(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
発行前のカードが収容されるカード収容部と、上下方向で前記カード収容部と重なるように前記カード収容部の下側に配置され前記カードが回収されるカード回収部とを備え、
前記カード収容部は、収容部本体と、前記カードが積層されて収容されるとともに前記収容部本体に着脱可能なカードカセットと、前記カードカセットの外部へ前記カードを送り出すカード送出機構とを備え、
前記カード送出機構による前記カードの送出方向を第1搬送方向とすると、前記収容部本体よりも前記第1搬送方向側にある前記カードは、前記第1搬送方向の逆方向となる第2搬送方向に搬送されると前記カード回収部に回収され、
前記カードカセットは、前記カードカセットの底面側に配置され前記カードカセットに収容されたカードが載るカード搭載部と、前記カードの送出方向に直交する前記カードの幅方向において前記カードカセットの両側面を構成するカセット側面部とを備え、
前記カセット側面部は、前記カード搭載部よりも下側へ突出する突出部を備え、
前記突出部は、前記カード回収部へ搬送される前記カードを前記カードの幅方向において案内するガイド部となっていることを特徴とするカード発行装置。
前記カードの幅方向における前記突出部の内側面の前記第1搬送方向側の端部は、前記第1搬送方向に向かうにしたがって前記カードの幅方向の外側に広がる傾斜面となっていることを特徴とする請求項1記載のカード発行装置。
前記カードカセットの下端側の前記第1搬送方向側の端部には、前記カード回収部へ搬送される前記カードを前記カード回収部へ向かう下方向へ案内する第2ガイド部が配置され、
前記第2ガイド部は、前記第2搬送方向に向かうにしたがって下方向へ傾斜するように形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のカード発行装置。
前記カードカセットおよび前記収容部本体には、前記収容部本体からの前記カードカセットの抜取りを防止する鍵を装着するための装着孔が形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のカード発行装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
(カード発行装置の概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるカード発行装置1の斜視図である。
図2は、
図1に示すカード発行装置1の側面図である。
【0019】
本形態のカード発行装置1は、内部に収容されたカード2を発行する機能と、不要、使用済み、あるいは、エラーとなったカード2(以下、「不要なカード2」とする。)を回収する機能とを備えている。このカード発行装置1は、カード2に記録された情報の再生および/またはカード2への情報の記録を行うカードリーダ3と、収容されたカード2を発行するとともに、不要なカード2を回収するカード発行回収部4と、カードリーダ3が搭載されるとともにカード発行装置1の制御基板5が収容される搭載部6とを備えている。本形態では、搭載部6に搭載されたカードリーダ3とカード発行回収部4とは、
図2の右側からこの順番で互いに接するように配置されている。
【0020】
以下の説明では、互いに直交する3方向をX方向、Y方向およびZ方向とする。本形態では、上下方向とZ方向とが一致している。また、Y方向を左右方向とし、X方向を前後方向とするとともに、X1方向側を「前」側とし、X2方向側を「後(後ろ)」側とする。また、本形態では、Z方向は、カード発行回収部4に収容されたカード2の厚さ方向と一致し、Y方向は、カード発行回収部4に収容されたカード2の幅方向(短手幅方向)と一致し、X方向は、カード発行回収部4に収容されたカード2の長さ方向(長手幅方向)と一致している。
【0021】
本形態のカード2は、たとえば、厚さが0.7〜0.8mm程度の矩形状の塩化ビニール製のカードである。このカード2には、たとえば、磁気情報が記録される磁気ストライプが形成されている。なお、カード2には、ICチップが固定されても良い。また、カード2には、通信用のアンテナが内蔵されても良いし、カード2に、感熱方式によって印字が行われる印字部が形成されても良い。さらに、カード2は、厚さが0.18〜0.36mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)カードや、所定の厚さの紙カード等であっても良い。
【0022】
カードリーダ3は、カード2が挿入、排出されるカード挿入排出部7と、本体部8とを備えている。カード挿入排出部7は、本体部8の前端に固定されている。本体部8の内部には、カード2が搬送されるカード搬送路が直線状に形成されている。このカード搬送路には、3個の駆動ローラ9〜11と、駆動ローラ9〜11のそれぞれに対向配置されるとともに駆動ローラ9〜11に向かって付勢されるパッドローラ12〜14とが配置されている。本形態では、カード搬送路の上側からカード搬送路に臨むように、駆動ローラ9〜11が配置され、駆動ローラ9〜11の下側からパッドローラ12〜14が対向している。また、駆動ローラ9〜11は、前側から後ろ側に向かってこの順番に所定のピッチで配置されている。駆動ローラ9〜11は、モータ等の駆動源およびプーリやベルト等の動力伝達機構を有するローラ駆動機構15に連結されている。
【0023】
なお、カードリーダ3は、たとえば、使用されるカード2が磁気ストライプを有する磁気カードである場合には、磁気ヘッドを備えている。また、カードリーダ3は、使用されるカード2がICチップを有する接触式ICカードである場合には、IC接点を備え、使用されるカード2が通信用アンテナを有する非接触式ICカードである場合には、通信用のアンテナを備えている。さらに、カードリーダ3は、使用されるカード2が印字部を有する場合には、感熱方式で印字等を行うサーマルヘッドを備えている。
【0024】
カード発行回収部4は、発行前のカード2が収容されるカード収容部20と、不要なカード2が回収されるカード回収部21とを備えている。カード回収部21は、上下方向でカード収容部20に重なるようにカード収容部20の下側に配置されている。また、カード発行回収部4は、カード回収部21へカード2を案内するための板バネ22および規制ローラ23を備えている(
図4参照)。以下、カード発行回収部4の構成を説明する。
【0025】
(カード発行回収部の構成)
図3は、
図1に示すカード発行装置1の底面図である。
図4は、
図2(A)のE部の構成のうち、カード回収部21およびカード送出機構47の構成を説明するための側面図である。
図5は、
図4に示すリジェクトスタッカ33を示す図であり、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)は背面図である。
図6は、
図2(A)のE部の構成のうち、カード回収部21およびカードカセット46の下端側の構成を説明するための図である。
図7は、
図1に示すカードカセット46の下端側部分の正面図である。
図8は、
図6に示すカセット底面部62および板バネ22の側面図である。
図9は、
図7のF−F断面の断面図である。
【0026】
カード発行回収部4は、カード発行回収部4の左右の側面を構成する2枚の側面部25と、カード発行回収部4の上端側の前面を構成する前面部26と、カード発行回収部4の上端側の後面を構成する後面部27とを備えている。側面部25の上端側部分と前面部26と後面部27とによって、カード収容部20の収容部本体28が構成されている。また、側面部25の下端側部分とカード発行装置1のベース板29の後端側部分とによって、カード回収部21が構成されている。
【0027】
カード回収部21は、前後方向において、駆動ローラ11およびパッドローラ14の直後に配置されている。カード回収部21の底面部は、ベース板29の後端側部分によって構成されている。ベース板29の後端側部分には、
図3に示すように、開口部30が形成されている。開口部30は、ベース板29の後端から前側に向かって窪むように、ベース板29の左右方向の中間位置に形成されている。また、開口部30は、上下方向から見たときの形状が略長方形状となるように形成されている。開口部30の大きさは、後述のリジェクトスタッカ33がカード回収部21に取り付けられていないときに、カード回収部21に回収されたカード2が下側に向かって通過可能な大きさとなっている。
【0028】
また、上述のように、カード回収部21は、側面部25の下端側部分とベース板29の後端側部分とによって構成されており、カード回収部21の後面は、開口している。すなわち、カード回収部21の後面部には、第2開口部としての開口部31が形成されている。
【0029】
カード回収部21の内部には、
図4に示すように、回収される不要なカード2を収容可能なリジェクトスタッカ33が着脱可能となっている。リジェクトスタッカ33は、
図5に示すように、スタッカ本体部34と、レバーストッパ35とを備えている。スタッカ本体部34およびレバーストッパ35は、たとえば、薄鋼板等の薄い金属板が折り曲げられることで形成されている。
【0030】
スタッカ本体部34は、回収されたカード2が載るカード載置部34aと、スタッカ本体部34の前面部分を構成する前面部34bと、リジェクトスタッカ33をカード回収部21に固定するための2個の固定部34cとを備えている。カード載置部34aには、カード載置部34a上にカード2が有るか否かを検出するためのセンサ36が取り付けられるセンサ取付部34dが形成されている。前面部34bは、カード載置部34aの前端から上側に向かって立ち上るように形成されている。固定部34cは、カード載置部34aの左右の両端のそれぞれから下方向へ立ち上るように形成されている。固定部34cには、リジェクトスタッカ33をカード回収部21に固定するためのネジ37(
図1参照)が螺合するメネジ34eが形成されている。
【0031】
センサ36は、カード載置部34aに載ったカード2に接触して回動するレバー部材38と、レバー部材38を回動可能に保持するセンサ本体39とを備えている。センサ本体39の内部には、発光素子と受光素子とが配置されており、たとえば、発光素子と受光素子との間をレバー部材38が遮ると、カード載置部34aにカード2があることが検出される。また、センサ本体39には、左右方向の両側に配置される係合爪部39aが形成されている。係合爪部39aは、左右方向に弾性変形可能となっている。
【0032】
センサ取付部34dは、カード載置部34aの略中心位置に形成される開口部34fの中に配置されている。このセンサ取付部34dは、開口部34fの後端の縁から下側へ延びた後に前側に向かって延びるように形成されている。
図5(A)に示すように、センサ取付部34dには、センサ36が配置される切欠部34gがセンサ取付部34dの前端から後端側に向かって窪むように形成されている。また、センサ取付部34dには、センサ36の係合爪部39aが係合する係合凹部34hが切欠部34gから左右方向の外側に向かって窪むように形成されている。
【0033】
本形態では、センサ36の係合爪部39aを左右方向の内側へ弾性変形させた状態で、センサ36を切欠部34gに配置し、その後、係合爪部39aの弾性力を利用して、係合凹部34hに係合爪部39aを係合させることで、センサ36がセンサ取付部34dに取り付けられている。そのため、センサ取付部34dへのセンサ36の着脱が容易である。
【0034】
レバーストッパ35は、スタッカ本体部34の後端側に左右方向を軸方向として固定された固定軸40に回動可能に支持されている。また、レバーストッパ35は、ネジリコイルバネ41によって、固定軸40を中心に
図5(B)の時計回りの方向(時計方向)に付勢されている。レバーストッパ35の時計方向の回動範囲は、カード載置部34aの後端によって規制されている。
【0035】
外力が作用していないときのレバーストッパ35は、ネジリコイルバネ41の付勢力によって、カード載置部34aの後端側から上方向へ立ち上った状態となっており、カード回収部21に回収されるカード2の後端(X2方向端)は、レバーストッパ35に当たって、回収されるカード2がリジェクトスタッカ33に順次、積層される。このように、レバーストッパ35は、リジェクトスタッカ33に回収されるカード2がリジェクトスタッカ33の後ろ側への落下するのを防止する機能を果たしている。また、固定軸40を中心に
図5(B)の反時計回りの方向にレバーストッパ35を回動させれば、レバーストッパ35は、後ろ側へ倒れる。レバーストッパ35が後ろ側に倒れると、リジェクトスタッカ33に回収されたカード2を開口部31から取り出すことが可能になる。
【0036】
リジェクトスタッカ33は、上下方向と左右方向とによって形成される平面と前面部34bとが略平行になるように、かつ、水平面に対して、カード載置部34aが傾斜するように、カード回収部21の内部に固定されている。また、リジェクトスタッカ33は、左右方向における固定部34cの外側面と左右方向における側面部25の内側面とが当接するように、かつ、左右方向における側面部25の外側から取り付けられるネジ37によって、側面部25に取り付けられている。なお、カード回収部21の内部にリジェクトスタッカ33が取り付けられているときには、センサ36の配線は、リジェクトスタッカ33に回収されるカード2に接触しない位置を引き回されている。
【0037】
リジェクトスタッカ33には、左右方向における固定部34cの外側面よりも左右方向の外側へ突出する部材が取り付けられていない。そのため、ネジ37を取り外せば、開口部31を介してカード回収部21の内部からリジェクトスタッカ33を容易に取り外すことが可能である。また、開口部31からカード回収部21の内部にリジェクトスタッカ33を容易に挿入することが可能であり、したがって、ネジ37によって、カード回収部21の内部にリジェクトスタッカ33を容易に取り付けることが可能である。
【0038】
本形態では、カード回収部21の内部にリジェクトスタッカ33が取り付けられると、
図2(A)に示すように、カード回収部21へ回収されたカード2はリジェクトスタッカ33に収容される。一方、カード回収部21にリジェクトスタッカ33が取り付けられていないときには、
図2(B)に示すように、カード回収部21に回収されたカード2は、開口部30を通過してカード回収部21の下側へ排出される。カード回収部21の下側へ排出されたカード2は、たとえば、カード回収部21の下側に設置された回収箱に収容される。
【0039】
カード回収部21には、
図2(B)に示すように、開口部31を覆うカードストッパ42が着脱可能となっている。カードストッパ42は、カード回収部21にリジェクトスタッカ33が取り付けられていないときに、カード回収部21の後面側に取り付けられており、ベース板29の上面に固定されている。このカードストッパ42は、カード回収部21にリジェクトスタッカ33が取り付けられていないときに、カード回収部21に回収されるカード2がカード回収部21の後ろ側へ落下するのを防止する機能を果たしている。
【0040】
また、カード回収部21にリジェクトスタッカ33が取り付けられていないときには、リジェクトスタッカ33からセンサ36が取り外されている。本形態のカード発行装置1は、リジェクトスタッカ33から取り外されたセンサ36を保持するための保持部材43を備えている(
図1参照)。保持部材43は、たとえば、細長くて薄い金属板によって形成されており、容易に塑性変形する。また、保持部材43は、ゴム等で形成された保護部材によって覆われている。この保持部材43は、
図1に示すように、側面部25の前端と搭載部6の後面との間でベース板29に固定されており、たとえば、左右方向における側面部25の外側面と保持部材43との間で、リジェクトスタッカ33から取り外されたセンサ36が保持される。このときには、センサ36の配線は、カード回収部21の下側へ排出されるカード2に接触しない位置を引き回されている。
【0041】
なお、カード回収部21にリジェクトスタッカ33が取り付けられていないときに、センサ36の配線を切断して、センサ36を取り外しても良い。本形態では、センサ36の配線が切断されてもエラーとならないように、プログラム(ソフトウエア)が設定されている。
【0042】
カード収容部20は、上述のように、側面部25の上端側部分と前面部26と後面部27とによって構成される収容部本体28を備えている。また、カード収容部20は、発行前の複数のカード2が上下方向に積層されて収容されるカードカセット46と、カードカセット46に収容された複数のカード2の中で一番下に収容されているカード2(最下位のカード2)をカードカセット46の外部へ(具体的には、駆動ローラ11に向かって)送り出すカード送出機構47とを備えている。
【0043】
カード送出機構47は、
図4に示すように、カードカセット46に収容された最下位のカード2の後端に係合するとともに、カードカセット46からカード2を1枚ずつ送り出す送出爪48と、送出爪48が固定されるチェーン49と、チェーン49が掛け渡される一対のスプロケット50、51と、送出爪48を駆動するモータ52と、モータ52の動力をスプロケット51へ伝達する一対のプーリ53、54およびプーリ53、54に掛け渡されたタイミングベルト55とを備えている。また、カード送出機構47は、平板状の上面部56aと上面部56aの左右両端から下側へ立ち上る平板状の2枚の側面部56b(
図7参照)とを有するベース部材56を備えている。
【0044】
スプロケット50は、回転軸57に固定され、スプロケット51は、回転軸58に固定されている。回転軸57、58は、ベース部材56の側面部56bに回転可能に支持されている。
図4に示すように、チェーン49およびスプロケット50、51は、ベース部材56の上面部56aよりも下側に配置されている。プーリ53は、前側に配置されるスプロケット51の回転軸57に、スプロケット51と平行に固定されている。プーリ54は、モータ52の出力軸に固定されている。モータ52は、搭載部6に配置されている。
【0045】
ベース部材56の左右方向の幅は、2枚の側面部25の間隔の半分程度となっている。ベース部材56は、左右方向において、2枚の側面部25間の略中心位置に配置されている。また、ベース部材56の上面部56aは、上下方向において、カードリーダ3の内部に形成されるカード搬送路よりもわずかに下がった位置に配置されている。上面部56aには、送出爪48が通過する通過溝が形成されている。なお、ベース部材56には、収容部本体28に取り付けられたカードカセット46内にカード2があるか否かを検出するためのセンサ59が取り付けられている。センサ59は、センサ36と同様に構成されている。
【0046】
スプロケット50、51が回転すると、送出爪48はスプロケット50、51間を往復する。本形態では、スプロケット50、51が、
図4における時計回りの方向に回転して、送出爪48がスプロケット50からスプロケット51に向かって移動するときに、カードカセット46を構成する後述のカード搭載部62aおよび上面部56aよりも上側を送出爪48の上端側が通過する。送出爪48の上端側がカード搭載部62aおよび上面部56aよりも上側を通過すると、送出爪48が、最下位のカード2の後端に当接して、最下位のカード2を前側へ送り出す。また、送出爪48がスプロケット51からスプロケット50に向かって移動するときには、送出爪48はスプロケット50、51よりも下側を通過する。
【0047】
カードカセット46は、略直方体状に形成されるとともに、内部にカード2が収容可能となるように中空状に形成されている。このカードカセット46は、収容されたカード2が載るカセット底面部62と、カードカセット46の左右の側面を構成する2枚のカセット側面部63と、カードカセット46の前面を構成するカセット前面部64と、カードカセット46の後面を構成するカセット後面部65と、カードカセット46の上面を構成するカセット上面部66とを備えている。カードカセット46は、収容部本体28に着脱可能となっている。なお、カードカセット46の内部では、積層されたカード2の上に錘が載せされている。
【0048】
カセット上面部66は、2枚のカセット側面部63の一方に回動可能に取り付けられており、開閉可能となっている。すなわち、カードカセット46の上面は、開閉可能となっている。カセット上面部66には、カセット上面部66が開かないようにカセット上面部66をロックする鍵67(
図1参照)が取り付けられている。
【0049】
カセット前面部64は、上下方向へ移動可能なシャッタ部材68(
図6、
図7参照)を備えている。シャッタ部材68は、前後方向において、カセット側面部63の前端よりも後ろ側に配置されている。また、シャッタ部材68は、カセット前面部64の下端側に配置されている。カードカセット46が収容部本体28から取り外されているときには、シャッタ部材68の下端がカセット底面部62の下面よりも下側へ下がった状態で、シャッタ部材68がロックされており、カードカセット46の前側へカード2を取り出すことができないようになっている。
【0050】
一方、カードカセット46が収容部本体28に取り付けられると、収容部本体28の前面部26に設けられたシャッタ開放部材(図示省略)の作用で、シャッタ部材68が上側へ移動する。シャッタ部材68が上側へ移動すると、
図6、
図7に示すように、カセット底面部62を構成する後述のカード搭載部62aとシャッタ部材68の下端との間に、カードカセット46に収容されるカード2がカードカセット46の外側へ向かって(前側に向かって)通過するゲート69が形成される。ゲート69の上下方向の隙間は、1枚のカード2は通過できるが、2枚のカード2が重なった状態で通過できないように設定されている。
【0051】
カセット底面部62は、カード2が載る平板状のカード搭載部62aと、カセット底面部62をカセット側面部63に固定するための平板状の2枚の固定部62bとを備えている。固定部62bは、カード搭載部62aの左右の両端から下側へ立ち上るようにカード搭載部62aと一体で形成されており、カセット底面部62は、略四角溝状に形成されている。
【0052】
カード搭載部62aには、送出爪48が通過する通過溝が形成されている。また、カード搭載部62aには、センサ59のレバー部材を配置するための配置溝が形成されている。固定部62bの前端側(より具体的には、固定部62bの前端から後ろ側へ向かって所定の範囲内)は、
図8に示すように、後ろ側に向かうにしたがって下方向へ傾斜するように形成されている。左右方向における2個の固定部62bの内側面間の距離L1(
図7参照)は、カード2の幅(短手方向幅)よりもわずかに狭くなっている。また、距離L1は、ベース部材56の左右方向の幅よりも広くなっている。固定部62bは、左右方向における固定部62bの外側面と左右方向におけるカセット側面部63の内側面とが当接した状態で、カセット側面部63の下端側に固定されている。具体的には、固定部62bは、カセット側面部63を構成する後述の突出部63bの左右方向における内側面と左右方向における固定部62bの外側面とが当接した状態で、突出部63bに固定されている。
【0053】
カセット側面部63は、平板状に形成されている。カセット側面部63の上端側には、収容部本体28からのカードカセット46の抜取りを防止する鍵(図示省略)を装着するための装着孔63aが形成されている(
図1参照)。装着孔63aは、カセット側面部63の前端から前側へ突出する部分に形成されている。収容部本体28を構成する側面部25にも、収容部本体28からのカードカセット46の抜取りを防止する鍵を装着するための装着孔25aが形成されている。収容部本体28にカードカセット46が取り付けられると、左右方向において、カセット側面部63の装着孔63aと収容部本体28の装着孔25aとが重なるため、重なった装着孔25a、63aに鍵を装着することで、収容部本体28からのカードカセット46の抜取りを防止することが可能になる。
【0054】
カセット側面部63の下端側は、
図7に示すように、カード搭載部62aよりも下側へ突出した突出部63bとなっている。突出部63bは、回転軸58等と接触しないように下方向へ突出している。突出部63bの下端は、平板状に形成されるカード搭載部62aと略平行になっている。また、突出部63bの下端は、固定部62bの下端よりも下側に配置されている。なお、突出部63bは、回転軸58等と接触しない範囲において、できる限り下方向へ突出していることが好ましい。
【0055】
左右方向における突出部63bの内側面の前端側は、
図9に示すように、前側に向かうにしたがって左右方向の外側に広がる傾斜面63cとなっている。傾斜面63cは、突出部63bの前端から後ろ側に向かって所定の範囲内に形成されている。本形態では、左右方向における突出部63bの内側面の前端側が削られることで、あるいは、押し潰されることで、傾斜面63cが形成されている。また、左右方向における2個の突出部63bの内側面間の距離L2(
図7参照)は、カード2の幅よりもわずかに広くなっている。
【0056】
なお、カードカセット46へのカード2の装填および補充は、収容部本体28からカードカセット46が取り外され、作業台等の平らな場所に載せられた状態で、カセット上面部66を開けて行われる。
【0057】
板バネ22は、ステンレスの薄鋼板等の板状部材が3箇所で折り曲げられることで形成されている。板バネ22の後端側は、ベース部材56の下端側に固定されている。また、板バネ22は、
図6等に示すように、前側が高くなるように傾斜した状態で配置されている。具体的には、チェーン49およびスプロケット50、51の下側に板バネ22の後端側部分が配置され、駆動ローラ11の近傍に板バネ22の前端側部分が配置されるように、板バネ22が配置されている。
【0058】
板バネ22では、その前端側の幅(左右方向の幅)が前端に向かうにしたがって狭くなっており、板バネ22の前端側部分は、駆動ローラ11の近傍を上下方向へ移動可能となっている。また、板バネ22の前端側の幅は、左右方向における2個の突出部63bの内側面間の距離L2よりも狭くなっている。
【0059】
規制ローラ23は、側面部25に固定された固定軸(図示省略)に回転可能に取り付けられている。この規制ローラ23は、カード回収部21の前端部の上側に配置されており、板バネ22の前端側部分の上限位置を規制する機能を果たしている。また、規制ローラ23は、前後方向において、駆動ローラ11とゲート69との間に配置されており、駆動ローラ11の後ろ側で、駆動ローラ11に隣接している。板バネ22は、ベース部材56に固定された後端側部分を支点として、下側へ若干、撓んだ状態で配置されており、規制ローラ23に所定の当接力で当接している。
【0060】
本形態では、後ろ側に向かって駆動ローラ11を通過するように搬送されるカード2は、板バネ22の下側を通過して、
図4等に示すように、カード回収部21へ回収される。具体的には、後ろ側に向かって駆動ローラ11を通過するカード2は、駆動ローラ11とパッドローラ14との間に挟まれた状態で搬送され、やがて、規制ローラ23によって上方向への動きが規制されている板バネ22の下側の面に当接する。カード2が板バネ22に当接すると、カード2は、板バネ22に沿って後ろ側かつ下側へ案内されながら、駆動ローラ11によって搬送される。また、カード2が駆動ローラ11とパッドローラ14との間を抜けると、カード2は、たとえば、リジェクトスタッカ33に向かって落下する。
【0061】
一方、カード収容部20から送り出されるカード2は、板バネ22の上側を通過して、カードリーダ3側へ送り出される。具体的には、まず、送出爪48によって後端が押されたカード2の前端が、板バネ22の上側の面に当接して、板バネ22を下側に撓ませる。その後、カード2が板バネ22の前端側部分に当接しながら板バネ22の上側を通過する。
【0062】
このように、板バネ22は、カードリーダ3からカード収容部20へカード2を搬入させないが、カード収容部20からカードリーダ3へのカード2の搬送を許容している。なお、本形態では、カード送出機構47によるカード2の送出方向となる前方向は、カード2の第1搬送方向である。また、カード2の送出方向の逆方向となる後ろ方向は、カード2の第2搬送方向であり、第2搬送方向にカード2が搬送されて、カード回収部21にカード2が回収される。
【0063】
カードカセット46が収容部本体28に取り付けられた状態では、
図7に示すように、カード搭載部62aの下面がベース部材56の上面部56aの上面に当接している。具体的には、カード搭載部62aの下面から下方向へわずかに突出するエンボス部62cが上面部56aの上面に当接している。上述のように、左右方向における2個の固定部62bの内側面間の距離L1は、ベース部材56の左右方向の幅よりも広くなっており、カードカセット46が収容部本体28に取り付けられた状態では、カセット底面部62の固定部62bおよびカセット側面部63の突出部63bは、左右方向において、ベース部材56と側面部25との間に形成される空間に配置されている。
【0064】
また、カードカセット46が収容部本体28に取り付けられた状態では、
図6に示すように、カセット側面部63の突出部63bの前端側は、左右方向において、板バネ22の一部分の外側に配置され、カセット底面部62の固定部62bの前端側は、前後方向において、板バネ22の一部分の後ろ側に配置されている。
【0065】
上述のように、左右方向における2個の突出部63bの内側面間の距離L2は、カード2の幅よりもわずかに広くなっており、突出部63bの前端側は、カード回収部21へ搬送されるカード2を、左右方向において、案内する機能を果たしている。すなわち、本形態の突出部63bは、カード回収部21へ搬送されるカード2を、左右方向において案内するガイド部となっている。
【0066】
また、上述のように、固定部62bの前端側は、後ろ側に向かうにしたがって下方向へ傾斜するように形成され、かつ、左右方向における2個の固定部62bの内側面間の距離L1は、カード2の幅よりもわずかに狭くなっている。カード回収部21へ搬送されるカード2を後ろ側かつ下方向へ案内する機能は、主として、板バネ22が果たしているが、固定部62bの前端側は、カード回収部21へ搬送されるカード2を、後ろ側かつ下方向へ案内する機能を補助的に果たしている。すなわち、固定部62bの前端側の傾斜部分は、カード回収部21へ搬送されるカード2をカード回収部21へ向かう下方向へ案内する第2ガイド部62dとなっている。なお、第2ガイド部62dの傾斜角度は、板バネ22の傾斜角度と略等しくなっている。
【0067】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、カードカセット46の左右の側面を構成するカセット側面部63の下端側部分は、カード搭載部62aよりも下側へ突出する突出部63bとなっており、この突出部63bは、カード回収部21へ搬送されるカード2を左右方向において案内するガイド部となっている。そのため、本形態では、カードカセット46の下端側を利用して、カード回収部21へカード2を適切に案内することが可能になり、その結果、カード回収部21へカード2を適切に回収することが可能になる。また、本形態では、突出部63bが、カード回収部21へ搬送されるカード2を左右方向において案内するガイド部となっているため、左右方向においてカード2を案内するための部材を別途、設ける必要がない。したがって、本形態では、カード発行回収部4の構成を簡素化して、カード発行回収部4を小型化することが可能になる。
【0068】
また、本形態では、カセット側面部63の下端側部分が、カード搭載部62aよりも下側へ突出する突出部63bとなっているため、たとえば、カードカセット46を収容部本体28から取り外して作業台等に置く際に、カード搭載部62aが作業台等に接触しない。そのため、上下の隙間の精度が要求されるゲート69(すなわち、1枚のカード2は通過できるが、2枚のカード2が重なった状態で通過できないように上下方向の隙間が設定されるゲート69)を構成するカード搭載部62aの変形を防止して、ゲート69の隙間の精度を維持することが可能になる。また、本形態では、突出部63bの下端は、平板状に形成されるカード搭載部62aと略平行になっているため、カードカセット46を収容部本体28から取り外したときに、カードカセット46を作業台等に置きやすくなる。
【0069】
本形態では、左右方向における突出部63bの内側面の前端側は、前側に向かうにしたがって左右方向の外側に広がる傾斜面63cとなっている。そのため、突出部63bが、カード回収部21へ搬送されるカード2を左右方向において案内するガイド部となっていても、突出部63bの前端側でのカード2の引っ掛かりを防止して、左右方向において、カード回収部21へカード2を適切に案内することが可能になる。また、カード2の回収時に突出部63bの前端にカード2の後端がぶつかるのを防止することが可能になる。そのため、本形態では、突出部63bの前端にカード2の後端がぶつかることで生じうるカード2の後端の潰れを防止することが可能になる。
【0070】
本形態では、固定部62bの前端側の傾斜部分である第2ガイド部62dは、カード回収部21へ搬送されるカード2を、後ろ側かつ下方向へ案内する機能を補助的に果たしている。そのため、本形態では、上下方向においても、第2ガイド部62dによって、カード回収部21へ搬送されるカード2を適切に案内して、カード回収部21へカード2を適切に回収することが可能になる。また、本形態では、固定部62bの前端側が第2ガイド部62dとなっているため、第2ガイド部62dを形成するための部材を別途、設ける必要がない。したがって、本形態では、カードカセット46の構成を簡素化することが可能になる。
【0071】
本形態では、カード回収部21の底面部を構成するベース板29の後端側部分に、開口部30が形成されている。また、本形態では、カード回収部21の内部にリジェクトスタッカ33が着脱可能となっている。そのため、本形態では、カード回収部21にリジェクトスタッカ33が取り付けられれば、回収されたカード2をリジェクトスタッカ33に収容することができる。また、本形態では、カード回収部21にリジェクトスタッカ33が取り付けられていなければ、回収されたカード2を開口部30を介してカード回収部21の下側へ排出することができ、その結果、カード回収部21の下側に設置された回収箱等にカード2を回収することが可能になる。
【0072】
本形態では、リジェクトスタッカ33に、左右方向における固定部34cの外側面よりも左右方向の外側へ突出する部材が取り付けられておらず、ネジ37の着脱によって、開口部31を介してリジェクトスタッカ33をカード回収部21に容易に着脱することが可能である。また、本形態では、センサ本体39の係合爪部39aの弾性力を利用して、リジェクトスタッカ33のセンサ取付部34dにセンサ36が取り付けられており、センサ取付部34dへのセンサ36の着脱が容易である。また、リジェクトスタッカ33から取り外されたセンサ36は、たとえば、側面部25の側面と保持部材43との間で保持され、このときのセンサ36の配線は、カード回収部21の下側へ排出されるカード2に接触しない位置を引き回されている。そのため、本形態では、カード発行装置1において、回収されたカード2をリジェクトスタッカ33に収容させる場合と、回収されたカード2を開口部30を介してカード回収部21の下側へ排出させる場合との切替を容易に行うことが可能になる。
【0073】
本形態では、カード回収部21に、開口部31を覆うカードストッパ42が着脱可能となっている。そのため、カード回収部21の後面部に開口部31が形成されていても、リジェクトスタッカ33がカード回収部21に取り付けられていないときには、カードストッパ42によって、開口部31を覆うことができる。したがって、本形態では、リジェクトスタッカ33が取り付けられていないときであっても、カード回収部21から後方へカード2が飛び出すのを防止して、カード回収部21の下側に設置された回収箱等にカード2を確実に回収することが可能になる。
【0074】
本形態では、収容部本体28およびカードカセット46に、収容部本体28からのカードカセット46の抜取りを防止する鍵を装着するための装着孔25a、63aが形成されている。そのため、カード発行装置1が設置される現場で作業を行う作業者がカードカセット46ごとカード2を不正に持ち去るのを防止することが可能になる。したがって、本形態では、カード発行装置1のセキュリティ性を高めることが可能になる。
【0075】
(他の実施の形態)
上述した形態および変形例は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0076】
上述した形態では、左右方向における突出部63bの内側面の前端側が削られることで、あるいは、押し潰されることで、傾斜面63cが形成されている。この他にもたとえば、突出部63bの前端側が左右方向の外側に折り曲げられることで、左右方向における突出部63bの内側面に傾斜面63cが形成されても良い。また、カード2の形状によっては、左右方向における突出部63bの内側面の前端側に傾斜面63cが形成されなくても良い。
【0077】
上述した形態では、カセット底面部62の固定部62bの前端側が第2ガイド部62dとなっており、第2ガイド部62dは、カード搭載部62aと一体で形成されている。この他にもたとえば、第2ガイド部62dは、カード搭載部62aと別体で形成されても良い。
【0078】
上述した形態では、カード発行装置1は、カードリーダ3を備えている。この他にもたとえば、カード発行装置1は、カードリーダ3に代えて、カード2の搬送方向を切り替える切替装置、カード2の表面に印字を行うプリンタ、カード2の表面の印字等を読み取るイメージセンサ、あるいは、カード2の搬送のみを行う搬送路を備えていても良い。また、カード発行回収部4が、駆動ローラ11に相当する搬送ローラを備えていても良い。この場合には、カード発行回収部4によって、カード発行装置1が構成されても良い。
【0079】
なお、上述した形態では、カード収容部20は、カードカセット46が収容部本体28に取り付けられているか否かを検出するセンサを備えていないが、カード収容部20は、このセンサを備えていても良い。この場合には、たとえば、収容部本体28にこのセンサが取り付けられる。また、カード回収部21にリジェクトスタッカ33が取り付けられない場合には、センサ36を利用して、カードカセット46が収容部本体28に取り付けられているか否かを検出しても良い。