【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明は、ガスが流動させられる容器内に、多孔質発熱素子を充填して構成されるガス加熱装置であって、上記多孔質発熱素子は、連続気孔を有するとともに通電することにより発熱する多孔質発熱体から構成された発熱部と、連続気孔を有するとともに上記発熱部に給電できる多孔質導電体から構成された導電部とを備え、少なくとも上記発熱部を、複数の多孔質発熱体を組み合わせて上記容器内の充填空間に充填することにより構成
されているとともに、上記発熱部及び/又は上記導電部と、上記容器内面との間に、耐熱性及び通気性を有する絶縁部材が充填されているものである。
【0011】
本願発明では、連続気孔を有する多孔質発熱体から形成された発熱部に、ガスを流動させて直接加熱することができる。このため、流動するガスを、均一に効率良く加熱することができる。
【0012】
一方、上記発熱部が多孔質状に形成されているため、給電を行う配線との接触面積を確保するのが困難である。特に、本願発明に係るガス加熱装置を用いてガス分解装置を構成した場合、分解するガスによっては、上記発熱部の温度を800℃以上に保持しなければならない場合がある。このような場合、上記多孔質発熱体に配線を直接接続すると、配線の多孔質発熱体に対する接続面積が小さくなり、接続部近傍に過大な電流が流れて温度がさらに高まり、配線や発熱部が溶断したり劣化する恐れが高まる。
【0013】
本願発明では、上記不都合を回避するために、上記発熱部に給電する導電部が設けられている。上記導電部は、多孔質導電体から形成されるとともに、所要の接続面積で上記多孔質発熱体に接続される。これにより、接続部近傍において一部の領域に過大な電流が流れることがなくなる。したがって、配線や多孔質発熱体が溶断等するのを防止できる。上記導電部は、上記発熱部より抵抗率の小さい多孔質導電体、たとえば、Ni(ニッケル)、Cu(銅)等の多孔質体で形成することができる。上記多孔質導電体の抵抗率は、上記多孔質発熱体の抵抗率の100分の1以下に設定するのが好ましい。これにより、上記多孔質導電部が、発熱部のように高い温度で発熱することはなく、給電のための配線を容易に接続することができる。
【0014】
また、上記導電部が多孔質体で形成されているため、導電部にガスを流動させることができる。このため、容器内を流れるガスの流動を妨げることはなく、また、容器内の空間を有効に利用することができる。
【0015】
発熱部内にガスを流動させるには、発熱素子をガスが流動する空間を設けた容器内に収容する必要がある。また、流動するガスを上記多孔質発熱体に効率よく作用させるには、上記容器内に少なくとも多孔質発熱体を隙間なく充填するのが好ましい。一方、採用される容器内の充填空間に対応した形態を備え、気孔率等が一定の多孔質発熱体を一体形成するのは非常に困難である。
【0016】
本願発明では、少なくとも上記発熱部を、複数の多孔質発熱体を組み合わせて上記容器内の充填空間に充填することにより構成している。上記発熱部を、複数の多孔質発熱体を組み合わせて構成することにより、充填空間に対する充填率を高めることができるばかりでなく、各種容器の充填空間に対応する形態を容易に構成することも可能となる。このため、上記容器と上記発熱部との間に形成される隙間を最小限に設定することが可能となり、流動するガスを効率よく加熱することができる。
【0017】
また、上記導電部を、複数の多孔質導電体を組み合わせて構成することもできる。これにより、上記多孔質発熱体に対する接続面積を確保することができるとともに、容器内におけるガスの流動抵抗を均一化することもできる。
【0018】
発熱部を構成する各多孔質発熱体及び導電部を構成する各多孔質導電体の外観形態は特に限定されることはない。たとえば
、上記発熱部及び/又は導電部を、シート状又は板状をした多孔質体を積層して構成することができる。
【0019】
シート状又は板状の多孔質体は製造が容易であるとともに、各部の気孔率等が一定のものを容易に製造することができる。このため、シート状又は板状をした複数の多孔質体を積層して所要の形態や寸法を備える発熱部あるいは導電部を構成することにより、発熱部あるいは導電部における気孔率等を一定に設定することができる。これにより、発熱部及び導電部において、ガスを均等に流動させて、効率よく加熱することが可能となる。また、シート状又は板状の多孔質体は、切断等の加工を容易に行うことができる。このため、種々の容器に対応する外観形態の発熱部及び導電部を容易に形成することができる。
【0020】
容器内で流動するガスを均等にかつ効率良く加熱するには
、少なくとも上記発熱部を、上記容器内のガスが流動する方向の所定距離範囲の空間において、上記多孔質発熱体を隙間なく充填して構成するのが好ましい。これにより、上記容器内を流動するガスを、上記所定距離範囲の充填空間内において、上記多孔質発熱体内で確実に流動させて加熱することができる。
【0021】
上記容器内の充填空間に多孔質発熱体を隙間なく充填する手法として、容器断面より大きめの断面を有する発熱部を形成し、圧縮変形させながら容器内に充填する手法を採用することができる。これにより、容器内面と発熱部外周との間に隙間が生じるのを防止できる。一方、多孔質発熱体を圧縮変形させると、気孔率が低下してガスの流動抵抗が増加する。このため、上記距離範囲における体積充填率を120%以下に設定するのが好ましい。なお、多孔質導電体を同様に充填して導電部を構成することができる。
【0022】
発熱部や導電部を構成する多孔質体の変形能が低い場合や、歪を与えて充填した場合に多孔質体の劣化が促進されるような場合は、上記手法を採用するのは困難である。このような場合は
、上記発熱部及び/又は上記導電部を、複数の部材を組み合わせて構成された多孔質体を、上記容器の充填空間の形態に対応した輪郭に整形加工して形成することができる。これにより、容器内面と多孔質発熱素子外周部との間に形成される隙間を最小限に設定することが可能となる。なお、多孔質体を加工する手法は特に限定されることはない。たとえば、切削加工やレーザー加工等を採用することができる。また、多孔質積層体を、プレスにより型整形することもできる。この場合、外周部近傍のみが圧縮変形させられるようにプレス整形するのが望ましい。
【0023】
さらに、
本願発明では、上記発熱部及び/又は上記導電部と、上記容器内面との間に、耐熱性を有する絶縁部材を充填
している。
【0024】
上記絶縁部材を充填することにより、上記発熱部及び/又は上記導電部と、上記容器内面との間に隙間が生じないように構成することができる。また、上記多孔質発熱体及び上記多孔質導電体と、これを収容する容器内面との絶縁が確保できるため、上記容器を導電性を有する金属等の材料から形成することも可能となる。さらに、容易に変形できる絶縁部材を採用することにより、多孔質発熱素子を上記容器内に充填する作業も容易になる。
【0025】
上記絶縁部材の形態や特性は特に限定されることはない。たとえば、通気性のない絶縁部材を充填することにより、上記多孔質発熱体とこれを収容する容器の内面間の隙間でガスが流動するのを阻止することができる。これにより、多孔質発熱体内でガスを確実に流動させることができる。上記絶縁部材として、たとえば、耐火粘土等を採用することができる。また、アルミナ繊維、アルミナとシリカからなるセラミックファイバー等から形成されたシート状材料を採用することができる。
【0026】
さらに、上記絶縁部材として、通気性を有するとともに変形容易な多孔質材料を採用することができる。たとえば、所定の気孔率を備えるアルミナ繊維シートや、繊維集合体等を採用することができる。上記通気性のある絶縁部材を採用することにより、上記隙間においてガスを流動させるとともに、多孔質発熱体から伝導する熱によって加熱できるように構成することもできる。さらに、通気性のある絶縁部材の表面に、適用するガスの分解を促進する触媒を担持させることもできる。たとえば、銀、白金等の粒子を担持させたセラミック繊維等を採用することもできる。
【0027】
上記多孔質発熱部と上記多孔質導電部は、別途形成することもできるし、一体的に形成することもできる。
【0028】
たとえば
、上記多孔質発熱体と上記多孔質導電体とを、別途形成するとともに、圧着又は/及び溶着によって接続することができる。これにより、導電部を介して発熱部に確実に給電を行うことができる。
【0029】
また
、上記多孔質発熱体と上記多孔質導電体とを、一体形成された共通の多孔質体の所定領域を発熱体化又は導電体化することにより一体的に形成するとともに、上記多孔質発熱体及び上記多孔質導電体を設けた多孔質体を複数積層することにより、上記発熱部及び上記導電部を形成することができる。
【0030】
本願発明に係る発熱素子は、上記多孔質発熱部と上記多孔質導電部とが、一体形成された共通の多孔質体から形成
することができる。これにより、上記多孔質発熱素子内の多孔質構造及び気孔率を一定にすることが可能となり、気体を流動させた際の流動抵抗を発熱素子内で均一にすることができる。このため、ガスの流動を阻害することなく、しかも、流動する気体を均一に加熱することが可能となり、ガス分解装置等に適用した場合、ガスを効率よく加熱することが可能となる。また、発熱部と導電部とを接続する必要がなくなるため、製造工程を削減することもできる。
【0031】
上記多孔質発熱体と上記多孔質導電体の少なくとも一方は、上記共通の多孔質体の所定領域を発熱体化又は導電体化することにより形成することができる。発熱体化又は導電体化する手法も特に限定されることはない。たとえば
、上記多孔質導電体を構成する多孔質体の一部を合金化することにより、上記多孔質発熱体を形成することができる。
【0032】
また
、上記多孔質発熱体を構成する多孔質体の一部の表面に導電層を設けることにより、上記多孔質導電体を形成することができる。上記導電層は、たとえば、金属等の導電性材料を、多孔質発熱体の所定の領域にコーティング等することにより形成することができる。さらに、絶縁性を有する多孔質体に、発熱性を有する領域と導電性を有する領域の双方を連続して形成することにより、上記多孔質発熱部と上記多孔質導電部とを形成することもできる。
【0033】
上記発熱体化あるいは導電体化する部位及び領域の大きさや数は特に限定されることはない。たとえば、2以上の発熱部と、これら発熱部に給電できる導電部とを備え、選択した1又は2以上の発熱部に上記導電部を介して給電することにより発熱させるように構成することもできる。この構成を採用することにより、発熱素子内の所要の発熱部を発熱させることが可能となる。これにより、気体の流動量等に応じて発熱素子の出力を容易に調節することが可能になる。また、発熱部の一部が溶断等によって発熱しなくなった場合にも、他の発熱部に給電することにより発熱素子の機能を維持することも可能となる。
【0034】
多孔質発熱体と多孔質と導電体とが一体形成される多孔質体の形態も特に限定されることはない。たとえば、シート状又は板状の多孔質体内に、上記多孔質発熱部と上記多孔質導電部とを連続して設け、このシート状多孔質体を積層することにより、上記発熱部と上記導電部とが一体形成された多孔質発熱素子を構成することができる。
【0035】
特に、シート状又は板状の多孔質発熱素子を複数積層することにより、所要の部位を発熱させることができる立体的な多孔質発熱素子を容易に構成することができる。なお、組み合わされる発熱素子の数及び形態は特に限定されることはなく、同一形態の多孔質発熱素子のみならず、異なる形態の多孔質発熱素子を組み合わせることができる。たとえば、気孔率や抵抗率の異なる発熱素子を組み合わせることも可能となる。
【0036】
対接する多孔質発熱体及び/又は多孔質導電体を電気的に接続するのが好ましい。対接する上記多孔質発熱体及び/又は上記多孔質導電体を電気的に接続することにより、複数の多孔質体に形成された多孔質発熱体及び/又は多孔質導電体を一体化させて接触抵抗を低減させ、一の発熱部あるいは一の導電部として機能させることが可能となる。上記多孔質発熱体及び/又は上記多孔質導電体を電気的に接続する手法も特に限定されることはない。たとえば、対接する部分を溶接により接続して導通させることができる。また、複数の多孔質導電体の導電部を貫通して導通させる接続部材を設けることもできる。
【0037】
上記多孔質導電部に、給電を行う配線を直接接続することもできるが
、上記多孔質導電体に所要の面積で接続された電極部を設けるのが好ましい。たとえば、上記多孔質導電体の表面に所要の面積で接続される電極板を溶接等によって設けて、この電極板に対して配線を接続することができる。上記電極板の接続面積は、多孔質発熱部及び多孔質導電部の大きさや給電量により設定することができる。上記電極板を構成する材料も特に限定されることはなく、Cu板等を採用できる。また、複数の多孔質体を組み合わせて構成される発熱素子の場合、複数の多孔質発熱体及び/又は多孔質導電体の表面に掛け渡し状に上記電極板を接合することができる。また、複数の多孔質導電体を貫通して接続される棒状の電極部を設けることもできる。
【0038】
上記多孔質発熱体及び上記多孔質導電体を構成する材料及び形態は、特に限定されることはない。上記多孔質発熱体及び上記多孔質導電体を構成する多孔質体として、たとえば
、上記発熱部及び上記導電部を構成する多孔質体を、発熱性又は導電性を有する外殻と、中空又は/及び導電性材料からなる芯部とを有する骨格を備えて構成されるとともに、上記骨格が一体的に連続する3次元網目構造を構成するものを採用できる。
【0039】
上記多孔質体は、骨格が3次元網目構造に形成されているため、気孔率をきわめて大きく設定することができる。これにより、気孔内におけるガスの流動抵抗が小さくなり、大量のガスを流動させて加熱することが可能となる。また、上記骨格は、一体的に連続するように形成されている。このため、繊維状の発熱体を充填して構成される多孔質発熱体のように、隣接する各繊維間の接触抵抗が生じることがなく、多孔質発熱体内各部における電気抵抗が大きく変化することはない。また、上記多孔質発熱体と上記多孔質導電体とが同一の形態で連続しているため、境界部分において気体の流動抵抗や電気抵抗が大きくなることもない。したがって、多孔質発熱素子内を流動する気体の流れが偏在することもない。また、多孔質体内を流れる電流に偏在が生じることもなく、多孔質発熱体の全体を均一に加熱することが可能となる。
【0040】
また
、上記多孔質体における上記3次元網目構造は、上記骨格を構成する複数の枝部が結節部に集合して一体的に連続しているとともに、一の結節部に集合する上記各枝部の外殻の厚みがほぼ一定となるように構成するのが望ましい。上記結節部では各骨格(枝部)からの電流が集中するため、一の結節部に集合する各枝部の電気抵抗が異なると、結節部周りの一部の枝部に過大な電流が流れて温度が上昇し、骨格が溶断したり劣化する恐れがある。一の結節部に集合する枝部の外殻の厚みをほぼ一定に設定することにより、一の結節部に集合する各骨格の電気抵抗に大きな差異が生じることがなくなり、一の結節点に集合する一部の骨格に過大な電流が流れることもなくなる。これにより、多孔質発熱部における骨格の溶断や劣化を防止することが可能となる。
【0041】
多孔質発熱体の一の結節部に集合する枝部の外殻の厚みがほぼ一定であればよく、発熱体全体の外殻の厚みが一定であることまで要求されるものではない。たとえば、製造方法等によっては、外殻の厚みが、発熱体の表層部と内部で異なることが考えられる。この場合、表層部の結節部に集合する各枝部の外殻厚みと、内部の結節部に集合する枝部の外殻厚みが異なることになる。しかし、各結節部に集合する骨格の厚みがほぼ一定であれば、一部の枝部に過大な電流が流れることはなく、結節部近傍の骨格が溶断するのを防止することができる。また、結節部周りの骨格が均等な強度を備えるため、強度も確保することができる。
【0042】
上記骨格を形成する手法は特に限定されることはない。たとえば
、上記骨格を、3次元網目状樹脂の表面にめっき層又は金属コーティング層を設けるとともに、上記樹脂を消失させることにより形成することができる。上記骨格の外殻を金属めっき層又は金属コーティング層から形成することにより、骨格の厚みを非常に薄くかつ均一に設定することが可能となる。これにより、大きな気孔率を備える多孔質発熱体を形成することが可能となる。
【0043】
また
、上記のように、外殻をめっき層等から形成すると、一の結節部に集合する骨格の外殻の厚みをほぼ一定に形成することが可能となる。これにより、結節部周りの外殻の電気抵抗に大きな差異が生じることがなくなり、多孔質発熱体の全域を均一に加熱することができる。
【0044】
上記芯部は、製造方法に応じて、中空又は/及び導電性材料から構成される。たとえば、上述したように、上記骨格を、3次元網目状樹脂の表面にめっき層を設けるとともに、上記樹脂を消失させることにより形成する場合、上記樹脂が消失した部分が中空状となる。また、上記めっき層を設けるために上記3次元網目状樹脂の表面に導電性材料をコーティング等して導電化処理を施した場合には、上記導電性材料からなる表面導電化層が中空芯部の内周面に残存する場合がある。さらに、めっき処理の後に熱処理等を施した場合は、外殻が収縮して、中空部分がなくなる場合もある。なお、上記芯部の構造は、発熱素子の全体において均一である必要はなく、部分によって異なっていてもよい。たとえば、芯部を構成する導電性材料が後の熱処理によって溶解して、発熱体内で偏在したり、一部の中空部が消失した状態であってもよい。なお、上記表面導電化層は、多孔質発熱体の所要の発熱性能を阻害しないように厚み等が設定される。
【0045】
上記導電性を有する外殻を構成する材料も、特に限定されることはない。たとえば、Niから上記多孔質導電体の外殻を形成することができる。また、発熱性を有する外殻を構成する材料も、特に限定されることはない。たとえば
、上記外殻を、Niを50〜95%と、Crを5〜50%とを含む合金から形成するのが好ましい。上記範囲の配合量に設定することにより、上記多孔質発熱体を効率よく発熱させることができる。なお、上記NiとCrの配合比を保持した状態で他の成分が配合されてもよい。
【0046】
なお、上記発熱性を有する外殻を、Niを主成分とするとともに導電部を構成できる金属多孔質体の所定部分に、Crを拡散させることにより合金化して発熱性を付与することにより形成することができる。Ni−Cr合金から、直接所要の気孔率を有する多孔質体を形成するのは困難な場合がある。たとえば、上述しためっき法によって、所要部分にNi−Cr合金のめっき層を直接形成するのは困難である。
【0047】
上記手法を採用する場合、まず、Niから多孔質導電部を構成できる多孔質体を形成し、この多孔質体の多孔質発熱部を設ける所定の領域において、上記Niの表面から、Crを拡散させて発熱体として機能するNi−Cr合金とする。
【0048】
Niは、めっき処理しやすいため、上記骨格を容易に形成することができる。また、骨格の厚みや気孔率の異なる種々の金属多孔質体を容易に構成できる。そして、このNi多孔質体をCr合金化することによって、所要の電熱特性を備える発熱体を構成できる。また、多孔質導電部を構成する多孔質導電体の所定の領域を合金化することにより、上記多孔質発熱部と上記多孔質導電部とを、ほぼ同一の形態及び気孔率を有する多孔質体で一体的に形成することができる。
【0049】
上記Ni多孔質体を、Cr合金化する手法は特に限定されることはない。たとえば、導電部を構成する領域にマスキングを施したNi多孔質体に、Cr粉末を充填して加熱することにより、Ni多孔質体の上記領域以外の部分をNi−Cr合金とすることができる。また、Cr源粉末の加熱により発生させた拡散浸透成分ガスと還元性希釈ガスとの混合ガス中で熱処理することにより、Ni多孔質体の所定領域をNi−Cr合金とすることができる。
【0050】
また、Niによって形成された第1の外殻の所定部分に、Crで形成された第2の外殻を積層形成した後、所定の熱処理を行うことにより、上記第1の外殻と上記第2の外殻とを互いに拡散させて合金化することにより、発熱性を付与した外殻を構成できる。
【0051】
本願発明に係る上記ガス加熱装置を備えて、ガス分解装置
を構成することができる。
【0052】
本願発明に係るガス分解素子は、自体で発熱する多孔質発熱素子内に、分解に供せられるガスが流動するように構成されているため、ガスを効率よく加熱して分解することが可能となる。また、上記多孔質導電部の気孔率を高く設定することにより、ガスの流動抵抗が増加することもなくなる。しかも、複数の多孔質体を組み合わせることにより、種々の形態の容器に対応することが可能である。
【0053】
本願発明に係るガス分解素子は、単独で、あるいは他のガス分解素子と組み合わせてガス分解装置を構成することができる。たとえば、筒状MEAを備えるガス分解素子と組み合わせて、効率のよいガス分解装置を構成できる。