【実施例】
【0013】
図1は、本発明の実施例に係るハンズフリー通話システムの概要を説明する図である。本実施例のハンズフリー通話システム10は、車載用電子装置20と、運転者からの音声を入力するマイクロフォン30と、車内空間に音声を出力するスピーカ40と、ディスプレイ50と、車載用電子装置20と有線または無線により接続可能な携帯通信端末60とを有する。
【0014】
車載用電子装置20は、車両に搭載されるオーディオ装置、ビデオ装置、ナビゲーション装置、テレビ・ラジオ受信装置、情報処理装置、その他の電子装置であり、例えば、フロントのダッシュボード内に取り付けられる。車載用電子装置20は、後述するように、運転者がハンズフリー通話を行うために必要な機能を備えている。マイクロフォン30は、ハンズフリー通話を行うとき、運転者から発せられた音声を入力し、この音声信号を車載用電子装置20に出力する。スピーカ40は、ハンズフリー通話を行うとき、携帯通信端末50からの音声信号に基づき音声を出力する。ディスプレイ50は、例えば車載用電子装置20の筐体の前面に取り付けられる。マイクロフォン30、スピーカ40、ディスプレイ50は、必ずしもハンズフリー通話のための専用品である必要はなく、他の用途(ナビゲーション、オーディオ等)と兼用することができる。
【0015】
携帯通信端末60は、例えば、携帯電話機、通信機能を有するコンピュータ、多機能なスマートフォン、情報端末あるいはネットワーク端末であることでき、携帯通信端末60を車内に持ち込みハンズフリー通話を行うとき、携帯通信端末60が有線ケーブルまたは無線によ車載用電子装置20に接続される。携帯通信端末60を接続した車載用電子装置20は、携帯通信端末60とデータの送受信を行い、ハンズフリー通話を制御することができる。例えば、車載用電子装置20から通話相手の通信端末70に発信したり、通話相手の通信端末70から携帯通信端末60に着信があったとき、着信音をスピーカ40から出力させたり、着信情報をディスプレイ50に表示させる。
【0016】
図2は、車載用電子装置20の構成を示すブロック図である。車載用電子装置20は、携帯通信端末60とデータの送受を行うデータ通信部100と、マイクロフォン30を介して捕捉された音声を音声信号に変換する音声入力部110と、スピーカ40から音声を出力する音声出力部120と、ディスプレイ50に種々の情報を表示する表示部130と、ユーザからの入力を受け取るユーザ入力部140と、プログラムやデータを記憶部150と、プログラム等に従い各部を制御する制御部160とを備えている。
【0017】
図3は、制御部160の機能ブロック図である。制御部160は、例えば、マイクロコンピュータ、マイクロプロセッサ、処理装置などを用いて構成され、必要に応じてROM、RAMを備えて構成される。制御部160は、携帯通信端末60が接続されたとき、ハンズフリー通話を可能にする。好ましくは、ハンズフリー通話を制御するプログラムが記憶部150に記憶され、制御部160は、このプログラムを実行することによりハンズフリー通話を制御する。
【0018】
制御部160は、
図3に示すように、携帯通信端末60が接続されたとき過去に設定された着信通知動作を初期化する初期化部200と、接続された携帯通信端末60に設定されている仕様情報を抽出する仕様情報抽出部210と、抽出された仕様情報に基づき着信通知動作に関する設定を行う着信通知設定部220と、携帯通信端末60からの着信信号の有無を判別する着信判別部230と、携帯通信端末60からの発信者番号(通話相手としての通信端末70の電話番号)の有無を判別する発信者番号判別部240と、着信表示を制御する表示シーケンス制御部250とを有する。表示シーケンス制御部250は、着信があったメッセージを示す着信画面1を表示するシーケンスと、着信があったことを示すメッセージに加えて発信者番号を示す着信画面2を表示するシーケンスとを含み、表示シーケンス制御部250は、着信通知設定部220、着信判別部230および発信者番号判別部240に従い表示シーケンスを制御する。また、表示シーケンス制御部250は、他の情報を表示している画面の一部または全部を着信画面1、2が表示されるように割込み処理を行ったり、2画面表示であればその一方の画面に着信画面1、2を表示させることができる。
【0019】
図4は、携帯通信端末の構成例を示すブロック図である。携帯通信端末60は、車載用電子装置20とデータの送受をしたり、通話相手である他の通信端末70との通話を制御する通信制御部300、ユーザからの音声を入力する音声入力部310、音声を出力する音声出力部320、表示部330、ユーザからの操作を受け取るユーザ入力部340、携帯通信端末の仕様に関するデータやプログラム等を記憶する記憶部350、プログラムを実行し各部を制御する制御部360とを有する。
【0020】
図5は、携帯通信端末の制御部360のハンズフリー通話に関する機能を示すブロック図である。同図に示すように、制御部360は、携帯通信端末60が車載用電子装置20に接続されたとき、仕様情報抽出部210からの要求に応答して仕様情報を提供する仕様情報提供部400と、携帯通信端末60に通信端末70から着信があったとき、当該着信を識別し、通信制御部300を介して着信信号を車載用電子装置20に送信する着信識別/送信部410と、携帯通信端末60に通信端末70の発信者番号が通知されたとき、当該発信者番号を識別し、通信制御部300を介して発信者番号を車載用電子装置20に送信する発信者番号識別/送信部420とを有する。
【0021】
携帯通信端末60の記憶部350には、通話相手から着信があったことを通知するか否か、通話相手の発信者番号を通知するか否か、携帯通信端末のバッテリー残量を通知するか否か、携帯端末装置の受信強度を通知するか否か、などの仕様情報が設定されている。これらの仕様情報は、ユーザによって変更することも可能である。上記したように仕様情報提供部400は、車載用電子装置20の仕様情報抽出部210から要求があったとき、記憶部350から読み出された仕様情報を車載用電子装置20へ提供する。
【0022】
次に、本発明の第1の実施例によるハンズフリー通話システムの動作を
図6のフローチャートを参照して説明する。先ず、ハンズフリー通話のために携帯通信端末60が車載用電子装置20に接続されると(ステップS101)、車載用電子装置20の初期化部200は、携帯通信端末60が接続されたことを確認し、着信通知設定部220を初期化する(ステップS102)。なお、初期化部200は、接続された携帯通信端末60の識別情報(SIM情報や電話番号など)と着信通知設定部220に設定されている携帯通信端末の識別番号が一致する場合、言い換えれば、以前に接続した携帯通信端末と変更がないときは必ずしも初期化を要しない。
【0023】
次に、仕様情報抽出部210は、携帯通信端末60に対し仕様情報の提供を要求する。これに応答して、携帯通信端末60の仕様情報提供部400は、自身が保有する仕様情報を車載用電子装置20へ送信し、携帯通信端末の仕様情報が抽出される(ステップS103)。抽出された仕様情報は、着信通知設定部220へ提供され、着信通知設定部220は、仕様情報に基づき着信通知動作を自動設定する(ステップS104)。ここでは、携帯通信端末60が「着信通知有り」、「発信者番号通知有り」の仕様情報を含み、着信通知設定部220は、携帯通信端末60から着信信号を受け取ったとき着信があったことを通知し、かつ発信者番号を受け取ったとき発信者番号を通知する設定を行うものとする。以上により、車載用電子装置20におけるハンズフリー通話の初期設定が完了する。
【0024】
次に、着信判別部230は、携帯通信端末60への着信の有無を監視する(ステップS105)。通話相手である通信端末70から携帯通信端末60に着信があると、携帯通信端末60の着信識別/送信部410により着信信号が車載用電子装置20へ送信され、着信判別部230は、受け取った着信信号から着信があったことを判別する。着信判別部230により着信があったことが判別されると、制御部160は、スピーカ40から着信音を出力させる(ステップS106)。着信音は、携帯通信端末60から送信されたものであることもできるし、車載用電子装置20において生成されたものであってもよい。表示シーケンス制御部250は、着信判別部230から着信があったことの判別結果を受けるが、この時点では、着信があったメッセージを示す着信画面1の表示を行わない。
【0025】
次に、発信者番号判別部240は、携帯通信端末60から発信者番号が送信されたか否かを判別する(ステップS107)。発信者番号判別部240は、発信者番号を判別すると、その判別結果を表示シーケンス制御部250に伝え、表示シーケンス制御部250は、この時点で、着信があったことを示すメッセージと発信者番号とが示された着信画面2をディスプレイ50に表示させる(ステップS108)。
【0026】
一方、着信判別部230により着信が判別されてから一定時間を経過した場合には、たとえ発信者番号が入手可能な設定であったとしても、発信者番号判別部240は、発信者番号を入手不可能であると判定し、その判定結果を表示シーケンス制御部250へ伝える。これにより、表示シーケンス制御部250は、着信があったメッセージを示す着信画面1をディスプレイ50に表示させる(ステップS109)。一定時間は、好ましくは、
発信者番号判別部240が以前に着信信号を受け取った時点から発信者番号を受け取るまでの経過時間を記憶しておき、その最大値を用いることできる。
【0027】
図7(b)は、本実施例の着信通知方法の表示例を示している。従来の場合には、
図7(a)に示すように、着信があったことが判別された時点で着信画面1が表示され、その後、発信者番号が判別された時点で着信画面2が表示される。これに対し、本実施例では、車載用電子装置20の制御により、着信があったことが判別された時点で、着信画面1の表示は行われず(または着信画面1をスキップさせ)、その後に発信者番号が判別された時点で、着信があったメッセージと発信者番号が示された着信画面2を表示する。
【0028】
このように本実施例によれば、着信があったことおよび発信者番号とを同時に表示するようにしたので、運転者は、ディスプレイを一度見るだけで、着信が生じていること通話相手の発信者番号とを確認することができる。これにより、運転者の負担を軽減することができる。
【0029】
次に、本実施例のハンズフリー通話動作の他の例を説明する。携帯通信端末の仕様または携帯電話網の仕様によっては、そもそも発信者番号を入手できない場合がある。従って、携帯通信端末60からの仕様情報が「発信者番号通知なし」である場合には、着信通知設定部220は、発信者番号を入手することができないまたは発信者番号を入手できるか否か不明と設定する。表示シーケンス制御部250は、この設定に基づき、
図7(c)に示すように、着信画面1のスキップを行わず、着信があったことを示すメッセージをディスプレイ50に表示させる。
【0030】
また、発信者番号が入手できないあるいは入手できるか否かが不明と設定されたときでも、発信者番号判別部240は、着信判別部230が着信信号を受け取った後に、発信者番号が通知されるか否かを監視し、もし、発信者番号が通知された場合は、その旨を記憶しておき、次回に着信があったとき、着信画面1をスキップし着信画面2を表示するようにしてもよい。
【0031】
さらに発信者番号を通知する仕様の携帯通信端末であっても、通話相手である通信端末70が発信者番号の非通知設定をしている場合には、発信者番号を入手することができない。これを回避するため、表示シーケンス制御部250は、着信画面1のスキップにタイムアウト制御を行う。つまり、仮に着信通知設定部220によって「発信者番号通知有り」の設定がされていたとしても、発信者番号判別部240が、着信信号を受け取った時点からタイムアウト時間内に発信者番号を受け取ることができない場合には、表示シーケンス制御部250は、タイムアウト時間経過後に速やかに着信画面1を表示させる。好ましくは、タイムアウト時間の設定例として、発信者番号判別部240により、今までの着信信号の受け取りから発信者番号の受け取りまでの経過時間を記憶しておき、その最大値をタイムアウト時間に使用することができる。
【0032】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。第1の実施例では、携帯通信端末60が発信者番号を車載用電子装置20に送信する例を示したが、携帯通信端末によっては、通話回線網から発信者番号を受け取ると、自身が保有するデータベースから発信者番号に該当する名前を検索し、検索された名前を車載用電子装置20へ送信するものがある。
【0033】
そこで、第2の実施例では、通話相手を識別する情報として発信者番号の他に、通話相手の名前を表示する。すなわち、携帯通信端末60から着信信号が送信され、その後に、発信者番号により検索された名前情報が車載用電子装置20へ送信されるものとする。
図8に示すように、ディスプレイ50にナビゲーションによる道路地図画面が表示されていた状態で、携帯通信端末60に着信があると、この時点では、第1の実施例のときと同様に、着信画面1がスキップされまたは非表示となる。そして、携帯通信端末60から名前情報が送信されると、車載用電子装置20は、着信があったことを示すメッセージと通話相手の名前情報「特許太郎」が示された着信画面2を表示する。勿論、名前情報とともに発信者番号が携帯通信端末60から送信される場合には、着信画面2には、名前情報とともに発信者番号が示されるようにしてもよい。
【0034】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。