特許第5748242号(P5748242)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5748242
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】液晶プロジェクタ
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/00 20060101AFI20150625BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20150625BHJP
【FI】
   G03B21/00 E
   G03B21/14 A
   G03B21/14 Z
【請求項の数】6
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-525522(P2013-525522)
(86)(22)【出願日】2011年7月28日
(86)【国際出願番号】JP2011067325
(87)【国際公開番号】WO2013014794
(87)【国際公開日】20130131
【審査請求日】2014年1月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】300016765
【氏名又は名称】NECディスプレイソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】加藤 厚志
【審査官】 鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−189472(JP,A)
【文献】 特開2011−043597(JP,A)
【文献】 特開2010−160444(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/070917(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/00 −21/10
G03B 21/12 −21/13
G03B 21/134−21/30
G03B 33/00 −33/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが入射光を空間的に変調して画像を表示する第1乃至第3の液晶パネル部と、
赤色の波長帯域にピーク波長を有する赤色光を出力する赤色光源を備え、該赤色光源から出力された前記赤色光が前記第1の液晶パネル部に照射される第1の照明部と、
緑色の波長帯域にピーク波長を有する緑色光を出力する緑色光源と、青色の波長帯域にピーク波長を有する青色光を出力する青色光源とを備え、該緑色光源から出力された前記緑色光を振動方向が互い直交する第1および第2の直線偏光に分離し、該第1の直線偏光を前記第2の液晶パネル部に照射させ、該第2の直線偏光と該青色光源から出力された前記青色光とを前記第3の液晶パネル部に照射させる第2の照明部と、
前記第1乃至第3の液晶パネル部で表示された画像を合成する偏光色合成部と、
前記偏光色合成部で合成された合成画像光を投射する投射レンズと、
入力映像信号に基づいて、前記赤色光源、緑色光源および青色光源の点灯状態を制御し、前記第1乃至第3の液晶パネル部に画像を表示させる制御手段と、を有する、液晶プロジェクタ。
【請求項2】
赤色の波長帯域にピーク波長を有する赤色光を出力する赤色光源と、
緑色の波長帯域にピーク波長を有する緑色光を出力する緑色光源と、
青色の波長帯域にピーク波長を有する青色光を出力する青色光源と、
前記赤色光源から出力された前記赤色光を振動方向が互い直交する第1および第2の直線偏光に分離する第1の偏光分離部と、
前記緑色光源から出力された前記緑色光を前記第1および第2の直線偏光に分離する第2の偏光分離部と、
前記第1の直線偏光の赤色光と前記第1の直線偏光の緑色光とを入射光とし、該入射した赤色および緑色の光を同一の光路で出射する第1の色合成部と、
前記第2の直線偏光の緑色光と前記青色光源から出射された前記青色光とを入射光とし、該入射した緑色および青色の光を同一の光路で出射する第2の色合成部と、
前記第2の直線偏光の赤色光を空間的に変調して画像を表示する第1の液晶パネル部と、
前記第1の色合成部から出射された前記赤色および緑色の光を空間的に変調して画像を表示する第2の液晶パネル部と、
前記第2の色合成部から出射された前記緑色および青色の光を空間的に変調して画像を表示する第3の液晶パネル部と、
前記第1乃至第3の液晶パネル部で表示された画像を合成する偏光色合成部と、
記偏光色合成部で合成された合成画像光を投射する投射レンズと、
入力映像信号に基づいて、前記赤色光源、緑色光源および青色光源の点灯状態を制御し、前記第1乃至第3の液晶パネル部に画像を表示させる制御手段と、を有する、液晶プロジェクタ。
【請求項3】
前記第1乃至第3の液晶パネル部は、前記第1又は第2の直線偏光による画像を出力し、
前記偏光色合成部は、
前記第1ないし第3の液晶パネル部それぞれの出射光を入射する第1ないし第3の入射面と、
前記合成画像光を出射する出射面と、
前記第1の入射面より入射した前記赤色光を反射して前記出射面より出射させ、前記第2の入射面より入射した前記第の直線偏光の緑色光を透過して前記出射面より出射させ、前記第3の入射面より入射した前記青色光および前記第2の直線偏光の緑色光を透過する機能を備える第1の反射面と、
前記第3の入射面より入射した前記青色光および前記第2の直線偏光の緑色光を反射して前記出射面より出射させ、前記第2の入射面より入射した前記第1の直線偏光の緑色光を透過して前記出射面より出射させ、前記第1の入射面より入射した前記赤色光を透過する機能を備える第の反射面と、を有する、請求項1または2に記載の液晶プロジェクタ。
【請求項4】
前記制御手段は、
所定の期間において、前記赤色光源を点灯させて赤色画像を前記第1の液晶パネル部に表示させ、
前記所定の期間を所定の割合で分割した第1および第2の期間のうち、該第1の期間において、前記青色光源を点灯させて青色画像を前記第3の液晶パネル部に表示させ、前記第2の期間において、前記緑色光源を点灯させて緑色画像を前記第2および第3の液晶パネル部に表示させる、請求項1に記載の液晶プロジェクタ。
【請求項5】
前記制御手段は、
所定の期間を所定の割合で分割した第1および第2の期間のうち、該第1の期間において、前記青色光源を点灯させて青色画像を前記第3の液晶パネル部に表示させるとともに、前記赤色光源を点灯させて赤色画像を前記第1および第2の液晶パネル部に表示させ、該第2の期間において、前記緑色光源を点灯させて緑色画像を前記第2および第3の液晶パネル部に表示させる、請求項2に記載の液晶プロジェクタ。
【請求項6】
前記赤色光源、緑色光源および青色光源の少なくとも1つの光源は、励起光を出力する励起光源と、前記励起光により励起されることで蛍光を放出する蛍光体とから構成されている、請求項1から5のいずれか1項に記載の液晶プロジェクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶プロジェクタに関し、特に、LED(Light emitted Device)等の固体光源を備えた3板型の液晶プロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
LED等の固体光源は、高圧水銀ランプと比較して、発光色の色純度が良いこと、小型で寿命特性に優れていることなどの利点を有することから、最近では、固体光源を備えた3板型のプロジェクタが提供されている。
【0003】
例えば、赤色LED、緑色LEDおよび青色LEDの3つの光源を備えた3板型の液晶プロジェクタが知られている。
【0004】
この3板型の液晶プロジェクタでは、赤色LEDから出射された赤色の光が赤色用液晶パネル部に照射され、緑色LEDから出射された緑色の光が緑色用液晶パネル部に照射され、青色LEDから出射された青色の光が青色用液晶パネル部に照射される。そして、各液晶パネル部を透過した赤色、緑色および青色の各色の光が色合成部により合成され、色合成部で合成された各色の光が投射レンズによってスクリーンへ投射される。
【0005】
ところで、LEDの性能は、年々向上しているものの、その発光光束は放電ランプに比べてまだまだ小さいため、LEDを用いたプロジェクタの投射画像の明るさは十分とは言えない。ここで、光束(Luminus Flux)は光源からある方向に放射された全ての光の明るさを表わすものであり、その単位はルーメン(lm)である。光束が大きいとは、光量が大きいことと同義である。
【0006】
明るい投射画像を得るための第1のアプローチとして、光源の発光光束を大きくする方法がある。具体的には、発光面積の大きなLEDや、LEDをアレイ状に配置したものを用いることで、発光光束の大きな光源を実現することができる。
【0007】
しかし、上記の第1のアプローチには、以下のようの問題がある。
【0008】
一般に、プロジェクタにおいて、光源からの光をどれだけ投射光として利用できるかは、光源の発光面積と発散角の積で定義される光源側のエテンデュー(Etendue)と、液晶パネルの面積と投射レンズのFナンバーで決まる取り込み角(立体角)との積で定義される結像側のエテンデューとの関係によって決まる。つまり、プロジェクタにおいては、光源側のエテンデューの値を、結像側のエテンデューの値以下にしないと、光源からの光を効率良く投射光として利用できない。
【0009】
したがって、LEDをアレイ状に配列したり、あるいは、発光面積が大きなLEDを用いたりして、光源の発光光束を大きくしても、光源側のエテンデューの値が、結像側のエテンデューの値を上回ってしまう場合には、投射画像の明るさを向上することはできない。このエテンデューの制約のために、光源の発光光束を大きくするだけでは、十分な明るさの投射画像を得られていないのが現状である。
【0010】
明るい投射画像を得るための第2のアプローチとして、光源から出射された光の利用効率を高める方法がある。以下に、その方法を簡単に説明する。
【0011】
一般に、液晶プロジェクタにおいて、液晶パネル部は、液晶パネルと、この液晶パネルの入射面側および出射面側にそれぞれ配置された2つの偏光板とからなる。液晶パネル部では、入射面側の偏光板を透過した光は直線偏光となって液晶パネルに入射する。直線偏光の入射光は、液晶パネルの液晶層を厚み方向に伝播しながら、液晶の持つ屈折率異方性(複屈折)に応じてその偏光状態が変化していく。出射面側の偏光子は、液晶層を通過した出射光のうち、特定方向の偏光光だけを透過させる。
【0012】
上記の液晶パネル部では、入射光のうちの一方の偏光(S偏光またはP偏光)のみが使用され、他方の偏光は吸収または反射されて、画像の形成には寄与しない。このため、入射光が非偏光である場合は、液晶パネル部にて略50%の光損失が生じる。
【0013】
上述した3板型の液晶プロジェクタにおいて、赤色LED、緑色LEDおよび青色LEDから出射された各色の光はいずれも非偏光であるため、各LEDから出射された光をそのまま液晶パネル部に入射させると、液晶パネル部にて略50%の光損失が生じる。
【0014】
そこで、赤色LED、緑色LEDおよび青色LEDそれぞれから出射された各色の光の光路中に、第1および第2のプリズムからなる偏光変換素子を設けて、各液晶パネル部による損失を低減し、光利用効率を高める方法(第2のアプローチ)が考えられている。
【0015】
第1および第2のプリズムのそれぞれは、2つの直角プリズムを貼り合わせた直方体形状のプリズムである。
【0016】
第1のプリズムは、2つの直角プリズムの貼り合わせた面に、P偏光を透過し、S偏光を反射する偏光分離膜が形成されており、LEDから出力された光がその偏光分離膜に対して略45度の入射角で入射するように構成されている。偏光分離膜を透過したP偏光の進行方向に位置する面が射出面であり、この射出面よりP偏光の光を出射する。
【0017】
第2のプリズムは、2つの直角プリズムの貼り合わせた面に反射膜が形成されており、第1のプリズムの偏光分離膜で反射されたS偏光の光がその反射膜に略45度の入射角で入射するように構成されている。反射膜で反射された光の進行方向に位置する面が射出面であり、この射出面に、S偏光をP偏光に変換するための位相差板が設けられている。
【0018】
第1のプリズムから射出したP偏光の光と、第2のプリズムから射出したP偏光の光とは同じ方向に進行する。
【0019】
しかし、上記の第2のアプローチにおいて、偏光変換素子の出射面(第1および第2の出射面)の面積は、LEDの発光面積の略2倍となる。このため、光源側のエテンデューの値が結像側のエテンデューの値を上回ってしまい、その結果、投射光として利用されない光が増大して、光利用効率が低下する。このように、エテンデューの制約のために、偏光変換素子を用いても、さほど光利用効率を高めることはできず、十分な明るさの投射画像を得られていないのが現状である。
【0020】
明るい投射画像を得るための第3のアプローチとして、光源側のエテンデューの値を増大させることなく、光源の発光光束を増大させる方法がある(特許文献1参照)。
【0021】
特許文献1に記載の3板型プロジェクタは、ピーク波長が異なる第1および第2の緑色LEDと、赤色LEDと、青色LEDを有する。
【0022】
第1の緑色LEDの光軸は、第2の緑色LEDの光軸と直交しており、ダイクロイックミラーが、これら第1および第2の緑色LEDの光軸が交差する位置に設けられている。
【0023】
第1の緑色LEDから出力された緑色の光ビームは、ダイクロイックミラーにて反射され、その反射光は緑用液晶パネルに照射される。第2の緑色LEDから出力された緑色の光ビームは、ダイクロイックミラーを透過し、その透過光は上記の緑用液晶パネルに照射される。
【0024】
赤色LEDから出力された赤色の光ビームは、赤用液晶パネルに照射される。青色LEDから出力された青色の光ビームは、青用液晶パネルに照射される。
【0025】
赤用液晶パネルからの赤色画像光、緑用液晶パネルからの緑色画像光および青用液晶パネルからの青色画像光は、クロスダイクロイックプリズムにより合成される。クロスダイクロイックプリズムにて合成された画像光は、投射レンズによってスクリーン上に投射される。
【0026】
上記の3板型プロジェクタにおいては、第1の緑色LEDから出力された第1の緑色の光ビームと第2の緑色LEDから出力された第2の緑色の光ビームとは、ダイクロイックミラーを介して、同一の光路で緑用液晶パネルに照射される。この構成によれば、光源側のエテンデューの値は増大しないため、第1および第2の緑色LEDから出力された第1および第2の緑色の光ビームのほとんどを投射光として利用することができる。また、赤色LEDおよび青色LEDから出力された赤色および青色の光ビームのほとんどを投射光として利用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【特許文献1】特開2004−325477号公報
【発明の開示】
【0028】
第1のアプローチにおいては、エテンデューの制約にために、十分な明るさの投射画像を得られていないのが現状である。加えて、液晶パネル部での光損失(略50%)の問題もある。
【0029】
第2のアプローチにおいては、偏光変換素子を用いることで液晶パネル部での光損失の問題を解消することができるものの、エテンデューの制約のために、十分な明るさの投射画像を得られていないのが現状である。
【0030】
第3のアプローチにおいては、エテンデューの制約の問題を解消することができるものの、液晶パネル部の光損失の問題があり、やはり、十分な明るさの投射画像を得ることは困難である。加えて、緑色光源として、2つの緑色LEDを用いるため、装置が大きくなり、コストも増大する。
【0031】
また、LED等の固体光源をプロジェクタの光源として用いる場合は、以下の点を考慮する必要がある。
【0032】
一般に、赤色LED、緑色LEDおよび青色LEDの出力特性は異なっており、赤色LEDや緑色LEDの最大出力値は青色LEDのそれよりも小さい。
【0033】
赤色LED、緑色LEDおよび青色LEDをそれぞれ最大出力で駆動した場合に、投射画像の輝度が最も高くなる。しかし、最大出力で駆動された各色のLEDからの光(赤、緑、青)の混色比率は、最適なホワイトバランスを得るための所定の混色比率とは異なるため、投射画像が不自然な色になり、画質が低下する。このため、通常は、緑色LEDの最大出力値を基準にして赤色LEDや青色LEDの出力を制限することで、最適なホワイトバランスを得ている。
【0034】
上記から、最適なホワイトバラスを維持しつつ明るい投射画像を得るには、緑色LEDの発光光束を増大する必要がある。
【0035】
本発明の目的は、エテンデューの制約の問題を解消し、少なくとも緑色光源について、液晶パネル部の光損失を低減し、かつ、発光光束を大きくすることができる、光利用効率が高い、小型の液晶プロジェクタを提供することにある。
【0036】
上記目的を達成するため、本発明の液晶プロジェクタは、
それぞれが入射光を空間的に変調して画像を表示する第1乃至第3の液晶パネル部と、
赤色の波長帯域にピーク波長を有する赤色光を出力する赤色光源を備え、該赤色光源から出力された前記赤色光が前記第1の液晶パネル部に照射される第1の照明部と、
緑色の波長帯域にピーク波長を有する緑色光を出力する緑色光源と、青色の波長帯域にピーク波長を有する青色光を出力する青色光源とを備え、該緑色光源から出力された前記緑色光を振動方向が互い直交する第1および第2の直線偏光に分離し、該第1の直線偏光を前記第2の液晶パネル部に照射させ、該第2の直線偏光と該青色光源から出力された前記青色光とを前記第3の液晶パネル部に照射させる第2の照明部と、
前記第1乃至第3の液晶パネル部で表示された画像を合成する偏光色合成部と、
前記偏光色合成部で合成された合成画像光を投射する投射レンズと、
入力映像信号に基づいて、前記赤色光源、緑色光源および青色光源の点灯状態を制御し、前記第1乃至第3の液晶パネル部に画像を表示させる制御手段と、を有する。
【0037】
本発明の別の液晶プロジェクタは、
赤色の波長帯域にピーク波長を有する赤色光を出力する赤色光源と、
緑色の波長帯域にピーク波長を有する緑色光を出力する緑色光源と、
青色の波長帯域にピーク波長を有する青色光を出力する青色光源と、
前記赤色光源から出力された前記赤色光を振動方向が互い直交する第1および第2の直線偏光に分離する第1の偏光分離部と、
前記緑色光源から出力された前記緑色光を前記第1および第2の直線偏光に分離する第2の偏光分離部と、
前記第1の直線偏光の赤色光と前記第1の直線偏光の緑色光とを入射光とし、該入射した赤色および緑色の光を同一の光路で出射する第1の色合成部と、
前記第2の直線偏光の緑色光と前記青色光源から出射された前記青色光とを入射光とし、該入射した緑色および青色の光を同一の光路で出射する第2の色合成部と、
前記第2の直線偏光の赤色光を空間的に変調して画像を表示する第1の液晶パネル部と、
前記第1の色合成部から出射された前記赤色および緑色の光を空間的に変調して画像を表示する第2の液晶パネル部と、
前記第2の色合成部から出射された前記緑色および青色の光を空間的に変調して画像を表示する第3の液晶パネル部と、
前記第1乃至第3の液晶パネルで表示された画像を合成する偏光色合成部と、
前記第2の偏光色合成部で合成された画像光を投射する投射レンズと、
入力映像信号に基づいて、前記赤色光源、緑色光源および青色光源の点灯状態を制御し、前記第1乃至第3の液晶パネル部に画像を表示させる制御手段と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明の第1の実施の形態である液晶プロジェクタの構成を示す模式図である。
図2図1に示す液晶プロジェクタのクロスダイクロイックミラーの構成を示す模式図である。
図3図2に示すクロスダイクロイックミラーの一方のダイクロイック膜のP偏光およびS偏光に対する分光透過特性を示す特性図である。
図4図2に示すクロスダイクロイックミラーの他方のダイクロイック膜のP偏光およびS偏光に対する分光透過特性を示す特性図である。
図5図1に示す液晶プロジェクタの制御系の構成を示すブロック図である。
図6図1に示す液晶プロジェクタの各光源の点灯動作および各液晶パネル部の表示動作を説明するためのタイミングチャートである。
図7】本発明の第2の実施形態である液晶プロジェクタの構成を示す模式図である。
図8図7に示す液晶プロジェクタのクロスダイクロイックミラーの構成を示す模式図である。
図9図7に示す液晶プロジェクタの各光源の点灯動作および各液晶パネル部の表示動作を説明するためのタイミングチャートである。
図10】本発明の他の実施形態の液晶プロジェクタの構成を示す模式図である。
図11図10に示す液晶プロジェクタの緑色光源の蛍光体ホイールを示す模式図である。
図12図10に示す液晶プロジェクタの緑色光源の全体の構成を示す模式図である。
【符号の説明】
【0039】
101B 青色光源
101G 緑色光源
101R 赤色光源
121 偏光ビームスプリッタ
118、119、120 液晶パネル部
126 クロスダイクロプリズム
127 投射レンズ
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態である液晶プロジェクタの構成を示す模式図である。
【0041】
図1を参照すると、本実施形態の液晶プロジェクタは、緑色光源101G、赤色光源101Rおよび青色光源101Bの3つの光源を備える。
【0042】
緑色光源101Gは、緑色の波長帯域にピーク波長を有する固体光源であり、例えば、発光色が緑色である、LEDや半導体レーザよりなる。赤色光源101Rは、赤色の波長帯域にピーク波長を有する固体光源であり、例えば、発光色が赤色である、LEDや半導体レーザよりなる。青色光源101Bは、青色の波長帯域にピーク波長を有する固体光源であり、例えば、発光色が青色である、LEDや半導体レーザよりなる。
【0043】
ただし、LEDなどでは、製造上の問題として、ピーク波長が±10〜20nm程度ばらつくことが知られているので、この製造上のばらつきの範囲内であれば、ピーク波長が実質的に同じものであるとする。また、緑色光源101G、赤色光源101Rおよび青色光源101Bそれぞれの発光面積は、エテンデューの制約を満たす面積範囲内の最大面積とする。
【0044】
緑色光源101Gから出射した緑色の光(非偏光光)の進行方向に、レンズ102、偏光ビームスプリッタ121が配置されている。緑色光源101Gから緑色の光は、レンズ102を介して偏光ビームスプリッタ121に入射する。
【0045】
偏光ビームスプリッタ121は、入射光を互いに直角方向に振動する第1および第2の直線偏光光に分離する。ここでは、第1の直線偏光をS偏光、第2の直線偏光をP偏光と仮定しており、偏光ビームスプリッタ121はS偏光光を反射し、P偏光光を透過させるような偏光分離特性を有する。
【0046】
偏光ビームスプリッタ121で反射された緑色のS偏光光の進行方向に、レンズ105、106、反射ミラー127が配置されている。偏光ビームスプリッタ121からの緑色のS偏光光は、レンズ105、106を順に通過した後、反射ミラー127にて略90°の角度で反射される。
【0047】
反射ミラー127は、緑色の光を反射することができるものであれば、どのような反射特性を有するミラーであってもよい。例えば、反射ミラー127は、アルミ蒸着されたミラーであってもよく、緑色の光を反射し、それ以外の色の光を透過または吸収する、誘電体多層膜よりなるダイクロイックミラーであってもよい。
【0048】
反射ミラー127からの緑色のS偏光光の進行方向に、レンズ115、液晶パネル部118が配置されている。反射ミラー127からの緑色のS偏光光は、レンズ115を介して液晶パネル部118に照射される。
【0049】
液晶パネル部118は、液晶パネルを2枚の偏光板で挟んだものである。液晶パネル部118では、入射面側の偏光板を透過した光は直線偏光となって液晶パネルに入射する。直線偏光の入射光は、液晶パネルの液晶層を厚み方向に伝播しながら、液晶の持つ屈折率異方性(複屈折)に応じてその偏光状態が変化していく。出射面側の偏光子は、液晶層を通過した出射光のうち、特定方向の偏光光だけを透過させる。ここでは、緑色のS偏光光が液晶パネル部118に照射されているので、緑色のP偏光光が液晶パネル部118から出射される。
【0050】
青色光源101Bから出射した青色の光(非偏光光)の進行方向に、レンズ103、113、114、ダイクロイックミラー124、レンズ117、液晶パネル部120が配置されている。
【0051】
青色光源101Bから出射した青色の光は、レンズ103、113、114を順に通過した後、ダイクロイックミラー124に入射する。
【0052】
ダイクロイックミラー124は、青色光源101Bからの青色の光の光路と偏光ビームスプリッタ121を透過した緑色のP偏光光の光路とが交差(または直交)する位置に配置されている。ダイクロイックミラー124は、緑色の光を反射し、青色の光を透過させる特性を有する。
【0053】
青色光源101Bから青色の光は、ダイクロイックミラー124を透過し、偏光ビームスプリッタ121からの緑色のP偏光光は、ダイクロイックミラー124によって略90°の角度で反射される。ダイクロイックミラー124を透過した青色の光とダイクロイックミラー124で反射された緑色のP偏光光とは同一の光路でレンズ117を介して液晶パネル部120に照射される。
【0054】
液晶パネル部120は、液晶パネル部118と同様、液晶パネルを2枚の偏光子で挟んだ構造を有するが、S偏光光が出射されるように構成されている。具体的には、青色光源101Bから青色の光(非偏光光)が液晶パネル部120に照射された場合は、液晶パネル部120は、青色のS偏光光を出射する。緑色光源101Gからの緑色のP偏光光が液晶パネル部120に照射された場合は、液晶パネル部120は、緑色のS偏光光を出射する。
【0055】
赤色光源101Rから出射した赤色の光(非偏光光)の進行方向に、レンズ111、112、116、液晶パネル部119が配置されている。
【0056】
赤色光源101Rから出射した赤色の光は、レンズ111、112、116を順に通過した後、液晶パネル部119に照射される。
【0057】
液晶パネル部119は、液晶パネル部118と同様、液晶パネルを2枚の偏光子で挟んだ構造を有するが、S偏光光が出射されるように構成されている。ここでは、赤色光源101Rから赤色の光(非偏光光)が液晶パネル部119に照射されるので、液晶パネル部119は赤色のS偏光光を出射する。
【0058】
液晶パネル部119は、液晶パネル部120と対向するように配置されている。液晶パネル部118から出射された緑色のP偏光光の光路は、液晶パネル部119から出射された赤色のS偏光光の光路および液晶パネル部120から出射された青色または緑色のS偏光光の光路のそれぞれと1点で交差(または直交)しており、この交点に、クロスダイクロイックミラー126が配置されている。
【0059】
図2に、クロスダイクロイックミラー126の一例を示す。
【0060】
図2に示すように、クロスダイクロイックミラー126は、直角を成す面が互いに接合された4つの直角プリズム126a〜126dからなる。
【0061】
直角プリズム126a、126bの接合面と直角プリズム126c、126dの接合面により一様な第1の平面が形成されており、この第1の平面に、ダイクロイック膜1aが形成されている。
【0062】
直角プリズム126a、126dの接合面と直角プリズム126b、126cの接合面により、第1の平面と交差(または直交)する一様な第2の平面が形成されており、この第2の平面に、ダイクロイック膜1bが形成されている。
【0063】
クロスダイクロイックミラー126では、液晶パネル部118からの緑色の画像光(P偏光)および液晶パネル部119からの赤色の画像光(S偏光)はともに、ダイクロイック膜1aの一方の面に略45度の入射角で入射し、液晶パネル部120からの青色または緑色の画像光(S偏光)は、ダイクロイック膜1aの他方の面に略45度の入射角で入射する。
【0064】
図3に、ダイクロイック膜1aのP偏光およびS偏光に対する分光透過特性を示す。図3において、縦軸は透過率(%)を示し、横軸は波長(nm)を示す。図3中、中央に示したスペクトルは、緑色光源101Gの発光スペクトルである。
【0065】
カットオフ波長を透過率が50%になる波長と定義する。P偏光で入射する光に対するダイクロイック膜1aのカットオフ波長は、青色の波長域以下の光を反射し、それ以外の波長域(緑色および赤色の波長域を含む)の光を透過するように設定されている。
【0066】
また、S偏光で入射する光に対するダイクロイック膜1aのカットオフ波長は、赤色の波長域以上の光を透過し、それ以外の波長域(緑色および青色の波長域を含む)の光を反射するように設定されている。
【0067】
図3に示した特性によれば、ダイクロイック膜1aは、液晶パネル部118からの緑色の画像光(P偏光)および液晶パネル部119からの赤色の画像光(S偏光)をともに透過させ、液晶パネル部120からの青色または緑色の画像光(S偏光)を反射する。
【0068】
また、クロスダイクロイックミラー126では、液晶パネル部118からの緑色の画像光(P偏光)および液晶パネル部120からの青色または緑色の画像光(S偏光)はともに、ダイクロイック膜1bの一方の面に略45度の入射角で入射し、液晶パネル部119からの赤色の画像光(S偏光)は、ダイクロイック膜1bの他方の面に略45度の入射角で入射する。
【0069】
図4に、ダイクロイック膜1bのP偏光およびS偏光に対する分光透過特性を示す。図4において、縦軸は透過率(%)を示し、横軸は波長(nm)を示す。図4中に示したスペクトルは、赤色光源101Rの発光スペクトルである。
【0070】
P偏光で入射する光に対するダイクロイック膜1bのカットオフ波長は、赤色の波長域の光を反射し、それ以外の波長域(緑色および青色)の光を透過するように設定されている。なお、ダイクロイック膜1bは、赤外の波長域のP偏光を透過する。
【0071】
また、S偏光で入射する光に対するダイクロイック膜1bのカットオフ波長は、緑色の波長域以下の光を透過し、それ以外の波長域(赤色の波長域を含む)の光を反射するように設定されている。
【0072】
図4に示した特性によれば、ダイクロイック膜1bは、液晶パネル部118からの緑色の画像光(P偏光)および液晶パネル部120からの青色または緑色の画像光(S偏光)をともに透過させ、液晶パネル部119からの赤色の画像光(S偏光)を反射する。
【0073】
図3に示した分光透過特性を有するダイクロイック膜1aおよび図4に示した分光透過特性を有するダイクロイック膜1bはいずれも、誘電体多層膜より形成することができる。この場合、カットオフ波長の設定は、誘電体多層膜の材料、積層数、膜厚、屈折率などにより調整することができる。
【0074】
図2に示したクロスダイクロイックプリズム126において、直角プリズム126aの斜面が出射面である。液晶パネル部119からの赤色の画像光(S偏光)はダイクロイック膜1bで反射され、その反射された画像光は出射面より出射される。液晶パネル部118からの緑色の画像光(P偏光)はダイクロイック膜1a、1bを透過し、その透過した画像光は出射面より出射される。液晶パネル部120からの緑色または青色の画像光(S偏光)はダイクロイック膜1aで反射され、その反射された画像光は出射面より出射される。こうして、クロスダイクロイックプリズム126の出射面からは、赤色、青色、緑色の画像光を合成した画像光が出射される。
【0075】
図1に示した投射レンズ127は、クロスダイクロイックプリズム126の出射面と対向する位置に配置されている。投射レンズ127は、クロスダイクロイックプリズム126の出射面より出射された画像光を外部スクリーン上に投射する。外部スクリーンは、専用スクリーンであっても、壁などの構造体であってもよい。
【0076】
赤色光源101R、レンズ104、111、112、116は、赤色光を液晶パネル部119に照射する第1の照明部であるが、その構成は図1に示した構成に限定されない。例えば、レンズの数は4枚に限定されず、他の枚数であってもよい。さらに、赤色光源101Rから出射された赤色光の光路中に、ロッドインテグレータあるいはフライアイインテグレータなどの照度分布均一化の光学部品を設けても良い。
【0077】
緑色光源101G、青色光源101B、レンズ102、103、105、106、107、108、113、114、115、117は、緑色光を液晶パネル部118、120に照射し、青色光を液晶パネル部120に照射する第2の照明部である。第2の照明部の構成も、図1に示した構成に限定されない。レンズの枚数は適宜に変更することができる。緑色光源101G、青色光源101Bのそれぞれの光路中に上記の照度分布均一化の光学部品を設けても良い。
【0078】
次に、本実施形態の液晶プロジェクタの制御系の構成について説明する。
【0079】
図5に、その制御系の構成を示す。図5には、説明を簡略化するため、レンズ系を省いた概念的なブロック図が記載されている。
【0080】
図5を参照すると、制御系は、制御部1、光源駆動部201および液晶駆動部203を有する。
【0081】
制御部1は、液晶パネル部118〜120をそれぞれ駆動するための駆動タイミング信号を液晶駆動部3に供給する。制御部1は、青色光源101B、緑色光源101Gおよび赤色光源101Rをそれぞれ駆動するための点灯タイミング信号を光源駆動部2に供給する。
【0082】
光源駆動部2は、制御部1からの点灯タイミング信号に従って、赤色光源101R、緑色光源101Gおよび青色光源101Bの点灯状態を個別に制御する。
【0083】
液晶駆動部3は、外部映像供給装置から入力された映像信号と制御部1からの駆動タイミング信号に基づいて、液晶パネル部118〜120を個別に駆動する。外部映像供給装置は、例えばパーソナルコンピュータ等の情報処理装置である。
【0084】
図6は、青色光源101B、緑色光源101Gおよび赤色光源101Rの点灯動作および液晶パネル部118〜120の表示動作を説明するためのタイミングチャートである。
【0085】
図6を参照すると、1フレームは第1および第2のサブフレームからなる。この例では、第1および第2のサブフレームは同じ長さである。例えば、フレーム周期は60Hzであり、サブフレーム周期は120Hzである。なお、1フレームにおける第1のサブフレームの期間と第2のサブフレームの期間との割合は適宜に設定することができる。
【0086】
nフレームのうちの第1のサブフレームの期間において、光源駆動部2は、青色光源101Bを点灯状態とするとともに緑色光源101Gを消灯状態とし、液晶駆動部3は、入力映像信号から得られた青色映像信号に基づく画像を液晶パネル部120に表示させる。この場合、液晶パネル部120は、青色画像を表示するが、液晶パネル部118は非表示状態とされる。
【0087】
nフレームのうちの第2のサブフレームの期間において、光源駆動部2は、青色光源101Bを消灯状態とするとともに緑色光源101Gを点灯状態とし、液晶駆動部3は、入力映像信号から得られた緑色映像信号に基づく画像を液晶パネル部118、120にそれぞれ表示させる。この場合、液晶パネル部118、120はそれぞれ緑色画像を表示する。
【0088】
nフレームの期間において、光源駆動部2は、青色光源101Rを点灯状態とし、液晶駆動部3は、入力映像信号から得られた赤色映像信号に基づく画像を液晶パネル部119に表示させる。この場合、液晶パネル部119は赤色画像を表示する。
【0089】
図6に示した動作によれば、nフレームの第1のサブフレームの期間において、青色画像が液晶パネル部120に表示されるとともに、赤色画像が液晶パネル部119に表示される。続く第2のサブフレーム期間において、赤色画像が液晶パネル部119に表示されるとともに、緑色画像が液晶パネル部118に表示される。よって、人間の眼の積分効果により、観察者は、nフレームにおいて、第1のサブフレームの期間に表示された青色および緑色の画像と、第2のサブフレームの期間に表示された赤色および緑色の画像とを合成したカラー画像を観察することができる。
【0090】
本実施形態の液晶プロジェクタにおいては、赤色光源101Rからの赤色の光は液晶パネル部119に照射される。緑色光源101Gからの緑色の光は、偏光ビームスプリッタ121によってP偏光とS偏光に分離され、緑色のS偏光光が液晶パネル部118に照射される。緑色のP偏光光は、ダイクロイックミラー124によって青色光源101Bからの青色の光(非偏光)と合成され、この合成された青色および緑色の光は、同一の光路で液晶パネル部120に照射される。
【0091】
上記の構成によれば、光源側のエテンデューの値は増大しない。
【0092】
また、液晶パネル部119、120は、P偏光の光を受けて、S偏光の光を出射するように構成され、液晶パネル部118は、S偏光の光を受けて、P偏光の光を出射するように構成されている。緑色光源101Gからの緑色のS偏光光が液晶パネル部118に照射され、緑色光源101Gからの緑色のP偏光光が液晶パネル部120に照射される。よって、緑色光源101Gからの緑色の光について、液晶パネル部118、120における光損失はほとんど生じない。
【0093】
一方、赤色光源101Rおよび青色光源101Bはいずれも非偏光の光を出射するため、赤色光源101Rからの赤色の光および青色光源101Bからの青色の光については、略半分の光量が液晶パネル部119、120にて吸収または反射される。
【0094】
しかしながら、例えば、赤色LED、緑色LEDおよび青色LEDの出力特性は異なっており、現状では、緑色LEDの最大出力値が最も小さく、次いで、赤色LEDの最大出力値が小さい。通常、緑色LEDの最大出力値を基準として赤色LEDおよび青色LEDの出力範囲が設定されることから、赤色LEDおよび青色LEDの出力には、ある程度の余裕がある。したがって、光源としてLEDを用いた場合、液晶パネルによる光損失を考慮して、赤色光源101Rおよび青色光源101Bの出力を増大させることで、ある程度、赤色および青色の光量低下を抑制することができる。
【0095】
加えて、人間の眼は赤色および青色に比較して緑色の輝度変化に敏感であることから、緑色光源101Gの液晶パネルによる光損失を低減することで、より効果的に、明るい投射画像を得ることが可能となる。
【0096】
上述した本実施形態の液晶プロジェクタは、本発明の一例であり、その構成は適宜に変更することができる。
【0097】
例えば、図6に示した光源の駆動動作および液晶パネルの点灯動作において、緑色光源101Gおよび青色光源101Bを、通常の2倍の電流で時分割に駆動してもよい。この場合の緑色光源101Gおよび青色光源101Bの光量は、緑色光源101Gおよび青色光源101Bをそれぞれ1フレームの期間にわたって連続点灯させた場合の光量と略同じとなる。
【0098】
さらに、赤色光源101Rと同様に、緑色光源101Gおよび青色光源101Bを1フレーム期間点灯させてもよい。この場合は、液晶パネル部120は、1フレームの期間に、青色映像信号に基づく画像として、青色および緑色の光による画像を表示する。
【0099】
上記の構成によれば、緑色光源101Gおよび青色光源101Bを連続的に点灯させることができるので、図6に示した動作に比較して、より明るい投射画像を提供することができる。
【0100】
また、本実施形態では、緑色光源101Gについて、偏光変換素子を用いずに、液晶パネルでの光損失を低減するように構成されており、これにより、投射画像の明るさの増大を図るとともに、低コスト化を図っている。
【0101】
加えて、緑色光源として複数の光源を用いる形態に比較して、緑色光源101Gは1つであり、光源の数が少ない分、低コスト化および小型化を図ることができる。
【0102】
(第2の実施形態)
図7は、本発明の第2の実施形態である液晶プロジェクタの構成を示す模式図である。
【0103】
図7に示す液晶プロジェクタは、偏光ビームスプリッタ122、反射ミラー125、レンズ109、110が追加され、反射ミラー127に代えてクロスダイクロイックミラー123が設けられた点以外は、第1の実施形態のものと同じ構成である。図7中、同じ構成には同じ符号を付し、ここでは、それらの詳細な説明は省略する。
【0104】
レンズ104および偏光ビームスプリッタ122が、赤色光源102からの赤色の光の進行方向に配置されている。赤色光源102からの赤色の光はレンズ104を介して偏光ビームスプリッタ122に入射する。
【0105】
偏光ビームスプリッタ122は、入射光を互いに直角方向に振動する第1および第2の直線偏光光に分離する。ここでは、第1の直線偏光をS偏光、第2の直線偏光をP偏光と仮定しており、偏光ビームスプリッタ122はS偏光光を反射し、P偏光光を透過させるような偏光分離特性を有する。
【0106】
偏光ビームスプリッタ122で反射された赤色のS偏光光の進行方向に、レンズ110、109、クロスダイクロイックミラー123が配置されている。偏光ビームスプリッタ121、122は、偏光ビームスプリッタ121で反射された緑色のS偏光光の中心光線が偏光ビームスプリッタ122で反射された赤色のS偏光光の中心光線と一致するように設けられている。
【0107】
クロスダイクロイックミラー123は、図8に示すように、互いに交差(または直交)するダイクロイック膜123a、123bを有する。
【0108】
ダイクロイック膜123aは、S偏光光に対して、赤色を反射し、緑色を透過する特性を有する。一方、ダイクロイック膜123bは、S偏光光に対して、赤色を透過し、緑色を反射する特性を有する。
【0109】
偏光ビームスプリッタ122で反射された赤色のS偏光光は、レンズ110、109を介してクロスダイクロイックミラー123に入射する。偏光ビームスプリッタ121で反射された緑色のS偏光光は、レンズ105、106を介してクロスダイクロイックミラー123に入射する。
【0110】
クロスダイクロイックミラー123では、偏光ビームスプリッタ122からの赤色のS偏光光はダイクロイック膜123aにより反射され、偏光ビームスプリッタ121からの緑色のS偏光光はダイクロイック膜123bにより反射される。ダイクロイック膜123aで反射された赤色のS偏光光とダイクロイック膜123bで反射された緑色のS偏光光とは、同一の光路でレンズ115を介して液晶パネル部118に照射される。
【0111】
偏光ビームスプリッタ122を透過した赤色のP偏光光の進行方向に、レンズ111、112、反射ミラー125が配置されている。偏光ビームスプリッタ122を透過した赤色のP偏光光は、レンズ111、112を順次通過した後、反射ミラー125にて略90°の角度で反射される。
【0112】
反射ミラー125で反射された赤色のP偏光光は、レンズ116を介して液晶パネル部119に照射される。反射ミラー125は、赤色の光を反射することができるものであれば、どのような反射特性を有するミラーであってもよい。例えば、反射ミラー125は、アルミ蒸着されたミラーであってもよく、赤色の光を反射し、それ以外の色の光を透過または吸収する、誘電体多層膜よりなるダイクロイックミラーであってもよい。
【0113】
次に、本実施形態の液晶プロジェクタの動作について説明する。
【0114】
本実施形態の液晶プロジェクタも、図5に示した構成と同様の制御系を有するが、青色光源101B、緑色光源101Gおよび赤色光源101Rをそれぞれ時分割で点灯させる点が第1の実施形態のものと異なる。
【0115】
図9は、青色光源101B、緑色光源101Gおよび赤色光源101Rの点灯動作および液晶パネル部118〜120の表示動作を説明するためのタイミングチャートである。
【0116】
図9を参照すると、1フレームは第1および第2のサブフレームからなる。この例では、第1および第2のサブフレームは同じ長さである。例えば、フレーム周期は60Hzであり、サブフレーム周期は120Hzである。
【0117】
nフレームのうちの第1のサブフレームの期間において、光源駆動部2は、青色光源101B、101Rを点灯状態とするとともに緑色光源101Gを消灯状態とする。そして、液晶駆動部3は、入力映像信号から得られた青色映像信号に基づく画像を液晶パネル部120に表示させるとともに、入力映像信号から得られた赤色映像信号に基づく画像を液晶パネル部118、119に表示させる。この場合、液晶パネル部118、119は赤色画像を表示し、液晶パネル部120は青色画像を表示する。
【0118】
nフレームのうちの第2のサブフレームの期間において、光源駆動部2は、青色光源101B、101Rを消灯状態とするとともに緑色光源101Gを点灯状態とする。そして、液晶駆動部3は、入力映像信号から得られた緑色映像信号に基づく画像を液晶パネル部118、120にそれぞれ表示させる。この場合、液晶パネル部118、120はそれぞれ緑色画像を表示するが、液晶パネル部119は非表示とされる。
【0119】
図9に示した動作によれば、nフレームの第1のサブフレームの期間において、青色画像が液晶パネル部120に表示されるとともに、赤色画像が液晶パネル部118、119に表示される。続く第2のサブフレーム期間において、緑色画像が液晶パネル部118、120に表示される。よって、人間の眼の積分効果により、観察者は、nフレームにおいて、第1のサブフレームの期間に表示された青色および赤色の画像と、第2のサブフレームの期間に表示された緑色の画像とを合成したカラー画像を観察することができる。
【0120】
本実施形態の液晶プロジェクタにおいては、第1の実施形態と同様、緑色光源101Gからの緑色の光は、偏光ビームスプリッタ121によってP偏光とS偏光に分離され、緑色のS偏光光が液晶パネル部118に照射される。緑色のP偏光光は、ダイクロイックミラー124によって青色光源101Bからの青色の光(非偏光)と合成され、この合成された青色および緑色の光は、同一の光路で液晶パネル部120に照射される。
【0121】
また、赤色光源101Rからの赤色の光は、偏光ビームスプリッタ122によってP偏光とS偏光に分離され、赤色のP偏光光が液晶パネル部119に照射される。赤色のP偏光光は、クロスダイクロイックミラー123によって緑色光源101Gからの緑色の光と合成され、この合成された赤色および緑色の光は、同一の光路で液晶パネル部118に照射される。
【0122】
上記の構成によれば、光源側のエテンデューの値は増大しない。
【0123】
また、第1の実施形態と同様、緑色光源101Gからの緑色のS偏光光が液晶パネル部118に照射され、緑色光源101Gからの緑色のP偏光光が液晶パネル部120に照射されるので、緑色光源101Gからの緑色の光について、液晶パネル部118、120における光損失はほとんど生じない。
【0124】
加えて、赤色光源101Rからの赤色のS偏光光が液晶パネル部118に照射され、赤色光源101Rからの赤色のP偏光光が液晶パネル部119に照射されるので、赤色光源101Rからの赤色の光について、液晶パネル部118、119における光損失はほとんど生じない。
【0125】
赤色光源101Rおよび緑色光源1Gの最大出力値は、青色光源101Bのそれよりも小さい。したがって、最大出力値が青色光源101Bよりも小さな赤色光源101Rおよび緑色光源1Gの光利用効率を高くすることで、色再現性に優れた投射画像を提供することができる。
【0126】
上記の他の効果は、第1の実施形態で説明したとおりである。
【0127】
また、本実施形態においても、第1の実施形態で説明した変更を適用することができる。
【0128】
(他の実施形態)
上述した第1または第2の実施形態の液晶プロジェクタにおいて、赤色光源101R、緑色光源101G、青色光源101Bのうちの少なくとも1つを蛍光体を用いた光源としてもよい。
【0129】
図10に、本発明の他の実施形態の液晶プロジェクタの構成を示す。
【0130】
図10に示す液晶プロジェクタは、緑色光源101Gに代えて緑色光源201Gを設けた点以外は、第1の実施形態と同じ構成である。図10中、同じ構成には同じ符号を付し、ここでは、それらの詳細な説明は省略する。
【0131】
図11に、蛍光体ホイール302を示し、図12に、その蛍光体ホイール302を備えた緑色光源201Gの構成を示す。
【0132】
図11および図12に示すように、蛍光体ホイール302は、円盤状の基板を備え、基板の一方の面に、励起光により励起されて緑色の蛍光を放出する蛍光体が塗布されている。基板は、励起光を透過するような材料よりなる。
【0133】
蛍光体ホイール302の中央部はモータ303の出力軸に保持されており、モータ303により蛍光体ホイール302を回転させることができる。
【0134】
蛍光体ホイール302の蛍光体が塗布された面とは反対の面側に、励起光源301が配置されている。蛍光体ホイール302を回転させながら励起光源301を点灯させ、蛍光体ホイール302の蛍光体面から緑色の蛍光が放出される。
【0135】
本実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12