(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5748360
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】揺動型殺菌装置
(51)【国際特許分類】
A61L 2/04 20060101AFI20150625BHJP
B65B 55/14 20060101ALI20150625BHJP
A61L 2/06 20060101ALI20150625BHJP
A23L 3/12 20060101ALI20150625BHJP
【FI】
A61L2/04
B65B55/14
A61L2/06
A23L3/12
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-281640(P2012-281640)
(22)【出願日】2012年12月25日
(65)【公開番号】特開2014-124259(P2014-124259A)
(43)【公開日】2014年7月7日
【審査請求日】2013年10月16日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成24年6月28日株式会社ダイショー本社工場会議室(福岡県福岡市東区松田1丁目11−17)及び平成24年9月28日株式会社ダイショー九州工場(福岡県糟屋郡久山町山田3034)にて発表
(73)【特許権者】
【識別番号】000152480
【氏名又は名称】株式会社日阪製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(72)【発明者】
【氏名】酒井 敬三
【審査官】
宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−215733(JP,A)
【文献】
実開平06−026493(JP,U)
【文献】
特開2003−102809(JP,A)
【文献】
特開2001−128848(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/00− 2/28
A61L 11/00−12/14
A23L 3/00−3/3598
B65B 55/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴体を有する処理槽と、該処理槽内に揺動可能に収納され、且つ殺菌又は滅菌の処理対象が収容される揺動体と、該揺動体内に取り付けられたメインヘッダ配管と、メインヘッダに接続され、揺動体内に向けて加熱殺菌又は加熱滅菌のための高温の流体を噴射するノズルヘッダ配管とを備えた揺動型殺菌装置であって、
前記処理槽の内外に挿通され且つ前記メインヘッダ配管の揺動に追従して曲折可能なジョイント配管を備え、該ジョイント配管の上流端が処理槽外で外部配管と接続可能に固定され、ジョイント配管の下流端が前記メインヘッダ配管に接続されていることを特徴とする揺動型殺菌装置。
【請求項2】
前記処理槽の胴体に開口部が設けられ、該開口部を覆う配管用フードが前記処理槽の胴体の外側に配備され、前記ジョイント配管の中間部が開口部を貫通し、ジョイント配管の上流端が前記配管用フード内に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の揺動型殺菌装置。
【請求項3】
前記ジョイント配管は、平行に配列された第1、第2、第3、第4のパイプと、第1のパイプと第2のパイプとを接続する第1の接続管と、第2のパイプと第3のパイプとを接続する第2の接続管と、第3のパイプと第4のパイプを接続する第3の接続管とを備え、前記第1のパイプは、前記配管用フード内に固定される前記上流端とされ、前記第4のパイプは、前記メインヘッダ配管に接続され、かつ、メインヘッダ配管の揺動に追従して変位する支持端とされ、前記第1の接続管が前記第1のパイプと第2のパイプとを支点にした従動リンクとされ、前記第2の接続管が第2のパイプと第3のパイプとを支点にした中間リンクとされ、前記第3の接続管が第3のパイプと第4のパイプとを支点にした駆動リンクとされていることを特徴とする請求項2に記載の揺動型殺菌装置。
【請求項4】
前記処理槽は、両端部を開放端とした円筒状の胴体と、該胴体の各端部を開閉する扉体とを備えていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の揺動型殺菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品や医薬品などの処理対象を揺動しながら加熱殺菌処理する揺動型殺菌装置に関し、詳しくは、処理槽内で揺動する揺動体を備え、処理槽内に熱水や蒸気などの流体を噴射するようにした揺動型殺菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックフィルムもしくは金属箔又はこれらを多層に合わせた袋状容器(パウチ)内に密封充填されたレトルト食品や医薬品、栄養剤などの処理対象は、殺菌装置で加熱殺菌・滅菌処理されている。そして、レトルト食品にあっては、加熱殺菌・滅菌処理時間の短縮化を図りたいという要請がある。また、医薬品や栄養剤などにあっては、焦げ付かせたくないという要請がある。
【0003】
このような要請に応えるべく揺動型殺菌装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。この揺動型殺菌装置は、水平姿勢で設置される有底円筒状の処理槽内に、処理対象を密封充填したパウチを収納し、このパウチを揺動させながら、パウチに熱水や蒸気などの高温の流体を噴射することで、処理対象を加熱殺菌・処理する。
【0004】
有底円筒状の処理槽は、一端を開放端、他端を閉鎖端としている。この開放端には、扉体が取り付けられている。また、閉鎖端には、電気配線通路、液体通路及びエア通路を独立して形成した三重管構造の回転中心軸が貫通している。そして、処理槽内には、処理槽の中心軸を揺動軸として揺動する横長中空直方体で籠状の揺動体が収納されている。
【0005】
この揺動体の両側面外側には、長さ方向に延びるメインヘッダ配管が取り付けられている。このメインヘッダ配管の上流(処理槽の閉鎖端側)端と前記回転中心軸の液体通路とがジョイント配管によって接続されている。また、メインヘッダ配管の中流の適宜複数個所には、縦向のノズルヘッダ配管が接続されている。
【0006】
そして、揺動体内には、トレーを複数段積み重ねた台車が搬入・搬出される。段積みされたトレーとトレーとの間には、隙間が設けられている。
【0007】
このような揺動型殺菌装置においては、処理対象を密封充填したパウチを各トレー上に載置し、このトレーを複数段積み重ねた台車を揺動体内に搬入し、トレー間にノズルヘッダ配管から熱水あるいは蒸気などの高温の流体を噴射することで、パウチ内の処理対象を加熱殺菌し、その後、ノズルヘッダ配管から冷却水を噴霧して、処理対象を冷却する。
【0008】
ただし、加熱殺菌中及び冷却処理中において、揺動体などが揺動することで、揺動体内のトレーも揺動し、トレー上のパウチ内の処理対象が一方から他方への移動と、他方から一方への移動とを繰り返す。この繰り返しによって、処理対象の表層部と中心部との入れ替えが促進され、加熱殺菌・滅菌処理時間の短縮化が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3677121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の揺動型殺菌装置は、三重管構造の回転中心軸が処理槽の閉鎖端を貫通している。そして、揺動体に取り付けられたメインヘッダ配管は、揺動体の揺動に追従して揺動する。そして、回転中心軸とメインヘッダ配管とは、ジョイント配管によって接続されている。したがって、従来の揺動型殺菌装置は、ジョイント配管によってレイアウトが拘束され、例えば扉体などを自由にレイアウトできない。
【0011】
そこで、本発明は、自由にレイアウトすることができるようにした揺動型殺菌装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る揺動型殺菌装置は、胴体を有する処理槽と、該処理槽内に揺動可能に収納され
、且つ殺菌又は滅菌の処理対象が収容される揺動体と、該揺動体内に取り付けられたメインヘッダ配管と、メインヘッダに接続され、揺動体内に向けて
加熱殺菌又は加熱滅菌のための高温の流体を噴射するノズルヘッダ配管とを備えた揺動型殺菌装置であって、前記処理槽の内外に挿通され
且つ前記メインヘッダ配管の揺動に追従して曲折可能なジョイント配管を備え、該ジョイント配管の上流端が処理槽外で外部配管と接続可能に固定され、ジョイント配管の下流端が前記メインヘッダ配管に接続されていることを特徴とする。
【0013】
この揺動型殺菌装置によれば、曲折可能なジョイント配管が処理槽の内外に挿通されている。すなわち、ジョイント配管の上流端が処理槽外の外部配管に接続可能に固定され、ジョイント配管の下流端がメインヘッダ配管に接続されている。メインヘッダ配管は、揺動体の揺動に追従して揺動するため、ジョイント配管の下流端も揺動する。
【0014】
ジョイント配管は、上流端が固定されていても、曲折可能とされているため、下流端がメインヘッダ配管の揺動に追従して曲折する。したがって、揺動しているメインヘッダ配管内にジョイント配管から熱水や蒸気などの流体を供給することができる。この流体は、メインヘッダ配管からノズルヘッダ配管内に流入し、ノズルヘッダ配管から揺動体の内方に向けて噴射される。
【0015】
なお、ジョイント配管の曲折とは、折れ曲がるように変形することや、蛇行するように変形することなど、ジョイント配管の上流端が固定端とされていても、下流端がメインヘッダ配管の揺動に追従するように変形することである。
【0016】
ここで、本発明に係る揺動型殺菌装置の一態様として、前記処理槽の胴体に開口部が設けられ、該開口部を覆う配管用フードが前記処理槽の胴体の外側に配備され、前記ジョイント配管の中間部が開口部を貫通し、ジョイント配管の上流端が前記配管用フード内に固定されている構成を採用することができる。
【0017】
この揺動型殺菌装置によれば、処理槽の胴体に開口部を設け、開口部が配管用フードに覆われていることにより、処理槽内を閉鎖空間とすることができる。そして、ジョイント配管の下流端は、メインヘッダ配管の中間部に接続される。そして、ジョイント配管の中流部は、胴体の開口部で往復動する。そして、ジョイント配管の上流端は、配管用フードに固定され、安定した状態となる。
【0018】
ここで、本発明に係る揺動型殺菌装置の他態様として、前記ジョイント配管は、平行に配列された第1、第2、第3、第4のパイプと、第1のパイプと第2のパイプとを接続する第1の接続管と、第2のパイプと第3のパイプとを接続する第2の接続管と、第3のパイプと第4のパイプを接続する第3の接続管とを備え、前記第1のパイプは、前記
配管用フード内に固定される前記上流端とされ、前記第4のパイプは、前記メインヘッダ配管に接続され、かつ、メインヘッダ配管の揺動に追従して変位する支持端とされ、前記第1の接続管が前記第1のパイプと第2のパイプとを支点にした従動リンクとされ、前記第2の接続管が第2のパイプと第3のパイプとを支点にした中間リンクとされ、前記第3の接続管が第3のパイプと第4のパイプとを支点にした駆動リンクとされている構成を採用してもよい。
【0019】
この揺動型殺菌装置によれば、熱水や蒸気などの流体が、第1のパイプ、第1の接続管、第2のパイプ、第2の接続管、第3のパイプ、第3の接続管、第4のパイプを通過して、メインヘッダ配管内に流入する。そして、ジョイント配管は、これらのパイプ及び接続管によってリンクを構成し、第1のパイプが配管用フード内で固定される固定端となり、第4のパイプが揺動するメインヘッダ配管に追従する支持端となり、ジョイント配管が全体として曲折する。
【0020】
ここで、本発明に係る揺動型殺菌装置の他態様として、前記処理槽は、両端部を開放端とした円筒状の胴体と、該胴体の各端部を開閉する扉体とを備えている構成を採用することができる。
【0021】
この揺動型殺菌装置は、処理槽の胴体に設けられた開口部をジョイント配管が通過するため、胴体の両端部を開放端とし、処理槽の両端部に扉体を備えることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、自由にレイアウトすることができるようにした揺動型殺菌装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本発明に係る揺動型殺菌装置の一実施形態を示す断面正面図である。
【
図2】
図2は、本発明に係る揺動型殺菌装置の一実施形態を示し、
図1のA−A線断面図である。
【
図3】
図3は、本発明に係る揺動型殺菌装置の一実施形態を示し、
図1のA−A線断面図である。
【
図4】
図4は、本発明に係る揺動型殺菌装置の一実施形態を示し、
図1のA−A線断面図である。
【
図5】
図5は、本発明に係る揺動型殺菌装置の一実施形態を示し、
図2のB−B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明に係る揺動型殺菌装置の一実施形態について
図1ないし
図5を参照しながら説明する。この揺動型殺菌装置は、パウチに密封充填された食品や医薬品などの処理対象(図示せず)を揺動しながら加熱殺菌・滅菌処理する装置である。
【0025】
この揺動型殺菌装置は、水平姿勢で設置される処理槽10と、この処理槽10内に収納されて揺動する籠状の揺動体20と、この揺動体20内に熱水や蒸気などの高温の流体や冷却水などの低温の流体を噴射するノズルヘッダ配管30と、このノズルヘッダ配管30に流体を供給するメインヘッダ配管40と、このメインヘッダ配管40と外部配管60(
図5参照)とを接続するジョイント配管50とを備えている。
【0026】
揺動体20は、複数本の水平姿勢のバー(図示せず)を間隔を空けて縦方向に並べ、横長中空直方体の籠状に組み立てられた枠体21と、この枠体21の各バーを適宜間隔で保持する複数枚(
図1では5枚)の環状のリング体22と、中心の1枚のリング体22の頂部付近に取り付けられた円弧状のギア23を備えている。また、リング体22の外周は、円形状とされ、リング体22の内周は四角形状とされている。
【0027】
この揺動体20の枠体21内は、台車(図示せず)の通路とされている。台車は、複数のトレー(図示せず)を隙間を設けて段積みしたもので、各トレー上に処理対象を密封充填したパウチが載置される。
【0028】
そして、揺動体20の枠体21の各側面には、水平姿勢のメインヘッダ配管40が1本ずつ沿うように取り付けられている。このメインヘッダ配管40は、枠体21の高さ方向の中心であって、枠体21の全長に延びるようにバーと平行に取り付けられ、各リング体22を貫通している。なお、
図2ないし
図4に示した揺動型殺菌装置において、右側に描かれたメインヘッダ配管40を第1のメインヘッダ配管41、左側に描かれたメインヘッダ配管40を第2のメインヘッダ配管42として必要に応じて説明する。
【0029】
そして、揺動体20の枠体21の各側面には、縦向きのノズルヘッダ配管30が複数本取り付けられている。ノズルヘッダ配管30は、図示したように、リング体22に近接して配備されるほか、リング体22と枠体21との間に挟まれるように配備されてもよい。いずれにしても、ノズルヘッダ配管30とメインヘッダ配管40とは、L字状の接続配管31によって接続されている。
【0030】
そして、処理槽10は、両端部を開放端とした円筒状の胴体11と、この胴体11の各端部を開閉する扉体12とを備えている。扉体12は、昇降することで両端部を開閉し、あるいは、蝶番によって両端部を開閉する。
【0031】
そして、胴体11の底部であって、各端部寄りの位置には、一対ずつ(合計4個の)支持用穴11aが設けられている。この支持用穴11aを利用して、処理槽10内の揺動体20がコロ24に支持される。すなわち、処理槽10の底部の下側にコロ24が配備され、このコロ24の一部が支持用穴11aを貫通し、処理槽10内の揺動体20のリング体22を支持する。コロ24は2個一組、合計4個二組で揺動体20のリング体22を支持するため、2枚のリング体22がコロ24に支持される。そして、支持用穴11aは、コロ24を覆う支持用フード13によって塞がれている。
【0032】
さらに、胴体11の頂部付近の中央部には、駆動用穴11bが設けられている。この駆動用穴11bの部分に駆動装置25が取り付けられている。駆動装置25は、所定の角度(例えば約30°の範囲)で時計方向と反時計方向の二方向に往復動する円環状のピニオン25aを備え、ピニオン25aの一部が駆動用穴11bから処理槽10内に突出し、前記揺動体20の枠体21に備えられたギア23と噛み合う。したがって、駆動装置25のピニオン25aが往復動することにより、揺動体20が周方向に揺動する。また、駆動用穴11bは、ギア23を覆う駆動用フード14によって塞がれている。
【0033】
そして、胴体11の長さ方向のほぼ中心には、開口部11cが設けられている。開口部11cは、
図2ないし
図4に示すように、正面側と背面側とに一対設けられている。この開口部11cは、処理槽10の胴体11に固定された配管用フード15によって覆われている。また、開口部11cを利用して、メインヘッダ配管40にジョイント配管50が接続されている。
【0034】
ジョイント配管50は、
図5に示すように、平行に配列された第1、第2、第3、第4のパイプ51,52,53,54と、第1、第2、第3の接続管55,56,57とを備えている。第1、第2、第4のパイプ51,52,54は円筒状に形成され、第3のパイプ53はティ形継手のように形成され、いずれの各中間部にも連通口51a,52a,53a,54aが設けられている。また、第2、第3、第4のパイプ52,53,54の両端部52b,53b,54bは、開口している。
【0035】
第1のパイプ51は、配管用フード15内に配置された固定端とされている。すなわち、第1のパイプ51の一端部51bは閉鎖端とされ、この一端部がブラケット58によって配管用フード15に固定されている。第1のパイプ51の他端部51cは、配管用フード15から露出する開口端とされている。したがって、配管用フード15にも連結用穴15aが設けられ、この配管用フード15の開口部15aに外部配管60が接続されている。
【0036】
そして、第1のパイプ51と第2のパイプ52とが一定の間隔を空けて平行に隣り合い、第1の接続管55によって接続されている。第1の接続管55は、第1のパイプ51の連通口51aを覆うように連結する連結部55aと、第2のパイプ52の連通口52aを覆うように連結する連結部55bと、両連結部55a,55bを繋ぐ角筒状の通路部55cとを有している。この第1の接続管55によって、流体が第1のパイプ51から第2のパイプ52へ流れる流路が形成されている。
【0037】
そして、第2のパイプ52と第3のパイプ53とが一定の間隔を空けて平行に隣り合い、第2の接続管56によって接続されている。第2の接続管56は、2本一組とされ、それぞれが第2のパイプ52の端部と第3のパイプ53の端部とに接続され、第2のパイプ52の端部と第3のパイプ53の端部とを挟む状態とされている。そして、第2の接続管56が第2のパイプ52及び第3のパイプ53と接合する各端部56a,56bは、開口し、第2の接続管56によって、流体が第2のパイプ52から第3のパイプ53へ流れる流路が形成されている。
【0038】
そして、第3のパイプ53と第4のパイプ54とが一定の間隔を空けて平行に隣り合い、第3の接続管57によって接続されている。第3の接続管57は、第3のパイプ53の連通口53aに連結する連結部57aと、第4のパイプ54の連通口54aを覆うように連結する連結部57bと、両連結部57a,57bを繋ぐ角筒状の通路部57cとを有している。この第3の接続管57によって、流体が第3のパイプ53から第4のパイプ54へ流れる流路が形成されている。
【0039】
第4のパイプ54は、メインヘッダ配管40の中途に介装されている。すなわち、メインヘッダ配管40は、処理槽10の胴体11に設けられた開口部11cに隣り合う部位で分断され、この分断された部分に第4のパイプ54が介装される。前記のように、揺動体20の揺動に追従してメインヘッダ配管40も揺動する。したがって、第4のパイプ54は、メインヘッダ配管40の揺動に追従して変位する支持端とされる。
【0040】
このようなジョイント配管50は、第1のパイプ51が固定端とされ、第1の接続管55が従動リンク、第2の接続管56が中間リンク、第3の接続管57が駆動リンクとなるリンクを構成している。
【0041】
ここで、以上のように構成された揺動型殺菌装置の使用方法について説明する。まず、処理槽10の一方の扉体12を開扉し、他方の扉体12を閉扉した状態とする。そして、処理対象を密封充填したパウチが台車のトレー上に載置され、複数の台車が揺動体20の枠体21内に搬入される。そして、一方の扉体12を閉扉し、処理対象を加熱殺菌・滅菌処理する。
【0042】
すなわち、熱水や蒸気などの流体が外部配管60からジョイント配管50内に流入する。この流体は、ジョイント配管50の第1のパイプ51内、第1の接続管55内、第2のパイプ52内、第2の接続管56内、第3のパイプ53内、第3の接続管57内、第4のパイプ54内を流れ、メインヘッダ配管40内に流入する。そして、流体は、メインヘッダ配管40内からノズルヘッダ配管30内に流入し、台車のトレー間に噴射される。
【0043】
台車は、揺動体20が揺動することで揺動する。揺動体20は、駆動装置25のピニオン25aが二方向に往復動し、ピニオン25aに噛み合っているギア23が往復動することで、処理槽10の中心線を揺動軸にして揺動する。そして、揺動体20が揺動することで、メインヘッダ配管40も揺動する。
【0044】
メインヘッダ配管40が揺動することで、ジョイント配管50が曲折する。例えば、揺動体20が
図2に示すような水平姿勢から
図3に示すように反時計方向に傾くと、第1のメインヘッダ配管41が上側、第2のメインヘッダ配管42が下側に変位する。そうすると、第1のメインヘッダ配管41に接続されたジョイント配管50の第1、第2、第3の接続管55,56,57が上側に引っ張れる。また、第2のメインヘッダ配管42に接続されたジョイント配管50の第1、第2、第3の接続管55,56,57が下側に引っ張られる。
【0045】
逆に、揺動体20が
図4に示すように時計方向に傾くと、第1のメインヘッダ配管41が下側、第2のメインヘッダ配管42が上側に変位する。そうすると、第1のメインヘッダ配管40に接続されたジョイント配管50の第1、第2、第3の接続管55,56,57が下側に引っ張られ、第2のメインヘッダ配管40に接続されたジョイント配管50の第1、第2、第3の接続管55,56,57が上側に引っ張られる。
【0046】
第1、第2、第3の接続管55,56,57がいずれの方向に引っ張られても、ジョイント配管50を介して、外部配管60とメインヘッダ配管40とが接続されているため、外部配管60内を流れている流体がジョイント配管50内からメインヘッダ配管40に流入する。すなわち、揺動体20が揺動しても、ノズルヘッダ配管30から流体が一定圧で噴射され続ける。
【0047】
このとき、開口部11cが配管用フード15によって塞がれ、また、支持用穴11aが支持用フード13に塞がれ、駆動用穴11bが駆動用フード14に塞がれていることにより、処理槽10内は、密閉空間となっている。したがって、ノズルヘッダから噴射された流体は、高温の状態でトレー上のパウチを加熱し、パウチに密封充填された処理対象が加熱殺菌・滅菌処理される。
【0048】
加熱殺菌・滅菌処理が終了すると、外部配管60への高温流体の供給を停止し、冷却水を供給し、ノズルヘッダ配管30から冷却水を噴射することで加熱対象を冷却する。このようにして、一連の作業が終了すると、外部配管60への冷却水の供給を停止し、駆動装置25を停止する。そして、他方の扉体12を開扉し、揺動体20内から台車を排出する。
【0049】
なお、本発明は、前記実施の形態に限定することなく、種々変更することができる。例えば、ジョイント配管50は、パイプ51,52,53,54や接続管55,56,57によってリンクを構成したものでなく、フレキシブルチューブによって構成してもよい。
【0050】
また、処理槽10は、円筒状の胴体11の両端に扉体12を備えたものでなく、一端部のみ開放端とし、他端部を閉鎖端とし、開放端に扉体12を備えてもよい。この場合、閉鎖端に開口部11cを設けてもよい。
【符号の説明】
【0051】
10………処理槽
11………胴体
11a……支持用穴
11b……駆動用穴
11c……開口部
12………扉体
13………支持用フード
14………駆動用フード
15………配管用フード
15a……開口部
20………揺動体
21………枠体
22………リング体
23………ギア
24………コロ
30………ノズルヘッダ配管
31………接続配管
40………メインヘッダ配管
50………ジョイント配管
51………第1のパイプ
52………第2のパイプ
53………第3のパイプ
54………第4のパイプ
55………第1の接続管
56………第2の接続管
57………第3の接続管
60………外部配管