(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
GPS装置と、下方を撮像する撮像装置とを具備する飛行体を蛇行飛行させ、蛇行飛行で方向変換する各頂点で撮像し、少なくとも隣接する3頂点で撮像した画像の共通オーバラップ部分から特徴点を抽出し、前記画像の内の2つの頂点の2画像を組とし、少なくとも2組について、各組毎に前記GPS装置により測定した2つの前記頂点の位置情報と、前記2画像の前記特徴点とに基づき特徴点に対応する測定点の写真測量を行い、測定点の3次元座標が少なくとも2組で一致した場合の特徴点を画像の合成用のタイポイントとすることを特徴とする航空写真撮像方法。
飛行体と、該飛行体に設けられたGPS装置及び航行手段及び飛行体下方の画像を撮像する撮像装置及び画像処理部及び主演算制御部とを具備し、該主演算制御部は、前記飛行体を蛇行飛行させる飛行計画データを有し、前記GPS装置からの位置情報と前記飛行計画データに基づき飛行誘導データを作成し、該飛行誘導データに基づき前記航行手段を制御して前記飛行体を蛇行飛行させ、前記撮像装置は蛇行飛行する際の方向変換する各頂点で撮像し、前記画像処理部は少なくとも隣接する3頂点で撮像した画像の共通オーバラップ部分から特徴点を抽出し、前記主演算制御部は隣接する2画像を1組として、少なくとも2組について各組毎に前記特徴点に基づき該特徴点に対応する測定点を写真測量し、該測定点の3次元座標が少なくとも2組で一致した場合に前記特徴点をタイポイントとし、該タイポイント及び前記3頂点の位置情報に基づき前記画像の標定計算を行うことを特徴とする航空写真撮像装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0016】
先ず、
図1に於いて、本発明が実施される飛行体の飛行制御システムについて説明する。
【0017】
図1中、1は自律飛行可能な飛行体、2は地上に設置される基地制御装置であり、該基地制御装置2は、前記飛行体1とデータ通信可能であり、前記飛行体1の飛行の制御、飛行計画の設定、変更、前記飛行体1が収集した情報を保存、管理する。
【0018】
前記飛行体1は、例えば自律飛行する小型飛行体としてのヘリコプタである。該ヘリコプタ1は前記基地制御装置2から遠隔操作で操縦され、或は前記基地制御装置2から前記ヘリコプタ1の制御装置(後述)に飛行計画が設定され、飛行計画に従って、自律飛行する。
【0019】
前記ヘリコプタ1は、機体3、該機体3に設けられた所要数のプロペラ、例えば前後左右、計4組のプロペラ4,5,6,7を有し、該プロペラ4,5,6,7はそれぞれ個別に第1モータ8、第2モータ9、第3モータ10、第4モータ11(後述)に連結され、又後述する様に各第1モータ8、第2モータ9、第3モータ10、第4モータ11は独立して駆動が制御される様になっている。尚、前記プロペラ4,5,6,7及び前記第1モータ8、第2モータ9、第3モータ10、第4モータ11等は飛行体の航行手段を構成する。
【0020】
前記ヘリコプタ1の機体3には、撮像装置13及び制御装置が設けられている。前記撮像装置13はデジタル画像を取得する。該撮像装置13は、静止画像を所定時間間隔で撮像するカメラであってもよいし、或は画像を連続的に撮像するビデオカメラであってもよい。前記撮像装置13は前記機体3の下面に設けられている。又、前記撮像装置13は、撮像素子として、画素(ピクセル)の集合体であるCCD、CMOSセンサを有しており、撮像素子の中心(受光面の座標中心)と前記撮像装置13の光軸15とは合致している。
【0021】
前記撮像素子の各画素は撮像素子上の位置(座標)が特定でき、更に各画素の画角(前記光軸15に対する角度)が分る様になっている。
【0022】
前記光軸15は、前記機体3の基準位置(例えば機械中心)を通過し、前記光軸15は、前記ヘリコプタ1が水平姿勢で、鉛直線と合致する様に設定されている。前記撮像装置13は、角度θの視野角を持っており、航空写真用の画像を取得可能となっている。又、該撮像装置13で撮像した画像は、後述する様に、位置測定用の画像データとしても使用される。
【0023】
前記撮像装置13で撮像された画像は、撮像した時間、GPS装置23(後述)で測定した地心座標(3次元座標)に関連付けられて、後述する第1記憶部25に格納される。
【0024】
図2は、前記機体3に設けられる制御装置16を示している。該制御装置16は、主に測量部17、飛行制御部18、主演算制御部19、通信部20、電源部21から構成される。
【0025】
前記測量部17は、前記GPS装置23、測量部用CPU24、第1記憶部25、前記撮像装置13等から構成される。尚、前記測量部用CPU24、前記第1記憶部25は、画像処理部を構成し、後述する特徴点の抽出、画像トラッキング処理等を実行する。
【0026】
前記GPS装置23は、前記ヘリコプタ1の基準位置、例えば機械中心を測定する様に構成され、又、前記GPS装置23は前記基準位置の絶対3次元座標を測定し、測定値は地心座標(絶対座標)系から求められる地上座標系及び高度を表す。
【0027】
又、前記ヘリコプタ1が水平姿勢では、前記光軸15は前記基準位置を通過すると共に鉛直となっている。従って、前記撮像装置13は、前記ヘリコプタ1直下の所要の画角θの範囲の画像を取得可能であり、更に画像の中心は前記基準位置と合致する様に設定されている。
【0028】
前記第1記憶部25には、前記撮像装置13で取得した画像及び画像を取得した時刻が、前記画像に関連付けられて格納される様になっており、更に、画像を取得した時刻に同期させて前記GPS装置23によって前記ヘリコプタ1の3次元座標が測定され、測定された3次元座標も画像を取得した時刻に関連付けられて前記第1記憶部25に格納される様になっている。
【0029】
又、前記第1記憶部25には、撮像制御プログラム、3次元位置測定プログラム、画像処理プログラム、トラッキング処理プログラム等のプログラムが格納されている。更に、前記第1記憶部25には、前記撮像装置13で撮像された画像及び、撮像時の時間、画像を取得した時の3次元座標が前記画像に関連付けられて格納される。
【0030】
前記撮像制御プログラムは、前記ヘリコプタ1の飛行速度、前記撮像装置13の視野角θ等に基づき時間的に隣接する画像が所定の割合でオーバラップする様に、又隣接する頂点(後述)で撮像した画像が所定の割合でオーバラップする様に前記撮像装置13で撮影した画像データの取得時期を制御する。尚、画像トラッキングを行う場合は、画像データを取得し、次の画像データを取得する間も所定時間間隔で撮像する様に前記撮像装置13を制御している。
【0031】
前記画像処理プログラムは、前記撮像装置13で取得した画像から特徴点(タイポイント)を抽出する、或はタイポイントを基準として複数の画像を合成する等の画像処理を行う。
【0032】
又、前記トラッキング処理プログラムは時間的に隣接する画像間で特徴点の画像トラッキングを行い、前記画像の特徴点を順次、次画像中に特定する。尚、画像トラッキングについては特許文献2又は特許文献3に示されている。
【0033】
前記3次元位置測定プログラムは、前記GPS装置23の測定で得られる地上座標と、前記撮像装置13の画像から抽出したタイポイントに基づき、写真測量等の測定方法により前記ヘリコプタ1(基準位置)の高さ距離を演算する。従って、前記ヘリコプタ1の高さは、前記GPS装置23の測定で得られる第1高さ距離と、画像に基づき写真測量により求めた第2高さ距離が得られる。
【0034】
尚、第1高さ距離は後述する様に、前記タイポイントを確定する場合に用いられ、第2高さ距離は確定した特徴点に基づき写真測量され、第2高さ距離は前記第1高さ距離に比べて、より高い精度を持っている。
【0035】
尚、前記3次元位置測定プログラム、取得した画像及び画像を取得した位置、時刻等は後述する第3記憶部33に格納されてもよい。この場合、測定に必要な演算処理は主CPU32が実行する。
【0036】
前記測量部用CPU24は、前記撮像制御プログラムにより前記撮像装置13の撮像を制御し、前記トラッキング処理プログラムにより画像トラッキングを行い、前記画像処理プログラムにより、タイポイントの抽出、複数の画像を合成し、更に前記3次元位置測定プログラムにより第2高さ距離を演算する。
【0037】
前記飛行制御部18は、前記第1モータ8、第2モータ9、第3モータ10、第4モータ11及びこれらモータを個別に駆動制御するモータコントローラ26、該モータコントローラ26を制御する飛行制御用CPU27、第2記憶部28、前記ヘリコプタ1の水平に対する姿勢状態(傾斜)を検出して姿勢状態信号を発する姿勢検出器、例えばジャイロユニット29を具備する。
【0038】
前記第2記憶部28には、前記主演算制御部19からの飛行誘導データに基づき、飛行速度、上昇速度、降下速度、飛行方向、飛行高度等の飛行状態を演算する飛行制御プログラムが格納され、前記ジャイロユニット29からの前記姿勢状態信号に基づき姿勢制御用の情報を演算する姿勢制御プログラム等が格納されている。
【0039】
前記飛行制御用CPU27は、前記飛行制御プログラム及び前記飛行誘導データに基づき飛行制御指令を前記モータコントローラ26に送出して該モータコントローラ26を介して前記第1モータ8、第2モータ9、第3モータ10、第4モータ11を制御し、所定の飛行を実行し、又前記姿勢制御プログラムに基づき姿勢制御指令を前記モータコントローラ26に送出して、該モータコントローラ26を介して前記第1モータ8、第2モータ9、第3モータ10、第4モータ11をそれぞれ制御することで、飛行可能な姿勢に維持する。
【0040】
前記主演算制御部19は、主CPU32、第3記憶部33、入出力制御部34を具備し、該第3記憶部33には、統合プログラム、飛行誘導プログラム、通信制御プログラム等のプログラムが格納され、飛行計画データが格納されている。該飛行計画データに格納されているデータとしては、例えば飛行コース、飛行高度、撮影する場所、範囲等である。
【0041】
前記統合プログラムは、前記測量部17、前記飛行制御部18を統合して制御する。前記飛行誘導プログラムは、前記飛行計画データ及び前記GPS装置23で測定した位置情報から飛行誘導データを作成する。
【0042】
又、前記主CPU32は、前記飛行誘導プログラムにより飛行誘導データを作成し、前記統合プログラムに基づき前記入出力制御部34を介して、所要のタイミングで前記飛行誘導データを前記飛行制御部18に出力し、更に、前記測量部17からの高度測定結果に基づき、地表に対し所定の高度を維持する様、更に飛行誘導データとして前記飛行制御部18に発する。尚、飛行を制御する為の高度測定結果は、前記第1高さ距離、前記第2高さ距離のいずれが用いられてもよい。
【0043】
前記通信部20は、無線通信部35、情報通信部36等からなり、前記無線通信部35は、地上基地からの遠隔飛行制御指令を受信し、又ヘリコプタ1の飛行状態を地上基地に通信する。又、前記情報通信部36は、無線LAN或はブルートゥース(Bluetooth:登録商標)等の通信手段を用いて地上基地とヘリコプタ1間の情報の授受を行うものであり、例えば前記ヘリコプタ1が基地に着陸した状態で、前記飛行計画データが基地から前記ヘリコプタ1に送信され、或は飛行中撮像した画像、位置、時刻情報がヘリコプタ1から基地に送信される。
【0044】
前記電源部21は、例えば交換可能な可充電電池であり、基地に着陸した際に充電済の電池と交換され、消耗した電池が次に交換される迄に充電される。前記電源部21は、飛行中は前記測量部17、前記飛行制御部18、前記主演算制御部19、前記通信部20に必要な電力を供給する。
【0045】
前記撮像装置13が取得した画像、前記測量部17が測定した位置情報、タイポイントの情報は、前記通信部20を介して前記基地制御装置2に通信される。該基地制御装置2では、前記画像から、広範囲の合成画像を作成し、又ステレオ画像を作成し、或はステレオ画像に基づき写真測量を行う。
【0046】
前記測量部用CPU24、前記飛行制御用CPU27、前記主CPU32は、前記ヘリコプタ1の演算部を構成し、上記した様に前記測量部用CPU24、前記飛行制御用CPU27、前記主CPU32は、前記測量部17、前記飛行制御部18、前記主演算制御部19にそれぞれ個別に設けてもよく、或は1つの演算部を設け、該演算部に前記測量部用CPU24の機能、前記飛行制御用CPU27の機能、前記主CPU32の機能を振分ける様にしてもよい。或は、前記主CPU32を前記演算部とし、前記主CPU32に前記測量部用CPU24、前記飛行制御用CPU27のいずれか又は両方の処理を実行させ、前記測量部用CPU24、前記飛行制御用CPU27のいずれか又は両方を省略してもよい。
【0047】
又、前記第1記憶部25、前記第2記憶部28、前記第3記憶部33は、前記ヘリコプタ1の記憶部を構成する。上記した様に、前記第1記憶部25、前記第2記憶部28、前記第3記憶部33は、個別に設けてもよく、或は記憶部を1つの記憶装置とし、該記憶装置に前記第1記憶部25と前記第2記憶部28と前記撮像装置13とに対応する記憶領域を設定してもよい。
【0048】
次に、
図3により、写真測量による距離測定について説明する。
【0049】
図3に於いて、前記ヘリコプタ1はO1 地点からO2 地点へ飛行し、O1 地点とO2 地点で撮像したとする。又、O1 地点からO2 地点迄の距離Bは撮影基線長であり、41-1,41-2は、それぞれO1 地点、O2 地点での前記撮像装置13の撮像素子41を示し、画像データと同等である。尚、
図3では、前記撮像装置13の光軸15は鉛直、即ち前記ヘリコプタ1は水平姿勢の場合を示している。
【0050】
O1 地点で撮像した測定点Pの画像上(即ち撮像素子上)の位置は、p1 (x1 ,y1 )、O2 地点で撮像した測定点Pの画像上(即ち撮像素子上)の位置は、p2 (x2 ,y2 )となる。撮像素子41-1の中心0-1(原点)からp1 迄の距離をl1、撮像素子41-2の中心0-2(原点)からp2 迄の距離をl2とすると、前記撮像装置13の焦点距離f、前記撮影基線長BからP迄の距離Z(前記ヘリコプタ1の高さ距離)は、3角形O1 ,O2 ,Pと3角形O1 ,0-1,p1 及び3角形O2 ,0-2,p2 との相似関係から、Z=Bf/(l1+l2)となる。
【0051】
ここで、前記O1 地点、O2 地点の地上座標は前記GPS装置23によって測定でき、又前記撮影基線長Bは前記O1 地点とO2 地点の2点間の距離となり、前記GPS装置23の測定結果に基づき前記撮影基線長Bを求めることができる。又、測定点Pの地心位置(平面座標)も、同様にp1 (x1 ,y1 )及びp2 (x2 ,y2 )と前記GPS装置23で測定したO1 地点、O2 地点の地心位置から求めることができる。
【0052】
従って、前記ヘリコプタ1が移動する過程で順次撮像した2つの画像から、ヘリコプタ1の高度(地表からの高さ)をリアルタイムで測定(高さ距離測定)することができる。
【0053】
尚、前記GPS装置23は3次元座標を測定可能であり、地上座標と同時に高さ位置も得られるが、得られる高さの位置は絶対位置であり、地表からの高さとは異なる。又、前記GPS装置23の特性として、地上座標に比べ高さ位置の測定結果は前記GPS装置23の衛星からの受信状態に影響を受け易く、地上座標の精度に比べて悪くなっている。
【0054】
写真測量では、精度の高い地上座標を用いて画像上から測定するので、高い精度を持つ測定結果が得られ、又地上からの高さ距離が求められる。
【0055】
上記、写真測量に於いて、p1 (x1 ,y1 )及びp2 (x2 ,y2 )は、O1 地点で撮像した画像と、O2 地点で撮像した画像との共通の点に対応するものであり、前述したタイポイントに相当する。
【0056】
上記写真測量は、前記ヘリコプタ1が水平姿勢である場合を説明したが、前記ヘリコプタ1は小型軽量であり、風等の影響を受け易く、実際には、撮影の度に前記ヘリコプタ1の姿勢が変化している場合が多い。
【0057】
従って、直線状に飛行し、機体3が進行方向に対してローリングする様な状態で、画像を取得し、取得した複数の画像を合成する場合、或は画像で距離測定した場合、或は画像を広範囲画像に合成したり、ステレオ画像を作成した場合、画像が変形したり、画像が捻れたり、或は距離測定の精度が悪くなる。
【0058】
本実施例では、ヘリコプタ1(機体3)の姿勢が、変化した場合でも、画像から正確な測定、或は適正に画像の合成を可能とするものである。
【0059】
本実施例では、
図4に示す様にヘリコプタ1を蛇行させて飛行させ、飛行の方向を変換する各頂点(O1 ,O2 ,O3 ,O4 ,…,On )で、それぞれ写真撮影を行い、隣接する3頂点(図示では、O1 ,O2 ,O3 )で撮像した3つの画像41-1,41-2,41-3を組としてトリプレットマッチングするものであり、又トリプレットマッチングすることで、正確にタイポイントの対応付け(確定)を、行うものである。又、トリプレットマッチングを行う画像は、撮像する度に最新の画像を含む様に組替えられ、頂点O4 で画像が撮像されるとO2 ,O3 ,O4 で撮像された画像がトリプレットマッチングの対象となる。而して、方向変換する度にトリプレットマッチングが実行される。又、トリプレットマッチングが可能なオーバラップ部分40(
図4中、ハッチング部分)が得られる様に、方向変換する頂点間の距離、又は撮像する時間間隔が飛行スケジュールによって設定される。
【0060】
図5を参照してトリプレットマッチングについて説明する。尚、3画像の内2画像ずつによる高さ測定(写真測量)を行うが、2画像による高さ距離測定は、上記した説明と同様に行う。
【0061】
図5は、飛行中のヘリコプタ1で撮像した画像から順次高度測定を行っている状態を模式化したものである。又、
図3では、ヘリコプタ1の高度測定について説明したが、前記撮像装置13で撮像した画像全体について、画像の任意の部位についての高さ距離測定、即ち画像の部位に対応する地表面42の部位の高さ測定を実施することができる。
【0062】
前記撮像装置13で撮像した地表面42の画像について、画像処理を行い、画像中から特徴点a〜nを抽出する。特徴点の抽出については、エッジ処理、コントラスト処理等適宜な画像処理により実行される。
【0063】
又、1つの頂点で撮像した画像中から抽出した特徴点を、隣接する次の頂点で撮像した画像中に、順次特定する必要があるが、特定する方法として画像トラッキングがある。画像トラッキングでは、1つの頂点から次の頂点迄連続的に、或は所定時間間隔で画像を取得し、時間的に隣接する画像に次々に特徴点を特定(画像トラッキング)し、1つの頂点の画像の特徴点を次の頂点の画像中に対応付ける。
【0064】
尚、トリプレットマッチングを行うことから、特徴点は3画像がオーバラップした前記オーバラップ部分40(
図4参照)内で選択される。
【0065】
3画像の内2画像に於いて、例えばO1 地点の画像41-1に於いて、特徴点a1 ,b1 が抽出され、該特徴点a1 ,b1 がトラッキングにより、O2 地点の画像41-2中に特徴点a2 ,b2 として特定され、前記画像41-1,41-2により特徴点a,bの高さ測定が行われる。又、特徴点a,bの地上座標は、前記GPS装置23の測定結果に基づき演算される。而して、特徴点a,bの3次元座標が演算される。
【0066】
又他の2画像、即ちO2 地点の画像41-2とO3 地点の画像41-3に於いて、O2 地点の画像41-2からO3 地点の画像41-3に特徴点がトラッキングされ、画像41-2の特徴点(a2 ,b2 )とO3 地点の画像41-3の特徴点(a3 ,b3 )により、特徴点a,bの高さ測定が行われる。又、特徴点a,bの地上座標は、前記GPS装置23の測定結果に基づき演算される。
【0067】
又、撮像時のO1 地点、O2 地点、O3 地点の絶対高さも、前記GPS装置23によって測定できる。該GPS装置23で得られた絶対高さは、前記ヘリコプタ1の基準位置の絶対高さを示し、地表からの高さを示すものではないが、O1 地点、O2 地点、O3 地点の高さについての相対位置関係は得られる。又、撮像時のO1 地点、O2 地点、O3 地点での測定は、時間的に、又距離的に近接しており、前記GPS装置23で得られた高さの相対精度は高いものと判断できる。
【0068】
尚、上記説明では特徴点a,bの2点について説明したが、特徴点は、画像全体に亘り抽出される。従って、特徴点の3次元座標が得られることで、地表面42の状態、例えば凹凸、傾斜等も測定できる。
【0069】
上記した様に、抽出した特徴点に対応する地上の測定点A,Bについて、2組の画像による高さ測定が実行され、測定点A,Bについてそれぞれ2組の3次元座標が得られる。
【0070】
この2組の3次元座標を比較することで、前記画像41-1から前記画像41-2に、更に該画像41-2から画像41-3に順次トラッキングして特定した特徴点が正確かどうかが判定できる。
【0071】
図5に示される様に、特徴点aについて算出した2組の3次元座標が一致しており、前記画像41-1から画像41-3に正確にトラッキングされ、又測定結果も正しい(正)と判断できる。
【0072】
ところが、特徴点bについては、画像41-1と画像41-2とに基づき演算した3次元座標と、該画像41-2と画像41-3とに基づき演算した3次元座標とが一致していない、又は、設定した精度範囲を超えていた場合、トラッキングが正しくなかった、或は測定された測定点がずれていた(否)と判断できる。この場合、特徴点bについては測定結果が削除される。
【0073】
而して、抽出した特徴点全てについて、2組の3次元座標を求め、それぞれ2組の3次元座標に基づき正否判定を行い、正判定された特徴点の測定結果のみが前記第1記憶部25に蓄積される。
【0074】
尚、もう1つの他の2画像、即ちO1 地点の画像41-1とO3 地点の画像41-3及び特徴点(a1 ,b1 )(a3 ,b3 )に基づき、測定点A,Bについてもう1組の3次元座標を求めることができる。得られた3組の3次元座標が一致、又は所定精度内であった場合、或は3組の3次元座標の内、2組が一致、又は所定精度内であった場合(以下、一致した場合及び所定精度内であった場合を一致とする)は正判定としてもよい。
【0075】
正判定された特徴点をタイポイントとして、前記画像41-1、画像41-2、画像41-3を合成し、広範囲の画像を作成し、或はステレオ画像を作成する。
【0076】
更に、
図6により、トリプレットマッチング、画像の合成の流れについて説明する。
【0077】
STEP:01 前記ヘリコプタ1が飛行し、予定された測定範囲に到達すると、飛行計画に従って、蛇行飛行が開始される。蛇行飛行しつつ、前記撮像装置13により所定間隔で撮像され(或は連続画像で撮像され)、前記第1記憶部25に格納される。更に、各頂点での画像が取得されると共に頂点の画像を取得した時点での時間、前記GPS装置23で測定した3次元座標が取得される。
【0078】
STEP:02 隣接する3頂点の画像データが読込まれ、3画像がオーバラップするオーバラップ部分40が演算され、設定される。
【0079】
STEP:03 前記オーバラップ部分40内で、特徴点が抽出され、各頂点で取得した画像間で特徴点の画像トラッキングが行われ、各頂点の画像中に共通する特徴点が特定される。
【0080】
STEP:04 特定された特徴点と、前記3頂点での3次元座標に基づき、トリプレットマッチングが行われる。更に、隣接する2画像を各1組として、各組について特徴点(タイポイント)と画像に基づき写真測量が行われ、特徴点に対応する測定点の3次元座標が求められる。
【0081】
STEP:05 各組の画像で求められた3次元座標を相互に比較し、一致しているかどうかの正否判定が実行される。正判定の測量結果のみが測定データとして取得される。
【0082】
STEP:06 頂点についての前記GPS装置23の測量値(3次元座標)、即ち撮像装置13の位置と、前記特徴点をタイポイントとして3の頂点から撮影した静止画像の傾きの標定計算を実行する。標定計算の実行により2頂点間距離(基線長)と各頂点での前記撮像装置13の回転角(前記撮像装置13の向き)が決定され、3次元データを有するステレオ画像が作成可能となる。
【0083】
STEP:07 更に、読込む画像があるかどうか判断され、読込む画像がある場合は、STEP:02〜STEP:06の処理が繰返される。読込む画像がない場合は、STEP:08へ移行する。更に、前記3頂点で取得した画像の撮影位置、傾きの標定計算の局所処理を行い、更に局所処理が繰返されるので、迅速に処理が実行でき、飛行体1の正確な高度がリアルタイムで或は略リアルタイムで演算できる。
【0084】
STEP:08 3頂点の画像を1組とした画像の標定(局所標定)を順次連続して実行し、各頂点で撮像した静止画像の前記撮像装置13の位置、傾きの初期値を求め、最終的にバンドル調整(ブロック)で一括して解析し、撮像された各頂点のカメラ位置と傾きを高精度で演算する。得られたカメラ位置と傾きに基づき、全画像の最適化、或は全画像の合成、ステレオ画像の作成を実行する。