特許第5748230号(P5748230)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5748230
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】ステープラ
(51)【国際特許分類】
   B25C 5/02 20060101AFI20150625BHJP
【FI】
   B25C5/02 Z
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-542870(P2012-542870)
(86)(22)【出願日】2011年10月28日
(86)【国際出願番号】JP2011075008
(87)【国際公開番号】WO2012063664
(87)【国際公開日】20120518
【審査請求日】2014年9月30日
(31)【優先権主張番号】特願2010-252395(P2010-252395)
(32)【優先日】2010年11月10日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000104087
【氏名又は名称】カール事務器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112162
【弁理士】
【氏名又は名称】朝日 直子
(72)【発明者】
【氏名】森 誠
【審査官】 大山 健
(56)【参考文献】
【文献】 実公平2−48229(JP,Y2)
【文献】 米国特許第1810528(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0266789(US,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2010−0128373(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25C 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステープル(4)を用紙(6)に向けて打ち出し、該用紙(6)を貫通した前記ステープル(4)の針部(5)をクリンチャ(40)によって折り曲げるステープラ(10)であって、
前記クリンチャ(40)を、開口部(44)を有する平面にて用紙(6)を支持する紙支持部材(42)と、前記針部(5)を折り曲げるために前記開口部(44)を介して配設された折り曲げ部材(43)と、をクリンチャ基台(41)に設けて構成すると共に、前記紙支持部材(42)に、前記開口部(44)から連続する傾斜状の内壁部(46)を設け、該内壁部(46)に摺接しながら前記折り曲げ部材(43)が相対移動することで前記針部(5)を側方から押圧して折り曲げるように構成されたことを特徴とするステープラ。
【請求項2】
前記内壁部(46)は、針部(5)を折り曲げる方向とは反対方向に向けて下降しており、該内壁部(46)に摺接しながら前記折り曲げ部材(43)が相対移動することで、該折り曲げ部材(43)の移動方向先端部に設けられた折り曲げ部(48)において、前記針部(5)を折り曲げるように構成されたことを特徴とする請求項1に記載のステープラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステープルの針部を用紙に貫通させ、屈曲させて用紙束を綴じるステープラに関し、特に、貫通されたステープル針を基部から折り曲げ、用紙の裏面に沿ってフラットに屈曲させることができるステープラに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の用紙を綴じるためのステープラは、連結状態のステープルが収容されるマガジンと、マガジン内に収容されたステープルを用紙に向けて打ち出すドライバと、マガジンから打ち出されて用紙を貫通したステープルの針部を折り曲げるクリンチャと、を含んで構成される。クリンチャの先端には、針部を折り曲げるための針溝が設けられており、クリンチャの上面に用紙を載置し、針溝に向けてステープルを打ち込むことで、ステープルの背部が用紙の表面に押し付けられた状態で、針部が用紙を貫通し、その貫通された針部がクリンチャの針溝に導かれながら、裏面に向けて屈曲されるようになっている。
【0003】
このようなステープラにおいて、図5に示すクリンチャ機構1のように、紙支持台2の裏面に可動クリンチャ3を回動可能に設け、ステープル4の針部5が用紙6を貫通すると同時に、可動クリンチャ3を、針部5を折り曲げる方向に回動させるようにしたものが提案されている(特許文献1)。
このステープラは、マガジン7内に収容されたステープル4を、ドライバ8によって打ち出し、用紙6を貫通した針部5を、可動クリンチャ3によって折り曲げることで、用紙6を綴じることができる。可動クリンチャ3を回動させて、用紙6から貫通された針部5を側方から押圧するので、貫通された針部5を基部5aから屈曲させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−128682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のステープラは、クリンチャを回動させるための駆動機構が必要であり、構造が複雑なものとなる。
そこで、本発明は、簡単な構造であるにもかかわらず、用紙を貫通したステープルの針部を基部から屈曲させることができ、ステープルで綴じられた部位をフラットにすることができるステープラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係るステープラは、ステープルを用紙に向けて打ち出し、該用紙を貫通した前記ステープルの針部をクリンチャによって折り曲げるステープラであって、前記クリンチャを、開口部を有する平面にて用紙を支持する紙支持部材と、前記針部を折り曲げるために前記開口部を介して配設された折り曲げ部材と、をクリンチャ基台に設けて構成すると共に、前記紙支持部材に、前記開口部から連続する傾斜状の内壁部を設け、該内壁部に摺接しながら前記折り曲げ部材が相対移動することで前記針部側方から押圧して折り曲げるように構成されたことを特徴とするものである。
この場合、前記内壁部は、針部を折り曲げる方向とは反対方向に向けて下降しており、該内壁部に摺接しながら前記折り曲げ部材が相対移動することで、該折り曲げ部材の移動方向先端部に設けられた折り曲げ部において、前記針部を折り曲げるように構成されたものであってもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るステープラは、開口部を有する平面にて用紙を支持する紙支持部材と、開口部の下方に配設された折り曲げ部材と、を基台に設けてクリンチャを構成し、ステープルの針部が開口部に打ち出されることで、折り曲げ部材が紙支持部材に対して相対移動されるようにしたので、紙支持部材上で支持された用紙束を押し下げながら、針部を折り曲げることができる。
【0008】
このように、針部を貫通させつつ用紙束を押し下げるので、用紙束の厚みを薄くした状態で、針部を折り曲げることができ、用紙の裏面に沿ってフラットに紙を綴じることが可能となる。
なお、「相対移動」とは、基台に設けられた折り曲げ部材に対して紙支持部材が移動することと、基台に設けられた紙支持部材に対して折り曲げ部材が移動することの双方を含むものとする。
【0009】
特に、紙支持部材の開口部に傾斜状の内壁部を設け、その内壁部に摺接しながら折り曲げ部材が相対移動するようにし、その移動によって針部を側方から押圧するように構成したので、針部に対する横方向の押圧力を、その先端から基部に向けて滑らかに作用させることができる。これによって、ステープルの針部を、基部において無理なく屈曲させることが可能となり、用紙の裏面に沿って限りなくフラットに折り曲げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係るステープラを示す斜視図である。
図2】上記ステープラのクリンチャ機構を示す説明図である。
図3】上記ステープラの使用状態を示す説明図であり、(a)はドライバを押し下げてステープルを押し出す状態、(b)はステープルの針部を用紙に貫通させる状態、(c)は貫通された針部を折り曲げ部材で押圧する状態、(d)は針部が折り曲げられる状態、(e)は用紙が綴じられた状態を示す。
図4】上記ステープラの変形態様を示す説明図であり、(a)はドライバを押し下げてステープルを押し出す状態、(b)はステープルの針部を用紙に貫通させる状態、(c)は貫通された針部を折り曲げ部材で押圧する状態、(d)は針部が折り曲げられる状態、(e)は用紙が綴じられた状態を示す。
図5】従来のステープラのクリンチャ機構を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の好適な実施形態について、添付図面に基づいて説明する。なお、実施形態は以下の形態に限定されるものではなく、本発明の課題を解決しうるものであれば他の態様も実施可能である。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係るステープラ10を示す斜視図である。
このステープラ10は、ステープル4を収容するマガジン20と、ステープル4を押し出すドライバ30と、ステープル4を折り曲げるクリンチャ40とを、上下ハンドル11,12で挟むように配設したものである。
上ハンドル部11と下ハンドル部12とは、一端部に配設された枢支軸13において相互に結合され、回動可能となっている。
【0013】
この上下ハンドル部11,12と共通の枢支軸13で、ドライバ30、マガジン20、及びクリンチャ40が、この順で軸結合されている。この場合、上ハンドル部11の下面側にドライバ30を設け、下ハンドル部12の上面側にクリンチャ40を取り付けている。その間にステープル4を収容するマガジン20が配設される。
【0014】
マガジン20には、コ字型のステープル4が連結状態で収容されている。
このマガジン20は、断面コ字型のステープルの連結体4’が収容されるようなレール形状を成しており、底面の先端部には、ステープルを1個ずつ排出させるための排出口21が開設されている。
マガジン20の内部にはバネ22が設けられており、ステープルの連結体4’を、マガジン20の先端部に向けて常に付勢している。
【0015】
マガジン20の上方には、マガジン20に収容されたステープル4を押し出すためのドライバ30が配設される。
ドライバ30の先端には、ステープルを押し出すための押し出し部31が設けられている。この押し出し部31は、下向きの突出板であり、ステープル4を連結体4’から切り離し、排出口21から排出させることができる位置に配設されている。
【0016】
マガジン20の下方には、ステープル4の針部5を折り曲げるためのクリンチャ40が配設される。
クリンチャ40は、クリンチャ基台41に、用紙を載置させるための紙支持部材42と、ステープル4を折り曲げるための折り曲げ部材43とを設けて構成される。
【0017】
紙支持部材42は、用紙が載置される平面状の上面部を有し、その先端には、開口部44が設けられている。この開口部44は、押し出し部31に対応する位置に配設されており、ドライバ30によって押し出されたステープル4の針部5が挿通可能な大きさに設計されている。
その開口部44を介して折り曲げ部材43が配設されている。
【0018】
折り曲げ部材43は、クリンチャ基台41の先端部に、水平方向に移動可能に設けられている。紙支持部材42は、クリンチャ基台41との間に配設させたバネ45によって、常に上方に向けて付勢されている。
このように、折り曲げ部材43は、クリンチャ基台41に対しては水平方向(A)に、紙支持部材42に対しては上下方向(B)に移動可能に構成することで、開口部44内を傾斜状にスライドするように設計されている(図2及び図3を参照)。
このようなクリンチャ40によって、ステープル4の針部5を折り曲げるための機構を、図2を参照して説明する。
【0019】
紙支持部材42は、開口部44から連続する傾斜状の内壁面46を有し、その内壁面46は、針部5が折り曲げられる方向とは反対方向に向けて下降している。即ち、本実施形態のように内側に向けてステープル4の針部5を折り曲げる場合、開口部44は外側に向けて拡幅するように、紙支持部材42の内壁面46が外側に向けて傾斜状に下降している。
この内壁面46に摺接しながら相対移動されるように、開口部44を介して、紙支持部材42の下方に、折り曲げ部材43が配設されている。この折り曲げ部材43は、紙支持部材42の内壁面46に摺接される傾斜部47を有し、傾斜部47とは反対側には折り曲げ部48を突設している。この突設された折り曲げ部48において、ステープル4の針部5を、外側から押圧することで、針部5を内側に向けて折り曲げるようにしている。
【0020】
このように構成することによって、上下ハンドル11,12を近接させることで、ドライバ30の押し出し部31が、マガジン20に収容されたステープル4を押し出し、その際に加わる力Fによって、バネ45の付勢力Gに抗して紙支持部材42が押し下げられる。そして、折り曲げ部材43が、紙支持部材42の傾斜状の内壁面46に摺接しながら上方Bに向けて相対移動し、折り曲げ部材43の上端部において内側に向けて突設された折り曲げ部48が、針部5を、側方から内側に向けて押圧する。これによって、用紙6から貫通された針部5の側面が、その先端から基部5aに向けて押圧されていき、針部5を基部5aにおいて屈曲させることができる(図3を参照)。
【0021】
上記構成のステープラ10の使用状態を説明する。
先ず、マガジン20とクリンチャ40との間に用紙6を挟む。そして、ハンドル11,12を操作することで、ステープル4を押し出し、その針部5を用紙6に貫通させる(図3(b)を参照)。その際に加わる力Fによって、用紙6が、紙支持部材42の上方に向けた付勢力Gに抗して押し下げられ、その用紙束の厚みMを減少させる。
【0022】
このとき、ハンドル11,12を操作した際の押し下げ力Fによって、紙支持部材42が押し下げられ、その傾斜状の内壁面46が下降する(図3(c)を参照)。この内壁面46に折り曲げ部材43の傾斜部47が摺接しながら、折り曲げ部材43は、紙支持部材42に対して上方Bに向けて相対移動すると同時に、クリンチャ基台41上を水平方向Aに移動する。このようにして、紙支持部材42の傾斜状の内壁面46に沿って、折り曲げ部材43が、斜め上方に向けて移動するようになる。
この際、折り曲げ部材43の移動方向側の上端部に設けられた折り曲げ部48が、ステープル4の針部5を両側方(即ち、外側)から押圧しながら、針部5に沿って移動することになる。
【0023】
このように、折り曲げ部材43が、針部5の先端から基部5aに向けて移動しながら連続的に押圧するので、用紙6から貫通された針部5を、基部5aにおいて屈曲させ、用紙6の裏面に沿って針部5の先端を向かわせることができる(図3(d)(e)を参照)。
これによって、用紙束の厚みを薄くした状態で、ステープル4の針部5を基部から屈曲させて用紙6にフラットに沿わせることができるようになり、ステープル止めされた部位に膨らみが生ずるのを低減できる。
【0024】
なお、本発明に係るステープラは、上記態様に限定されるものではなく、例えば、図4に示すように、折り曲げ部48’に、上方に向けた突出部48aを設けても良い。また、紙支持部材42’をクリンチャ基台41に固定し、クリンチャ基台41に対して折り曲げ部材43’がバネ付勢されるようにしてもよい。
紙支持部材42’をクリンチャ基台41に固定する場合は、折り曲げ部材43’に下向きの付勢力G’が加わるように設計するが、例えば、クリンチャ基台41と折り曲げ部材43’との間にバネ45’を介在させてもよいし、紙支持部材42と折り曲げ部材43’との間にバネ34”を介在させてもよい。
【0025】
この場合、上下ハンドルを近接させることで、下方向の押圧力F’と共に、上方向の押圧力F”が作用されるように構成するのが好ましい。下方向の押圧力F’によってドライバ30’がステープル4を打ち出し、その針部5が用紙6を貫通する際に、折り曲げ部材43’が紙支持部材42’に対して上方向の押圧力F”を加える。それによって、折り曲げ部材43’の傾斜部47’が、紙支持部材42’の傾斜状の内壁面46’に接しながら、斜め上方に移動され、貫通された針部5を、折り曲げ部48’において側方から押圧することができる。これによって、針部5を基部5aから屈曲させることが可能となる。
【0026】
本実施形態のステープラは、針部5を内側に向けて屈曲させるものとしたが、外側に向けて屈曲させるタイプのステープラにも適用することもできる。この場合、折り曲げ部材が内側から外側に向けて相対移動するように、その傾斜状態を設計するものとする。
なお、本発明のステープラは、ステープルを用紙に向けて打ち出し、用紙を貫通した針部をクリンチャによって折り曲げる構成のものであれば如何なるものであってもよく、ドライバの駆動をモーターで行なう電動式のステープラであっても、卓上に載置して使用する据え置き型のステープラであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、事務用に限らず、あらゆる産業分野で使用されるステープラに適用することができる。
【符号の説明】
【0028】
1・・・クリンチャ機構
4・・・ステープル
5・・・針部
6・・・用紙
10・・・ステープラ
11・・・上ハンドル部
12・・・下ハンドル部
13・・・枢支軸
20・・・マガジン
21・・・排出口
22・・・バネ
30・・・ドライバ
31・・・押し出し部
40・・・クリンチャ
41・・・クリンチャ基台
42・・・紙支持部材
43・・・折り曲げ部材
44・・・開口部
45・・・バネ
46・・・内壁面
47・・・傾斜部
48・・・折り曲げ部

図1
図2
図3
図4
図5