特許第5748427号(P5748427)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5748427
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】ハンズフリー通話システム
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/00 20060101AFI20150625BHJP
【FI】
   H04M1/00 L
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2010-184046(P2010-184046)
(22)【出願日】2010年8月19日
(65)【公開番号】特開2012-44448(P2012-44448A)
(43)【公開日】2012年3月1日
【審査請求日】2013年3月19日
【審判番号】不服2014-7233(P2014-7233/J1)
【審判請求日】2014年4月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】浅井 信樹
【合議体】
【審判長】 大塚 良平
【審判官】 河口 雅英
【審判官】 山澤 宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−210181号公報(JP,A)
【文献】 特開2005−236615号公報(JP,A)
【文献】 特開2003−258952号公報(JP,A)
【文献】 特開2001−186240号公報(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B7/24-7/26
H04M 1/00 1/24-1/82 99/00
H04W 4/00-8/24 8/26-16/32 24/00-28/00 28/02-72/02
H04W 72/04-74/02 74/04-74/06 74/08-84/10 84/12-88/06 88/08-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子装置と、少なくとも通話機能を有し、前記電子装置と通信する通信手段を有する通信端末とを備えたハンズフリー通話システムであって、
前記電子装置は、
音声を入力し音声信号を出力する音声入力手段と、
音声信号に基づき音声を出力する音声出力手段と、
表示手段と、
前記音声入力手段からの音声信号を前記通信手段を介して通話相手に送信し、通話相手からの音声信号を前記通信手段を介して受け取りこれを前記音声出力手段から出力させることで前記通信手段によるハンズフリー通話を可能にする制御手段とを有し、
前記制御手段は、前記通信手段からの情報に基づき前記通信手段から前記通話相手を識別する識別情報を入手可能であるか否かを判定する判定手段を含み、
前記制御手段は、前記判定手段により前記識別情報を入手可能であると判定された場合、前記通信手段から、当該通信手段に着信があったことを示す着信情報と通話相手を識別する識別情報とを時間間隔を空けて受け取ったとき、前記識別情報を受け取るまで前記着信情報を非表示とし、前記識別情報を受け取った後、前記着信情報と前記識別情報とを前記表示手段に同時に表示させ、さらに前記判定手段により前記識別情報を入手可能でないと判定された場合、前記着信情報を受け取ったときに前記着信情報を前記表示手段に表示させ、さらに前記判定手段により前記識別情報を入手可能であると判定された場合であっても、前記着信情報を受け取った時点から一定時間内に前記識別情報を受け取ることができないとき、前記判定手段は前記識別情報を入手可能でないと判定し、前記制御手段は、当該判定に基づき前記一定時間後に前記着信情報を表示させる、ハンズフリー通話システム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記着信情報を受け取ったときに前記着信情報を前記表示手段に表示させる第1のステップと、前記識別情報を受け取ったときに前記着信情報および前記識別情報を前記表示手段に表示させる第2のステップとを含む表示シーケンスを有するとき、第1のステップを非実行とする、請求項1に記載のハンズフリー通話システム。
【請求項3】
前記判定手段は、過去の前記着信情報を受け取った時点から前記識別情報を受け取った時点までの経過時間を記憶し、前記判定手段は、前記経過時間の最大値を前記一定時間とする、請求項に記載のハンズフリー通話システム。
【請求項4】
前記判定手段は、前記通信手段において設定された発信者番号の通知の有無に関する仕様情報に基づき前記識別情報が入手可能か否かを判定する、請求項1に記載のハンズフリー通話システム。
【請求項5】
前記識別情報は、通話相手の電話番号である、請求項1ないしいずれか1つに記載のハンズフリー通話システム。
【請求項6】
前記識別情報は、通話相手の名前情報である、請求項1ないしいずれか1つに記載のハンズフリー通話システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンズフリー通話システムに関し、特に車載用のハンズフリー通話システムにおける着信通知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
走行中、運転者が携帯電話機を持ちながら通話することは、注意力の欠如等により事故発生の原因となる。このため、そのような走行中の通話は、道路交通法によって禁止されている。走行中にどうしても通話が必要な場合には、携帯電話機を手で持つことなく通話をすることができるハンズフリー通話システムが利用される。典型的なハンズフリー通話システムでは、車両に搭載された電子装置(例えば、オーディオ・ビデオ装置、ナビゲーション装置、テレビ・ラジオ受信装置など)に携帯電話機を接続し、通話相手から発せられた音声を電子装置を介して車内のスピーカから出力し、運転者の音声を車内のマイクロフォンから入力し、携帯電話機を介して通話相手へ伝えるように構成される。マイクロフォンは、車内に固定されたものでもよいし、運転者が装着するヘッドギアに固定されたものであってもよい。
【0003】
車載用のハンズフリー通話システムでは、着信があったとき着信音を車内スピーカから出力することで、その着信を確実に運転者に知らしめている。また、確実に着信があったことを知らせる着信呼表示システムが特許文献1に開示されている。これによれば、通信端末装置が着信呼および発信者番号情報を通信回線を介して受信すると、これらの情報を情報処理装置に送信し、情報処理装置は、表示部に着信があった旨を示すメッセージと発信者番号情報を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3322479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のハンズフリー通話システムでは、携帯電話機の着信音の出力だけでは、走行中の騒音などの影響により、着信があったことを運転者に確実に通知することができない場合がある。そのため、着信があると、車載機のディスプレイに着信があった旨のメッセージが表示され、その後、発信者番号が通知された場合には、ディスプレイに発信者番号が表示される。図7(a)は、従来のハンズフリー通話システムの着信通知方法を示している。ディスプレイにナビゲーションによる道路地図画面が表示されているときに着信があると、「着信しています!」などのメッセージを示した着信画面1が表示され、その後、発信者番号が通知されると、発信者番号を示した着信画面2が表示される。
【0006】
上記のように、車載機本体に接続された携帯電話機、及びその携帯電話機が使用している携帯電話網の仕様により、着信と同時に発信者番号が通知されないもの、すなわち着信から一定時間経ってから発信者番号を通知するものがある。この場合、運転者は、着信画面1の時点で通話相手を特定することができないため、着信画面1の時点で通話を開始するかどうかの判断がつかず、着信画面2を待つよう意識を向ける必要がある。しかし、携帯電話機によっては、発信者番号の通知、すなわち着信画面2の表示までに数秒を要するものもあり、これを確認することは走行中の運転者にとっては大きな負担となる。
【0007】
本発明の目的は、上記従来の課題を解決し、運転者に負担にならないように着信情報を提供することができるハンズフリー通話システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るハンズフリー通話システムは、音声を入力し音声信号を出力する音声入力手段と、音声信号に基づき音声を出力する音声出力手段と、少なくとも通話機能を有する通信手段と、表示手段と、前記音声入力手段からの音声信号を前記通信手段を介して通話相手に送信し、通話相手からの音声信号を前記通信手段を介して受け取りこれを前記音声出力手段から出力させることで前記通信手段によるハンズフリー通話を可能にする制御手段とを有し、前記制御手段は、前記通信手段から、当該通信手段に着信があったことを示す着信情報と通話相手を識別する識別情報とを時間間隔を空けて受け取ったとき、前記着信情報と前記識別情報とを前記表示手段に同時に表示させる。
【0009】
好ましくは前記制御手段は、前記着信情報を受け取ったときに前記着信情報を前記表示手段に表示させる第1のステップと、前記識別情報を受け取ったときに前記着信情報および前記識別情報を前記表示手段に表示させる第2のステップとを含む表示シーケンスを有するとき、第1のステップを非実行とする。好ましくは前記制御手段は、前記通信手段から前記識別情報を入手可能であるか否かを判定する判定手段を含み、前記判定手段により入手できないと判定したとき、前記着信情報を前記表示手段に表示させる。好ましくは前記判定手段は、前記着信情報を受け取った時点から一定時間内に前記識別情報を受け取ることができないとき、前記識別情報を入手可能でないと判定する。好ましくは前記判定手段は、過去の前記着信情報を受け取った時点から前記識別情報を受け取った時点までの経過時間を記憶し、前記判定手段は、前記経過時間の最大値を前記一定時間とする。また、前記判定手段は、前記通信手段の仕様に関する仕様情報に基づき前記識別情報が入手可能か否かを判定することができる。さらに前記判定手段は、通話相手が識別情報の非通知を設定しているとき、前記識別情報を入手できないと判定することができる。好ましくは前記識別情報は、通話相手の電話番号、あるいは通話相手の名前情報であることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、着信情報の受け取りと発信者番号の受け取りに時間的な間隔がある場合に、着信情報と通話相手の識別情報(例えば、発信者番号)とを同時に表示するようにしたので、ユーザは、一度に着信があったことおよび通話相手を確認することができ、ユーザへの負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例に係るハンズフリー通話システムの概要を示す図である。
図2図1に示す車載用電子装置の構成を示すブロック図である。
図3図2に示す制御部の機能ブロックである。
図4】携帯通信端末の構成を示すブロック図である。
図5】携帯通信端末の機能の一部を示すブロック図である。
図6】本発明の第1の実施例に係るハンズフリー通話システムの動作フローを示す図である。
図7図7(a)は、従来の着信通知方法による表示例、図7(b)、(c)は、本発明の第1の実施例の着信通知方法による表示例を示す図である。
図8】本発明の第2の実施例の着信通知方法による表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の実施の形態に係るハンズフリー通話システムについて図面を参照して詳細に説明する。本発明の好ましい実施の形態として、ハンズフリー通話システムは、車載用として利用される例を説明する。
【実施例】
【0013】
図1は、本発明の実施例に係るハンズフリー通話システムの概要を説明する図である。本実施例のハンズフリー通話システム10は、車載用電子装置20と、運転者からの音声を入力するマイクロフォン30と、車内空間に音声を出力するスピーカ40と、ディスプレイ50と、車載用電子装置20と有線または無線により接続可能な携帯通信端末60とを有する。
【0014】
車載用電子装置20は、車両に搭載されるオーディオ装置、ビデオ装置、ナビゲーション装置、テレビ・ラジオ受信装置、情報処理装置、その他の電子装置であり、例えば、フロントのダッシュボード内に取り付けられる。車載用電子装置20は、後述するように、運転者がハンズフリー通話を行うために必要な機能を備えている。マイクロフォン30は、ハンズフリー通話を行うとき、運転者から発せられた音声を入力し、この音声信号を車載用電子装置20に出力する。スピーカ40は、ハンズフリー通話を行うとき、携帯通信端末50からの音声信号に基づき音声を出力する。ディスプレイ50は、例えば車載用電子装置20の筐体の前面に取り付けられる。マイクロフォン30、スピーカ40、ディスプレイ50は、必ずしもハンズフリー通話のための専用品である必要はなく、他の用途(ナビゲーション、オーディオ等)と兼用することができる。
【0015】
携帯通信端末60は、例えば、携帯電話機、通信機能を有するコンピュータ、多機能なスマートフォン、情報端末あるいはネットワーク端末であることでき、携帯通信端末60を車内に持ち込みハンズフリー通話を行うとき、携帯通信端末60が有線ケーブルまたは無線によ車載用電子装置20に接続される。携帯通信端末60を接続した車載用電子装置20は、携帯通信端末60とデータの送受信を行い、ハンズフリー通話を制御することができる。例えば、車載用電子装置20から通話相手の通信端末70に発信したり、通話相手の通信端末70から携帯通信端末60に着信があったとき、着信音をスピーカ40から出力させたり、着信情報をディスプレイ50に表示させる。
【0016】
図2は、車載用電子装置20の構成を示すブロック図である。車載用電子装置20は、携帯通信端末60とデータの送受を行うデータ通信部100と、マイクロフォン30を介して捕捉された音声を音声信号に変換する音声入力部110と、スピーカ40から音声を出力する音声出力部120と、ディスプレイ50に種々の情報を表示する表示部130と、ユーザからの入力を受け取るユーザ入力部140と、プログラムやデータを記憶部150と、プログラム等に従い各部を制御する制御部160とを備えている。
【0017】
図3は、制御部160の機能ブロック図である。制御部160は、例えば、マイクロコンピュータ、マイクロプロセッサ、処理装置などを用いて構成され、必要に応じてROM、RAMを備えて構成される。制御部160は、携帯通信端末60が接続されたとき、ハンズフリー通話を可能にする。好ましくは、ハンズフリー通話を制御するプログラムが記憶部150に記憶され、制御部160は、このプログラムを実行することによりハンズフリー通話を制御する。
【0018】
制御部160は、図3に示すように、携帯通信端末60が接続されたとき過去に設定された着信通知動作を初期化する初期化部200と、接続された携帯通信端末60に設定されている仕様情報を抽出する仕様情報抽出部210と、抽出された仕様情報に基づき着信通知動作に関する設定を行う着信通知設定部220と、携帯通信端末60からの着信信号の有無を判別する着信判別部230と、携帯通信端末60からの発信者番号(通話相手としての通信端末70の電話番号)の有無を判別する発信者番号判別部240と、着信表示を制御する表示シーケンス制御部250とを有する。表示シーケンス制御部250は、着信があったメッセージを示す着信画面1を表示するシーケンスと、着信があったことを示すメッセージに加えて発信者番号を示す着信画面2を表示するシーケンスとを含み、表示シーケンス制御部250は、着信通知設定部220、着信判別部230および発信者番号判別部240に従い表示シーケンスを制御する。また、表示シーケンス制御部250は、他の情報を表示している画面の一部または全部を着信画面1、2が表示されるように割込み処理を行ったり、2画面表示であればその一方の画面に着信画面1、2を表示させることができる。
【0019】
図4は、携帯通信端末の構成例を示すブロック図である。携帯通信端末60は、車載用電子装置20とデータの送受をしたり、通話相手である他の通信端末70との通話を制御する通信制御部300、ユーザからの音声を入力する音声入力部310、音声を出力する音声出力部320、表示部330、ユーザからの操作を受け取るユーザ入力部340、携帯通信端末の仕様に関するデータやプログラム等を記憶する記憶部350、プログラムを実行し各部を制御する制御部360とを有する。
【0020】
図5は、携帯通信端末の制御部360のハンズフリー通話に関する機能を示すブロック図である。同図に示すように、制御部360は、携帯通信端末60が車載用電子装置20に接続されたとき、仕様情報抽出部210からの要求に応答して仕様情報を提供する仕様情報提供部400と、携帯通信端末60に通信端末70から着信があったとき、当該着信を識別し、通信制御部300を介して着信信号を車載用電子装置20に送信する着信識別/送信部410と、携帯通信端末60に通信端末70の発信者番号が通知されたとき、当該発信者番号を識別し、通信制御部300を介して発信者番号を車載用電子装置20に送信する発信者番号識別/送信部420とを有する。
【0021】
携帯通信端末60の記憶部350には、通話相手から着信があったことを通知するか否か、通話相手の発信者番号を通知するか否か、携帯通信端末のバッテリー残量を通知するか否か、携帯端末装置の受信強度を通知するか否か、などの仕様情報が設定されている。これらの仕様情報は、ユーザによって変更することも可能である。上記したように仕様情報提供部400は、車載用電子装置20の仕様情報抽出部210から要求があったとき、記憶部350から読み出された仕様情報を車載用電子装置20へ提供する。
【0022】
次に、本発明の第1の実施例によるハンズフリー通話システムの動作を図6のフローチャートを参照して説明する。先ず、ハンズフリー通話のために携帯通信端末60が車載用電子装置20に接続されると(ステップS101)、車載用電子装置20の初期化部200は、携帯通信端末60が接続されたことを確認し、着信通知設定部220を初期化する(ステップS102)。なお、初期化部200は、接続された携帯通信端末60の識別情報(SIM情報や電話番号など)と着信通知設定部220に設定されている携帯通信端末の識別番号が一致する場合、言い換えれば、以前に接続した携帯通信端末と変更がないときは必ずしも初期化を要しない。
【0023】
次に、仕様情報抽出部210は、携帯通信端末60に対し仕様情報の提供を要求する。これに応答して、携帯通信端末60の仕様情報提供部400は、自身が保有する仕様情報を車載用電子装置20へ送信し、携帯通信端末の仕様情報が抽出される(ステップS103)。抽出された仕様情報は、着信通知設定部220へ提供され、着信通知設定部220は、仕様情報に基づき着信通知動作を自動設定する(ステップS104)。ここでは、携帯通信端末60が「着信通知有り」、「発信者番号通知有り」の仕様情報を含み、着信通知設定部220は、携帯通信端末60から着信信号を受け取ったとき着信があったことを通知し、かつ発信者番号を受け取ったとき発信者番号を通知する設定を行うものとする。以上により、車載用電子装置20におけるハンズフリー通話の初期設定が完了する。
【0024】
次に、着信判別部230は、携帯通信端末60への着信の有無を監視する(ステップS105)。通話相手である通信端末70から携帯通信端末60に着信があると、携帯通信端末60の着信識別/送信部410により着信信号が車載用電子装置20へ送信され、着信判別部230は、受け取った着信信号から着信があったことを判別する。着信判別部230により着信があったことが判別されると、制御部160は、スピーカ40から着信音を出力させる(ステップS106)。着信音は、携帯通信端末60から送信されたものであることもできるし、車載用電子装置20において生成されたものであってもよい。表示シーケンス制御部250は、着信判別部230から着信があったことの判別結果を受けるが、この時点では、着信があったメッセージを示す着信画面1の表示を行わない。
【0025】
次に、発信者番号判別部240は、携帯通信端末60から発信者番号が送信されたか否かを判別する(ステップS107)。発信者番号判別部240は、発信者番号を判別すると、その判別結果を表示シーケンス制御部250に伝え、表示シーケンス制御部250は、この時点で、着信があったことを示すメッセージと発信者番号とが示された着信画面2をディスプレイ50に表示させる(ステップS108)。
【0026】
一方、着信判別部230により着信が判別されてから一定時間を経過した場合には、たとえ発信者番号が入手可能な設定であったとしても、発信者番号判別部240は、発信者番号を入手不可能であると判定し、その判定結果を表示シーケンス制御部250へ伝える。これにより、表示シーケンス制御部250は、着信があったメッセージを示す着信画面1をディスプレイ50に表示させる(ステップS109)。一定時間は、好ましくは、
発信者番号判別部240が以前に着信信号を受け取った時点から発信者番号を受け取るまでの経過時間を記憶しておき、その最大値を用いることできる。
【0027】
図7(b)は、本実施例の着信通知方法の表示例を示している。従来の場合には、図7(a)に示すように、着信があったことが判別された時点で着信画面1が表示され、その後、発信者番号が判別された時点で着信画面2が表示される。これに対し、本実施例では、車載用電子装置20の制御により、着信があったことが判別された時点で、着信画面1の表示は行われず(または着信画面1をスキップさせ)、その後に発信者番号が判別された時点で、着信があったメッセージと発信者番号が示された着信画面2を表示する。
【0028】
このように本実施例によれば、着信があったことおよび発信者番号とを同時に表示するようにしたので、運転者は、ディスプレイを一度見るだけで、着信が生じていること通話相手の発信者番号とを確認することができる。これにより、運転者の負担を軽減することができる。
【0029】
次に、本実施例のハンズフリー通話動作の他の例を説明する。携帯通信端末の仕様または携帯電話網の仕様によっては、そもそも発信者番号を入手できない場合がある。従って、携帯通信端末60からの仕様情報が「発信者番号通知なし」である場合には、着信通知設定部220は、発信者番号を入手することができないまたは発信者番号を入手できるか否か不明と設定する。表示シーケンス制御部250は、この設定に基づき、図7(c)に示すように、着信画面1のスキップを行わず、着信があったことを示すメッセージをディスプレイ50に表示させる。
【0030】
また、発信者番号が入手できないあるいは入手できるか否かが不明と設定されたときでも、発信者番号判別部240は、着信判別部230が着信信号を受け取った後に、発信者番号が通知されるか否かを監視し、もし、発信者番号が通知された場合は、その旨を記憶しておき、次回に着信があったとき、着信画面1をスキップし着信画面2を表示するようにしてもよい。
【0031】
さらに発信者番号を通知する仕様の携帯通信端末であっても、通話相手である通信端末70が発信者番号の非通知設定をしている場合には、発信者番号を入手することができない。これを回避するため、表示シーケンス制御部250は、着信画面1のスキップにタイムアウト制御を行う。つまり、仮に着信通知設定部220によって「発信者番号通知有り」の設定がされていたとしても、発信者番号判別部240が、着信信号を受け取った時点からタイムアウト時間内に発信者番号を受け取ることができない場合には、表示シーケンス制御部250は、タイムアウト時間経過後に速やかに着信画面1を表示させる。好ましくは、タイムアウト時間の設定例として、発信者番号判別部240により、今までの着信信号の受け取りから発信者番号の受け取りまでの経過時間を記憶しておき、その最大値をタイムアウト時間に使用することができる。
【0032】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。第1の実施例では、携帯通信端末60が発信者番号を車載用電子装置20に送信する例を示したが、携帯通信端末によっては、通話回線網から発信者番号を受け取ると、自身が保有するデータベースから発信者番号に該当する名前を検索し、検索された名前を車載用電子装置20へ送信するものがある。
【0033】
そこで、第2の実施例では、通話相手を識別する情報として発信者番号の他に、通話相手の名前を表示する。すなわち、携帯通信端末60から着信信号が送信され、その後に、発信者番号により検索された名前情報が車載用電子装置20へ送信されるものとする。図8に示すように、ディスプレイ50にナビゲーションによる道路地図画面が表示されていた状態で、携帯通信端末60に着信があると、この時点では、第1の実施例のときと同様に、着信画面1がスキップされまたは非表示となる。そして、携帯通信端末60から名前情報が送信されると、車載用電子装置20は、着信があったことを示すメッセージと通話相手の名前情報「特許太郎」が示された着信画面2を表示する。勿論、名前情報とともに発信者番号が携帯通信端末60から送信される場合には、着信画面2には、名前情報とともに発信者番号が示されるようにしてもよい。
【0034】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0035】
10:ハンズフリー通話システム 20:車載用電子装置
30:マイクロフォン 40:スピーカ
50:ディスプレイ 60:携帯通信端末
70:通信端末 200:初期化部
210:仕様情報抽出部 220:着信通知設定部
230:着信判別部 240:発信者番号判別部
250:表示シーケンス制御部 400:仕様情報提供部
410:着信識別/送信部 420:発信者番号識別/送信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8