特許第5748222号(P5748222)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5748222
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】板材の接合構造
(51)【国際特許分類】
   F16B 5/07 20060101AFI20150625BHJP
   A47B 77/04 20060101ALI20150625BHJP
   F16B 5/06 20060101ALI20150625BHJP
   F16B 12/50 20060101ALI20150625BHJP
   F16B 12/10 20060101ALI20150625BHJP
【FI】
   F16B5/07 K
   A47B77/04 Z
   F16B5/06 A
   F16B12/50 A
   F16B12/10 A
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-273900(P2011-273900)
(22)【出願日】2011年12月14日
(65)【公開番号】特開2013-124718(P2013-124718A)
(43)【公開日】2013年6月24日
【審査請求日】2014年9月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002222
【氏名又は名称】サンウエーブ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099357
【弁理士】
【氏名又は名称】日高 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100110320
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 知子
(72)【発明者】
【氏名】宮本 健一
【審査官】 長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭48−077233(JP,U)
【文献】 実開平02−078805(JP,U)
【文献】 特開2001−304213(JP,A)
【文献】 特開2003−179365(JP,A)
【文献】 実開昭60−006275(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 5/07
A47B 77/04
F16B 5/06
F16B 12/10
F16B 12/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の収納家具を構成する板材同士を接合させるための板材の接合構造であって、互いに接合する板材のうち、弾性変形可能な材料より形成された一方の板材の両側の接合部には、それぞれ、内側に曲折されることにより本体内面に沿う端面が形成され、前記端面及び前記端面と対向する本体の共通する個所に、前記端面の弾性変形に伴う移動方向と直交する方向にスリットが形成され、前記一方の板材の外側から当接する他方の板材の接合部には、内側に曲折されることにより前記一方の部材のスリットに対向する対向端面が形成され、前記対向端面には前記一方の部材の前記端面及び前記本体のスリットに嵌入可能な突片が形成され、前記一方の部材における前記端面のスリットと前記本体のスリットとは、幅方向にズレて形成され、前記両スリットの重畳する幅の大きさは、前記他方の板材の対向端面の突片の厚さより小であることを特徴とする板材の接合構造。
【請求項2】
前記突片は先端部より基部が小なるフック形状であることを特徴とする請求項1に記載の板材の接合構造。
【請求項3】
前記一方の板材における前記端面のスリットは、前記本体のスリットより幅方向内側にズレて形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の板材の接合構造。
【請求項4】
前記一方の板材における前記端面のスリットは、前記本体のスリットより幅方向外側にズレて形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の板材の接合構造。
【請求項5】
前記一方の板材における前記端面のスリットには、長手方向の一部に幅方向に拡張された幅広部が形成され、前記他方の部材における前記対向面の突片において、基部は前記スリットの幅広部に嵌入可能に形成され、前記基部に続く先端部は前記スリットの幅広部に嵌入不可能に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の板材の接合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製の収納家具を構成する板材同士を互いに接合させるための板材の接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、システムキッチンの構成部材としての流し台や調理台などの金属製のキャビネットを容易に組み立てられるようにするために、キャビネットを構成する背板と左右の側板を一枚の金属の板材を折曲することで一体的に形成し、その板材に底板や幕板や補強材などをねじ止めによって接合させるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、キャビネットの側板の接合溝に端部を嵌め入れて該側板に接合された背板を固定するため、側板の内面に固定止具によって固定される固定基部と、この固定基部に連成されるとともに、背板の上端面に当接される押さえ部とを備えた背板押さえ部材を用いて側板に背板を固定するようにしたキャビネットが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−50980号公報
【特許文献2】特開2011−99517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に記載のキャビネットにあっては、一枚の金属の板材を折曲することで背板と側板を形成するので、大きな板材を使用しなければならず、それに伴い大型のプレス機等を導入する必要があり、キャビネットの製造設備が大規模なものとなる。更に、背板と側板を構成する金属の板材に、底板や幕板や補強材などをねじによって接合させなければならず、そのねじ止め作業のために組み立てに時間がかかるため、低コストでキャビネットを製造できないという問題があった。
【0006】
また、前記特許文献2に記載のキャビネットにあっては、固定止具及び背板押さえ部材など、板材を固定するための固定具を別途用意しなければならず、さらに、背板押さえ部材を固定止具で固定しなければならないため、そのねじ止め作業のために組み立てに時間がかかり、低コストでキャビネットを製造できないという問題があった。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、金属製の収納家具を構成する板材の接合作業を容易に行えるようにし、低コストでもって金属製の収納家具を製造できる板材の接合構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明の板材の接合構造は、金属製の収納家具を構成する板材同士を接合させるための板材の接合構造であって、
互いに接合する板材のうち、弾性変形可能な材料より形成された一方の板材の両側の接合部には、
それぞれ、内側に曲折されることにより本体内面に沿う端面が形成され、前記端面及び前記端面と対向する本体の共通する個所に、前記端面の弾性変形に伴う移動方向と直交する方向にスリットが形成され、
前記一方の板材の外側から当接する他方の板材の接合部には、
内側に曲折されることにより前記一方の部材のスリットに対向する対向端面が形成され、前記対向端面には前記一方の部材の前記端面及び前記本体のスリットに嵌入可能な突片が形成され、前記一方の部材における前記端面のスリットと前記本体のスリットとは、幅方向にズレて形成され、前記両スリットの重畳する幅の大きさは、前記他方の板材の対向端面の突片の厚さより小であることを特徴としている。
この特徴によれば、前記他方の板材の対向端面の突片が前記一方の板材のスリットに嵌入するには、前記一方の板材における前記端面のスリットと前記本体のスリットとの重畳する幅の大きさが前記突片の厚さ以上になるように前記端面が弾性力に抗して移動され、前記突片がスリットに嵌入した状態では、前記端面の弾性復元力により前記突片が前記両スリットに挟着され、抜けにくくなるため、前記両板材はガタつきのない状態でしっかりと接合される。
したがって、一枚の金属の板材を折曲することで背板と側板を形成する場合のように大きな板材を使用する必要がなく、また、板材を固定するための固定具を別途用意することなく、接合される板材のみで接合が可能になる。このため、接合作業が容易であり、低コストでもって板材の接合を達成できる。
【0009】
本発明の板材の接合構造は、前記突片は先端部より基部が小なるフック形状であることを特徴としている。
この特徴によれば、前記突片がスリットに嵌入した状態では、前記端面の弾性復元力により前記突片が前記両スリットに挟着され、抜けにくくなるため、前記両板材はガタつきのない状態でしっかりと接合されるととともに、突片の嵌入後に両板材を相対的に上下移動させれば、前記両スリットにフックが引掛ることで確実に接合され、離脱することがない。
【0010】
本発明の板材の接合構造は、前記一方の板材における前記端面のスリットは、前記本体のスリットより幅方向内側にズレて形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、前記一方の板材における前記端面のスリットと前記本体のスリットとの重畳する幅の大きさが前記突片の厚さ以上になるように前記端面を弾性力に抗して移動させる作業を、前記端面の元部を内側から外側に向けて押すだけで行うことができる。
【0011】
本発明の板材の接合構造は、前記一方の板材における前記端面のスリットは、前記本体のスリットより幅方向外側にズレて形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、前記一方の板材における前記端面のスリットと前記本体のスリットとの重畳する幅の大きさが前記突片の厚さ以上になるように前記端面を弾性力に抗して移動させる作業を、前記端面の元部を外側から内側に向けて押すだけで行うことができる。
【0012】
本発明の板材の接合構造は、前記一方の板材における前記端面のスリットには、長手方向の一部に幅方向に拡張された幅広部が形成され、前記他方の部材における前記対向面の突片において、基部は前記スリットの幅広部に嵌入可能に形成され、前記基部に続く先端部は前記スリットの幅広部に嵌入不可能に形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、前記端面を押圧による弾性変形を利用して移動させ、前記端面のスリットが本体のスリットおよび前記対向面の突片に整合する状態で前記突片をスリットに嵌入し、これに続いて前記端面に対する押圧を解除すると、弾性変形により前記端面が元に戻り、前記突片の基部が前記スリットの幅広部に嵌入するので、前記突片が前記スリットから抜け出ることはない。したがって、前記両板材は確実に接合され、離脱することがない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例1及び2における金属製収納家具の側板と背板を示すもので背面から見た斜視図である。
図2】実施例1における金属製収納家具の側板と背板との接合構造を示す一部拡大斜視図である。
図3図2のA−A断面図であって、背板における端面のスリットが本体のスリットより幅方向内側にズレて形成されている場合を示すものである。
図4図2のA−A断面図であって、背板における端面のスリットが本体のスリットより幅方向外側にズレて形成されている場合を示すものである。
図5】実施例2における金属製収納家具の側板と背板との接合構造を示す一部拡大斜視図である。
図6図5のB−B断面図であって、背板における端面のスリットが本体のスリットより幅方向内側にズレて形成されている場合を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る板材の接合構造を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は、実施例1及び2における金属製の収納家具の側板と背板を示すもので背面から見た斜視図である。
図1には、キッチン等に配置される流し台、調理台あるいは戸棚を構成する金属製の収納家具1の側板2及び背板3が示されており、この金属製収納家具1は、肉薄のステンレス製の板材で構成された側板2、背板3、底板(図示略)及び天板(図示略)の端部同士を互いに接合させて組み立てられるようになっている。
【0016】
図2は、実施例1における金属製収納家具1の側板2と背板3との接合構造を示すものである。
図2において、側板2と背板3とは互いに端部において接合されるものであって、弾性変形可能な材料より形成された背板3の両側の接合部は、それぞれ、内側に曲折された第1の曲折部4に続いて第2の曲折部5、第3の曲折部6及び第4の曲折部7が形成されることにより本体8の内面に沿う端面9が形成されている。すなわち、背板3の両側の接合部は、横断面形状が矩形状をなし、本体8から内側に曲折された第1の曲折面10、第2の曲折面11、第3の曲折面12及び本体8の内面に沿う端面9を有し、側板2と一体に接合された場合、接合端部において十分な剛性を有する構造となっている。
そして、例えば、第3の曲折面12を外側あるいは内側に押圧すると、弾性変形により端面9は本体8の面に沿って移動可能となっている。
【0017】
背板3の端面9及び端面9と対向する本体8の共通する個所に、それぞれ、端面9が弾性変形により移動される方向と直交する方向にスリット13、14が形成される。図2において、端面9のスリット13は、第4の曲折部7のコーナーに形成され、本体8のスリット14は、端面9のスリット13の本体8に平行な部分と共通する位置に形成されている。端面9のスリット13の位置は、図2のように第4の曲折部7のコーナーに形成されるものに限らず、本体8と対向する位置であればよい。また、スリット13及び14は、背板3と側板2との接合を確実なものとするため背板3及び側板2の縦方向に複数設けられる。
【0018】
背板3の外側から当接する側板2の接合部は、内側に曲折された第1の曲折部15に続いて第2の曲折部16において再度曲折されることにより背板3のスリット13及び14に対向する対向端面17を有している。対向端面17には背板3の端面9及び本体8のスリット13、14に嵌入可能な突片18が形成されている。突片18は先端部より基部が小なるフック形状に形成されている。
【0019】
突片18の形成される位置は、背板3のスリット13及び14に対応する位置であり、
例えば上下方向において、図2において側板2と背板3の天端を一致させて接合する場合には、側板2の天端から突片18の基部の下端までの距離と、背板3の天端からスリット13及び14の下端までの距離とが一致するように設定される。
また、突片18の数も背板3のスリット13及び14と同じである。
【0020】
図3は、図2のA−A断面図であって、背板3における端面9のスリット13が本体8のスリット14より幅方向内側にズレて形成されている場合を示すものである。
図3において、実線は、側板2と背板3とが接合される前の状態を示しており、2点鎖線は、側板2と背板3とが接合された後の状態を示している。実線で示す接合前の状態において、側板2の突片18は背板3のスリット13及び14に対向するように形成され、厚さtを有している。背板3の本体8に形成されたスリット14は、突片18が嵌入可能な大きさを有し、突片18が嵌入できる状態にある。一方、背板3の端面9に形成されたスリット13は、突片18が嵌入可能な大きさを有しているが、突片18及びスリット14に対してわずかに幅方向内側にズレて形成されている。このように、スリット13がズレている状態においては、両スリット13及び14の重畳する幅の大きさdは、側板2の突片18の厚さtより小さく設定されている。したがって、この状態で側板2の突片18を背板3のスリット13に嵌入することはできない。
【0021】
スリット13の幅方向内側へのズレは、背板2の成形時において第3の曲折面12をわずかに幅方向内側に変位させておいてもよく、あるいは、スリット13の穿孔位置を突片18及びスリット14に対してわずかに幅方向内側にズラして形成してもよい。図3では、第3の曲折面12をわずかに内側に変位させた場合を示している。
【0022】
側板2の突片18を背板3のスリット13及び14に嵌入するには、背板2の第3の曲折面12を内側から矢印Pで示すように押圧して第3の曲折面12を弾性変形させ、スリット13を突片18及びスリット14に整合させた状態で、側板2の突片18をスリット14及びスリット13に嵌入するように矢印Qで示すように移動し、側板2の内面が背板3の外面に当接するまで突片18をスリット13及び14に嵌入させる。この状態で側板2を下方に移動すると、突片18の基部の下端がスリット13及び14の下端に当接し、両板材が接合される。
【0023】
側板2の突片18がスリット14及びスリット13に嵌入された状態においては、背板3の端面9は弾性により元に戻ろうとする力が働くため、側板2の突片18は、スリット13及びスリット14と間で挟着されている。また、突片18のフック形状の先端部がスリット13の内面の下方にまで嵌入されている。したがって、両板材2及び3は、ガタつきのない状態でしっかりと接合され、抜けにくくなっているとともに、側板2が背板3に対して上方に移動されない限り、両板材の接合が解除されることはない。
【0024】
図4は、図2のA−A断面図であって、背板3における端面9のスリット13が本体8のスリット14より幅方向外側にズレて形成されている場合を示すものであって、図3と同じ符号は図3の部材と同じ部材を指しており、詳しい説明は省略する。
図4において、実線は、側板2と背板3とが接合される前の状態を示しており、2点鎖線は、側板2と背板3とが接合された後の状態を示している。
スリット13の幅方向外側へのズレは、背板2の成形時において第3の曲折面12をわずかに幅方向外側に変位させておいてもよく、あるいは、スリット13の穿孔位置を突片18及びスリット14に対してわずかに幅方向外側にズラして形成してもよい。図4では、第3の曲折面12をわずかに幅方向外側に変位させた場合を示している。
【0025】
側板2の突片18を背板3のスリット13及び14に嵌入するには、背板2の第3の曲折面12を外側から矢印Pで示すように押圧して第3の曲折面12を弾性変形させ、スリット13を突片18及びスリット14に整合させた状態で、側板2の突片18をスリット14及びスリット13に嵌入するように矢印Qで示すように移動し、側板2の内面が背板3の外面に当接するまで突片18をスリット13及び14に嵌入させる。この状態で側板2を下方に移動すると、突片18の基部の下端がスリット13及び14の下端に当接し、両板材が接合される。
【0026】
側板2の突片18がスリット14及びスリット13に嵌入された状態においては、背板3の端面9は弾性により元に戻ろうとする力が働くため、側板2の突片18は、スリット13及びスリット14と間で挟着されている。また、突片18のフック形状の先端部がスリット13の内面の下方にまで嵌入されている。したがって、両板材2及び3は、ガタつきのない状態でしっかりと接合され、抜けにくくなっているとともに、側板2が背板3に対して上方に移動されない限り、両板材の接合が解除されることはない。
【実施例2】
【0027】
図5は、実施例2における金属製の収納家具の側板2と背板3との接合構造を示すものであって、図1と同じ符号は図1の部材と同じ部材を指しており、詳しい説明は省略する。
図5において、背板3における端面9のスリット20は、長手方向の一部である上部に幅方向の外側に向けて拡張された幅広部21を有している。また、背板3における本体8のスリット22は、スリット20の幅広部21と同じ幅を有し、長さもスリット20と同じである。
【0028】
一方、側板2における対向端面17の突片23は、基部24がスリット20の幅広部21に対応するように形成され、幅広部21の長さより短い長さを有するとともに、基部24に続き下方に延出された先端部25がスリット20の幅広部21の長さより長く、スリット20の長さより短い長さを有している。
したがって、側板3の突片23の先端部25は、スリット20には嵌入可能であるが、幅広部21に嵌入することはできず、突片23の基部24のみが、幅広部21に嵌入可能である。
図5では、スリット20の幅広部21が上部に設けられた場合を示しているが、上部に限らず、下部あるいは中央でもよい。この場合、側板3の突片23の形状もスリット20の形状に合わせて形成されることはもちろんである。
【0029】
図6は、図5のB−B断面図であって、背板3における端面9のスリット20が本体8のスリット22及び突片23より幅方向内側にズレて形成されている場合を示すものである。
図6において、実線は、側板2と背板3とが接合される前及び接合された後の状態を示しており、2点鎖線は、側板2と背板3とが接合される時の状態を示している。
【0030】
スリット20の幅方向内側へのズレは、背板2の成形時において、スリット20の穿孔位置を突片23及びスリット22に対してわずかに内側にズラして穿孔されるか、あるいは、背板2の成形時において第3の曲折面12をわずかに幅方向内側に変位させておいてもよい。すなわち、スリット20の穿孔位置は、スリット20の幅広部21が突片23及びスリット22に対向する位置と同じかそれ以上内側にズラして形成される。図6では、スリット20の穿孔位置を幅広部21が突片23及びスリット22に対向する位置になるようわずかに内側にズラして穿孔した場合を示している。
したがって、この状態では、側板2の突片23を背板3のスリット21及び22に嵌入することはできない。
【0031】
実線で示す状態から側板2の突片23を背板3のスリット20及び22に嵌入するには、背板2の第3の曲折面12を内側から矢印Pで示すように押圧して第3の曲折面12を弾性変形させ、スリット20を突片23及びスリット22に整合させた状態で、側板2の突片23の先端部25がスリット20及びスリット22に嵌入するように矢印Qで示すように移動し、突片23の基部24をスリット20に嵌入する。
【0032】
側板2の突片23の基部24がスリット20に嵌入された状態で第3の曲折面12に対する押圧を解除すると、背板3の端面9は弾性により元に戻るため、側板2の突片23の基部24がスリット20の幅広部21に嵌入する。突片23の基部24がスリット20の幅広部21に嵌入した状態では、突片23の先端部25の長さがスリット20の幅広部21の長さより大きいため、突片23がスリット20から抜けることはできない。
【0033】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0034】
例えば、上記実施例では、背板3の外側から側板2を接合する方式としているため、背板3に本体8に沿う端面9を形成して端面及び本体にスリット13及び14を設け、側板にスリット13及び14に対向する対向端面17を形成しているが、これに限らず、側板2の外側から背板3を接合する方式とし、側板2に本体に沿う端面を形成して端面及び本体にスリットを設け、背板3にスリットに対向する対向端面を形成するようにしてもよい。
【0035】
また、上記実施例では、背板3の両側の接合部は、横断面形状が矩形状をなし、本体8から内側に曲折された第1の曲折面10、第2の曲折面11、第3の曲折面12及び本体8の内面に沿う端面9を有する構造となっているが、横断面形状が略三角形状、あるいは、略楕円状でもよく、要は、背板3の両側の接合部の先端に、本体8の内面に沿う端面9が形成されていればよい。
【0036】
また、スリット13及び14の内周面に鋸刃状の凹凸を形成し、突片18の表面をゴムなどの軟かい材料で被覆し、スリット13及び14と突片18との接合が解除されにくいようにしてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 金属製の収納家具
2 側板
3 背板
4 背板の第1の曲折部
5 背板の第2の曲折部
6 背板の第3の曲折部
7 背板の第4の曲折部
8 背板の本体
9 背板の端面
10 背板の第1の曲折面
11 背板の第2の曲折面
12 背板の第3の曲折面
13 端面のスリット
14 本体のスリット
15 側板の第1の曲折部
16 側板の第2の曲折部
17 対向端面
18 突片
20 端面のスリット
21 幅広部
22 本体のスリット
23 突片
24 突片の基部
25 突片の先端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6