(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5748213
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】太陽光発電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/38 20060101AFI20150625BHJP
H02S 40/32 20140101ALI20150625BHJP
【FI】
H02J3/38 130
H02S40/32
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-138139(P2011-138139)
(22)【出願日】2011年6月22日
(65)【公開番号】特開2013-5704(P2013-5704A)
(43)【公開日】2013年1月7日
【審査請求日】2014年6月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】511152496
【氏名又は名称】コア・テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(72)【発明者】
【氏名】諸岡 泰男
(72)【発明者】
【氏名】尾形 哲志
(72)【発明者】
【氏名】俵 忠人
【審査官】
赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−332603(JP,A)
【文献】
特開2007−274841(JP,A)
【文献】
特開2002−238160(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/38
H02S 40/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の太陽光発電パネルを用いて発電した直流出力を交流出力に変換して電力系統に出力する主発電システムと、
前記第1の太陽光発電パネルよりも出力電力量が少ない第2の太陽光発電パネルを用いて発電を行って、前記主発電システムにおいて行われる制御動作の維持に必要な電力を生成する制御用発電システムと、
を備える太陽光発電システムであって、
前記制御用発電システムは、
前記第2の太陽光発電パネルと、
ブスバーを介して前記第2の太陽光発電パネルに接続された直流−交流変換器および直流−直流変換器の少なくとも一方と、
前記直流−交流変換器および前記直流−直流変換器の少なくとも一方の出力を取り出すために用いられる分電盤と、
を備え、前記分電盤を介して取り出された電力が、前記主発電システムにおいて行われる制御動作に用いられることを特徴とする太陽光発電システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記主発電システムは、
直列および並列に接続された複数の前記第1の太陽光発電パネルと、
前記複数の第1の太陽光発電パネルの直流出力を交流出力に変換する複数のパワーコンディショナと、
前記複数のパワーコンディショナと電力系統の送電線との間に設けられた変圧器および保護装置と、
前記主発電システム全体の運転監視制御を行うシステム制御装置と、
を備え、前記パワーコンディショナ、前記保護装置、前記システム制御装置の動作電力が前記制御用発電システムから供給されることを特徴とする太陽光発電システム。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記制御用発電システムは、前記主発電システムの施設の維持に必要な電気負荷に電力を供給することを特徴とする太陽光発電システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項において、
前記制御用発電システムは、前記ブスバーに接続された充放電制御回路および蓄電池を備え、
前記充放電制御回路は、前記第2の太陽光発電パネルを用いた発電によって余剰電力が生じたときに前記蓄電池を充電し、前記第2の太陽光発電パネルを用いた発電に不足電力が生じたときに前記蓄電池を放電することを特徴とする太陽光発電システム。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一項において、
前記制御用発電システムは、交流電源から交流電力を供給する配電線と前記ブスバーとの間に設けられた保護装置、変圧器、交流−直流変換器を備え、
前記第2の太陽光発電パネルを用いた発電に不足電力が生じたときに、前記保護装置および前記変圧器を介して前記配電線から取り込んだ交流電力を前記交流−直流変換器で直流電力に変換して前記ブスバーに供給することを特徴とする太陽光発電システム。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか一項において、
前記制御用発電システムは、前記ブスバーに接続された充放電制御回路および蓄電池と、交流電源から交流電力を供給する配電線と前記ブスバーとの間に設けられた保護装置、変圧器、交流−直流変換器とを備え、
前記第2の太陽光発電パネルを用いた発電によって余剰電力が生じたときに前記充放電制御回路によって前記蓄電池を充電し、
前記第2の太陽光発電パネルを用いた発電に不足電力が生じたときに、前記充放電制御回路によって前記蓄電池を放電する動作と、前記保護装置および前記変圧器を介して前記配電線から取り込んだ交流電力を前記交流−直流変換器で直流電力に変換して前記ブスバーに供給する動作のいずれかを行うことを特徴とする太陽光発電システム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項において、
前記第2の太陽光発電パネルの不具合時あるいは出力低下時に前記第1の太陽光発電パネルから前記ブスバーに電力を供給するための接続スイッチをさらに備えることを特徴とする太陽光発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電によって得られた電力を送電線に送出する太陽光発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、太陽電池を複数接続した太陽光発電パネルで直流電力を発生し、この直流電力を電力変換装置(パワーコンディショナ)によって交流電力に変換した後、変圧器や保護装置を介して電源系統に供給する太陽光発電システムが実用化されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。このようなシステムにおいて、パワーコンディショナの制御装置や、保護装置、冷却ファン、運転監視装置、あるいは操作室のエアコン等の各種電気負荷の動作電力は、上記の太陽光発電パネルによる発電電力の一部を利用している。
【0003】
例えば、特許文献1では、太陽電池の出力の一部を取り出して主D/Dコンバータを介して制御電源に供給する手法や、電源系統や交流電源から供給される交流電力を整流回路を介してD/Dコンバータに取り込み、変換された直流電力を制御電源に供給する手法や、太陽光発電システムの発電電力の一部と交流電源からの電力の両方を制御電源に供給する手法などが提案されている。
【0004】
また、特許文献2では、太陽光発電システムの起動・停止の判断を行うためにモニター用太陽電池を併設したシステムが提案されているが、制御電源の供給については特許文献1に開示されたシステムと同様の構成が採用されている。
【0005】
また、特許文献3では、複数の電源ユニットを併設し、直流バスを介して電力の授受を行う分散電源システムが提案されているが、その制御電源については特許文献1に開示されたシステムと同様に、各電源ユニットからの電力を部分利用する構成が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−271989号公報(第4−5頁、
図1−2)
【特許文献2】特開平8−9555号公報(第3−5頁、
図1−8)
【特許文献3】特開2005−224009号公報(第3−4頁、
図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した各特許文献に開示された従来構成における制御電源に対する電力供給方式には以下に示す問題がある。
(1)太陽光発電システムの発電電力の一部を制御用電力や施設の各種電気負荷の動作電力として用いる場合には、これら制御用電力や電気負荷の動作電力が変動すると、取り出して利用可能な出力電力も変動することになり、出力電力が安定しない。
(2)太陽光発電システムの発電電力の一部を制御用電力に利用するシステムにおいては、夜間、曇りや雨天等、あるいは建物や木々の影等での日照不足により発電量が低下した場合の制御用電力の確保が困難となる。
(3)一般電力事業者等、他の発電システムから送電される交流電源を利用するシステムにおいては、停電時に必要な制御用電力を確保できない。
(4)太陽光発電システムを故障や保守点検等の何らかの理由で停止あるいは待機させる場合、制御用電力のみ供給することがあるが、太陽光発電システムの発電電力の一部を制御用電力に利用する場合には、制御用電力を確保するために太陽光発電システムを用いて無駄な発電を行うことになる。特に、メガソーラ発電では電圧レベル、電流レベルが高いため、太陽光パネルの全量発電状態で保守点検を行うことは安全上望ましくない。
(5)従来の太陽光発電システムでは、設備の建設に必要な工事用電力は、他の一般電力の購入や石油燃料利用の発電機出力を利用しており、工事費が上昇する原因のひとつになっていた。
(6)従来の太陽光発電システムでは、発電電力を増大させるために設備を増設する場合に、同時にこの増設分の制御用電源の増設も合わせて行う必要があり、発電電力増加のための建設費がかさむことになる。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、出力電力を安定させることができる太陽光発電システムを提供することにある。また、本発明の他の目的は、夜間や日照不足時、あるいは停電時にも確実に制御用電力を確保することができる太陽光発電システムを提供することにある。また、本発明の他の目的は、保守点検時に発電を完全に停止させることができる太陽光発電システムを提供することにある。また、本発明の他の目的は、太陽光発電システムの建設において、制御用電力の発電設備を先に建設することにより、その出力を発電出力取り出し用の発電システム(主発電システム)の建設における工事用電力として利用可能とすることで、工事費の上昇を抑えることができる太陽光発電システムを提供することにある。また、本発明の他の目的は、発電量増加に伴う建設費の上昇を抑えることができる太陽光発電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明の太陽光発電システムは、第1の太陽光発電パネルを用いて発電した直流出力を交流出力に変換して電力系統に出力する主発電システムと、第1の太陽光発電パネルよりも出力電力量が少ない第2の太陽光発電パネルを用いて発電を行って、主発電システムにおいて行われる制御動作の維持に必要な電力を生成する制御用発電システムとを備えている。
【0010】
主発電システムとは別に制御用発電システムを備えることにより、主発電システムの制御用電力が変動しても主発電システムから取り出して利用可能な出力電力を安定させることができる。また、太陽光発電パネルを用いた制御用発電システムによって制御用電力を生成しているため、一般電力事業者等、他の発電システムから送電される交流電源を利用する必要がなく、停電時にも確実に制御用電力を確保することができる。また、主発電システムの保守点検等を行う場合に必要な電力を制御用発電システムから供給することができるため、主発電システムによる発電を完全に停止させることができる。また、太陽光発電システムを建設する場合において、制御用発電システムを先に建設することにより、その出力を主発電システムの建設における工事用電力として利用することが可能となり、工事費の上昇を抑えることができる。さらに、発電電力を増加させるために主発電システムの設備を増設する場合であっても、制御用発電システムはそのまま用いることができるため、主発電システムの発電量増加に伴う建設費の上昇を抑えることができる。
【0011】
また、上述した主発電システムは、直列および並列に接続された複数の第1の太陽光発電パネルと、複数の第1の太陽光発電パネルの直流出力を交流出力に変換する複数のパワーコンディショナと、複数のパワーコンディショナと電力系統の送電線との間に設けられた変圧器および保護装置と、主発電システム全体の運転監視制御を行うシステム制御装置とを備え、パワーコンディショナ、保護装置、システム制御装置の動作電力が制御用発電システムから供給されることが望ましい。これにより、主発電システムの太陽光発電パネルの出力を、所望の電圧値を有する交流電力に変換して電力系統の送電線に送出することができるとともに、この交流電力の生成に必要な制御用電力を制御用発電システムから供給することが可能となる。
【0012】
また、上述した制御用発電システムは、主発電システムの施設の維持に必要な電気負荷に電力を供給することが望ましい。制御用電力とともに、変動が大きい施設維持に必要な電気負荷の電力を制御用発電システムから供給することにより、主発電システムから取り出して利用可能な出力電力をさらに安定させることができる。
【0013】
また、上述した制御用発電システムは、第2の太陽光発電パネルと、ブスバーを介して第2の太陽光発電パネルに接続された直流−交流変換器および直流−直流変換器の少なくとも一方と、これらの出力を取り出すために用いられる分電盤とを備え、分電盤を介して取り出された電力が、主発電システムにおいて行われる制御動作に
用いられる。これにより、主発電システムにおいて必要な各種電圧値の直流/交流電力を生成することが可能になる。
【0014】
また、上述した制御用発電システムは、ブスバーに接続された充放電制御回路および蓄電池を備え、充放電制御回路は、第2の太陽光発電パネルを用いた発電によって余剰電力が生じたときに蓄電池を充電し、第2の太陽光発電パネルを用いた発電に不足電力が生じたときに蓄電池を放電することが望ましい。これにより、夜間や日照不足時に蓄電池を用いて制御用電力の生成動作を維持することができ、確実に制御用電力を確保することができる。
【0015】
また、上述した制御用発電システムは、交流電源から交流電力を供給する配電線とブスバーとの間に設けられた保護装置、変圧器、交流−直流変換器を備え、第2の太陽光発電パネルを用いた発電に不足電力が生じたときに、保護装置および変圧器を介して配電線から取り込んだ交流電力を交流−直流変換器で直流電力に変換してブスバーに供給することが望ましい。これにより、夜間や日照不足時に制御用電力が不足した場合のみ配電線から取り込んだ電力を利用して制御用電力の生成動作を維持することができ、確実に制御用電力を確保することができる。
【0016】
また、上述した制御用発電システムは、ブスバーに接続された充放電制御回路および蓄電池と、交流電源から交流電力を供給する配電線とブスバーとの間に設けられた保護装置、変圧器、交流−直流変換器とを備え、第2の太陽光発電パネルを用いた発電によって余剰電力が生じたときに充放電制御回路によって蓄電池を充電し、第2の太陽光発電パネルを用いた発電に不足電力が生じたときに、充放電制御回路によって蓄電池を放電する動作と、保護装置および変圧器を介して配電線から取り込んだ交流電力を交流−直流変換器で直流電力に変換してブスバーに供給する動作のいずれかを行うことが望ましい。これにより、夜間や日照不足時に蓄電池を用いて、あるいは、配電線から取り込んだ電力を利用して制御用電力の生成動作を維持することができ、確実に制御用電力を確保することができる。また、蓄電池に蓄えた電力量が不足する場合に、配電線から取り込んだ電力を利用するようにすれば、蓄電池の小型化が可能となる。
【0017】
また、上述した第2の太陽光発電パネルの不具合時あるいは出力低下時に第1の太陽光発電パネルからブスバーに電力を供給するための接続スイッチをさらに備えることが望ましい。制御用発電システム内の太陽光発電パネルの不具合時等に応急処置として主発電システム内の太陽光発電パネルから電力を供給することにより、主発電システムによる発電を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】一実施形態の太陽光発電システムの基本構成を示すブロック図である。
【
図3】パワーコンディショナの基本的構成を示す図である。
【
図4】変形例の太陽光発電システムの構成を示すブロック図である。
【
図5】他の変形例の太陽光発電システムの構成を示すブロック図である。
【
図6】他の変形例の太陽光発電システムの構成を示すブロック図である。
【
図7】他の変形例の太陽光発電システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を適用した一実施形態の太陽光発電システムについて、図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1は、一実施形態の太陽光発電システムの基本構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態の太陽光発電システムは、発電した直流出力を交流出力に変換して電力系統に出力する主発電システム10と、主発電システム10において行われる制御動作の維持に必要な電力を生成する制御用発電システム20とを含んで構成されている。具体的には、制御用発電システム20では、主発電システム10の制御装置(後述する)の動作を維持するための電力(制御用電力)と主発電システム10の施設の維持に必要な所内負荷(例えば、照明やエアコンなどの電気負荷)の電力が生成される。
【0021】
主発電システム10は、第1の太陽光発電パネル11a、11b、・・・、11n、集電ラック12、パワーコンディショナ(PCS)13a、・・・、13m、変圧器15、システム制御装置16、系統連系保護装置17、遮断機18を備えている。
【0022】
第1の太陽光発電パネル11a、11b、・・・、11nで発電した直流電力が、集電ラック12を介してパワーコンディショナ(PCS)13a、・・・13mに供給される。
【0023】
図2は、太陽光発電パネル11a等の構成を示す図である。
図2に示すように、太陽光発電パネル11aは、n個の太陽電池モジュール11a−11、・・・、11a−1nが直列に接続されて1つのストリングを構成し、このストリングをm個並列に接続箱11a−Cで接続することによりアレイ構成が形成されている。他の太陽光パネル11b、・・・、11nも同様の構成を有している。なお、太陽電池モジュール11a−11等を並列接続したものを互いに直列接続して太陽光発電パネル11aを構成するようにしてもよい。
【0024】
また、太陽光発電パネル11a、11b、・・・11nは、複数を単位としてm個にグループ分けされており、各グループ毎に別々に集電ラック12が接続される。各集電ラック12には、複数の太陽光発電パネルのそれぞれに含まれる接続箱と、1台のパワーコンディショナが接続されている。例えば、太陽光発電パネル11aの接続箱11a−Cと太陽光発電パネル11bの接続箱11b−Cが1つの集電ラック12によって並列に接続され、これら2つの太陽光発電パネル11a、11bの出力が、これらに対応するパワーコンディショナ13aに供給されるようになっている。パワーコンディショナ13aでは、第1の太陽光発電パネル11a、11bの直流出力が交流出力に変換される。
【0025】
図3は、パワーコンディショナ13a等の基本的構成を示す図である。
図3に示すように、パワーコンディショナ13aは、直流−交流変換器(DC/AC)13a1、保護継電器13a2、制御装置13a3、冷却ファン(FAN)13a4、表示器13a5、分電盤13a6を備えている。他のパワーコンディショナも同様の構成を有している。
【0026】
直流−交流変換器13a1は、集電ラック12からの入力される直流(DC)電圧を三相交流(AC)に変換する。この三相交流は保護継電器13a2を介して出力される。制御装置13a3は、直流−交流変換器13a1による変換動作を制御する。冷却ファン13a4は、パワーコンディショナ13aの筐体(図示せず)に設けられており、直流−交流変換器13a1等で発生した熱を筐体内から外部に放出することで、筐体内に配置された直流−交流変換器13a1等を冷却する。表示器13a5は、パワーコンディショナ13aの動作状態を表示する。また、パワーコンディショナ13aが屋外に設置されている場合には、エアコンや照明等の付属設備(図示せず)が備わっている場合もある。これら直流−交流変換器13a1、保護継電器13a2、制御装置13a3、冷却ファン13a4、表示器13a5、エアコン、照明等の電源(動作電力)は、制御用発電システム20から分電盤13a6に取り込まれ、これらの各機器に供給される。
【0027】
図1に示すように、m台のパワーコンディショナ13a〜13mの交流出力は、電源母線としての交流ブス14を介して昇圧用の変圧器15に供給される。なお、
図1に示す構成では1台の変圧器15を示したが、昇圧比が大きい場合には変圧器15を複数段設けるようにしたもよい。例えば、パワーコンディショナ13a〜13mの出力電圧を400〜600Vとすると、送電系統への供給電圧である66kV以上の超高圧電力に昇圧する場合には、一旦複数の交流ブスおよび複数の中間変圧器で6.6kVに昇圧し、その出力を更に超高圧変圧器で昇圧することが望ましい。
【0028】
変圧器15の出力は、系統連系保護装置17および遮断器18を介して系統送電線19に送出される。なお、
図1に示す構成では、系統保護装置17は、変圧器15と分離して示したが、中間変圧器や超高圧変圧器の保護装置、過電圧継電器、過電流継電器、地絡検出継電器、方向継電器、避雷器等を含み、その配置は各変圧器の前後に設置される。また、電圧計、電流計、電力計、無効電力計、電力取引用計器等も系統連系保護装置17に付属している。
【0029】
システム制御装置16は、主発電システム10全体のシーケンス制御、パワーコンディショナ13a〜13mの制御、系統連系保護装置17および遮断機18等の駆動制御、各種計器の収集監視等、システム全体の運転監視制御を行う。
【0030】
本実施形態においては、主発電システム10に含まれるシステム制御装置16やパワーコンディショナ13a〜13m等の各構成の電源(動作電力)は、主発電システム10内の第1の太陽光発電パネル11a〜11nによる発電電力を用いずに、制御用発電システム20から供給される電力を用いている。
【0031】
図1において、制御用発電システム20は、第2の太陽光発電パネル21、直流−交流変換器(DC/AC)23、直流−直流変換器(DC/DC)24、分電盤27a、27b、27c、27dを含んで構成されている。
【0032】
第2の太陽光発電パネル21は、主発電システム10に備わった第1の太陽光発電パネル10a等よりも出力電力量が少ない。この第2の太陽光発電パネル21で発電した直流電力がブスバー22を介して直流−交流変換器23と直流−直流変換器24に供給される。直流−交流変換器23は、ブスバー22を介して入力される直流電圧を交流電圧に変換する。例えば、AC210VとAC110Vの2種類の交流電圧に変換される。また、直流−直流変換器24は、ブスバー22を介して入力される直流電圧を値が異なる直流電圧に変換する。例えば、DC5VとDC100Vの2種類の直流電圧に変換される。これらの交流電圧や直流電圧に変換された電力は、分電盤27a、27b、27c、27dを介して、主発電システム10に含まれるシステム制御装置16、パワーコンディショナ13a〜13m、系統連系保護装置17、遮断機18や所内負荷に供給される。なお、直流−交流変換器23や直流−直流変換器24等の制御用発電システム20内の各構成の動作に必要な電力はブスバー22から供給される。
【0033】
このように、本実施形態の太陽光発電システムでは、主発電システム10とは別に制御用発電システム20が備わっており、主発電システム10の制御用電力が変動しても主発電システム10から取り出して利用可能な出力電力を安定させることができる。また、第2の太陽光発電パネル21を用いた制御用発電システム20によって制御用電力を生成しているため、一般電力事業者等、他の発電システムから送電される交流電源を利用する必要がなく、停電時にも確実に制御用電力を確保することができる。また、主発電システム10の保守点検等を行う場合に必要な電力を制御用発電システム20から供給することができるため、主発電システム10による発電を完全に停止させることができる。また、太陽光発電システムを建設する場合において、制御用電力システム20を先に建設することにより、その出力を主発電システム10の建設における工事用電力として利用することが可能となり、工事費の上昇を抑えることができる。さらに、発電電力を増加させるために主発電システム10の設備を増設する場合であっても、制御用発電システム20はそのまま用いることができるため、主発電システム10の発電量増加に伴う建設費の上昇を抑えることができる。
【0034】
また、主発電システム10による発電を開始する前に、制御用発電システム20から電力供給を受けたシステム制御装置16等が制御動作を行うため、主発電システム10による発電前に不具合の有無を検査することが可能になり、太陽光発電システム全体の安全性を高めることができる。
【0035】
また、第1の太陽光発電パネル11a等、パワーコンディショナ13a等、変圧器15、システム制御装置16、系統連系保護装置17等を含んで主発電システム10を構成しており、太陽光発電パネル11a等の出力を、所望の電圧値を有する交流電力に変換して電力系統の系統送電線19に送出することができるとともに、この交流電力の生成に必要な制御用電力を制御用発電システム20から供給することが可能となる。
【0036】
また、制御用電力とともに、変動が大きい施設維持に必要な電気負荷の電力を制御用発電システム20から供給することにより、主発電システム10から取り出して利用可能な出力電力をさらに安定させることができる。
【0037】
また、第2の太陽光発電パネル21、直流−交流変換器23、直流−直流変換器24、分電盤27a等を含んで制御用発電システム20を構成しており、主発電システム10において必要な各種電圧値の直流/交流電力を生成することが可能になる。
【0038】
(変形例1)
ところで、
図1に示した実施形態の構成に含まれる制御用発電システム20は、太陽の日射量が所定レベル以上のときに動作するが、日射量が所定レベル以下となったときや、夜間には動作しないことになる。あるいは、太陽光の日射量は時々刻々変化し、安定した電圧レベルの電力を発生できないこともある。このような状況に対する対処するために、蓄電池を追加したり、電気事業者から電力を入手するようにしてもよい。
【0039】
図4は、変形例の太陽光発電システムの構成を示すブロック図である。
図4に示す変形例の太陽光発電システムは、
図1に示した構成に対して、制御用発電システム20を制御用発電システム20Aに置き換えた点が異なっている。また、この制御用発電システム20Aは、制御用発電システム20に対して、充放電制御回路31と蓄電池32を追加した点が異なっている。
【0040】
充放電制御回路31は、ブスバー22と蓄電池32のそれぞれに接続されており、蓄電池32に対する充放電動作を制御する。具体的には、充放電制御回路31は、第2の太陽光発電パネル21による発電量が所定値(例えば、主発電システム10の制御用電力等として確保する必要がある電力量に相当する値)以上のときに蓄電池32を充電制御し、第2の太陽光発電パネル21による発電量が所定値を下回ったときに蓄電池32を放電制御する。
【0041】
これにより、太陽の日射量が所定レベル以上のときに、ブスバー22から供給される電力によって蓄電池32が充電される。一方、太陽の日射量が所定レベル以下となったときや夜間には、蓄電池32から出力される電力がブスバー22に供給され、ブスバー22から直流−交流変換器23や直流−直流変換器24に対して、安定した電圧レベルの電力供給が維持されるため、確実に制御用電力を確保することができる。また、24時間体制で太陽光発電システム全体の監視や保守を実施することが可能となる。
【0042】
(変形例2)
図5は、他の変形例の太陽光発電システムの構成を示すブロック図である。
図5に示す変形例の太陽光発電システムは、
図1に示した構成に対して、制御用発電システム20を制御用発電システム20Bに置き換えた点が異なっている。また、この制御用発電システム20Bは、制御用発電システム20に対して、交流−直流変換器(AD/DC)33、変圧器34、保護継電器35を追加した点が異なっている。この制御用発電システム20Bでは、一般の電気事業者の配電線36から供給される低圧の交流電力を取得し、保護継電器35を介して変圧器34に入力し、変圧器34で降圧した交流電力を交流−直流変換器33で直流電力に変換し、ブスバー22に供給している。
【0043】
これにより、太陽の日射量が所定レベル以下となったときや夜間には、一般の電気事業者の配電線36から取得した電力がブスバー22に供給され、ブスバー22から直流−交流変換器23や直流−直流変換器24に対して、安定した電圧レベルの電力供給が維持されるため、確実に制御用電力を確保することができる。
【0044】
(変形例3)
図6は、他の変形例の太陽光発電システムの構成を示すブロック図である。
図6に示す変形例の太陽光発電システムは、
図1に示した構成に対して、制御用発電システム20を制御用発電システム20Cに置き換えた点が異なっている。また、この制御用発電システム20Cは、制御用発電システム20に対して、充放電制御回路31、蓄電池32、交流−直流変換器33、変圧器34、保護継電器35を追加した点が異なっている。制御用発電システム20Cは、上述した制御用発電システム20Aの構成と制御用発電システム20Bの構成を組み合わせたものである。
【0045】
これにより、太陽の日射量が所定レベル以上のときに、ブスバー22から供給される電力によって蓄電池32が充電される。一方、太陽の日射量が所定レベル以下となったときや夜間には、蓄電池32から出力される電力がブスバー22に供給され、ブスバー22から直流−交流変換器23や直流−直流変換器24に対して、安定した電圧レベルの電力供給が維持される。あるいは、一般の電気事業者の配電線36から取得した電力がブスバー22に供給され、ブスバー22から直流−交流変換器23や直流−直流変換器24に対して、安定した電圧レベルの電力供給が維持される。夜間等において蓄電池32からの電力だけでなく、電気事業者の配電線36からの電力を用いることにより、蓄電池32の容量を低減して低コスト化を図ることが可能となる。
【0046】
(変形例4)
図7は、他の変形例の太陽光発電システムの構成を示すブロック図である。
図7に示す変形例の太陽光発電システムは、
図4に示した構成に対して、制御用発電システム20Aを制御用発電システム20Dに置き換えた点が異なっている。また、この制御用発電システム20Dは、制御用発電システム20Aに対して接続スイッチ40を追加した点が異なっている。接続スイッチ40は、ブスバー22と主発電システム10のいずれかの集電ラック12との接続をオン/オフする。制御用発電システム20D内の第2の太陽光発電パネル21の不具合時や出力低下時に、応急処置として接続スイッチ40を介して主発電システム10から電力を補給することが可能となる。
【0047】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。上述した実施形態では、制御用発電システム20等に直流−交流変換器23と直流−直流変換器24の両方を備えたが、必要に応じていずれか一方のみを備えるようにしてもよい。また、制御用発電システム20等から、主発電システム10の制御用電力と施設の維持に必要な所内負荷の両方を供給するようにしたが、いずれか一方のみを供給するようにしてもよい。また、
図7に示した接続スイッチ40は、
図1に示した制御用発電システム20、
図5に示した制御用発電システム20B、
図6に示した発電制御システム20Cのいずれかにおいて追加するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明によれば、主発電システム10とは別に制御用発電システム20を備えることにより、主発電システム10の制御用電力が変動しても主発電システム10から取り出して利用可能な出力電力を安定させることができる。
【符号の説明】
【0049】
10 主発電システム
11a、11b、・・・、11n 第1の太陽光発電パネル
11a−C 接続箱
12 集電ラック
13a、・・・、13m パワーコンディショナ
13a1 直流−交流変換器(DC/AC)
13a2 保護継電器
13a3 制御装置
13a4 冷却ファン
13a5 表示器
13a6 分電盤
14 交流ブス
15 変圧器
16 システム制御装置
17 系統連系保護装置
18 遮断機
19 系統送電線
20、20A、20B、20C、20D 制御用発電システム
21 第2の太陽光発電パネル
23 直流−交流変換器(DC/AC)
24 直流−直流変換器(DC/DC)
27a、27b、27c、27d 分電盤
31 充放電制御回路
32 蓄電池
33 交流−直流変換器(AD/DC)
34 変圧器
35 保護継電器
36 配電線
40 接続スイッチ