(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
コネクタハウジングの前半に回動自在に装着されるレバーと、該コネクタハウジングの後半に装着されて電線を導出させるリアホルダとを備え、該レバーが回動先端側にロック用の突起を有し、該リアホルダが、電線導出用の左右一対の筒状壁と、該一対の筒状壁を径方向に連結する連結壁と、該一対の筒状壁の間で該連結壁に立設された可撓性の支持板と、該支持板の上端に交差して後方に続くロック板と、該ロック板の下側で該支持板に設けられ、該突起を係合させる孔部とを有し、
前記支持板が正面視略Y字状に形成され、左右の分岐板部の間に前記孔部を有したことを特徴とするレバー嵌合式コネクタ。
【背景技術】
【0002】
図8(a)(b)は、従来のレバー嵌合式コネクタの一形態を示すものである(特許文献1参照)。
【0003】
このレバー嵌合式コネクタ71は、コネクタハウジング72の前半の矩形状のフード部72aと後半の左右一対の筒状壁72bと、フード部72aの左右の壁部に軸支された略コの字状のレバー73と、各筒状壁72bの後端部に挿着されるリアホルダ74と、左右の筒状壁72bの中央の平面壁72cの後端から後方に突出形成された係止用のフック片(係止部)75とを備え、レバー73を後方に回動して相手コネクタ(図示せず)をフード部72a内に嵌合させると同時に、レバー73の回動先端の操作壁73aの不図示の凹部をフック片75に係合させて、レバー73をロックさせるものである。
【0004】
フード部72a内に雄端子(図示せず)が収容され、雄端子は電線76に接続され、電線76は筒状壁72b内を通ってリアホルダ74内の不図示のパッキンで防水される。レバー73にはカム孔73bが設けられ、カム孔73bの入口から不図示の相手コネクタの従動ピンが挿入され、その状態でレバー73を後方へ回動させることで、相手コネクタがフード部72a内に引き込まれて、相手コネクタ内の雌端子が雄端子に接続される。
【0005】
上記以外のレバー嵌合式コネクタ(図示せず)としては、例えば特許文献
2に、例えば自動車のモータとインバータとを安全に接続するために、インタロック用の雄端子を有するスライダを備え、雄端子と相手コネクタのインタロック用の雌端子との接続により、嵌合済みの両コネクタの雄・雌両端子とそれに続く電線とに通電が行われることが記載されている。このレバー嵌合式コネクタのレバーはコネクタ嵌合状態で、回動先端の操作壁ではなく左右のアーム部をスライダのフック状の左右のレバー押え壁(係止部)でロックする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記
図8の従来のレバー嵌合式コネクタ71にあっては、レバー73の回動先端側の操作壁73aに対する係止用のフック片(係止部)75を左右一対の電線挿通用の筒状壁72bの中央の上側に配置する関係で、筒状壁72b上に設けた平面壁72cからフック片75を後方に突出させており、フック片75の突出長さには制限があるので、レバー73の長さも制限され、例えばレバー73が短い場合はコネクタ嵌合離脱時に大きな操作力を必要として、レバー73の操作性が低下し兼ねないという懸念があった。
【0008】
また、フック片75を設ける平面壁72cを左右の筒状壁72bの中央において筒状壁72bよりも高く上方に突出させるために、ロック構造が肥大化し兼ねないという懸念があった。また、レバー73の回動先端側をフック片75に係合させた際に、外力等でフック片75が下向きに撓んでレバー73のロックが不意に解除され兼ねないという懸念があった。また、レバー73の回動先端側とフック片75との係合ロックを容易に解除できることが切望されていた。
【0009】
本発明は、上記した点に鑑み、レバーの回動先端側をコネクタ本体側にロックさせるレバー嵌合式コネクタであって、レバーを長く形成してコネクタ嵌合・離脱時の操作力を低減させることができ、しかも、ロックに係わる構造を省スペース化することができ、さらに、レバーのロックを確実に行うことができると共に、ロック解除を容易に行うことのできるレバー嵌合式コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係るレバー嵌合式コネクタは、コネクタハウジングの前半に回動自在に装着されるレバーと、該コネクタハウジングの後半に装着されて電線を導出させるリアホルダとを備え、該レバーが回動先端側にロック用の突起を有し、該リアホルダが、電線導出用の左右一対の筒状壁と、該一対の筒状壁を径方向に連結する連結壁と、該一対の筒状壁の間で該連結壁に立設された可撓性の支持板と、該支持板の上端に交差して後方に続くロック板と、該ロック板の下側で該支持板に設けられ、該突起を係合させる孔部とを有し
、前記支持板が正面視略Y字状に形成され、左右の分岐板部の間に前記孔部を有したことを特徴とする。
【0011】
上記構成により、相手コネクタとの嵌合に際してレバーを後方に回動させることで、コネクタ嵌合と同時にレバーの突起がロック板の前端部を板厚方向に下向きに押圧して支持板を板厚方向に後向きに弾性的に撓ませて、支持板を支点に支持板と一体にロック板が後方へ回動し、支持板の孔部に突起が係合する。これにより、レバーがロックされ、前方(コネクタを離脱させる方向)への不意な回動が阻止される。レバーのロックを解除するには、ロック板を板厚方向に下向きに押圧することで、支持板が板厚方向に後向きに撓みつつ、支持板を支点に支持板と一体にロック板が後方へ回動し、突起から孔部が離脱する。これにより、レバーのロックが解除され、この状態でレバーを前方へ回動させて相手コネクタとの嵌合を解除する。レバーはカム孔等のカム部を有して相手コネクタの従動ピンをカム部に沿ってコネクタ嵌合・離脱方向に移動させる既存の構造のものである。
【0013】
また、支持板の幅狭の下半部と幅広の上半部(左右の分岐板部)とが左右一対の筒状壁の外周面に沿って一対の筒状壁の間の略デルタ状の空間内に大きな隙間を空けずに省スペースで収容される。支持板の特に幅狭の下半部は撓み部として作用する。
【0014】
請求項
2に係るレバー嵌合式コネクタは、請求項
1記載のレバー嵌合式コネクタにおいて、前記一対の筒状壁が前記ロック板の変位を許容する後下がりの傾斜面を有したことを特徴とする。
【0015】
上記構成により、コネクタ嵌合時にロック板がレバーの突起で下向きに押圧され、コネクタ離脱時にロック板が作業者の手指等で下向きに押圧されるが、それらの際に、ロック板が支持板を支点に筒状壁の傾斜面の上側空間内を後向きに回動しつつ押し下げられる。
【0016】
請求項
3に係るレバー嵌合式コネクタは、請求項1
又は2記載のレバー嵌合式コネクタにおいて、前記一対の筒状壁から立ち上げられた保護壁で前記ロック板の左右端部が覆われて保護されたことを特徴とする。
【0017】
上記構成により、ロック板の外部との干渉等が保護壁で阻止されて、ロック板の不意な押し下げによるレバーのロック解除が防止される。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載の発明によれば、コネクタハウジングの後部に装着されるリアホルダに、レバーの回動先端側の突起を係合させる部分(ロック板や支持板や孔部)を設けたことで、レバーのスパンを長く設定して、コネクタ嵌合・離脱時の操作力を低減させて、操作性を向上させることができる。また、リアホルダの一対の筒状壁の間の空間を有効利用して支持板を配置したり、コネクタ嵌合・離脱時に一対の筒状壁の間の空間内にロック板を下降変位させることで、ロック構造を省スペース化して、コネクタ本体をコンパクト化することができる。また、レバーのロック状態でレバーにロック解除方向の力が作用しても、レバーの突起がロック板をロック解除とは反対方向に持ち上げるから、不意なロック解除が起こらず、ロックの信頼性が高まる。また、レバーのロックを解除する際に、ロック板をレバーのロック方向と同じ方向に押圧すればよいので、ロック解除を容易に行うことができる。
【0019】
また、リアホルダの一対の筒状壁の外周面に沿って一対の筒状壁の間の略デルタ状の空間内に略Y字状の支持板を省スペースで収容することで、ロック構造を一層省スペース化し、コネクタ本体を一層コンパクト化することができる。
【0020】
請求項
2記載の発明によれば、レバーによるコネクタ嵌合・離脱操作の際に、ロック板を傾斜面に沿って一対の筒状壁の間に食い込ませるように押し下げることで、ロック構造を一層省スペース化し、コネクタ本体を一層コンパクト化することができる。
【0021】
請求項
3記載の発明によれば、ロック板の外部との干渉等を保護壁で阻止することで、ロック板の不意な押し下げによるレバーのロック解除を防ぐことができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1〜
図7は、本発明に係るレバー嵌合式コネクタの一実施形態を示すものである。
【0024】
図1の如く、このレバー嵌合式コネクタ1は、相手コネクタ2との初期嵌合(略未嵌合)状態において、レバー3の回動先端部3aが起立し且つ相手コネクタ2側に少し傾倒し、レバー3の回動先端部3aはロック用の突起4(
図4)を有し、レバー3は絶縁樹脂製のコネクタハウジング5の軸部6に回動自在に連結され、コネクタハウジング5の後部に合成樹脂製のリアホルダ7が装着され、リアホルダ7に、矢印A方向のレバー回動時の突起4を乗り越えるロック板8(
図5)と、乗り越え方向に位置する係合用の孔部9(
図6)とが設けられた構成を備えるものである。
【0025】
図1において、相手コネクタ2の絶縁性のコネクタハウジング10の先端部がレバー嵌合式コネクタ1のコネクタハウジング5のフード部13の前端部内に進入し、相手コネクタ2の円形の従動ピン11がレバー3のカム孔(カム部)12の入口12aに挿入されている。従動ピン11の後方において従動ピン11と同一水平面上にレバー回転支持用の軸部6が位置している。軸部6はコネクタハウジング5の前半においてフード部13の左右の両側壁(符号13で代用)の外面に水平に突設されている。カム孔12は、入口12aから下向きに湾曲した湾曲部12bと、湾曲部12bの終端側の真直部12cとで成る。カム孔12に代えてカム溝(図示せず)を設けることも可能である。真直部12cの上方近傍に軸部6が位置する。レバー3の回動先端の杆状の操作部(符号3aで代用)はコネクタハウジング5の上方に位置する。
【0026】
本例のレバー嵌合式コネクタ1は安全回路断続用のインタロックコネクタ14を上側に有したものであり、インタロックコネクタ14は相手コネクタ2のインタロックコネクタ15に嵌合接続される。インタロックコネクタ14,15については説明を省略する。本例のレバー3とそのロック構造は、インタロックコネクタ14を有さないコネクタ(図示せず)においても適用可能なものである。明細書ではインタロックコネクタ14を一体の小コネクタとして説明する。
図1で符号16は小コネクタ14から後方に導出された細径の電線を示す。
【0027】
相手コネクタ2はコネクタハウジング10の前後方向中間部にフランジ17を有し、フランジ17は上部に、小コネクタ15に対する水平なガイド壁18を有すると共に、周方向の要所に固定用のボルト挿通孔19(
図7)を有している。フランジ17は例えば自動車のモータないしインバータ等といった機器(図示せず)に直付けされる。なお、明細書で上下前後左右の方向性は説明の便宜上のものであり、必ずしもコネクタ1の取付方向と一致するとは限らない。
【0028】
コネクタ1のコネクタハウジング5は厚幅の前半部5aと薄幅の後半部5bとを有し、前半の略矩形ないし長円状のフード部13内に左右一対の例えば雄端子(図示せず)が並列に収容され、各雄端子に加締接続された左右の各電線20が、コネクタハウジング5の後半の左右一対の筒状壁21と、筒状壁21の後半外側に装着されたリアホルダ7を経て外部(後方)に導出されている。電線20は、コネクタハウジング5内の導電金属製のシールドシェル(図示せず)に導電金属製の編組(図示せず)を接続したシールド電線である。
【0029】
コネクタハウジング5の後半の筒状壁21の内側において電線20に防水ゴム栓(図示せず)が外挿され、防水ゴム栓の内周リップが電線20の外周面に密着し、防水ゴム栓の外周リップが筒状壁21の内周面に密着した状態で、リアホルダ7の後端壁22で防水ゴム栓の後抜けが阻止されている。
【0030】
相手コネクタ2は、コネクタハウジング10内に電線23付きの例えば雌端子(図示せず)を有し、フランジ17の前面にシールドシェル24の板部を有し、コネクタハウジング10の前半の筒状部の外周に防水パッキン25を有する。本例ではレバー3付きのコネクタ1をレバー嵌合式コネクタと称しているが、相手コネクタ2を含めてレバー嵌合式コネクタと称する場合もある。
【0031】
コネクタ1のリアホルダ7は上下に分割可能であり、上半部7aと下半部7bとは係止手段(係止爪26と係合枠片27
a)で相互に固定され、上半部7aは前方上側に延長された上側部分7cを一体に有する。リアホルダ7は不図示の係止手段でコネクタハウジング5の後半部5bに係止(固定)される。リアホルダ7の下半部7bをコネクタハウジング5の後半部5bに一体に形成することも可能である(この場合、リアホルダ7は上半部7aのみとなる)。
【0032】
リアホルダ7の上部後端側に水平なロック板8(
図5)が一体に設けられている。ロック板8の前端8aはリアホルダ7の筒状壁27の前後方向中間に位置し、ロック板8の後端8bは筒状壁27の後端22から後方に突出している。ロック板8は左右一対の垂直な保護壁28(
図5)の内側に配置されている。レバー3やリアホルダ7の詳細については
図4〜
図6で詳述する。
【0033】
図1のコネクタ1の初期嵌合状態からレバー3を矢印Aの如く後方に(反時計回りに)回動させることで、
図2の如く、レバー3のカム孔12とコネクタハウジング5の水平なガイド孔29とに沿って相手コネクタ2の従動ピン11がコネクタ嵌合方向に引き込まれて(実際には相手コネクタ2は固定式なのでコネクタ1がコネクタ嵌合方向に引き込まれて)、
図3の如く、カム孔12の下端側の短い真直部12cに従動ピン11が位置すると同時に、レバー3の回動先端側の部分3aが後向きに略水平に傾倒し、回動先端側の突起4がリアホルダ7のロック板8を略下向きに変位させつつロック板8の下側の孔部9に進入係合する。この状態で両コネクタ1,2は完全に嵌合接続されている。
【0034】
図2はコネクタ1,2の嵌合途中の状態であり、
図3はコネクタ1,2の完全嵌合状態である。
図3の状態からコネクタ1,2の嵌合を解除する(コネクタを離脱させる)には、ロック板8を手指で押し下げることで(孔部9はロック板8と一体に下降する)、レバー3の突起4を孔部9から上向きに離脱させ、レバー3を矢印Bの如く前方(時計回り)に回動させて、カム孔12と従動ピン11の作用で両コネクタ1,2を前後に離間させる。インタロック用の小コネクタ14の操作は従来同様であり、予め小コネクタ14の電気的接続を解除して、両コネクタ1,2のメインの電線20,23の通電を停止させた状態で、レバー3の矢印B方向(コネクタを離脱させる方向)の回動を行う。
【0035】
図4はレバー3の詳細構造を示すものである。レバー3は、左右一対の垂直なアーム板30と、両アーム板30を連結する水平な杆状の操作部31とを備えている。各アーム板30にカム孔12が設けられると共に、カム孔12の入口12aとは反対方向に軸支用の円孔32が設けられ、円孔32の近傍にカム孔12の終端12cが位置し、カム孔12の入口12aは円孔32から遠く離間している。カム孔12の入口12aは枠片33で連結補強されている。
【0036】
図4のレバー3は
図1とは前後反転させている。矢印Aはコネクタ嵌合のための回動方向である。アーム板30の内側面には例えば
図1のコネクタ未嵌合時のレバー3を起立させた状態でコネクタハウジング5に係止させるための可撓性のロック片34が設けられている。
【0037】
レバー3の操作部31の回動先端3a側の壁面(符号31で代用)の中央に凹部35が設けられ、凹部35は後端側すなわちレバー3をコネクタ嵌合のために回す側において切欠され(切欠部を符号35aで示す)、左右と前側の三方が垂直な各壁面35bで囲まれている。凹部35の底壁(符号35で代用)は後方に略台形状に突出延長され、その突出部35cにロック用の突起4が垂直に立設されている。突起4は左右方向に横長で板状(矩形状)に形成され、突起4の突出高さは凹部35の深さに略等しい。
【0038】
図5〜
図6は、リアホルダ7の詳細構造を示すものである。
図5〜
図6は
図1のリアホルダ7の上半部7aのみを示し、下半部7bは図示を省略している(コネクタハウジング5に一体に下半部7bを設けた場合はこの限りでない)。
【0039】
図5の如く、リアホルダ7は、左右一対の縦断面半円状の半割の筒状壁すなわち半円筒壁27と、一対の半円筒壁27の内側下端部を径方向に連結する水平な連結壁36と、各半円筒壁27の上部(頂部よりも内側)に立ち上げ形成された略逆L字状の左右一対の保護壁28と、一対の保護壁28の間に下降自在に配置された水平なロック板8と、各半円筒壁27の下部外面から垂下形成された係止爪26と、各半円筒壁27の前端からL字状と斜め上向きの各連結壁37を介して前方上側に延長配置された上側部分7cとを備えている。
【0040】
各半円筒壁27は頂部に細長矩形状の孔部38を有し、孔部38には例えばコネクタハウジング5(
図1)の後半の筒状壁21の外周の係止突起(図示せず)が係合する。各半円筒壁27は後端にストッパ壁である半環状壁22を一体に有し、半環状壁22は半割(半円状)の電線挿通孔(溝)39を有する。水平な連結壁36は半円筒壁27の前端から半環状壁22の手前までの間に配置されている。
【0041】
各保護壁28は左右対称に配置され、半円筒壁27から立ち上げられた垂直壁部28aと、垂直壁部28aから内向きに直交した上側の水平壁部28bとで成る。ロック板8の下側(垂直壁部28aの内側)において半円筒壁27の外面は矩形状に切欠されて後下がりに傾斜した傾斜面40となっている。
【0042】
リアホルダ7の上側部分7cは、中央のアーチ状の電線保護壁41と、保護壁41の左右両側に続く水平な壁部42とで成り、保護壁41は小コネクタ14(
図1)から導出された細径の電線16を内側に収容する。
【0043】
図6の如く、左右一対の半円筒壁27の間で下側の水平な連結壁36から略Y字状の可撓性の支持板43が垂直に立ち上げ形成され、支持板43の上端は水平なロック板8の前端に直交して一体に続いている。支持板43は、連結壁36から立ち上げられた一枚の下半の起立板部43aと、起立板部43aから左右に分岐して外向き傾斜状に立ち上げられた上半の一対の分岐板部43bとで成る。
【0044】
起立板部43aの下半部分43cは拡幅されて左右の半円筒壁27の外面に続き、起立板部43aの上半部分は幅狭に括れて、上側に向かうにつれて漸次左右方向に拡幅した一対の分岐板部43bに続き、一対の分岐板部43bの間に略逆台形状のロック用の孔部9が形成され、孔部9の上端はロック板8の下面と同一水平面に位置し、一対の分岐板部43bの上端はロック板8の左右方向幅と略同じ幅に拡幅されている。
【0045】
支持板43の後面には左右一対の垂直な補強用のリブ44が一体に設けられ、リブ44の下端は連結壁36の上面に一体に直交して続いている。孔部9の左右両側においてロック板8の下面に補強用のリブ45が設けられ、リブ45の前端は支持板43に直交して一体に続いている。ロック板8の上面と保護壁28の上側の水平部28bとの間に狭い隙間が設けられ、ロック板8の下面と半円筒壁27の傾斜外面40との間にロック板変位(移動)用の広い隙間46が設けられている。
【0046】
ロック板8は支持板43の上端を支点に下向きに回動変位可能で、支持板43は下端を支点にロック板8と共に後方にしなり(弾性的にしなやかに撓み)可能である。各リブ44,45は撓み強度を増すためのものであり、必須なものではない。保護壁28はロック板8の左右端部8cを覆って外部との干渉から保護している。
【0047】
左右の半円筒壁27の間の下半側の狭いスペース47aに支持板43の幅狭の下半の起立板部43aが配置され、左右の半円筒壁27の間の上半側の広いスペース47bに、各半円筒壁27の円弧状の外周面に沿って支持板43の上半の分岐板部43bが配置され、分岐板部43bの外側端は半円筒壁27の円弧状の外周面に近接して位置している。このように、左右の半円筒壁27の間の略逆三角形状の空間(谷部)47を有効利用して、支持板43を立設すると共にロック板8を下向きに変位可能としたことで、レバー3のロック構造が省スペース化されている。
【0048】
図7は、レバー3を後方に回動操作して両コネクタ1,2を完全嵌合させると共に、レバー3の回動先端側の突起4をリアホルダ7のロック板8の下側の孔部9に係合ロックさせた状態を示すものである。
図7は例えば
図6の左右方向中央から縦断面とした図である。このため、コネクタハウジング5内の左右の端子は図示されていない。
図7は
図3に対応する。
【0049】
レバー3の操作壁31における突起4の上側の凹部35の下半部分にロック板8の前端部が進入係合している。符号28は保護壁を示す(保護壁28は凹部35に係合していない)。ロック板8の下側に半円筒壁27の上側の後下がりの傾斜面40が対向して位置している。孔部9は支持板43の上部に位置し、孔部9の上側にロック板8が位置している。
【0050】
突起4は先端に下向きの傾斜面4aを有している。支持板43の垂直な後面にリブ44が側面視で縦長三角形状に配置されている。支持板43は下側の連結壁36に直交して続いている。支持板43はロック板8よりも薄く形成されている。突起4は支持板43の厚みよりも長く突出形成されている。
【0051】
前記
図2の如くレバー3をコネクタ嵌合させる方向(矢印A方向)に回動させて
図7のレバーロック状態を得る際に、先ずレバー3の突起4がロック板8の上面に当たり、ロック板8の前端部8aが板厚方向に下向きに押圧され、その押圧力で支持板43が板厚方向に後向きに反るように撓みつつ、支持板43を支点にロック板8が後方に回動し、突起4がロック板8を乗り越えて支持板43の孔部9に進入し、同時にロック板8と支持板43が一体に復元して、孔部9内に突起4がしっかりと貫通係合し、突起4の上面がロック板8の下面に当接して、確実なレバーロックを行う。
【0052】
図7の状態からレバー3のロックを解除するには、作業者等が手指等でロック板8を下向きに押圧することで、支持板43が後方に反るように撓みつつ、支持板43の下端側を支点にロック板8が後方に回動し、固定側の突起4が孔部9から外れ(離脱し)、その状態で作業者がレバー3を矢印B方向に引き上げる(前方に時計回りに回動させる)ことで、簡単にロック解除が行われる。半円筒壁27の後下がりの傾斜面40はロック板8の後方への回動を許容する。傾斜面40の上側の切欠された空間40aはロック板逃がし空間として作用する。「逃がし」とは干渉防止の意味である。
【0053】
レバー3の回動先端部すなわち突起4をロックさせることで、コネクタ嵌合時のロックを確実に行うことができると共に、ロック解除を簡単に行うことができる。また、ロック板8を押す方向(矢印A方向)をレバーロック方向と一致させたことで、低荷重でロック解除を容易に行うことができると共に、ロック時に高い保持力を発揮させることができる。
【0054】
また、コネクタ1の最後部であるリアホルダ7にロック板8や孔部9を設け、レバー3の回動先端に突起4を設けたことで、レバー3のアーム板30の回動スパンを長く設定して(操作部31を軸部6から遠く離間させて)、コネクタ嵌合・離脱時のレバー3の回動操作力を低減させる(操作性を向上させる)ことができる。また、コネクタハウジング5ではなくリアホルダ7にロック板8や支持板43を一体に設けたことで、ロック板8や支持板43や孔部9の樹脂成形を低コストで容易に且つ精度良く確実に行うことができる。
【0055】
図7の如く、リアホルダ7の上半の半円筒壁27は下半の半円筒壁27に接合(合体)して円筒状の筒状壁27をなし、リアホルダ7の上側部分7cのアーチ状の保護壁41内を小コネクタ14の電線16が通り、電線16は水平な連結壁36の下側において下半の半円筒壁27内の水平な溝空間48に挿通案内されて外部(後方)に導出されている。
【0056】
コネクタハウジング5の前半のフード部13内に相手コネクタ2のコネクタハウジング10が挿入され、両小コネクタ14,15は相互に嵌合し、各端子(図示せず)は相互に接続されている。
図7で符号20,23は主回路側の電線、19はフランジ17のボルト挿通孔、25は機器側に密着する防水パッキンをそれぞれ示している。コネクタハウジング5と端子とリアホルダ7との組立体をレバー3に対してコネクタ本体と呼称する。