特許第5748410号(P5748410)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5748410ヘッドボックスおよび抄紙装置および古紙再生処理装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5748410
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】ヘッドボックスおよび抄紙装置および古紙再生処理装置
(51)【国際特許分類】
   D21F 1/02 20060101AFI20150625BHJP
   D21B 1/32 20060101ALI20150625BHJP
   D21F 9/02 20060101ALI20150625BHJP
【FI】
   D21F1/02
   D21B1/32
   D21F9/02 Z
【請求項の数】12
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2010-10547(P2010-10547)
(22)【出願日】2010年1月21日
(65)【公開番号】特開2011-149120(P2011-149120A)
(43)【公開日】2011年8月4日
【審査請求日】2012年11月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】390002129
【氏名又は名称】デュプロ精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100000
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100068087
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 義弘
(72)【発明者】
【氏名】川口 章
(72)【発明者】
【氏名】谷本 晋基
【審査官】 長谷川 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/072419(WO,A1)
【文献】 特開2008−174878(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D21B 1/00−1/38
D21C 1/00−11/14
D21D 1/00−99/00
D21F 1/00−13/12
D21G 1/00−9/00
D21H 11/00−27/42
D21J 1/00−7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維を含むパルプ懸濁液を抄紙ワイヤー上に供給するためのヘッドボックスであって、
パルプ懸濁液の流入部から流入したパルプ懸濁液を一時的に貯留する貯留部と、貯留部のパルプ懸濁液を抄紙ワイヤー上に排出する排出部と、貯留部の下部から排出部に至る排出流路と、排出流路を開閉する開閉部材とを有し、
開閉部材は、貯留部の上方に設けられた揺動中心を中心に揺動自在であり、
開閉部材は、貯留部のパルプ懸濁液の水頭圧を受けることにより、排出流路を開く開方向に押されて、貯留部と排出部とを連通する間隙を排出流路に形成することを特徴とするヘッドボックス。
【請求項2】
繊維を含むパルプ懸濁液を抄紙ワイヤー上に供給するためのヘッドボックスであって、
パルプ懸濁液の流入部から流入したパルプ懸濁液を一時的に貯留する貯留部と、貯留部のパルプ懸濁液を抄紙ワイヤー上に排出する排出部と、貯留部の下部から排出部に至る排出流路と、排出流路を開閉する開閉部材とを有し、
開閉部材は、自重により、排出流路を閉じる閉方向に付勢されていることを特徴とするヘッドボックス。
【請求項3】
繊維を含むパルプ懸濁液を抄紙ワイヤー上に供給するためのヘッドボックスであって、
パルプ懸濁液の流入部から流入したパルプ懸濁液を一時的に貯留する貯留部と、貯留部のパルプ懸濁液を抄紙ワイヤー上に排出する排出部と、貯留部の下部から排出部に至る排出流路と、排出流路を開閉する開閉部材とを有し、
開閉部材は、貯留部内を通って排出流路に達しており、振動することによって排出流路を開閉することを特徴とするヘッドボックス。
【請求項4】
繊維を含むパルプ懸濁液を抄紙ワイヤー上に供給するためのヘッドボックスであって、
パルプ懸濁液の流入部から流入したパルプ懸濁液を一時的に貯留する貯留部と、貯留部のパルプ懸濁液を抄紙ワイヤー上に排出する排出部と、貯留部の下部から排出部に至る排出流路と、排出流路を開閉するとともに開閉方向の振動により貯留部内のパルプ懸濁液を撹拌する開閉部材とを有することを特徴とするヘッドボックス。
【請求項5】
貯留部の底面は排出流路に向って下り勾配に傾斜していることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のヘッドボックス。
【請求項6】
排出部から抄紙ワイヤー上に排出されるパルプ懸濁液を抄紙ワイヤーの移動方向における下流側へ案内する案内部材が排出部に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のヘッドボックス。
【請求項7】
貯留部内は、区画板により、幅方向において複数の区画室に区切られ、
パルプ懸濁液の流入部は区画室毎に対応して設けられ、
排出部の下流側に、排出部から抄紙ワイヤー上に排出されたパルプ懸濁液を幅方向において複数の抄紙領域に仕切る仕切部材が区画板に対応して設けられ、
仕切部材は、抄紙ワイヤーに摺接する仕切位置と、抄紙ワイヤーの上方へ離間する退避位置とに移動自在であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のヘッドボックス。
【請求項8】
繊維を含むパルプ懸濁液を抄紙ワイヤー上に供給するためのヘッドボックスを備えた抄紙装置であって、
ヘッドボックスは、パルプ懸濁液の流入部から流入したパルプ懸濁液を一時的に貯留する貯留部と、貯留部のパルプ懸濁液を抄紙ワイヤー上に排出する排出部と、貯留部の下部から排出部に至る排出流路と、排出流路を開閉する開閉部材とを有し、
抄紙ワイヤーの下方に、抄紙ワイヤーを通過した濾液を貯留する貯留手段が設けられ、
ヘッドボックスに、ヘッドボックス内を洗浄した後の洗浄排液を貯留手段に排出する洗浄排液排出経路が接続されていることを特徴とする抄紙装置。
【請求項9】
繊維を含むパルプ懸濁液を抄紙ワイヤー上に供給するためのヘッドボックスを備えた抄紙装置であって、
抄紙ワイヤーの下方に、抄紙ワイヤーを通過した濾液を貯留する貯留手段が設けられ、
ヘッドボックスに、ヘッドボックス内を洗浄した後の洗浄排液を貯留手段に排出する洗浄排液排出経路が接続されていることを特徴とする抄紙装置。
【請求項10】
繊維を含むパルプ懸濁液を抄紙ワイヤー上に供給するためのヘッドボックスの両端部にスライドフレームが設けられ、
抄紙ワイヤーの上方の据付部に支持案内フレームが設けられ、
スライドフレームが、支持案内フレームに支持されて、支持案内フレームに対して摺動することにより、ヘッドボックスが、抄紙ワイヤーの上方の据付部に、着脱自在に据え付けられることを特徴とする抄紙装置。
【請求項11】
ヘッドボックスは、パルプ懸濁液を抄紙する抄紙ワイヤーの上方の据付部に、着脱自在に据え付けられていることを特徴とする請求項8又は請求項9記載の抄紙装置。
【請求項12】
上記請求項8から請求項11のいずれか1項に記載の抄紙装置を備えた古紙再生処理装置であって、
古紙を離解してパルプ懸濁液を製造するパルパー装置が備えられ、パルパー装置で製造されたパルプ懸濁液を抄紙装置によって抄紙することを特徴とする古紙再生処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抄紙ワイヤーにパルプ懸濁液を供給するヘッドボックス、および、ヘッドボックスを備えた抄紙装置、および、抄紙装置を備えた古紙再生処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のヘッドボックスについては、図31に示すように、ヘッドボックス131内にオーバーフロー槽132が設けられ、オーバーフロー槽132内に貯留されたパルプ懸濁液133が、オーバーフロー部134から越流して、抄紙ワイヤー135上に流れ落ちて供給される。尚、抄紙ワイヤー135は古紙再生装置の抄紙部のパルプ供給部136に設けられ、ヘッドボックス131はパルプ供給部136に据付け固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−308837
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記の従来形式では、オーバーフロー槽132があることでパルプ懸濁液133を幅方向に容易に拡散できるものの、パルプ懸濁液133中の繊維がオーバーフロー部134を越え難く、このため、上記繊維がオーバーフロー部134で堰き止められて、繊維の排出が妨げられるという問題がある。このように繊維の排出が妨げられると、多量の繊維が排出されずにオーバーフロー槽132内に留まってしまうため、オーバーフロー槽132から抄紙ワイヤー135上に供給されるパルプ懸濁液133の繊維濃度が大幅に低下するという不具合を招いた。
【0005】
また、上記のようにオーバーフロー槽132内に留まった多量の繊維が一度にまとまってオーバーフロー部134を越流することがあり、このような場合、オーバーフロー槽132から抄紙ワイヤー135上に供給されるパルプ懸濁液133の繊維濃度が急激に上昇して、繊維濃度が大きく変動し、これにより、抄紙工程で得られる紙の地合(均質性)が悪くなるという不具合が生じた。
【0006】
また、ヘッドボックス131はパルプ供給部136に据付け固定されているため、ヘッドボックス131を洗浄したり保守点検することが困難であるという問題がある。
さらに、ヘッドボックス131の内部を洗浄した際、洗浄後の洗浄排液が抄紙ワイヤー135上に排出され、抄紙ワイヤー135が洗浄排液中の繊維等により目詰まりしてしまうといった問題がある。
【0007】
本発明は、パルプ懸濁液中の繊維の排出が妨げられるのを防止し、抄紙ワイヤーに排出されるパルプ懸濁液の繊維濃度の変動を抑制することができ、また、容易に洗浄したり保守点検することが可能で、洗浄時における抄紙ワイヤーの目詰まりを防止することができるヘッドボックスおよび抄紙装置および古紙再生処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本第1発明は、繊維を含むパルプ懸濁液を抄紙ワイヤー上に供給するためのヘッドボックスであって、
パルプ懸濁液の流入部から流入したパルプ懸濁液を一時的に貯留する貯留部と、貯留部のパルプ懸濁液を抄紙ワイヤー上に排出する排出部と、貯留部の下部から排出部に至る排出流路と、排出流路を開閉する開閉部材とを有し、
開閉部材は、貯留部の上方に設けられた揺動中心を中心に揺動自在であり、
開閉部材は、貯留部のパルプ懸濁液の水頭圧を受けることにより、排出流路を開く開方向に押されて、貯留部と排出部とを連通する間隙を排出流路に形成するものである。
【0009】
これによると、パルプ懸濁液は流入部から貯留部内に流入して一時的に貯留され、開閉部材が受けるパルプ懸濁液の水頭圧が所定圧以上に達すると、開閉部材がパルプ懸濁液の水頭圧によって開方向に押され、貯留部と排出部とを連通する間隙が排出流路に形成される。これにより、貯留部内のパルプ懸濁液は上記排出流路の間隙を通って排出部から抄紙ワイヤー上に排出される。この際、パルプ懸濁液中の繊維は貯留部の下部から排出流路に流入するため、上記繊維がスムーズに排出され、多量の繊維が排出されずに貯留部内に留まってしまうのを防止することができる。
【0010】
これにより、ヘッドボックスから抄紙ワイヤー上に供給されるパルプ懸濁液の繊維濃度が大幅に低下するのを防止することができる。また、多量の繊維が一度にまとまって排出部から抄紙ワイヤー上に排出されることもないため、ヘッドボックスから抄紙ワイヤー上に供給されるパルプ懸濁液の繊維濃度が急激に上昇するのを防止することができる。これにより、抄紙ワイヤー上に排出されるパルプ懸濁液の繊維濃度の変動を抑制することができる。
【0011】
本第2発明におけるヘッドボックスは、繊維を含むパルプ懸濁液を抄紙ワイヤー上に供給するためのヘッドボックスであって、
パルプ懸濁液の流入部から流入したパルプ懸濁液を一時的に貯留する貯留部と、貯留部のパルプ懸濁液を抄紙ワイヤー上に排出する排出部と、貯留部の下部から排出部に至る排出流路と、排出流路を開閉する開閉部材とを有し、
開閉部材は、自重により、排出流路を閉じる閉方向に付勢されているものである。
【0012】
本第3発明におけるヘッドボックスは、繊維を含むパルプ懸濁液を抄紙ワイヤー上に供給するためのヘッドボックスであって、
パルプ懸濁液の流入部から流入したパルプ懸濁液を一時的に貯留する貯留部と、貯留部のパルプ懸濁液を抄紙ワイヤー上に排出する排出部と、貯留部の下部から排出部に至る排出流路と、排出流路を開閉する開閉部材とを有し、
開閉部材は、貯留部内を通って排出流路に達しており、振動することによって排出流路を開閉するものである。
【0013】
これによると、パルプ懸濁液は流入部から貯留部内に流入して一時的に貯留され、開閉部材が振動して排出流路を繰り返し開閉する。排出流路が開いているときは貯留部内のパルプ懸濁液が排出流路を通って排出部から抄紙ワイヤー上に排出され、排出流路が閉じているときは貯留部内のパルプ懸濁液が排出部から排出されない。このように開閉部材は、開閉方向に振動して排出流路の開閉を繰り返しながら、パルプ懸濁液をヘッドボックスから抄紙ワイヤー上に供給する。
この際、開閉部材の開閉方向の振動によって、貯留部内のパルプ懸濁液が攪拌されるため、パルプ懸濁液中の繊維が均等に分散し、均一な繊維濃度のパルプ懸濁液がヘッドボックスから抄紙ワイヤー上に供給される。これにより、抄紙ワイヤーに供給されるパルプ懸濁液中の繊維濃度の変動をより一層抑制することができ、抄紙工程で得られる紙の地合をさらに向上させることができる。
【0014】
本第4発明におけるヘッドボックスは、繊維を含むパルプ懸濁液を抄紙ワイヤー上に供給するためのヘッドボックスであって、
パルプ懸濁液の流入部から流入したパルプ懸濁液を一時的に貯留する貯留部と、貯留部のパルプ懸濁液を抄紙ワイヤー上に排出する排出部と、貯留部の下部から排出部に至る排出流路と、排出流路を開閉するとともに開閉方向の振動により貯留部内のパルプ懸濁液を撹拌する開閉部材とを有するものである。
【0015】
本第5発明におけるヘッドボックスは、貯留部の底面は排出流路に向って下り勾配に傾斜しているものである。
これによると、パルプ懸濁液中の繊維は、貯留部の底面上を排出流路に向って滑り降りるため、確実に排出流路に流入する。これにより、上記繊維の排出が促進される。また、貯留部内のパルプ懸濁液を残さずに全て排出することが可能である。
【0016】
本第6発明におけるヘッドボックスは、排出部から抄紙ワイヤー上に排出されるパルプ懸濁液を抄紙ワイヤーの移動方向における下流側へ案内する案内部材が排出部に設けられているものである。
【0017】
これによると、排出部から抄紙ワイヤー上に排出されるパルプ懸濁液は案内部材によって下流側へ案内されるため、抄紙ワイヤー上に排出されたパルプ懸濁液が抄紙ワイヤーの上流側へ逆流するのを防止することができる。
【0018】
本第7発明におけるヘッドボックスは、貯留部内は、区画板により、幅方向において複数の区画室に区切られ、
パルプ懸濁液の流入部は区画室毎に対応して設けられ、
排出部の下流側に、排出部から抄紙ワイヤー上に排出されたパルプ懸濁液を幅方向において複数の抄紙領域に仕切る仕切部材が区画板に対応して設けられ、
仕切部材は、抄紙ワイヤーに摺接する仕切位置と、抄紙ワイヤーの上方へ離間する退避位置とに移動自在であるものである。
【0019】
これによると、全ての仕切部材を退避位置に移動して抄紙ワイヤーから離間させ、全ての流入部から貯留部の全ての区画室にパルプ懸濁液を流入することにより、開閉部材が排出流路を開き、全ての区画室内のパルプ懸濁液が排出流路を通って排出部から抄紙ワイヤー上に排出される。この際、上記のように全ての仕切部材を退避位置に切換えているため、パルプ懸濁液は全ての抄紙領域に供給され、所定の最大幅の紙を抄紙することができる。
【0020】
また、最大幅よりも小さな所定の幅の紙を抄紙する場合、所望する抄紙幅に応じた所定の仕切部材を仕切位置に移動して抄紙ワイヤーに摺接させ、所望する抄紙幅に応じた所定の流入部から貯留部の所定の区画室にパルプ懸濁液を流入することにより、開閉部材が排出流路を開き、所望する抄紙幅に応じた所定の区画室内のパルプ懸濁液が排出部から抄紙ワイヤー上に排出される。この際、上記のように所定の仕切部材を仕切位置に切換えているため、排出部から抄紙ワイヤー上に排出されたパルプ懸濁液の供給範囲は、上記所定の仕切部材により、所定の抄紙領域に仕切られて限定される。これにより、最大幅よりも小さな所定の幅の紙を抄紙することができ、この際、抄紙ワイヤーに排出されたパルプ懸濁液が所定の抄紙領域から仕切部材を幅方向(側方)に横切って隣りの抄紙領域へ流れ込むのを防止することができる。
【0021】
本第8発明は、繊維を含むパルプ懸濁液を抄紙ワイヤー上に供給するためのヘッドボックスを備えた抄紙装置であって、
ヘッドボックスは、パルプ懸濁液の流入部から流入したパルプ懸濁液を一時的に貯留する貯留部と、貯留部のパルプ懸濁液を抄紙ワイヤー上に排出する排出部と、貯留部の下部から排出部に至る排出流路と、排出流路を開閉する開閉部材とを有し、
抄紙ワイヤーの下方に、抄紙ワイヤーを通過した濾液を貯留する貯留手段が設けられ、
ヘッドボックスに、ヘッドボックス内を洗浄した後の洗浄排液を貯留手段に排出する洗浄排液排出経路が接続されているものである。
【0022】
これによると、ヘッドボックス内を洗浄することにより、ヘッドボックス内に付着した繊維を除去することができる。この際、ヘッドボックス内を洗浄した後の洗浄排液を洗浄排液排出経路から貯留手段に排出することにより、洗浄排液が抄紙ワイヤー上に排出されず、したがって、抄紙ワイヤーが洗浄排液中の繊維により目詰まりするのを防止することができる。
【0023】
本第9発明における抄紙装置は、繊維を含むパルプ懸濁液を抄紙ワイヤー上に供給するためのヘッドボックスを備えた抄紙装置であって、
抄紙ワイヤーの下方に、抄紙ワイヤーを通過した濾液を貯留する貯留手段が設けられ、
ヘッドボックスに、ヘッドボックス内を洗浄した後の洗浄排液を貯留手段に排出する洗浄排液排出経路が接続されているものである。
これによると、ヘッドボックス内を洗浄することにより、ヘッドボックス内に付着した繊維を除去することができる。この際、ヘッドボックス内を洗浄した後の洗浄排液を洗浄排液排出経路から貯留手段に排出することにより、洗浄排液が抄紙ワイヤー上に排出されず、したがって、抄紙ワイヤーが洗浄排液中の繊維により目詰まりするのを防止することができる。
【0024】
本第10発明における抄紙装置は、繊維を含むパルプ懸濁液を抄紙ワイヤー上に供給するためのヘッドボックスの両端部にスライドフレームが設けられ、
抄紙ワイヤーの上方の据付部に支持案内フレームが設けられ、
スライドフレームが、支持案内フレームに支持されて、支持案内フレームに対して摺動することにより、ヘッドボックスが、抄紙ワイヤーの上方の据付部に、着脱自在に据え付けられるものである。
【0025】
本第11発明における抄紙装置は、ヘッドボックスは、パルプ懸濁液を抄紙する抄紙ワイヤーの上方の据付部に、着脱自在に据え付けられているものである。
【0026】
これによると、ヘッドボックスを据付部から取り外すことにより、ヘッドボックスを容易に洗浄したり保守点検することができる。その後、ヘッドボックスを据付部に取り付けることにより、抄紙装置で抄紙を行うことができる。
【0027】
本第12発明は、上記第8発明から第11発明のいずれか1項に記載の抄紙装置を備えた古紙再生処理装置であって、
古紙を離解してパルプ懸濁液を製造するパルパー装置が備えられ、パルパー装置で製造されたパルプ懸濁液を抄紙装置によって抄紙するものである。
【発明の効果】
【0029】
以上のように本発明によると、パルプ懸濁液をヘッドボックスから抄紙ワイヤー上へ排出(供給)する際、パルプ懸濁液中の繊維の排出が妨げられるのを防止し、抄紙ワイヤーに排出されるパルプ懸濁液の繊維濃度の変動を抑制することができるため、抄紙工程で得られる紙の地合を向上させることができる。
【0030】
また、ヘッドボックスを容易に洗浄したり保守点検することができる。さらに、ヘッドボックス内を洗浄した後の洗浄排液中の繊維によって抄紙ワイヤーが目詰まりするのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の第1の実施の形態における古紙再生処理装置の主要構成を示す概略図である。
図2】同、古紙再生処理装置の主要構成を示すブロック図である。
図3】同、古紙再生処理装置の抄紙装置の主要構成を示す概略図である。
図4】同、抄紙装置のワイヤー部の一部切欠き側面図である。
図5】同、抄紙装置のワイヤー部の平面図である。
図6】同、ワイヤー部のヘッドボックスの平面図である。
図7図6におけるX−X矢視図である。
図8】同、ヘッドボックスの開閉部材の拡大図であり、(a)は開状態、(b)は閉状態を示す。
図9】本発明の第2の実施の形態におけるヘッドボックスの斜視図である。
図10】同、ヘッドボックスを用いて大型サイズの紙を抄紙するときの状態を示し、(a)は平面図、(b)は(a)におけるX−X矢視図である。
図11】同、ヘッドボックスを用いて小型サイズの紙を抄紙するときの状態を示し、(a)は平面図、(b)は(a)におけるX−X矢視図である。
図12図10(b)におけるY−Y矢視図である。
図13】(a)は図10(b)におけるZ−Z矢視図であり、(b)は図11(b)におけるZ−Z矢視図である。
図14】本発明の第3の実施の形態におけるヘッドボックスの開閉部材の正面図である。
図15】同、ヘッドボックスの開閉部材の斜視図である。
図16】本発明の第4の実施の形態における抄紙装置のワイヤー部の一部切欠き側面図である。
図17】同、ワイヤー部の平面図である。
図18】同、ワイヤー部のヘッドボックスの一部拡大縦断面図である。
図19】同、ヘッドボックスを洗浄する第1の洗浄装置の斜視図である。
図20】同、ヘッドボックスを洗浄する第2の洗浄装置の斜視図である。
図21】本発明の第5の実施の形態における抄紙装置のワイヤー部の側面図である。
図22】同、抄紙装置のワイヤー部の平面図である。
図23】同、抄紙装置のワイヤー部を斜め上から見た斜視図である。
図24】同、抄紙装置のワイヤー部の斜視図であり、ヘッドボックスを据付位置から引き出した状態を引き出し方向手前側から見たものである。
図25】同、抄紙装置のワイヤー部の斜視図であり、ヘッドボックスを据付位置から引き出した状態を引き出し方向奥側から見たものである。
図26】同、抄紙装置のワイヤー部の平面図であり、ヘッドボックスを据付位置から引き出した状態を示す。
図27】同、抄紙装置のワイヤー部を斜め下から見た斜視図である。
図28】同、ワイヤー部のヘッドボックスとロック装置との一部拡大斜視図であり、(a)はロック状態、(b)はロック解除状態を示す。
図29】同、ヘッドボックスのロック装置の図であり、(a)はロック状態における斜視図、(b)は(a)におけるX−X矢視図である。
図30】同、ヘッドボックスのロック装置の図であり、(a)はロック解除状態における斜視図、(b)は(a)におけるX−X矢視図である。
図31】従来のヘッドボックスの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1図2は古紙再生処理装置1の構成を示す概略図とブロック図であり、古紙再生処理装置1は古紙パルプ製造装置2と脱墨装置3と抄紙装置4と仕上げ装置5と排液処理装置6とを一体的に備える小型のものである。
【0033】
古紙パルプ製造装置2は、古紙7を裁断する裁断部8と、裁断された古紙7を離解して繊維を含むパルプ懸濁液12を製造するパルパー装置9とを備えている。また、脱墨装置3は、パルパー装置9において製造されたパルプ懸濁液12を脱墨するものである。
【0034】
図3に示すように、抄紙装置4は、パルパー装置9で製造された後に脱墨装置3において脱墨されたパルプ懸濁液12を抄紙し、抄紙により得られた湿紙10を乾燥するものである。仕上げ装置5は、抄紙装置4において湿紙10を乾燥したものを所定のサイズに裁断等することにより仕上げを行って再生紙11を得るものである。また、排液処理装置6は脱墨装置3と抄紙装置4においてそれぞれ生じた排液を処理するものである。
【0035】
抄紙装置4は、上流側から下流側の順に、パルプ懸濁液12から湿紙10を生成するワイヤー部15と、湿紙10を圧搾脱水するプレス部16と、湿紙10を乾燥させる乾燥部17とを有している。
【0036】
以下に、ワイヤー部15の構成を説明する。
図4図5に示すように、ワイヤー部15には無端状の抄紙ワイヤー18が設けられ、抄紙ワイヤー18が一方向へ回動して、繊維を含むパルプ懸濁液12が、ヘッドボックス19から抄紙ワイヤー18上に供給され、抄紙ワイヤー18の脱水経路23に沿って上流側Aから下流側Bへ移送されながら、濾過脱水される。
【0037】
抄紙ワイヤー18は、通水性を有するメッシュ構造のベルト(例えば金属や樹脂製の網等)であり、複数の回転自在なローラ20〜22に巻回されている。尚、脱水経路23は第1のローラ20と第2のローラ21との間に形成され、脱水経路23における抄紙ワイヤー18は上流側Aから下流側Bに向って上り勾配となるように緩やかに傾斜している。各ローラ20〜22は、ワイヤー部15に設けられた一対のサイドフレーム24間に設けられている。尚、各ローラ20〜22のいずれかはモータ等の駆動装置により強制的に回転駆動される。
【0038】
図6図8に示すように、ヘッドボックス19は、取付フレーム(図示省略)を介してサイドフレーム24間に取り付け固定されており、抄紙ワイヤー18の上方に配置されている。また、ヘッドボックス19は、流入部27から流入したパルプ懸濁液12を一時的に貯留する貯留部28と、貯留部28のパルプ懸濁液12を抄紙ワイヤー18上に排出する排出部29と、貯留部28の下部から排出部29に至る排出流路30と、排出流路30を開閉する開閉部材31とを有している。
【0039】
流入部27は、脱墨されたパルプ懸濁液12を脱墨装置3から貯留部28に供給する管状部材であり、脱墨装置3に接続された供給用管路26の先端部に取り付けられている。
貯留部28は、上部が開放された四角形の箱状に形成されており、抄紙ワイヤー18の幅方向Wにおいて相対向する一対の板状の側部案内部材32a,32bと、抄紙ワイヤー18の脱水経路23の方向において相対向する上流側Aの開閉部材31と下流側Bの縦板部材34と、側部案内部材32a,32bと開閉部材31と縦板部材34との各下部間にわたって設けられた板状の底部材35とを有している。これにより、開閉部材31は貯留部28の上流側Aの一側面を構成している。また、開閉部材31の上流側Aには別の縦板部材33が対向して配置されており、この縦板部材33は一対の側部案内部材32a,32b間に設けられている。
【0040】
尚、側部案内部材32a,32bは、下端部が抄紙ワイヤー18に摺接しており、排出部29から排出されたパルプ懸濁液12が抄紙ワイヤー18の外側方へ流れ落ちるのを阻止している。
【0041】
貯留部28の底部材35の上流側Aの端部には、下部縦板36が下向きに設けられており、排出流路30は下部縦板36と開閉部材31の下部との間に形成されている。排出流路30の上端は貯留部28の底部に連通し、排出流路30の下端は排出部29に連通している。尚、排出部29と排出流路30とはそれぞれ一対の側部案内部材32a,32b間にわたり設けられている。また、貯留部28の底面は排出流路30の上端開口部に向って上流側Aほど下り勾配に傾斜している。
【0042】
開閉部材31は、貯留部28の上方に位置し且つ両方の側部案内部材32a,32bに設けられた支軸40に支持されて垂下しており、支軸40を揺動中心として開閉方向O,Sへ揺動自在である。また、開閉部材31は上方から貯留部28を縦断して排出流路30内に達している。
【0043】
さらに、図7に示すように、支軸40の軸心は、水平方向において比較すると、底部材35の上流側Aの端縁より所定長さLだけ下流側Bにずれて位置している。これにより、貯留部28内に貯留されるパルプ懸濁液12が無く、パルプ懸濁液12の水頭圧を受けない状態では、開閉部材31は、自重により底部材35の上流側Aの端縁に当接して、排出流路30を閉じるように構成されている。
【0044】
開閉部材31は、貯留部28のパルプ懸濁液12の水頭圧を受けることにより開方向Oに押され、図8(a)に示すように、開方向Oへ揺動することにより、貯留部28と排出部29とを連通する間隙41を排出流路30に形成する。また、図7に示したように支軸40の軸心が底部材35の上流側Aの端縁より所定長さLだけ下流側Bにずれており、且つ、開閉部材31の下部が底部材35の上流側Aの端縁に当接するので、図8(b)に示すように、開閉部材31は、自重により、排出部29を閉じる閉方向Sに付勢されている。尚、開閉部材31は、下端部が上流側Aの縦板部材33の内面に当接する全開位置Po(図8(a)参照)と、下端部が貯留部28の底部材35の上流側Aの端部に当接する全閉位置Ps(図8(b)参照)との範囲で揺動する。
【0045】
排出部29には板状の案内部材43が設けられている。案内部材43は、排出部29から抄紙ワイヤー18上に排出されるパルプ懸濁液12を抄紙ワイヤー18の移動方向における下流側Bへ案内するものであり、上流側Aの縦板部材33の下端且つ両方の側部案内部材32a,32bの下端間に設けられ、排出部29の下方から下流側Bに向けて設けられている。案内部材43の下面は抄紙ワイヤー18に摺接する。
【0046】
図4に示すように、抄紙ワイヤー18の下方には、抄紙ワイヤー18を通過した濾液44を貯留する白水タンク45(貯留手段の一例)が設けられている。尚、濾液44は、繊維を含んだ白色の液体であるため、白水とも呼ばれる。
【0047】
図3に示すように、プレス部16には、ワイヤー部15から移送された湿紙10を表裏両面から挟んで搾水する上下一対の回動自在な無端状のフェルト47,48(吸水ベルトの一例)が設けられている。上部のフェルト47は複数の上部ローラ49a〜49eに巻回され、下部のフェルト48は複数の下部ローラ50a〜50eに巻回されている。
【0048】
また、乾燥部17には、プレス部16から移送された湿紙10を表裏両面から挟んで仕上げ装置5へ搬送する上下一対の回動自在な無端状の搬送ベルト52,53が設けられている。上部の搬送ベルト52は複数のローラ54a〜54dに巻回され、下部の搬送ベルト53は複数のローラ55a〜55dに巻回されている。このうち、ローラ54b,54c,55a,55bは内部に加熱装置56(ヒーター)を備えた乾燥用ローラの機能を有している。
【0049】
以下、上記構成における作用を説明する。
図1図3に示すように、古紙7を古紙再生処理装置1に供給することにより、古紙7は、古紙パルプ製造装置2の裁断部8において裁断された後、パルパー装置9において離解されてパルプ懸濁液12が生成される。その後、パルプ懸濁液12は、脱墨装置3において脱墨され、抄紙装置4において抄紙される。尚、脱墨装置3による脱墨工程を省略することも可能であり、この場合、パルパー装置9で生成されたパルプ懸濁液12は、脱墨されずに、抄紙装置4で抄紙される。
【0050】
抄紙装置4で抄紙を行う際、図4に示すように、ワイヤー部15のローラ20〜22のいずれかのローラが駆動装置により強制的に回転駆動するとともに、その他のローラが従動的に回転し、且つ、抄紙ワイヤー18が一方向へ回動する。
【0051】
図7に示すように、脱墨装置3において脱墨されたパルプ懸濁液12は、流入部27からヘッドボックス19の貯留部28内に流入して、一時的に貯留される。これにより、前段の脱墨工程においてパルプ懸濁液12中に残留した気泡が貯留部28内でパルプ懸濁液12中から放出(脱気)される。
【0052】
そして、所定量以上のパルプ懸濁液12が貯留部28内に貯留されて、開閉部材31が受けるパルプ懸濁液12の水頭圧が所定圧以上に達すると、開閉部材31は、パルプ懸濁液12の水頭圧によって開方向Oに押され、図8(a)に示すように全閉位置Psから開方向Oに揺動する。
【0053】
これにより、貯留部28と排出部29とを連通する間隙41により排出流路30が形成され、貯留部28内のパルプ懸濁液12は上記排出流路30(間隙41)を通って排出部29から抄紙ワイヤー18上に排出される。この際、パルプ懸濁液12中の繊維は貯留部28の下部から排出流路30に流入するため、上記繊維がスムーズに排出され、多量の繊維が排出されずに貯留部28内に留まってしまうのを防止することができる。
【0054】
これにより、ヘッドボックス19から抄紙ワイヤー18上に供給されるパルプ懸濁液12の繊維濃度が大幅に低下するのを防止することができる。また、多量の繊維が一度にまとまって排出部29から抄紙ワイヤー18上に排出されることもないため、ヘッドボックス19から抄紙ワイヤー18上に供給されるパルプ懸濁液12の繊維濃度が急激に上昇するのを防止することができる。これにより、抄紙ワイヤー18上に排出されるパルプ懸濁液12の繊維濃度の変動を抑制することができる。
【0055】
この際、図7に示すように、貯留部28の底面は排出流路30の上端開口部に向って下り勾配に傾斜しているため、パルプ懸濁液12中の繊維は、貯留部28の底面上を滑り降り、確実に排出流路30に流入する。これにより、パルプ懸濁液12中の繊維の排出が促進される。
【0056】
また、図8(a)に示すように、パルプ懸濁液12が上記間隙41を流れている際、間隙41の部分で流速が上昇して負圧が発生し、この負圧によって開閉部材31が閉方向Sに引き寄せられる(ベンチュリー効果)ことに加えて開閉部材31の自重による閉方向Sへの付勢により、図8(b)に示すように、開閉部材31は全閉位置Psまで揺動して排出流路30を閉じる。これにより、貯留部28内のパルプ懸濁液12の排出が一時停止される。このように開閉部材31は、開閉方向O,Sに振動して排出流路30の開閉を繰り返しながら、パルプ懸濁液12を排出部29から抄紙ワイヤー18上へ排出(供給)する。
【0057】
この際、開閉部材31の開閉方向O,Sの振動により、貯留部28内のパルプ懸濁液12が攪拌されるため、パルプ懸濁液12中の繊維が均等に分散し、均一な繊維濃度のパルプ懸濁液12がヘッドボックス19から抄紙ワイヤー18上に供給される。これにより、抄紙ワイヤー18に供給されるパルプ懸濁液12中の繊維濃度の変動をより一層抑制することができ、抄紙工程で得られる紙の地合をさらに向上させることができる。
【0058】
また、排出部29から抄紙ワイヤー18上に排出されるパルプ懸濁液12は下方から案内部材43に受けられて下流側Bへ案内される。このため、抄紙ワイヤー18上に排出されたパルプ懸濁液12が抄紙ワイヤー18の上流側Aへ逆流するのを防止することができる。
【0059】
上記のようにしてヘッドボックス19から抄紙ワイヤー18上に供給されたパルプ懸濁液12は、脱水経路23において濾過脱水され、繊維同士が絡み合ったシート状の湿紙10となる。このようにして生成された湿紙10は、図3に示すように、ワイヤー部15の抄紙ワイヤー18からプレス部16の上部のフェルト47に転写され、両フェルト47,48間に導入されて搾水される。
【0060】
その後、湿紙10は、プレス部16から乾燥部17へ移送され、乾燥部17において、上下一対の回動する搬送ベルト52,53間に挟まれて搬送されながら、ローラ54b,54c,55a,55b内の加熱装置56の熱で乾燥される。
【0061】
上記乾燥部17において乾燥された湿紙10は、乾燥部17から仕上げ装置5へ移送され、仕上げ装置5において所定の大きさに裁断され、図1に示すように、再生紙11として紙受け部に排紙される。
【0062】
(第2の実施の形態)
以下、本発明の第2の実施の形態を、図9図13を参照して説明する。
図9図10に示すように、貯留部28内は区画板65により、幅方向Wにおいて第1の区画室66aと第2の区画室66b(複数の区画室の一例)とに区切られている。また、パルプ懸濁液12の流入部は、第1の区画室66aに対応する第1の流入部27aと、第2の区画室66bに対応する第2の流入部27bとに分かれている。第1の流入部27aはパルプ懸濁液12を第1の区画室66a内に供給するものであり、第2の流入部27bはパルプ懸濁液12を第2の区画室66b内に供給するものである。
【0063】
尚、第1の流入部27aと第2の流入部27bとにはそれぞれ、流路を開閉するバルブ(図示省略)が設けられている。第1の流入部27aのバルブを開閉することにより、第1の流入部27aから第1の区画室66aへのパルプ懸濁液12の供給および供給停止を切換えることができる。同様に、第2の流入部27bのバルブを開閉することにより、第2の流入部27bから第2の区画室66bへのパルプ懸濁液12の供給および供給停止を切換えることができる。
【0064】
図12に示すように、開閉部材31にはスリット67が形成され、区画板65は、開閉部材31に当接しないように、スリット67に挿通されている。
図10図11図13に示すように、排出部29の下流側Bには、排出部29から抄紙ワイヤー18上に排出されたパルプ懸濁液12を幅方向Wにおいて第1の抄紙領域68aと第2の抄紙領域68b(複数の抄紙領域の一例)とに仕切る仕切部材69が設けられている。仕切部材69は、平板状の部材であり、区画板65に対応して区画板65の下方に位置している。
【0065】
貯留部28の下流側Bの後方において、双方の側部案内部材32a,32b間には取付板70が設けられ、仕切部材69は平行リンク機構71を介して取付板70に取り付けられている。上記平行リンク機構71のリンク71aの揺動により、仕切部材69は、図11図13(b)に示すように抄紙ワイヤー18に摺接する仕切位置Cと、図10図13(a)に示すように抄紙ワイヤー18の上方へ離間する退避位置Dとに昇降自在である。
【0066】
また、取付板70には、仕切部材69を昇降させる昇降駆動装置72が設けられている。昇降駆動装置72はモータ73と、モータ73の回転軸に設けられた円板状のクランク板74と、クランク板74と仕切部材69とに連結されたアーム75とで構成されている。尚、アーム75は、取付板70に形成された貫通孔76に、上下方向に挿通されている。
【0067】
以下、上記構成における作用を説明する。
例えばA4の長尺幅(297mm)の帯状の湿紙10(所定の最大幅の紙の一例)を形成する場合、モータ73を駆動させてクランク板74を回転することにより、アーム75に連動してリンク71aが揺動し、図10図13(a)に示すように、仕切部材69を退避位置Dに上昇させて抄紙ワイヤー18から離間させる。
【0068】
この状態で、パルプ懸濁液12を、第1の流入部27aから貯留部28の第1の区画室66aに流入させるとともに第2の流入部27bから貯留部28の第2の区画室66bに流入させる。
【0069】
これにより、上記第1の実施の形態と同様に、開閉部材31は、振動しながら排出流路30を繰り返し開閉し、第1および第2の区画室66a,66b内のパルプ懸濁液12を排出部29から抄紙ワイヤー18上に排出(供給)する。この際、上記のように仕切部材69を退避位置Dに切換えているため、パルプ懸濁液12は全ての抄紙領域68a,68bに供給され、A4の湿紙10を抄紙することができる。
【0070】
尚、一対の側部案内部材32a,32bによって、抄紙ワイヤー18上に排出されたパルプ懸濁液12が抄紙ワイヤー18の外側方へ流れ落ちるのを阻止することができるため、抄紙される紙の幅が大きく変動するのを防止することができる。
【0071】
また、例えばA4サイズよりも小さなB5サイズの帯状の湿紙10(最大幅よりも小さな所定の幅の紙の一例)を形成する場合、モータ73を駆動させてクランク板74を回転することにより、アーム75に連動してリンク71aが揺動し、図11図13(b)に示すように、仕切部材69を仕切位置Cに下降して抄紙ワイヤー18に摺接させる。これにより、仕切部材69と一方の側部案内部材32aとの間に第1の抄紙領域68aが形成され、仕切部材69と他方の側部案内部材32bとの間に第2の抄紙領域68bが形成され、これら両抄紙領域68a,68bは仕切部材69で仕切られている。
【0072】
そして、パルプ懸濁液12を第1の流入部27a(所望する抄紙幅に応じた所定の流入部の一例)から第1の区画室66a(所望する抄紙幅に応じた所定の区画室の一例)に流入させるとともに、第2の流入部27bから第2の区画室66bへのパルプ懸濁液12の流入を停止させる。
【0073】
これにより、上記第1の実施の形態と同様に、開閉部材31は振動しながら排出流路30を繰り返し開閉し、これに対して第2の区画室66b内はパルプ懸濁液12が流入せずに空になるので、第1区画室66a内のパルプ懸濁液12のみが排出部29から抄紙ワイヤー18上に排出(供給)される。この際、上記のように仕切部材69を仕切位置Cに切換えているため、排出部29から抄紙ワイヤー18上に排出されたパルプ懸濁液12の供給範囲は、仕切部材69により第1の抄紙領域68a(所望する抄紙幅に応じた所定の抄紙領域の一例)に仕切られて限定される。これにより、B5サイズの幅の紙を抄紙することができる。尚、この際、抄紙ワイヤー18に排出されたパルプ懸濁液12が第1の抄紙領域68a内から仕切部材69を幅方向W(側方)に横切って隣りの第2の抄紙領域68bへ流れ込むのを防止することができる。
【0074】
(第3の実施の形態)
以下、本発明の第3の実施の形態を、図14図15を参照して説明する。
上記第2の実施の形態では、開閉部材31にスリット67を形成したが(図12参照)、第3の実施の形態では、スリット67を形成せず、図14図15に示すように、幅方向Wにおいて、開閉部材31を、第1の区画室66aに対応する第1の開閉部材31aと、第2の区画室66bに対応する第2の開閉部材31bとに二分割している。尚、第1の開閉部材31aは、支軸40を中心として開閉方向O,Sへ揺動自在であり、上方から第1の区画室66aを縦断して排出流路30内に達している。また、第2の開閉部材31bは、支軸40を中心として開閉方向O,Sへ揺動自在であり、上方から第2の区画室66bを縦断して排出流路30内に達している。尚、第1の開閉部材31aと第2の開閉部材31bとはそれぞれ個別に揺動可能である。
【0075】
また、第1の開閉部材31aと第2の開閉部材31bとの間には所定の間隙79が形成されており、区画板65は、第1および第2の開閉部材31a,30bに当接しないように、間隙79に挿通されている。
【0076】
以下、上記構成における作用を説明する。
例えばA4の帯状の湿紙10を形成する場合、仕切部材69を退避位置Dに上昇させて抄紙ワイヤー18から離間させる。この状態で、パルプ懸濁液12を、第1の流入部27aから第1の区画室66aに流入させるとともに第2の流入部27bから第2の区画室66bに流入させる。
【0077】
これにより、上記第1の実施の形態と同様に、第1の開閉部材31aと第2の開閉部材31bとは、それぞれ個別に振動しながら排出流路30を繰り返し開閉し、第1および第2の区画室66a,66b内のパルプ懸濁液12を排出部29から抄紙ワイヤー18上に排出する。この際、上記のように仕切部材69を退避位置Dに切換えているため、A4サイズの幅の紙を抄紙することができる。
【0078】
また、例えばB5の帯状の湿紙10を形成する場合、仕切部材69を仕切位置Cに下降して抄紙ワイヤー18に摺接させる。そして、パルプ懸濁液12を第1の流入部27aから第1の区画室66aに流入させるとともに、第2の流入部27bから第2の区画室66bへのパルプ懸濁液12の流入を停止させる。
【0079】
これにより、上記第1の実施の形態と同様に、第2の区画室66b内が空になるので、第1の開閉部材31aのみが、振動しながら排出流路30を繰り返し開閉し、第1区画室66a内のパルプ懸濁液12のみを排出部29から抄紙ワイヤー18上に排出する。この際、上記のように仕切部材69を仕切位置Cに切換えているため、排出部29から抄紙ワイヤー18上に排出されたパルプ懸濁液12の供給範囲は、仕切部材69により第1の抄紙領域68aに仕切られて限定される。これにより、B5の帯状の湿紙10を形成することができる。
【0080】
尚、第1の開閉部材31aは、第2の実施の形態における開閉部材31全体と比べて、小型軽量であるため、振動してパルプ懸濁液12を排出する際の応答性が良い。
上記第2および第3の実施の形態では、A4およびB5サイズの帯状の湿紙10を例に説明したが、これらのサイズに限定されるものではない。
【0081】
上記第2および第3の実施の形態では、一枚の区画板65によって貯留部28内を二つの区画室66a,66bに区分けしたが、区画板65を貯留部28内に複数枚設けて、貯留部28内を三つ以上の複数の区画室に区分けしてもよい。
【0082】
また、一枚の仕切部材69によって抄紙ワイヤー18上を二つの抄紙領域68a,68bに仕切っているが、仕切部材69を複数枚設けて、抄紙ワイヤー18上を三つ以上の複数の抄紙領域に仕切ってもよい。
【0083】
(第4の実施の形態)
以下、本発明の第4の実施の形態を、図16図20を参照して説明する。
抄紙装置4のワイヤー部15には、洗浄液81でヘッドボックス19の排出部29を洗浄するための第1および第2の洗浄装置82,83が設けられている。第1の洗浄装置82は、貯留部28の底部外面に設けられた第1の洗浄ノズル84と、第1の洗浄ノズル84に洗浄液81を供給する第1の洗浄管85とを備えている。図19に示すように、第1の洗浄ノズル84は、脱水経路23における一端から他端に向って幅方向Wに広がる扇形状の部材であり、貯留部28の下方に沿った底板部84aと、底板部84aの両側部に上向けに立設された一対の側板部84bとを有している。
【0084】
第1の洗浄管85の下端は第1の洗浄ノズル84の一端に接続され、第1の洗浄ノズル84の他端には排出部29に隣接する洗浄液放出口86が下向きに形成されている。洗浄液放出口86は排出部29と同じ幅を有している。また、貯留部28の底部と第1の洗浄ノズル84の底板部84aとの間には、洗浄液81を第1の洗浄管85から洗浄液放出口86へ流す洗浄液流路87が形成されている。
【0085】
図20に示すように、第2の洗浄装置83は、脱水経路23における抄紙ワイヤー18の裏側から排出部29に向けて洗浄液81を放出する第2の洗浄ノズル89と、第2の洗浄ノズル89に洗浄液81を供給する第2の洗浄管90とを備えている。第2の洗浄ノズル89は先端に洗浄液放出口91を有し、洗浄液放出口91は排出部29と同じ幅を有している。
【0086】
また、図16に示すように、洗浄液81を流入部27から貯留部28に供給する洗浄液供給用管路97が設けられ、バルブ等からなる管路切換装置98によって、流入部27から貯留部28に供給する流体をパルプ懸濁液12又は洗浄液81のいずれかに切換え可能に構成されている。
【0087】
ヘッドボックス19には、ヘッドボックス19内を洗浄した後の洗浄排液93を白水タンク45内に排出する洗浄排液排出経路94が接続されている。洗浄排液排出経路94は、排出管95と、排出管95に設けられた排出弁96とを有している。排出管95の一端は、上流側Aからヘッドボックス19の縦板部材33に接続されて、縦板部材33と開閉部材31との間の空間に連通しており、排出管95の他端は白水タンク45内に垂下されている。
【0088】
以下、上記構成における作用を説明する。
洗浄液81を第1の洗浄装置82の第1の洗浄管85から第1の洗浄ノズル84に供給することにより、洗浄液81は、第1の洗浄ノズル84に案内されて幅方向Wに広がりながら洗浄液流路87を流れ、底部材35の下面を洗浄し、洗浄液放出口86から排出部29に向って放出される。また、洗浄液81を第2の洗浄装置83の第2の洗浄管90から第2の洗浄ノズル89に供給することにより、洗浄液81は第2の洗浄ノズル89の洗浄液放出口91から排出部29に向って放出される。これにより、排出部29付近が洗浄液81により洗浄される。
【0089】
また、管路切換装置98により管路を切換えて、洗浄液81を流入部27から貯留部28に供給することにより、貯留部28が洗浄液81により洗浄される。
これらの洗浄を行う際、排出弁96を開くことにより、洗浄後の洗浄排液93がヘッドボックス19の内部から排出管95を流れて、白水タンク45内に排出される。
【0090】
上記のように、ヘッドボックス19内を洗浄することにより、ヘッドボックス19内に付着した繊維を除去することができる。この際、洗浄により生じた洗浄排液93を白水タンク45に排出することにより、洗浄排液93が抄紙ワイヤー18上に排出されず、したがって、抄紙ワイヤー18が洗浄排液93中の繊維により目詰まりするのを防止することができる。
【0091】
(第5の実施の形態)
以下、本発明の第5の実施の形態を、図21図30を参照して説明する。
図21図24に示すように、ヘッドボックス19は、抄紙ワイヤー18の上方に形成された据付部100に、着脱自在に据え付けられている。据付部100において、一対のサイドフレーム24間には、上流側Aと下流側Bとで相対向する前後一対の支持案内フレーム101が設けられている。
【0092】
また、ヘッドボックス19の上流側Aおよび下流側Bの両端部には、前後方向に突出するスライドフレーム102が全幅にわたり設けられている。スライドフレーム102は、下方から支持案内フレーム101によって支持され、支持案内フレーム101に対して抄紙ワイヤー18の幅方向Wへ摺動自在である。
【0093】
また、左右いずれか一方のサイドフレーム24の上部には、ヘッドボックス19を出し入れするための出し入れ口103が形成されている。図21図23に示すように、ヘッドボックス19が据付部100の据付位置Eまで奥に押し込まれて据え付けられた状態では、スライドフレーム102が支持案内フレーム101に支持される。また、ヘッドボックス19の一方の側部案内部材32aには、ヘッドボックス19を出し入れ方向Fに押し引き操作するための取っ手109が設けられている。
【0094】
図22図25に示すように、第1の流入部27aと第2の流入部27bとの上流側は一本の流入管104にまとめられており、この流入管104と脱墨装置3に接続された供給用管路26の下流側端部とがジョイント部105を介して着脱自在に接続されている。図26に示すように、ジョイント部105は、流入管104に設けられた雄部106と、供給用管路26に設けられた雌部107とで構成されている。尚、ヘッドボックス19の出し入れ方向Fにおいて、雄部106は雌部107に対し嵌脱自在である。また、雄部106の外周には、雄部106と雌部107との間をシールするOリング108(シール部材の一例)が設けられている。図22に示すように、ヘッドボックス19が据付位置Eまで押し込まれて据え付けられた状態では、雄部106が雌部107に嵌め込まれ、これにより、流入管104と供給用管路26とがジョイント部105を介して接続される。
【0095】
図22図25に示すように、抄紙装置4には、モータ73へ駆動用の電力を供給するためのコネクター110が備えられている。図26に示すように、コネクター110は、ヘッドボックス19の他方の側部案内部材32bに設けられた雄部111と、左右いずれか他方のサイドフレーム24に設けられた雌部112とで構成されている。尚、ヘッドボックス19の出し入れ方向Fにおいて、雄部111は雌部112に対し挿脱自在である。図22に示すように、ヘッドボックス19が据付位置Eまで押し込まれて据え付けられた状態では、雄部111が雌部112に差し込まれて電気的に接続される。
【0096】
両サイドフレーム24の前端部間に設けられた板状の端部フレーム113には、ヘッドボックス19を据付位置Eに固定するロック装置114が備えられている。図27図30に示すように、ロック装置114は、昇降自在なロック部材115と、ロック部材115を昇降させる操作板116と、ロック部材115を上方向すなわちロック方向へ付勢する引張りばね117(付勢手段の一例)と、保持カバー118とを有している。
【0097】
ロック部材115は上部突片115aを有し、ロック部材115の上昇により、図28(a),図29に示すように、上部突片115aはいずれか片方の支持案内フレーム101の上面よりも上方のロック位置Gへ突出する。また、ロック部材115の下降により、図28(b),図30に示すように、上部突片115aは上記片方の支持案内フレーム101の上面よりも下方のロック解除位置Hへ退避する。尚、上記片方の支持案内フレーム101には上下方向に貫通する貫通部120が形成されており、上部突片115aは貫通部120を通じてロック位置Gとロック解除位置Hとに昇降する。また、上部突片115aの上端には、ヘッドボックス19を奥へ押込む押込方向側ほど上方へ傾斜する傾斜部115bが形成されている。
【0098】
操作板116は、保持カバー118に、出し入れ方向Fと同じ移動方向Fへ移動自在に保持されており、図29に示すように上部突片115aをロック位置Gに突出させるロック切換位置Iと、図30に示すように上部突片115aをロック解除位置Hに退避させるロック解除切換位置Jとに切換え操作可能である。尚、引張りばね117は操作板116をロック解除切換位置Jからロック切換位置Iに向けて付勢している。
【0099】
操作板116の先端に設けられた操作部119は一方のサイドフレーム24の外側に露出している。ロック部材115は、操作板116と保持カバー118との間にあり、連動手段126を介して操作板116に連動し昇降される。
【0100】
連動手段126は、ロック部材115に設けられた複数の案内ピン121と、操作板116に形成された複数の案内孔122とからなる。各案内ピン121が各案内孔122に挿入されている。各案内孔122は、操作板116の移動方向Fに長い長孔であり、ロック切換位置Iからロック解除切換位置Jへ向う奥側ほど上方へ傾斜している。
【0101】
また、保持カバー118には、ロック部材115を操作板116の移動方向Fにおいて位置決め(拘束)すると共に操作板116を支持するための位置決め支持ピン123が設けられている。位置決め支持ピン123は、ロック部材115に形成された上下方向に長い長孔124に挿通され、先端部が操作板116に形成された移動方向Fに長い長孔125に挿入されている。
【0102】
以下、上記構成における作用を説明する。
ヘッドボックス19を据付部100から取り外す場合、先ず、図28(b),図30に示すように、引張りばね117の付勢力に抗して操作部119を指で奥へ押し込んで、操作板116をロック切換位置Iからロック解除切換位置Jに移動させる。これにより、案内ピン121が案内孔122の上端部から下端部に案内されて下降し、これに連動してロック部材115が下降し、上部突片115aが、ロック位置Gからロック解除位置Hに下降して、支持案内フレーム101の上面よりも下方へ退避する。
【0103】
この状態で、図24に示すように、取っ手109を利用してヘッドボックス19を手前に引き出すことにより、スライドフレーム102が支持案内フレーム101上を摺動し、ヘッドボックス19が据付部100の外側方へ抜き出される。この際、図25図26に示すように、ジョイント部105において、雄部106が雌部107から脱抜されるため、流入管104と供給用管路26とが分離される。また、コネクター110において、雄部111が雌部112から脱抜される。これにより、ヘッドボックス19を取り外して容易に洗浄したり保守点検することができる。
【0104】
また、指を操作部119から離すと、図28(a),図29に示すように、引張りばね117の付勢力によって、操作板116がロック解除切換位置Jからロック切換位置Iへ移動し、案内ピン121が案内孔122の下端部から上端部に案内されて上昇し、これに連動してロック部材115が上昇し、上部突片115aが、ロック解除位置Hからロック位置Gに上昇して、支持案内フレーム101の上面から上方へ突出する。
【0105】
また、ヘッドボックス19を据付部100に据え付ける場合、ヘッドボックス19を両支持案内フレーム101間に挿入してスライドフレーム102を支持案内フレーム101上に載せ、ヘッドボックス19を据付位置Eまで奥へ押し込む。
【0106】
この際、ヘッドボックス19の片方のスライドフレーム102がロック位置Gに突出している上部突片115aの傾斜部115bに当接し、これにより、上部突片115aに下向きの押圧力が発生してロック部材115が下降し、上部突片115aがロック位置Gからロック解除位置Hに退避する。
【0107】
そして、ヘッドボックス19が据付位置Eに達して、スライドフレーム102が上部突片115aの上方を通過すると、図28(a),図29の実線に示すように、引張りばね117の付勢力によって、操作板116がロック解除切換位置Jからロック切換位置Iへ移動し、案内ピン121が案内孔122の下端部から上端部に案内されて上昇し、これに連動してロック部材115が上昇し、上部突片115aが、ロック解除位置Hからロック位置Gに上昇して、支持案内フレーム101の上面から上方へ突出する。
【0108】
これにより、図28(a)に示すように、片方のスライドフレーム102の端部がヘッドボックス19の引き出し方向から上部突片115aに係止するため、ヘッドボックス19が据付位置Eに固定され、ヘッドボックス19の引き出しが阻止される。
【0109】
この際、図22に示すように、ジョイント部105の雄部106が雌部107に嵌め込まれるため、流入管104と供給用管路26とがジョイント部105を介して接続される。また、コネクター110の雄部111が雌部112に差し込まれるため、抄紙装置4の電源側とモータ73とが電気的に接続される。これにより、ヘッドボックス19を容易に取り付けることができ、抄紙装置4を作動させて抄紙を行うことができる。
【0110】
上記第5の実施の形態では、第2の実施の形態に記載したヘッドボックス19を据付部100に着脱自在にしたが、同様に、第1,第3,第4の実施の形態に記載したヘッドボックス19を据付部100に着脱自在にしてもよい。
【0111】
上記各々の実施の形態では、図4に示すように、抄紙ワイヤー18を、脱水経路23において、上流側Aから下流側Bに向って上り勾配となるように緩やかに傾斜させているが、傾斜させずに水平にしてもよい。
【符号の説明】
【0112】
1 古紙再生処理装置
4 抄紙装置
7 古紙
9 パルパー装置
12 パルプ懸濁液
18 抄紙ワイヤー
19 ヘッドボックス
27,27a,27b 流入部
28 貯留部
29 排出部
30 排出流路
31 開閉部材
41 間隙
43 案内部材
44 濾液
45 白水タンク(貯留手段)
65 区画板
66a,66b 区画室
68a,68b 抄紙領域
69 仕切部材
93 洗浄排液
94 洗浄排液排出経路
100 据付部
B 下流側
C 仕切位置
D 退避位置
O 開方向
S 閉方向
W 幅方向
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