(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5748356
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】グローブボックス
(51)【国際特許分類】
B60R 7/06 20060101AFI20150625BHJP
【FI】
B60R7/06 G
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-109248(P2012-109248)
(22)【出願日】2012年5月11日
(65)【公開番号】特開2013-233912(P2013-233912A)
(43)【公開日】2013年11月21日
【審査請求日】2014年8月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】308013436
【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石黒 圭
(72)【発明者】
【氏名】東山 拓実
(72)【発明者】
【氏名】鬼頭 琢磨
(72)【発明者】
【氏名】大須賀 真
【審査官】
中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭61−150245(JP,U)
【文献】
実開平06−069006(JP,U)
【文献】
特開平04−038239(JP,A)
【文献】
米国特許第5443285(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 7/06
E05C 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面にボックスを有するボックス本体を備え、ボックスがインストルメントパネルの助手席側に形成された開口の内部に収納されボックス本体がインストルメントパネルの開口を塞いだ閉じ状態から、インストルメントパネルの内部から開口を介してボックスを使用可能に進出させた開け状態に切り替え可能にボックス本体が車両ボデー側に組み付けられているグローブボックスであって、
ボックス本体は、車両ボデー側に固着された第1のリンクと、ボックス側に固着された第2のリンクと、第1のリンクの一端側と第2のリンクの一端側とを橋渡すようにそれぞれ枢着された第3のリンクと、第1のリンクの他端側と第2のリンクの他端側とを橋渡すようにそれぞれ枢着された第4のリンクとから成る4リンク機構と付勢体とを介して車両ボデー側に組み付けられており、
付勢体は、付勢体本体と、付勢体本体から進出する方向に付勢されたロッドとから構成されており、
付勢体本体は、第1のリンクの一端側に枢着されており、
ロッドの先端は、第2のリンクの一端側と第3のリンクとの枢着の軸に枢着されており、
ボックス本体を開けると、ロッドに作用する付勢力により付勢体本体を第1のリンクに対して前倒れさせながらロッドが進出していくことを特徴とするグローブボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グローブボックスに関し、詳しくは、内面にボックスを有するボックス本体がインストルメントパネルに形成された開口を塞ぎ可能に車両ボデー側に組み付けられているグローブボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インストルメントパネルの助手席側には、内面にボックスを有するボックス本体がインストルメントパネルに形成された開口を塞ぎ可能に車両ボデー側にグローブボックスが組み付けられている。ここで、下記特許文献1には、ボックス本体がヒンジを介して車両ボデー側に組み付けられているグローブボックスが開示されている。これにより、ボックス本体を閉じるとボックスをインストルメントパネルの内部に収納でき、ボックス本体を開けるとボックスに小物を収納できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−39228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1の技術では、グローブボックスは、インストルメントパネルの助手席側に組み付けられているため、運転席の乗員から遠い位置に存在することとなっていた。そのため、ボックス本体を開けてボックスに収納した小物を取り出すとき、運転席の乗員から取り出し難いという問題が発生していた。また、ボックス本体を開けると、ボックス本体が助手席の乗員に向けて斜め手前側に倒れるため、開けたボックス本体が助手席の乗員の脚に干渉してしまうことがあった。そのため、グローブボックスの使用性が悪くなり、助手席の乗員の快適性が損なわれることがあった。
【0005】
本発明は、このような課題を解決しようとするもので、その目的は、インストルメントパネルの助手席側に組み付けられていても、ボックスに収納した小物を運転席の乗員から取り出し易くしつつ、助手席の乗員の快適性も損なわれることがないグローブボックスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の目的を達成するためのものであって、以下のように構成されている。
請求項1に記載の発明は、内面にボックスを有するボックス本体を備え、ボックスがインストルメントパネルの助手席側に形成された開口の内部に収納されボックス本体がインストルメントパネルの開口を塞いだ閉じ状態から、インストルメントパネルの内部から開口を介してボックスを使用可能に進出させた開け状態に切り替え可能にボックス本体が車両ボデー側に組み付けられているグローブボックスであって、ボックス本体は、車両ボデー側に固着された第1のリンクと、ボックス側に固着された第2のリンクと、第1のリンクの一端側と第2のリンクの一端側とを橋渡すようにそれぞれ枢着された第3のリンクと、第1のリンクの他端側と第2のリンクの他端側とを橋渡すようにそれぞれ枢着された第4のリンクとから成る4リンク機構と付勢体とを介して車両ボデー側に組み付けられており、付勢体は、付勢体本体と、付勢体本体から進出する方向に付勢されたロッドとから構成されており、付勢体本体は、第1のリンクの一端側に枢着されており、ロッドの先端は、第2のリンクの一端側と第3のリンクとの枢着の軸に枢着されており、ボックス本体を開けると、ロッドに作用する付勢力により付勢体本体を第1のリンクに対して前倒れさせながらロッドが進出していくことを特徴とする構成である。
この構成によれば、ボックス本体が開くと、ロッドの先端が枢着されている軸を斜め上方に向けて押し上げていく。したがって、4リンク機構が作動していき、ボックス本体も斜め上方に向けて押し上げられていく。このようにして、ボックス本体を閉じ状態から開き状態にできると、開き状態では、ボックス本体は上方に移動した格好となるため、グローブボックスが運転席の乗員から遠い位置に存在していても、ボックス本体を開けてボックスに収納した小物(図示しない)を取り出すとき、運転席の乗員からでも取り出し易い。また、上述したように、開き状態では、ボックス本体は上方に移動した格好となるため、開けたボックス本体が助手席の乗員の脚に干渉してしまうことがない。したがって、グローブボックスの使用性が悪くなり、助手席の乗員の快適性が損なわれることもない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本発明の実施例に係るグローブボックスがインストルメントパネルに組み付けられている状態を示す車室内の斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1のグローブボックスのボックス本体を開けた状態を示している。
【
図4】
図4は、
図1のグローブボックスを側面から見た模式図であり、ボックス本体が閉じた状態を示している。
【
図5】
図5は、
図4のボックス本体が開いた状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態を、
図1〜5を用いて説明する。なお、以下の説明にあたって、上、下、前、後、左、右とは、上述した図に記載した、上、下、前、後、左、右の方向、すなわち、車両1を基準にしたときの上、下、前、後、左、右の方向を示している。
【0009】
まず、
図1〜3を参照して、本発明の実施例に係るグローブボックス5を説明する。このグローブボックス5は、ボックス本体10とロック機構20とから構成されている。以下に、これらボックス本体10とロック機構20とを個別に説明していく。
【0010】
はじめに、ボックス本体10から説明する。このボックス本体10は、インストルメントパネル3の助手席側に形成された開口3aを塞ぎ可能にインストルメントパネル3の一部を成すプレート状のリッド12と、リッド12の内面に形成され小物を収納可能なボックス14とから構成されている。このリッド12の表面には、後述するロック機構20のノブ16が組み付けられている。
【0011】
次に、ロック機構20を説明する。ロック機構20は、公知のものであり、リッド12の表面に組み付けられたノブ16と、リッド12の縁に組み付けられた一対の係合爪(図示しない)とから構成されている。この一対の係合爪は、インストルメントパネル3の開口3aの縁に形成されている一対の係合穴(図示しない)に係合可能に構成されている。
【0012】
これらノブ16と一対の係合爪とは、乗員がノブ16を操作すると、一対の係合爪がリッド12に対して進出した状態から退行した状態に切り替わるように機械的に連結された状態で組み付けられている。そのため、
図1に示すように、リッド12がインストルメントパネル3の開口3aを閉じ状態にあるとき、一対の係合爪が一対の係合穴に進出すると、この閉じ状態を保持できる。この状態では、ロック機構20はロック状態となっている。
【0013】
また、このロック機構20がロック状態のとき、ノブ16を操作すると、一対の係合爪が一対の係合穴から退行するため、ロック機構20をロック状態からロック解除状態に切り替えることができる。そのため、
図2に示すように、閉じ状態にあったリッド12を開けることができる。これらボックス本体10とロック機構20とからグローブボックス5は構成されている。
【0014】
このように構成されているグローブボックス5は、そのリッド12がインストルメントパネル3の開口3aを塞ぎ可能に4リンク機構30とガススプリング80とを介して車両1のボデー(図示しない)を橋渡すリーンフォース7に組み付けられている。以下に、これら4リンク機構30とガススプリング80とを個別に説明していく。
【0015】
なお、これら4リンク機構30とガススプリング80とは、左右に対を成すように設けられている。そのため、4リンク機構30とガススプリング80の一方のみを説明することで他方の説明は省略することとする。
【0016】
まず、4リンク機構30を説明する。この4リンク機構30は、第1のリンク40と、第2のリンク50と、第3のリンク60と、第4のリンク70とから構成されている。第1のリンク40の一端42側には、第3のリンク60の一端62側がピンP1を介して枢着されている。また、第1のリンク40の他端44側には、第4のリンク70の一端72側がピンP3を介して枢着されている。
【0017】
また、第2のリンク50の一端52側には、第3のリンク60の他端64側がピンP2を介して枢着されている。また、第2のリンク50の他端54側には、第4のリンク70の他端74側がピンP4を介して枢着されている。また、第1のリンク40の一端42側には、一対の挟持板48、48がボルトBとナットNとによって螺合されている取付座46が固着されている。
【0018】
この一対の挟持板48、48には、ガススプリング本体82を差し込み可能な差込孔86aを有する取付ブラケット86が挟み込まれる格好で枢着されている。なお、第1のリンク40、40は、互いが連結材40aを介して一体を成すように締結されている。この連結材40aは、ブラケット7a、7aを介してリーンフォース7にビスB1留めされている。また、第2のリンク50、50は、互いがボックス14の両側面にそれぞれ固着されている。
【0019】
次に、ガススプリング80を説明する。このガススプリング80は、公知のものであり、筒状に形成されたガススプリング本体82と、ガススプリング本体82から進出する方向に付勢されたロッド84とから構成されている。このガススプリング本体82は、取付ブラケット86の差込孔86aに差し込まれる格好で固着されている。また、ロッド84の先端には、略L字状に形成されたブラケット88が固着されている。
【0020】
このブラケット88は、第2のリンク50の一端52側と第3のリンク60の他端側64とに挟み込まれる格好でピンP2を介して枢着されている。なお、このロッド84は、リッド12が閉じ状態にあるとき、ロッド84自身に作用する付勢力に抗してガススプリング本体82の内部に収納されている。グローブボックス5は、これら4リンク機構30とガススプリング80とを介して車両1のボデー(図示しない)を橋渡すリーンフォース7に組み付けられている。
【0021】
続いて、
図4〜5を参照して、グローブボックス5の動作を説明する。この説明にあたって、
図4に示すように、リッド12が閉じ状態にあるときから説明していく。この
図4に示す状態から、助手席の乗員Mは、リッド12のノブ16(
図4において、ノブ16を図示していない)を操作する作業を行う。すると、ロック機構20のロック解除が行われるため、閉じ状態にあるリッド12が開いていく。
【0022】
これにより、ロッド84は、ロッド84自身に作用する付勢力によりガススプリング本体82を第1のリンク40の一端42側に固着された取付座46対して前倒れさせながらロッド84がガススプリング本体82の内部から進出していく。そのため、ロッド84の先端のブラケット88が枢着されている軸を成すピンP2を前から後ろの斜め上方に向けて押し上げていく。
【0023】
したがって、4リンク機構30が作動していき、ボックス本体10も前から後ろの斜め上方に向けて押し上げられていく。やがて、ロッド84の進出が完了すると、4リンク機構30の作動も終了するため、リッド12を開き状態にできる(
図5参照)。このようにして、リッド12を閉じ状態から開き状態にできると、開き状態では、ボックス本体10は上方に移動した格好となるため、グローブボックス5が運転席の乗員から遠い位置に存在していても、リッド12を開けてボックス14に収納した小物(図示しない)を取り出すとき、運転席の乗員からでも取り出し易い。
【0024】
また、上述したように、開き状態では、ボックス本体10は上方に移動した格好となるため、開けたリッド12が助手席の乗員Mの脚に干渉してしまうことがない。したがって、グローブボックス5の使用性が悪くなり、助手席の乗員Mの快適性が損なわれることもない。
【0025】
上述した内容は、あくまでも本発明の一実施の形態に関するものであって、本発明が上記内容に限定されることを意味するものではない。
実施例では、『付勢体』の例として、『ガススプリング80』を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、ピンP2を前から後ろの斜め上方に向けて押し上げていくことができれば各種の付勢部材であっても構わない。
【符号の説明】
【0026】
3 インストルメントパネル
3a 開口
5 グローブボックス
7 リーンフォース
10 ボックス本体
14 ボックス
30 4リンク機構
40 第1のリンク
42 一端
44 他端
50 第2のリンク
52 一端
54 他端
60 第3のリンク
70 第4のリンク
80 ガススプリング(付勢体)
82 ガススプリング本体
84 ロッド
P2 ピン