(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5748247
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】床敷きマット仮止めシート
(51)【国際特許分類】
E04F 15/16 20060101AFI20150625BHJP
A47G 27/04 20060101ALI20150625BHJP
C09J 7/02 20060101ALI20150625BHJP
【FI】
E04F15/16 Z
A47G27/04 A
C09J7/02 Z
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-109520(P2014-109520)
(22)【出願日】2014年5月27日
【審査請求日】2014年8月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】392029247
【氏名又は名称】株式会社ヒガシ化学
(74)【代理人】
【識別番号】100081891
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100150153
【弁理士】
【氏名又は名称】堀家 和博
(72)【発明者】
【氏名】飯岡 陸
【審査官】
南澤 弘明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−162703(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/16
A47G 27/04
C09J 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(イ) 不織布(11)の表裏に粘着性発泡樹脂組成物をストライプ模様状に塗布して隆起した発泡粘着層(12・13)と窪んだ谷溝(15・16)が交互に形成された両面粘着型接着シート(14)であり、
(ロ) 発泡粘着層(12・13)が、粘着性発泡樹脂組成物を機械的に攪拌して泡立てて形成され、起泡セルが連続した連泡構造を形成しており、
(ハ) 表側発泡粘着層(12)の表側表面に占める表側粘着面積占有率(α)が、裏側発泡粘着層(13)の裏側表面に占める裏側粘着面積占有率(β)よりも少ないことを特徴とする床敷きマット仮止めシート。
【請求項2】
(ニ) ニトリルブタジエンゴム板に対するJIS−K−6854−1に規定される90度剥離試験による表側表面の剥離強度(e)が、0.10N/50mm以下であり、
(ホ) 単繊維繊度が5dtex以上30dtex以下、総繊度が2000dtex以上3000dtex以下のポリプロピレン繊維マルチフィラメントをパイル糸とし、ゲージ密度を10(本/25.4mm)とし、ステッチ密度を11(本/25.4mm)としてタフティングされたパイル長が1.5mm以上3.0mm以下のレベルループパイルタフテッド布帛の裏面に塩化ビニル樹脂を裏打ち積層して成るタイルカーペットのレベルループパイル面に対するJIS−K−6854−1に規定される90度剥離試験による裏側表面の剥離強度(f)が、0.15N/50mm以上であることを特徴とする請求項1の床敷きマット仮止めシート。
【請求項3】
表側発泡粘着層(12)と裏側発泡粘着層(13)を重ね合わせて圧着してから剥離するとき、表側発泡粘着層(12)と裏側発泡粘着層(13)それぞれ双方の圧着面に残痕なしに剥離可能な自己粘着性を有することを特徴とする請求項1と2の何れかの床敷きマット仮止めシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーペット、タイルカーペット、アクセントラグ、ダストコントロールマット等の屋内外の通路の出入口の床面に敷き込まれる床敷きマットを固定するために使用される床敷きマット仮止めシートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
表裏両面に粘着性樹脂組成物を積層した両面粘着シートは公知である(例えば、特許文献1、2参照)。両面粘着シートのベースシートには紙、織物、編物、不織布が使用される。熱可塑性合成繊維の繊維ウェブを加熱加圧して繊維間を接合したスパンボンド不織布は公知である(例えば、特許公報3,4,5,6,7,8,9参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−157476号公報
【特許文献2】特開2011−252095号公報
【特許文献3】特開昭51−72688号公報(特公昭55−45662)
【特許文献4】特開昭56−101965号公報(特公昭633−38460)
【特許文献5】特開平06−139715号公報(特公昭60−42722)
【特許文献6】特開2001−181956号公報(特許第4267158号)
【特許文献7】特開2003−286651号公報(特許第3926184号)
【特許文献8】特開2004−057595号公報(特許第3924217号)
【特許文献9】特開2005−287745号公報(特許第4906237号)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
出入口に使用される床敷きマットは、汚れ易く、頻繁に洗濯されるので、床面から外し易い両面粘着テープが仮止め用接着シートとして使用されている。
【0005】
一般市販の両面粘着テープには、粘着力の弱いものと強いものとがある。粘着力の弱い両面粘着テープでは、仮止め使用中に剥離し易く、その剥離した粘着面に塵埃が付着して汚染するだけではなく、粘着面の粘着力が低下して使用し得なくなる。粘着力の強い両面粘着テープでは、敷替時に床敷きマットが粘着面から引き剥がし難く、剥離した床敷きマットに粘着性樹脂組成物の糊残りが出来、洗濯し難くなる。
【0006】
特に、賃貸業のサービス商品として取り扱われる業務用床敷きマットは、頻繁に洗濯し終えた新しい床敷きマットに敷き替えられ、洗濯して繰り返し使用される。その敷替作業は、敷替用床敷きマットを積み込んだ業務用自動車を路上に駐車してユーザーの許に赴き、路上駐車に注意を配りながら短時間に行うことになるが、粘着力の強い両面粘着テープでは剥がし難く、敷替作業の妨げとなる。
【0007】
そこで本発明は、床敷きマットを確り床面に固定することが出来て使用中に床面から剥離することがなく、洗濯時には床面から迅速かつ綺麗に剥離することが出来、特にニトリルブタジエンゴムに裏打ちされた賃貸業務用床敷きマットの仮止め固定に適した接着シートを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る床敷きマット仮止めシートは、(イ) 不織布11の表裏に粘着性発泡樹脂組成物をストライプ模様状に塗布して隆起した発泡粘着層12・13と窪んだ谷溝15・16が交互に形成された両面粘着型接着シート14であり、(ロ) 発泡粘着層12・13が、粘着性発泡樹脂組成物を機械的に攪拌して泡立てて形成され、起泡セルが連続した連泡構造を形成しており、(ハ) 表側発泡粘着層12の表側表面に占める表側粘着面積占有率αが、裏側発泡粘着層13の裏側表面に占める裏側粘着面積占有率βよりも少ないことを第1の特徴とする。
【0009】
本発明に係る床敷きマット仮止めシートの第2の特徴は、上記第1の特徴に加えて、(ニ) ニトリルブタジエンゴム板に対するJIS−K−6854−1に規定される90度剥離試験による表側表面の剥離強度eが、0.10N/50mm以下であり、(ホ) 単繊維繊度が5dtex以上30dtex以下、総繊度が2000dtex以上3000dtex以下のポリプロピレン繊維マルチフィラメントをパイル糸とし、ゲージ(横)密度を10(本/25.4mm)とし、ステッチ(縦)密度を11(本/25.4mm)としてタフティングされたパイル長が1.5mm以上3.0mm以下のレベルループパイルタフテッド布帛の裏面に塩化ビニル樹脂を裏打ち積層して成るタイルカーペットのレベルループパイル面に対するJIS−K−6854−1に規定される90度剥離試験による裏側表面の剥離強度fが、0.15N/50mm以上である点にある。
【0010】
本発明に係る床敷きマット仮止めシートの第3の特徴は、上記第1と第2の何れかの特徴に加えて、表側発泡粘着層12と裏側発泡粘着層13を重ね合わせて圧着してから剥離するとき、表側発泡粘着層12と裏側発泡粘着層13それぞれ双方の圧着面に残痕なしに剥離可能な自己粘着性を有する点にある。
【発明の効果】
【0011】
ダストコントロールマットは、靴裏の塵埃を捕捉するために人の出入りの激しい出入口の床面に置き敷きされ、頻繁に洗濯して繰り返し再使用されるものであり、その過酷な使用に耐えるようにニトリルブタジエンゴムシートが裏打ちされている。
そのダストコントロールマットが置き敷きされる床面には、大理石や陶磁器製の硬質タイル、プラスチック製のリノリュームその他の所謂ピータイル、塩化ビニル樹脂シートに発泡樹脂を裏打ちした所謂クッションフロアー、木質の所謂フローリング、ニードルパンチングフェルトやレベルループパイルタフテッド布帛の裏面に塩化ビニル樹脂を裏打ち積層したタイルカーペットの何れかの床材が施工されている。
【0012】
これらの床材の中で両面粘着テープが粘着し難く剥離し易い床材は、両面粘着テープが点接着するようにループパイルの先端に付着することになるレベルループパイルタイルカーペット、特に接着性を欠くポリプロピレン繊維マルチフィラメントをパイル糸とするポリプロピレン繊維タイルカーペットである。
【0013】
本発明の床敷きマット仮止めシート14では、裏側発泡粘着層13が弾性的に変形し易い起泡セルの連続した連泡構造になっており、ポリプロピレン繊維タイルカーペット(18)に接触するときは、そのタイルカーペット(18)のレベルループパイル面の細かい起伏に応じて変形し密着する。
【0014】
従って、床敷きマット仮止めシート14の裏側発泡粘着層13の積層されている裏側表面の単繊維繊度が5dtex以上30dtex以下、総繊度が2000dtex以上3000dtex以下のポリプロピレン繊維マルチフィラメントをパイル糸とし、ゲージ(横)密度を10(本/25.4mm)とし、ステッチ(縦)密度を11(本/25.4mm)としてタフティングされたパイル長が1.5mm以上3.0mm以下のレベルループパイルタフテッド布帛の裏面に塩化ビニル樹脂を裏打ち積層して成るタイルカーペットのレベルループパイル面に対するJIS−K−6854−1に規定される90度剥離試験による剥離強度fを0.15N/50mm以上に調整し易くなる。
【0015】
それと共に、本発明では、表側発泡粘着層12の表側表面に占める表側粘着面積占有率αを裏側発泡粘着層13の裏側表面に占める裏側粘着面積占有率βよりも少なくしているので、その表裏の発泡粘着層12・13に同じ粘着性発泡樹脂組成物を使用するときでも、床敷きマット仮止めシート14の表側発泡粘着層12の積層されている表側表面のニトリルブタジエンゴム板に対するJIS−K−6854−1に規定される90度剥離試験による剥離強度eを0.10N/50mm以下に調整し易くなる。
【0016】
このように、本発明の床敷きマット仮止めシート14では、ニトリルブタジエンゴム板に対するJIS−K−6854−1に規定される90度剥離試験による表側表面の剥離強度eが0.10N/50mm以下に調整され、且つ、単繊維繊度が5dtex以上30dtex以下、総繊度が2000dtex以上3000dtex以下のポリプロピレン繊維マルチフィラメントをパイル糸とし、ゲージ(横)密度を10(本/25.4mm)とし、ステッチ(縦)密度を11(本/25.4mm)としてタフティングされたパイル長が1.5mm以上3.0mm以下のレベルループパイルタフテッド布帛の裏面に塩化ビニル樹脂を裏打ち積層して成るタイルカーペットのレベルループパイル面に対するJIS−K−6854−1に規定される90度剥離試験による裏側表面の剥離強度fが、0.15N/50mm以上に調整される。
【0017】
このため、出入口の床面17に施工される何れの床材に対しても裏側発泡粘着層13を向けて床敷きマット仮止めシート14を敷設し、その仮止めシート14の表面の表側発泡粘着層12に向けて置敷きしたダストコントロールマット(18)を敷き替えるときでも、床面17から仮止めシート14を剥離することなく、ダストコントロールマット(18)を瞬間的に剥離することが出来、ダストコントロールマット(18)の回収車を路上に止めて行う敷替作業効率が高まる。
【0018】
そして、表側発泡粘着層12と裏側発泡粘着層13を重ね合わせて圧着してから剥離するとき、表側発泡粘着層12と裏側発泡粘着層13それぞれ双方の圧着面に残痕なしに剥離可能な自己粘着性を有する床敷きマット仮止めシート14では、その表裏の発泡粘着層12・13の内部に連泡構造を形成している起泡セルが、ダストコントロールマット(18)の使用過程で押し潰されて密着しても、その発泡粘着層内部の起泡セル壁間でも剥離可能な自己粘着性なので、床面17の細かい起伏に応じて変形し密着する弾力性が維持される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る床敷きマット仮止めシートの斜視図である。
【
図2】本発明に係る床敷きマット仮止めシートの施工された床面の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
床敷きマット仮止めシートの芯材と言うべき不織布11には厚みが1mm以下で目付けが150g/m
2 以下のスパンボンド不織布を使用するとよい。
スパンボンド不織布では、流動性を帯びた接着剤が含浸しておらず、繊維ウェブを加熱加圧して造られたものであるから、塗布積層される粘着性発泡樹脂組成物は、繊維ウェブ内部の接着剤に妨げられることなく浸透し、スパンボンド不織布から剥離しない粘着性発泡粘着層12・13を形成し、スパンボンド不織布自体も層内剥離しない。
【0021】
スパンボンド不織布の表裏に積層される粘着層12・13は、発泡しているので細かい凹凸のあるニードルパンチングフェルトやレベルループパイルカーペットの施工された床面17にも良く馴染み、床面17や床敷きマットに浮き剥がれがなく、芯材と言うべきスパンボンド不織布の厚みが1mm以下で目付けが150g/m
2 以下であることでも層内剥離し難く、床敷きマット仮止めシート14が柔軟に仕上がり、床面17や床敷きマット18に密着する。
【0022】
そのようにスパンボンド不織布11の厚みが1mm以下で目付けが150g/m
2 以下であっても、その表裏に塗布積層される粘着性発泡樹脂組成物が内部浸透して補強するので、床敷きマット仮止めシート14は寸法安定性と形状安定性に優れたものとなる。
【0023】
不織布11には、ナイロン、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、レーヨン、アセテート繊維等に加えて、低融点の熱融着性繊維や熱融着性ポリマーを鞘成分とする熱融着性芯鞘複合繊維等のバインダー繊維を混用するとよい。
【0024】
粘着性発泡樹脂組成物をストライプ模様状に塗布して隆起した表側の発泡粘着層12の厚みjは1.5〜3.0mmとし、その発泡粘着層12と発泡粘着層12の間の谷溝15の溝幅Eは3〜70mmとし、その谷溝15と谷溝15の間の発泡粘着層12の畝幅Gは2〜30mmとするとよい。
粘着性発泡樹脂組成物をストライプ模様状に塗布して隆起した裏側の発泡粘着層13の厚みkは1.5〜3.0mmとし、その発泡粘着層13と発泡粘着層13の間の谷溝16の溝幅Fは1〜20mmとし、その谷溝16と谷溝16の間の発泡粘着層13の畝幅Hは10〜100mmとするとよい。
【0025】
粘着性発泡樹脂組成物は、スチレン・ブタジエン・スチレン・ブロック重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック重合体、ガラス転移点の低いアクリル系
重合体等の粘着性樹脂エマルジョンを主材とし、天然ゴム、ニトリル・ブタジエン・ゴム、アクリロニトリル・ブタジエン・ゴム、スチレン・ブタジエン・ゴム、スチレン・イソプレンブロック重合体、アクリル系重合体等の低粘着性樹脂エマルジョンを粘着性調整剤を兼ねた増量剤とし、起泡剤としての界面活性剤を加え、必要に応じて加硫架橋剤、老化防止剤、粘着付与樹脂、安定剤、可塑剤を加えて調製される。
【0026】
加硫架橋剤には、硫黄、亜鉛華、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン系化合物、チアゾール系化合物、チウラム系化合物、ジチオカルバメート系化合物、グアニジン系化合物、キサントゲン酸系化合物、アミン系化合物等が使用される。
粘着付与樹脂には、ロジン、テルペン、石油系樹脂、クマロンインデン樹脂、スチレンフェノール樹脂、キシレン樹脂等が使用される。老化防止剤には、ナフチルアミン系化合物、ジフェニルアミン化合物、モノリン系化合物、ビスフェノール系化合物等が使用される。可塑剤にはジエチルフタレート、ジブチルフタレート、エチレングリコール等が使用される。充填剤には炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、珪酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、タルク、シリカ、珪藻土、珪砂等が使用される。
【0027】
JIS−K−6854−1に規定される90度剥離試験は、試験片のサイズを幅50mm×長さ250mmとし、温度23℃×湿度50%の雰囲気下で行い、試験片の引張速度は500mm/minとする。
【実施例】
【0028】
(実施例)
ナイロンと熱融着性ポリエステル芯鞘複合繊維を含むポリエステル繊維によって構成される厚み0.5mm、目付け123g/m
2 のタフテッドカーペット一次基布用スパンボンド不織布11を芯材とし、アクリル樹脂エマルジョン(中央理化工業株製粘着性リカボンドAP,濃度54%)270重量部、アクリル樹脂エマルジョン(中央理化工業株製リカボンドFK,濃度60%)620重量部、界面活性剤(サンノプコ株製起泡剤)50重量部、シリコンオイル(整泡剤)1重量部、ポリアクリル酸ソーダ(増粘剤,濃度20%)20重量部、エポキシ樹脂(大日本インキ株製架橋剤)10重量部、水29重量部によって組成される粘着性樹脂組成物をミキサーに通して泡立てて発泡倍率2倍の粘着性発泡樹脂組成物に調製し、塗布厚みjを2.0mmとし、谷溝15の溝幅Eを11mmに設定し、発泡粘着層12の畝幅Gを4mmに設定して不織布11の表側表面に塗布し、120℃にて15分間乾燥処理した。
【0029】
次いで、不織布11を裏返して裏側表面に、アクリル樹脂エマルジョン(大日本インキ株製粘着性W533,濃度60%)440重量部、アクリル樹脂エマルジョン(中央理化工業株製リカボンドFK,濃度60%)440重量部、界面活性剤(サンノプコ株製起泡剤)50重量部、界面活性剤(日華化学株製起泡剤)20重量部、シリコンオイル(整泡剤)2重量部、ポリアクリル酸ソーダ(増粘剤,濃度20%)20重量部、エポキシ樹脂(大日本インキ株製架橋剤)10重量部、水18重量部によって組成される粘着性樹脂組成物をミキサーに通して泡立てて発泡倍率2倍に調製し、塗布厚みkを2.0mmとし、谷溝16の溝幅Fを2mmに設定し、発泡粘着層13の畝幅Hを13mmに設定して粘着性発泡樹脂組成物を塗布し、120℃にて15分間乾燥処理し、表側粘着面積占有率αが27%、裏側粘着面積占有率βが87%の床敷きマット仮止めシート14を得た。
不織布11の表側表面への粘着性発泡樹脂組成物の乾燥固形分塗布量は150g/m
2 、裏側表面への粘着性発泡樹脂組成物の乾燥固形分塗布量は500g/m
2 であった。
【0030】
(物性試験)
表裏の発泡粘着層12・13の続く床敷きマット仮止めシート14の長さ方向に50mm、その長さ方向に直交する床敷きマット仮止めシート14の幅方向に250mmのサイズをもって実施例の床敷きマット仮止めシート14を裁断して採取した幅50mm×長さ250mmの試験片のJIS−K−6854−1に規定される90度剥離試験によるニトリルブタジエンゴム板に対する表側発泡粘着層12の剥離強度eは0.10N/50mmであった。
又、上記実施例の試験片のJIS−K−6854−1に規定される90度剥離試験による単繊維繊度22dtex、総繊度2640dtexのポリプロピレン繊維マルチフィラメントをパイル糸とし、ゲージ(横)密度を10(本/25.4mm)とし、ステッチ(縦)密度を11(本/25.4mm)としてタフティングされたパイル長が2.0mmのレベルループパイルタフテッド布帛の裏面に塩化ビニル樹脂を裏打ち積層して成るタイルカーペットのレベルループパイル面に対する裏側発泡粘着層13の剥離強度fは0.38N/50mmであった。
又、上記実施例の試験片のJIS−K−6854−1に規定される90度剥離試験による鏡面用ガラス板に対する裏側発泡粘着層13の剥離強度rは2.40N/50mmであった。
【0031】
(実用試験1)
実施例の床敷きマット仮止めシート14を上記物性試験に用いたポリプロピレン繊維レベルループパイルタイルカーペットの施工された研究室の出入口の床面17に、裏側発泡粘着層13を床面17に向けて置き敷きし、その床敷きマット仮止めシート14の表側発泡粘着層12の上にニトリルブタジエンゴムシートの裏打ちされたダストコントロールマット(18)を重ねて置き敷きして30日間実用試験した結果、床敷きマット仮止めシート14のタイルカーペット施工床面17での浮き剥がれはなく、又、敷きマット仮止めシート14の上でのダストコントロールマット(18)の擦れ移動も認められず、ダストコントロールマット(18)の端縁を摘んで引き剥がすとき、ダストコントロールマット(18)だけが敷きマット仮止めシート14から綺麗に剥離し、敷きマット仮止めシート14がタイルカーペット施工床面17から剥離することはなかった。
【0032】
(実用試験2)
上記実用試験1のポリプロピレン繊維レベルループパイルタイルカーペットに代えてピータイルの施工された研究室の出入口の床面17に、実施例の床敷きマット仮止めシート14を裏側発泡粘着層13をピータイル施工床面17に向けて置き敷きし、その床敷きマット仮止めシート14の表側発泡粘着層12の上にニトリルブタジエンゴムシートの裏打ちされたダストコントロールマット(18)を重ねて置き敷きして30日間実用試験した結果、床敷きマット仮止めシート14のピータイル施工床面17での浮き剥がれはなく、又、敷きマット仮止めシート14の上でのダストコントロールマット(18)の擦れ移動も認められず、ダストコントロールマット(18)の端縁を摘んで引き剥がすとき、ダストコントロールマット(18)だけが敷きマット仮止めシート14から綺麗に剥離し、敷きマット仮止めシート14がピータイル施工床面17から剥離することはなかった。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の床敷きマット仮止めシート14は、ダストコントロールマットの仮止めシートとしてだけではなく、防滑シートとして事務用電子機器や家電製品、家具等の下に敷き込んで使用することが出来る。
【符号の説明】
【0034】
11:不織布
12:表側発泡粘着層
13:裏側発泡粘着層
14:床敷きマット仮止めシート
15:表側発泡粘着層間の谷溝
16:裏側発泡粘着層間の谷溝
17:床面
18:床敷きマット
E :表側発泡粘着層間の谷溝の溝幅
F :裏側発泡粘着層間の谷溝の溝幅
G :表側発泡粘着層の畝幅
H :裏側発泡粘着層の畝幅
j :表側発泡粘着層の厚み
k :裏側発泡粘着層の厚み
【要約】
【課題】賃貸業務用床敷きマットの仮止め固定用シートを得る。
【解決手段】不織布11の表裏に粘着性発泡樹脂組成物をストライプ模様状に塗布して隆起した発泡粘着層12・13と窪んだ谷溝15・16を交互に形成して両面粘着型床敷きマットの仮止めシート14とする。表裏の発泡粘着層は、粘着性発泡樹脂組成物を機械的に攪拌して泡立てた起泡セルの連続する連泡構造とする。表側発泡粘着層12の表側表面に占める表側粘着面積占有率αを、裏側発泡粘着層13の裏側表面に占める裏側粘着面積占有率βよりも少なくし、仮止めシート14の上から床敷きマット18を取り外すとき、床敷きマットに引っ張られて床面から仮止めシートまでも剥離しないようにする。
【選択図】
図1