特許第5748315号(P5748315)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5748315合成繊維用処理剤、合成繊維の処理方法及び合成繊維
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5748315
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】合成繊維用処理剤、合成繊維の処理方法及び合成繊維
(51)【国際特許分類】
   D06M 13/248 20060101AFI20150625BHJP
【FI】
   D06M13/248
【請求項の数】13
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-60539(P2015-60539)
(22)【出願日】2015年3月24日
【審査請求日】2015年3月24日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000210654
【氏名又は名称】竹本油脂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081798
【弁理士】
【氏名又は名称】入山 宏正
(72)【発明者】
【氏名】本郷 勇治
(72)【発明者】
【氏名】宮野 晃
(72)【発明者】
【氏名】足立 啓太
【審査官】 加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5658844(JP,B1)
【文献】 特開2004−19088(JP,A)
【文献】 特許第5528649(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06M 13/248
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子中に硫黄元素を有するエステル化合物と融点が35〜99℃のソルビタン脂肪酸エステル化合物とを含有する平滑剤を5〜93質量%、有機アミン化合物を0.1〜20質量%及び界面活性剤を5〜90質量%(合計100質量%)の割合で含有して成ることを特徴とする合成繊維処理剤。
【請求項2】
分子中に硫黄元素を有するエステル化合物を1〜90質量%及び融点が35〜99℃のソルビタン脂肪酸エステル化合物を0.1〜20質量%の割合で含有する請求項1記載の合成繊維処理剤。
【請求項3】
分子中に硫黄元素を有するエステル化合物が、チオジプロピオン酸及び/又はアルキルチオプロピオン酸とアルコールとをエステル化して得られる化合物である請求項1又は2記載の合成繊維処理剤。
【請求項4】
ソルビタン脂肪酸エステル化合物が、融点が45〜75℃のものである請求項1〜3のいずれか一つの項記載の合成繊維処理剤。
【請求項5】
有機アミン化合物が、炭素数6〜22の脂肪族アミン化合物及び/又は炭素数6〜22の脂肪族アミン1モルに対してアルキレンオキサイドを1〜50モルの割合で付加させた化合物である請求項1〜4のいずれか一つの項記載の合成繊維処理剤。
【請求項6】
界面活性剤が、下記のノニオン界面活性剤及び下記のアニオン界面活性剤から成るものである請求項1〜5のいずれか一つの項記載の合成繊維処理剤。
ノニオン界面活性剤:脂肪族アルコール1モルに対してアルキレンオキサイドを合計で1〜50モルの割合で付加させた化合物、脂肪酸1モルに対してアルキレンオキサイドを合計で1〜50モルの割合で付加させた化合物、ヒマシ油1モルに対してアルキレンオキサイドを合計で1〜50モルの割合で付加させたヒマシ油誘導体、ヒマシ油1モルに対してアルキレンオキサイドを合計で1〜50モルの割合で付加させたヒマシ油誘導体と炭素数6〜22の脂肪族モノカルボン酸とをエステル化して得られる化合物、ヒマシ油1モルに対してアルキレンオキサイドを合計で1〜50モルの割合で付加させたヒマシ油誘導体と炭素数2〜22のジカルボン酸とをエステル化して得られる化合物、ヒマシ油1モルに対してアルキレンオキサイドを合計で1〜50モルの割合で付加させたヒマシ油誘導体と炭素数2〜22のジカルボン酸とをエステル化して得られる化合物の水酸基を炭素数6〜22の脂肪族モノカルボン酸で封鎖した化合物、硬化ヒマシ油1モルに対してアルキレンオキサイドを合計で1〜50モルの割合で付加させた硬化ヒマシ油誘導体、硬化ヒマシ油1モルに対してアルキレンオキサイドを合計で1〜50モルの割合で付加させた硬化ヒマシ油誘導体と炭素数6〜22の脂肪族モノカルボン酸とをエステル化して得られる化合物、硬化ヒマシ油1モルに対してアルキレンオキサイドを合計で1〜50モルの割合で付加させた硬化ヒマシ油誘導体と炭素数2〜22のジカルボン酸とをエステル化して得られる化合物及び硬化ヒマシ油1モルに対してアルキレンオキサイドを合計で1〜50モルの割合で付加させた硬化ヒマシ油誘導体と炭素数2〜22のジカルボン酸とをエステル化して得られる化合物の水酸基を炭素数6〜22の脂肪族モノカルボン酸で封鎖した化合物から選ばれる一つ又は二つ以上
アニオン界面活性剤:有機脂肪酸塩、有機スルホン酸塩、有機硫酸エステル塩及び有機リン酸エステル塩から選ばれる一つ又は二つ以上
【請求項7】
分子中に硫黄元素を有するエステル化合物を1〜90質量%、ソルビタン脂肪酸エステル化合物を0.1〜10質量%、有機アミン化合物を0.1〜10質量%、ノニオン界面活性剤を5〜90質量%及びアニオン界面活性剤を0.1〜10質量%(合計100質量%)の割合で含有する請求項6記載の合成繊維処理剤。
【請求項8】
ソルビタン脂肪酸エステル化合物を1〜5質量%の割合で含有する請求項1〜7のいずれか一つの項記載の合成繊維処理剤。
【請求項9】
有機アミン化合物を1〜5質量%の割合で含有する請求項1〜8のいずれか一つの項記載の合成繊維処理剤。
【請求項10】
ゴム製品の補強に用いられる合成繊維用のものである請求項1〜9のいずれか一つの項記載の合成繊維処理剤。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一つの項記載の合成繊維処理剤を、熱処理工程に供する合成繊維フィラメント糸条に対し0.1〜3質量%となるように付着させることを特徴とする合成繊維の処理方法。
【請求項12】
請求項11に記載の合成繊維の処理方法により得られることを特徴とする合成繊維。
【請求項13】
ゴム製品の補強用のものである請求項12記載の合成繊維。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成繊維用処理剤、合成繊維の処理方法及び合成繊維に関し、更に詳しくは得られる補強用コードに優れた柔軟性及びゴム接着性を発現させる合成繊維用処理剤、かかる合成繊維用処理剤を用いる合成繊維の処理方法及びかかる処理方法によって得られる合成繊維に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、タイヤ類、ベルト類、ホース類等のゴム製品は、合成繊維製の撚糸を接着剤で処理した補強用コードで補強されている。かかる補強用コードには、ゴム製品の耐久性を向上するため、ゴムに対し充分な接着性を有することが要求され、またそれが硬すぎると、耐疲労性が悪くなり、結果としてゴム製品の劣化を早めることとなるので、これを防止するため、充分な柔軟性を有することが要求される。
【0003】
従来、前記のような補強用コードを製造するときに用いる合成繊維の処理剤として、ジチオホスフェート類のアルキルアミン塩を含有する合成繊維用処理剤(例えば特許文献1参照)、有機燐酸のモリブテン塩を含有する合成繊維用処理剤(例えば特許文献2参照)、平滑剤成分及び乳化剤を含有し、且つゼータ電位が―20mV以下である合成繊維用処理剤(例えば特許文献3参照)、多価アルコール、ポリアミン及び/又は多価カルボン酸にアルキレンオキサイドを付加して得られる1分子中に3個以上の活性水素を有する化合物(A)を5〜90重量%、スルホネート及び/又はサルフェート系アニオン界面活性剤(B)を5〜20重量%含有し、且つ処理剤を付着させた布と水との動的濡れ張力が80mN以上である合成繊維用処理剤(例えば特許文献4参照)、脂肪酸アミン塩と多価アルコール脂肪酸エステル化合物とを含有する合成繊維用処理剤(例えば特許文献5参照)等が提案されている。しかし、これら従来の合成繊維用処理剤には、それらを付着させた合成繊維を用い、接着剤で処理して製造した補強用コードの柔軟性及びゴムとの接着性が不充分という問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭59−223369号公報
【特許文献2】特開昭60−173167号公報
【特許文献3】特開平7−310282号公報
【特許文献4】特開2004−19088号公報
【特許文献5】特許第5658844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、合成繊維の処理剤であって、それを付着させた合成繊維を用い、接着剤で処理して製造した補強用コードに優れた柔軟性及びゴムとの接着性を発現させる合成繊維用処理剤、かかる合成繊維用処理剤を用いる合成繊維の処理方法及びかかる処理方法によって得られる合成繊維を提供する処にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記の課題を解決すべく研究した結果、分子中に硫黄元素を有するエステル化合物と融点が35〜99℃のソルビタン脂肪酸エステル化合物とを含有する平滑剤、有機アミン化合物及び界面活性剤を所定割合で含有して成る合成繊維用処理剤が正しく好適であることを見出した。
【0007】
すなわち本発明は、分子中に硫黄元素を有するエステル化合物と融点が35〜99℃のソルビタン脂肪酸エステル化合物とを含有する平滑剤を5〜93質量%、有機アミン化合物を0.1〜20質量%及び界面活性剤を5〜90質量%(合計100質量%)の割合で含有して成る合成繊維処理剤に係る。また本発明は、かかる合成繊維用処理剤を用いる合成繊維の処理方法に係る。更に本発明は、かかる処理方法によって得られる合成繊維に係る。
【0008】
先ず、本発明に係る合成繊維用処理剤(以下、本発明の処理剤という)について説明する。本発明の処理剤は、分子中に硫黄元素を有するエステル化合物と融点が35〜99℃のソルビタン脂肪酸エステル化合物とを含有する平滑剤を5〜93質量%、有機アミン化合物を0.1〜20質量%及び界面活性剤を5〜90質量%(合計100質量%)の割合で含有して成るものであるが、なかでも分子中に硫黄元素を有するエステル化合物を1〜90質量%及び融点が35〜99℃のソルビタン脂肪酸エステル化合物を0.1〜20質量%の割合で含有するものが好ましく、分子中に硫黄元素を有するエステル化合物を1〜90質量%、融点が35〜99℃のソルビタン脂肪酸エステル化合物を0.1〜10質量%、有機アミン化合物を0.1〜10質量%、ノニオン界面活性剤を5〜90質量%及びアニオン界面活性剤を0.1〜10質量%(合計100質量%)の割合で含有するものがより好ましい。
【0009】
本発明の処理剤のなかでも、融点が35〜99℃のソルビタン脂肪酸エステル化合物を1〜5質量%の割合で含有するものは、得られる補強用コードがより優れたゴム接着性を発現するものとなり、また有機アミン化合物を1〜5質量%の割合で含有するものは、得られる補強用コードがより優れた柔軟性を発現するものとなる。
【0010】
本発明の処理剤に供する分子中に硫黄元素を有するエステル化合物としては、1)ラウリルアルコールラウリルチオプロピオネート、ステアリルアルコールラウリルチオプロピオネート、オレイルアルコールステアリルチオプロピオネート、ポリオキシエチレンラウリルアルコールラウリルチオプロピオネート等の、脂肪族モノアルコールとチオエーテルモノカルボン酸とのエステル化合物及びかかるエステル化合物に炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した化合物、2)ヘキサンジオールジステアリルチオプロピオネート、グリセリントリラウリルチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリステアリルチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトララウリルチオプロピオネート、ポリオキシエチレントリメチロールプロパントリステアリルチオプロピオネート等の、脂肪族多価アルコールとチオエーテルモノカルボン酸との完全エステル化合物及びかかる完全エステル化合物に炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した化合物、3)ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ジオレイルチオジプロピオネート、ビスポリオキシエチレンラウリルチオジプロピオネート等の、脂肪族モノアルコールとチオエーテルジカルボン酸との完全エステル化合物及びかかる完全エステル化合物に炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した化合物等が挙げられるが、なかでもステアリルアルコールラウリルチオプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ジオレイルチオジプロピオネート等の、チオジプロピオン酸及び/又はアルキルチオプロピオン酸とアルコールとをエステル化して得られる化合物が好ましい。
【0011】
本発明の処理剤に供する融点が35〜99℃のソルビタン脂肪酸エステル化合物としては、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンジパルミテート、ソルビタントリパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノベヘネート、ソルビタンジベヘネート、ソルビタントリベヘネート等が挙げられるが、なかでもソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステアレート等の融点が45〜75℃のものが好ましい。
【0012】
本発明の処理剤に供する平滑剤は、前記した分子中に硫黄元素を有するエステル化合物と融点が35〜99℃のソルビタン脂肪酸エステル化合物を含有するものであるが、これら以外に含有することができるものとして、1)オクチルパルミテート、オレイルラウレート、オレイルオレート、イソテトラコシルオレート、ポリオキシエチレンオクチルデカネート、ポリオキシエチレンラウリルエルケート等の、脂肪族モノアルコールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物及びかかるエステル化合物に炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した化合物、2)ヘキサンジオールジデカネート、グリセリントリラウレート、トリメチロールプロパントリオレート、ペンタエリスリトールテトラオクタネート、ポリオキシプロピレンヘキサンジオールジオレート等の、脂肪族多価アルコールと脂肪族モノカルボン酸との完全エステル化合物及びかかる完全エステル化合物に炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した化合物、3)ジラウリルアジペート、ジオレイルアゼレート、ビスポリオキシエチレンデシルアジペート、ビスポリオキシエチレンラウリルアジペート等の、脂肪族モノアルコールと脂肪族多価カルボン酸との完全エステル化合物及びかかる完全エステル化合物に炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した化合物、4)ベンジルオレート、ベンジルラウレート、ポリオキシプロピレンベンジルステアレート等の、芳香族モノアルコールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物及びかかるエステル化合物に炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した化合物、5)ビスフェノールAジラウレート、ポリオキシエチレンビスフェノールAジラウレート等の、芳香族多価アルコールと脂肪族モノカルボン酸との完全エステル化合物及びかかる完全エステル化合物に炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した化合物、6)ビス2−エチルヘキシルフタレート、ジイソステアリルイソフタレート、トリオクチルトリメリテート等の、脂肪族モノアルコールと芳香族多価カルボン酸との完全エステル化合物及びかかる完全エステル化合物に炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した化合物、7)ヤシ油、ナタネ油、ヒマワリ油、大豆油、ヒマシ油、ゴマ油、魚油、牛脂等の、天然油脂等が挙げられる。
【0013】
本発明の処理剤に供する有機アミン化合物としては、1)メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン等の、脂肪族アミン化合物、2)モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等の、アルカノールアミン化合物、3)N,N−ビス(ヒドロキシエチル)ブチルアミン、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)オクチルアミン、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)ラウリルアミン等の、脂肪族アルカノールアミン化合物、4)ポリオキシエチレンラウリルアミン、ポリオキシエチレンステアリルアミン、ポリオキシエチレンオレイルアミン等の、脂肪族アミン化合物のアルキレンオキサイド付加物、5)アニリン、2−ナフチルアミン、ベンジルアミン等の、芳香族アミン化合物、6)ピリジン、モルホリン、ピペラジン等の、複素環アミン化合物が挙げられるが、なかでもポリオキシエチレンラウリルアミン、ポリオキシエチレンステアリルアミン等の炭素数6〜22の脂肪族アミン化合物及び/又は炭素数6〜22の脂肪族アミン1モルに対してアルキレンオキサイドを1〜50モルの割合で付加させた化合物が好ましい。
【0014】
本発明の処理剤に供する界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられるが、下記のノニオン界面活性剤及び下記のアニオン界面活性剤から成るものが好ましい。
【0015】
ノニオン界面活性剤:脂肪族アルコール1モルに対してアルキレンオキサイドを合計で1〜50モルの割合で付加させた化合物、脂肪酸1モルに対してアルキレンオキサイドを合計で1〜50モルの割合で付加させた化合物、ヒマシ油1モルに対してアルキレンオキサイドを合計で1〜50モルの割合で付加させたヒマシ油誘導体、ヒマシ油1モルに対してアルキレンオキサイドを合計で1〜50モルの割合で付加させたヒマシ油誘導体と炭素数6〜22の脂肪族モノカルボン酸とをエステル化して得られる化合物、ヒマシ油1モルに対してアルキレンオキサイドを合計で1〜50モルの割合で付加させたヒマシ油誘導体と炭素数2〜22のジカルボン酸とをエステル化して得られる化合物、ヒマシ油1モルに対してアルキレンオキサイドを合計で1〜50モルの割合で付加させたヒマシ油誘導体と炭素数2〜22のジカルボン酸とをエステル化して得られる化合物の水酸基を炭素数6〜22の脂肪族モノカルボン酸で封鎖した化合物、硬化ヒマシ油1モルに対してアルキレンオキサイドを合計で1〜50モルの割合で付加させた硬化ヒマシ油誘導体、硬化ヒマシ油1モルに対してアルキレンオキサイドを合計で1〜50モルの割合で付加させた硬化ヒマシ油誘導体と炭素数6〜22の脂肪族モノカルボン酸とをエステル化して得られる化合物、硬化ヒマシ油1モルに対してアルキレンオキサイドを合計で1〜50モルの割合で付加させた硬化ヒマシ油誘導体と炭素数2〜22のジカルボン酸とをエステル化して得られる化合物及び硬化ヒマシ油1モルに対してアルキレンオキサイドを合計で1〜50モルの割合で付加させた硬化ヒマシ油誘導体と炭素数2〜22のジカルボン酸とをエステル化して得られる化合物の水酸基を炭素数6〜22の脂肪族モノカルボン酸で封鎖した化合物から選ばれる一つ又は二つ以上
【0016】
アニオン界面活性剤:有機脂肪酸塩、有機スルホン酸塩、有機硫酸エステル塩及び有機リン酸エステル塩から選ばれる一つ又は二つ以上
【0017】
具体的に前記のノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシプロピレン/ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンオレイン酸ジエステル、ポリオキシエチレンラウリン酸エステルメチルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油トリステアレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油トリオレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油とマレイン酸との縮合物の水酸基をステアリン酸で封鎖した化合物等が挙げられる。
【0018】
また前記のアニオン界面活性剤としては、オクタン酸カリウム塩、オレイン酸カリウム塩、アルケニルコハク酸カリウム塩、ペンタデシルスルホン酸ナトリウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ポリオキシエチレンラウリル硫酸エステルナトリウム塩、オクチルリン酸エステルナトリウム塩、ポリオキシエチレンラウリルリン酸エステルカリウム塩、オレイルリン酸エステルとトリエタノールアミンとの塩、ポリオキシエチレンオレイルリン酸エステルとポリオキシエチレンラウリルアミンとの塩等が挙げられる。
【0019】
本発明の処理剤は、合成繊維に使用されるものであるが、特にゴム製品の補強に用いられる合成繊維に使用すると、顕著な効果を発現する。
【0020】
本発明の処理剤は、必要に応じて適宜、他の剤、例えば酸化防止剤を併用することができる。酸化防止剤としては、フェノール系、リン系、チオエステル系、アミン系等、各種が挙げられるが、これらは本発明の処理剤100質量部に対し0.1〜3質量部の割合で併用するのが好ましい。
【0021】
次に、本発明に係る合成繊維の処理方法(以下、本発明の処理方法という)について説明する。本発明の処理方法は、本発明の処理剤を、熱処理工程に供する合成繊維フィラメント糸条に対し0.1〜3質量%となるように付着させる方法である。
【0022】
本発明に係る処理剤を合成繊維に付着させる工程としては、紡糸工程、延伸工程、紡糸と延伸とを同時に行うような工程等が挙げられる。
【0023】
本発明に係る処理剤を合成繊維に付着させる方法としては、ローラー給油法、計量ポンプを用いたガイド給油法、浸漬給油法、スプレー給油法等が挙げられる。更に合成繊維に付着させるときの本発明の処理剤の形態としては、水性液、有機溶剤溶液、ニート等が挙げられる。
【0024】
最後に、本発明に係る合成繊維(以下、本発明の合成繊維という)について説明する。本発明の合成繊維は、本発明の処理方法により得られる合成繊維である。このような合成繊維としては、1)ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリ乳酸エステル等のポリエステル系繊維、2)ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系繊維、3)ポリアクリル、モダアクリル等のポリアクリル系繊維、4)ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維、5)ポリウレタン系繊維等が挙げられるが、なかでもポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維等のゴム製品の補強用の合成繊維が顕著な効果を発現する。
【発明の効果】
【0025】
以上説明した本発明によると、得られる補強用コードに優れた柔軟性及びゴムとの接着性を発現させることができるという効果がある。
【実施例】
【0026】
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例及び比較例において、部は質量部を、また%は質量%を意味する。
【0027】
試験区分1(合成繊維用処理剤の調製)
・実施例1
分子中に硫黄元素を有するエステル化合物としてジオレイルチオジプロピオネート(LA−1)を60%、融点が35〜99℃のソルビタン脂肪酸エステル化合物としてソルビタンモノステアレート(LB−1)を2%、有機アミン化合物としてポリオキシエチレン(4モル)ラウリルアミン(Am−1)を3%、ノニオン界面活性剤としてポリオキシエチレン(5モル)ラウリルエーテル(N−1)を5%、ポリオキシプロピレン/ポリオキシエチレン(質量比:70/30)ミリスチルアルコールランダムエーテル(Mw:1200)(N−2)を12%、ポリオキシエチレン(12モル)硬化ヒマシ油(N−3)を15%、アニオン界面活性剤としてポリオキシエチレン(4モル)オレイルリン酸エステルとポリオキシエチレン(4モル)ラウリルアミンとの塩(An−1)を1%、ペンタデシルスルホン酸ナトリウム塩(An−2)を2%の割合で均一混合して、実施例1の処理剤を調製した。
【0028】
・実施例2〜11及び比較例1〜10
実施例1の合成繊維用処理剤と同様にして、実施例2〜11及び比較例1〜10の合成繊維用処理剤を調製した。実施例1も含めてその内容を表1及び表2にまとめて示した。








【0029】
【表1】












【0030】
【表2】
【0031】
表1及び表2において、
LA−1:ジオレイルチオジプロピオネート
LA−2:ステアリルアルコールラウリルチオプロピオネート
LB−1:ソルビタンモノステアレート(融点51℃)
LB−2:ソルビタントリステアレート(融点55℃)
rlb−1:ソルビタンモノオレート(融点−12℃)
LC−1:ジラウリルアジペート
LC−2:トリメチロールプロパントリオレート
【0032】
Am−1:ポリオキシエチレン(4モル)ラウリルアミン
Am−2:ポリオキシエチレン(15モル)ステアリルアミン
alm−1:オレイン酸とポリオキシエチレン(4モル)ラウリルアミンとの塩
alm−2:ラウリン酸とポリオキシエチレン(15モル)ステアリルアミンとの塩
【0033】
N−1:ポリオキシエチレン(5モル)ラウリルエーテル
N−2:ポリオキシプロピレン/ポリオキシエチレン(重量比:70/30)ミリスチルアルコールランダムエーテル(Mw:1200)
N−3:ポリオキシエチレン(12モル)硬化ヒマシ油
N−4:ポリオキシエチレン(25モル)硬化ヒマシ油トリオレート
N−5:ポリオキシエチレン(25モル)硬化ヒマシ油とマレイン酸との縮合物の水酸基をステアリン酸で封鎖した化合物
An−1:ポリオキシエチレン(4モル)オレイルリン酸エステルとポリオキシエチレン(4モル)ラウリルアミンとの塩
An−2:ペンタデシルスルホン酸ナトリウム塩
【0034】
試験区分2(各合成繊維用処理剤の合成繊維への付着)
・実施例1の合成繊維用処理剤の合成繊維への付着
試験区分1の実施例1で調製した合成繊維用処理剤をイオン交換水にて均一に希釈し、15%溶液とした。1670デシテックス、360フィラメント、固有粘度1.01の無給油のポリエチレンテレフタラート繊維に、前記の15%溶液を、オイリングローラー給油法にて、合成繊維用処理剤の付着量が0.8%となるように付着させた。
【0035】
・実施例2〜11及び比較例1〜10の各合成繊維用処理剤の合成繊維への付着
実施例1の場合と同様にして、試験区分1の実施例2〜11及び比較例1〜10で調製した各合成繊維用処理剤をポリエチレンテレフタレート繊維に付着させた。
【0036】
試験区分3(接着剤で処理した補強用コードの製造)
・実施例1の合成繊維用処理剤を付着させた合成繊維を用いた補強用コードの製造
試験区分2で得られた実施例1の合成繊維用処理剤を付着させた合成繊維2本を、下撚
40回/10cm、上撚40回/10cmの撚数で撚り、撚糸コードとした。この撚糸コードを、第1接着剤(エポキシ化合物(ナガセケムテックス社製の商品名デナコールEX−512)/ブロックドイソシアネート(第一工業製薬社製の商品名エラストロンBN−27)=5/5(固形分比))に浸漬した後、熱処理し、更に第2接着剤(レゾルシン(キシダ化学社製の商品名レソルシノール)/ホルマリン(キシダ化学社製の商品名ホルムルデヒド液(37%))/ラテックス(日本ゼオン社製の商品名Nipol 2518FS)=1.5/0.5/8(固形分比)のRFL溶液)に浸漬した後、熱処理して、接着剤で処理した補強用コードを得た。
【0037】
・実施例2〜11及び比較例1〜10の各合成繊維用処理剤を付着させた補強用コードの製造
実施例1の場合と同様にして、実施例2〜11及び比較例1〜10の各合成繊維用処理剤を付着させた合成繊維を用いて、接着剤で処理した補強用コードを製造した。
【0038】
試験区分4(製造した補強用コードの評価)
試験区分3で製造した各補強用コードについて、柔軟性及びゴムとの接着性を次のように評価した。結果を表3にまとめて示した。
【0039】
・柔軟性の評価
試験区分3で得た補強用コードを長さ38.1mm(1.5inch)に切り、幅12.7mm(0.5inch)に揃えた試験片を作製した。この試験片をガーレー式柔軟度試験機に供して測定した目盛板の読みから下記の式に基づいて柔軟度を求め、次の基準で評価した。
【0040】
S=R×(D+D+D)×(L−12.7)/b×3.375×10−5
S:柔軟度(ガーレーこわさ)(mg)
R:目盛板の読み
、D、D:振り子支点からおもり取付位置までの距離 [25.4mm(1inch)、50.8mm(2inch)、101.6mm(4inch)]
、W、W:D、D及びDの孔に取り付けたおもりの質量(g)
L:試験片の長さ(mm)
b:試験片の幅(mm)
【0041】
◎:柔軟度が30mg未満
○:柔軟度が30mg以上40mg未満
×:柔軟度が40mg以上
【0042】
・接着性の評価
JIS−L1017(化学繊維タイヤコード試験方法)に記載のTテスト(A法)に準拠して、各補強用コードの接着力を測定し、次の基準で評価した。
【0043】
◎:接着力が17kg以上
○:接着力が15kg以上17kg未満
×:接着力が15kg未満
【0044】
【表3】
【要約】
【課題】得られる合成繊維製コードに優れた柔軟性及びゴム接着性を発現させる合成繊維用処理剤、かかる合成繊維用処理剤を用いる合成繊維の処理方法及びかかる処理方法によって得られる合成繊維を提供する。
【解決手段】分子中に硫黄元素を有するエステル化合物と融点が35〜99℃のソルビタン脂肪酸エステル化合物とを含有する平滑剤を5〜93質量%、有機アミン化合物を0.1〜20質量%及び界面活性剤を5〜90質量%(合計100質量%)の割合で含有して成るものを用いた。
【選択図】なし