(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、物理量、状態量又は部材等を参照する記号又は符号を付記することによって該記号又は符号に対応する情報、物理量、状態量又は部材等の名称を省略又は略記することがある。例えば、RAWズーム倍率を記号ZF
RAWによって表す場合、RAWズーム倍率ZF
RAWを、例えば倍率ZF
RAW又は単にZF
RAWに表記する場合もある。
【0024】
図1は、本発明の実施形態に係る撮像装置1の全体ブロック図である。撮像装置1は、符号11〜28によって参照される各部位を有する。撮像装置1は、デジタルビデオカメラであり、動画像及び静止画像を撮影可能となっていると共に動画像撮影中に静止画像を同時に撮影することも可能となっている。撮像装置1内の各部位は、バス24又は25を介して、各部位間の信号(データ)のやり取りを行う。尚、表示部27及び/又はスピーカ28は、撮像装置1の外部装置(不図示)に設けられたものである、と解釈することも可能である。
【0025】
撮像部11は、撮像素子を用いて被写体の撮影を行う。
図2は、撮像部11の内部構成図である。撮像部11は、光学系35と、絞り32と、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどから成る撮像素子(固体撮像素子)33と、光学系35や絞り32を駆動制御するためのドライバ34と、を有している。光学系35は、撮像部11の画角を調節するためのズームレンズ30及び焦点を合わせるためのフォーカスレンズ31を含む複数枚のレンズから形成される。ズームレンズ30及びフォーカスレンズ31は光軸方向に移動可能である。CPU23からの制御信号に基づき、光学系35内におけるズームレンズ30及びフォーカスレンズ31の位置並びに絞り32の開度が制御される。
【0026】
撮像素子33は、水平及び垂直方向に複数の受光画素が配列されることによって形成される。撮像素子33の各受光画素は、光学系35及び絞り32を介して入射した被写体の光学像を光電変換し、該光電変換によって得られた電気信号をAFE12(Analog Front End)に出力する。
【0027】
AFE12は、撮像素子33(各受光画素)から出力されるアナログ信号を増幅し、増幅されたアナログ信号をデジタル信号に変換してから映像信号処理部13に出力する。AFE12における信号増幅の増幅度はCPU(Central Processing Unit)23によって制御される。映像信号処理部13は、AFE12の出力信号によって表される画像に対して必要な画像処理を施し、画像処理後の画像についての映像信号を生成する。マイク14は、撮像装置1の周辺音をアナログの音声信号に変換し、音声信号処理部15は、このアナログの音声信号をデジタルの音声信号に変換する。
【0028】
圧縮処理部16は、映像信号処理部13からの映像信号及び音声信号処理部15からの音声信号を、所定の圧縮方式を用いて圧縮する。内部メモリ17は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などから成り、各種のデータを一時的に保存する。記録媒体としての外部メモリ18は、半導体メモリや磁気ディスクなどの不揮発性メモリであり、圧縮処理部16による圧縮後の映像信号及び音声信号を記録する。
【0029】
伸張処理部19は、外部メモリ18から読み出された圧縮された映像信号及び音声信号を伸張する。伸張処理部19による伸張後の映像信号又は映像信号処理部13からの映像信号は、表示処理部20を介して、液晶ディスプレイ等から成る表示部27に送られて画像として表示される。また、伸張処理部19による伸張後の音声信号は、音声出力回路21を介してスピーカ28に送られて音として出力される。
【0030】
TG(タイミングジェネレータ)22は、撮像装置1全体における各動作のタイミングを制御するためのタイミング制御信号を生成し、生成したタイミング制御信号を撮像装置1内の各部に与える。タイミング制御信号は、垂直同期信号Vsyncと水平同期信号Hsyncを含む。CPU23は、撮像装置1内の各部位の動作を統括的に制御する。操作部26は、動画像の撮影及び記録の開始/終了を指示するための録画ボタン26a、静止画像の撮影及び記録を指示するためのシャッタボタン26b、並びに、ズーム倍率を指定するためのズームボタン26c等を有し、ユーザによる各種操作を受け付ける。操作部26に対する操作内容はCPU23に伝達される。操作部26はタッチパネルを含んでいても良い。
【0031】
撮像装置1の動作モードには、画像(静止画像又は動画像)の撮影及び記録が可能な撮影モードと、外部メモリ18に記録された画像(静止画像又は動画像)を表示部27に再生表示する再生モードと、が含まれる。操作部26に対する操作に応じて、各モード間の遷移は実施される。以下の説明は、特に述べない限り、撮影モードにおける撮像装置1の動作説明である。
【0032】
撮影モードでは、所定のフレーム周期にて周期的に被写体の撮影が行われ、被写体の撮影画像が順次取得される。画像を表す映像信号を画像データとも呼ぶ。或る画素に対する画像データを、画素信号と呼ぶこともある。或る画像の大きさ又は画像領域の大きさを、画像サイズとも呼ぶ。注目画像又は注目画像領域の画像サイズを、注目画像を形成する画素の数又は注目画像領域に属する画素の数にて表現することができる。
【0033】
尚、本明細書では、或る画像の画像データのことを単に画像と言うこともある。従って、例えば、或る画像の生成、取得、記録、加工、変形、編集又は保存とは、当該画像の画像データの生成、取得、記録、加工、変形、編集又は保存を意味する。また、画像データの圧縮及び伸張は、本発明の本質とは関係ないため、以下の説明では、画像データの圧縮及び伸張の存在を無視する。従って例えば、或る画像についての圧縮された画像データを記録することを、単に、画像データを記録する又は画像を記録すると表現する。
【0034】
図3(a)は、撮像素子33の有効画素領域33
A内の受光画素配列を示している。
図3(b)に示す如く、撮像素子33の有効画素領域33
Aは長方形形状を有しており、その長方形の一頂点を撮像素子33の原点と捉える。原点が有効画素領域33
Aの左上隅に位置するものとする。
図3(b)に示す如く、撮像素子33の水平方向における有効画素数M
Hと垂直方向における有効画素数M
Vとの積(M
H×M
V)に相当する個数の受光画素が二次元配列されることによって、有効画素領域33
Aが形成される。M
H及びM
Vは、2以上の整数であり、例えば、数100〜数1000の範囲内の値をとる。以下では、説明の具体化のため、M
H=4000且つM
V=2000、であるとする。また、1000000を1メガとも呼ぶ。従って、(4000×2000)は8メガとも称される。
【0035】
有効画素領域33
A内の各受光画素をP
S[x,y]にて表す。ここで、x及びyは整数である。撮像素子33において、上下方向は垂直方向に対応し、左右方向は水平方向に対応する。撮像素子33において、受光画素P
S[x,y]の右側、左側、上側、下側に隣接する受光画素は、夫々、受光画素P
S[x+1,y]、P
S[x−1,y]、P
S[x,y−1]、P
S[x,y+1]である。各受光画素は、光学系35及び絞り32を介して入射した被写体の光学像を光電変換し、該光電変換によって得られた電気信号を受光画素信号として出力する。
【0036】
撮像装置1は、1枚のイメージセンサのみを用いる、いわゆる単板方式を採用している。即ち、撮像素子33は、単板方式の撮像素子である。
図4は、撮像素子33の各受光画素の前面に配置された色フィルタの配列を示している。
図4に示される配列は、一般に、ベイヤー配列と呼ばれる。色フィルタには、光の赤成分のみを透過させる赤フィルタと、光の緑成分のみを透過させる緑フィルタと、光の青成分のみを透過させる青フィルタと、がある。赤フィルタは、受光画素P
S[2n
A,2n
B−1]の前面に配置され、青フィルタは、受光画素P
S[2n
A−1,2n
B]の前面に配置され、緑フィルタは、受光画素P
S[2n
A−1,2n
B−1]又はP
S[2n
A,2n
B]の前面に配置される。ここで、n
A及びn
Bは整数である。尚、
図4並びに後述の
図13(a)等において、赤フィルタに対応する部位をRにて表し、緑フィルタに対応する部位をGにて表し、青フィルタに対応する部位をBにて表す。
【0037】
赤フィルタ、緑フィルタ、青フィルタが前面に配置された受光画素を、夫々、赤受光画素、緑受光画素、青受光画素とも呼ぶ。赤受光画素、緑受光画素及び青受光画素は、夫々、光学系の入射光の、赤成分、緑成分及び青成分にのみ反応する。各受光画素は、自身の前面に配置された色フィルタを介して自身に入射した光を光電変換によって電気信号に変換し、得られた電気信号を受光画素信号として出力する。
【0038】
各受光画素信号はAFE12によって増幅されると共にデジタル化され、増幅及びデジタル化された各受光画素信号はRAWデータとしてAFE12から出力される。但し、以下の説明では、説明の簡略化上、AFE12における信号デジタル化及び信号増幅の存在を無視し、受光画素から出力される受光画素信号そのものもRAWデータと呼ぶ。
【0039】
図5には、撮像素子33の有効画素領域33
A内に抽出枠EFが設定される様子が示されている。抽出枠EFは矩形枠であって、抽出枠EFのアスペクト比は有効画素領域33
Aのアスペクト比と等しく且つ抽出枠EFの中心位置と有効画素領域33
Aの中心位置は一致しているものとする。そして、抽出枠EF内の受光画素信号から形成される二次元画像、即ち、抽出枠EF内のRAWデータを画像データとして持つ二次元画像を、RAW画像と呼ぶ。RAW画像を抽出画像と呼ぶこともできる。また、説明の具体化及び簡略化のため、本実施形態で述べられる任意の画像のアスペクト比は抽出枠EFのアスペクト比と同じであるとする。尚、抽出枠EF内の領域を抽出領域(又は抽出対象領域)と呼ぶことができる。従って、本実施形態における抽出枠を抽出領域(又は抽出対象領域)と読み替えても良く、後述の抽出枠設定部を抽出領域設定部又は抽出対象領域設定部と読み替えても良い。抽出枠の設定又は変化等は抽出領域の設定又は変化等と同義であり、抽出枠の大きさの設定又は変化等は抽出領域の大きさの設定又は変化等と同義である。
【0040】
本実施形態では、抽出枠EFの大きさ変化によって画像サイズ変化を実現するRAWズームという概念が導入される。RAWズームによる画像サイズの変化の度合いをRAWズーム倍率と呼ぶ。
図6は、RAWズームに関与する部位のブロック図である。例えば、抽出枠設定部50を
図1のCPU23にて実現することができ、色補間処理部51及び解像度変換部52を
図1の映像信号処理部13に設けておくことが可能である。
【0041】
抽出枠設定部50には、RAWズーム倍率が入力される。詳細は後述されるが、ユーザ操作に基づいてRAWズーム倍率が設定される。ユーザ操作とは、ユーザが操作部26に対して成す操作を指す。抽出枠設定部50は、RAWズーム倍率に従って抽出枠EFの大きさを設定する。抽出枠EFに属する受光画素の個数を(D
IN×1000000)で表す(D
INは正の実数)。抽出枠設定部50は、読み出し制御部としても機能し、抽出枠EFに属するD
INメガ分の受光画素からD
INメガ分のRAWデータを読み出す。読み出されたD
INメガ分のRAWデータは色補間処理部51に与えられる。換言すれば、D
INメガ分のRAWデータを画像データとして持つRAW画像が色補間処理部51に与えられる。
【0042】
1つのRAWデータは、赤、緑及び青の何れか1つについての色信号である。従って、RAWデータによって表される二次元画像には、赤の色信号が色フィルタ配列に従ってモザイク状に配置される(緑及び青についても同様)。色補間処理部51は、D
INメガ分のRAWデータに対して色補間処理を実行することにより、D
INメガ個の画素から成る色補間画像(換言すれば、D
INメガの画像サイズを有する色補間画像)を生成する。周知のデモザイキング処理を色補間処理として利用することができる。色補間画像の1つ1つの画素には、互いに異なる色信号としてのR、G及びB信号が割り当てられる、或いは、輝度信号Yと色差信号U及びVが割り当てられる。以下の説明では、色補間処理によってRAWデータからR、G及びB信号が生成されるものとし、R、G及びB信号によって表現される画像データをRGBデータとも呼ぶ。そうすると、色補間処理部51によって生成される色補間画像は、D
INメガ分のRGBデータを有する。D
INメガ分のRGBデータは、D
INメガ分のR信号とD
INメガ分のG信号とD
INメガ分のB信号とから成る(後述のD
OUT分のRGBデータ又はYUVデータ等も同様)。
【0043】
解像度変換部52は、色補間画像の画像サイズをD
INメガからD
OUTメガに変換する解像度変換を行い、解像度変換後の色補間画像(即ち、D
OUTメガの画像サイズを有する色補間画像)を変換結果画像として生成する。解像度変換は、公知の再標本化によって実現される。解像度変換部52にて生成される変換結果画像は、D
OUTメガ個の画素から成り、D
OUTメガ分のRGBデータを有する。D
OUTは正の実数であって、D
IN≧D
OUTを満たす。D
IN=D
OUTである場合、解像度変換部52にて生成される変換結果画像は、色補間処理部51にて生成される色補間画像と一致する。
【0044】
解像度変換部52には、D
OUTの値が入力される。ユーザは、操作部26に対する所定操作によってD
OUTの値を指定することができる。或いは、D
OUTの値は固定値であっても良い。以下の説明では、特に断りなき限り、D
OUT=2であるとする。そうすると、D
INは2以上且つ8以下である(上述したように、M
H=4000且つM
V=2000であることを想定しているため;
図3(b)参照))。
【0045】
図7(a)及び(b)を参照して、RAWズーム倍率と抽出枠EFとの関係等を説明する。
図7(a)、(b)における破線矩形枠EF
311、EF
321は、夫々、RAWズーム倍率が0.5倍、1.0倍の時における抽出枠EFである。
図7(a)には、RAWズーム倍率が0.5倍の時におけるRAW画像312及び変換結果画像313が示されており、
図7(b)には、RAWズーム倍率が1倍の時におけるRAW画像322及び変換結果画像323が示されている。
【0046】
抽出枠設定部50は、
定義式:(RAWズーム倍率)
=√((変換結果画像の画像サイズ)/(抽出枠EFの画像サイズ))
=√((D
OUTメガ)/(D
INメガ))
=√(D
OUT/D
IN)
に従って、RAWズーム倍率から抽出枠EFの画像サイズ(大きさ)を決定する。即ち、(D
OUT/D
IN)の正の平方根がRAWズーム倍率と一致(又は略一致)するように、抽出枠EFの大きさ(換言すれば、抽出枠EFの画像サイズ)を決定する。本実施形態では、D
OUT=2であることを想定しているため、RAWズーム倍率の可変範囲は0.5倍以上且つ1倍以下の範囲である。
【0047】
RAWズーム倍率が0.5倍の時には、上記定義式より抽出枠EFの画像サイズは8メガとなるため、
図7(a)に示す如く、有効画素領域33
Aと同じ大きさを有する抽出枠EF
311が設定され、結果、8メガの画像サイズを有するRAW画像312が読み出される。この場合、解像度変換部52は、RAW画像312に基づく8メガの画像サイズを有する色補間画像(不図示)を水平及び垂直方向に夫々1/2に縮小し、これによって2メガの画像サイズを有する変換結果画像313を生成する。尚、
図7(a)では、図示の便宜上、抽出枠EF
311が有効画素領域33
Aの外枠よりも若干小さく示されている。
【0048】
RAWズーム倍率が1倍の時には、上記定義式より抽出枠EFの画像サイズは2メガとなるため、
図7(b)に示す如く、有効画素領域33
A内に2メガの画像サイズを有する抽出枠EF
321が設定され、結果、2メガの画像サイズを有するRAW画像322が読み出される。この場合、解像度変換部72は、RAW画像322に基づく2メガの画像サイズを有する色補間画像(不図示)を、変換結果画像323として出力する。
【0049】
上記定義式並びに
図7(a)及び(b)からも理解されるように、RAWズーム倍率が増加するに伴って抽出枠EFが小さくなって、変換結果画像の画角が小さくなる。即ち、RAWズーム倍率を上げることで、画質劣化を伴うことなく、光学ズーム倍率が上がったかのような効果が得られる。変換結果画像の画角とは、変換結果画像にて表現される撮影空間の範囲を角度にて表したものである(変換結果画像以外の任意の画像の画角、及び、有効画素領域33
A上に結像する画像の画角についても同様)。
【0050】
RAWズーム倍率に基づく解像度変換によって画像サイズが低減されると、その分だけ、後段の信号処理(YUV変換や信号圧縮など)における演算負荷が軽減される。よって、信号処理についての時間的制約が比較的厳しい動画像の撮影及び記録時において、RAWズームの利用は特に有益である。
【0051】
撮像装置1では、上述のRAWズームに加えて、光学ズーム及び電子ズームを成すこともできる。
図8は、撮影によって取得されるべき画像の画角調整に特に関与する部位のブロック図である。
図8に示される全ての部位を撮像装置1に設けておくことができる。ズーム主制御部60は、例えば、CPU23によって実現される。光学ズーム処理部61は、例えば、
図2のドライバ34及びズームレンズ30によって実現される。YUV変換部53及び電子ズーム処理部54は、例えば、
図1の映像信号処理部13内に設けられる。
【0052】
ユーザによる、ズームボタン26cに対する操作をズーム操作と呼ぶ。ズーム主制御部60は、ズーム操作に従って総合ズーム倍率を決定し、該総合ズーム倍率から光学ズーム倍率、RAWズーム倍率及び電子ズーム倍率を設定する。抽出枠設定部50は、ズーム主制御部60にて設定されたRAWズーム倍率に従い、抽出枠EFの大きさを設定する。
【0053】
光学ズーム処理部61は、有効画素領域33
A上に形成される画像の画角がズーム主制御部60にて設定された光学ズーム倍率に従った画角となるようにズームレンズ30の位置を制御する。即ち、光学ズーム処理部61は、光学ズーム倍率に従ってズームレンズ30の位置を制御することにより、撮像素子33の有効画素領域33
A上に形成される画像の画角を設定する。光学ズーム倍率が或る倍率を起点としてk
C倍になれば、有効画素領域33
A上に形成される画像の画角は、撮像素子33の水平及び垂直方向の夫々において、1/k
C倍となる(k
Cは正の数であって、例えば2倍)。
【0054】
YUV変換部53は、解像度変換部52にて得られた変換結果画像の画像データのデータ形式をYUV変換によってYUV形式に変換することでYUV画像を生成する。即ち、変換結果画像のR、G及びB信号を輝度信号Yと色差信号U及びVに変換し、これによって得られた輝度信号Yと色差信号U及びVを有するYUV画像を生成する。輝度信号Yと色差信号U及びVによって表現される画像データをYUVデータとも呼ぶ。そうすると、YUV変換部53にて生成されるYUV画像は、D
OUTメガ分のYUVデータを有する。
【0055】
電子ズーム処理部54は、ズーム主制御部60にて設定された電子ズーム倍率に従う電子ズーム処理をYUV画像に施すことで最終結果画像を生成する。電子ズーム処理とは、
図9に示す如く電子ズーム倍率に応じた大きさを有する切り出し枠をYUV画像の画像領域内に設定し、YUV画像上における切り出し枠内の画像(以下、切り出し画像という)に対して画像サイズ拡大処理を施して得た画像を最終結果画像として生成する処理を指す。電子ズーム倍率が1倍のとき、切り出し枠の画像サイズはYUV画像の画像サイズと一致し(従って、最終結果画像はYUV画像と一致し)、電子ズーム倍率が増大するにつれて切り出し枠の画像サイズは小さくなる。最終結果画像の画像サイズを、YUV画像の画像サイズと一致させることができる。最終結果画像の画像データを、表示部27に表示することができると共に外部メモリ18に記録することができる。
【0056】
総合ズーム倍率、光学ズーム倍率、電子ズーム倍率及びRAWズーム倍率を、夫々、記号ZF
TOT、ZF
OPT、ZF
EL及びZF
RAWにて表す。そうすると、
ZF
TOT=ZF
OPT×ZF
EL×ZF
RAW×2
である。従って、最終結果画像の画角は、総合ズーム倍率が増大するにつれて減少する。
【0057】
本実施形態では、光学ズーム倍率及び電子ズーム倍率の夫々の可変範囲が1倍以上且つ10倍以下の範囲であるとする。そうすると、総合ズーム倍率の可変範囲は1倍以上且つ200倍以下の範囲になる。
図10に、倍率ZF
TOT、ZF
OPT、ZF
EL及びZF
RAWの関係例を示す。実線折れ線340
OPTは倍率ZF
TOT及びZF
OPT間の関係を示し、実線折れ線340
ELは倍率ZF
TOT及びZF
EL間の関係を示し、破線折れ線340
RAWは倍率ZF
TOT及びZF
RAW間の関係を示している。
1≦ZF
TOT≦20を満たす範囲内においては、倍率ZF
ELは1倍に固定される一方で、倍率ZF
TOTが1倍から20倍へと増大するにつれて、倍率ZF
OPTが1倍から10倍へと増大すると共に倍率ZF
RAWが0.5倍から1倍へと増大する。
20≦ZF
TOT≦200を満たす範囲内においては、倍率ZF
OPTは10倍に固定されると共に倍率ZF
RAWは1倍に固定され、一方で、倍率ZF
TOTが20倍から200倍へと増大するにつれて倍率ZF
ELが1倍から10倍へと増大する。
1≦ZF
TOT≦20を満たす範囲内においては、倍率ZF
TOTの変化に伴って倍率ZF
RAWも変化し、倍率ZF
RAWの変化に伴って抽出枠EFの大きさ(従って、抽出枠EF内の受光画素数)も変化する。
【0058】
次に、色補間処理について詳細に説明する。色補間処理では、
図11に示す如く、抽出枠EF内の1つの受光画素を注目画素として捉え、注目画素に対応する対象画素のR、G及びB信号を生成する。対象画素は、色補間画像上の画素である。抽出枠EF内の各受光画素を順次注目画素に設定して、各注目画素に対して色補間処理を順次行うことにより、色補間画像の全画素に対するR、G及びB信号が生成される。以下の説明において述べられるフィルタとは、特に記述なき限り、色補間処理に用いられる空間フィルタを指す。
【0059】
受光画素P
S[p,q]が注目画素である場合、5×5のフィルタサイズを有する、
図12(a)のフィルタFIL
Aを用いて色補間処理を実行することができ、この場合、下記式(1)に従って得た値V
Aが、受光画素P
S[p,q]に対応する対象画素の信号値になる。p及びqは自然数である。k
A1〜k
A25はフィルタFIL
Aのフィルタ係数である。受光画素P
S[p,q]が注目画素である場合、
図12(b)に示す如く、a
1〜a
25は、夫々、受光画素
P
S[p-2,q-2],P
S[p-1,q-2],P
S[p,q-2],P
S[p+1,q-2],P
S[p+2,q-2],
P
S[p-2,q-1],P
S[p-1,q-1],P
S[p,q-1],P
S[p+1,q-1],P
S[p+2,q-1],
P
S[p-2,q ],P
S[p-1,q ],P
S[p,q ],P
S[p+1,q ],P
S[p+2,q ],
P
S[p-2,q+1],P
S[p-1,q+1],P
S[p,q+1],P
S[p+1,q+1],P
S[p+2,q+1],
P
S[p-2,q+2],P
S[p-1,q+2],P
S[p,q+2],P
S[p+1,q+2],P
S[p+2,q+2]
の受光画素信号の値である。
【0061】
或いは、受光画素P
S[p,q]が注目画素である場合、7×7のフィルタサイズを有する、
図12(c)のフィルタFIL
Bを用いて色補間処理を実行することができ、この場合、下記式(2)に従って得た値V
Bが、受光画素P
S[p,q]に対応する対象画素の信号値になる。k
B1〜k
B49はフィルタFIL
Bのフィルタ係数である。受光画素P
S[p,q]が注目画素である場合、
図12(d)に示す如く、b
1〜b
49は、夫々、
受光画素
P
S[p-3,q-3],P
S[p-2,q-3],P
S[p-1,q-3],P
S[p,q-3],P
S[p+1,q-3],P
S[p+2,q-3],P
S[p+3,q-3],
P
S[p-3,q-2],P
S[p-2,q-2],P
S[p-1,q-2],P
S[p,q-2],P
S[p+1,q-2],P
S[p+2,q-2],P
S[p+3,q-2],
P
S[p-3,q-1],P
S[p-2,q-1],P
S[p-1,q-1],P
S[p,q-1],P
S[p+1,q-1],P
S[p+2,q-1],P
S[p+3,q-1],
P
S[p-3,q ],P
S[p-2,q ],P
S[p-1,q ],P
S[p,q ],P
S[p+1,q ],P
S[p+2,q ],P
S[p+3,q ],
P
S[p-3,q+1],P
S[p-2,q+1],P
S[p-1,q+1],P
S[p,q+1],P
S[p+1,q+1],P
S[p+2,q+1],P
S[p+3,q+1],
P
S[p-3,q+2],P
S[p-2,q+2],P
S[p-1,q+2],P
S[p,q+2],P
S[p+1,q+2],P
S[p+2,q+2],P
S[p+3,q+2],
P
S[p-3,q+3],P
S[p-2,q+3],P
S[p-1,q+3],P
S[p,q+3],P
S[p+1,q+3],P
S[p+2,q+3],P
S[p+3,q+3]
の受光画素信号の値である。
【0063】
色補間処理部51は、注目画素を中心とする所定領域内の緑受光画素の受光画素信号を抽出し、抽出した受光画素信号を混合することで対象画素のG信号を生成する(但し、抽出した受光画素信号が1つの場合には、抽出した受光画素信号そのものを対象画素のG信号にすることができる)。同様に、
色補間処理部51は、注目画素を中心とする所定領域内の赤受光画素の受光画素信号を抽出し、抽出した受光画素信号を混合することで対象画素のR信号を生成する(但し、抽出した受光画素信号が1つの場合には、抽出した受光画素信号そのものを対象画素のR信号にすることができる)。同様に、
色補間処理部51は、注目画素を中心とする所定領域内の青受光画素の受光画素信号を抽出し、抽出した受光画素信号を混合することで対象画素のB信号を生成する(但し、抽出した受光画素信号が1つの場合には、抽出した受光画素信号そのものを対象画素のB信号にすることができる)。
【0064】
[基本色補間処理]
図13(a)〜(c)、
図14(a)〜(d)及び
図15(a)〜(d)に、基本的な色補間処理(以下、基本色補間処理という)の内容を示す。
【0065】
基本色補間処理によってG信号を生成する際、色補間処理部51は、
図13(a)に示す如く注目画素が緑受光画素であるなら、フィルタ401を用いて対象画素のG信号を生成し、
図13(b)又は(c)に示す如く注目画素が赤受光画素又は青受光画素であるなら、フィルタ402を用いて対象画素のG信号を生成する。
【0066】
基本色補間処理によってR信号を生成する際、色補間処理部51は、
図14(a)に示す如く注目画素が赤受光画素であるなら、フィルタ401を用いて対象画素のR信号を生成し、
図14(b)に示す如く注目画素が緑受光画素P
S[2n
A−1,2n
B−1]であるなら、フィルタ403を用いて対象画素のR信号を生成し、
図14(c)に示す如く注目画素が緑受光画素P
S[2n
A,2n
B]であるなら、フィルタ404を用いて対象画素のR信号を生成し、
図14(d)に示す如く注目画素が青受光画素であるなら、フィルタ405を用いて対象画素のR信号を生成する。
【0067】
図15(a)〜(d)に示す如く、基本色補間処理によってB信号を生成する際に用いるフィルタは、基本色補間処理によってR信号を生成する際に用いるフィルタと同様である。これは、後述の第1〜第4実施例における色補間処理においても当てはまる。但し、注目画素が赤受光画素であるときに用いられるフィルタ及び注目画素が青受光画素であるときに用いられるフィルタは、R信号を生成する場合とB信号を生成する場合との間で逆であり、注目画素が緑受光画素P
S[2n
A−1,2n
B−1]であるときに用いられるフィルタ及び注目画素が緑受光画素P
S[2n
A,2n
B]であるときに用いられるフィルタは、R信号を生成する場合とB信号を生成する場合との間で逆である(後述の第1〜第4実施例の色補間処理においても同様)。
【0068】
フィルタ401〜405の夫々は、フィルタFIL
Aの例である。
フィルタ401におけるフィルタ係数k
A1〜k
A25の内、k
A13のみが1であり、その他のフィルタ係数は全てゼロである。
フィルタ402におけるフィルタ係数k
A1〜k
A25の内、k
A8、k
A12、k
A14及びk
A18のみが1であり、その他のフィルタ係数は全てゼロである。
フィルタ403におけるフィルタ係数k
A1〜k
A25の内、k
A12及びk
A14のみが1であり、その他のフィルタ係数は全てゼロである。
フィルタ404におけるフィルタ係数k
A1〜k
A25の内、k
A8及びk
A18のみが1であり、その他のフィルタ係数は全てゼロである。
フィルタ405におけるフィルタ係数k
A1〜k
A25の内、k
A7、k
A9、k
A17及びk
A19のみが1であり、その他のフィルタ係数は全てゼロである。
【0069】
図13(a)に示す如く注目画素が緑受光画素であるときに基本色補間処理によってG信号を生成した場合(即ち、緑受光画素に対応する対象画素のG信号を基本色補間処理によって生成した場合)、当該G信号についての空間周波数特性は、色補間処理前後で変化しない。一方で、RAWズーム倍率が0.5倍であるときに生成される変換結果画像313(
図7(a)参照)において表現可能な最大の空間周波数は、RAW画像312のそれよりも小さい。従って仮に、RAWズーム倍率が0.5倍であるときに、緑受光画素に対応する対象画素のG信号を基本色補間処理によって生成したならば、2メガの変換結果画像313にて表現できない高周波の空間周波数成分が変換結果画像313に混入し、変換結果画像313に折り返し歪みが発生することがある。折り返し歪みは、例えば、いわゆる偽色やノイズとして現われる。従って、RAWズーム倍率が比較的小さい場合(例えば0.5倍である場合)において、緑受光画素に対応する対象画素のG信号を生成する際、平滑化機能を色補間処理に持たせた方が良い。
【0070】
逆に、
図13(b)のフィルタ402は平滑化の機能を有するため、
図13(b)に示す如く注目画素が赤受光画素であるときに基本色補間処理によってG信号を生成した場合(即ち、赤受光画素に対応する対象画素のG信号を基本色補間処理によって生成した場合)、RAW画像には含まれていた高周波の空間周波数成分が基本色補間処理により減衰される。一方で、RAWズーム倍率が1倍であるときに生成される変換結果画像323(
図7(b)参照)において表現可能な最大の空間周波数は、RAW画像322のそれと同じである。従って仮に、RAWズーム倍率が1倍であるときに、赤受光画素に対応する対象画素のG信号を基本色補間処理によって生成したならば、フィルタ402の平滑化機能により、変換結果画像323の解像力(resolving power)が不足することがある。故に、RAWズーム倍率が比較的大きい場合(例えば1倍である場合)において、赤受光画素に対応する対象画素のG信号を色補間処理によって生成する際、G信号の高周波成分を強調又は復元する機能を色補間処理に持たせた方が良い。
青受光画素に対応する対象画素のG信号を生成する場合も同様である。また、対象画素のR信号及びB信号を生成する場合にも、上述と同様のことが当てはまりうる。
【0071】
上述の事項に鑑み、
図16に示す如く、色補間処理部51は、RAWズーム倍率に応じて色補間処理に用いるフィルタの内容を制御し、これによって色補間処理後の画像の空間周波数特性を制御する。色補間画像、変換結果画像、YUV画像及び最終結果画像の夫々は、色補間処理部51によって空間周波数特性が制御されるべき、色補間処理後の画像である。説明の具体化のため、以下の説明では、主として変換結果画像に着目した上で、空間周波数特性の制御方法を説明するが、変換結果画像における空間周波数特性の制御及び変化は、色補間画像、YUV画像又は最終結果画像における空間周波数特性の制御及び変化でもある。
【0072】
色補間処理部51(及び解像度変換部52)は、抽出枠EF内の受光画素数(即ち、抽出枠EFに属する受光画素の個数)を表すD
INメガと、変換結果画像の画素数を表すD
OUTメガとの比“D
OUT/D
IN”に応じて、変換結果画像の空間周波数特性を制御することができる。この際、色補間処理部51(及び解像度変換部52)は、比“D
OUT/D
IN”の変化に伴って色補間処理の内容(色補間処理に用いるフィルタの内容)を変化させることで変換結果画像の空間周波数特性を変化させることができる。RAWズーム倍率の変化は比“D
OUT/D
IN”の変化をもたらすのであるから、色補間処理部51(及び解像度変換部52)は、RAWズーム倍率又は総合ズーム倍率の変化に連動して変換結果画像の空間周波数特性を変化させるとも言える。
【0073】
記述の簡略化上、変換結果画像の空間周波数特性の制御を、以下、単に周波数特性制御とも言う。周波数特性制御は、色補間画像、YUV画像又は最終結果画像の空間周波数特性の制御でもある。周波数特性制御の具体的方法又はそれに関連する方法の具体例として、以下に第1〜第4実施例を示す。矛盾なき限り、第1〜第4実施例の内、複数の実施例を組み合わせることが可能であり、或る実施例で記載した事項を他の実施例に適用することもできる。
【0074】
<<第1実施例>>
色補間処理による周波数特性制御の第1実施例を説明する。後述の幾つかの実施例においては、手振れ等に由来するぶれがRAW画像に含まれることを想定するが、第1実施例及び後述の第2実施例では、RAW画像にぶれが含まれていないことを想定する。
【0075】
今、
図17(a)に示す入力RAW画像451及び出力RAW画像452と、
図18(a)に示す入力RAW画像461及び出力RAW画像462と、を考える。入力RAW画像451及び461はRAW画像の例である。出力RAW画像452は、ZF
RAW=0.5の条件の下で、入力RAW画像451に対して解像度変換部52の解像度変換を施して得た画像である。即ち、出力RAW画像452は、入力RAW画像451の画像サイズを水平及び垂直方向の夫々において1/2に減少させて得たRAW画像である。出力RAW画像462は、ZF
RAW=1.0の条件の下で、入力RAW画像461に対して解像度変換部52の解像度変換を施して得た画像である。即ち、出力RAW画像462は、入力RAW画像461と同じものである。
【0076】
図17(b)及び(c)の曲線MTF
451及びMTF
452は、夫々、入力RAW画像451及び出力RAW画像452の変調伝達関数(MTF;modulation transfer function)を表している。
図18(b)及び(c)の曲線MTF
461及びMTF
462は、夫々、入力RAW画像461及び出力RAW画像462の変調伝達関数を表している。F
Nは、入力RAW画像451及び461におけるナイキスト周波数を表している。
【0077】
ZF
RAW=0.5であるとき、垂直及び水平方向の夫々において出力RAW画像の画素数は入力RAW画像のそれの1/2である。故に、出力RAW画像452のナイキスト周波数は0.5F
Nとなる。即ち、出力RAW画像452において表現可能な最大の空間周波数は、入力RAW画像451において表現可能な最大の空間周波数の半分である。
一方、ZF
RAW=1.0であるとき、垂直及び水平方向の夫々において出力RAW画像の画素数は入力RAW画像のそれと等しい。従って、出力RAW画像462のナイキスト周波数は1.0F
Nとなる。即ち、出力RAW画像462において表現可能な最大の空間周波数は、入力RAW画像461において表現可能な最大の空間周波数と等しい。
【0078】
このようなRAWズーム倍率ZF
RAWに応じた周波数特性の相違を考慮し、第1実施例における色補間処理では、上述の折り返し歪み及び解像力不足を抑制すべく、
図19(a)及び(b)に示すフィルタを色補間処理に用いる。
【0079】
即ち、ZF
RAW=0.5の条件下においてG信号を生成する際、色補間処理部51は、
図19(a)に示す如く注目画素が緑受光画素であるなら、フィルタ501を用いて対象画素のG信号を生成し、
図19(b)に示す如く注目画素が赤受光画素であるなら、フィルタ511を用いて対象画素のG信号を生成する(注目画素が青受光画素であるときも同様)。
一方、ZF
RAW=1.0の条件下においてG信号を生成する際、色補間処理部51は、
図19(a)に示す如く注目画素が緑受光画素であるなら、フィルタ502を用いて対象画素のG信号を生成し、
図19(b)に示す如く注目画素が赤受光画素であるなら、フィルタ512を用いて対象画素のG信号を生成する(注目画素が青受光画素であるときも同様)。
【0080】
フィルタ501、502、511及び512の夫々は、フィルタFIL
Aの例である(
図12(a)参照)。
フィルタ501におけるフィルタ係数k
A1〜k
A25の内、k
A13が8であり、k
A3、k
A7、k
A9、k
A11、k
A15、k
A17、k
A19及びk
A23は1であり、その他のフィルタ係数は全てゼロである。
フィルタ502及び511のフィルタ係数は、夫々、
図13(a)及び(b)のフィルタ401及び402のフィルタ係数と同じである。
フィルタ512におけるフィルタ係数k
A1〜k
A25の内、k
A8、k
A12、k
A14及びk
A18が6であり、k
A2、k
A4、k
A6、k
A10、k
A16、k
A20、k
A22及びk
A24は(−1)であり、その他のフィルタ係数は全てゼロである。
【0081】
フィルタ501はRAW画像を平滑化する機能を有する一方、フィルタ502はRAW画像を平滑化する機能を有さない(RAW画像の平滑化は、RAWデータ又は受光画素信号の平滑化と同義である)。従って、フィルタ501を用いた色補間処理による平滑化の強度はフィルタ502を用いた色補間処理による平滑化の強度(即ちゼロ)よりも大きいと言える。結果、フィルタ501を用いてG信号を生成した場合、G信号の空間周波数の高域成分が減衰するが、フィルタ502を用いてG信号を生成した場合には、そのような減衰は発生しない。
【0082】
フィルタ511はRAW画像を平滑化する機能を有する一方、フィルタ512はRAW画像のエッジを強調する機能を有する(RAW画像のエッジの強調は、RAWデータ又は受光画素信号のエッジの強調と同義である)。従って、フィルタ512を用いた色補間処理によるエッジ強調の強度はフィルタ511を用いた色補間処理によるエッジ強調の強度(即ち、ゼロ)よりも大きいと言える。結果、フィルタ511を用いてG信号を生成した場合、G信号の空間周波数の高域成分が減衰するが、フィルタ512を用いてG信号を生成した場合には、G信号の空間周波数の高域成分はあまり減衰しない又は増大する。或いは、色補間処理によるG信号の空間周波数の高域成分の減衰度合いは、フィルタ512を用いた方が、フィルタ511を用いるよりも少ない。
【0083】
このように、色補間処理部51は、RAWズーム倍率に応じて色補間処理の内容を制御することで、折り返し歪みの抑制と解像力不足の抑制を両立させる。但し、ここにおける空間周波数はG信号の空間周波数である。具体的には、ZF
RAW=0.5の場合には、フィルタ501及び511の平滑化機能により、変換結果画像における折り返し歪みが抑制される。一方、ZF
RAW=1.0の場合には、フィルタ502及び512を用いることで変換結果画像の解像度不足が解消又は軽減する。
【0084】
代表例としてZF
RAW=0.5の場合とZF
RAW=1.0の場合のフィルタを示したが、ZF
RAW=0.5又はZF
RAW=1.0の場合も含め、0.5≦ZF
RAW≦1.0の場合には、ZF
RAWが減少するにつれてフィルタによる平滑化の強度を増加させればよい或いはZF
RAWが増大するにつれてフィルタによるエッジ強調の強度を増加させればよい。例えば、
F
RAW=0.7の条件下においてG信号を生成する際、色補間処理部51は、
図20(a)に示す如く注目画素が緑受光画素であるなら、フィルタ503を用いて対象画素のG信号を生成し、
図20(b)に示す如く注目画素が赤受光画素であるなら、フィルタ513を用いて対象画素のG信号を生成する(注目画素が青受光画素であるときも同様)。
フィルタ503におけるフィルタ係数k
A1〜k
A25の内、k
A13が10であり、k
A7、k
A9、k
A17及びk
A19は1であり、その他のフィルタ係数は全てゼロである。
フィルタ513におけるフィルタ係数k
A1〜k
A25の内、k
A8、k
A12、k
A14及びk
A18が8であり、k
A2、k
A4、k
A6、k
A10、k
A16、k
A20、k
A22及びk
A24は(−1)であり、その他のフィルタ係数は全てゼロである。
【0085】
フィルタ501及び503はRAW画像を平滑化する機能を有するが、フィルタ501を用いた色補間処理による平滑化の強度はフィルタ503を用いた色補間処理による平滑化の強度よりも大きい。フィルタ512及び513はRAW画像のエッジを強調する機能を有するが、フィルタ512を用いた色補間処理によるエッジ強調の強度はフィルタ513を用いた色補間処理によるエッジ強調の強度よりも大きい。
【0086】
R、G及びB信号の内、G信号の空間周波数特性の変化が視覚的に最も目立つ。従って、RAWズーム倍率に応じた周波数特性制御をG信号のみに適用し、R信号及びB信号については基本色補間処理を用いる。
【0087】
<<第2実施例>>
但し、RAWズーム倍率に応じた色補間処理の変更を、R信号及びB信号の生成にも適用することができる。この方法を、第2実施例として説明する。ここではR信号に対する色補間処理のみを説明するが、B信号に対する色補間処理もR信号のそれと同様とすることができる。
【0088】
ZF
RAW=0.5の条件下においてR信号を生成する際、色補間処理部51は、
図21(a)に示す如く注目画素が赤受光画素であるなら、フィルタ551を用いて対象画素のR信号を生成し、
図21(b)に示す如く注目画素が緑受光画素P
S[2n
A−1,2n
B−1]であるなら、フィルタ561を用いて対象画素のR信号を生成する。
ZF
RAW=1.0の条件下においてR信号を生成する際、色補間処理部51は、
図21(a)に示す如く注目画素が赤受光画素であるなら、フィルタ552を用いて対象画素のR信号を生成し、
図21(b)に示す如く注目画素が緑受光画素P
S[2n
A−1,2n
B−1]であるなら、フィルタ562を用いて対象画素のR信号を生成する。
【0089】
フィルタ551、552及び561の夫々はフィルタFIL
Aの例であり、フィルタ562はフィルタFIL
Bの例である(
図12(a)及び(c)参照)。
フィルタ551におけるフィルタ係数k
A1〜k
A25の内、k
A13が8であり、k
A3、k
A11、k
A15及びk
A23は1であり、その他のフィルタ係数は全てゼロである。
フィルタ552及び561のフィルタ係数は、夫々、
図14(a)及び(b)のフィルタ401及び403のフィルタ係数と同じである。
フィルタ562におけるフィルタ係数k
B1〜k
B49の内、k
B24及びk
B26が6であり、k
B10、k
B12、k
B22、k
B28、k
B38及びk
B40は(−1)であり、その他のフィルタ係数は全てゼロである。
【0090】
フィルタ551はRAW画像を平滑化する機能を有する一方、フィルタ552はRAW画像を平滑化する機能を有さない。従って、フィルタ551を用いた色補間処理による平滑化の強度はフィルタ552を用いた色補間処理による平滑化の強度(即ちゼロ)よりも大きいと言える。結果、フィルタ551を用いてR信号を生成した場合、R信号の空間周波数の高域成分が減衰するが、フィルタ552を用いてR信号を生成した場合には、そのような減衰は発生しない。
【0091】
フィルタ561はRAW画像を平滑化する機能を有する一方、フィルタ562はRAW画像のエッジを強調する機能を有する。従って、フィルタ562を用いた色補間処理によるエッジ強調の強度はフィルタ561を用いた色補間処理によるエッジ強調の強度(即ち、ゼロ)よりも大きいと言える。結果、フィルタ561を用いてR信号を生成した場合、R信号の空間周波数の高域成分が減衰するが、フィルタ562を用いてR信号を生成した場合には、R信号の空間周波数の高域成分はあまり減衰しない又は増大する。或いは、色補間処理によるR信号の空間周波数の高域成分の減衰度合いは、フィルタ562を用いた方が、フィルタ561を用いるよりも少ない。
【0092】
このように、色補間処理部51は、RAWズーム倍率に応じて色補間処理の内容を制御することで、折り返し歪みの抑制と解像力不足の抑制を両立させる。但し、ここにおける空間周波数はR信号の空間周波数である。具体的には、ZF
RAW=0.5の場合には、フィルタ551及び561の平滑化機能により、変換結果画像における折り返し歪みが抑制される。一方、ZF
RAW=1.0の場合には、フィルタ552及び562を用いることで変換結果画像の解像度不足が解消又は軽減する。
【0093】
代表例としてZF
RAW=0.5の場合とZF
RAW=1.0の場合のフィルタを示したが、ZF
RAW=0.5又はZF
RAW=1.0の場合も含め、0.5≦ZF
RAW≦1.0の場合には、第1実施例と同様、ZF
RAWが減少するにつれてフィルタによる平滑化強度を増加させればよい或いはZF
RAWが増大するにつれてフィルタによるエッジ強調強度を増加させればよい。後述の他の実施例においても同様である。
【0094】
注目画素が緑受光画素P
S[2n
A,2n
B]又は青受光画素であるときに用いられるフィルタの例の図示及び説明は割愛するが、注目画素が緑受光画素P
S[2n
A,2n
B]又は青受光画素であるときにも、上述と同様の主旨に従い、RAWズーム倍率に応じたフィルタを色補間処理に用いればよい。
【0095】
<<第3実施例>>
色補間処理による周波数特性制御の第3実施例を説明する。第3実施例では、RAW画像の撮影時において撮像装置1に動きが発生し、これによって、ぶれによる劣化がRAW画像に含まれたことを想定する。
【0096】
今、
図22(a)に示す入力RAW画像471及び出力RAW画像472と、
図23(a)に示す入力RAW画像481及び出力RAW画像482と、を考える。入力RAW画像471及び481はRAW画像の例である。但し、入力RAW画像471及び481の夫々には、ぶれによる劣化が含まれているものとする。出力RAW画像472は、ZF
RAW=0.5の条件の下で、入力RAW画像471に対して解像度変換部52の解像度変換を施して得た画像である。即ち、出力RAW画像472は、入力RAW画像471の画像サイズを水平及び垂直方向の夫々において1/2に減少させて得たRAW画像である。出力RAW画像482は、ZF
RAW=1.0の条件の下で、入力RAW画像481に対して解像度変換部52の解像度変換を施して得た画像である。即ち、出力RAW画像482は、入力RAW画像481と同じものである。
【0097】
図22(b)及び(c)の曲線MTF
471及びMTF
472は、夫々、入力RAW画像471及び出力RAW画像472の変調伝達関数(MTF;modulation transfer function)を表している。
図23(b)及び(c)の曲線MTF
481及びMTF
482は、夫々、入力RAW画像481及び出力RAW画像482の変調伝達関数を表している。F
Nは、入力RAW画像471及び481におけるナイキスト周波数を表している。
【0098】
ぶれによる劣化のため、入力RAW画像471及び481に含まれうる最大の空間周波数は、ナイキスト周波数F
Nよりも小さく、
図22(b)及び
図23(b)の例では(0.7×F
N)程度である。曲線MTF
471及びMTF
481の内、周波数が(0.7×F
N)以上の部分490は、劣化に基づく周波数成分に相当し、被写体を反映したものではない(曲線MTF
482も同様)。
ZF
RAW=0.5であるとき、垂直及び水平方向の夫々において出力RAW画像の画素数は入力RAW画像のそれの1/2である。故に、出力RAW画像472のナイキスト周波数は0.5F
Nとなる。
一方、ZF
RAW=1.0であるとき、垂直及び水平方向の夫々において出力RAW画像の画素数は入力RAW画像のそれと等しい。故に、出力RAW画像482のナイキスト周波数は1.0F
Nとなる。しかしながら、入力RAW画像481に含まれうる最大の空間周波数がナイキスト周波数F
Nより小さいため、出力RAW画像482に含まれうる最大の空間周波数もナイキスト周波数F
Nより小さい。
【0099】
ぶれによる劣化が含まれている場合においても、第1又は第2実施例と同様のフィルタを色補間処理に用いることができ、これによって折り返し歪み及び解像力不足の抑制を図ることができる。
【0100】
但し、ぶれによる劣化がRAW画像に含まれていない場合を基準として、ぶれによる劣化がRAW画像に含まれている場合には、変調伝達関数が劣化しているため、その劣化をも考慮してフィルタのフィルタ係数を決定することができる。即ち例えば、色補間処理部51は、ぶれによる劣化がRAW画像に含まれているケース(以下、ケースα
BLURと呼ぶ)とぶれによる劣化がRAW画像に含まれていない場合(以下、ケースα
NONBLURと呼ぶ)との間で色補間処理の内容を互いに異ならせても良い(即ち、色補間処理で用いるフィルタのフィルタ係数を互いに異ならせても良い)。ケースα
BLUR及びα
NONBLUR間において、色補間処理の内容の一部のみを互いに異ならせても良いし、色補間処理の内容の全部を互いに異ならせても良い。
【0101】
これを実現すべく、第3実施例では、
図24に示す如く、動き情報を生成する動き検出部62を撮像装置1に追加し、RAWズーム倍率及び動き情報に基づいて色補間処理の内容を決定する。
図24に示すブロック図は、
図16に示すブロック図に動き検出部62を追加したものである。
【0102】
動き検出部62を、例えば、撮像装置1の動きを検出する動きセンサにて形成することができる。動きセンサは、例えば、撮像装置1の角加速度を検出する角加速度センサ又は撮像装置1の加速度を検出する加速度センサである。動き検出部62が動きセンサにて形成されている場合、動き検出部62は、動きセンサによって検出された撮像装置1の動きを表す動き情報を生成する。動きセンサの検出結果に基づく動き情報は、少なくとも撮像装置1の動きの大きさを表す動き大きさ情報を含み、撮像装置1の動きの向きを表す動き向き情報をも更に含みうる。
或いは、動き検出部62は、撮像素子33からの受光画素信号に基づいて動き情報を生成してもよい。この場合、動き検出部62は、例えば、時間的に隣接する2回の撮影によって得られた2枚の画像(RAW画像、色補間画像、変換結果画像、YUV画像又は最終結果画像)の画像データから当該2枚の画像間のオプティカルフローを導出し、該オプティカルフローから上記動き大きさ情報及び動き向き情報を含む動き情報を生成することができる。
【0103】
第3実施例に係る色補間処理部51は、RAWズーム倍率と動き情報に基づいて色補間処理に用いるフィルタの内容を制御し、これによって、色補間処理後の画像の空間周波数特性を制御する。
【0104】
説明の具体化上、今、RAW画像600(不図示)のRAWデータが色補間処理部51に入力された場合を考える。色補間処理部51は、RAW画像600に対して求められた動き情報に基づき、RAW画像600がケースα
BLUR及びα
NONBLURのどちらに当てはまるか判断する。例えば、動き情報によって示される撮像装置1の動きの大きさが所定値以上の場合には、ケースα
BLURがRAW画像600に当てはまる(即ち、ぶれによる劣化がRAW画像600に含まれている)と判断し、そうでない場合には、ケースα
NONBLURがRAW画像600に当てはまる(即ち、ぶれによる劣化がRAW画像600に含まれていない)と判断する。
【0105】
そして、ケースα
NONBLURがRAW画像600に当てはまる場合には、第1実施例で述べた方法によって(即ち、
図19(a)のフィルタ501及び502を用いた色補間処理によって)対象画素のG信号を生成する一方、ケースα
BLURがRAW画像600に当てはまる場合には、
図25のフィルタ601及び602を用いた色補間処理によって対象画素のG信号を生成する。
【0106】
ケースα
BLURにおいて、フィルタ601は、ZF
RAW=0.5であって且つ注目画素が緑受光画素である場合に用いられ、フィルタ602は、ZF
RAW=1.0であって且つ注目画素が緑受光画素である場合に用いられる。フィルタ601及び602の夫々は、フィルタFIL
Aの例である(
図12(a)参照)。フィルタ601のフィルタ係数k
A13が12である点を除き、フィルタ601は
図19(a)のフィルタ501と同じものである。フィルタ602は、
図19(a)のフィルタ502と同じものである。
【0107】
ケースα
BLUR及びα
NONBLURにおいて得られたRAW画像600を、夫々、符号600
BLUR及び600
NONBLURにて表すと、RAW画像600
BLUR及び600
NONBLURの変調伝達関数は、夫々、
図22(a)の曲線MTF
471及び
図17(a)の曲線MTF
451のようになる。従って、RAW画像600
BLURに含まれる高周波成分の量は、RAW画像600
NONBLURのそれよりも比較的少ない。故に、ZF
RAW=0.5の条件下において、RAW画像600
BLURに適用すべきフィルタの平滑化強度は、RAW画像600
NONBLURに適用すべきそれよりも小さくて済む。言い換えれば、ZF
RAW=0.5の条件下において、RAW画像600
BLURに適用するフィルタの平滑化強度をRAW画像600
NONBLURに適用するそれよりも小さくしたほうが、過度の平滑化が抑制される。過度の平滑化は望ましくない。このような観点から、ケースα
BLUR及びα
NONBLUR間において、色補間処理に用いるフィルタ(501及び601)を互いに異ならせる。
図25のフィルタ601を用いた色補間処理による平滑化の強度は、
図19(a)のフィルタ501を用いた色補間処理による平滑化の強度よりも小さい。
【0108】
一方、ZF
RAW=1.0の場合、RAW画像の空間周波数成分と同等の空間周波数成分を変換結果画像上で表現できるため、解像力不足の抑制を優先し、用いるフィルタをケースα
BLUR及びα
NONBLUR間で同じにしている(
図19(a)のフィルタ502及び
図25のフィルタ602を参照)。但し、フィルタ602をフィルタ502と異ならせることも可能である。
【0109】
また、撮像装置1の動きの大きさが増大すれば、ぶれによる劣化の度合いが増大し、RAW画像600に高周波成分が含まれにくくなる。逆に、ケースα
BLURにおいても、撮像装置1の動きの大きさが小さければ、RAW画像600に比較的多くの高周波成分が含まれやすい。従って、ケースα
BLURにおいて、色補間処理部51は、RAWズーム倍率を考慮しつつ、動き大きさ情報に応じた色補間処理を行ってもよい。例えば、動き大きさ情報にて示される撮像装置1の動きの大きさが第1の大きさである場合と第2の大きさである場合とで、色補間処理の内容を互いに異ならせても良い(即ち、色補間処理で用いるフィルタのフィルタ係数を互いに異ならせても良い)。ここで、第1の大きさと第2の大きさは互いに異なる。
【0110】
注目画素が緑受光画素であるときにG信号を生成する場合のフィルタについて説明したが、注目画素が赤又は青受光画素であるときにG信号を生成する場合、及び、注目画素が緑、赤又は青受光画素であるときにR又はB信号を生成する場合も、上述と同様の主旨に従い、RAWズーム倍率及び動き情報に応じたフィルタを色補間処理に用いればよい。
【0111】
<<第4実施例>>
第4実施例を説明する。第1〜第3実施例に示すものを含む上述の周波数特性制御は、色補間処理の内容制御によって実現されているが、上述の周波数特性制御と同等の周波数特性制御を、色補間処理以外の処理にて実現してもよい。例えば、
図26又は
図27に示されるような構成を撮像装置1に設けても良い。フィルタリング部71は、例えば、
図1の映像信号処理部13に設けられる。
【0112】
図26又は
図27の構成では、RAW画像の画像データであるD
INメガのRAWデータが各受光画素よりフィルタリング部71に入力される。フィルタリング部71は、RAWズーム倍率に応じたフィルタリング、又は、RAWズーム倍率及び動き情報に応じたフィルタリングを、RAW画像に対して(即ち、D
INメガのRAWデータに対して)実行する。フィルタリング部71におけるフィルタリングは、空間フィルタリングであっても良いし、周波数フィルタリングであっても良い。
【0113】
図26又は
図27における色補間処理部51は、フィルタリング部71を介して供給されるRAWデータに対して、
図13(a)等を参照して説明した基本色補間処理を実行する。フィルタリング部71を介して供給されるRAWデータは、基本的に、フィルタリング部71によるフィルタリング後のRAWデータであるが、フィルタリング部71に入力されるRAWデータがそのままフィルタリング部71を介して色補間処理部51に供給されることもある。フィルタリング部71によるフィルタリング及び色補間処理部51による基本色補間処理を経て得られたD
INメガのRGBデータは、色補間画像の画像データとして解像度変換部52に送られる。符号50、52〜54、60及び61によって参照される各部位の動作は、上述したものと同様である。
【0114】
フィルタリング部71は、RAWズーム倍率に応じて(換言すれば、比“D
OUT/D
IN”に応じて)、又は、RAWズーム倍率及び動き情報に応じて、RAWデータの空間周波数特性を制御することができる。RAWデータの空間周波数特性の制御によって、変換結果画像の空間周波数特性も制御されることになる。この際、フィルタリング部71は、比“D
OUT/D
IN”の変化に伴ってフィルタリングの内容を変化させることで変換結果画像の空間周波数特性を変化させることができる。RAWズーム倍率の変化は比“D
OUT/D
IN”の変化をもたらすのであるから、フィルタリング部71は、RAWズーム倍率又は総合ズーム倍率の変化に連動して変換結果画像の空間周波数特性を変化させるとも言える。
【0115】
色補間処理部51から得られる色補間画像及び解像度変換部52から得られる変換結果画像の空間周波数特性が、第4実施例の構成と第1、第2又は第3実施例の構成との間で同等となるように、フィルタリング部71は、RAWズーム倍率に応じたフィルタリング、又は、RAWズーム倍率及び動き情報に応じたフィルタリングを、RAW画像に対して(即ち、D
INメガのRAWデータに対して)実行する。これを実現するために、フィルタリング部71は、以下のような動作を行うことができる。
【0116】
例えば、フィルタリング部71は、ZF
RAW<ZH
TH1の場合にのみ、フィルタリング部71へ入力されるRAWデータに対してローパスフィルタによるフィルタリングを実行し、ZF
RAW≧ZH
TH1の場合には、フィルタリングを成すことなくフィルタリング部71へ入力されるRAWデータをそのまま色補間処理部51に送る。ここで、ZH
TH1は、0.5<ZH
TH1≦1.0を満たす所定の閾値であり、例えば、ZH
TH1=1.0である。
【0117】
或いは例えば、フィルタリング部71は、ZF
RAWの値に関わらず常にフィルタリング部71へ入力されるRAWデータに対してローパスフィルタによるフィルタリングを実行し、ZF
RAWが1から0.5へと減少するにつれて、当該ローパスフィルタの強度を増大させる。例えば、ローパスフィルタのカットオフ周波数を低減することは、ローパスフィルタの強度を増大させることに属する。
【0118】
上記ローパスフィルタの強度を動き情報に応じて変更することも可能である。即ち例えば、フィルタリング部71は、自身に入力されるRAWデータによるRAW画像がケースα
BLUR及びα
NONBLURのどちらに当てはまるのかを動き情報に基づいて判断し、ケースα
BLUR及びα
NONBLUR間において、フィルタリングの内容を互いに異ならせても良い。より具体的には例えば、ZF
RAW=0.5の条件下において、第3実施例と同等の作用が得られるように、ケースα
BLURにおけるRAW画像に対して成すローパスフィルタの強度をケースα
NONBLURにおけるそれよりも弱くする。
【0119】
尚、フィルタリング部71によるフィリタリングと色補間処理部51による色補間処理の実行順序を逆にすることもできる。即ち、色補間処理の実行後にフィルタリング部71によるフィリタリングを行うようにしても良い。
【0120】
第4実施例によっても、第1、第2又は第3実施例と同様の効果が得られる。但し、第4実施例では、色補間処理部51とは別にフィルタリング部71が必要になる。従って、色補間処理の中でRAWズーム倍率等に応じた周波数特性制御を成すことができる第1〜第3実施例の方が、処理速度及び処理負荷量の面でメリットがある。
【0121】
<<変形等>>
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本発明の実施形態の例であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。上述の実施形態に適用可能な注釈事項として、以下に、注釈1〜注釈4を記す。各注釈に記載した内容は、矛盾なき限り、任意に組み合わせることが可能である。
【0122】
[注釈1]
図16等に示される構成では、色補間処理の実行後に画像データの量をD
INメガからD
OUTメガに変更する解像度変換が成されているが、それらの処理の実行順序を逆にすることも可能である。即ち、RAWズーム倍率(又はD
OUTの値)に基づく解像度変換によってD
INメガのRAWデータをD
OUTメガのRAWデータに変換した後、D
OUTメガのRAWデータに対して色補間処理を実行することでD
OUTメガのRGBデータ(即ち、変換結果画像の画像データ)を生成するようにしてもよい。実際には、上記解像度変換と色補間処理を同時に行うことができる。
【0123】
[注釈2]
図16等に示される構成では、RGBデータの生成後に、YUV変換部53によるYUV変換を行うようにしているが、最終的にYUVデータを作るのであれば、色補間処理によって一気にYUVデータを生成するようにしても良い。
【0124】
[注釈3]
図1の撮像装置1を、ハードウェア、或いは、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって構成することができる。ソフトウェアを用いて撮像装置1を構成する場合、ソフトウェアにて実現される部位についてのブロック図は、その部位の機能ブロック図を表すことになる。ソフトウェアを用いて実現される機能をプログラムとして記述し、該プログラムをプログラム実行装置(例えばコンピュータ)上で実行することによって、その機能を実現するようにしてもよい。
【0125】
[注釈4]
例えば、以下のように考えることができる。
撮像装置1には、特定信号処理によって、撮像素子33上における抽出枠EF内の受光画素信号から出力画像の画像データを生成する特定信号処理部を備えている。変換結果画像、YUV画像又は最終結果画像の夫々は、出力画像の一種である。特定信号処理は、抽出枠EF内の受光画素信号から出力画像の画像データを生成するために、抽出枠EF内の受光画素信号及び抽出枠EF内の受光画素信号に基づく信号に対して成される処理である。
【0126】
特定信号処理部は、色補間処理部51及び解像度変換部52を含んで構成され、或いは、フィルタリング部71、色補間処理部51及び解像度変換部52を含んで構成され、更に、YUV変換部53、電子ズーム処理部54及びフィルタリング部71を更に含みうる。従って、第1〜第3実施例における特定信号処理は色補間処理及び解像度変換を含み、第4実施例における特定信号処理はフィルタリング(フィルタリング部71のフィルタリング)、色補間処理及び解像度変換を含む。
図16等には示されていないが、特定信号処理に、ノイズ低減処理などが更に含まれていても構わない。特定信号処理部は、比(D
OUT/D
IN)に応じて特定信号処理を制御することにより出力画像の空間周波数特性を制御することができる。より具体的には、特定信号処理部は、比(D
OUT/D
IN)の変化に伴って特定信号処理の内容(色補間処理の内容又はフィルタリングの内容)を変化させることにより出力画像の空間周波数特性を変化させることができる。