【実施例】
【0035】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0036】
(酸化グラフェンの合成例)
天然黒鉛SNO−3(純度99.97質量%以上)10gを、硝酸ナトリウム(純度99%)7.5g、硫酸(純度96%)621g、過マンガン酸カリウム(純度99%)45gからなる混合液中に入れ、約20℃で5日間、緩やかに撹拌しながら放置した。得られた高粘度の液を、5質量%硫酸水溶液1000cm
3に約1時間で撹拌しながら加えて、さらに2時間撹拌した。得られた液に過酸化水素(30質量%水溶液)30gを加えて、2時間撹拌した。
【0037】
この液を、水により十分精製することで、平板状の酸化グラフェンの水分散液を得た。液の一部を40℃で真空乾燥させ、乾燥前後の質量変化を測定した結果から、液中の酸化グラフェンの固形分濃度は1.3質量%と算出された。また、40℃で真空乾燥させた酸化グラフェンの元素分析で、酸素は42質量%、水素は2質量%であった。ラマンスペクトルを測定した結果、G線に由来するピークの高さH
GとD線に由来するピークの高さH
Dの比H
G/H
Dは1.29であった。液の一部を水で希釈してからマイカの上で乾燥させ、原子間力顕微鏡を使って酸化グラフェンの厚みを評価したところ、30個の粒子で確認された厚みは1.1nm,2.2nm,0.8nm,0.9nm,1.7nm,1.5nm,1.1nm,1.8nm,0.9nm,1.0nm,1.6nm,2.2nm,1.1nm,1.0nm,1.3nm,0.9nm,0.9nm,1.2nm,1.9nm,1.4nm,1.7nm,1.8nm,1.0nm,1.3nm,1.1nm,0.8nm,2.0nm,1.4nm,1.8nm,1.3nmであり、1.5nm以下の厚みの酸化グラフェン粒子が20個で67%、5nm以下の厚みの酸化グラフェンは30個で100%と、いずれも全体の60%以上含有していた。30個の粒子で確認された粒子径は、2.0μm,4.3μm,5.4μm,2.5μm,1.0μm,6.8μm,10.5μm,2.3μm,4.4μm,1.4μm,4.1μm,1.6μm,1.5μm,2.1μm,1.2μm,1.6μm,1.1μm,1.0μm,1.4μm,1.7μm,2.9μm,4.4μm,2.9μm,1.9μm,1.2μm,1.8μm,2.6μm,6.8μm,1.8μm,6.0μmであり、平均の粒子径は3μmであった。上記の1.3質量%酸化グラフェン水分散液を1.0質量%に濃度調整した分散液を以下、「分散液A」と呼ぶ。
【0038】
(導電率の測定)
2端子法で塗布膜の抵抗を測定し、得られた抵抗値から導電率(S/cm)を算出した。導電率の計算の際に塗布膜の厚みは、使用したコート液の組成と比重をPEDOT/PSS=1g/cm
3、酸化グラフェン=1g/cm
3として計算した。抵抗の測定は室温(20〜25℃)、湿度40〜50%で行った。なお、同様の塗布膜を3枚作製し、それぞれの塗布膜に対して1回導電率を測定し、3回分の導電率の平均値を算出した。
【0039】
(表面抵抗率の測定)
ダイヤインスツルメント社製低抵抗計ロレスタGPを用いて、塗布膜(厚み10μm程度)の表面抵抗(Ω/□)を測定した。測定は室温(20〜25℃)、湿度40〜50%で行った。
【0040】
(実施例1)
ポリ(3,4−エチレンジオキシ)チオフェンとポリスチレンスルホン酸の混合物(PEDOT/PSS)の水分散液(PEDOT:0.5質量%,PSS:0.8質量%。Aldrich社製,conductive grade)を「導電性高分子液A」と呼ぶ。導電性高分子液Aを水で希釈して濃度を1質量%とした。得られた液を以下、「導電性高分子液B」と呼ぶ。9.76gの導電性高分子液Bと0.24gの分散液Aを十分混合し、導電性塗料を作製した。得られた導電性組成物をガラス基板上に塗布し、70℃で30分以上乾燥して導電性塗料の塗布膜を作製した。得られた塗布膜の導電率を測定した。結果を表1に示す。
【0041】
(実施例2)
実施例1の導電性高分子液Bと分散液Aの添加量をそれぞれ9.52gと0.48gに変更した以外は実施例1と同様にして導電性塗料の塗布膜を作製し、導電率を測定した。結果を表1に示す。
【0042】
(実施例3)
実施例1の導電性高分子液Bと分散液Aの添加量をそれぞれ9.09gと0.91gに変更した以外は実施例1と同様にして導電性塗料の塗布膜を作製し、導電率を測定した。結果を表1に示す。
【0043】
(実施例4)
実施例1の導電性高分子液Bと分散液Aの添加量をそれぞれ8.33gと1.67gに変更した以外は実施例1と同様にして導電性塗料の塗布膜を作製し、導電率を測定した。結果を表1に示す。
【0044】
(実施例5)
実施例1の導電性高分子液Bと分散液Aの添加量をそれぞれ7.14gと2.86gに変更した以外は実施例1と同様にして導電性塗料の塗布膜を作製し、導電率を測定した。結果を表1に示す。
【0045】
(実施例6)
実施例1の導電性高分子液Bと分散液Aの添加量をそれぞれ5.56gと4.44gに変更した以外は実施例1と同様にして導電性塗料の塗布膜を作製し、導電率を測定した。結果を表1に示す。
【0046】
(比較例1)
実施例1の導電性高分子液Bと分散液Aの添加量をそれぞれ4.44gと5.56gに変更した以外は実施例1と同様にして導電性塗料の塗布膜を作製し、導電率を測定した。結果を表1に示す。
【0047】
(比較例2)
実施例1の導電性組成物として導電性高分子液Bを使用した以外は実施例1と同様にして導電性塗料の塗布膜を作製し、導電率を測定した。結果を表1に示す。
【0048】
(比較例3)
実施例1の導電性組成物として分散液Aを使用した以外は実施例1と同様にして導電性塗料の塗布膜を作製し、導電率を測定した。結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
実施例1から実施例6および比較例1,2の酸化グラフェン/(「PEDOT/PSS」+酸化グラフェン)をX軸に導電率をY軸にプロットしたグラフを
図1に示す。この結果から、酸化グラフェン/(「PEDOT/PSS」+酸化グラフェン)が0.02以上0.45以下の範囲ではPEDOT/PSS単独よりも導電率が向上していることがわかる。さらに、0.04以上0.40以下の範囲では導電率の向上が大きいことがわかる。
【0050】
(実施例7)
3.85gの導電性高分子液Aと1.00gの分散液Aと2.94gのポリエステル系高分子バインダー MD1200(34質量%。東洋紡績製)を十分混合し、導電性塗料を作製した。得られた導電性塗料をガラス基板上に塗布し、70℃で60分乾燥して導電性塗料の塗布膜を作製した。得られた塗布膜の表面抵抗率を測定した。結果を表2に示す。
【0051】
(実施例8)
実施例7の導電性高分子液Aと分散液AとMD1200の添加量をそれぞれ3.85gと1.00gと1.76gに変更した以外は実施例7と同様にして導電性塗料の塗布膜を作製し、表面抵抗率を測定した。結果を表2に示す。
【0052】
(実施例9)
実施例7の導電性高分子液Aと分散液AとMD1200の添加量をそれぞれ3.85gと1.00gと0.88gに変更した以外は実施例7と同様にして導電性塗料の塗布膜を作製し、表面抵抗率を測定した。結果を表2に示す。
【0053】
(実施例10)
実施例7の導電性高分子液Aと分散液AとMD1200の添加量をそれぞれ3.85gと2.00gと2.94gに変更した以外は実施例7と同様にして導電性塗料の塗布膜を作製し、表面抵抗率を測定した。結果を表2に示す。
【0054】
(実施例11)
実施例7の導電性高分子液Aと分散液AとMD1200の添加量をそれぞれ3.85gと2.00gと1.76gに変更した以外は実施例7と同様にして導電性塗料の塗布膜を作製し、表面抵抗率を測定した。結果を表2に示す。
【0055】
(実施例12)
実施例7の導電性高分子液Aと分散液AとMD1200の添加量をそれぞれ3.85gと2.00gと0.88gに変更した以外は実施例7と同様にして導電性塗料の塗布膜を作製し、表面抵抗率を測定した。結果を表2に示す。
【0056】
(実施例13)
実施例7の導電性高分子液Aと分散液AとMD1200の添加量をそれぞれ3.85gと4.00gと2.94gに変更した以外は実施例7と同様にして導電性塗料の塗布膜を作製し、表面抵抗率を測定した。結果を表2に示す。
【0057】
(実施例14)
実施例7の導電性高分子液Aと分散液AとMD1200の添加量をそれぞれ3.85gと4.00gと1.76gに変更した以外は実施例7と同様にして導電性塗料の塗布膜を作製し、表面抵抗率を測定した。結果を表2に示す。
【0058】
(実施例15)
実施例7の導電性高分子液Aと分散液AとMD1200の添加量をそれぞれ3.85gと4.00gと0.88gに変更した以外は実施例7と同様にして導電性塗料の塗布膜を作製し、表面抵抗率を測定した。結果を表2に示す。
【0059】
(比較例4)
実施例7の導電性高分子液Aと分散液AとMD1200の添加量をそれぞれ1.92gと10.00gと1.47gに変更した以外は実施例7と同様にして導電性塗料の塗布膜を作製し、表面抵抗率を測定した。結果を表2に示す。
【0060】
(比較例5)
実施例7の導電性高分子液Aと分散液AとMD1200の添加量をそれぞれ1.92gと10.00gと0.88gに変更した以外は実施例7と同様にして導電性塗料の塗布膜を作製し、表面抵抗率を測定した。結果を表2に示す。
【0061】
(比較例6)
実施例7の導電性高分子液Aと分散液AとMD1200の添加量をそれぞれ1.92gと10.00gと0.44gに変更した以外は実施例7と同様にして導電性塗料の塗布膜を作製し、表面抵抗率を測定した。結果を表2に示す。
【0062】
(比較例7)
実施例7の導電性高分子液AとMD1200の添加量をそれぞれ3.85gと2.94gに変更し、分散液Aを添加しない以外は実施例7と同様にして導電性塗料の塗布膜を作製し、表面抵抗率を測定した。結果を表2に示す。
【0063】
(比較例8)
実施例7の導電性高分子液AとMD1200の添加量をそれぞれ3.85gと1.76gに変更し、分散液Aを添加しない以外は実施例7と同様にして導電性塗料の塗布膜を作製し、表面抵抗率を測定した。結果を表2に示す。
【0064】
(比較例9)
実施例7の導電性高分子液AとMD1200の添加量をそれぞれ3.85gと0.88gに変更し、分散液Aを添加しない以外は実施例7と同様にして導電性塗料の塗布膜を作製し、表面抵抗率を測定した。結果を表2に示す。
【0065】
【表2】
表2をみると、(酸化グラフェン)÷(PEDOT/PSS+酸化グラフェン)が0.80(比較例4〜6)と0.00(比較例7〜9)の場合には、(PEDOT/PSS)÷(PEDOT/PSS+MD1200)が0.077でも表面抵抗が高いことから、パーコレーションしきい値は0.077よりも大きいことがわかる。一方、(酸化グラフェン)÷(PEDOT/PSS+酸化グラフェン)が0.17(実施例7〜9)と0.29(実施例10〜12)、0.44(実施例13〜15)では、(PEDOT/PSS)÷(PEDOT/PSS+MD1200)が0.077のときに表面抵抗が低くなっており、パーコレーションしきい値は0.077よりも小さいことがわかる。このように、酸化グラフェンを所定量添加することでPEDOT/PSSの組成物に対するパーコレーションしきい値が小さくなっていることがわかる。
【0066】
(実施例16)
3.85gの導電性高分子液Aと1.00gの分散液Aと5.88gのポリエステル系高分子バインダー MD1200(34%。東洋紡績製)および0.005gのピロガロール(還元剤)を十分混合し、導電性塗料を作製した。導電性塗料はピロガロール無添加時と同じ茶褐色のままであり、酸化グラフェンの凝集も認められておらず、酸化グラフェンは還元されていなかった。得られた導電性塗料をガラス基板上に塗布し、70℃で60分乾燥した後に170℃で60分加熱処理を行い導電性塗料の塗布膜を作製した。加熱処理後には色が黒色に変化しており、酸化グラフェンの還元が起こっていた。得られた塗布膜の表面抵抗率を測定した。結果を表3に示す。
【0067】
(実施例17)
実施例16の導電性高分子液Aと分散液AとMD1200およびピロガロール(還元剤)の添加量をそれぞれ3.85gと1.00gと2.94gおよび0.005gに変更した以外は実施例16と同様にして導電性塗料の塗布膜を作製し、表面抵抗率を測定した。なお、導電性塗料はピロガロール無添加時と同じ茶褐色のままであり、酸化グラフェンの凝集も認められておらず、酸化グラフェンは還元されていなかった。さらに、加熱処理後には色が黒色に変化しており、酸化グラフェンの還元が起こっていた。結果を表3に示す。
【0068】
(実施例18)
実施例16の導電性高分子液Aと分散液AとMD1200およびピロガロール(還元剤)の添加量をそれぞれ3.85gと1.00gと1.76gおよび0.005gに変更した以外は実施例16と同様にして導電性塗料の塗布膜を作製し、表面抵抗率を測定した。なお、導電性塗料はピロガロール無添加時と同じ茶褐色のままであり、酸化グラフェンの凝集も認められておらず、酸化グラフェンは還元されていなかった。さらに、加熱処理後には色が黒色に変化しており、酸化グラフェンの還元が起こっていた。結果を表3に示す。
【0069】
(実施例19)
実施例16の導電性高分子液Aと分散液AとMD1200およびピロガロール(還元剤)の添加量をそれぞれ3.85gと1.00gと0.88gおよび0.005gに変更した以外は実施例16と同様にして導電性塗料の塗布膜を作製し、表面抵抗率を測定した。なお、導電性塗料はピロガロール無添加時と同じ茶褐色のままであり、酸化グラフェンの凝集も認められておらず、酸化グラフェンは還元されていなかった。さらに、加熱処理後には色が黒色に変化しており、酸化グラフェンの還元が起こっていた。結果を表3に示す。
【0070】
(実施例20)
実施例16の導電性高分子液Aと分散液AとMD1200およびピロガロール(還元剤)の添加量をそれぞれ3.85gと2.00gと5.88gおよび0.01gに変更した以外は実施例16と同様にして導電性塗料の塗布膜を作製し、表面抵抗率を測定した。なお、導電性塗料はピロガロール無添加時と同じ茶褐色のままであり、酸化グラフェンの凝集も認められておらず、酸化グラフェンは還元されていなかった。さらに、加熱処理後には色が黒色に変化しており、酸化グラフェンの還元が起こっていた。結果を表3に示す。
【0071】
(実施例21)
実施例16の導電性高分子液Aと分散液AとMD1200およびピロガロール(還元剤)の添加量をそれぞれ3.85gと2.00gと2.94gおよび0.01gに変更した以外は実施例16と同様にして導電性塗料の塗布膜を作製し、表面抵抗率を測定した。なお、導電性塗料はピロガロール無添加時と同じ茶褐色のままであり、酸化グラフェンの凝集も認められておらず、酸化グラフェンは還元されていなかった。さらに、加熱処理後には色が黒色に変化しており、酸化グラフェンの還元が起こっていた。結果を表3に示す。
【0072】
(実施例22)
実施例16の導電性高分子液Aと分散液AとMD1200およびピロガロール(還元剤)の添加量をそれぞれ3.85gと2.00gと1.76gおよび0.01gに変更した以外は実施例16と同様にして導電性塗料の塗布膜を作製し、表面抵抗率を測定した。なお、導電性塗料はピロガロール無添加時と同じ茶褐色のままであり、酸化グラフェンの凝集も認められておらず、酸化グラフェンは還元されていなかった。さらに、加熱処理後には色が黒色に変化しており、酸化グラフェンの還元が起こっていた。結果を表3に示す。
【0073】
(実施例23)
実施例16の導電性高分子液Aと分散液AとMD1200およびピロガロール(還元剤)の添加量をそれぞれ3.85gと2.00gと0.88gおよび0.01gに変更した以外は実施例16と同様にして導電性塗料の塗布膜を作製し、表面抵抗率を測定した。なお、導電性塗料はピロガロール無添加時と同じ茶褐色のままであり、酸化グラフェンの凝集も認められておらず、酸化グラフェンは還元されていなかった。さらに、加熱処理後には色が黒色に変化しており、酸化グラフェンの還元が起こっていた。結果を表3に示す。
【0074】
(実施例24)
実施例16の導電性高分子液Aと分散液AとMD1200およびピロガロール(還元剤)の添加量をそれぞれ1.92gと2.00gと2.94gおよび0.0125gに変更した以外は実施例16と同様にして導電性塗料の塗布膜を作製し、表面抵抗率を測定した。なお、導電性塗料はピロガロール無添加時と同じ茶褐色のままであり、酸化グラフェンの凝集も認められておらず、酸化グラフェンは還元されていなかった。さらに、加熱処理後には色が黒色に変化しており、酸化グラフェンの還元が起こっていた。結果を表3に示す。
【0075】
(実施例25)
実施例16の導電性高分子液Aと分散液AとMD1200およびピロガロール(還元剤)の添加量をそれぞれ1.92gと2.00gと1.47gおよび0.0125gに変更した以外は実施例16と同様にして導電性塗料の塗布膜を作製し、表面抵抗率を測定した。なお、導電性塗料はピロガロール無添加時と同じ茶褐色のままであり、酸化グラフェンの凝集も認められておらず、酸化グラフェンは還元されていなかった。さらに、加熱処理後には色が黒色に変化しており、酸化グラフェンの還元が起こっていた。結果を表3に示す。
【0076】
(実施例26)
実施例16の導電性高分子液Aと分散液AとMD1200およびピロガロール(還元剤)の添加量をそれぞれ1.92gと2.00gと0.88gおよび0.0125gに変更した以外は実施例16と同様にして導電性塗料の塗布膜を作製し、表面抵抗率を測定した。なお、導電性塗料はピロガロール無添加時と同じ茶褐色のままであり、酸化グラフェンの凝集も認められておらず、酸化グラフェンは還元されていなかった。さらに、加熱処理後には色が黒色に変化しており、酸化グラフェンの還元が起こっていた。結果を表3に示す。
【0077】
(実施例27)
実施例16の導電性高分子液Aと分散液AとMD1200およびピロガロール(還元剤)の添加量をそれぞれ1.92gと2.00gと0.44gおよび0.0125gに変更した以外は実施例16と同様にして導電性塗料の塗布膜を作製し、表面抵抗率を測定した。なお、導電性塗料はピロガロール無添加時と同じ茶褐色のままであり、酸化グラフェンの凝集も認められておらず、酸化グラフェンは還元されていなかった。さらに、加熱処理後には色が黒色に変化しており、酸化グラフェンの還元が起こっていた。結果を表3に示す。
【0078】
【表3】
表3をみると、(PEDOT/PSS)÷(PEDOT/PSS+MD1200)が0.048の場合でも表面抵抗が低く、還元剤を添加した場合でも、パーコレーションしきい値は0.048よりも小さいことがわかる。このように、酸化グラフェンを所定量添加することで、還元剤を添加した場合でも、PEDOT/PSSの組成物に対するパーコレーションしきい値が小さくなっていることがわかる。