特許第5748310号(P5748310)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5748310
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】上部格子板検査具
(51)【国際特許分類】
   G21C 17/003 20060101AFI20150625BHJP
【FI】
   G21C17/00 E
【請求項の数】11
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-543175(P2013-543175)
(86)(22)【出願日】2011年11月9日
(65)【公表番号】特表2014-503810(P2014-503810A)
(43)【公表日】2014年2月13日
(86)【国際出願番号】US2011059852
(87)【国際公開番号】WO2012082263
(87)【国際公開日】20120621
【審査請求日】2014年7月29日
(31)【優先権主張番号】12/965,966
(32)【優先日】2010年12月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501010395
【氏名又は名称】ウエスチングハウス・エレクトリック・カンパニー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100091568
【弁理士】
【氏名又は名称】市位 嘉宏
(72)【発明者】
【氏名】カーボネル、ジョン、アール
(72)【発明者】
【氏名】オストランダー、クリストファー、ヴィー
【審査官】 林 靖
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−090490(JP,A)
【文献】 特開平10−090469(JP,A)
【文献】 米国特許第05692024(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0235767(US,A1)
【文献】 特開昭63−314462(JP,A)
【文献】 米国特許第04826650(US,A)
【文献】 特開平01−237443(JP,A)
【文献】 特開平01−015645(JP,A)
【文献】 特開昭63−061162(JP,A)
【文献】 特開昭62−067446(JP,A)
【文献】 特開昭61−066162(JP,A)
【文献】 特開2003−185783(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 17/00−17/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
沸騰水型原子炉の上部格子板(24)の検査具(62)であって、
前記上部格子板の燃料集合体に対応する格子穴の上端に載置され支持される大きさの枠(64)と、
前記枠が前記燃料集合体に対応する格子穴の前記上端に支持されると、前記燃料集合体に対応する格子穴の内周に、前記格子穴の境界に近接して延びるように、前記枠(64)によって支持されるホイール軌道(66)と、
前記枠(64)により回転自在に支持され、前記枠が前記燃料集合体に対応する格子穴の前記上端に支持されると、前記格子穴の下方へ、前記格子穴の下方へ配置される燃料集合体の軸に沿って延びる中心軸(60)と、
前記中心軸(60)に固定接続され、前記中心軸から横方向に延び、前記中心軸に平行で離隔した蝶番線(112)を有する遠位リンク(110)が蝶着されたリンケージブラケット(106)と、
前記ホイール軌道(66)に乗り、前記遠位リンク(110)により支持されるカム従動子(124)と、
前記中心軸(60)と前記遠位リンク(110)との間に固定アングルで接続される検査装置ブラケット(90)と、
を備えることを特徴とする検査具(62)。
【請求項2】
前記中心軸(60)が380度を超えて回転するのを防止するためのハードストップ環(78)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の検査具(62)。
【請求項3】
前記蝶着された遠位リンク(110)が予め選択された配向を有するようにばね付勢されることを特徴とする、請求項1に記載の検査具(62)。
【請求項4】
前記予め選択された配向が、前記蝶番線(112)と前記中心軸(60)との間の前記リンケージブラケット(106)の別の部分(108)と0度の角度をなすことを特徴とする、請求項3に記載の検査具(62)。
【請求項5】
前記検査装置ブラケット(90)に据え付けられるビデオカメラ(88)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の検査具(62)。
【請求項6】
前記ホイール軌道 (66)が長方形であることを特徴とする請求項1に記載の検査具(62)。
【請求項7】
前記ホイール軌道(66)が正方形であることを特徴とする請求項6に記載の検査具(62)。
【請求項8】
前記枠が前記燃料集合体に対応する格子穴の前記上端に載置されているときには、前記ホイール軌道(66)が、前記上部格子板(24)の前記燃料集合体に対応する格子穴内で前記枠(64)により吊り下げられることを特徴とする、請求項1に記載の検査具(62)。
【請求項9】
前記枠(64)が前記燃料集合体に対応する格子穴の上端に載置されているときには、前記ホイール軌道(66)が前記上部格子板(24)の上面の直下に位置することを特徴とする、請求項8に記載の検査具(62)。
【請求項10】
前記中心軸(60)の上端に、前記中心軸を回転させる駆動手段(52)との連結のための連結器(54,56)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の検査具(62)。
【請求項11】
前記検査具を前記燃料集合体に対応する格子穴の上端に位置決めし前記中心軸(60)を回転させるために前記連結器(54,56)に接続するポール(52)を含むことを特徴とする、請求項10に記載の検査具(62)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して沸騰水型原子炉内部の検査に関し、より詳細には、沸騰水型原子炉の上部格子板の下面の検査に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、沸騰水型原子炉の典型的な原子炉圧力容器10の一部破断断面図である。沸騰水型原子炉の運転時、原子炉圧力容器10内を循環する冷却水は、炉心12内で発生する核分裂により加熱される。原子炉圧力容器10内には、給水注水口14及び給水スパージャ16によって給水が導入される。スパージャ16は、給水を原子炉圧力容器10の内側の円周方向に散布するための開口を備えた輪状の管である。給水スパージャ16からの給水は、原子炉圧力容器10と炉心シュラウド20との間の環状の領域であるダウンカマアニュラス18を通って下方に流れる。
【0003】
炉心シュラウド20は炉心12を取り囲むステンレス鋼製の円筒体である。炉心12は多数の燃料束集合体22を含み、図1にはそのうち2つのアレイが示されている。燃料束集合体22の各アレイは、上部では上部格子板24により支持され、下部では炉心板26により支持される。上部格子板24は燃料束集合体22の上部を側方から支持して、制御棒を挿入できるよう、適正な燃料チャネル間隔を維持する。
【0004】
冷却水はダウンカマアニュラス18を通って下方に流れ、炉心下部プレナム28に流入する。炉心下部プレナム28内の冷却水は、引き続いて炉心12を通り上方に流れる。冷却水は燃料束集合体22に入り、そこで沸騰境界層を形成する。水と蒸気との混合体は炉心12を出て、シュラウドヘッド32の下の炉心上部プレナム30に入る。炉心上部プレナム30は、炉心12から出る蒸気・水混合体とスタンドパイプ34に入る蒸気・水混合体との間の緩衝機能を有する。スタンドパイプ34はシュラウドヘッド32の上部に配設され、炉心上部プレナム30と流体連通関係にある。
【0005】
蒸気・水混合体はスタンドパイプ34を通って流れ、気水分離器36に入る。気水分離器36は、例えば、軸流遠心式であってもよい。気水分離器36は蒸気・水混合体を液状水と蒸気とに実質的に分離するものである。分離された液状水は、混合プレナム38において給水と混ざり合う。この混合体は次いでダウンカマアニュラス18を介して炉心12へ戻る。分離された蒸気は、蒸気乾燥器40を通過して蒸気ドーム42に入る。乾燥された蒸気は蒸気出口44を介して原子炉圧力容器10から取り出され、タービン及び他の機器(図示せず)において用いられる。
【0006】
沸騰水型原子炉は、所要の出力密度を得るのに必要な、炉心12を通る強制対流を提供する冷却材再循環系も備えている。水の一部はダウンカマアニュラス18の下端から再循環水出口46を介して吸引され、遠心再循環ポンプ(図示せず)によって、再循環水入口50を介して複数のジェットポンプ集合体48(そのうち1つのみを示す)内に強制的に導入される。ジェットポンプ集合体48は炉心シュラウド20の周囲に沿って円周方向に分散配置されており、必要な炉心流量を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
米国原子力規制委員会(The United States Nuclear RegulatoryCommission)は、原子力発電所の認可延長のためには、経年劣化し易い原子炉炉内構造物の構成要素について、粒界応力腐食割れ等の作用による劣化の検査を行うことを要求している。上部格子板の下部側の従来の検査方法は、一片のテープによって直接上を向くように背面固定された1台のカメラを用いて行われていた。この方法を用いる場合、運動及び検査角度が不正確となるのが一般的であった。米国電力研究所(EPRI)の沸騰水型原子炉容器及び炉内構造物プロジェクト(BWRVIP)報告−03(改定12版)に規定される目視検査基準は、カメラアングルが、検査片から既知の距離を置いた状態で、垂線から30°以下に配置されることを求めている。BWRVIP−26A及びBWRVIP−183はいずれも上部格子板の試験に適用される。従来の方法を用いると、検査が検査基準内に収まることを確認するのが困難であった。
【0008】
したがって、検査基準を満たしていることを確認可能な新たな方法が望まれている。より詳細には、そのような方法を実行可能で、且つ既知のカメラアングル及び検査片からの距離を維持可能であるとともに、流れにより誘起される検査工程への影響を完全に排除しないまでも最小限に保つための剛性を備えた新たな装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的は、沸騰水型原子炉の上部格子板の検査具を提供する本発明の装置により達成される。この検査具は、上部格子板の燃料集合体に対応する格子穴の上端に載置され支持される大きさの枠を含む。ホイール軌道は、枠が燃料集合体に対応する格子穴の上端に支持されると、燃料集合体に対応する格子穴の内周に、実質的に格子穴の境界に近接して延びるように、枠によって支持される。中心軸は枠により回転自在に支持され、枠が燃料集合体に対応する格子穴の上端に支持されると、格子穴の下方へ、格子穴の下方へ配置される燃料集合体の軸に概ね沿って延びる。リンケージブラケットは、中心軸に固定接続されて該中心軸から横方向に延び、中心軸に実質的に平行で離隔した蝶番線を有する遠位リンクが蝶着されている。カム従動子は、ホイール軌道に乗り、遠位リンクにより支持される。検査装置ブラケットは、上部格子板の下面を走査するようにカメラを固定アングルで支持するために、中心軸と遠位リンクとの間に接続される。
【0010】
一実施形態において、検査具は、中心軸が約380°を超えて回転するのを防止するためのハードストップ環を含む。好ましくは、蝶着された遠位リンクは、蝶番線と中心軸との間のリンケージブラケットの別の部分と好ましくは0°の角度をなす予め選択された配向を有するようにばね付勢される。
【0011】
好適な実施形態においては、ホイール軌道は略長方形であり、好ましくは略正方形である。望ましくは、ホイール軌道は、枠が燃料集合体に対応する格子穴の上端に載置されているときには、上部格子板の燃料集合体に対応する格子穴内で枠から吊り下げられ、一実施形態においては、ホイール軌道は上部格子板の上面の直下に位置する。
【0012】
別の実施形態においては、本発明の検査具は、中心軸の上端に、中心軸を回転させる駆動手段との連結のための連結器を含む。好ましくは、この駆動手段は、検査具を燃料集合体に対応する格子穴の上端に位置決めし中心軸を回転させる連結器に接続するポールを含む。
【0013】
本発明は、以下の好適な実施形態の説明を、添付の図面を参照しながら読むことにより、より良く理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】沸騰水型原子炉の典型的な原子炉圧力容器の一部破断断面図である。
図2】本発明の検査具の分解図である。
図3図2に示す検査具の枠及びホイール軌道の分解図である。
図4】本発明の検査具の中心軸及び該中心軸に直接接続されたリンク集合体の一部の斜視図である。
図5図4に示すリンク集合体の一部に蝶番式に取り付けられるリンク集合体の遠位端の斜視図である。
図6】上部格子板の燃料集合体に対応する格子穴内に配置された本発明の検査具の下面を、検査センサブラケットが第1の配向状態で、示す斜視図である。
図7】第2の配向状態にある、図6に示した本発明の検査具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の上部格子板検査具は、分解図の形で図2に図示されており、小型操作ポール52を介して原子炉作業プラットフォームから提供される。小型操作ポール52は、本発明の検査具62の中心軸60の上部であるスリーブ58の遠位端のJ字形スロット結合部56に嵌合するディンプル54を有する。小型操作ポール52により、検査具62が上部格子板のセル、すなわち燃料集合体の格子穴内に設置されるが、検査具は、この小型操作ポール52により、カメラ又は他の検査センサを手動で機械的に操作したり、回転させたりして、目視検査要件を満たすべく、上部格子板の下側の表面を目視検査するのを可能にする。検査は、要望に応じて、時計回り又は反時計回りに実施可能である。
【0016】
検査具62の特徴は、図3の分解図にさらに詳細に示されている交差部材枠64とホイール軌道66とを備えることである。枠は4つのアームまたは筋交い70を備えた中央ハブ68を有しており、筋交い70はハブ68のまわりに90°間隔で放射状に延出している。筋交い70は、上部格子板の燃料集合体に対応する格子穴の壁の上面上に乗るよう設計された支持棚部72を有する。中央ハブ68は、下部スリーブ軸受74と、改造された上部スリーブ軸受76とを有し、上部スリーブ軸受76はそれを貫通する中心軸60の回転を許容する。ハードストップ遊動環78は中心軸60に接続され、一段高いランド80を含む。この一段高いランド80は、上部軸受76のフランジの切り欠き82と協働して、中心軸の回転を1回転よりも少し大きい角度、すなわち約380°に制限する。ハードストップからハードストップまでの約380°の回転により、検査領域が重複し、全領域が確実に検査対象となる。ハードストップが望ましいのは、ユーザが残りすべての検査を同一方向で実行し続け、完全に1回転した後で検査具を「ホーム」位置にリセットしない場合、装置、例えばカメラのケーブルが絡まるのを防止するからである。ビデオ(あるいは他のセンサ)ケーブルを適切に確保して、ケーブルが過度にたるんだり、又はたるみ不足になるのを防止するために、2つのケーブル拘束フック84が枠のハブ68に設置されている。ホーム位置可視表示器86は、枠の上側に設置されて、動作時のカメラの相対的な位置をフィードバックする。ホイール軌道66は枠に溶接され、枠が定位置にあるとき、上部格子板の上面の直下で、燃料集合体に対応する格子穴内に収まる。カメラ支持ブラケット90にあるカメラ88を上部格子板の燃料集合体に対応する格子穴の壁の下面の周辺にガイドするために、ホイール軌道66は、燃料集合体の格子穴の内面に追従するよう長方形、好ましくは正方形であるのがより望ましい。
【0017】
中心軸60は、上部J字形スロット付きスリーブ58と、上部中心軸部材92と、リンケージ集合体スリーブ94と、下部軸部材96とから成り、各々が端と端とを溶接等により固定的に連結され、ピン98が回転すべりを確実になくす働きをする。カメラ支持ブラケット90の重量は、下部中心軸部材96に固定された軸カラー集合体100により担持される。下部中心軸部材96上の軸カラー集合体100の高さは、カメラ支持ブラケット90を様々な上部格子板の構造に応じて上下動できるように、調節可能である。下部中心軸96上の印102は、上部格子板の個別の設計に応じた高さ調節を識別するために設けられている。スロットを有するカメラブラケット104は、カメラ支持ブラケット90を下部中心軸部材96に接続するものであるが、以下に説明するように、遠位リンケージブロック110を介してカメラ支持ブラケット90に接続されたカム従動子124がホイール軌道66に沿って動くと、カメラ支持ブラケットが横方向に移動できるようにする。
【0018】
リンケージ集合体106は一般的にスリーブ94と、第1のリンケージブロック108と、第2の遠位リンケージブロック110とから成る。第1のリンケージブロック108は図4により詳しく示されており、リンケージ集合体スリーブ94に溶接されて一体部材を形成している。第2の、すなわち遠位リンケージブロック110は、図5により良く示されている。第1のリンケージブロック108は、連結ピン114により枢動可能に連結された蝶番式連結器112を介して第2のリンケージブロック110に接続される。蝶番式連結器112は、蝶番の配向を中立位置、すなわち第1のリンケージブロック108と第2のリンケージブロック110との間のオフセットが0°に戻すねじりばね116を備える。第2のリンケージブロックの下部側には、回転運動を可能とする滑り嵌め棒120の一方の端部のための孔118がある。滑り嵌め棒120のもう一方の端部は、カメラブラケットの固定配向を維持するために、カメラブラケット90の上端に固定接続される。第2のリンケージブロック110の上方端部の孔122には、カム従動子124の軸が据え付けられる。カム124はホイール軌道66の内面に乗っている。
【0019】
検査具62の構成は、中心軸60が小型操作ポール52によって手動で回転される際、カメラの位置が常にカムローラ124と同一の位置に保たれるようになっている。検査具はカメラ88を支持するものとして記載されているが、上部格子板の状態を試験するために、他の非破壊式センサもこの検査具により支持可能であることが理解されるべきである。上述の通り、検査具の回転を完全な1回転に制限するために、ハードストップ環78が中心軸60上に配置されるが、これによって、カメラケーブルが検査具に絡み付くのが防止されるとともに、検査の開始及び終了の機械的フィードバックが行われる。
【0020】
検査具は、本発明の検査具によって行われる検査がVT−1試験のBWRVIPの要件内に収まるように、カメラを位置決めする。これには、検査面に対するカメラの視角の関係(該面とカメラの視野との間の垂線の角度から30°未満)ならびに検査距離(検査面から15.24cm)が含まれる。検査を行うためには、検査対象に指定された上部格子板のセル(すなわち燃料集合体に対応する格子穴)からすべての燃料集合体、制御棒ブレード、ダブルブレードガイド及び/又はシングルブレードガイドを完全に退避させなければならない。直ぐ隣りのセル内に位置する燃料集合体、ダブルブレードガイド、及び/又はシングルブレードガイドについては、こうした物体のいずれとも接触又は干渉することがないであろうから、検査を行うために退避させる必要はない。上記した本発明の検査具はまた、局部出力領域モニタ等のいずれの計装体にも干渉せず、接触もしない。
【0021】
BWR−2型乃至6型上部格子板の設計のすべてにそれぞれ必要な5つの異なる構成に適応させるため、3つの異なる長さの棒120が用いられてもよい。各棒は、軸カラー100の位置に応じた垂直方向の調整を可能にしつつ、リンケージの遠位ブロック110の滑り嵌め孔118への有意な接触を維持するよう設計されている。軸カラー100を保持する下部中心軸部材96は、検査中の上部格子板に応じて軸カラーをどこに適切に位置付けるべきかを示すための小さな溝102を有する。検査具が特定の構成に適応するように設定されると、予定されたすべての検査は、設定をさらに変更、修正、又は操作することなく行うことができる。本実施形態の様々な構成要素に用いられる主な構成材料は、耐食性のため、300系ステンレス鋼と6061アルミニウムとから形成される。このように、本発明の検査具は、既知のカメラアングル及び検査片からの距離による円滑な検査を可能にするとともに、流れにより誘起される検査への影響を完全に排除しないまでも最小限に保つための剛性を備えている。
【0022】
図6は、カメラ支持体90が上部格子板24の下面を走査する際、カム124がホイール軌道66の直線状のレールに沿った中央の場所に来た状態の、上部格子板に設置された本発明の検査具を示す斜視図である。図7は、カムホイール124がホイール軌道66の角位置にある状態の、図6に示す検査具を示す斜視図である。図6及び7によれば、蝶番式の連結器112がホイール軌道66の直線部に適応するために曲がる際のリンケージ集合体106の機能をより良く理解することができる。
【0023】
本発明を特定の実施形態につき詳細に説明したが、当業者には、開示内容の全体的な教示に照らして、それらの種々の変形及び代替案を作成することができることがわかるであろう。したがって、開示されている特定の実施形態は、例示的であることを意図しているのみであって本発明の範囲を限定するものではなく、その範囲は添付の請求項ならびにそのあらゆる均等物の全幅を与えられるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7