(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のものは、鏡を支持する支持フレームに、半透明の筒状部材の両端をキャップで塞いだケーシングの中にLED光源基板を収容したLEDユニットを取り付ける構造であるため、構成部材が多くなると共に、支持フレームとケーシング(筒状部材)の厚みによって壁面と鏡とのスペースが大きくなり、壁面からの鏡の出幅が大きくなるなどの懸念がある。また、壁面と鏡との間のスペースが大きくなると、鏡に負荷が掛かった場合に鏡が破損する虞もある。
【0007】
また、構成部材が多くなるため、防水処理を含む組立工数が多くなると共に、コストが嵩む懸念がある。
【0008】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、少ない構成部材で、防水性が図れ、外観が良好な薄型の照明付き鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、この発明は、壁面に設置される照明付き鏡であって、 鏡本体の左右辺に沿って設けられる一対の縦枠材と、両縦枠材の上下端を塞ぐと共に前記鏡本体の上端及び下端の支持部を有する上枠材及び下枠材とからなる枠体と、該枠体の前記縦枠材に設けられる光源と、前記縦枠材に設けられる光拡散カバーと、を具備し、
前記壁面当接部に、板状の壁面当接片と、前記上枠材及び下枠材の固定部材を固定する固定孔部と、を有し、 前記光源収容溝部は、一側が前記壁面当接片の外方側に延在して形成される光源収容部と、該光源収容部の開口側に延在され、対向面に前記光拡散カバーが係合可能な凹凸係合部が設けられた係合溝部と、を有し、 前記光拡散カバーは、前記光源収容溝部の開口を塞ぎ、
前記鏡本体の外方に露呈する光拡散用中空部を有すると共に、前記光源収容部の凹凸係合部に係合可能な係合条を有し、 前記光源は、連接された複数のLEDが前記光源収容溝部に挿通され、該光源収容溝部内に収容される、ことを特徴とする(請求項1)。
【0011】
このように構成することにより、左右一対の縦枠材と、両縦枠材の上下端を塞ぐと共に鏡本体の上端及び下端の支持部を有する上枠材及び下枠材とにより構成される枠体によって浴室の壁面に鏡本体を支持することができる。また、枠体の縦枠材にLED光源を取り付けると共に、LED光源の外方側に、光拡散カバーを取り付けることで、枠体によって支持される鏡本体の側方にLED光源から発する光の濃淡を緩和して帯状に浴室内に照射させることができる。
【0012】
この発明において、前記光源収容溝部の壁面当接部と反対側面には、両縦枠材が協働して前記
鏡本体の裏面に当接する緩衝板を支持するガイド溝が設けられるのが好ましい(請求項
2)。
【0013】
このように構成することにより、緩衝板が鏡本体の裏面に当接することで、鏡本体に負荷が掛かった場合に緩衝板によって力を吸収することができる。
【0014】
また、この発明において、前記縦枠材の光源収容溝部における上下方向端部に、前記光源のリード線導出用の切欠き部を設け、該切欠き部の開口縁部に弾性保護カバーを被着してなるのが好ましい(請求項
3)。
【0015】
このように構成することにより、LED光源のリード線の外部への導出を確保することができると共に、リード線の損傷を防止することができる。また、縦枠材の下方端部に設けられる切欠き部は、万一、光源収容溝部内に湯水が侵入した場合の液抜きとして機能することができる。
【0016】
また、この発明において、前記光源は、複数のLEDが透光性を有する可撓性チューブ内に連接されると共に、該可撓性チューブを直状に保持する断面コ字状の保持カバーを具備し、該保持カバーを前記光源収容部内に摺動可能に挿入するのが好ましい(請求項
4)。
【0017】
このように構成することにより、保持カバーによって可撓性チューブを直状に維持した状態で縦枠材に設けられた溝状の光源収容部内に光源を容易に係止固定することができる。
【0018】
また、この発明において、前記光源の可撓性チューブは透明であっても差し支えないが、好ましくは、前記光源の可撓性チューブは乳白色に着色されている方がよい(請求項
5)。
【0019】
このように構成することにより、透明性のチューブにおいて基板がうねっていることに起因する各LEDから生じる光のうねりを、乳白色に着色することでぼかして吸収することができ、光の帯を安定化させることができる。
【0020】
また、この発明において、前記光拡散カバーと前記縦枠材の係合溝部との係合部における縦方向の隙間全長に渡って隙間パッキンを嵌挿し、前記縦枠材の上下端と前記上枠材及び下枠材との間に少なくとも前記縦枠材の光源収容溝部の端部開口及び前記光拡散カバーの端部開口を塞ぐシールパッキンを介在するのが好ましい(請求項6)。
【0021】
このように構成することにより、縦枠材と光拡散カバーの係合を容易にすることができると共に、縦枠材と光拡散カバーの係合部の隙間を隙間パッキンによって塞いで防水することができる。また、縦枠材の上下端のLED光源の収容部と上枠材及び下枠材との間に水密性を持たせることができる。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、上記のように構成されているので、以下のような効果が得られる。
【0023】
(1)請求項
1に記載の発明によれば、一対の縦枠材と、両縦枠材の上下端を塞ぐ上枠材及び下枠材とにより構成される枠体によって浴室の壁面に鏡本体を支持することができるので、少ない構成部材で、防水性が図れ、外観が良好な薄型化を図ることができる。また、縦枠材にLED光源を取り付けると共に、LED光源の外方側に、光拡散カバーを取り付けることで、枠体によって支持される鏡本体の側方にLED光源から発する光の濃淡を緩和して帯状に浴室内に照射させることができるので、装飾的機能を持たせることができる。
【0024】
(2)請求項
2に記載の発明によれば、緩衝板が鏡本体の裏面に当接することで、鏡本体に負荷が掛かった場合に緩衝板によって力を吸収することができるので、(1)に加えて更に鏡本体の固定の安定化が図れると共に、撓みを防止することができる。
【0025】
(3)請求項
3に記載の発明によれば、前記(1),(2)に加えて更にLED光源のリード線の外部への導出を確保することができると共に、リード線の損傷を防止することができる。また、縦枠材の下方端部に設けられる切欠き部は、万一、光源収容溝部内に湯水が侵入した場合の液抜きとして機能するので、更に防水性の向上が図れる。
【0026】
(4)請求項
4に記載の発明によれば、縦枠材に設けられた溝状の光源収容部内にLED光源を容易に係止固定することができるので、前記(1)〜(3)に加えて更に組立を容易にすることができる。
【0027】
(5)請求項6に記載の発明によれば、前記(1)〜(4)に加えて更に縦枠材と光拡散カバーの係合を容易にすることができると共に、縦枠材と光拡散カバーの係合部の隙間を隙間パッキンによって塞いで防水することができるので、防水性の向上が図れる。また、縦枠材の上下端のLED光源の収容部と上枠材及び下枠材との間に水密性を持たせることができるので、更に防水性の向上が図れる。
【0028】
(6)請求項
5に記載の発明によれば、透明性のチューブにおいて各LEDから生じる光のうねりを乳白色に着色された部分で吸収することができ、光の帯を安定化させることができるので、前記(1)〜
(4)に加えて更に照明を均一かつ安定化させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、この発明に係る照明付き鏡の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。ここでは、この発明に係る照明付き鏡を浴室に用いた場合について説明する。
【0031】
この発明に係る照明付き鏡1は、
図1に示すように、略縦長矩形状の鏡本体2を浴室3の壁面4に設置される枠体10によって支持してなる。この場合、鏡本体2の裏面には緩衝用の飛散防止用のスポンジシート2aが貼着されている。この場合、鏡本体2は、例えば幅が300mm、高さが1460mm、厚みが5mmのものが使用される。また、枠体10は鏡本体2より若干大きく、例えば幅が310mm、高さが1445.5mmであり、厚みは後述するように13.5mmである。なお、鏡本体2の寸法や枠体10の寸法は一例であって、前記寸法に限定されるものではない。
【0032】
なお、照明付き鏡1の下部には石鹸やシャンプー等の載置台5が設けられ、側方にはシャワー6の保持部7が設けられている。また、
図1中、符号8は浴槽である。
【0033】
この発明に係る照明付き鏡1は、
図2ないし
図8に示すように、鏡本体2の左右辺に沿って設けられる一対の縦枠材20と、両縦枠材20の上下端を塞ぐと共に鏡本体2の上端及び下端の支持部を有する上枠材30及び下枠材31とからなる枠体10と、該枠体10の縦枠材20に設けられる光源40と、光源40の外方側を覆う半透明性の光拡散カバー50と、鏡本体2の裏面に当接する緩衝板60と、を具備する。
【0034】
縦枠材20は、例えばアルミニウム製の押出形材にて形成され、壁面当接部21と、鏡本体2の外側に向かって開口する光源収容溝部22と、を具備する。この場合、縦枠材20の厚みすなわち光源収容溝部22の開口幅は、13.5mmである。
【0035】
壁面当接部21は、板状の壁面当接片23と、上枠材30及び下枠材31の固定部材である固定ねじ70を固定(螺合)する固定孔部24と、を有している。この場合、固定孔部24は、壁面当接片23の壁面当接面と反対側の面に互いに平行な断面略C字状の2列のビスポケットによって形成されている。また、壁面当接片23には、縦枠材20を壁面4に固定する固定ねじ71が貫挿可能な取付孔25が穿設されている(
図7,
図8では上端側の取付孔25を示す)。
【0036】
光源収容溝部22は、一側が壁面当接片23の外方側に延在して形成される光源収容部26と、光源収容部26の開口側に延在され、対向面に光拡散カバー50が係合可能な凹凸係合部27が設けられた係合溝部28と、を有している。
【0037】
また、光源収容溝部22の壁面当接部21と反対側面には、両縦枠材20が協働して緩衝板60を支持するガイド溝29が設けられている。
【0038】
更に、縦枠材20の光源収容溝部22における上下方向端部には、光源40のリード線導出用の切欠き部22aが設けられており、該切欠き部22aの開口縁部に例えば合成樹脂製の弾性保護カバー22bが被着されている。
【0039】
一方、光源40は、複数のLED41が適宜間隔、例えば10mmピッチの間隔をおいて透光性を有する可撓性チューブ42内に配設されると共に基板43を介して連接されたLED光源(以下にLED光源40という)にて形成されている。
【0040】
このように形成されるLED光源40の基板側は、例えば合成樹脂製部材にて形成される断面コ字状の保持カバー44が被着されている。この保持カバー44によって可撓性チューブ42が直状に保持された状態で、保持カバー44を光源収容部26内に摺動可能に挿入することができる。なお、保持カバー44は縦枠材20の長さより短い寸法に形成されており、保持カバー44によって保持されない可撓性チューブ42から導出された2本のリード線45はコネクタ46によって結束されている。
【0041】
リード線45は、縦枠材20の光源収容溝部22の上端部に設けられた切欠き部22aを介して光源収容溝部22内から外部に引き出される。この際、切欠き部22aの開口縁部には弾性保護カバー22bが被着されているので、リード線45の損傷が防止される。なお、縦枠材20の光源収容溝部22の下端部に設けられた切欠き部22aの開口縁には弾性保護カバー22bが被着されないが、下端部に設けられた切欠き部22aは、万一、光源収容溝部22内に湯水が侵入した場合の液抜きとして機能する。
【0042】
光源収容溝部22内から外部に引き出されたリード線45は、
図4に示すように、壁面4を構成する石膏ボード製の壁板4aに設けられた配線用孔4bに嵌挿される合成ゴム製の配線保護パッキン4cを介して外部に導出されて外部電源(図示せず)に接続される。この場合、配線保護パッキン4cは、外向きフランジ4dを有しており、外向きフランジ4dが壁面4(壁板4a)に当接した状態で、外向きフランジ4dの外周と壁面4(壁板4a)との間をシーリング材4eで固定する。また、配線保護パッキン4c内にはシリコン製スポンジ4fとシリコン製シール材4gが充填されてリード線45の外部導出部の防水処理が施されている。
【0043】
また、可撓性チューブ42は透光性を有する透明の合成樹脂製部材にて形成されるものでもよいが、可撓性チューブ42は乳白色に着色されている方がよい。その理由は、可撓性チューブ42が透明であると、基板43が若干うねっていることにより、LED光源40の各LEDから生じる光が全体として輪郭がぼけてうねりを生じるが、乳白色に着色を施すことにより着色部分で光を吸収することができ、うねりをぼかし光の帯を安定化させることができるからである。
【0044】
光拡散カバー50は、半透明性の合成樹脂製部材にて形成されており、鏡本体2の外方に露呈する光拡散用中空部51を有すると共に、光源収容部26の凹凸係合部27に係合可能な係合条52を有する。この場合、光拡散用中空部51の幅は縦枠材20と同様の13.5mmに形成され、約5mm露呈するように形成されている。また、
図3A及び
図7に示すように、光拡散用中空部51は、狭隘開口状の略中空矩形状に形成されており、狭隘開口部53から外方に突設される一対の脚片54の先端部に光源収容部26の凹凸係合部27に係合可能な係合条52が設けられている。なおこの場合、
図3Aに示すように、光拡散用中空部51の対向する側片51a,51bのうちの壁面側に位置する側片51aは平坦状に形成され、対向側の側片51bは先端片51cとの角部が円弧状に形成されている。また、光拡散用中空部51と脚片54との連結部の外側面には、縦枠材20と光拡散カバー50との間に隙間を形成するための円弧状溝55が設けられている。この円弧状溝55には、縦枠材20の係合溝部28の先端と光拡散カバー50の光拡散用中空部51との間に生じる隙間sを介して挿入される隙間パッキン56が嵌挿されるようになっている。
【0045】
上記のように形成される光拡散カバー50は、光源収容溝部22の係合溝部28の長手方向端部の外方側から係合条52を凹凸係合部27に係合させて、係合溝部28内に摺動させて嵌挿される。この際、縦枠材20の係合溝部28の先端と光拡散カバー50の光拡散用中空部51との間に隙間sが生じるので、摩擦が低減でき光拡散カバー50の取付は容易にできる。また、縦枠材20の係合溝部28の先端と光拡散カバー50の光拡散用中空部51との間に生じる隙間sに隙間パッキン56が嵌挿されるので、縦枠材20と光拡散カバー50との連接部に防水処理を施すことができる。
【0046】
次に、上枠材30と下枠材31について説明する。上枠材30と下枠材31は同様に例えばステンレス製板材をプレス加工によって成形されているので、ここでは上枠材30を代表して説明する。上枠材30は、
図6及び
図10に示すように、両縦枠材20の壁面当接部21と光源収容溝部22の上端及び光源収容溝部22の光源収容部26に被着される光拡散カバー50の上端を塞ぐ幅を有する塞ぎ片32と、該塞ぎ片32の幅方向の一側の長手方向の両端から光拡散カバー50の光拡散用中空部51の幅より若干大きい寸法の内方位置から直交状に屈曲する垂直片33と、垂直片33の下端の長手方向端部から縦枠材20の幅寸法を切り欠いた内方側から塞ぎ片32と平行に屈曲される水平片34と、水平片34の先端から直交状に屈曲する壁面4に当接可能な垂直当接片35と、を有している。
【0047】
この場合、上枠材30の塞ぎ片32の長手方向の端部側の下面には、縦枠材20の光源収容溝部22の上端開口及び光拡散カバー50の上端開口を塞ぐシールパッキン36が固着されている。
【0048】
また、上枠材30の塞ぎ片32の長手方向の端部側には、上枠材30を縦枠材20に固定する固定部材である固定ねじ70が貫通可能な2つの貫通孔38が穿設されている。この貫通孔38を貫通する固定ねじ70を縦枠材20に設けられた固定孔部24(ビスポケット)に螺合することで、縦枠材20の上端が上枠材30によって塞がれる。この際、縦枠材20の上端と上枠材30との間にシールパッキン36が介在されるので、縦枠材20の光源収容溝部22の上端開口及び光拡散カバー50の上端開口がシールパッキン36によって塞がれ、防水処理が施される。
【0049】
また、垂直片33の長手方向の端部側には、鏡本体2の支持部を構成する後述する上部把持部材80Aを高さ調整可能に取り付けるための取付ねじ73が貫通する貫通孔38が設けられている。
【0050】
なお、下枠材31は、
図11に示すように、貫通孔38の代わりに貫通孔39を設ける以外は上枠材30と同様に形成され、同様にシールパッキン36が固着されているので、固定ねじ70を縦枠材20に設けられた固定孔部24(ビスポケット)に螺合して、縦枠材20の下端を下枠材31によって塞ぐことで、縦枠材20の光源収容溝部22の下端開口及び光拡散カバー50の下端開口がシールパッキン36によって塞がれ、防水処理が施される。
【0051】
緩衝板60は、
図9に示すように、略矩形状の基部61の上端辺の中央部に平坦面62を有し、平坦面62から左右に向かって下り勾配の傾斜面63を有している。また、緩衝板60の裏面側には壁面4に当接可能な上端が傾斜する互いに平行な2個の板状の弾性脚部材64が左右対称位置に固着されている。また、緩衝板60には、基部61と弾性脚部材64を貫通する2個の段付き取付孔65と、基部61の両側側を貫通する2個の取付孔66が設けられている。この場合、段付き取付孔65は、
図3に示すように、基部61に設けられる大径孔部65aと、弾性脚部材64に設けられる小径孔部65bとからなり、取付孔66は大径孔部65aと同径に形成されている。
【0052】
このように構成される2枚の緩衝板60は、それぞれ両縦枠材20の光源収容溝部22の壁面当接部21と反対側面に両縦枠材20が協働して設けられたガイド溝29内に嵌挿されて、上下方向に間隔をおいて枠体10に取り付けられる。
【0053】
枠体10を壁面4に固定する際、緩衝板60の段付き取付孔65と取付孔66を利用して固定ねじ71,72が壁面4に螺合される。すなわち、
図3に示すように、取付孔66を介して縦枠材20の壁面当接片23に設けられた取付孔25を貫通する固定ねじ71を壁面4を構成する壁板4a及び壁板4aの裏面に配置される木製の下地材4hに螺合することができる。また、段付き取付孔65を貫通する固定ねじ72を壁板4a及び壁板4aの裏面に配置される木製の下地材4hに螺合することができる。
【0054】
上枠材30及び下枠材31に設けられる鏡本体2の支持部は、それぞれ鏡本体2の上端部及び下端部を把持する上部及び下部把持部材80A,80Bにて構成されている。この場合、上部及び下部把持部材80A,80Bは、例えばステンレス製板材をプレス加工にて成形されており、
図5に示すように、鏡本体2の上端又は下端を把持する断面コ字状の把持部81と、該把持部81の一側片から開口側に延在する取付片82とを有する。この場合、上部把持部材80Aは、長手方向の両端側の2箇所に、
図12に示すように、取付片82の下端に開口する長孔状であって、開口部及び上部側にくびれ部83aを有する取付溝83が設けられている。なお、取付溝83の両側には取付溝83の弾性変形を許容するための長孔部84が設けられている。また、取付溝83及び長孔部84を包囲する領域に補強用エンボス部85が形成されている。
【0055】
一方、下部把持部材80Bは、取付溝83の代わりに取付孔86が穿設されており、取付孔86を包囲する領域に補強用エンボス部85が形成されている。
【0056】
このように構成される上部把持部材80Aは、
図11に示すように、上枠材30の垂直片33に設けられた貫通孔38を貫通して壁面4を構成する壁板4aと壁板4aの裏面に配置される木製の下地材4hに螺合される取付ねじ72によって固定される。この際、上部把持部材80Aの取付溝83をスライド降下させて取付ねじ72がくびれ部83aを乗り越えて外れ防止しつつ上枠材30に対して上下方向に位置調整可能に固定される。一方、下部把持部材80Bは、取付孔86を貫通する取付ねじ73を下枠材31に設けられた貫通孔39を貫通して壁面4を構成する壁板4aと壁板4aの裏面に配置される木製の下地材4hに螺合して下枠材31に固定される。
【0057】
鏡本体2を取り付けるには、上枠材30と下枠材31に上部及び下部把持部材80A,80Bを取り付けた後、鏡本体2の上端部を斜めにして上部把持部材80Aの把持部81に嵌め込み、鏡本体2を垂直にして下端部を下部把持部材80Bの把持部81に落とし込んで取り付けることができる。
【0058】
次に、照明付き鏡1を浴室3の壁面4に設置する手順について説明する。まず、予め工場等において、縦枠材20にLED光源40を収容し、LED光源40の外側に光拡散カバー50を取り付ける。
【0059】
LED光源40を縦枠材20の光源収容部26内に収容する際、LED光源40の可撓性チューブ42に保持カバー44を被着して可撓性チューブ42を直状に保持した状態で、保持カバー44を光源収容部26内に摺動して挿入する。LED光源40を光源収容部26内に収容した後、LED光源40のリード線45を縦枠材20の光源収容溝部22の上端部に設けられた切欠き部22aを介して光源収容溝部22内から外部に引き出す。
【0060】
収容されたLED光源40は、縦枠材20とほぼ同じ長さで形成され、下端が下枠材31に突き当たる状態で支持されるが、LED光源40のリード線45の引き出し部分にコーキング材等を施すことにより、上端で吊り下げるように掛止してもよく、また可撓性チューブ42を光源収容部22より若干大きめにして、収容溝壁に当接させることにより、その摩擦力により適宜位置で係止されるようにしてもよい。
【0061】
光拡散カバー50を縦枠材20の嵌合溝部28に取り付けるには、光源収容溝部22の係合溝部28の長手方向端部の外方側から係合条52を凹凸係合部27に係合させて、係合溝部28内に摺動させつつ嵌挿して取り付ける。その後、縦枠材20の係合溝部28の先端と光拡散カバー50の光拡散用中空部51との間に生じる隙間sに隙間パッキン56して防水処理を施す。
【0062】
次に、照明付き鏡1を浴室3の壁面4に設置する前に、両縦枠材20の上端及び下端を上枠材30及び下枠材31で塞ぎ、固定ねじ70を縦枠材20に設けられた固定孔部24(ビスポケット)に螺合して枠体10を組み立てる。この際、両縦枠材20と上枠材30及び下枠材31との間に介在されるシールパッキン36によって縦枠材20の光源収容溝部22の上下端開口及び光拡散カバー50の上下端開口が塞がれ、防水処理が施される。また、枠体10を組み立てる際に、両縦枠材20が協働して設けたガイド溝29に緩衝板60を取り付ける。
【0063】
次に、固定ねじ71及び72によって枠体10を壁面に設置する。この場合、
図3に示すように、緩衝板60の取付孔66を介して縦枠材20の壁面当接片23に設けられた取付孔25を貫通する固定ねじ71を、壁面4すなわち壁板4a及び下地材4hに螺合して固定する。また、段付き取付孔65を貫通する固定ねじ72を壁板4a及び下地材4hに螺合して固定する。なお、壁板4aには、壁板4aに設けられる取付孔に合わせて止水ワッシャ(図示せず)が貼着されている。
【0064】
一方、LED光源40のリード線45は、
図4に示すように、壁面4を構成する壁板4aに設けられた配線用孔4bに嵌挿される合成ゴム製の配線保護パッキン4cを介して外部に導出されて外部電源(図示せず)に接続される。この際、配線保護パッキン4cに設けられた外向きフランジ4dが壁面4(壁板4a)に当接した状態で、外向きフランジ4dの外周と壁面4(壁板4a)との間をシーリング材4eで固定する。また、配線保護パッキン4c内にはシリコン製スポンジ4fとシリコン製シール材4gが充填されてリード線45の外部導出部の防水処理が施される。
【0065】
次に、上枠材30と下枠材31に上,下部把持部材80A,80Bを取り付けた後、鏡本体2の上端部を斜めにして上部把持部材80Aの把持部81に嵌め込み、鏡本体2を垂直にして下端部を下部把持部材80Bの把持部81に落とし込んで鏡本体2を取り付ける。
【0066】
前記のように構成される実施形態に係る照明付き鏡1によれば、一対の縦枠材20と、両縦枠材20の上下端をシールパッキン36を介在して塞ぐ上枠材30及び下枠材31とにより構成される枠体10によって浴室3の壁面4に鏡本体2を支持することができるので、少ない構成部材で、防水性が図れ、外観が良好な薄型化を図ることができる。
【0067】
また、縦枠材20にLED光源40を取り付けると共に、LED光源40の外方側に、縦枠材20の外方に露呈する半透明性の光拡散カバー50を取り付けることで、枠体10によって支持される鏡本体2の側方にLED光源40から発する光の濃淡を緩和して帯状に浴室内に照射させることができるので、装飾的機能を持たせることができる。この際、透光性を有する可撓性チューブ42を乳白色に着色することで、光の帯を安定化させることができるので、更に照明を均一かつ安定化させることができる。
【0068】
また、緩衝板60が鏡本体2の裏面に当接し、緩衝板60の裏面に壁面4に当接する弾性脚部材64を設けることで、鏡本体2に負荷が掛かった場合に緩衝板60によって力を吸収することができるので、鏡本体2の固定の安定化が図れると共に、撓みを防止することができる。また、緩衝板60の上端に下り傾斜面63を設けることにより、上端に液溜まりが生じるのを防止することができるので、湯水の付着を抑制することができる。
【0069】
また、縦枠材20と光拡散カバー50の係合を容易にすることができると共に、縦枠材20と光拡散カバー50の係合部の隙間sを隙間パッキン56によって塞いで防水することができるので、防水性の向上が図れる。
【0070】
また、縦枠材20に設けられた溝状の光源収容部26内に保持カバー44によって直状に保持されたLED光源40を嵌挿して係止固定することができるので、組立を容易にすることができる。
【0071】
また、縦枠材20の光源収容溝部22における上下方向端部に、切欠き部22aを設け、該切欠き部22aの開口縁部に弾性保護カバー22bを被着することで、LED光源40のリード線45の外部への導出を確保することができると共に、リード線45の損傷を防止することができる。また、縦枠材20の下方端部に設けられる切欠き部22aによって、万一、光源収容溝部22内に湯水が侵入しても切欠き部22aから液抜きを行うことができる。
【0072】
また、鏡本体2の取付位置を調整して枠体10に取り付けることができるので鏡本体2の取付の自由度を持たせることができる。
【0073】
なお、前記実施形態では、この発明に係る照明付き鏡1を浴室3に用いたが、この照明付き鏡1は浴室以外の場所にも適用できることは勿論である。