孔質体の多孔質発熱部を設ける所定の領域において、上記Niの表面から、Crを拡散させて発熱体として機能するNi−Cr合金とする。
【0048】
Niは、めっき処理しやすいため、上記骨格を容易に形成することができる。また、骨格の厚みや気孔率の異なる種々の金属多孔質体を容易に構成できる。そして、このNi多孔質体をCr合金化することによって、所要の電熱特性を備える発熱体を構成できる。また、多孔質導電部を構成する多孔質導電体の所定の領域を合金化することにより、上記多孔質発熱部と上記多孔質導電部とを、ほぼ同一の形態及び気孔率を有する多孔質体で一体的に形成することができる。
【0049】
上記Ni多孔質体を、Cr合金化する手法は特に限定されることはない。たとえば、導電部を構成する領域にマスキングを施したNi多孔質体に、Cr粉末を充填して加熱することにより、Ni多孔質体の上記領域以外の部分をNi−Cr合金とすることができる。また、Cr源粉末の加熱により発生させた拡散浸透成分ガスと還元性希釈ガスとの混合ガス中で熱処理することにより、Ni多孔質体の所定領域をNi−Cr合金とすることができる。
【0050】
また、Niによって形成された第1の外殻の所定部分に、Crで形成された第2の外殻を積層形成した後、所定の熱処理を行うことにより、上記第1の外殻と上記第2の外殻とを互いに拡散させて合金化することにより、発熱性を付与した外殻を構成できる。
【0051】
本願発明に係る上記ガス加熱装置を備えて、ガス分解装置を構成することができる。
【0052】
本願発明に係るガス分解素子は、自体で発熱する多孔質発熱素子内に、分解に供せられるガスが流動するように構成されているため、ガスを効率よく加熱して分解することが可能となる。また、上記多孔質導電部の気孔率を高く設定することにより、ガスの流動抵抗が増加することもなくなる。しかも、複数の多孔質体を組み合わせることにより、種々の形態の容器に対応することが可能である。
【0053】
本願発明に係るガス分解素子は、単独で、あるいは他のガス分解素子と組み合わせてガス分解装置を構成することができる。たとえば、筒状MEAを備えるガス分解素子と組み合わせて、効率のよいガス分解装置を構成できる。
【発明の効果】
【0054】
種々の形態の容器に対応することができるとともに、多孔質発熱部を流動するガスを均一に加熱できるため、大量のガスを効率よく加熱して、分解等することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1】本願発明の第1の実施形態に係るガス加熱装置の縦断面図である。
図2】本願発明の第1の実施形態に係る多孔質発熱素子の分解斜視図である。
図3】シート状の多孔質発熱体を複数積層した状態を示す斜視図である。
図4図3に示す積層多孔質体を整形加工した状態を示す断面図である。
図5】多孔質発熱体及び多孔質導電体を構成する多孔質体の一例を示す電子顕微鏡写真である。
図6図5に示す多孔質発熱体の要部の断面を模式的に示す図である。
図7図6におけるVII−VII線に沿う断面図である。
図8】本願発明の第2の実施形態に係るガス加熱装置の縦断面図である。
図9図8におけるIX−IX線に沿う断面図である。
図10】本願発明の第3の実施形態に係るガス加熱装置の縦断面図である。
図11図10に示す多孔質発熱素子の全体斜視図である。
図12図11に示す一の多孔質体の縦断面図である。
図13図12に示す多孔質体の製造工程を示す図である。
図14図12に示す多孔質体の製造工程を示す図である。
図15図12に示す多孔質体の製造工程を示す図である。
図16図12に示す多孔質体の製造工程を示す図である。
図17図12に示す多孔質体の製造工程を示す図である。
図18図12に示す多孔質体の製造工程を示す図である。
図19図12に示す多孔質体の製造工程を示す図である。
図20】シート状又は板状の多孔質体を積層して構成される多孔質積層体の他の加工方法を示す断面図である。
図21】本願発明に係るガス分解装置と他のガス分解装置と組み合わせて用いる場合の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下、本願発明の実施形態を図に基づいて具体的に説明する。図1は、本願発明の第1の実施形態に係るガス加熱装置100の概略構成を示す縦断面図である。なお、本実施形態に係るガス加熱装置をそのままガス分解装置として利用できる。
【0057】
本実施形態に係るガス加熱装置100は、長尺円筒状の容器159の内部に、多孔質発熱素子120を充填して構成されている。上記容器159は、少なくとも内面が電気絶縁性を備えるように構成される。たとえば、耐熱性のあるセラミックから形成された容器159を採用することができる。上記容器159の両端部には、加熱対象であるガスを容器内に導入するガス導入口157と、加熱したガスを排出するガス排出口158が設けられており、容器159内に導入されたガスは、容器159の軸方向に流動しながら加熱される。
【0058】
上記多孔質発熱素子120は、上記筒状容器159の内部空間に対応した長尺円柱状に形成されており、中間部に形成された発熱部102と、この発熱部102の両側部に形成された導電部103,104とを備えて構成される。
【0059】
上記発熱部102は、図3に示すように、矩形板状の多孔質発熱体102a,102b,102c,102d,102eを積層して圧着あるいは溶着して一体化するとともに、図4に示すように、外周角部を切除することにより円柱状に整形加工して形成されている。一方、上記導電部103,104は、上記発熱部102の断面形状に対応した円板状に形成された多孔質導電体103a,104aと、外周部に接合されたリング状の電極部103b,104bとを備えて構成されている。上記発熱部102と上記導電部103,104は、対接面において圧着又は溶着されており、上記導電部103,104を介して、上記発熱部102に給電することができるように構成されている。
【0060】
上記多孔質発熱素子120は、上記筒状容器159内に充填されるとともに、上記電極部103b,104bに、電源106から延びる配線105a,105bが接続されており、これら配線105a、105b、電極部103b,104b及び上記多孔質導電体103a,104aを介して、上記発熱部102に給電して発熱させるように構成されている。
【0061】
本実施形態に係る多孔質発熱素子120は、導電部103,104を含むほぼ全体が多孔質体から形成されているため通気性が高い。また、上記電極部103b,104bも、上記容器内でのガスの流動を妨げないように、容器159の端部内周面に添着するように配置されている。このため、容器159のガス導入口157を介してガスを容器159内に導入するとともに、上記導電部103,104及び上記発熱部102の内部を軸方向に向けて流動させ、ガス排出口158から排出することができる。
【0062】
上記発熱部102は、全体が均等に発熱するため、流動するガスを均一に加熱することができる。このため、非常に効率良くガスを加熱することが可能となる。特に、ガス分解装置として利用する場合には、ガスを効率よく分解することができる。しかも、外部に熱源を設ける必要がないため、エネルギ効率も非常に高い。
【0063】
また、本実施形態に係る上記多孔質導電体103a,104aの抵抗率は、上記多孔質発熱体102の抵抗率の100分の1以下に設定されている。このため、上記多孔質導電体103a,104aは、多孔質発熱体102a,102b,102c,102d,102eのように高い温度で発熱することはない。したがって、電極部103b,104bを多孔質導電体103a,104aに確実に接続することができるとともに、上記配線105a,105bを上記電極部103b,104bに確実に接続することができる。
【0064】
また、発熱部102と導電部103,104とが、同じ断面寸法の多孔質体から形成されているため、発熱部102と導電部103,104との間の接続面積を確保できる。したがって、多孔質発熱体や多孔質導電体の一部に過大な電流が流れることはなく、多孔質発熱体や多孔質導電体が溶断したり劣化したりする恐れもない。また、上記発熱部102と上記導電部103,104とが、電流が流れる方向に対してほぼ同じ断面で接続されているため、発熱部102の両側全面から給電して効率よく発熱させることができる。
【0065】
しかも、上記発熱部102と、上記導電部103,104とを、ほぼ同じ形態及び気孔率の多孔質体で形成することにより、ガスの流動抵抗を同一となる。これにより、多孔質体内でガスを均一に流動させることができる。また、ガスを効率よく発熱部に作用させて加熱することができる。
【0066】
しかも、本実施形態に多孔質発熱素子120は、矩形板状の多孔質発熱体102a,102b,102c,102d,102eを積層して一体化するとともに、外周角部を切除して上記容器159の充填空間に対応した円柱形態に整形している。この構成を採用することにより、容器内周面と上記発熱部102との間の隙間がほとんどなくなる。また、所要の距離にわたって、上記発熱部102が設けられている。この構成によって、流動するガスを上記発熱部内で確実に流動させて加熱することができる。なお、上記積層される多孔質体の形態は特に限定されることはなく、また、多孔質積層体を加工する手法も、上述した手法に限定されることはない。たとえば、円筒形状の容器を採用する場合には、断面の直径が上記容器内径より若干大きい多孔質発熱部を、変形させながら上記容器内に充填することができる。また、図20に示すように、複数の矩形板状の多孔質体を積層した積層体402に対して、プレス型481,482を作用させて所要の形態に加工することができる。多孔質発熱体の変形させる場合、外周面近傍が圧縮変形して気孔率が小さくなるため、体積充填率を120%以下に設定するのが好ましい。これにより、容器159内に収容してガスを流動させた場合に、ガスの流動抵抗が大きく増加することもない。
【0067】
図5は、発熱部102及び導電部103,104を構成する多孔質体の一例の外観構造を示す電子顕微鏡写真である。なお、本実施形態では、上記導電部103,104と上記発熱部102とは、ほぼ同一形態の多孔質構造を備えているため、図5及び図6に示す多孔質体が多孔質発熱体101を構成する場合について説明する。
【0068】
多孔質発熱体101は、連続気孔101bを有する3次元網目構造を備える。図6に示すように、上記3次元網目構造は、三角柱状の骨格110が3次元に連続して連なった形態を備え、上記骨格110を構成する複数の枝部112が結節部150に集合して一体的に連続する形態を備える。また、骨格110の各部は、図7に示すように、外殻110aと、中空状の芯部110bとを備えて構成される。なお、図6及び図7に示す実施形態では、上記外殻110aは、後に説明するように、めっき層112aと表面導電化層112bとが、一体的に合金化されて発熱体として機能するように構成されている。
【0069】
上記多孔質発熱体101は、連続気孔101bを有する多孔質状に形成されているため、上記気孔101b内でガスを流動させて、効率よく加熱することができる。しかも、上記多孔質発熱体101は、3次元網目構造を採用することによって、気孔率をきわめて大きく設定することができる。このため、気孔内におけるガスの流動抵抗が低く、大量のガスを流動させて加熱することも可能となる。
【0070】
また、図6に示すように、上記3次元網目構造における一の結節部150に集合する上記枝部112の外殻110aの厚みtがほぼ一定に形成されている。一の結節部150に集合する枝部112の外殻の厚みtがほぼ一定であるため、一の結節部150に集合する各枝部112の電気抵抗もほぼ一定となる。したがって、一の結節部に集合する一部の枝部に過大な電流が流れることもなくなる。これにより、骨格の溶断や劣化を防止することが可能となる。
【0071】
なお、多孔質発熱体101の一の結節部150に集合する枝部112の外殻110aの厚みがほぼ一定であればよく、発熱体全体の外殻の厚みが一定であることまで要求されるものではない。たとえば、製造方法等によっては、外殻の厚みtが、発熱体の表層部と内部で異なることが考えられる。この場合、表層部の結節部に集合する各骨格の外殻厚みと、内部の結節部に集合する骨格の外殻厚みが異なることになる。しかし、一の結節部に集合する枝部の外殻の厚みがほぼ一定であれば、少なくとも上記結節部周りの一部の枝部に過大な電流が流れることはなく、結節部近傍の骨格が溶断するのを防止することができる。
【0072】
本実施形態に係る上記多孔質発熱体101は、少なくともNiとCrとを含む合金から形成されている。上記NiとCrの配合量は、所要の発熱量に応じて設定することができる。たとえば、上記多孔質発熱体101の上記外殻110aを、Niを50〜95%と、Crを5〜50%とを含む合金から形成することができる。
【0073】
上記多孔質発熱体101は、種々の手法を用いて形成することができる。たとえば、上記骨格をめっきによって形成する場合、3次元網目状樹脂に導電化処理を施す工程と、上記3次元網目状樹脂に金属めっきを施す工程と、3次元網目状樹脂を除去する工程とを含んで構成することができる。
【0074】
上記3次元網目状樹脂の形態として、樹脂発泡体、不織布、フェルト、織布等を用いることができる。上記3次元網目状樹脂を構成する素材は特に限定されることはないが、金属めっきした後、加熱等によって消失させることができるものを採用するのが好ましい。また、加工性やハンドリング性を確保するため、柔軟性を有するものを採用するのが好ましい。特に、3次元網目状樹脂として樹脂発泡体を採用するのが好ましい。樹脂発泡体は、連続気孔を有する多孔質状であればよく、既知のものを採用できる。たとえば、発泡ウレタン樹脂、発泡スチレン樹脂等を採用することができる。発泡樹脂の気孔の形態や気孔率、寸法等は特に限定されることはなく、用途に応じて適宜設定することができる。
【0075】
上記3次元網目状樹脂を導電化する処理は、各気孔の表面に上記骨格を構成する金属めっき層を設けるために行われるものであり、図6における表面導電化層112bを設けることができれば特に限定されることはない。たとえば、ニッケルを用いる場合には、無電解めっき処理、スパッタリング処理等を採用することができる。また、チタン、ステンレス等の金属やカーボンブラック、黒鉛等を採用する場合には、これらの微粉末にバインダを添加した混合物を、上記3次元網目状樹脂に含浸塗着する処理を採用することができる。
【0076】
上記めっき処理も特に限定されることはなく、公知のめっき法によって処理をすることができる。たとえば、ニッケルめっきの場合、生産性、コスト等の観点から電気めっき法を採用するのが好ましい。電気めっきに用いるめっき浴として、公知あるいは市販のものを採用できる。
【0077】
上記Niめっき層の厚み(目付量)も特に限定されることはない。所要の気孔率や、強度を勘案して設定することができる。たとえば、100g/m2〜2000g/m2の目付量を採用することができる。
【0078】
上記めっき層を形成した後、上記3次元網目状樹脂を除去する工程が行われる。上記3次元網目状樹脂を除去する工程は、たとえば、ステンレスマッフル内で大気等の酸化性雰囲気において、上記めっき層を設けた多孔質体を、600℃〜800℃で熱処理することにより、上記3次元網目状樹脂を焼却除去することができる。
【0079】
高い発熱性能を得るため、Cr成分の配合量が多いNi合金から上記多孔質発熱体を形成するのが好ましい。Ni−Crの合金材料から上記めっき層を直接形成するのは困難である。このため、たとえば、Niめっき層とCrめっき層とを別々に形成し、その後合金化する手法を採用することができる。すなわち、3次元網目状樹脂に、上記手法によってまずNiめっき層を形成し、その上に、Crめっき層を積層形成する。その後、3次元網目状樹脂を除去し、さらに、所定の温度で熱処理することにより、上記Crめっき層とNiめっき層とを互いに拡散させて合金化することができる。
【0080】
上記Crめっき層の厚み(目付量)も特に限定されることはなく、たとえば、10g/m2〜1000g/m2の範囲で設定することができる。
【0081】
上記Crめっき層とNiめっき層とを積層形成した多孔質体を、ステンレスマッフル内でCOやH2等の還元性ガス雰囲気のもとで800℃〜1000℃で熱処理することにより、上記Crめっき層とNiめっき層とを互いに拡散させてNi−Cr合金層を形成することができる。また、N2やAr等の不活性ガス雰囲気では、カーボンマッフル内で1000℃〜1500℃に加熱して上記Crめっき層とNiめっき層とから合金層を形成することもできる。Niによって、図6及び図7に示す表面導電化層112bを設けた場合には、表面導電化層112bも上記合金化工程においてNi−Cr合金化されて全体が発熱体となる。
【0082】
上記工程を採用することにより、外殻のクロム濃度のバラツキが少なく、高い耐蝕性を有するとともに発熱特性の高い多孔質発熱体を形成することができる。また、めっき層によって外殻が構成されるため、外殻の厚み(断面積)を多孔質体内でほぼ均一に設定することが可能となる。このため、多孔質体内における電気抵抗のばらつきが少なくなり、通電することにより、多孔質体の全体を均一に加熱することができる。なお、上述した実施形態では、上記骨格を3次元網目状樹脂にめっきを施すことによって形成したが、粉体金属をコーティングし、その後、熱処理を施すことにより形成することもできる。この場合、Ni粉末とCr粉末とを含む粉体をコーティングすることにより、一度でNi−Cr合金を形成することもできる。
【0083】
図6及び図7に示すように、本実施形態に係る上記芯部110bは、中空状に形成されるが、これに限定されることはない。すなわち、上述した実施形態は、Niから形成された表面導電化層112bがCr合金化されたため外殻と一体化されたが、上記表面導電化層を別の導電性材料から形成する場合、芯部として残存する場合もある。たとえば、上記表面導電化層をチタンやカーボン等から形成するとともに、Niメッキによって骨格を形成した後Cr合金化した場合、上記表面導電化層112bが合金化されずに芯部として残存することになる。また、Niメッキ層をCr合金化する熱処理工程において、外殻が収縮して、中空の芯部が消失する場合もある。
【0084】
図8及び図9に、本願発明に係る第2の実施形態を示す。この実施形態は、容器259の内周部と発熱部202の外周部との間に形成される隙間に、絶縁部材207を充填してガス加熱装置200を構成したものである。なお、多孔質発熱体202a,202b,202c,202d,202eの構成及び導電部203,204の構成は、第1の実施形態と同様であるので説明は省略する。
【0085】
図9に示すように、本実施形態では、発熱部202を複数の発熱体202a,202b,202c,202d,202eを積層して構成するのは第1の実施形態と同様であるが、外周部を加工することなく用いる点において異なる。
【0086】
図9に示すように、本実施形態に係る発熱部202の外周部は、階段状に凹凸が形成されるため、そのまま容器259内に充填すると、容器内面との間に大きな隙間が形成されてしまう。このため、ガスが上記隙間を流動してしまい、ガスを効率よく加熱することができない。
【0087】
本実施形態では、上記隙間に絶縁部材207を充填することにより上記不都合を回避している。上記絶縁部材207の形態は特に限定されることはない。たとえば、アルミナ繊維、アルミナとシリカからなるセラミックファイバー等を編成して構成される所定厚みのシート状材料や繊維集合体等の通気性のある絶縁部材207を採用できる。また、耐火粘土等の通気性のない絶縁部材を採用することもできる。通気を有する絶縁部材を採用した場合、ガスが上記絶縁部材内を流動するが、発熱部202から伝導される熱によって加熱することができる。したがって、容器内の空間を有効に利用することができる。また、上記アルミナ繊維等に、銀、チタン等のガスの分解を促進する触媒を担持させることもできる。
【0088】
また、発熱素子220を容器内に充填する作業を容易に行うため、柔軟な絶縁部材を採用するのが好ましい。本実施形態に係る発明では、発熱部202の外周部の輪郭を加工する必要がないため、製造工程を削減することもできる。さらに、絶縁部材として、保温性のある材料を採用すると、上記発熱部における熱効率を高める効果も期待できる。
【0089】
図10図12に本願発明の第3の実施形態を示す。この実施形態に係る多孔質発熱素子320は、多孔質発熱体と多孔質導電体とを一体的に設けた複数の多孔質体320a,320b,320c,320d,320eを積層することにより、発熱部302と導電部303,304とを一体的に設けたものである。なお、多孔質発熱素子320とこれを収容した容器の形態、これらの間に形成される隙間に絶縁部材307を充填する構成は、第2の実施形態と同様であるので説明は省略する。
【0090】
図11に示すように、上記各多孔質体320a,320b,320c,320d,320eには、発熱部302を構成する多孔質発熱体302a,302b,302c,302d,302eが形成されているとともに、各多孔質発熱体の両側部に導電部303,304を構成する多孔質導電体313a,313b,313c,313d,313e,314a,314b,314c,314d,314eがそれぞれ一体的に形成されている。理解を容易にするため、以下、最上段に設けられる多孔質体320aについて説明する。
【0091】
図12に示すように、上記多孔質体320aは、Niで形成された金属多孔質体の中間部をCr合金化することにより、多孔質導電体313a、314aの間に、上記多孔質発熱体302aを一体形成したものである。そして、同様の構成を備える複数の多孔質体320a,320b,320c,320d,320eが積層されて、多孔質発熱素子320が形成される。また、最上部に積層された上記多孔質体320aの両端部に設けられる多孔質導電体313a,314aの上面に板状の電極部303b,304bが溶接接合され、この電極部303b,304bに対して配線305a,305bが接続されている。
【0092】
上記構成を採用することにより、多孔質発熱体と多孔質導電体とを別途形成した金属多孔質体を組み合わせて多孔質発熱素子320を構成する必要がなくなり、製造工程を簡略化できる。しかも、上記多孔質導電体313aと多孔質発熱体302aとが、全く同じ骨格構造を備えて構成されているとともに一体的に連続している。このため、別部材を接合した場合の接続抵抗が発生することがなく、多孔質発熱体302aに効率よく給電することができる。
【0093】
本実施形態では、積層された上記多孔質体320a,320b,320c,320d,320eの対接する各多孔質導電体を互いに溶接接合している。これにより、各多孔質導電体間の電気抵抗が小さくなり、複数の多孔質導電体を、一体化された一つの導電部303,304として機能させることができる。
【0094】
上記構成の多孔質体320aは、たとえば、図13図19に示す手法によって形成することができる。なお、図13図19は、多孔質発熱体302aと多孔質導電体313a,314aを備える板状の多孔質体320aを製造する手法を模式的に示したものである。また、理解を容易にするため、図12に示す多孔質体の右半分について、以下に説明する。
【0095】
まず、多孔質導電体314aと多孔質発熱体302aとの共通の骨格を形成するため、図13に示す3次元網目状樹脂310を準備する。上記3次元網目状樹脂310は、上述した骨格を構成する中空の芯部に対応する部分310aと、連続気孔に対応する連続中空部分310bとを備えて構成されており、たとえば、ウレタン樹脂を所定の気孔率で発泡させることにより形成することができる。
【0096】
図14に示すように、上述した手法によって、上記3次元網目状樹脂310の表面を導電化処理した後、Niめっき層311を形成する。上記Niめっき層311は、上述したように、100g/m2〜2000g/m2の目付量で形成することができる。その後、図15に示すように、上記多孔質導電体304aを構成する部分に、上記Crめっき処理に対するマスキング層312を形成する。上記マスキング層312は、たとえば、エポキシ樹脂等で形成することができる。
【0097】
次に、図16に示すように、上記マスキング層312を設けた多孔質体に、上述した手法によって、Crめっき層313を設ける。上記マスキング層312を設けているため、上記発熱部302に対応した領域にのみ上記Crめっき層313が形成される。これにより、上記多孔質発熱部302aを構成する部分に、Niめっき層とCrめっき層とが積層形成された複合めっき層370が形成される。
【0098】
上記マスキング層312を除去した後(図17)、上述した3次元網目状樹脂及びマスキング層312を除去する工程が行われ、図18に示すように、Niめっき層311と、上記Niめっき層311にCrめっき層313が積層された複合めっき層370とを備える3次元網目状の金属多孔質体315が形成される。
【0099】
上記複合めっき層370を備える上記金属多孔質体315を、ステンレスマッフル内でCOやH2等の還元性ガス雰囲気のもとで800℃〜1000℃で熱処理することにより、上記Niめっき層311と上記Crめっき層313を構成する成分を互いに拡散させてNi−Cr合金化し、図12及び図19に示す多孔質体320aを形成することができる。
【0100】
上記手法を採用することにより、多孔質発熱体302aと、この両側にCr合金化されていない多孔質導電体313a,314aとを設けた板状の金属多孔質体320aを一体的に形成することができる。
【0101】
図21に、本願発明に係るガス加熱装置を用いて構成される第1のガス分解装置510と、筒状MEA610を備える第2のガス分解装置620とを組み合わせて構成したガス分解装置700の概略断面図を示す。なお、上記第1のガス分解装置510は、図1に示すガス加熱装置と構成が同一であるので説明は省略する。
【0102】
上記第2のガス分解装置620は、内側にガスを流動させて分解する筒状MEA610と、上記筒状MEA610を保持するとともにこの筒状MEAの外周部に空気を流動させる筒状容器609とを備えて構成される。
【0103】
上記筒状MEA610は、図示しない筒状の固体電解質層と、この固体電解質層の内周部に積層形成された第1の電極層と、上記固体電解質層の外周部に積層形成された第2の電極層とを備えて構成されている。
【0104】
上記筒状MEA610は、上記筒状容器609のガス流入口607とガス流出口608の間に接続されるようにして上記筒状容器609内に保持されている。上記筒状容器609の外周部には、空気を導入する空気導入口617と、上記筒状MEA610の外周部を流動した空気を排出する空気排出口618とを備える。
【0105】
上記ガス分解装置620の外周部には、図示しないヒータが設けられており、上記筒状MEA610及び上記空気が流動する空間を所定温度に加熱できるように構成されている。また、上記筒状MEA610の上記第1の電極層と上記第2の電極層の間には、図示しない配線が設けられており、この配線内に図示しない負荷装置が設けられる。
【0106】
上記第1のガス分解装置510と上記第2のガス分解装置620は、接続部600を介して連結されており、分解されるガスが、上記第1のガス分解装置510と上記第2のガス分解装置620に順次流動させられる。
【0107】
上記構成のガス分解装置700は、第1のガス分解装置510において加熱によりガスを分解する一方、上記第2のガス分解装置620では、上記第1のガス分解装置510で分解しきれなかったガスを電気化学的に分解するように構成したものである。
【0108】
たとえば、アンモニアガスを分解する場合、上記第1のガス分解装置において、2NH3→N2+3H2のように、アンモニアガスが熱分解される。
【0109】
また、上記筒状MEA610の第1の電極層(アノード)において、
(アノード反応)「2NH3+3O2-→N2+3H2O+6e-
の反応を生じさせる。より詳しくは、一部のアンモニアに、2NH3→N2+3H2の反応を生じ、この3H2が、酸素イオン3O2-と反応して3H2Oを生成する。
一方、上記筒状MEAの第2の電極層(カソード)では、
(カソード反応)「O2+4e-→2O2-
の反応を生じさせる。上記電気化学反応の結果、電力が発生し、第1の電極層と第2の電極層との間に電位差が生じ、上記配線に電流が流れる。これにより、上記配線内に接続したヒータ等の負荷に電力を供給することができる。
【0110】
上記第1のガス分解装置において、アンモニアの大部分を窒素ガスと水素ガスに分解し、上記第2のガス分解装置において、上記水素を水とすることができる。このため、アンモニアガスを効率よく分解することができる。しかも、本実施形態では、上記第1のガス分解装置510において、ガスを効率よく加熱するとともに、加熱したガスを上記第2のガス分解装置に送り込むことができる。このため、上記第2のガス分解装置620におけるエネルギ消費量を低減させることができる。したがって、上記第1のガス分解装置510と上記第2のガス分解装置620とを組合せてガス分解装置700を構成することにより、ガスを精度高く分解することが可能となる。
【0111】
本願発明の範囲は、上述の実施形態に限定されることはない。今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものでないと考えられるべきである。本願発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0112】
ガスを効率よく加熱することができるとともに、ガス分解装置として用いた場合に、エネルギ効率よくガスを分解することができる。
【符号の説明】
【0113】
159 容器
120 多孔質発熱素子
100 ガス加熱装置
101b 連続気孔
102a 多孔質発熱体
102b 多孔質発熱体
102c 多孔質発熱体
102d 多孔質発熱体
102e 多孔質発熱体
102 発熱部
103 導電部
103a 多孔質導電体
104 導電部
104a 多孔質導電体
図1
図2
図3
図4
図5
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図11
図12
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図15
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図20
図21