(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
中に又は上に、各々の場合少なくとも幾つかの領域において、少なくとも一つの機械的ばねエネルギーリザーバ(50)、少なくとも一時的に活性物質で充填することができる少なくとも一つのシリンダー/ピストンユニット(100)、少なくとも一つのピストン−作動ラム(60)、及び少なくとも一つのトリガーユニット(80)が配置されるハウジング(200)を有し、
−ここで、ピストン−作動ラム(60)が、 ばねエネルギーリザーバ(50)とシリンダー/ピストンユニット(100)のピストン(111)の間に位置し;
−ここで、ばねエネルギーリザーバが少なくとも一つの予張力をかけられたバネエレメント(50)を含み;そして
−ここで、ばね荷重ピストン−作動ラム(60)が解除可能な形でハウジング(200)の上に支持される針無し使い捨て注射器であって:
−ハウジング(200)が薄肉の板金部材(201)でつくられ、
−板金部材(201)が少なくとも二つの分岐(220)を有し、
−分岐(220)が、各々その自由端で、シリンダー/ピストンユニット(100)のシリンダー(101)を受ける手段として角のある保持エレメント(221)又は凹部を有し、
−各分岐(220)が、中間領域においてピストン−作動ラム(60)に対する支持部分(231)を形成するためにZ−形又はS−形に曲げられる弾性曲げビームであり、
−個々の支持部分(231)とピストン−作動ラム(60)の間に置かれる接触ゾーンが、各分岐(220)を外側に押し出す、そして
−トリガーユニット(80)が、板金部材(201)上を滑り可能に配置される少なくとも一つのトリガーエレメント(82)を含み、そして支持部分(231)及び/又はベアリング部分(232)が縦溝(83)内に外側に急に動き、
−少なくとも一つのロックタング(190)が、二つの分岐(220)の少なくとも一つの上に配置され、少なくとも一つのトリガーエレメント(82)がロック凹部(25,26)を有し、少なくとも一つのロックタング(190)がロック凹部(25,26)に係合して、ハウジング(200)をロックする、
ことを特徴とする、上記針無し使い捨て注射器。
ハウジング(200)が板金片(201)でつくられ、そして板金片(201)が、二つの分岐(220)を形成するためにU−形に曲げられることを特徴とする、請求項1に記載の使い捨て注射器。
支持部分(231)が、それぞれの保持エレメント(221)を持つ部分(233)と、112〜118度の角度を囲むことを特徴とする、請求項1に記載の使い捨て注射器。
ピストン−作動ラム(60)が矩形の表面領域を有する平板(73)であること、又はU−形に曲げられた板金片(73、78)で作られることを特徴とする、請求項1に記載の使い捨て注射器。
トリガーエレメント(82)が、ハウジング(200)及びその上に固定された引裂きバンデロール(90)と一緒に、トリガーユニット(80)を形成することを特徴とする、請求項1に記載の使い捨て注射器。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は恒久的に装填された(charged)ばねエネルギーリザーバを有する使い捨て注射器を示す。使い捨て注射器は、トリガーエレメント(82)及び保護キャップ(120)によって囲まれるハウジング(200)、例えば、注射溶液で事前に充填されるシリンダー/ピストンユニット(100)、ピストン−作動ラム(60)、及びばねエネルギーリザーバとしての螺旋圧縮ばね(50)で構成される。シリンダー/ピストンユニット(100)は、殆どの部分が保護キャップ(120)中に位置する。
【0011】
ハウジング(200)は「U」の形に曲げられている板金片(201)である。例えば、18ミリメーターの幅を有する板金片(201)は平らなときに約240ミリメーターである。適切な場合、ばね鋼で生産された板金片(201)は、例えば、0.5ミリメーターの肉厚を有する。曲げられた板金片(201)は中央端板(210)及び後者から少なくとも略垂直に突き出ている二つの曲げ弾性がある分岐(220)で構成される。それらの自由端で、少なくとも幾つかの領域において、互いに対して略平行に向けられた分岐(220)は、そこにそれぞれの保持エレメント(221)を形成するために、各々内側に向かって90度の角度で曲げられる。保持エレメント(221)は、例えば、1.5〜3ミリメーターの長さであり、そして互いに向かって突き出る。それらは端板(210)と平行に向けられる面を形成する。
【0012】
フックの形をした保持エレメント(221)の代わりに、各分岐(220)には、その中に、各々の場合、シリンダー/ピストンユニット(100)のシリンダーがピンを用いて吊るすことができる凹部が備わることができる。
【0013】
図5によると、端板(210)と分岐(220)の間の移行部分で、各々の場合、二つの補強ビーズ(stiffening beads)(211)が押しつけられる。補強ビーズ(211)は端板(210)内に遠くまで突き出るため、それらによって螺旋圧縮ばね(50)の最後の巻きが端板(210)上に追加的に中心を合わせられる。
【0014】
中間領域において、各分岐(220)はZ−形又はS−形に各々が曲げられる、ここでツインアングルベンド(twin-angle bend)は、中心線(5)に対して鏡面対称である、
図4を参照。この図において、板金片(201)は、解除された状態で示される。
図4によると、この場合、中間領域は、ハウジングの全長の略1/4だけハウジング(200)の上方及び下方に伸びる区域である。
【0015】
各分岐(220)は、前部保持部分(233)、中央支持部分(231)及び後部ベアリング部分(232)で構成される。保持部分(233)は、主として直線的であり、そして
図4によると、中心線(5)に対して平行に伸びる。それは、比較的に短い支持部分(231)によって隣接される。板金片の縦方向に約1.5〜3ミリメーターある支持部分(231)は、
図17を参照、例えば、保持部分(233)を用いて112〜118度の角度を囲む。それは垂直に対して65度だけ傾いている。
【0016】
使い捨て注射器がトリガーされていない状態にあるとき、ピストン−作動ラム(60)は支持部分(231)上に位置する、
図1及び10を参照。それはこのようにして引張り応力下にある。
【0017】
支持部分(231)はベアリング部分(232)によって隣接される。後者は端板(210)までも遠くに伸びる。
図4によると、ベアリング部分(232)は支持部分(231)を用いて113度±3の角度を囲む。
図1及び6によると、それは、トリガーエレメント(82)の大きな表面領域に亘って位置する。例えば、トリガーエレメント(82)は接触ゾーン(86)においてセラミックライニングを有し、ここで、ばねエレメント(50)に張力がかけられるときに、ベアリング部分(232)は大きな表面領域に亘って位置する。
【0018】
図1、10、11及び17によると、ピストン−作動ラム(60)は分岐(220)の支持部分(231)上に位置する。この場合、ピストン−作動ラム(60)は、U−形に曲げられている、そして中間部分、ラム板(73)及び二つの誘導分岐(78)から構成される板金片である。ラム板(73)は端板(210)と平行に配向される。誘導分岐(78)は直角に上方に突き出る。螺旋圧縮ばね(50)は誘導分岐(78)の間に着座する。適切な場合、誘導分岐(78)にはラム板(73)に対して補強ビーズが供される、
図5からの板金片(201)の補強ビーズ(211)を参照。
【0019】
図17によると、ラム板(73)は、その中でそれが分岐(20)のそれぞれの支持部分(231)上に位置する領域において、大きな表面積に亘って接触を確保するために、例えば、25度の斜面(75)を有する。
【0020】
図1によると、ピストン−作動ラム(60)は、二つの分岐(220)間の通常の距離よりも少し小さい、例えば、約0.1〜0.3ミリメーターだけ小さい幅を有する。従って、ピストン−作動ラム(60)は分岐(220)上を縦方向に誘導される。ピストン−作動ラム(60)の誘導分岐(78)がトリガーエレメント(82)の内壁(89)上を、遊びを有して誘導されることが
図2において見られるであろう。
【0021】
図1〜3及び17によると、なかでも、ラム板(73)は、シリンダー/ピストンユニット(100)のピストン(111)の後部端を追加的に誘導するための中央孔(76)を有する。
【0022】
二本の張力をかけられた分岐(220)は、その予張力をかけられた位置において、そのラム板(73)を介してピストン−作動ラム(60)を保持する、
図1及び17を参照。この目的のために、分岐(220)はラム板(73)の下方の25度の斜面(75)上でそれらの支持部分(231)に耐える(bear with)。それぞれの支持部分(231)と、対応する25度の斜面(75)の間のそれぞれの接触表面の大きさは10〜30mm
2の範囲にある。
【0023】
板金でできているハウジング(200)は大部分が、その中でそれが座し、そして滑ることができるトリガーエレメント(82)によって囲まれる。トリガーエレメント(82)は、ここでは、蓋(285)によって後部端で完全に閉じられ、そしてトリガーユニット(80)の部分である四角いチューブである。チューブ(82)は前部領域(21)及び後部領域(21)を有する。
【0024】
トリガーエレメント(82)の略前部1/3に関係する前部領域(21)は、二次リング(quadratic ring)断面を有する四角いチューブの形を持つ。四つの側壁(87、88)は、この領域(21)において、1.5〜2.5ミリメーターの同じ肉厚を各々有する。
【0025】
後部領域(22)は矩形リング断面を有し、
図3を参照、ここで側壁(88)は側壁(87)よりも約5パーセント広い。側壁(87)の部分中に配置されて、トリガーチューブ(82)の後部端までも遠くに伸びる縦溝(83)がある。縦溝(83)の領域において、側壁(87)の肉厚は、例えば、0.5ミリメーターまで減じられる。内壁(89)に対して約75度だけ傾いている各縦溝(83)は、例えば、平らな戻り側面(84)である前部で終わる、
図15も参照。この傾きは板金片(201)の分岐(220)の支持部分(231)の傾きと同じ方向を有する。
【0026】
注射器がトリガーされていない状態にあるとき、縦溝(83)は各々ベアリング部分(232)及び個々の分岐(220)の支持部分(231)の大部分を受ける、
図9、13及び16を参照。
【0027】
図2に記載の右側の側壁(88)において、十分の数ミリメーターだけ内側に突き出ている三つの弾性ロックタブ(181〜183)はトリガーチューブ(82)の後部領域中に配置される、
図6〜8を参照。ロックタブ(181〜183)は各々、例えば、矩形形状を有する。それらの肉厚は側壁(88)の肉厚の略50%に対応する。それらはトリガーチューブ(82)の壁からの、そして隙間(185)による最も近いロックタブからの三つの辺上に境界を定められる。隙間(185)は、例えば、0.5ミリメーターの幅を有する。この幅は端板(210)の肉厚に対応する。二つの隙間(185)が90度の角度で互いに出会う場所で、ロックタブ(181〜183)は丸められる。
【0028】
トリガーチューブ上に一体的に形成された、偏心的に配置されたロックタブ(181〜183)は、三つの場所(186〜188)で板金片(201)の位置を固定する。それらはトリガーエレメント(82)の内部(29)へと数十分の一ミリメーター突き出す。第一場所(186)は前方ロックタブ(181)と中間ロックタブ(182)の間の隙間である。端板(210)は、更なる中間貯蔵のために、螺旋圧縮ばね(50)がピストン−作動ラム(60)と端板(210)の間に締め付けられて、板金片(201)が組立てられるとき、そこの水平隙間中にロックされる、
図6を参照。
【0029】
第二場所(187)は中間ロックタブ(182)と後方ロックタブ(183)の間の隙間である。
図1及び2によると、端板(210)はここで、完全に組み立てられているがまだトリガーされていない使い捨て注射器中に座す。この隙間における端板(210)のロックによって、保護キャップ(120)の除去後の、トリガーチューブ(82)からのハウジング(200)の引き抜きが防がれる。第三場所(188)は後方ロックタブ(183)の上方の隙間である。板金片(201)は、注射器がトリガーされた後、それ自身をこの位置においてロックする、
図9を参照。それは、次いで使用済みの注射器の望まれない解体に抗してそこに固定される。
【0030】
適切な場合、ロックタブ(181〜183)のそれぞれの上部コーナー、つまり蓋(285)に面しているコーナーは、板金片(201)がトリガーチューブ(82)内にのみ押されるように、鋭い端部を有する。そこで、反対方向への動きは不可能になる。
【0031】
上で示された変形例において、全てのロックエレメント(181〜183)はトリガーエレメント(82)上に配置される。それらは、或る場合には一時的に、そして或る場合には恒久的に、トリガーエレメント(82)に対して端板(210)の位置を固定する。ロックエレメント(181〜183)が、ハウジング(200)上に配置された少なくとも一つのロックエレメントによって置き換えられることも考えられる。次に、このエレメントは、例えば、匹敵するロック位置を供するために、トリガーエレメント(82)中の対応する切り込み中に係合する。この種の変形は
図10〜16、18及び19において示される。
【0032】
この目的のために、例えば、6ミリメーターの幅を有するロックトング(190)は、例えば、各分岐(220)の後部1/4中に配置される、
図19を参照。ロックトング(190)は、例えば、0.2〜0.5ミリメーターの幅を有してU−形をした隙間(197)から切り出すことによって形成される。分岐(220)の下方領域において、つまり端板(210)の近くで、そこでのノッチ応力を最小化するために、隙間(197)は穴(198)中で終わる。分岐(220)の実質的に面状のベアリング部分(232)と対照的に、ロックトング(190)は数回曲がっている、
図14〜16も参照。ロックトング(190)は、
外側に向かって弾性的に歪んでいる曲げ部分(191)、及び支持部分(192)から構成される。後者は略その中心でロックノブ(193)を有する。
【0033】
図14及び10において、ロックトング(190)は各々の場合、その支持端面(194)をトリガーエレメント(82)の縦溝(83)の戻り側面(84)上に有して置かれる。この位置において、ロックトング(190)は動きの障害物として役立つ。これは
図6及び7からのロック機構(180)の第一場所(186)に対応する。
【0034】
図15及び11は、取り扱い状態における注射器を示す。ロックトング(190)のロックノブ(193)は、トリガーエレメント(82)のロック穴(26)中に係合する。
【0035】
注射器がトリガーされた後、ロックトング(190)は、トリガーエレメント(82)の窓(25)において、その支持部分(192)に係合する。この場合、曲がり部分(191)は、窓(25)の後部端上に置かれ、一方、支持端面(194)は、窓(25)の前部端にのしかかる。このロックされた位置から、板金片(201)は、もはやトリガーチューブ(82)から外へ前方に引かれることができない。
【0036】
使い捨て注射器が完全に組立てられているとき、ロック凹部(25、26)及び隙間(185、197)は、例えば、接着剤によって又はシュリンクフィットによって恒久的に張り付けられ、そして例えば、内接され得る、場合に寄り弾性フィルムによって、それらを埃から保護するために覆われる。
【0037】
後部端で、トリガーチューブ(82)は蓋(285)によって遮断される。蓋(285)はトリガーエレメント(82)に、例えば、接着剤による接合、溶接、ロック又は圧縮によって接続される。適切な場合、蓋もトリガーエレメント(82)の上に一体的に形成される。蓋(285)は、トリガーチューブの後部領域において、側壁(87)の縦溝(83)の断面を各々が満たす二つの互いに反対側の蓋トング(286)を有する。それらの自由端で内部(29)に向かって傾斜している蓋トング(286)は、
図1によると、注射器が取り扱い状態にある限り、端板(210)の領域において少しばかりの遊びを有して、それらが縦方向に板金片(201)を支持できる程度に、トリガーエレメント(82)内に突き出る。
【0038】
この具体例において、シリンダー/ピストンユニット(100)は、注射溶液(1)又は溶媒、例えば注射用の水で充填された、そしてその中に、
図1によると、ピストン(111)がその後部位置に座す透明シリンダー(101)を含む。
【0039】
シリンダー(101)は、例えば、厚肉のポットである。シリンダーの穴は、例えば、円筒状又は裁頭円錐形状である。そのシリンダーのベースが少なくともピストン(111)の前端面の略外形に適合される穴の中心において、短い、円筒状で、ノズル状の孔(106)がある。その直径は、約0.1〜0.5ミリメーターである。この孔(106)はその直径の1〜5倍長い。それは、シリンダー(101)の底で外部端面(103)中の円筒状凹部(107)中に終わる、
図9を参照。適切な場合、二つ又はそれより多くのノズル状の孔(106)をシリンダー(101)のベース中に配置することも可能である。
【0040】
凹部(107)の周りに、接着リング(108)は端面(103)にしっかりと接着する。接着リング(108)は端面(103)の殆ど全てを覆う。
【0041】
シリンダー(101)の空間的外形は、具体例において、例えば、四角い形態を有する。しかしながら、それは円筒状でもあってもよい。シリンダーの中央領域において、中心線(5)に対して横断するように配向された外形の断面は、中央穴を有する四角い表面である。その断面は、シリンダー(101)がトリガーチューブ(82)の内部(29)を少しばかりの遊びを有して滑るように寸法取りされる。
【0042】
トリガーチューブ(82)の方に向けられる上部1/4において、シリンダー(101)は、その外形において、例えば、矩形のノッチ断面を有する、例えば、周囲の保持ノッチ(104)を有する。分岐(220)のフック形をした保持エレメント(221)は、シリンダー(101)を注射器中に固定するために、保持ノッチ(104)中に係合する。保持ノッチ(104)の上方で、シリンダー(101)は狭まり、先を切り取られたピラミッド形になる。互いに反対側のピラミッド状表面によって囲まれた角度は、例えば、20〜30度である。適切な場合、保持ノッチ(104)も単純に、二つの互いに反対側の単一ノッチで構成することができる。
【0043】
シリンダー(101)は、シリンダーの裏面の領域において、シールエレメント(116)を受けるための環状溝(105)中に終わる円筒状内壁(109)を有する。
【0044】
その前面及び少なくともほぼ円錐状に形づくられた端面で、シリンダー(101)中に位置しているピストン(111)は、シールリング(114)又は恒久的に弾性であるシール化合物を受けるための軸環状溝(112)を有する。その中央領域において、ピストン(111)は胴のくびれ(waist)を有し、そしてその後部端で、ラム板(73)の孔(76)中に遊びをとって係合する、中央の裁頭円錐形のピン(118)を有する。
【0045】
ピストン(111)及びシールエレメント(116)は、シリンダーの充填された内部(110)を、無菌状態で遮断する。
【0046】
図11によると、シリンダー(101)の底部端面(103)中の円筒状凹部(107)は、例えば、保護フィルム(128)によって遮断される。保護フィルム(128)は端面(103)上の接着リング(108)に亘って接着する。それは横方向の引剥がしタブ(129)を有する。保護フィルム(128)の中央領域において、保護フィルム(128)にしっかりと接着しそして凹部(107)の中空スペースをシールするように充填する弾性ストッパーがある。
【0047】
これに対する代替法として、とりわけ、
図1及び2において示されるように、ポットの形をした保護キャップ(120)は下側からシリンダー(101)上へとぴったりはめられる。幾何学的にいえば、一体物の保護キャップ(120)は原則として5つの平面壁から構成され、そしてそれはシリンダー(101)を横方向に少し遊びをとって取り囲む。
図1〜9に記載の具体例において、それはトリガーチューブ(82)の前部領域(21)と同じ四角いチューブ状の断面を有する。保護キャップ(120)の上方のそして、例えば、平らな端面は、四角いチューブの形態でトリガーエレメント(82)の前端面と接触する。保護キャップ(120)の外壁は、シリンダー(101)から引き離すことがより容易になるようにプロファイルされ又は構築される。具体例においては、溝プロファイル(122)が使用される
【0048】
保護キャップ(120)のベースは、シリンダー(101)の凹部(107)において密閉的に係合するストッパー(121)を有する。保護キャップ(120)は接着リング(108)を介してシリンダー(101)に接着する。後者は、シリンダー(101)に対して、保護キャップ(120)のベースに対して有するよりも実質的に大きな接着性を有する。接着性における差異を更に確保するために、接着リング(108)との接触表面が、シリンダーの接着リング(108)と端面(103)の間の接触表面よりも小さくなるように、ベースには所望ならばプロファイル又は肩が供される。
【0049】
螺旋圧縮ばね(50)は、板金片(201)のラム板(73)と端板(210)の間に、予張力をかけられて着座する。ばねの力はラム板(73)を介して分岐(220)に伝えられる。ラム板(73)の斜面(75)が傾斜している故に、分岐(220)は、楔ギアのように半径方向に外側に無理やり動かされる、
図17を参照。斜面(75)は分岐(220)の傾いた支持部分(231)と接触する。ベアリング部分(232)はトリガーチューブ(82)の内壁上に少なくとも実質的に平らに位置する。このようにして、トリガーチューブ(82)は、楔ギアによって生じる横断方向の力を恒久的に支持する。
【0050】
図1及び2によると、四角いチューブの形をしたトリガーエレメント(82)及び保護キャップ(120)はそれらの端面で接触する。開封明示シールとして、この領域は、安全エレメントとしてのバンデロール(90)によって追加的に囲まれる。ちぎり取られ又は分離することができるバンデロール(90)は、例えば、接着剤を用いて一方の側上に被覆される紙片又はフィルム片である。フィルム片は、例えば、単一層で、トリガーエレメント(82)と保護キャップ(120)の組合せを一度取り囲む。それは部分(82)及び(120)を一時的に貼り付ける。注射器の使用準備において、注射器をプライミングするために、又は保護キャップ(120)を除くために、バンデロール(90)は、トリガーエレメント(82)と保護キャップ(120)の間の接着接合が元に戻されるように引き剥がされ又は分離される。この目的のために、具体例において、トリガーエレメント(82)の領域に位置している引裂きタブ(96)は掴まれ、そしてそのようにしてバンデロール(90)は、例えば、数セクションで巻き解かれる。そうすることによって、バンデロール(90)は、端面の領域中に正確に位置する、画成された、例えば、直線の所定の破壊点(93)で引き裂かれる。従って、プライミング中に、トリガーエレメント(82)を圧迫しているバンデロール(90)のその部分(91)のみが除かれる。
【0051】
図6及び7は組立ての中間段階における注射器を示す。組立て手順は最初に螺旋圧縮ばね(50)のピストン−作動ラム(60)及び板金片(201)への接合を必要とする。そうすることにより、螺旋圧縮ばね(50)は、ばねの一端が端板(210)上を圧迫するように、既に形付けられた板金片(201)内にピッタリとはめ込まれる。鐙状のピストン−作動ラム(60)はばねの他端上へと押される。次いで、螺旋圧縮ばね(50)を外側上又は内側上に誘導する組立て器具の助けを借りて、板金片(201)は端板(210)とピストン−作動ラム(60)の間で、ばねの作用に抗して、端面(74)の斜面(75)が支持部分(231)の後方に位置する程度に一緒に押される(
図17を参照)。そうすることで、ピストン−作動ラム(60)に横方向にあるベアリング部分(232)が組立て手順を容易にする。
【0052】
組立て器具中でまだ張力がかけられている、板金片(201)の及びピストン−作動ラム(60)の張力をかけられたばね(50)の組合せ部分が、ここでトリガーチューブ(82)内に下方から挿入される。端板(210)が、ロックタブ(181)と(182)の間に置かれた隙間(185)中にロックするときに挿入手順は完了する。この位置(186)、
図6を参照、において、分岐(220)の自由端はトリガーチューブ(82)から下方に突き出る。
【0053】
更なる組立て段階において、一方で、ガイドピン(118)がピストン−作動ラム(60)の孔(76)中に係合し、そして他方で、分岐(220)の保持エレメント(221)がシリンダー(101)の保持ノッチ(104)中に係合するように、充填されたシリンダー/ピストンユニット(100)は、ピストン(111)のガイドピン(118)を前方に有して、トリガーチューブ(82)内に挿入される。この位置から出発して、トリガーチューブ(82)は、端板(210)がロックタブ(182)と(183)の間に置かれた隙間(185)中にロックするまで、板金片(201)に亘って更に押される。このプロセスにおいて、保持エレメント(221)は保持ノッチ(104)中にしっかりと係合し、そのようにしてシリンダー/ピストンユニット(100)をトリガーチューブ(82)中に固定する。
図1において示された組立て段階と比べて、なされるべき残された事項の全ては、内接フィルムを用いて、開封明示シール(90)を適用し、縦溝(83)及び隙間(185)を覆うことである。
【0054】
図10〜16、18及び19は、
図1〜9と比べて少し異なる変形例を示す。それはなかでも七つの点で異なる。第一は、板金片(201)が、トリガーチューブ(82)の側壁(87)の間に縦中心を供するために、分岐(220)当たりに少なくとも一つのロックトング(190)を有すること。第二は、ピストン−作動ラム(60)が穴を持たず、そしてその下部端面(74)上に2つ又は4つの斜面(75)を有する丁度四角い板である。適切な場合、ここで破線で示されたガイドピン(62)が四角い板の上方端面上に固定され又は一体的に形成されること。第三は、ピストン(111)がその後端面上にガイドピンを持たないこと。第四は、トリガーエレメント(82)がロックタブ(181〜183)の代わりにロック凹部(25、26)を有すること、
図7を参照。第五は、トリガーチューブ(82)が、
図1に記載の蓋トング(286)を有さない蓋(285)を有すること。第六は、保護キャップ(120)の代わりに、
図1を参照、シリンダー(101)が保護フィルム(128)のみを有すること、
図10及び11を参照。第七は、バンデロール(90)がシリンダー(101)の周りにのみ巻かれていること。しかしながら、バンデロール(90)のフィルムは、トリガー(6)の方向へのトリガーエレメント(82)の動きをそれがしっかりとブロックすることを確保するのに十分な肉厚を有する。
【0055】
図20及び21は、その板金片(201)にロックニッチ(234)及び誘導バルジ(bulge、膨隆)(235)が備わった注射器を示す。この板金片(201)は、各側壁(87)において、後部縦溝(83)及び前部縦溝(23)を有するトリガーチューブ(82)に属する。縦溝(83、23)は、幅が数ミリメーターで、そしてトリガーチューブ中で幾分中央に配置されるウエブ(81)によって互いに分離される。
【0056】
その後部領域が支持部分(231)である、板金片(201)のロックニッチ(234)は、注射器がトリガーされるとき、それが遊びを有してウエブ(81)を囲むように形づくられる、
図21を参照。
【0057】
波型の誘導バルジ(235)は、保持エレメント(221)に近接して置かれる。それは、注射器の各操作状態において、シリンダー(101)の保持ノッチ(104)中で保持エレメント(221)が安全に係合するように、それらの保持エレメント(221)を用いて、分岐(220)の前端を支持するという目的を有する。
【0058】
図において示された使い捨て注射器を使用する準備のために、個々の注射器は引裂きタブ(96)を外すことによって最初にプライミングされる。次いで、保護キャップ(120)又は保護フィルム(128)がシリンダー/ピストンユニット(100)から引き出される。次いで、接着リング(108)を前方に向けて、注射器が消毒された注射部位上に位置付けられる。これを行いながら、使い捨て注射器はトリガーチューブ(82)によって掌の中に保持される。注射器を保持している手の親指は、例えば、ペンを持つときのように、例えば、蓋(285)上に載っている
【0059】
ここで、トリガーチューブ(82)はシリンダー/ピストンユニット(100)の方向に動かされる。このプロセスにおいて、トリガーエレメント(82)は板金片(201)の下方に、つまり、注射部位の方向に直線的に滑る。分岐(220)のベアリング部分(232)は、端部(85)に亘って滑り、そしてばねエレメント(50)の力の下で、縦溝(83)内に横切る方向に外側に跳ねる。支持部分(231)はピストン−作動ラム(60)を解除する。後者は妨げられないで下方に放たれる(shoot downwards)。そうすることで、ラム板(73)の端面(74)は、その前に十分の数ミリメーター又は数ミリメーター離れて置かれていたピストン(111)の端面を打つ。ピストン(111)は、注射溶液又は薬剤(1)を、ノズル(106)を通して、例えば、初期に300×10
5Paで、シリンダー(101)が空になるまで無理に排出する、
図9を参照。注射手順は注射溶液(1)の排出をもって完了される。
【0060】
具体例は、その中でハウジングの分岐(220)が、それぞれの対において、互いに対して少なくとも略平行に向けられる(±2度の角度偏差が許容できる)注射器を示す。分岐(220)は平行面中に位置し、ここでこれらの面は、注射器の断面で見たとき、矩形の互いに反対側の辺を形成する。注射器の断面の面は中心線(5)に直角に位置する。これらの辺も、菱形、平行四辺形、台形又は斜め四辺形に属し得る。
【0061】
また、分岐(220)はそれぞれの対において各々同じ長さであり、そして支持部分(231)は同じ高さで互いに反対側に位置する、
図1、4、9などを参照。これは絶対に必要であるものではない。例えば、もし、ピストン−作動ラム(60)のベアリング表面及び戻り側面(84)が対応して相殺されるならば、支持部分(231)は異なる高さに位置してよい。
【0062】
単一板金片(201)で作られるハウジング(200)の代わりに、二つの匹敵する板金片が互いに十字に組み合わされることも可能である。板金片は、互いに対して90度の角度だけ中心線(5)に対して相殺される。このようにして、例えば、ラム板(73)は支持部分(231)によって四辺上で囲まれる。適切な場合、これはシリンダー(101)の搭載にも適用される。