【実施例】
【0023】
以下、本発明の一実施例が図面にしたがって説明される。
図1Aおよび
図1Bに示すように、本ユニットUは鋳鉄製の第1および第2流体管1A,1Bと、第1および第2ポリエチレン管2A,2Bと、第1および第2インナーコア4A,4Bとを備える。
【0024】
前記第1流体管1Aと第2流体管1Bとは、可撓部15において球面スベリ軸受けのような周知の構造で互いに屈曲自在に接続されている。これにより、
図1Aの本ユニットUの埋設後に地盤が沈下等した場合に、本ユニットUが
図1Bのように可撓部15において屈曲することにより、管路の破損を回避することができるだろう。
【0025】
すなわち、
図2の第1および第2流体管1A,1Bは、それぞれ、互いに嵌合する球面状の凸面13および凹面14を有する。前記凸面13は凹面14に嵌り、前記凸面13と凹面14とは回転中心Oを中心に相対的に摺接して、前記第1流体管1Aと第2流体管1Bとが互いに回転することにより、前記凹面14を持つ可撓部15において屈曲可能である。
【0026】
前記第1流体管1Aと第2流体管1Bとの間には、両者の間をシールするための球面用のシールリング16が介挿されている。前記第2流体管1Bの可撓部15の開口端部15eには抜止リング17が挿入されている。
【0027】
前記抜止リング17は第2流体管1Bに形成された凹面14と同じ曲率の球面状の凹面17fを有する。なお、
図3Bの抜止リング17は
図3Aの前記開口端部15eの開口150から挿入された後、たとえば90°回転された状態で、
図2の可撓部15に収容されると共に、第1および第2流体管1A,1Bに係合して、第1流体管1Aが第2流体管1Bから離脱するのを防止する。
【0028】
前記第1流体管1Aは凹状の第1受口部10Aを有する。前記第1受口部10Aは凸面13の反対側において前記凸面13に覆われた内面101を有している。前記内面101は樽状に湾曲して凹んでいる。一方、前記第2流体管1Bの可撓部15には、第2受口部10Bが一体に連なっている。
【0029】
前記第1ポリエチレン管2Aは、第1挿口部12Aを有し前記第1挿口部12Aが拡径された状態で前記第1流体管1Aの前記第1受口部10Aに嵌り込み、かつ、
図1Aのように、前記第1受口部10Aから露出した第1外端面210を持つ。
図2の前記第1インナーコア4Aは前記第1ポリエチレン管2Aの第1挿口部12Aが拡径された状態を保持するために前記第1挿口部12Aの内周面に嵌り込んでいる。
【0030】
前記所定の回転中心Oから、前記第1ポリエチレン管2Aにおける前記第1外端面210の反対側の第1内端面211を含む仮想の平面までの距離は前記第1ポリエチレン管2Aの内径の1/4以下の長さに設定されている。このように設定されていることで、
図1Bの屈曲状態において、前記第1内端面211上における第1ポリエチレン管2Aの部位212が第2ポリエチレン管2Bの第2軸線L2に接近せず、そのため、スムースな流体の流れが期待できる。
【0031】
図2において、第1内端面211は第1流体管1Aに一体に形成され、第1ポリエチレン管2Aの第1軸線L1に向かって延びる円環状の第1ストッパ19Aに当接している。本実施例の場合、第1ストッパ19Aは第1軸線L1に直交し、かつ回転中心Oを含む仮想の平面に沿って延びている。
【0032】
前記第1流体管1Aは突出管部18を備える。この突出管部18は、前記第1流体管1Aの前記第1受口部10Aに一体に形成され、
図1Bの前記第1流体管1Aと前記第2流体管1Bとが互いに屈曲した状態において、前記第1ポリエチレン管2Aの外周面が前記第2流体管1Bの内周面に接触しないように前記第1ポリエチレン管2Aを覆い、かつ、前記第2流体管1Bの可撓部15から第1軸線L1に沿う方向に突出する。
【0033】
前記第1インナーコア4Aは前記突出管部18の端面18fから前記第1外端面210に向う方向に延びており、前記突出管部18の前記端面18fから前記第1外端面210に向かって前記内径の1/3以上の長さ突出している。
【0034】
前記第2ポリエチレン管2Bは第2挿口部12Bを有し前記第2挿口部12Bが拡径された状態で前記第2流体管1Bの前記第2受口部10Bに嵌り込み、かつ、
図1Bのように、前記第2受口部10Bから露出した第2外端面220を持つ。
図2の前記第2インナーコア4Bは前記第2ポリエチレン管2Bの前記第2挿口部12Bが拡径された状態を保持するために前記第2受口部10Bの内周面に嵌り込んでいる。
【0035】
前記各受口部10A,10Bと各挿口部12A,12Bとの間には、それぞれ、たとえば、ゴム等からなる第1および第2シールリング3A,3Bが介挿され、該シールリング3A,3Bによって前記受口部と前記挿口部との間がシールされている。
【0036】
前記各ポリエチレン管2A,2Bの挿口部12A,12Bの内周には、管状の金属製の前記インナーコア4A,4Bが嵌合している。前記各インナーコア4A,4Bは、たとえば後述の治具により塑性変形されたものである。これにより、流体管1A,1Bの径方向の外方に向かって膨らむように縦断面形状が湾曲した膨らみ部40が前記インナーコア4A,4Bに形成されている。
各ポリエチレン管2A,2Bの挿口部12A,12Bが流体管1A,1Bの径方向の外方に向かって膨らむように変形された膨らみ部20は、前記インナーコア4の膨らみ部40に沿って形成されている。すなわち、膨らみ部20の外周面は、湾曲した凸状に形成されている。
【0037】
一方、各流体管1A,1Bの受口部10A,10Bの内周には、前記ポリエチレン管2A,2Bの外周面に係合して、各ポリエチレン管2A,2Bが各流体管1A,1Bの受口部10A,10Bから離脱するのを防止する第1および第2係合手段11A,11Bが形成されている。各係合手段11A,11Bは、各流体管1A,1Bに一体に形成され、たとえば、円環状の突条や刺状の多数の突起からなる。
【0038】
なお、前記各係合手段11A,11B、前記各ポリエチレン管2A,2Bおよび各インナーコア4A,4Bの構造やその製造方法は、WO2008/149590A1やUS2008/030277A1に開示されており、その記述がここに組み込まれる。
【0039】
前記インナーコア4A,4Bを塑性変形させて膨らみ部40を形成するには、たとえば、
図4Aおよび
図5Aに示す治具5が用いられる。なお、
図4Aの治具5と
図5Aの治具5とは機能的には同一であり、以下、
図4Aの治具5を例にとって説明する。
図4Aに示すように、前記治具5は、押圧部50、筒部51およびスライダ52を備えている。前記筒部51は、第1流体管1Aおよび第1ポリエチレン管2Aの管軸方向Xに沿って延長された筒状に形成されており、該筒部51の端部には、第1鍔部53が形成されている。
【0040】
前記スライダ52は、筒部51の中を管軸方向Xにスライド自在に形成されており、該スライダ52の端部には、第2鍔部54が形成されている。
前記筒部51の第1鍔部53と、スライダ52の第2鍔部54との間には、たとえばウレタンゴム等からなるリング状の前記押圧部50が設けられている。なお、押圧部50の軸方向の長さは、インナーコア4を塑性変形させる領域の大半にわたって設けるのが好ましい。
【0041】
本ユニットを形成する方法:
第1挿入工程;
まず、第1流体管1Aと第2流体管1Bとが互いに分離された状態で
図4Aに示す変形前の第1ポリエチレン管2Aの挿口部12Aの内周側に、外径が一様な変形前の第1インナーコア4Aが挿入される。
【0042】
第1挿入工程;
その後、第1流体管1Aと第2流体管1Bとが互いに分離されたままの状態で、前記第1インナーコア4Aを挿入した変形前の第1ポリエチレン管2Aが第1流体管1Aの受口部10Aに挿入される。
【0043】
第1拡径工程;
前記第2挿入工程後、
図4Aに示すように、治具5がインナーコア4A内に挿入される。筒部51をポリエチレン管2Aに対してして所定の位置にセットした状態でスライダ52を離脱方向X2に引っ張ると、
図4Bに示すように第2鍔部54が離脱方向X2に移動する。かかる移動により、押圧部50が第2鍔部54と第1鍔部53との間で押圧されて、インナーコア4Aに向かって押し出される。押圧部50がインナーコア4Aの内周面に接触し、かつ、押し出すことで、インナーコア4Aの内周面から径方向Rの外方へ向かう力がインナーコア4Aに加えられる。
【0044】
その結果、インナーコア4Aによりポリエチレン管2Aの内周面が前記径方向Rの外方に向かって押され、インナーコア4Aが拡径されると共にインナーコア4Aが塑性変形されて元の形状に戻らない加工硬化の現象を呈する。同時に、インナーコア4Aの拡径によりポリエチレン管2Aが拡径されてポリエチレン管2Aに膨らみ部20が形成される。前記膨らみ部20は受口部10Aの複数の突条11Aに当接するまで拡径する。かかる膨らみ部20が形成されることにより、ポリエチレン管2Aに突条11Aが係合してポリエチレン管2Aの離脱防止機能が発揮されると共に、シールリング3が圧縮変形されて、ポリエチレン管2Aの外周面に密着する。
【0045】
治具5の抜取工程;
前記拡径後、スライダ52を方向X1に戻して押圧部50の変形を解除した後、治具5がインナーコア4Aおよびポリエチレン管2Aから抜き取られる。なお、塑性変形されたインナーコア4Aは押圧部50を抜き取った後も、前記塑性変形による加工硬化により、前記変形した形状を保持する。これにより、ポリエチレン管2Aの形状も保持される。
【0046】
つぎに、
図5Aおよび
図5Bの第2インナーコア4Bおよび第2ポリエチレン管2Bの加工方法について説明する。この加工方法は前述の
図4Aおよび
図4Bの第1インナーコア4Aおよび第2ポリエチレン管2Bの加工方法と同様であり、したがって、簡単に説明する。
【0047】
図5Aにおいて、まず、前記前記第2インナーコア4Bを前記第2ポリエチレン管2B内に挿入する第3挿入工程を実行する。つづいて、前記第1流体管1Aと前記第2流体管1Bとが互いに分離された状態で、前記第2ポリエチレン管2Bの前記第2挿口部12Bを前記第2流体管1Bの前記第2受口部10Bに挿入する第4挿入工程を実行する。
【0048】
前記第3および第4挿入工程の後に、以下に説明する第2拡径工程を実行する。
すなわち、前記第2インナーコア4Bの内側から前記第2インナーコア4Bの径方向の前記外方へ向かう力を前記第2インナーコア4Bに加えて前記第2インナーコア4Bを前記外方に向かう方向に膨らませる拡径と、前記第2インナーコア4Bの塑性変形とを実行する。
これにより前記第2インナーコア4Bが塑性変形されて元の形状に戻らない加工硬化の現象を呈し、前記第2インナーコア4Bにより前記第2挿口部12Bの内周が前記外方に向かって押されて前記第2挿口部12Bが前記外方に向かって膨らんで拡径されて前記第2挿口部12Bが前記第2受口部10Bから離脱しないように前記第2受口部10Bに嵌り込む。
【0049】
前記第1拡径工程によりサブアッセンブリされた
図6Aの第1流体管1Aを、前記第2拡径工程によりサブアッセンブリされた
図6Bの第2流体管1Bに挿入し、その後、抜止リング17を開口端部15eに嵌めることにより、
図1Aのように、第1流体管1Aと第2流体管1Bとが互いに接続される。これにより、ユニットUが工場で生成される。
【0050】
つぎに、前記ユニットUを用いた配管方法について説明する。
前記組み立てられたユニットUの前記第1または第2外端面210,220のうちの一方の外端面220を、既に配管済のポリエチレン管2Cの端面230に溶着する第1溶着工程を実行する。前記第1溶着工程の後に、前記ユニットUの他方の前記外端面210に、次に配管するポリエチレン管2Dの端面240を溶着する第2溶着工程を実行する。
これらの前記第1および第2溶着工程におけるポリエチレン管の溶着自体は常用されており、したがって、現場での配管工事が容易である。
【0051】
以上のとおり、図面を参照しながら好的な実施例を説明したが、当業者であれば、本明細書を見て、自明な範囲で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。
たとえば、第2ポリエチレン管2Bには第2受口部10Bではなく、フランジ継手やメカニカル継手などによりバルブや鋳鉄管などに接続されるようにしてもよい。
また、第1ポリエチレン管の第1内端面の近傍において第1インナーコアおよび第1ポリエチレン管の内径をテーパ状に大きくしてもよい。
また、第2流体管の可撓部は管軸方向に2分割されて、抜止リングを形成してもよい。また、インナーコアの材質は流体管の材料よりも伸延性の優れた金属であればよく、一般に真ちゅうなどの銅系金属やステンレスなどを採用することができる。
したがって、そのような変更および修正は、請求の範囲から定まる本発明の範囲内のものと解釈される。