【実施例】
【0046】
図3(a)および
図3(b)は、本発明による一実施例の液晶表示パネルの構成の一例を示す模式図である。
図3(a)は、本実施例の液晶表示パネルにおける各画素の回路構成の一例を示す模式回路図である。
図3(b)は、対向基板側から見た本実施例の液晶表示パネルにおける各画素の構成の一例を示す模式平面図である。
なお、
図3(a)および
図3(b)には、
図1(a)および
図1(b)に示した表示領域DAの左上の角部における横2画素×縦4画素の8画素分の回路構成を示している。
また、
図3(a)および
図3(b)を参照した説明において、複数本の走査信号線GLを区別する必要がある場合は、各走査信号線の符号をGL
n(nは1,2のいずれか)で示し、複数本の映像信号線DLを区別する必要がある場合は、各映像信号線の符号をDL
m(mは1,2,3,4,5のいずれか)で示す。
【0047】
本実施例の液晶表示パネル1では、走査信号線GLの本数を、たとえば、
図3(a)に示すように、映像信号線DLの延在方向(y方向)に並んでいる画素の数の半分に減らし、当該映像信号線DLの延在に並んだ2つの画素に1本の割合で配置する。
【0048】
また、映像信号線DLの本数は、走査信号線GLの延在方向(x方向)に並んでいる画素の数の2倍に増やす。このとき、各映像信号線DLは、1つの画素の画素電極PXが隣接する2本の映像信号線で挟まれており、かつ、走査信号線GLの延在方向で隣接する2つの画素の画素電極PXの間に2本の映像信号線が通るように配置する。
【0049】
また、本実施例の液晶表示パネル1においても、1つの画素には、たとえば、TFT素子Trおよび画素容量C
LCが、それぞれ1つずつ配置されており、1つの画素が占有する領域は、1本の走査信号線GLおよび当該走査信号線GLに隣接する画素境界PBと、画素電極PXを挟んで隣接する2本の映像信号線DLにより囲まれる領域に相当する。すなわち、本実施例の液晶表示パネル1において、隣接する2本の走査信号線GL(たとえば、走査信号線GL
1,GL
2)と隣接する2本の映像信号線DL(たとえば、映像信号線DL
1,DL
2)とで囲まれる領域を1つの画素領域とすると、当該1つの画素領域には、2つのTFT素子Trと2つの画素電極PXが配置される。
【0050】
ただし、本実施例の液晶表示パネル1では、映像信号線の延在方向(y方向)に沿って並んだ複数の画素からなる1つの画素列に対して、2本の映像信号線DL(たとえば、映像信号線DL
1,DL
2)が割り当てられており、当該1つの画素列には、前記2本の映像信号線のうちの一方にドレインが接続しているTFT素子を有する画素と、前記2本の映像信号線のうちの他方にドレインが接続しているTFT素子を有する画素とが、交互に配置されている。
【0051】
また、前記1つの画素列において、1本の走査信号線GLを挟んで隣接する2つの画素のTFT素子は、それぞれ、ゲートが同じ走査信号線GLに接続しており、ドレインが異なる映像信号線に接続している。
【0052】
また、前記1つの画素列において、隣接する2本の走査信号線GLの間には、当該2本の走査信号線GLのうちの一方にゲートが接続しているTFT素子を有する画素と、当該2本の走査信号線GLのうちの他方にゲートが接続しているTFT素子を有する画素とが並んでいる。このとき、隣接する2本の走査信号線GLの間にある2つの画素のTFT素子は、ドレインが異なる映像信号線に接続している。
【0053】
液晶表示装置が縦電界駆動方式の場合、TFT基板101には、たとえば、
図3(a)に示した構成のうちの、走査信号線GL、映像信号線DL、TFT素子Tr、および画素電極PXが配置される。また、液晶表示装置が横電界駆動方式の場合、TFT基板101には、たとえば、
図3(a)に示した構成のうちの、走査信号線GL、映像信号線DL、TFT素子Tr、画素電極PX、対向電極CTが配置される。また、いずれの場合も、走査信号線GL、映像信号線DL、TFT素子Tr、および画素電極PXは、TFT基板101上における平面レイアウトが、
図3(a)に示した回路構成を反映するように配置される。
【0054】
このとき、対向基板102に、たとえば、従来のように走査信号線GLおよび映像信号線DLと重畳(対向)する位置に延在する遮光膜BMを設けると、液晶表示パネル1を対向基板102側から見たときの構成は、たとえば、
図3(b)に示すような構成になる。なお、
図3(b)においても、網掛けが入っている領域に遮光膜BMが延在しており、遮光膜BMで囲まれた白塗りの矩形領域は、たとえば、バックライトユニットからの光が透過する開口領域であり、各画素の階調表示を担う領域である。
【0055】
本実施例の液晶表示パネル1では、走査信号線GLの本数を、前記1つの画素列に含まれる画素の数の半分に減らしているので、隣接する2本の走査信号線GLの間に配置されている2つの画素の境界(画素境界PB)には、外光を遮る必要がある構成要素(たとえば、TFT素子など)が配置されていない。そのため、当該画素境界PBと対向する位置に遮光膜を設ける必要はなく、隣接する2本の走査信号線GLの間に配置されている2つの画素(前記1つの画素領域)に対する開口領域を1つにできる。このとき、隣接する2本の走査信号線GLの間に配置されている2つの画素に対する1つの開口領域は、たとえば、
図2(b)に示した、当該2つの画素を分割する遮光膜が無くなった分だけ広くなる。そのため、本実施例の液晶表示パネル1は、
図2(b)に示したものよりも各画素の開口率が高くなり、画面が暗くなるのを防げる。
【0056】
図4(a)乃至
図4(d)は、本実施例の液晶表示パネルにおけるTFT基板の構成の一具体例を示す模式図である。
図4(a)は、TFT基板における隣接する2本の走査信号線に挟まれた2つの画素の平面レイアウトの一例を示す模式平面図である。
図4(b)は、
図4(a)のB−B’線における液晶表示パネルの断面構成の一例を示す模式断面図である。
図4(c)は、
図4(a)のC−C’線における液晶表示パネルの断面構成の一例を示す模式断面図である。
図4(d)は、
図4(a)のD−D’線における液晶表示パネルの断面構成の一例を示す模式断面図である。
【0057】
本実施例の液晶表示パネルの回路構成を横電界駆動方式の液晶表示パネルに適用した場合、TFT基板101の平面レイアウトおよび液晶表示パネルの断面構成は、たとえば、
図4(a)乃至
図4(d)に示したような構成になる。
【0058】
TFT基板101は、ガラス基板などの絶縁基板SUB1の表面に、走査信号線GL、映像信号線DL、TFT素子Tr、画素電極PX、対向電極CT、配向膜ORI1が積層配置された基板であり、絶縁基板SUBの表面には、まず、対向電極CT、走査信号線GL、および保持容量線SLが形成されている。対向電極CTは、たとえば、ITO膜などの光透過率が高い導電膜をエッチングして形成する。走査信号線GLおよび保持容量線SLは、たとえば、アルミニウム膜などの導電膜をエッチングして形成する。このとき、対向電極CT、走査信号線GLおよび保持容量線SLは、たとえば、絶縁基板SUBの表面全体にITO膜およびアルミニウム膜を続けて成膜した後、まずアルミニウム膜をエッチングして走査信号線GLおよび保持容量線SLを形成し、続けてITO膜をエッチングして対向電極CTを形成する。
【0059】
なお、対向電極CT、走査信号線GLおよび保持容量線SLは、たとえば、ITO膜の形成(成膜)およびエッチングをして対向電極CTを形成した後、アルミニウム膜の形成およびエッチングをして走査信号線GLおよび保持容量線SLを形成してもよい。
【0060】
またさらに、対向電極CT、走査信号線GLおよび保持容量線SLは、たとえば、アルミニウム膜の形成およびエッチングをして走査信号線GLおよび保持容量線SLを形成した後、ITO膜の形成(成膜)およびエッチングをして対向電極CTを形成してもよい。
【0061】
絶縁基板SUBの対向電極CTや走査信号線GLなどが形成された面の上には、各TFT素子のゲート絶縁膜としての機能を有する第1の絶縁層PAS1が形成されている。第1の絶縁層PAS1は、たとえば、シリコン酸化膜またはシリコン窒化膜を成膜して形成する。
【0062】
第1の絶縁層PAS1の上には、各TFT素子の半導体層SC、映像信号線DL、各TFT素子のドレイン電極SD1およびソース電極SD2が形成されている。半導体層SCは、たとえば、アモルファスシリコンまたは多結晶シリコンなどの半導体膜をエッチングして形成する。映像信号線DL、各TFT素子のドレイン電極SD1およびソース電極SD2は、たとえば、アルミニウム膜などの導電膜をエッチングして形成する。このとき、映像信号線DL、各TFT素子のドレイン電極SD1およびソース電極SD2は、半導体層SCよりも後に形成され、ドレイン電極SD1およびソース電極SD2の一部分は、第1の絶縁層PAS1の表面から半導体層SCに乗り上げている。またこのとき、映像信号線DLとドレイン電極SD1は、一般に、一体形成される。
【0063】
第1の絶縁層PAS1の半導体層SCや映像信号線DLなどが形成された面の上には、第2の絶縁層PAS2および画素電極PXが形成されており、画素電極PXは、スルーホールTHによりソース電極SD2に接続している。第2の絶縁層PAS2は、たとえば、シリコン酸化膜またはシリコン窒化膜、あるいはその他の有機絶縁膜、もしくは無機絶縁膜を成膜して形成している。また、画素電極PXは、たとえば、ITO膜などの光透過率が高い導電膜をエッチングして形成している。
【0064】
また、このような断面構成を有する横電界駆動方式の液晶表示パネルの場合、画素電極PXは、たとえば、対向電極CTと平面で見て重なる領域に複数本のスリット(開口部)が設けられたくし歯状の平面形状になっている。
【0065】
またこのとき、隣接する2本の走査信号線GLに挟まれた2つの画素電極PXの平面形状を、たとえば、
図4(a)に示すように、画素境界PBが走査信号線GLの延在方向に対して斜めになるような形状にすると、当該画素境界PBの近傍における一方の画素の色(階調)と他方の画素の色(階調)の変化がなだらかになる。
【0066】
一方、対向基板102は、ガラス基板などの絶縁基板SUB2の表面に、遮光膜BM、カラーフィルタCF、配向膜ORI2などが積層配置された基板であり、絶縁基板SUB2の表面には、たとえば、まず、遮光膜BMが形成されている。遮光膜BMは、たとえば、クロムなどの遮光性の高い導電膜をエッチングして形成する。
【0067】
また、遮光膜BMは、たとえば、
図4(b)および
図4(c)に示したように、対向基板102において走査信号線GLおよび映像信号線DLと重畳(対向)する位置に延在するように設けられている。このとき、走査信号線GLと重畳する位置の遮光膜BMは、たとえば、当該走査信号線GLを挟んで並行している2本の保持容量線SLも覆うように形成されている。
【0068】
また、絶縁基板SUB2の遮光膜BMが形成された面の上には、たとえば、カラーフィルタCFが設けられている。カラーフィルタCFは、たとえば、映像信号線DLの延在方向に並んだ複数の画素の開口領域は同じ基本色になり、走査信号線GLの延在に並んだ複数の画素の開口領域は異なる基本色が交互に並ぶように形成される。すなわち、RGB方式のカラー液晶表示パネルの場合、映像信号線DLの延在方向に並んだ複数の画素の開口領域は、すべての開口領域が赤色(R)の場合、緑色(G)の場合、青色(B)の場合の3通りのいずれかである。また、走査信号線GLの延在方向に並んだ複数の開口領域は、たとえば、赤色の開口領域、緑色の開口領域、および青色の開口領域が、この順番で繰り返されている。
【0069】
TFT基板101が上記のような構成である場合、たとえば、
図4(d)に示すように、対向基板102の、隣接する2本の走査信号線GLの間にある2つの画素(画素電極PX)の境界部分PBに遮光膜BMが無くても、各画素の表示に支障を来さないので、当該2つの画素の開口率を高くすることができる。そのため、たとえば、液晶表示パネルの高精細化などにより1つの画素が占有する面積が小さくなっても、画面の明るさを維持できる。また、高輝度のバックライトユニットを用いなくても画面の明るさを維持できるので、消費電力の増加を抑えることができる。
【0070】
またさらに、本実施例の液晶表示パネル1は、走査信号線GLの本数を、従来の一般的な液晶表示パネルで用いられる本数の半分にしている。そのため、たとえば、本実施例の液晶表示パネル1を用いた液晶表示装置における1フレーム期間を、従来の一般的な液晶表示装置における1フレーム期間と同じ時間に設定すると、各画素の画素電極PXに映像信号(階調電圧)を書き込む時間を、従来の一般的な液晶表示装置における時間の約2倍にすることができる。そのため、本実施例の液晶表示パネル1を用いた液晶表示装置は、たとえば、書き込み不足による画質むらの発生や画質の劣化を低減できる。
【0071】
また逆に、本実施例の液晶表示パネル1を用いた液晶表示装置において各画素の画素電極PXに映像信号(階調電圧)を書き込む時間を、従来の一般的な液晶表示装置における時間と同じ時間に設定すると、1フレーム期間を、従来の一般的な液晶表示装置における1フレーム期間の約半分にすることができる。そのため、本実施例の液晶表示パネルを用いた液晶表示装置は、たとえば、表示(駆動)の高速化への対応も容易である。
【0072】
図5は、
図4(a)に示した平面レイアウトの変形例を示す模式平面図である。
【0073】
本実施例の液晶表示パネル1におけるTFT基板101の平面レイアウトの一例として、
図4(a)には、隣接する2本の走査信号線GLに挟まれた2つの画素電極PXの平面形状を、画素境界PBが走査信号線GLの延在方向に対して斜めになるような形状にした例を挙げている。
【0074】
しかしながら、隣接する2本の走査信号線GLに挟まれた2つの画素電極PXの平面形状は、これに限らず、たとえば、
図5に示すように、画素境界PBが走査信号線GLの延在方向に対してほぼ平行になるような形状にしてもよいことはもちろんである。
【0075】
また、本実施例のTFT基板101において、TFT素子Trの半導体層SC、ドレイン電極SD1、およびソース電極SD2の平面形状や、画素電極PXのスリットの向きおよび本数なども適宜変更可能であることはもちろんである。
【0076】
またさらに、本実施例では、横電界駆動方式の液晶表示パネル1に適用した場合のTFT基板101の平面レイアウトおよび液晶表示パネル1の断面構成の一例を挙げたが、これに限らず、縦電界駆動方式の液晶表示パネル1にも適用可能であることはもちろんである。
【0077】
以上、本発明を、前記実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々変更可能であることはもちろんである。
【0078】
たとえば、前記実施例では、本発明を液晶表示パネル(液晶表示装置)に適用した例を挙げたが、これに限らず、前記液晶表示パネルと類似した構成を有する表示パネル(たとえば、有機EL表示パネル)などにも、本発明を適用できる。