(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。なお、以下の説明では、異なる実施の形態であっても同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称及び機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る作業機のレンタル管理システムの全体図を示している。なお、本実施の形態における作業機は、一例であるが、バックホーとする。
【0015】
作業機のレンタル管理システム1は、作業機2Aのレンタル状況を管理するレンタル管理サーバ3と、作業機2Aに設けられた無線端末4と、レンタル管理サーバ3及び無線端末4と通信可能な携帯端末60とを備えている。携帯端末60は、PDA(Personal Data Assistance)、タブレットPC(TablePC)等であって、電話機能を有するスマーフォン(Smartphone)や携帯電話を含むものである。この携帯端末60は、近距離無線ユニット4Bと通信可能な、携帯型の無線装置である。
【0016】
この作業機のレンタル管理システム1では、作業機2Aのレンタル予約が完了すると、レンタル管理サーバ3からネットワークNを介してレンタル予約を完了した信号(予約キー)を作業機2Aの無線端末4に送信するとともに、レンタル管理サーバ3からネットワークNを介してレンタル予約を完了した信号(予約キー)を携帯端末60に送信する。予約キーは、例えば携帯端末の個別情報である識別番号(一例としては、電話番号、SIMカードのICCID)である。この個別情報(個体識別番号)は、携帯端末60を一意に識別することができる。レンタル予約時に、レンタル管理サーバ3から送信された予約キーは、作業機2A及び携帯端末60でそれぞれ記憶される。なお、予約キーは、レンタル作業者が特定できる情報であれば限定されるものではなく、携帯端末の個別情報に代えて、レンタル管理サーバ3にて生成した文字や番号等であってもよい。さらに、予約キーについては、レンタル作業者が特定できる情報に、例えば、レンタル店舗、レンタル対象作業機の固有情報、及びレンタル期間が識別できる情報を加えても構わない。
【0017】
レンタル開始時に携帯端末60を携帯した作業者が作業機2Aに乗り込むと、携帯端末60と作業機2Aとの無線通信が開始され、両者のデータ通信が可能となると、まず、携帯端末60から作業機2Aへ予約キーが送信される。例えば、作業機2Aに設けたイグニッションスイッチをキースイッチでオンにさせることによって作業機2Aに電源を投入すると、携帯端末60と作業機2Aとの無線通信が開始される。そして、作業機2Aで記憶された予約キーが照合される。携帯端末60から受信した予約キーと記憶された予約キーとが一致すると、作業機2Aのロックが解除されたりエンジンが始動したりする。一方で、予約キーが一致しなかったときは作業機2Aのロックが解除されない。なお、詳しくは後述するが、作業機2Aの動作の一部又は全部を制限することを、作業機2Aがロックされている又は作業機2Aはロック状態であると記載する。
【0018】
このレンタル管理サーバ3は、作業機2Aの予約要求を処理する予約処理手段50と、予約キーを送信する予約キー送信手段51とを備える。
予約処理手段50は、作業機2Aを操作する作業者が携帯する携帯端末60から送信された予約要求を処理する。予約処理手段50は、携帯端末60からレンタル管理サーバ3へ送信された希望レンタル機種及び希望レンタル期間に従い、空いている作業機2Aを選定する。
【0019】
予約キー送信手段51は、選定された作業機2Aを予約することを作業者が了承すると、予約キーを携帯端末60及び作業機2Aへ送信する。
まず、作業機2Aについて詳しく説明する。
図13は、作業機2Aの一例であるバックホーを示したものである。
図13に示すように、バックホー2Aは、下部の走行装置102と、上部の旋回体103とを備えている。
【0020】
走行装置102は、ゴム製覆帯を有する左右一対の走行体104を備え、両走行体104を走行モータで駆動するようにしたクローラ式走行装置が採用されている。また、該走行装置102の前部にはドーザ105が設けられている。
旋回体103は、走行装置102上に旋回ベアリング111を介して上下方向の旋回軸回りに左右旋回自在に支持された旋回台112と、該旋回台112の前部に備えられた作業装置113(掘削装置)とを有している。旋回台112上には、エンジン,ラジエータ,運転席109,燃料タンク,作動油タンク等が設けられている。
【0021】
運転席109の前方には、バックホーの各種情報が表示可能で且つバックホーの様々な設定が可能な表示装置114が設置(固定)されている。
作業装置113は、旋回台112の前部に左右方向の中央部よりやや右寄りにオフセットして設けられた支持ブラケット116に上下方向の軸心回りに左右揺動自在に支持されたスイングブラケット117と、該スイングブラケット117に基部側を左右方向の軸心廻りに回動自在に枢着されて上下揺動自在に支持されたブーム118と、該ブーム118の先端側に左右方向の軸心廻りに回動自在に枢着されて前後揺動自在に支持されたアーム119と、該アーム119の先端側にスクイ・ダンプ動作可能に設けられたバケット120とを備えている。
【0022】
スイングブラケット117は、旋回台112内に備えられたスイングシリンダの伸縮によって揺動され、ブーム118は、該ブーム118とスイングブラケット117との間に介装されたブームシリンダ122の伸縮によって揺動され、アーム119は、該アーム119とブーム118との間に介装されたアームシリンダ123の伸縮によって揺動され、バケット120は、該バケット120とアーム119との間に介装されたバケットシリンダ121の伸縮によってスクイ・ダンプ動作される。なお、スイングシリンダ、ブームシリンダ122、アームシリンダ123、バケットシリンダ121などの各種アクチュエータは、それぞれのアクチュエータに対して作動油を供給可能な制御弁(コントロールバルブ)により動作するようになっている。また、制御弁へのパイロット圧を後述する操作部材の操作及び電磁比例弁等によって調整することによって、当該制御弁への作動油の流量が変化するものとなっている。
【0023】
図2にバックホー2Aの制御ブロックを示す。
図2に示すように、バックホー2Aには、当該バックホー2Aを制御するための制御装置5Aが設けられている。本実施の形態における制御装置5Aでは、オートアイドル制御(AI制御)、流量制御などの様々な制御を行う。なお、バックホーなどの作業機における制御は、下記に説明するものに限定されない。
【0024】
制御装置5Aには、スイングシリンダ、ブームシリンダ122、アームシリンダ123、バケットシリンダ121などの各種アクチュエータを操作する操作部材(例えば、操作レバー115や操作スイッチ)の操作量、ガバナセンサからのガバナ角度(ガバナ位置)、アクセルレバーの操作量(角度)、アイドルスイッチ(AI−SW)のオン信号/オフ信号、エンジン回転センサからのエンジン回転数などの各種制御信号が入力される。
【0025】
AI制御は、アーム119(アームシリンダ123)やブーム118(ブームシリンダ122)などを操作する操作部材が操作されているときは、アクセルレバーの操作量に応じてエンジン回転数を増減し、操作部材が操作されていないときは、エンジン回転数をアイドリング状態に固定するものである。
具体的には、制御装置5AによるAI制御では、操作レバー115を中立位置にしてアイドルスイッチのオン信号が入力されると、アクセルレバーの操作量に関わらず、オートアイドルモータにアイドル信号を出力してオートアイドルモータを駆動し、エンジン回転数をアイドル回転数にする。また、制御装置5AによるAI制御では、操作レバー115を前後又は左右に揺動してアイドルスイッチのオフ信号を入力すると、アクセル位置の信号に基づきオートアイドルモータに作動信号を出力してオートアイドルモータを駆動する。オートアイドルモータを駆動するとガバナレバーが作動しエンジン回転数が、アクセルレバーに対応した回転数になる。
【0026】
流量制御は、操作部材の操作量に応じてアクチュエータを動作させるものである。
制御装置5Aによる流量制御では、例えば、操作レバー115を中立位置より一方(左側)に揺動させて左側の操作量を入力すると、操作したアクチュエータに対応する電磁比例弁のソレノイドに所定値の電流(作動信号)を出力する。そうすると、電磁比例弁は電流値に応じて開き、操作したアクチュエータに対応する制御弁のパイロット圧が制御され、アクチュエータが一方に動作する。なお、操作レバー115を中立位置より上記とは反対側に揺動させて右側の操作量を入力すると、左側に揺動したときとは反対側にアクチュエータを動作させる。
【0027】
制御装置5Aには無線端末4が接続されている。この無線端末4は、外部と、様々な情報を通信することができる。この無線端末4は、詳しくは、後述する送受信機8を介してレンタル管理サーバ3と通信する無線端末4Aと、携帯端末60と近距離で無線通信(例えば、WiFi(R)、Bluetoooth(R)、ZigBee(R)等)する近距離無線ユニット4Bとで構成される。無線端末4Aは、例えば、予約キーを受信したり、ロック信号を受信したり、クリア信号を受信したり、バックホー2Aの稼働情報を送信したりする。近距離無線ユニット4Bは、例えば、予約キーを受信したり、ロック信号を受信したりする。
【0028】
なお、無線端末4Aは、予め定められた無線通信エリア7内では、バックホー2Aと外部(ネットワークN)との間で情報のやり取りが行えるものであればよい。また、近距離無線ユニット4Bは、予め定められた規格(例えばIEEEで規定された距離及び周波数帯)で携帯端末60との間で情報のやり取りが行えるものであればよい。近距離無線ユニット4Bは、例えば、バックホー2Aのキャビン内にある携帯端末60と無線通信できる。さらに、無線端末4Aと近距離無線ユニット4Bとを異なる無線通信機器にする必要はなく、1つの無線通信機器で実現するようにしても構わない。
【0029】
バックホー2Aは、レンタルの申し込み時(予約時)に設定されたレンタル期間内ではロックされることなく、走行系や作業系の制御を制限せずに通常通り制御が行われる。一方、バックホー2Aは、レンタル期間を経過してしまうと、ロックされて、走行系や作業系の制御が制限される。レンタル期間内においては、作業者が携帯端末60を携帯してバックホー2Aに乗り込む。すると、バックホー2Aの近距離無線ユニット4Bと携帯端末60とで無線通信が開始され、携帯端末60からバックホー2Aへ予約キーが送信される。バックホー2Aでは、レンタル予約時にレンタル管理サーバ3から受信して記憶しておいた予約キーと、受信した予約キーとが一致していると、ロックが解除されて作業者による操作が可能になる。これらの制御は、制御装置5Aによって行なわれる。
【0030】
制御装置5Aは、予約キー記憶手段40と、動作制限手段41と、レンタル使用管理手段42とを備えている。レンタル使用管理手段42は、予約キーの一致/不一致を照合する照合部45を備えている。制御装置5Aへは、無線端末4Aから予約キーが、近距離無線ユニット4Bから予約キーが、入力される。
予約キー記憶手段40は、制御装置5Aに設けられた記憶部(不揮発性のメモリ)等で構成され、携帯端末60を識別するための情報(個別情報)を予約キーとして記憶する。例えば、バックホー2Aを操作する作業者などの予約者がバックホー2Aのレンタル予約を行ったとき、予約者が携帯する携帯端末60の個別情報(電話番号など)を記憶する。上述したように、予約キーは、レンタル予約したバックホー2Aを操作する作業者が携帯する携帯端末60を一意に識別することのできる個別情報である。照合部45は、この個別情報の一致/不一致を判別する。
【0031】
動作制限手段41は、レンタル使用期間内でないときや、レンタル予約したときに使用された携帯端末60以外の携帯端末を携帯した作業者が操作しようとしたときに(すなわち、予約キーが一致しないときに)、バックホー2Aの動作を制限するものであり、制御装置5Aに格納された格納されたプログラム等から構成されている。
動作制限手段41は、予約キー記憶手段40に記憶された予約キーと携帯端末60から受信した予約キーとを照合部45で照合したときに一致しない場合、例えば、AI制御や流量制御を行わないようにして、バックホー2Aの通常制御を制限する。つまり、動作制限手段41が働くと、バックホー2Aは通常制御が行えなくなり、バックホー2Aの動作を停止することができる。なお、作業者が携帯端末60を携帯しないでバックホー2Aに乗り込んだ場合には、バックホー2Aは携帯端末60から予約キーを受信しないことになるが、この場合にも、照合部45は、予約キーが一致しないと処理する。例えば、照合部45は、全桁が0の個別情報(Null、ヌル)を携帯端末60から受信したものとして処理すればよい。
【0032】
動作制限手段41によるバックホー2Aを動作させる通常制御の停止(制限)は、上述したものに限定されない。
なお、動作制限手段41を働かせた場合に、エンジンを完全に停止するようにしてもよい。通常制御とは、制御装置5Aが制限無く全ての制御動作を行えることを意味する。
このように、動作制限手段41は、適法にバックホー2Aをレンタルした作業者(レンタル予約した携帯端末60を携帯した作業者)がバックホー2Aに乗り込んだ場合以外では、制御装置5Aの通常制御を制限し、これにより、エンジン、AI制御、流量制御の動作を制限する。なお、動作制限手段41によって動作を制限するとしているが、ここでの制限は、一部の動作を停止するだけでなく、完全に動作を停止してしまうことも含んでいる。また、このようにバックホー2Aがロックされていない場合(動作の全部が制限されていない場合)には、作業者が何ら操作することなく、エンジンを自動的に始動させるようにしても構わない。これらの機能を実現する動作制限手段41及び照合部45は、制御装置5Aに格納された格納されたプログラム等から構成されている。
【0033】
このように、照合部45を設けることによって、確実にレンタル期間を管理することができる。
次に、本実施の形態に係る作業機のレンタル管理システム1について、上述したバックホー2Aの動作と共に詳しく説明する。
図1に示すように、予約キーを受信するため無線端末4Aの無線通信エリア7は、レンタルするバックホー2Aを保管する保管場所と略同じ大きさに設定されている。つまり、このレンタル管理システム1では、バックホー2Aが保管場所にあるときには予約キーを無線端末4Aにて受信することができる。一方、バックホー2Aが保管場所から離れているときは予約キーを無線端末4Aにて受信することができない。
【0034】
これにより、レンタル者がレンタル予約しようとしたバックホー2Aが保管場所に実際に保管されていないと、予約キーをバックホー2Aが受信できないので予約できないようになっている。
なお、保管場所(無線通信エリア7)は、レンタルするバックホー2Aを一時的に保管する保管する場所であり、メンテナンスもこの保管場所で行うものとする。無線端末4Aの無線通信エリア7の大きさの設定は、購入者等が適宜設定できるようにすればよい。例えば、無線端末4Aと無線通信を行ってネットワークNとの通信を行うことができるようにする送受信機8を保管場所に設置し、送受信機8と無線端末4との設定によって、無線通信エリア7の設定を行うことが好ましい。
【0035】
レンタル管理サーバ3は、ディーラや製造会社などの販売者からバックホー2Aをレンタル用途で購入又は借用している作業機レンタル会社に設置されている。この作業機レンタル会社は、複数のレンタル店舗を有しているものとする。
図3にレンタル管理サーバ3で保存されているデータの一例を示す。
図3(a)は2011/7/15の11:30:30の状態を、
図3(b)は2011/7/15の11:35:00の状態を、それぞれ示す。この
図3に示すように、レンタル管理サーバ3には、レンタル対象のバックホー2Aが保管されている店舗を特定するためのレンタル店舗情報と、レンタル対象のバックホー2Aを特定するための固有情報と、作業機の現在の状態を特定するための作業機状態と、管理対象となるレンタル期間を特定するための管理対象レンタル期間と、レンタル者の個人情報を特定するためのレンタル者個人情報(携帯端末60の個別情報)とが、関連付けられて格納されている。
【0036】
レンタル管理サーバ3に格納された固有情報は、例えば、製造会社で製造したバックホー2Aの製造番号及び機種である。なお、固有情報はバックホー2Aを特定することができる情報であれば、どのようなものであってもよい。作業機状態は、レンタル者の希望するレンタル期間に予約が可能か否かを判別するために用いられるものであって、現時点でレンタル予約なし、○○までメンテナンス、○○までレンタル中等である。管理対象レンタル期間は、このレンタル管理サーバ3でレンタル状態を管理する期間である。この期間を経過するとレンタル対象のバックホー2Aがロックされる。レンタル者個人情報は、レンタルされたバックホー2Aを操作する作業者が携帯する携帯端末60の個別情報である。なお、上述の説明では、レンタル期間が日単位で管理されるものとしたが、時間単位で管理されるものであっても構わない。
【0037】
次に、
図4及び
図5を参照して、レンタル管理システム1の動作について説明する。
[予約処理]
図4を参照して、予約処理の動作について説明する。バックホー2Aを操作する作業者が携帯する携帯端末60を使って、レンタル管理サーバ3へ予約要求を送信する。このとき、携帯端末60から、レンタル管理サーバ3へ、携帯端末60を一意に識別するための個別情報とともに、希望レンタル機種及び希望レンタル期間が送信される。レンタル管理サーバ3では、予約処理手段50により、受信した希望レンタル機種及び希望レンタル期間と、
図3に示すデータとに基づいて、レンタルの可否が判別される。例えば、機種U351を2011/7/16から2011/8/15までの期間で希望すると、レンタル店舗Aの製造番号10001のバックホー2Aが選定される。携帯端末60へこのような情報が送信されて、作業者(ユーザ)が了解する(了解の信号を管理サーバ3へ送信する)と、予約キー送信手段51により、予約キーが携帯端末60及びバックホー2Aへ送信されて、レンタル管理サーバ3における予約処理は完了する。このとき、予約キーとともに、レンタル期間等も送信するようにしても構わない。このように動作することにより、
図3(a)の状態から
図3(b)の状態へ、データが書き換えられる。
【0038】
携帯端末60は予約キーを受信すると、受信した予約キーを記憶する。なお、上述したように、予約キーが携帯端末60の個別情報である場合には、既に携帯端末60に記憶されているため、携帯端末60は受信した予約キーが記憶した個別情報と一致するか否かを判別するようにしても構わない。さらに、携帯端末60が予約キーを受信すると、携帯端末60に予約完了情報を表示することも好ましい。さらに、予約キーが携帯端末60の個別情報である場合には、既に携帯端末60に記憶されているため、予約キー自体をレンタル管理サーバ3から携帯端末60へ送信しなくても構わない。
【0039】
バックホー2Aは予約キーを受信すると、受信した予約キーを予約キー記憶手段40に記憶する。なお、予約キーは、レンタル開始日(より正確にはレンタル期間が日をもって管理される場合にはレンタル開始日の0:00)にレンタル管理サーバ3からバックホー2Aへ送信すること、又は、バックホー2Aで予約キーを予め受信しておく場合にはレンタル開始日(より正確にはレンタル開始日の0:00)に予約キーを有効にすることが好ましい。このようにすると、作業開始処理において、バックホー2A側で予約キーが記憶されているか又は有効であるか否かを判定するだけでよく、現在日時がレンタル期間内であるか否かを判定しなくてもよくなる。
【0040】
[作業開始処理]
図5を参照して、作業開始処理の動作について説明する。バックホー2Aを操作する作業者が携帯端末60を携帯してバックホー2Aに乗り込む。このとき、バックホー2Aはロック状態である。携帯端末60が近距離無線ユニット4Bとの通信範囲内に入り、携帯端末60が近距離無線ユニット4Bへ予約キーを送信する。レンタル使用管理手段42の照合部45により、予約キー記憶手段40に記憶された予約キーと、携帯端末60から受信した予約キーとが照合される。照合が一致(照合OK)の場合には、エンジンが始動させたりロックが解除されてAI制御や流量制御が行われたりする。照合不一致(照合NG)の場合には、ロックが維持される。このとき、上述したように、予約キーがレンタル開始日から記憶されている又は有効になっている場合には、照合部45は予約キーを照合するだけでよく、そうではない場合には予約キーの照合とともに、現在日時がレンタル期間内に含まれていることも照合する。なお、ここでは、予約キーとともにレンタル日数の情報も、レンタル管理サーバ3又は携帯端末60からバックホー2Aが受信しているものとする。
【0041】
照合OKの場合にロックが解除されたバックホー2Aでは、期間管理処理が行われる。ここでは、レンタル期間を日単位で管理していると想定して、照合OKであると、減算カウンタ(日単位)がスタートする。この減算カウンタは、図示しないがバックホー2Aの制御装置5に内蔵されている。減算カウンタの初期値は、レンタル日数である。1日が経過する毎に減算カウンタの値が1日減算される。レンタル最終日の23:59:59を過ぎると減算カウンタの値が0になる。減算カウンタの値が0でないとバックホー2Aのロック解除状態が維持される。減算カウンタの値が0になるとバックホー2Aのロック解除状態がロック状態へ移行される。
【0042】
さらに、照合OKの場合には携帯端末60へOK信号を送信したり、照合NGの場合には携帯端末60へNG信号を送信したりして、携帯端末60に照合結果を表示させることも好ましい。また、減算カウンタの値が0になった場合には携帯端末60へレンタル期間経過の警告信号を送信して、携帯端末60にレンタル期間が経過していることを表示させることも好ましい。
【0043】
<第2の実施の形態>
以下、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、上述した第1の実施の形態におけるバックホーをトラクタへ変更したものである。まず、本実施の形態では、
図13に対応する
図14を参照してトラクタの全体構造について説明して、その後、
図2に対応する
図6を参照してトラクタの制御ブロックについて説明する。
【0044】
図14は、作業機2の一例であるトラクタを示したものである。
図14に示すように、トラクタ2Bは、前後に車輪を有する走行車体210に、エンジン(例えば、ディーゼルエンジン)211、変速装置212等が搭載されて構成されている。この走行車体210の後部には、3点リンク機構216が昇降可能に設けられている。この3点リンク機構216には、各種の作業装置(図例は耕耘装置)213が着脱自在となっている。この作業装置213には、PTO軸を介してエンジン211からの動力が伝達されるようになっている。また、エンジン211の後方には、独立搭載型のキャビン214が設けられており、キャビン214内に運転席215が設けられている。このトラクタ2Bは、走行や作業装置213による作業が行えるようになっている。
【0045】
図6は、トラクタ2Bの制御装置5の制御ブロック図である。この制御装置5は、トラクタ2Bにおいて走行系の制御や作業系の制御を行うものであって、CPU等から構成されている。トラクタ2Bにおいて走行系の制御や作業系の制御は、複数(例えば、2つ)の制御装置5(5B、5C)によって行うものとなっている。なお、この実施形態では、複数の制御装置5B、5Cによってトラクタ2Bの制御を行うものとなっているが、制御装置5は1つでも複数でもよく、以下に示すものに限定されない。
【0046】
第1制御装置5Bは、トラクタ2Bの全体を制御するものであって、他の制御装置5C、即ち、第2制御装置5Cと相互通信が行えるようになっている。
この第1制御装置5Bには、アクセルペダルを操作したときのアクセルペダルの操作量、変速用のシフトレバーを操作したときのシフトレバー位置などが入力されるようになっている。
【0047】
第1制御装置5Bは、アクセルペダルの操作量に基づいてエンジン211が所定の回転数になるように第2制御装置5Cに制御指令を出力すると共に、シフトレバー位置に基づいて変速装置212を制御(変速制御)することができるようになっている。その他、第1制御装置5Bには、エンジン回転上限値、アクセルレバー量、エンジン回転数などが入力されるようになっている。エンジン回転上限値は、運転席215の近傍に設けられたボリュームにより設定できるようになっており、アクセルレバー量は運転席215の近傍に設けられたアクセルレバーにより設定できるようになっている。
【0048】
エンジン回転上限値が入力されている場合、第1制御装置5Bは、エンジン211の回転数がエンジン回転上限値を超えないように第2制御装置5Cに制御指令を出力する。また、アクセルレバー量が入力されている場合、第1制御装置5Bは、アクセルペダルの操作量がアクセルレバー量以上となれば、アクセルペダルの操作量に応じた制御指令を第2制御装置5Cにするものの、アクセルペダルの操作量がアクセルレバー量未満であるときにはアクセルペダルの操作量に応じた制御指令を行わず、アクセルペダルの操作量に応じたエンジン211の回転数の制御は行わないようになっている。
【0049】
また、第1制御装置5Bは、エンジン回転数、変速段、油温など、トラクタ2Bの様々な情報を表示する表示装置24を制御すると共に操作部材からの入力に基づいて3点リンク機構216の昇降を制御する(3P昇降制御)。
第2制御装置5C(エンジンコンピュータユニット)は、主にエンジン211を制御するものであって、第1制御装置5Bを介して出力されたアクセルペダルの操作量、クランク位置、カム位置等の入力に基づいて、インジェクタ27、コモンレール28、サプライポンプ29等を制御するものである。第2制御装置5Cには、イグニッションスイッチ30のオン又はオフを示す信号が入力されるようになっている。エンジン始動キーを介してイグニッションスイッチ30のオン信号が入力されると、第2制御装置5Cのエンジン制御が行えるようになり、イグニッションスイッチ30のオフ信号が入力されると第2制御装置5Cのエンジン制御が行えない(停止)するようになっている。また、イグニッションスイッチ30のオン信号が入力されることによって第1制御装置5Bの制御も行えるようになっており、イグニッションスイッチ30のオフ信号によって第1制御装置5Bの制御が行えないようになっている。なお、第2制御装置5Cにおけるエンジン制御は、一般的なディーゼルエンジン制御と同じものであり、例えば、インジェクタ27の制御では燃料噴射量、噴射時期、燃料噴射率が設定され、サプライポンプ29やコモンレール28の制御では燃料噴射圧が設定される。
【0050】
上述した第1制御装置5B、第2制御装置5Cによって、トラクタ2Bの走行系及び作業系の制御を行うことができる。なお、トラクタ2Bの走行系及び作業系の制御は、上述したものに限定されない。
図6に示すように、本実施の形態においても第1の実施の形態と同様に、無線端末4(無線端末4A及び近距離無線ユニット4B)が第1制御装置5Bに接続されている。第1の実施の形態におけるバックホー2A及び第1制御装置5Aを、トラクタ2B及び第1制御装置5Bへ、それぞれ読み替えればよい説明については、ここでは繰り返さない。以下においては、第1の実施の形態と異なる動作制限手段41によるトラクタ2Bの動作の制限について説明する。
【0051】
動作制限手段41は、予約キー記憶手段40に記憶された予約キーと携帯端末60から受信した予約キーとを照合部45で照合したときに一致しない場合、例えば、アクセルペダルの操作量が入力されてもアクセルペダルの操作量を零(操作していない)として、第2制御装置5Cへの通常制御を制限する。つまり、動作制限手段41が働くと、第2制御装置5Cはアクセルペダルに対応した通常制御が行えなくなり、エンジン211の動作に制限が掛かりトラクタ2Bの走行を停止することができる。なお、作業者が携帯端末60を携帯しないでトラクタ2Bに乗り込んだ場合には、トラクタ2Bは携帯端末60から予約キーを受信しないことになるが、この場合にも、照合部45は、予約キーが一致しないと処理する。
【0052】
動作制限手段41によるトラクタ2Bを動作させる通常制御の停止(制限)は、上述したものに限定されない。例えば、第1制御装置5Bは、シフトレバー位置に基づいて変速装置212を制御するようになっているが、動作制限手段41によって、シフトレバー位置に基づく変速装置212の通常制御を行わないようにしたり、3点リンク機構216の通常制御を行わないようにしたりしてもよい。
【0053】
なお、動作制限手段41を第1制御装置5Bに設ける代わりに第2制御装置5Cに設けて、動作制限手段41を働かせた場合に、第2制御装置5Cによるエンジン211の通常制御を行えないようにしてエンジン211を完全に停止するようにしてもよい。通常制御とは、第1制御装置5B及び第2制御装置5Cが制限無く全ての制御動作を行えることを意味する。
【0054】
このように、動作制限手段41は、適法にトラクタ2Bをレンタルした作業者(レンタル予約した携帯端末60を携帯した作業者)がトラクタ2Bに乗り込んだ場合以外では、第1制御装置5Bや第2制御装置5Cなどの制御装置の通常制御を制限し、これにより、エンジン211、変速装置212、3点リンク機構216などの動作を制限する。なお、動作制限手段41によって動作を制限するとしているが、ここでの制限は、一部の動作を停止するだけでなく、完全に動作を停止してしまうことも含んでいる。また、このようにトラクタ2Bがロックされていない場合(動作の全部が制限されていない場合)には、作業者が何ら操作することなく、エンジン211を自動的に始動させるようにしても構わない。
【0055】
これらの機能を実現する動作制限手段41及び照合部45は、第1制御装置5Bに格納された格納されたプログラム等から構成されている。
このように、照合部45を設けることによって、確実にレンタル期間を管理することができる。
次に、本実施の形態に係る作業機のレンタル管理システム1について、上述したトラクタ2Bの動作と共に詳しく説明する。なお、
図3のデータについては、機種の符号が異なるだけであるため、ここでの説明は繰り返さない。さらに、
図4の予約処理の動作については、バックホー2Aをトラクタ2Bと読み替えればよいので、ここでの説明は繰り返さない。また、
図5については第1の実施の形態と共通するが、作業開始処理における作業機の動作制限が異なる。以下、異なる部分について説明する。
【0056】
[作業開始処理]
図5を参照して、作業開始処理の動作について説明する。トラクタ2Bを操作する作業者が携帯端末60を携帯してトラクタ2Bに乗り込む。このとき、トラクタ2Bはロック状態である。携帯端末60が近距離無線ユニット4Bとの通信範囲内に入り、携帯端末60が近距離無線ユニット4Bへ予約キーを送信する。レンタル使用管理手段42の照合部45により、予約キー記憶手段40に記憶された予約キーと、携帯端末60から受信した予約キーとが照合される。照合OKの場合には、エンジン211が始動させたりロックが解除されたりする。照合NGの場合には、ロックが維持される。このとき、上述したように、予約キーがレンタル開始日から記憶されている又は有効になっている場合には、照合部45は予約キーを照合するだけでよく、そうではない場合には予約キーの照合とともに、現在日時がレンタル期間内に含まれていることも照合する。なお、ここでは、予約キーとともにレンタル日数の情報も、レンタル管理サーバ3又は携帯端末60からトラクタ2Bが受信しているものとする。
【0057】
照合OKの場合にロックが解除されたトラクタ2Bでは、期間管理処理が行われる。ここでは、レンタル期間を日単位で管理していると想定して、照合OKであると、減算カウンタ(日単位)がスタートする。この減算カウンタは、図示しないがトラクタ2Bの制御装置に内蔵されている。減算カウンタの初期値は、レンタル日数である。1日が経過する毎に減算カウンタの値が1日減算される。レンタル最終日の23:59:59を過ぎると減算カウンタの値が0になる。減算カウンタの値が0でないとトラクタ2Bのロック解除状態が維持される。減算カウンタの値が0になるとトラクタ2Bのロック解除状態がロック状態へ移行される。
【0058】
<第3の実施の形態>
以下、本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態は、上述した第2の実施の形態と、作業中処理が異なることに加えて、レンタル店舗内での返却処理及びレンタル店舗外でのレンタル期間経過処理を実行する点が異なる。以下においては、作業機の一例がトラクタ2Bであるとして説明しているが、第1の実施の形態において説明したバックホー2Aでも構わないことは言うまでもない。
【0059】
図7に、
図1に対応する、作業機のレンタル管理システムの全体図を示す。
図1と相違するのは、レンタル管理サーバ3が、レンタルされたトラクタ2Bの返却処理を実行する返却処理手段52と、レンタル期間が経過するとトラクタ2Bをロックする期間経過処理手段53とを備える点である。
返却処理手段52は、トラクタ2Bがレンタル店舗の保管場所へ戻って来てレンタル終了を示す返却信号をレンタル管理サーバ3が受信すると、クリア信号をトラクタ2Bへ送信する。このとき、返却処理手段52は、レンタル継続を示す返却信号をレンタル管理サーバ3が受信すると、クリア信号をトラクタ2Bへ送信しない。
【0060】
期間経過処理手段53は、レンタル管理サーバ3は、レンタル期間が経過すると、該当するトラクタ2Bをレンタルした作業者が携帯する携帯端末60へロック信号を送信する。
図8に、
図6に対応する、第1制御装置5B及び第2制御装置5Cを示す。
図6と相違するのは、レンタル使用管理手段42が、照合部45に加えて、レンタル期間経過後にロック信号を携帯端末60から受信するとトラクタ2Bをロックするロック部46を備える点である。さらに、第1制御装置5Bへは、無線端末4Aから予約キーに加えてロック信号及びクリア信号が、近距離無線ユニット4Bから予約キーに加えてロック信号が入力される。
【0061】
ロック部46は、トラクタ2Bが無線通信エリア7内に入ることによって無線端末4Aがロック信号を受信したときにトラクタ2Bの動作の一部又は全部を制限する。例えば、トラクタ2Bが作業場からレンタル会社の保管場所へ戻されて来たときに、レンタルの終了又は一時的な終了と判定して、トラクタ2Bが不正に動作されることを回避する。この場合には、レンタル管理サーバ3から予約キーをクリアする信号(クリア信号)を受信しない限り予約キー記憶手段40に記憶された予約キーをクリアしないでおくことが好ましい。その理由は、メンテナンス等のために作業時間外(例えば夜間)に一旦レンタル会社の保管場所までトラクタ2Bが戻ってきていることも想定できるためである。一方、レンタル期間の最終日にトラクタ2Bをレンタル会社の保管場所へ返却した場合はレンタル終了の可能性が高い。また、レンタル期間内でもトラクタ2Bを使用した作業が終了してしまうとトラクタ2Bを早期に返却してレンタルを終了させたい場合も想定できる。これらの場合には、レンタル管理サーバ3からクリア信号をトラクタ2Bへ送信して、トラクタ2Bはクリア信号を受信すると予約キー記憶手段40に記憶された予約キーをクリアする。
【0062】
また、ロック部46は、トラクタ2Bと携帯端末60との間で近距離無線通信が行われて近距離無線ユニット4Bがロック信号を受信したときにトラクタ2Bの動作の一部又は全部を制限する。例えば、トラクタ2Bがレンタル会社の保管場所へ戻されることなくレンタル期間が経過したときに、レンタル期間が終了しているので、トラクタ2Bが不正に動作されることを回避する。このとき、トラクタ2Bがレンタル会社の保管場所へ戻されていないので無線端末4Aはロック信号を受信できないが、近距離無線ユニット4Bはロック信号を受信できる。このため、レンタル期間の経過後に不正にトラクタ2Bを操作しようと作業者が携帯端末60を携帯して乗り込むと、近距離無線ユニット4Bを介してロック信号がトラクタ2Bへ送信されて、トラクタ2Bがロックされる。
【0063】
これらの機能を実現する動作制限手段41及びロック部46は、第1制御装置5Bに格納された格納されたプログラム等から構成されている。
このように、照合部45に加えてロック部46を設けることによって、より確実にレンタル期間を管理することができる。
次に、本実施の形態に係る作業機のレンタル管理システム1について、上述したトラクタ2Bの動作と共に詳しく説明する。
【0064】
図7に示すように、予約キーを受信するため無線端末4Aの無線通信エリア7は、レンタルするトラクタ2Bを保管する保管場所と略同じ大きさに設定されている。これは、上述した第2の実施の形態と同じである。つまり、このレンタル管理システム1では、トラクタ2Bが保管場所にあるときには予約キー、ロック信号及びクリア信号を無線端末4Aにて受信することができる。一方、トラクタ2Bが保管場所から離れているときはこれらの信号を無線端末4Aにて受信することができないが、予約キー及びロック信号を近距離無線ユニット4Bにて受信することができる。
【0065】
これにより、
第2の実施の形態で記載した(1)レンタル者がレンタル予約しようとしたトラクタ2Bが保管場所に実際に保管されていないと、予約キーをトラクタ2Bが受信できないので予約できないことに加えて、
(2)トラクタ2Bが保管場所に戻ってくると、ロック信号をトラクタ2Bが受信して(レンタル期間であるか否かに関わらず)動作が制限され、
(3)トラクタ2Bが保管場所に戻って来ているときにレンタルが終了すると、クリア信号をトラクタ2Bが受信してレンタルが不可能になり、
(4)トラクタ2Bが保管場所に戻って来ていないときにレンタル期間が経過すると、ロック信号を携帯端末60からトラクタ2Bが受信して動作が制限されるようになっている。
【0066】
次に、
図9〜
図12を参照して、レンタル管理システム1の動作について説明する。なお、レンタル管理サーバ3で保存されているデータは、
図3に示したデータと同じである。
[作業中処理]
図9及び
図10を参照して、作業中処理(継続使用許可及び継続使用不許可)の動作について説明する。トラクタ2Bを操作する作業者が携帯端末60を携帯してトラクタ2Bに乗り込んでいる作業中は、一定の時間間隔で予約キーが送信される。このように一定の時間間隔で予約キーが送信され続けている限りトラクタ2Bはロック解除状態であり、予約キーが送信されなくなるとトラクタ2Bはロック状態に移行する。
【0067】
携帯端末60は、トラクタ2Bに乗り込んだ作業者が携帯しているため、近距離無線ユニット4Bとの通信範囲内に存在する。一定の時間間隔で携帯端末60が近距離無線ユニット4Bへ予約キーを送信することを繰り返す。照合部45により、予約キー記憶手段40に記憶された予約キーと、携帯端末60から受信した予約キーとの照合も繰り返し行われる。照合OKの場合には、ロック解除状態が継続されてトラクタ2Bによる作業が継続される。この場合にも、照合OKの場合には携帯端末60へOK信号を送信して、携帯端末60に照合結果を表示させることも好ましい。
【0068】
正規ではない(予約キーが正しくない)携帯端末60を携帯した作業者がトラクタ2Bに乗り込んだ場合について説明する。この場合にも、一定の時間間隔で携帯端末60が近距離無線ユニット4Bへ異なる予約キーを送信することを繰り返すものとする。照合部45により、予約キー記憶手段40に記憶された予約キーと、携帯端末60から受信した予約キーとの照合が繰り返し行われる。照合NGとなるので、ロック状態へ移行してトラクタ2Bによる作業が継続できない。この場合にも、照合OKの場合には携帯端末60へOK信号を送信して、携帯端末60に照合結果を表示させることも好ましい。
【0069】
携帯端末60を携帯した作業者がトラクタ2Bから離れると、携帯端末60は近距離無線ユニット4Bとの通信範囲内から外れて、近距離無線ユニット4Bは予約キーを受信できなくなる。この場合には、一定時間前に受信した予約キーをクリアして、ヌルの予約キーを受信したものとして、照合部45により、予約キー記憶手段40に記憶された予約キーと、ヌルの予約キーとが照合される。この場合には、照合NGとなり、ロック状態へ移行してトラクタ2Bによる作業が継続できない。このため、正規の携帯端末60を携帯した作業者のみがレンタルされたトラクタ2Bで作業することができる。
【0070】
なお、携帯端末60から近距離無線ユニット4Bへ予約キーを一定の時間間隔で繰り返し送信する動作は、携帯端末60で実行される適宜なプログラムにより実現される。
[返却処理]
図11を参照して、レンタル店舗における返却処理について説明する。レンタル者がトラクタ2Bをレンタル店舗へ持ち込む場合として、レンタル終了(レンタル期間経過前に返却する早期終了を含む)と、メンテナンス等のために一時的にトラクタ2Bをレンタル店舗へ持ち込む場合とがある。いずれの場合であっても、レンタル者がトラクタ2Bで作業する必要はないので、ロック解除状態をロック状態へ移行させる。また、レンタル終了の場合には、トラクタ2Bの予約キー記憶手段40が記憶している予約キーをクリアする。
【0071】
トラクタ2Bがレンタル店舗の保管場所へ持ち込まれると、トラクタ2Bは無線端末4Aの無線通信エリア7の範囲内に入る。トラクタ2Bからレンタル店舗に設置された送受信機8へ存在信号が送信される。送受信機8は、ロック信号をトラクタ2Bへ送信する。これにより、トラクタ2Bは、ロック状態であればロック状態を維持し、ロック解除状態であればロック状態へ移行する。このように、トラクタ2Bがレンタル店舗の保管場所へ戻されるだけでトラクタ2Bはロックされるので、万一の盗難等を回避できる。例えば、作業者が携帯端末60をトラクタ2Bのキャビン214内に置き忘れた場合であっても、第三者がトラクタ2Bを操作することができない。
【0072】
さらに、このときに、トラクタ2Bの稼働実績データを、レンタル管理サーバ3が受信するようにしても構わない。このようにすると、レンタルされたトラクタ2Bがどのように使用されたのかを詳細にレンタル会社等が知ることができ、必要に応じてメンテナンス作業を行うことができる。
さらに、例えば送受信機8に接続された端末を、作業者またはレンタル会社の社員が操作してレンタル終了又はレンタル継続を入力すると、レンタル終了又はレンタル継続を示す返却信号がレンタル管理サーバ3へ送信される。レンタル管理サーバ3は、返却処理手段52により、返却信号がレンタル終了を示しているとクリア信号をトラクタ2Bへ送信し、返却信号がレンタル継続を示しているとクリア信号をトラクタ2Bへ送信しない。このとき、返却信号がレンタル終了である場合、レンタル管理サーバ3は、レンタル期間を経過しているか否かを判別する。レンタル管理サーバ3は、レンタル期間を経過している場合には、追加料金の清算処理を行う。
【0073】
トラクタ2Bは、レンタル管理サーバ3からクリア信号を受信すると、予約キー記憶手段40に記憶された予約キーをクリアする。
[レンタル期間経過処理]
図12を参照して、トラクタ2Bがレンタル店舗の保管場所以外に存在しているときに、レンタル期間が終了した場合のレンタル期間経過処理について説明する。トラクタ2Bが保管場所から離れているときは、ロック信号を無線端末4Aにより受信することができないが、ロック信号を近距離無線ユニット4Bにより受信することができる。これを用いて、レンタル期間が終了しているにもかかわらず、携帯端末60を携帯した作業者がトラクタ2Bに乗り込んで作業しようとすることを回避する。
【0074】
レンタル期間が経過すると、レンタル管理サーバ3は、期間経過処理手段53により、レンタル期間経過処理を実行する。このとき、レンタル管理サーバ3は、ロック信号を携帯端末60へ送信する。レンタル期間が経過している場合に、トラクタ2Bを操作する作業者が携帯端末60を携帯してトラクタ2Bに乗り込む。このとき、レンタル期間内であれば、上述したように、携帯端末60が近距離無線ユニット4Bとの通信範囲内に入り、携帯端末60が近距離無線ユニット4Bへ予約キーを送信して、トラクタ2Bのロック状態が解除される。ところが、レンタル期間が経過していると、携帯端末60は、近距離無線ユニット4Bへロック信号を送信するので、トラクタ2Bはロック状態を維持する。
【0075】
さらに、この場合に、携帯端末60へ警告信号を送信して、携帯端末60にレンタル期間が経過していることを表示させることも好ましい。
なお、ロック信号の代わりに上述したクリア信号を携帯端末60からトラクタ2Bへ送信して、予約キー記憶手段40に記憶された予約キーをクリアするようにしても構わない。いずれの信号もトラクタ2Bの制御を許可しない信号であるので、不許可信号(ロック信号、クリア信号)を携帯端末60からトラクタ2Bへ送信して、制御装置によってトラクタ2Bの制御が制限されて、トラクタ2Bを使用できなくなる。
【0076】
以上、本発明の第1の実施の形態〜第3の実施の形態に係るレンタル管理システムによれば、携帯端末60を用いれば容易に作業機2A、2Bのレンタルを行うことができる。特に、作業機2A、2Bを操作するに際して、予約キーが保存された携帯端末60を所有していなければ、作業機2A、2Bを操作することはできないため、使用が許可された作業者以外の第三者による操作を防止することができ、作業機2を容易にかつ高いセキュリティで使用することができる。しかも、携帯端末60を用いて簡単に作業機2A、2Bのレンタルを行うことができ、レンタルを行う際は自動的に携帯端末60の個別情報をレンタル管理サーバ3に送信することが可能であるため、レンタルするときに使用した携帯端末60を携帯すれば、当該携帯端末60を用いて簡単にレンタルした作業機2A、2Bを動作(作動)させることができる。
【0077】
このレンタル管理システムは、作業機2A、2Bが予約キー記憶手段40と動作制限手段41とレンタル使用管理手段42(照合部45及びロック部46)と無線端末4A及び近距離無線ユニット4Bとを備える。また、予約時にレンタル管理サーバ3から予約キーが作業機2A、2B及び携帯端末60へ送信される。さらに、レンタル作業開始時に作業者が携帯した携帯端末60から近距離無線ユニット4Bへ送信された予約キーと予約キー記憶手段40に記憶された予約キーとが照合されることから、予約キーが一致する場合のみロックを解除することができ作業機2A、2Bを使用することが可能となる。予約キーが一致しないとロックが解除されないため作業機2A、2Bを使用できない。
【0078】
特に、レンタルする作業機2A、2Bを保管する保管場所と略同じ大きさに無線端末4Aの通信範囲が設定されているので、作業機2A、2Bが保管場所にあるときには予約キー、ロック信号及びクリア信号を無線端末4Aにて受信することができる。一方、作業機2A、2Bが保管場所から離れているときはこれらの信号を無線端末4Aにて受信することができないが、予約キー及びロック信号を近距離無線ユニット4Bにて受信することができる。これにより、(1)レンタル者がレンタル予約しようとした作業機2が保管場所に実際に保管されていないと、予約キーを作業機2A、2Bが受信できないので予約できず、(2)作業機2A、2Bが保管場所に戻ってくると、ロック信号を作業機2が受信して(レンタル期間であるか否かに関わらず)動作が制限され、(3)作業機2A、2Bが保管場所に戻って来ているときにレンタルが終了すると、クリア信号を作業機2A、2Bが受信してレンタルが不可能になり、(4)作業機2A、2Bが保管場所に戻って来ていないときにレンタル期間が経過すると、ロック信号を携帯端末60から作業機2A、2Bが受信して動作が制限されるようになっている。
【0079】
このように、レンタル者がレンタル期間内に適法に使用する際には、携帯端末を用いることにより容易に認証を受けてロックを解除して使用でき、作業機2A、2Bを保管場所に戻すとロック状態へ移行して第三者の不正使用を確実に回避でき、レンタル期間経過後に作業機2A、2Bを保管場所から離れた場所に持ち逃げして作業しようとしても携帯端末60からロック信号が送信されて作業機2A、2Bが使用できなくなる構成であるため、このような事情による作業機2A、2Bの不正使用及び持ち逃げを抑止することができる。
【0080】
ところで、予約キー記憶手段40と、動作制限手段41と、レンタル使用管理手段42等は、上述した制御装置に設けられるのに限定されず、作業機2A、2Bに搭載された制御装置であれば、どのようなものに設けても良い。さらに、作業機2A、2Bは上述したバックホー及びトラクタに限定されず、コンバイン、移植機等であってもよい。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0081】
上述した実施形態では、携帯端末60を用いてレンタル管理サーバ3にアクセスを行って、予約した携帯端末60を用いて作業機2A、2Bのレンタルを容易に行えるようにしていたが、これに代え、レンタルの予約は、携帯端末60とは別のコンピュータ(例えば、パーソナルコンピュータ)を用いて行ってもよい。このような場合は、レンタル管理サーバ3は、レンタルの予約時に、パーソナルコンピュータを用いて通知された携帯端末60に対応する予約キーを、携帯端末60に送信したり、作業機2A、2Bに送信することとなり、これにより、予約時に通知した携帯端末60を用いて作業機2Aや2Bを動作(作動)させることができる。