(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明は、局所麻酔剤と非ステロイド性消炎鎮痛剤を配合した貼付剤において、互いの薬物放出性を抑制することなく、高い消炎鎮痛効果を発揮する、局所麻酔剤および非ステロイド系消炎鎮痛剤を配合する貼付剤を提供することを課題とする。
そのなかでも、特に、非ステロイド性消炎鎮痛剤としてピロキシカムを配合した貼付剤において、ピロキシカムに対する吸収促進剤としてオキシブプロカインを配合させ、互いの薬物放出性を大きく抑制することなく、高い消炎鎮痛効果を発揮するピロキシカム含有経皮吸収貼付剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決する本発明は、その基本的態様として、薬効成分としてピロキシカム及び吸収促進剤としてオキシブプロカイン又はその薬学的に許容される塩を含有してなることを特徴とするピロキシカム含有経皮吸収貼付剤である。
【0010】
より具体的には、本発明は、ピロキシカムの含有量が薬物含有膏体全重量に対して0.1〜5重量%であり、オキシブプロカイン又はその薬学的に許容される塩の含有量が薬物含有膏体全重量に対して1〜30重量%であるピロキシカム含有経皮吸収貼付剤である。
【0011】
さらに具体的には、本発明は、ピロキシカムとオキシブプロカイン又はその薬学的に許容される塩の配合比が、ピロキシカム:オキシブプロカイン<1:2であるピロキシカム含有経皮吸収貼付剤である。
【0012】
なかでも、貼付剤基剤が、ゴム系高分子であり、当該ゴム系高分子が、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体であるピロキシカム含有経皮吸収貼付剤である。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、薬効成分としてピロキシカム、及び吸収促進剤としてオキシブプロカイン又はその薬学的に許容される塩を含有してなることを特徴とするピロキシカム含有経皮吸収貼付剤が提供される。
特に本発明は、貼付剤基剤中に、ピロキシカムに対する吸収促進剤としてのオキシブプロカインをピロキシカムと組み合わせて特定量配合するにより、オキシブプロカインの放出性を大きく損なうことなく、かつピロキシカムの高い放出性が維持され、その結果、優れた消炎鎮痛効果を発揮する経皮吸収製剤を提供できるものである。
【0014】
後記する試験例の結果からも判明するように、このオキシブプロカインの配合による吸収促進効果は、オキシカム系消炎鎮痛剤の中でもピロキシカムに対してのみ特異的なものである。
したがって、臨床的に極めて有用なピロキシカムを含有する経皮吸収製剤である貼付剤を提供できる点で、本発明の医療上の効果は多大なものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】対比検討(1)−1に基づく、ピロキシカムに関するin vitroラット皮膚透過性試験の結果を示すグラフである。
【
図2】対比検討(1)−1に基づく、オキシブプロカインに関するin vitroラット皮膚透過性試験の結果を示すグラフである。
【
図3】対比検討(1)−2に基づく、ピロキシカムに関するin vitroラット皮膚透過性試験の結果を示すグラフである。
【
図4】対比検討(1)−2に基づく、オキシブプロカインに関するin vitroラット皮膚透過性試験の結果を示すグラフである。
【
図5】対比検討(1)−3に基づく、ピロキシカムに関するin vitroラット皮膚透過性試験の結果を示すグラフである。
【
図6】対比検討(1)−3に基づく、オキシブプロカインに関するin vitroラット皮膚透過性試験の結果を示すグラフである。
【0016】
【
図7】対比検討(1)−4に基づく、ピロキシカムに関するin vitroラット皮膚透過性試験の結果を示すグラフである。
【
図8】対比検討(1)−4に基づく、オキシブプロカインに関するin vitroラット皮膚透過性試験の結果を示すグラフである。
【
図9】対比検討(1)−5に基づく、ピロキシカムに関するin vitroラット皮膚透過性試験の結果を示すグラフである。
【
図10】対比検討(1)−5に基づく、オキシブプロカインに関するin vitroラット皮膚透過性試験の結果を示すグラフである。
【
図11】対比検討(1)−6に基づく、ピロキシカムに関するin vitroラット皮膚透過性試験の結果を示すグラフである。
【
図12】対比検討(1)−6に基づく、オキシブプロカインに関するin vitroラット皮膚透過性試験の結果を示すグラフである。
【
図13】対比検討(2)に基づく、メロキシカムに関するin vitroラット皮膚透過性試験の結果を示すグラフである。
【
図14】対比検討(2)に基づく、オキシブプロカインに関するin vitroラット皮膚透過性試験の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、上記するように、薬効成分としてピロキシカム、及び吸収促進剤としてオキシブプロカイン又はその薬学的に許容される塩を含有してなることを特徴とするピロキシカム含有経皮吸収貼付剤である。
本発明の貼付剤における有効成分であるピロキシカムの配合量は、薬物含有膏体全重量に対して0.1〜5重量%であり、好ましくは0.1〜3重量%、特に好ましくは0.1〜2重量%である。
ピロキシカムの配合量が、0.1重量%未満であるとピロキシカムの薬効が十分に得られない場合があり、また、5重量%を超えて配合しても、オキシブプロカインによる吸収促進効果が低下するため好ましいものでない。
【0018】
一方、本発明において、ピロキシカムと共に配合されるオキシブプロカインは、それ自体が局所麻酔剤として、鎮痛作用を示すほか、本発明ではピロキシカムに対する吸収促進剤として作用するものである。
その場合のオキシブプロカインの配合量は、薬物含有膏体全重量に対して1〜30重量%配合するのが好ましく、より好ましくは1〜20重量%である。
配合量が1重量%未満であると、ピロキシカムの皮膚透過性を十分に高めることができず、逆に30重量%を超えて配合しても、オキシブプロカインの配合効果は期待できないばかりか、かえって皮膚刺激を生じたり、膏体の物性を損なったりする場合があるため、好ましいものではない。
【0019】
本発明にあっては、ピロキシカムと共にオキシブプロカインを貼付剤基剤に配合することによって、オキシブプロカインの薬物放出性を大きく抑制することなく、その配合に伴って優れたピロキシカムの薬物放出性を得ることができる等の効果を得ることが可能である。
本発明者らの検討の結果、ピロキシカムとオキシブプロカインの配合量における配合比を、ピロキシカム:オキシブプロカイン<1:2とするのが好ましいことが判明した。より好ましくはピロキシカム:オキシブプロカイン<1:10であり、特に好ましくは、ピロキシカム:オキシブプロカイン<1:15とするのがよい。
ピロキシカムとオキシブプロカインの配合比率を1:2より高くしても(すなわち、ピロキシカムの配合比率をそれより高くしても)、ピロキシカムの放出性は頭打ち傾向となり、逆にオキシブプロカインの放出が抑制されてくる。
【0020】
本発明が提供する貼付剤に用いられる膏体組成物は、ピロキシカム、およびオキシブプロカインを貼付剤基剤成分と混合することにより調製することができる。
かかる貼付剤基剤成分は、膏体組成物である粘着剤層の基剤となるものであれば特に限定されないが、ゴム系高分子、アクリル系高分子、およびシリコン系高分子等の疎水性高分子が好ましく使用される。
【0021】
ゴム系高分子としては、例えばスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(以下、SISと称する)、ポリイソブチレン(以下、PIBと称する)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(以下、SBSと称する)、スチレン−ブタジエンゴム(以下、SBRと称する)、イソプレンゴム等が挙げられ、その中でも特にSISが好ましい。
【0022】
また、アクリル系高分子としては、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、2−エチルヘキシルメタアクリレート等に代表される(メタ)アクリル酸誘導体を少なくとも一種含有させて共重合したものであれば特に限定されないが、例えば、医薬品添加物辞典2007(日本医薬品添加剤協会編集)に粘着剤として収載されているアクリル酸・アクリル酸オクチルエステル共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル・ビニルピロリドン共重合体溶液、アクリル酸エステル−酢酸ビニルコポリマー、アクリル酸2−エチルヘキシル−メタクリル酸2−エチルヘキシル・メタクリル酸ドデシル共重合体、アクリル酸メチル−アクリル酸2−エチルヘキシル共重合樹脂エマルジョン、アクリル樹脂アルカノールアミン液を含有するアクリル系高分子等の粘着剤、DURO−TAKアクリル系粘着剤シリーズ(ナショナルスターチアンドケミカル社製)、オイドラギットシリーズ(樋口商会)等を使用することができる。
【0023】
さらに、シリコン系高分子の具体例としては、ポリオルガノシロキサン等のシリコーンゴムを挙げることができる。
【0024】
このような疎水性高分子は2種以上混合して使用してもよく、これら高分子の組成全体の質量に基づく配合量は、粘着剤層の形成、及び十分な薬物透過性を考慮して、5〜80重量%、好ましくは10〜70重量%、さらに好ましくは10〜50重量%である。
【0025】
本発明が提供する経皮吸収製剤である貼付剤における粘着剤組成物には、可塑剤を含有させてもよい。使用され得る可塑剤としては、石油系オイル(例えば、流動パラフィン等のパラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル等)、スクワラン、スクワレン、植物系オイル(例えば、オリーブ油、ツバキ油、トール油、ラッカセイ油、ひまし油等)、シリコーンオイル、二塩基酸エステル(例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等)、液状ゴム(例えば、ポリブテン、液状イソプレンゴム等)、液状脂肪酸エステル類(例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル等)等が挙げられる。特に流動パラフィンが好ましい。
【0026】
これらの成分は2種以上混合して使用してもよく、このような可塑剤の粘着剤層の組成全体に基づく配合量は、貼付剤としての充分な凝集力の維持を考慮して合計で、1〜70重量%、好ましくは10〜60重量%、さらに好ましくは10〜50重量%である。
【0027】
本発明の粘着剤層には、製剤の粘着力を調整するために、粘着付与樹脂を配合することが望ましい。使用され得る粘着付与樹脂としては、ロジン誘導体(例えば、ロジン、ロジングリセリンエステル、水添ロジン、水添ロジングリセリンエステル、ロジンのペンタエリストールエステル等)、脂環族飽和炭化水素樹脂(例えば、アルコンP100、荒川化学工業)、脂肪族系炭化水素樹脂(例えば、クイントンB170、日本ゼオン)、テルペン樹脂(例えば、クリアロンP−125、ヤスハラケミカル)、マレイン酸レジン等が挙げられる。
【0028】
このような粘着付与樹脂の粘着剤組成物の組成全体に基づく配合量は、貼付製剤としての充分な粘着力および剥離時の皮膚への刺激性を考慮して、5〜70重量%、好ましくは5〜60重量%、さらに好ましくは10〜50重量%であることができる。
【0029】
また、必要に応じて、抗酸化剤、充填剤、架橋剤、防腐剤、紫外線吸収剤を用いることができ、抗酸化剤としては、トコフェロール及びこれらのエステル誘導体、アスコルビン酸、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、ノルジヒトログアヤレチン酸、ジブチルヒドロキシトルエン(以下、BHTと称する)、ブチルヒドロキシアニソール等が望ましい。
【0030】
充填剤としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸塩(例えば、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム等)、ケイ酸、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜鉛酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタン等が望ましい。
【0031】
架橋剤としては、アミノ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル等の熱硬化性樹脂、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、有機系架橋剤、金属または金属化合物等の無機系架橋剤が望ましい。
【0032】
防腐剤としては、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル等のパラベンが望ましい。
【0033】
紫外線吸収剤としては、p−アミノ安息香酸誘導体、アントラニル酸誘導体、サリチル酸誘導体、アミノ酸系化合物、ジオキサン誘導体、クマリン誘導体、イミダゾリン誘導体、ピリミジン誘導体等が望ましい。
【0034】
このような抗酸化剤、充填剤、架橋剤、防腐剤、紫外線吸収剤は、製剤の粘着剤層の組成全体の質量に基づいて、10重量%以下、好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは2重量%以下で配合することができる。
【0035】
上記したような組成を有する本発明の経皮吸収製剤である貼付剤は、いずれの方法によっても製造されることができる。
例えば、一般にホットメルト法と呼ばれる、薬物を含む基剤成分を熱融解させ、剥離フィルム又は支持体に塗工後、支持体又は剥離フィルムと貼り合わせて本剤を得る方法と、もしくは一般に溶媒法と呼ばれる、薬物を含む基剤成分をトルエン、ヘキサン、酢酸エチル、およびN−メチル−2−ピロリドン等の有機溶媒に溶解させ、剥離フィルム又は支持体上に伸展して塗工し、溶剤を乾燥除去後、支持体又は剥離フィルムと貼り合わせ本剤を得る方法である。
【0036】
本発明が提供する外用経皮製剤である貼付剤における粘着剤層の厚みは特に限定されないが、通常は500μm以下で、好ましくは20〜300μmである。
【0037】
本発明の経皮吸収製剤である貼付剤の支持体には、伸縮性または非伸縮性の支持体を用いることができる。例えば、布、不織布、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略する)、アルミニウムシート等、またはそれらの複合素材から選択される。
【0038】
また剥離フィルムは、経皮吸収製剤である貼付剤を皮膚に適用するまで、粘着剤層を保護し、主薬成分が変質しないもので、かつ、容易に剥離できるようにシリコンコートされているものであれば特に限定されないが、その具体例としてはポリエチレンフィルム、PETフィルムまたはポリプロピレンフィルムをシリコンコートしたものが挙げられる。
【実施例】
【0039】
以下、本発明の実施例、製剤例及び試験例を示して、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例、製剤例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲での種々の変更が可能である。
なお、以下の記載において、%は、特に示さない限り全て重量%を意味する。
【0040】
実施例1:0.5%ピロキシカム/20%オキシブプロカイン配合製剤
ピロキシカムとオキシブプロカインの両者を配合した外用貼付剤を調製した。
(処方)
SIS 25%
流動パラフィン 11.5%
BHT 1%
水添ロジングリセリンエステル 42%
オキシブプロカイン 20%
ピロキシカム 0.5%
全 量 100%
【0041】
(製法)
予め、ピロキシカムをN−メチル−2−ピロリドンに溶解させ、およびオキシブプロカインをトルエンに溶解させ、それらを予めトルエンに溶解させた残りの基剤成分と混合した。混合物を剥離フィルム上に塗工後、トルエン、およびN−メチル−2−ピロリドンを乾燥除去し、PETフィルム支持体と貼り合わせて、所望の経皮吸収製剤(粘着層の厚み100μm)を得た。
【0042】
実施例2〜実施例6
下記表1に示す配合により、上記実施例1に記載の方法に準じ、本発明の実施例2〜実施例6の経皮吸収製剤を得た。なお、表中には合わせて実施例1の配合も記載した。
【0043】
【表1】
【0044】
比較例1〜比較例12
下記表2に示す配合により、上記実施例1に記載の方法に準じ、比較例1〜比較例12の経皮吸収製剤を得た。
【0045】
【表2】
【0046】
以下、実施例及び比較例を用いて対比検討(1)〜(2)のための試験を行った。
[対比検討]
(1)本発明のピロキシカム及びオキシブプロカインの両者を配合した外用貼付剤である実施例1〜6の製剤と、ピロキシカムのみを配合した比較例1〜5の製剤、及びオキシブプロカインのみを配合した比較例6〜10の製剤について、各実施例と、それに対応する各比較例との対比による、ピロキシカム及び/又はオキシブプロカインの放出性の検討。(それぞれの実施例とそれに対応する比較例の組み合わせは表3に示す。)
【0047】
【表3】
【0048】
(2)別のオキシカム系消炎鎮痛剤であるメロキシカムについて、メロキシカム及びオキシブプロカインの両者を配合した比較例11の製剤と、メロキシカムのみを配合した比較例12、およびオキシブプロカインのみを配合した比較例9の製剤との対比によるメロキシカム及びオキシブプロカインの放出性の検討。
【0049】
試験例1:ラット皮膚透過性試験
表3における対比検討(1)−1、対比検討(1)−5および対比検討(1)−6、ならびに対比検討(2)に使用する各製剤について、雄性ラット(ウィスター系、8週齢)の摘出皮膚を使用したin vitro皮膚透過性試験を行い、本発明のピロキシカム及びオキシブプロカインの両者を配合した外用貼付剤におけるピロキシカム及びオキシブプロカインの放出性の特異性を検討した。
【0050】
[方法]
ラットの腹部皮膚を剥離し、真皮側をレセプター層側にし、その内側にはリン酸緩衝生理食塩水を満たし、ウォータージャケットには37℃の温水を還流させた。供試の各製剤を、円状(1.77cm
2)に打ち抜き、摘出皮膚に貼付し、経時的にレセプター液をサンプリングし、高速液体クロマトグラフ法により、各薬物(オキシブプロカイン、ピロキシカム、メロキシカム)の透過量を測定した。
【0051】
試験例2:ラット皮膚透過性試験
上記表3における対比検討(1)−2、対比検討(1)−3、および対比検討(1)−4に使用する各製剤について、雄性ヘアレスラット(HWY系、7週齢)の摘出皮膚を使用したin vitro皮膚透過性試験を行い、本発明のピロキシカム及びオキシブプロカインの両者を配合した外用貼付剤におけるピロキシカム及びオキシブプロカインの放出性の特異性を検討した。
【0052】
[方法]
ラットの腹部皮膚を剥離し、真皮側をレセプター層側にし、その内側にはリン酸緩衝生理食塩水を満たし、ウォータージャケットには37℃の温水を還流させた。供試の各製剤を、円状(1.77cm
2)に打ち抜き、摘出皮膚を貼付し、経時的にレセプター液をサンプリングし、高速液体クロマトグラフ法により、各薬物(オキシブプロカイン、ピロキシカム)の透過量を測定した。
【0053】
[結果]
その結果を
図1〜
図14に示した。なお表4に各図の対応関係を示す。
【0054】
【表4】
【0055】
[考察]
対比検討(1)に対する考察
表4に示した対応関係にある図の対比より明らかなように、ピロキシカムとオキシブプロカインの両者を配合した本発明の外用貼付剤は、ピロキシカムのみを配合した各比較例の外用貼付剤と比較して、ピロキシカムの放出性は、飛躍的に高いものであった(
図1、
図3、
図5、
図7、
図9及び
図11)。
また、本発明の外用貼付剤は、オキシブプロカインのみを配合した各比較例の外用貼付剤と比較して、オキシブプロカインの放出性が大きく抑制されることはなかった。特にピロキシカムとオキシブプロカインの配合比率がピロキシカム:オキシブプロカイン<1:15である実施例1〜実施例3の外用貼付剤は、それぞれ対応するオキシブプロカインのみ配合する比較例と、ほぼ同等なオキシブプロカインの放出性を示していた。
この両者の結果を加味すると、本発明のピロキシカムとオキシブプロカインの両者を配合した外用貼付剤は、吸収促進剤としてのオキシブプロカインの良好な放出性により、ピロキシカムの放出性も高まっていることが理解される。
【0056】
対比検討(2)に対する考察
一方、同様な試験を、別のオキシカム系消炎鎮痛剤であるメロキシカムについて検討した場合には、オキシブプロカインについては、メロキシカムの配合の有無に関わらず、ほぼ同等の薬物放出性を示した(
図13)ものの、メロキシカムの放出性については、オキシブプロカインの配合により、大きく抑制されていることが判明した(
図14)。
【0057】
これらの比較検討(1)及び(2)の結果からみれば、局所麻酔剤としてオキシブプロカインを非ステロイド系消炎鎮痛剤であるピロキシカムと共に配合した本発明の貼付剤にあっては、塩基性薬物である局所麻酔剤と、酸性薬物である非ステロイド系消炎鎮痛剤との配合製剤であるにも関わらず、オキシブプロカインの放出性を大きく抑制するこことなく、その放出性に伴って、非常に優れたピロキシカム放出性を示すことができる経皮吸収製剤であることが判明する。
【0058】
そのうえ、このオキシブプロカインを配合することにより得られる有効成分である消炎鎮痛剤の放出効果は、オキシカム系消炎鎮痛剤のなかでもピロキシカムに対してのみ特異的なものであり、本発明の極めて優れた特異性が理解されるものである。
【0059】
[製剤例]
以下に、上記の実施例1に示した本発明の外用貼付剤以外の具体的製剤例を、下記表5に示した。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0060】
【表5】
粘着層の厚み:100μm