(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態について、
図1ないし
図8を用いて説明する。
【0015】
[シート情報読取装置]
シート情報読取装置(以下、スキャナ)1は、
図1に示すように、シートSを給紙する給紙部2と、シートS上の情報を読み取る情報読取部3と、シートSを排出する排出部4と、を備える。そして、給紙部2から給紙されたシートS上の画像情報を、情報読取部3で読み取り、情報が読み取られたシートSは、排出部4から排出される。
【0016】
[給紙部]
給紙部2は、スキャナ1の装置本体11の上部に配置され、搬送部材であるフィードローラ22と、フィードローラ22と対向して配置され、シートSを載置するトレイ21と、分離部材である分離ローラ23と、を有する。トレイ21は、装置本体11の上部に設けられた給紙口12の上方に傾斜して配置される。フィードローラ22は、シートSを情報読取部3に向けて送るための送りローラ(搬送ローラ)であり、装置本体11のカバー部11bに設けられ、不図示の駆動源であるモータにより回転駆動される。そして、トレイ21上のシートSと当接してこのシートSを情報読取部3に向けて搬送路13内に搬送する。本実施形態の場合、フィードローラ22は、トレイ21の幅方向中央部に対向する位置に配置している。
【0017】
また、トレイ21のフィードローラ22によるシート搬送方向下流で、フィードローラ22と対向する位置には、分離ローラ23を設けている。分離ローラ23は、フィードローラ22に遠近動する方向に移動自在に支持され、不図示のばねによりフィードローラ22に向かう方向に付勢されている。また、分離ローラ23は、不図示の駆動手段であるモータにより、フィードローラ22の回転方向と逆方向の力をシートに作用させる。そして、フィードローラ22によるシート搬送時には、フィードローラ22の回転方向と逆方向の力をシートに与えることにより、シート搬送方向と逆方向に作用するシート抵抗を生じさせて、搬送するシートSを他のシートから分離し易くしている。なお、分離ローラ23にはトルクリミッタが設けられており、所定以上のトルクがかかった場合に、モータからの動力伝達を遮断できるようにしている。
【0018】
また、フィードローラ22と分離ローラ23とのシート搬送方向に関する位置関係は、フィードローラ22が、分離ローラ23よりも、フィードローラ22によるシート搬送方向上流にずれた位置としている。これにより、トレイ21上のシートSをピックアップし易くしている。
【0019】
また、本実施形態の場合、装置本体11は、装置本体11内でシートSが搬送される搬送路13を境に、本体部11aとカバー部11bとに分離可能としている。このうちの本体部11aは、上述のトレイ21及び分離ローラ23が設けられ、カバー部11bにはフィードローラ22が支持されている。カバー部11bは、本体部11aに対し本体部11aの下端寄り部分を中心として回動自在としている。そして、カバー部11bを回動させれば、搬送路13が露出(開放)し、この搬送路13内でジャムしたシートを取り除くことができる。
【0020】
また、カバー部11bを閉じた状態では、フィードローラ22が分離ローラ23に当接し、分離ローラ23がばねの付勢方向と反対方向に沈む(フィードローラ22から離れる方向に移動する)。この結果、フィードローラ22と分離ローラ23とが弾性的に当接する。
【0021】
[情報読取部]
情報読取部3は、
図1及び
図2に示すように、装置本体11のシート搬送方向中間部に配置され、搬送ローラ対31、32と、情報読取手段であるイメージセンサ33と、規制部材であるプラテンローラ34と、シールド部材36と、を備える。搬送ローラ対31、32は、それぞれイメージセンサ33のシート搬送方向上流と下流とに配置され、シートを挟持しつつ搬送する。このために、搬送ローラ対31、32は、それぞれ駆動ローラ31a、32aと、対向部材である従動ローラ31b、32bとから構成される。
【0022】
このうちの駆動ローラ31a、32aはそれぞれ本体部11aに支持され、不図示の駆動源であるモータにより回転駆動する。従動ローラ31b、32bは、駆動ローラ31a、32aにそれぞれ対向して配置され、駆動ローラ31a、32aとの間でシートを挟持する。このような従動ローラ31b、32bは、それぞれカバー部11bに回転自在に、且つ、駆動ローラ31a、32aに対する遠近動自在に支持されている。また、後述する第1付勢部である突出板部38により従動ローラ31b、32bをそれぞれ駆動ローラ31a、32aに付勢して、従動ローラ31b、32bと駆動ローラ31a、32aとで、それぞれニップ部N1、N2を形成している。駆動ローラ31a、32aが回転すると従動ローラ32a、32bが従動して回転し、ニップ部N1、N2に挟持されたシートを、フィードローラ22による搬送方向と同方向に搬送する。
【0023】
イメージセンサ33は、CIS(密着型イメージセンサ)であり、従動ローラ31b、32bにそれぞれシート搬送方向に隣接して(挟まれるように)配置され、シートの表面の情報を読み取る。このようなイメージセンサ33は、
図3に示すように、ケーシングであるフレーム33a内に、光源(発光素子)であるLED33bと、レンズ・アレイ33cと、受光素子33dとが配設されてなる。また、フレーム33aの搬送路13側の面にはコンタクトガラス33eが設置されている。また、イメージセンサ33は、
図4に示すように、シートの幅方向(搬送方向に直交する方向)に長く、搬送可能な最大サイズのシートの幅に対応している。そして、シート幅方向全体の情報を読み取れるように構成されている。
【0024】
このように構成されるイメージセンサ33は、搬送路13内を搬送されるシートがコンタクトガラス33eと対向する位置を通過する際に、LED33bにより光を射出するようになっている。射出された光は、画像読取位置Aにおいてシートに照射され、この反射光がレンズ・アレイ33cを介して受光素子33d上に結像される。そして、光電変換された後、画像情報が電気信号として読み取られる。
【0025】
このような構成のイメージセンサ33は、焦点深度が浅いため、シートの情報を良好に読み取る場合には、コンタクトガラス33eの表面にシートを密着させる必要がある。このために本実施形態の場合には、イメージセンサ33の読取位置の対向側にプラテンローラ34を設けて、シートをイメージセンサ33のコンタクトガラス33eに押圧させるようにしている。
【0026】
即ち、プラテンローラ34を、本体部11aのイメージセンサ33のコンタクトガラス33eと対向する位置に回転自在に、且つ、イメージセンサ33に対する遠近動は不能に配置されている。また、コンタクトガラス33eとプラテンローラ34との接触による負荷の発生を防止するため、プラテンローラ34はコンタクトガラス33eに対して所定の微小間隙をもって配設されている。このように構成されるプラテンローラ34は、イメージセンサ33に対するシートの位置を規制する。
【0027】
一方、イメージセンサ33は、カバー部11bにプラテンローラ34に対する遠近動自在に支持され、後述する第2付勢部である折曲板部39によりプラテンローラ34に向けて付勢されている。イメージセンサ33とプラテンローラ34との間に搬送されたシートは、プラテンローラ34によりイメージセンサ33に対する位置を規制される。そして、この状態でイメージセンサ33がプラテンローラ34に向けて付勢されることにより、シートが相対的にコンタクトガラス33eに押し付けられる。
【0028】
より具体的に説明する。イメージセンサ33は、
図5に示すように、搬送路13を構成し、カバー部11bに固定された樹脂製の搬送フレーム35に一体形成されたセンサ収納部35aに読取部と反対側から矢印a方向に収納される。ここで、搬送フレーム35のセンサ収納部35aの両側部分には、フック部35bがそれぞれ一体に形成されている。フック部35bは、基端のみが搬送フレーム35に連続する板状のもので、その先端内側には傾斜面35b−1とストッパ面35b−2とを有する突起が一体形成されている。
【0029】
イメージセンサ33をセンサ収納部35a内に矢印a方向から収納する際には、イメージセンサ33の両端がフック部35bの傾斜面35b−1を押圧してフック部35bを押し広げる。そして、イメージセンサ33をセンサ収納部35a内に収納すると、フック部35bが元の状態に戻り、ストッパ面35b−2がイメージセンサ33の表面の両端部分に係止され、イメージセンサ33がセンサ収納部35aから脱落することを防止する。センサ収納部35aの深さはイメージセンサ33の厚さよりも深くなっているため、イメージセンサ33は、センサ収納部35a内で移動可能である。
【0030】
このような搬送フレーム35は、
図6に示すように、センサ収納部35aのイメージセンサ33を収納する開口側と反対側に底板35cを有する。底板35cには、複数(図示の例では2個)の開口部35dと、複数(図示の例では3個)のフック部35eとを形成している。フック部35eは、底板35cの幅方向(シート搬送方向に直交する方向)両端部と中央部とから、それぞれ底板35cから突出させ幅方向に関して同方向に折り曲げて形成されている。開口部35dは、3個のフック部35eの間にそれぞれ、底板35cを貫通するように形成されている。
【0031】
搬送フレーム35のセンサ収納部35aのシート搬送方向両側には、
図6に示すように、従動ローラ31b、32bがそれぞれ配置されている。従動ローラ31b、32bは、装置本体11のカバー部11bの回転支持部を介して接地する従動回転軸31c、32cを有する。なお、このような従動ローラ31b、32bの各従動回転軸31c、32cは、それぞれ導電性部材(導電性材料)から形成されている。
【0032】
また、本実施形態の場合、イメージセンサ33の読取側とは反対側には、シールド部材36が配置されている。このシールド部材36は、イメージセンサ33を保持する部材である。このようなシールド部材36は、例えば、本実施形態では、弾性を有する導電性材料により形成され、少なくともイメージセンサ33のプラテンローラ34と対向する側(読取部)を除く周囲を囲うように配置されると共に接地されている。このようなシールド部材36は、上述した第1付勢部(突出板部38)及び第2付勢部(折曲板部39)と一体に形成されている。言い換えれば、シールド部材36は、従動ローラ31b、32bを駆動ローラ31a、32aに向けて付勢すると共に、イメージセンサ33をプラテンローラ34に向けて付勢する一体の付勢手段を構成する。また、シールド部材36は、イメージセンサ33が配置される搬送フレーム35のセンサ収納部35aを囲うように配置され、固定される。
【0033】
即ち、シールド部材36は、
図2及び
図7に示すように、リン青銅やステンレス鋼等の金属板に所定の加工を施した板金製で、ケース部37と、突出板部38と、折曲板部39とを有する。ケース部37は、一部が開放した略直方体状に形成され、イメージセンサ33を囲うもので、基板部37aと、基板部37aの(組み付け状態でシート搬送方向)両端部をそれぞれ同方向に折り曲げた一対の側板部37bとから構成される。側板部37bの長手方向(組み付け状態で幅方向)中間部には、それぞれ突出板部38が形成されている。突出板部38は、シールド部材36の装置本体11に対する組み付け状態で、それぞれ従動ローラ31b、32b側(対向部材側)に突出するように形成される。基板部37aには、複数(図示の例では3個)の開口部37cと、複数(図示の例では2個)の折曲板部39とを形成している。
【0034】
このように構成されるシールド部材36は、金属板に打ち抜き、折り曲げ加工などを施して形成される。即ち、略長方形に形成された金属板の両端部を折り曲げることにより、基板部37aと一対の側板部37bとを形成する。また、一対の側板部37bの長手方向中間部に、それぞれ長手方向と直角な方向に関し中間部から端縁まで2個所切れ目を入れて、切れ目の間部分を端縁が外側に向くように折り曲げることにより、側板部37bから突出する突出板部38を形成する。
【0035】
なお、図示の例の場合、側板部37bの突出板部38を折り曲げる前の部分は、側板部37bの他の部分よりも突出させている。即ち、側板部37bの突出板部38を形成する部分だけ幅が大きくなっている。これにより、突出板部38の突出量を大きくしている。この突出板部を形成する前の部分の形状は、シールド部材の形状や従動ローラの位置などから決定する。したがって、突出板部38を形成する前の部分の幅が側板部37bの他の部分と同じとなる場合もあるし、短くなる場合もある。
【0036】
また、基板部37aの2個所にそれぞれ長方形の1辺を除く3辺に切れ目を入れて、3辺により囲まれる部分をケース部37内に配置されるイメージセンサ33に向けて(情報読取手段側に)折り曲げることにより折曲板部39を形成する。折曲板部39が形成される位置は、後述するようにシールド部材36を搬送フレーム35に配置した状態で、開口部35dに対応する位置である。折曲板部39の先端部分は、この折曲方向と反対側に折り曲げられている。
【0037】
更に、基板部37aの3個所を打ち抜くことにより3個の開口部37cを形成する。開口部37cが形成される位置は、次述するようにシールド部材36を搬送フレーム35に配置した状態で、フック部35eにそれぞれ対応する位置である。
【0038】
上述したように、突出板部38は従動ローラ31b、32bを付勢する第1付勢部を、折曲板部39はイメージセンサ33を付勢する第2付勢部を、それぞれ構成する。そして、このような突出板部38及び折曲板部39を有するシールド部材36は、
図8に示すように、イメージセンサ33が配置される搬送フレーム35に固定される。即ち、シールド部材36のケース部37を搬送フレーム35のセンサ収納部35aを覆うように配置する。この際、センサ収納部35aのフック部35eと、ケース部37の開口部37cとを整合させ、フック部35eを開口部37cに挿入する。そして、フック部35eを開口部37cの端部に引っ掛けることにより、シールド部材36が搬送フレーム35の厚さ(深さ)方向(
図5の矢印a方向とその逆方向)に移動不能に固定される。
【0039】
この状態で、折曲板部39とセンサ収納部35aの開口部35dとが整合し、折曲板部39が開口部35dを通って、センサ収納部35a内に進入する。そして、
図2に示すように、センサ収納部35a内に配置されたイメージセンサ33のコンタクトガラス33eと反対側の面に折曲板部39が弾性的に当接して、イメージセンサ33をプラテンローラ34(搬送路側)に向けて付勢する。また、突出板部38は、センサ収納部35aに隣接して配置される従動ローラ31b、32bの従動回転軸31c、32cに弾性的に当接して、従動ローラ31b、32bをそれぞれ駆動ローラ31a、32aに向けて(駆動ローラ側に)付勢する。
【0040】
このように、イメージセンサ33と従動ローラ31b、32bとに、それぞれシールド部材36に一体形成した突出板部38及び折曲板部39により、バネ圧をかける。この際、シールド部材36が、フック部35eと開口部37cとの係合により搬送フレーム35に固定されているため、バネ圧に対する反発力により、シールド部材36が搬送フレーム35から浮くことを押さえられる。この結果、突出板部38及び折曲板部39によるバネ圧を、確実にイメージセンサ33と従動ローラ31b、32bとに、それぞれかけることができる。
【0041】
また、突出板部38或いは折曲板部39にバネ圧がかかっている状態では、フック部35eと開口部37cとの係合が外れにくくなるため、シールド部材36が搬送フレーム35から不用意に外れにくくなる。一方、突出板部38或いは折曲板部39にバネ圧がかかっていない状態では、シールド部材36の搬送フレーム35に対する着脱が簡単にできる。
【0042】
また、突出板部38及び折曲板部39は、搬送されるシートの厚みによって撓み量を変えるため、様々な厚みのシートの搬送を安定して行える。また、本実施形態の場合、2個の折曲板部39がイメージセンサ33をそれぞれ付勢する位置は、イメージセンサ33の幅方向中央部からほぼ等距離の位置とする。また、2個の突出板部38がそれぞれ従動ローラ31b、32bを付勢する位置は、それぞれ従動回転軸31c、32cのほぼ軸方向中央部とする。これにより、それぞれイメージセンサ33及び従動ローラ31b、32bを、それぞれ安定して付勢することができる。
【0043】
また、上述したようにシールド部材36は接地されているので、シールド部材36と一体的に設けられた突出板部38が当接する従動回転軸31c、32cも、シールド部材36を介してそれぞれ接地されることになる。これにより、シートの搬送中に発生する静電気をシールド部材36からグラウンドに逃がすことができる。したがって、静電気により発生するノイズが、読み取った画像等に悪影響を及ぼしてしまうのを未然に防ぐことができる。
【0044】
即ち、シールド部材36はリン青銅やステンレス鋼等の金属製とされ、導電性を有する。また、このシールド部材36の一部は、間接的に図示しない装置本体11の電気的なグランド部材に接続されている。したがって、シート搬送により従動ローラ31b、32bのそれぞれにおいて軸部とローラ部の間で発生した静電気は、シールド部材36を介してグランド部材へ逃がすことが可能となり、静電気による影響を未然に防止することができる。
【0045】
なお、本実施形態では、従動ローラ31b、32bの各従動回転軸31c、32cをシールド部材36によって付勢しつつ同時に接地した構造例を説明したが、本発明は勿論これに限定されない。例えば、従動ローラ31b、32bの各従動回転軸31c、32cを別のルートで接地(例えば、装置本体11のカバー部11bの回転支持部で接地)し、これら各従動回転軸31c、32cを付勢する部材を接地するようにしてもよい。
【0046】
[排出部]
排出部4は、
図1に示すように、装置本体11のシート搬送方向下流に配置され、搬送路13と連続するU字搬送路41と、排紙ローラ対43と、排紙トレイ44と、シート抑え部材45と、を有する。このうちのU字搬送路41は、U字状に形成されたシートが搬送される搬送路である。このようなU字搬送路41は、カバー部11bの下面に形成されたU字状の曲面部41aと、ヒンジ46により装置本体11に接続されたU字状の湾曲部材41bとから構成される。
【0047】
また、排紙ローラ対43は、U字搬送路41の出口に設けられ、シートをU字搬送路41から排出する。このような排紙ローラ対43も、駆動ローラと従動ローラとから構成され、一方のローラをカバー部11bに、他方のローラを湾曲部材41bにそれぞれ設けている。
【0048】
また、排紙トレイ44は、カバー部11bの本体部11aと反対側の面に形成され、排紙ローラ対43から排出されたシートを積載する。この排紙トレイ44は、水平方向に傾斜した傾斜面44aと、この傾斜面44aの下端縁から斜め上方に折り曲げるように規制された支え面44bとから構成される。この支え面44bの先端は排紙ローラ対43の出口近傍に存在する。排紙ローラ対43から排出されるシートは、傾斜面44aに向かって飛び出て、下端縁が支え面44bに支えられつつ、傾斜面44aに重なるように載置される。
【0049】
また、シート抑え部材45は、排紙トレイ44に積載されたシートを抑え付けて、シートが、外乱などの影響により排紙トレイ44から落下しないようにするものである。このようなシート抑え部材45は、湾曲部材41bの先端からほぼ接線方向に延長するように設けられ、湾曲部材41bを
図1のように閉じた状態で、排紙トレイ44の傾斜面44aと対向する。この結果、排紙トレイ44に排出されたシートは、傾斜面44aとシート抑え部材45との間に挟まれ、不用意に落下することを防止される。
【0050】
[スキャナの動作]
このような本実施形態の場合、まず、情報を読み取るシート(或いはシート束)をトレイ21に載置する。そして、この状態で、例えば、ユーザが装置に設けられた読取開始ボタンを押すなどして、動作が開始すると、フィードローラ22が回転駆動する共に、分離ローラ23が逆方向に回転する。これにより、シート束の場合には、シートが1枚ずつ分離されて搬送路13へ搬送される。一方、シートが1枚の場合には、分離ローラ23に設けられたトルクリミッタが作動し、分離ローラ23への動力伝達が切られ、この分離ローラ23はフィードローラ22の回転に従動して回転する。この結果、1枚のシートが搬送路13へ搬送される。
【0051】
搬送路13へ搬送されたシートは、イメージセンサ33の上流側の搬送ローラ対31により挟持搬送され、イメージセンサ33とプラテンローラ34との間を通過する。この際、シートがイメージセンサ33のコンタクトガラス33eに密着して、シートの情報がイメージセンサ33により読み取られる。イメージセンサ33に読み取られた情報は、装置に設けられた記憶手段(メモリ)に記憶されたり、不図示の外部端末(パーソナルコンピュータなど)に送られたりする。
【0052】
イメージセンサ33を通過したシートは、イメージセンサ33の下流側の搬送ローラ対32により挟持され、U字搬送路41に搬送される。U字搬送路41に搬送されたシートは、更に排紙ローラ対43により挟持され、排紙トレイ44に排出される。
【0053】
このように構成され作用する本実施形態の場合、従動ローラ31b、32bを付勢する第1付勢部である突出板部38と、イメージセンサ33を付勢する第2付勢部である折曲板部39とを一体に形成している。このため、第1付勢部と第2付勢部とを別々に設ける必要がなく、部品点数を削減できる。この結果、組み付け性を良好にできると共に低コスト化を図れる。
【0054】
即ち、シールド部材36の弾性を利用してイメージセンサ33及び従動ローラ31b、32bを付勢しているため、従来別途設けていた従動ローラを付勢するバネが不要となり、部品点数を少なくでき、コストを削減できる。また、部品点数が少なくなる分、組み立て性を向上させられる。
【0055】
また、突出板部38及び折曲板部39のような板バネは、コイルバネに比べ設置時に撓み方向にスペースを必要としないため装置を小型化することもできる。また、板バネはコイルバネに比べ押圧する部位が広いため、板バネの従動ローラ31b、32bを押圧する部位を従動ローラ31b、32bの軸方向に広く取ることができる。そして、従動ローラ31b、32bの従動回転軸31c、32cにかかるバネ圧を分散することができ従動ローラの撓みを防止できる。
【0056】
また、本実施の形態においては、イメージセンサ33とシールド部材36は別々に搬送フレーム35に着脱自在に装着される。この際、前述したように、シールド部材36の突出板部38或いは折曲板部39の弾性力により、イメージセンサ33とシールド部材36の搬送フレーム35に対する装着や着脱を容易に行うことができる。また、シールド部材36とイメージセンサ33とをそれぞれ別々に搬送フレーム35に取り付ける構成であるため、組み立て時や、部品交換時の作業がさらに容易になる。
【0057】
更に、突出板部38の幅を上流側と下流側でかえることで、従動ローラごとに適した付勢力(従動圧)をかけ、シートの搬送を安定化し、画像の品位を保ったまま、部品点数の削減、組み立て性の向上、装置の小型化を図ることも可能である。なお、突出板部38の上流側と下流側の双方に設けられた従動バネ部の一方を削除し、代わりにコイルバネを配置することでも同様の効果が得られる。
【0058】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態について、
図9及び
図10を用いて説明する。本実施形態では、
図9に示すように、シールド部材36に形成する突出板部38を、側板部37b毎に複数設けている。図示の例では、2個ずつ形成している。そして、
図10に示すように、シールド部材36を搬送フレーム35に取り付けた状態で、従動ローラ31b、32bの従動回転軸31c、32cの両端部を付勢するようにしている。
【0059】
このように構成される本実施形態の場合、従動ローラ31b、32bをそれぞれ付勢する突出板部38を複数設けることで、それぞれの従動ローラ312b、32bにかかるバネ圧を分散することができ、従動回転軸31c、32cの撓みを防止できる。その他の構成及び作用は、上述の第1の実施形態と同様である。
【0060】
<第3の実施形態>
本発明の第3の実施形態について、
図11ないし
図13を用いて説明する。本実施形態では、従動ローラ31b、32bが、それぞれホルダ31d、32d内に配置されている。そして、シールド部材36Aの突出板部38aの付勢力をそれぞれホルダ31d、32dを介して従動ローラ31b、32bに付与するようにしている。
【0061】
具体的に説明する。シールド部材36Aは、
図11に示すように、リン青銅やステンレス鋼等の金属板に所定の加工を施した板金製で、ケース部37と、突出板部38aと、折曲板部39とを有する。ケース部37は、イメージセンサ33を囲うもので、基板部37aと、基板部37aの(組み付け状態でシート搬送方向)両端部をそれぞれ同方向に折り曲げた一対の側板部37bとから構成される。側板部37bの長手方向(組み付け状態で幅方向)中間部には、それぞれ突出板部38aが形成されている。突出板部38aは、シールド部材36Aの装置本体11(
図1参照)に対する組み付け状態で、それぞれ従動ローラ31b、32b側に突出するように形成される。
【0062】
シールド部材36Aを組み付ける搬送フレーム35のセンサ収納部35aのシート搬送方向両側には、
図12に示すように、直方体状で、センサ収納部35aの厚さ方向に貫通するように形成されたホルダ支持部35fが、それぞれ形成されている。ホルダ支持部35fには、それぞれ従動ローラ31b、32bを支持したホルダ31d、32dが組み付けられる。また、ホルダ支持部35fは、搬送フレーム35と一体に形成されている。
【0063】
ホルダ31d、32dは、
図13に示すように、略直方体状に形成され、組み付け状態の幅方向両端部に、軸受部31d−1、32d−1と、フック部31d−2、32d−2とを形成している。軸受部31d−1、32d−1は、組み付け状態で、搬送路13に向か方向に突出形成され、フック部31d−2、32d−2は、軸受部31d−1、32d−1と逆方向に突出形成されている。
【0064】
また、ホルダ31d、32dの組み付け状態でシート搬送方向上流には、搬送フレーム35と従動ローラ31b、32bとの間に生じる搬送路中の段差を埋めるためのシート案内部材31d−3、32d−3をそれぞれ形成している。シート案内部材31d−3、32d−3は、
図11、
図13(A)に示すように、先端にシート搬送方向下流に向かうほど搬送路13側に突出するように湾曲した案内面を形成している。そして、搬送路13を搬送されるシートをニップ部N1又はN2に案内するようにしている。
【0065】
更に、
図13(B)に示すように、ホルダ31d、32dの搬送路13と反対側の底板部には、部分球面状の付勢受部31d−4、32d−4がそれぞれ突出形成されている。付勢受部31d−4、32d−4は、組み付け状態でシールド部材36Aの突出板部38aに当接し、突出板部38aの付勢力を受ける。
【0066】
従動ローラ31b、32bは、従動回転軸31c、32cがそれぞれホルダ31d、32dの軸受部31d−1、32d−1に回転自在に支持されている。従動ローラ31b、32bをホルダ31d、32dに組み付ける場合には、
図13(A)の矢印b方向から行う。具体的には、従動ローラ31b、32bを傾けながらホルダ31d、32d内に挿入し、一方の軸受部31d−1、32d−1に従動ローラ31b、32bの従動回転軸31c、32cの一端を挿入する。その後、他方の軸受部31d01、32d−1を外側に撓めながら従動回転軸31c、32cの反対側を差し込む。これにより、従動ローラ31b、32bがそれぞれホルダ31d、32dに回転自在に支持される。
【0067】
次に、上述のように従動ローラ31b、32bを支持したホルダ31d、32dを、次のように搬送フレーム35に組み付ける。まず、ホルダ31d、32dをホルダ支持部35f内に、付勢受部31d−4、32d−4側から
図12の矢印c方向に挿入する。すると、ホルダ31d、32dに設けたフック部31d−2、32−2の先端がホルダ支持部35fの開口周縁部に当接し、内側に撓みながらホルダ支持部35f内に進入する。
【0068】
フック部31d−2、32−2の先端の突起がホルダ支持部35f内を通り越すと、フック部31d−2、32−2が撓んだ状態から元の状態に戻る。そして、フック部31d−2、32−2の先端の突起がホルダ支持部35fの突出板部38が存在する側の周縁部に引っ掛かり、抜け止めとなる。また、ホルダ31d、32dがホルダ支持部35fに対して、駆動ローラ31a、32aに対して遠近動する方向に移動自在となる。
【0069】
この状態で、搬送フレーム35に組み付けられたシールド部材36Aの突出板部38aに、付勢受部31d−4、32d−4が弾性的に当接する。そして、従動ローラ31b、32bが、ホルダ31d、32dを介して駆動ローラ31a、32aに向けて付勢される。
【0070】
また、本実施形態の場合、片側に配置される第1の情報読取手段であるイメージセンサ33と対向する位置に、プラテンローラ34に代えて、シートの情報を読み取る第2の情報読取手段である第2イメージセンサ33Aを設けている。この第2イメージセンサ33Aの構成は、イメージセンサ33と同じである。但し、第2イメージセンサ33Aは、搬送路13を構成するフレームに対して固定されている。そして、イメージセンサ33のコンタクトガラス33eと第2イメージセンサ33Aのコンタクトガラス33eとの間に微小隙間を形成するようにしている。
【0071】
このように構成される第2イメージセンサ33Aは、プラテンローラ34と同様に、イメージセンサ33に対するシートの位置を規制する規制部材の役目も有する。また、本実施形態の場合、搬送路13を挟んで両側にイメージセンサ33、第2イメージセンサ33Aを設けているため、一度のシート搬送でシートの両面の情報を読み取ることができる。
【0072】
このような構成により従動ローラ31b、32bは、圧を受けても抜け方向に負荷がかからず、搬送時に抜けることが無い。また交換時は組み立て時と同様にホルダ31d、32dの軸受部31d−1、32d−1を撓ませることにより、簡単にはずすことができる。また、ホルダ31d、32dをPOM(ポリアセタール)のような滑りのよい硬い部材で作っておけば、従動ローラ31b、32bの回転の負荷を減らすことができる。また、一つのホルダ31d、32dで軸の両サイドの軸受の代わりとなり、装置の耐久性を上げることができる。また、ホルダ31d、32dに搬送路13のつなぎ(シート案内部材31d−3、32d−3)を持たせることで搬送路13内にホルダ31d、32dを配置して発生する段差を埋めることができ、ジャムなどの発生を抑えられる。また、本実施形態の場合、上述のような構成をとることで分解性に優れ、かつシート搬送中にはずれることのない従動手段を少ない部品点数で提供することができる。
【0073】
なお、上述の各実施形態の構成は、それぞれ適宜組み合わせを変えて実施することも可能である。また、各部の形状及び構造についても、同様の作用を有する他の形状及び構造に置き換えることができる。また、上述の各実施形態では、シールド部材に従動ローラを付勢する第1付勢部と、イメージセンサを付勢する第2付勢部とを一体的に形成した。但し、このような第1付勢部及び第2付勢部は、シールド部材と一体に形成されていなくても良く、別に形成されていても良い。このため、合成樹脂などの板部材で第1付勢部と第2付勢部とを一体に形成することもできる。また、駆動ローラと対向する部材は、従動ローラに限らず、表面が滑り易い部材で形成されたローラ以外の形状(例えば板状)のものであっても良い。