【実施例】
【0109】
(
参考例1)
以下、
参考例のマイブリッド処理粉体の製造例を示す。
【0110】
[
参考例1−1]マイブリッド処理マイカ
「マイカM―102」(三好化成製)100重量部に、トリメチルシロキシケイ酸50重量%液(信越化学工業製「KF―9002」)3重量部及び50%イソプロパノール水溶液10重量部を加え、ジャケット付き高速ヘンシルを用いて減圧下80℃で30分混合した。更に、重合度が20で片末端にトリメトキシ基を有する直鎖状のジメチルポリシロキサン(信越化学工業製「X−24−9174」)3重量部及び50%イソプロパノール水溶液5重量部を加えジャケット付き高速ヘンシルを用いて減圧下100℃で60分間混合してマイブリッド処理マイカを得た。
【0111】
[
参考例1−2]マイブリッド処理セリサイト
参考例1−1において「マイカM―102」をセリサイト(三信鉱工製「FSE」)に代えて、同様の処理を行い、マイブリッド処理セリサイトを得た。
【0112】
[
参考例1−3]マイブリッド処理タルク
参考例1−1においてマイカをタルク(浅田製粉製「JA−46R」)に代えて、同様の処理を行い、マイブリッド処理タルクを得た。
【0113】
[参考例1−4]マイブリッド処理マイカ:同時被覆
「マイカM―102」(三好化成製)100重量部にトリメチルシロキシケイ酸50重量%液(信越化学工業製「KF―9002」)を3重量部と重合度が10で片末端にトリメトキシ基を有する直鎖状のジメチルポリシロキサン(信越化学工業製「X−24−9174」)を1.5重量部加え更に50%イソプロパノール水溶液を15重量部加えジャケット付き高速ヘンシルを用いて減圧下100℃で60分間混合してマイブリッド処理マイカを得
た。
【0114】
[
参考例1−5]マイブリッド処理雲母チタン
参考例1−1においてマイカを雲母チタン(マールコーポレーション製「クロイゾネオレンジ(Cloisonne orange)」に代えて、同様の処理を行い、マイブリッド処理雲母チタンを得た。
【0115】
[
参考例1−6]マイブリッド処理シリカビーズ
参考例1−1においてマイカをシリカビーズ(触媒化成工業製「P−1500」)に代えて同様に処理を行い、マイブリッド処理シリカビーズを得た。
なお、後述の表1(A)、(B)、(C)、表2〜表9及び表12に「実施例1−1」、「実施例1−2」、「実施例1−3」、「実施例1−4」、「実施例1−5」及び「実施例1−6」とあるのは、「参考例1−1」、「参考例1−2」、「参考例1−3」、「参考例1−4」、「参考例1−5」及び「参考例1−6」であるものとする。
【0116】
(比較例1)
以下、比較のために固体状表面処理剤のみ、或いは液体状表面処理剤のみを被覆した粉体の製造例を示す。
【0117】
[比較例1−1]トリメチルシロキシケイ酸処理マイカ:固体状
「マイカM―102」(三好化成製)100重量部にトリメチルシロキシケイ酸50重量%液(信越化学工業製「KF―9002」)6重量部及び50%イソプロパノール水溶液15重量部を加えジャケット付き高速ヘンシルを用いて減圧下100℃で60分間混合してトリメチルシロキシケイ酸処理マイカを得た。
【0118】
[比較例1−2]ジメチルポリシロキサン処理マイカ:液体状
「マイカM―102」(三好化成製)100重量部に重合度が20で片末端にトリメトキシ基を有する直鎖状のジメチルポリシロキサン(信越化学工業製「X−24−9174」)3重量部を加え、更に50%イソプロパノール水溶液を15重量部加え減圧下100℃で60分間混合してジメチルポリシロキサン処理マイカを得た。
【0119】
[比較例1−3]ジメチルポリシロキサン処理雲母チタン:液体状
比較例1−2においてマイカを雲母チタン(マールコーポレーション製「クロイゾネオレンジ(Cloisonne orange))に代えて同様に処理しジメチルポリシロキサン処理雲母チタンを得た。
【0120】
[比較例1−4]トリメチルシロキシケイ酸処理セリサイト:固体状
比較例1−1においてマイカをセリサイトに代えて同様に処理を行い、トリメチルシロキシケイ酸処理セリサイトを得た。
【0121】
[比較例1−5]トリメチルシロキシケイ酸処理タルク:固体状
比較例1−1においてマイカをタルクに代えて同様に処理を行い、トリメチルシロキシケイ酸処理タルクを得た。
【0122】
[比較例1−6]トリメチルシロキシケイ酸処理シリカビーズ:固体状
比較例1−1においてマイカをシリカビーズに代えて同様に処理を行い、トリメチルシロキシケイ酸処理シリカビーズを得た。
【0123】
[比較例1−7]ステアリン酸とN−ラウロイル−L−リジン処理マイカ:固体状
「マイカM−102」(三好化成製)100重量部にステアリン酸(日本油脂製「SK−1」)1.5重量部を加え高速ヒーターヘンシルを用いて80℃で15分間混合した。次に、これにN−ラウロイル−L−リジン(味の素製「アミホープLL」)を4重量部加えて高速ヒーターヘンシルを用いて80℃で15分間混合した後、105℃に昇温して3分間混合してステアリン酸とN−ラウロイル−L−リジン処理マイカを得た。
【0124】
(実施例2及び参考例2)
以下、別種の粉体について、本発明及び参考例のマイブリッド処理粉体の製造例を示す。
【0125】
[実施例2−1]マイブリッド処理二酸化チタン
二酸化チタン(石原産業製「CR―50」)100重量部にミリスチン酸(花王製「LUNAC MY―98」)を2重量部と「IPソルベント」(出光石油化学製)20重量部を加え減圧ニーダーで減圧下50℃で60分混練した。更に、重合度が50で片末端にトリメトキシ基を有する直鎖状のジメチルポリシロキサン(信越化学工業製「X−24−9826」)を3重量部とイソプロピルアルコール30重量部減圧下100℃で60分間混練した後アトマイザーを通してマイブリッド処理二酸化チタンを得た。
【0126】
[参考例2−2]マイブリッド処理黄酸化鉄
実施例2−1において二酸化チタンを黄酸化鉄(チタン工業製「マピコイエローレモン」)に代えて、また固体状の表面処理剤としてミリスチン酸をミリスチン酸デキストリン(千葉製粉製「レオパールMKL」)に代えて、実施例2−1と同様の処理を行い、マイブリッド処理黄酸化鉄を得た。なお、後述の表1(A)、(B)、(C)、表2〜表4、表6〜表8及び表12に関する記載において、「実施例2−2」の記載は、「参考例2−2」であるものとする。
【0127】
[実施例2−3]マイブリッド処理ベンガラ
実施例2−1において二酸化チタンをベンガラ(森下弁柄製「ベンガラ七宝」)に代えて、また液体状の表面処理剤として片末端トリメトキシシリルジメチルポリシロキサンをイソステアリン酸(ヘンケルジャパン製「イソステアリン酸871」)に代えて、実施例2−1と同様の処理を行い、マイブリッド処理ベンガラを得た。
【0128】
[実施例2−4]マイブリッド処理黒酸化鉄
実施例2−1において二酸化チタンを黒酸化鉄(チタン工業製「BL―100」)に代えて、実施例2−1と同様の処理を行い、マイブリッド処理黒酸化鉄を得た。
【0129】
(比較例2)
以下、比較のために固体状表面処理剤のみ、或いは液体状表面処理剤のみを多量に処理被覆した粉体等の製造例を示す。
【0130】
[比較例2−1](固体状表面処理剤を多量被覆)ミリスチン処理二酸化チタン
二酸化チタン(石原産業製「CR―50」)100重量部にミリスチン酸(花王製「LUNAC MY―98」)を6重量部とメチルエチルケトン20重量部を加え減圧ニーダーで減圧下100℃で60分間混練した後アトマイザーを通してミリスチン処理二酸化チタンを得た。
【0131】
[比較例2−2](液体状表面処理剤を多量被覆)ジメチルポリシロキサン処理二酸化チタン
二酸化チタン(石原産業製「CR―50」)100重量部に重合度が50で片末端にトリメトキシ基を有する直鎖状のジメチルポリシロキサン(信越化学工業製「X−24−9826」)を6重量部とイソプロピルアルコール30重量部を加え減圧ニーダーで減圧下100℃で60分間混練した後アトマイザーを通してジメチルポリシロキサン処理二酸化チタンを得た。
【0132】
[比較例2−3](第2層目に液体状油性剤を被覆)ミリスチン酸とジメチルポリシロキサン処理二酸化チタン
実施例2−1の二酸化チタンをミリスチン酸の固体状表面処理剤で被覆処理後、非反応性の重合度が約50の直鎖状のジメチルポリシロキサン(信越化学工業製「KF―96」(100cs))を3重量部とイソプロピルアルコール30重量部を加え減圧ニーダーで減圧下100℃で60分間混練し、アトマイザーを通してミリスチン酸とジメチルポリシロキサン処理二酸化チタンを得た。
【0133】
[比較例2−4]ミリスチン酸とジメチルポリシロキサン処理黄酸化鉄
比較例2−2において二酸化チタンを黄酸化鉄(チタン工業製「マピコイエローレモン」)に代えて、比較例2−2と同様の処理を行い、ミリスチン酸とジメチルポリシロキサン処理黄酸化鉄を得た。
【0134】
[比較例2−5]ミリスチン酸とジメチルポリシロキサン処理ベンガラ
比較例2−2において二酸化チタンをベンガラ(森下弁柄製「ベンガラ七宝」)に代えて、比較例2−2と同様の処理を行い、ミリスチン酸とジメチルポリシロキサン処理ベンガラを得た。
【0135】
(参考例3)
以下、一次粒子径がサブミクロン以下の微粒子粉体について参考例のマイブリッド処理
粉体の製造例を示す。
【0136】
[参考例3−1]マイブリッド処理微粒子酸化チタン
微粒子酸化チタン(石原産業製「TTO−55A」)100重量部に80℃の熱湯水3重量部とレシチン(旭化成製「レシチン5」)2重量部の溶解物を加えヘンシルミキサーで5分間混合した。これらの混合物をJETミル(ドイツ、アルピネ社製100AFG型)を用いて粉砕同時処理をした後、更にアルキル基の炭素数が18のオクタデシルトリメトキシシラン(東芝シリコン製「TSL8186」)4重量部を加えヘンシルミキサーで5分間混合した。更に、JETミルを用いて粉砕同時処理をした後130℃で7時間乾燥してマイブリッド処理微粒子酸化チタンを得た。
【0137】
[参考例3−2]マイブリッド処理微粒子酸化亜鉛
微粒子酸化亜鉛(堺化学製「FINEX−50」)100重量部とマレイン化ポリエチレン(日本石油製「POWAX S−30」)3重量部をヒーターヘンシルで品温が60℃になってから5分間混合した。これらの混合物をJETミル(ドイツ、アルピネ社製100AFG型)を用いて粉砕同時処理をした後、更にアルキル基の炭素数が18のオクタデシルトリメトキシシラン(東芝シリコン製「TSL8186」)4重量部を加えヘンシルミキサーで5分間混合した。更に、JETミルを用いて粉砕同時処理をした後130℃で7時間乾燥してマイブリッド処理微粒子酸化亜鉛を得た。
【0138】
[参考例3−3](固体状表面処理剤量が液体状表面処理剤量より多い場合)マイブリッド処理微粒子酸化チタン
参考例3−1においてレシチンを4重量部に増加し同様の処理を行い、更にオクタデシルトリメトキシシラン2重量部を加え同様の処理を行いマイブリッド処理微粒子酸化チタンを得た。
【0139】
[参考例3−4]マイブリッド処理微粒子酸化亜鉛
微粒子酸化亜鉛(堺化学製「FINEX−50」)100重量部とマレイン化ポリエチレン(日本石油製「POWAX S−30」)3重量部をヒーターヘンシルで品温が60℃になってから5分間混合した。これらの混合物をJETミルで粉砕同時処理をした後、更にアルキル基の炭素数が18のオクタデシルトリメトキシシラン5重量部と重合度が50で片末端トリメトキシ基を有する直鎖状のジメチルポリシロキサン5重量部を加えヘンシルミキサーで5分間混合した。更に、JETミルを用いて粉砕同時処理をした後130℃で7時間乾燥してマイブリッド処理微粒子酸化亜鉛を得た。
【0140】
[参考例3−5]マイブリッド処理微粒子酸化亜鉛
微粒子酸化亜鉛(堺化学製「FINEX−50」)100重量部とマレイン化ポリエチレン(日本石油製「POWAX S−30」)3重量部をヒーターヘンシルで品温が60℃になってから5分間混合した。更に、アルキル基の炭素数が18のオクタデシルトリメトキシシラン5重量部と重合度が50で片末端にトリメトキシ基を有する直鎖状のジメチルポリシロキサン5重量部を加えヘンシルミキサーで5分間混合した。更に、JETミルを用いて粉砕同時処理をした後130℃で7時間乾燥してマイブリッド処理微粒子酸化亜鉛を得た。なお、後述の表1(A)、(B)、(C)、表2、表12及び表15に関する記載における、「実施例3−1」、「実施例3−2」、「実施例3−3」、「実施例3−4」及び「実施例3−5」の各記載は、それぞれ「参考例3−1」、「参考例3−2」、「参考例3−3」、「参考例3−4」及び「参考例3−5」であるものとする。
【0141】
(比較例3)
以下、上記アルキルシランの重合度が8の表面処理剤で被覆した粉体の製造例を示す。
【0142】
[比較例3−1]アルキルシラン処理微粒子酸化チタン
特開平8−92052号公報記載の製造例1.の方法で微粒子酸化チタン(石原産業製「TTO−55A」)をアルキル基の炭素数が8のオクチルトリメトキシシラン6重量部で表面処理を行いアルキルシラン処理微粒子酸化チタンを得た。
【0143】
[比較例3−2]アルキルシラン処理微粒子酸化チタン
参考例3−1においてアルキル基の炭素数が18のオクタデシルトリメトキシシランを炭素数4のブチルトリメトキシシラン(チッソ製「SIB1988.0」)に代えて同様の処理を行いアルキルシラン処理微粒子酸化チタンを得た。
【0144】
[比較例3−3]アルキルシラン処理微粒子酸化亜鉛
参考例3−2においてオクタデシルトリメトキシシランをブチルトリメトキシシランに代えて同様の処理を行いアルキルシラン処理微粒子酸化亜鉛を得た。
【0145】
上記の如く得られた本発明のマイブリッド処理粉体と参考例と比較例の処理粉体について下記の試験方法による評価を行った。結果を表1、(A)〜(C)と表2に示した。
【0146】
[表1]
(A)
【0147】
(B)
【0148】
(C)
【0149】
[表2]
【0150】
(1)被覆の均一性試験
水50ccとヘキサン50ccを100ccの透明硝子瓶に入れ更に粉体試料を0.5gを加え栓をする。手で強く20回振とう後50℃で1週間放置して、更に手で強く20回振とうし静置した後、粉体を観察し3段階評価を行った。
【0151】
水層に移行していない ―――― ○
乳化層ができた ―――― △
水層に移行した ―――― ×
【0152】
(2)吸油量
粉体試料20gを採り油性剤A:ジメチルポリシロキサン(信越化学工業製:KF―96(20cs))、油性剤B:イソノナン酸イソトリデシル(日本エマルジョン製:INTD−139)及び油性剤C:流動パラフィン(エッソスタンダード石油製:クリストール72)の各油性剤を100ccのビューレットに満たし少量ずつ滴下しながらヘラで練り合わせ粉体試料が各油性剤で均一に濡れた塊になった油性剤量(%)を湿潤点とする。更に、油性剤を滴下して粉体試料が油性剤とともに流動し始める油性剤量を流動点とする。
【0153】
(3)粒度
前記(2)の吸油量試験で調製した流動点の試料をレーザー回折式粒度測定装置(島津製作所製:SALD−2000J)の高濃度粒度測定装置を用いてD50とD95を測定した。
【0154】
(4)感触(使用感;滑り性)
8cm×5cm片のコラーゲンペーパー(出光化学社製、商品名:サプラーレ)上に粉体を1mg/cm
2の条件で塗布し往復動摩擦係数測定試験器(カトーテック社製)にセットし無塗布のコラーゲンペーパーを載せ、更に50g/cm
2の荷重をかけて5回の往復運動を行い動摩擦係数(MIU)の平均値を求めた。
【0155】
(5)隠蔽力
前記実施例及び比較例で得られた顔料級酸化チタンを10gとカーボンブラック(三菱化学製)0.5gと「タルクJA−46R」(浅田製粉製)79.5gを混合しアトマイザーで粉砕後、ジメチルポリシロキサン(信越化学工業製「KF―96」(100cs))10gを混合しアトマイザーで粉砕した。各試料について色差計(日本電色工業(株):SZ−Σ90)にて白色度を測定した。
【0156】
(6)着色力
前記実施例、参考例及び比較例で得られたベンガラと黄酸化鉄を3gと酸化チタン(石原産業製「CR―50」)10gと「タルクJA−46R」(浅田製粉製)77.0gを混合しアトマイザーで粉砕後、ジメチルポリシロキサン(信越化学工業製「KF―96」(100cs))10gを混合しアトマイザーで粉砕した。各試料について色差計(日本電色工業(株):SZ−Σ90)にてL,a,b値を測定した。
【0157】
(7)in−vitro SPF値測定
参考例及び比較例の微粒子酸化チタン及び微粒子酸化亜鉛の試料を、各々1g採りポリブテン(日本油脂製)9gを加えヘラで混ぜ合わせた後、フーバーマーラーで25回転×1回(荷重22.68kg)の条件で分散しSPFアナライザー(OPTOMETORICS社:米国)でSPF値を測定した。
【0158】
(8)光学特性
被覆粉体90gにイソノナン酸イソトリデシル10gを加えホームミキサーで1分間混合後、アトマイザーで粉砕したものを光学特性の測定試料に用いた。8cm×5cm片のコラーゲンペーパー(出光化学社製、商品名:サプラーレ)上に測定試料を2mg/cm
2の条件で塗布しこの塗膜について変角光沢計(日本電色工業社製:VGS−300A)で−45°入射時の0°と+45°の反射率を測定した。
【0159】
尚、測定試料には実施例、参考例及び比較例で製造したマイカ、セリサイト及びシリカビーズを用いた。
【0160】
表1及び表2より明らかな如く、本発明の被覆粉体(表面処理粉体)は親油性液体への親和性が良好かつ分散性に優れ、粉体基剤の有する機能、例えば感触(使用感;滑り性)、隠蔽力、着色力、紫外線遮蔽能及び光学特性等を飛躍的に向上させることができる。
【0161】
尚、吸油量評価での湿潤点と流動点が小さい程、その油性剤に対して親和性が良いこと、即ち吸油量が小さい程その油性剤に対する親和性が良いことを示す。また、同一粉体の場合吸油量測定での流動点時の試料の粒度を測定した時、吸油量が同じ試料でも吸油量が異なる試料でも粒度が小さい程、分散性が良いことを示す。評価項目中、感触(使用感)、隠蔽力、着色力及びSPF値については、数値が高い程優れた粉体の機能が発現していることを示す。光学特性については、マイカ、セリサイト及びタルクの薄片状の粒子形状を有する粉体と球状のシリカビーズについて試験を行った。薄片状粉体は鏡面反射を評価することで粉体粒子の分散状態を評価することができ、球状粉体はマット感を評価することで粉体粒子の分散状態を評価することができる。
【0162】
薄片状粉体の場合、同一粉体で比較したとき45°の反射率(鏡面反射率)が高く、かつ45°−0°の反射率値が大きい程その粉体粒子は分散していることを示す。
【0163】
球状粉体の場合、0°の反射率が高い程、その粉体粒子は凝集しており45°−0°の反射率値が低い程マット調でありその粉体粒子は分散していることを示す。
【0164】
実施例4(2WAYパウダーファンデーションの製造)
表3に示す組成の2WAYパウダーファンデーションを下記の方法により製造した。
【0165】
[表3]
【0166】
(製法)
上記成分(1)〜(7)を混合し粉砕機を通して粉砕した。これを高速ブレンダーに移し、成分(8)〜(12)を加熱混合し均一にしたものを加えて更に混合し均一にした。これを粉砕機に通し、フルイをかけ粒度を揃えた後、圧縮成形して2WAYファンデーションを製造した。
【0167】
実施例5(乳化型ファンデーションの製造)
表4に示す組成の乳化型ファンデーションを下記の方法により製造した。
【0168】
[表4]
【0169】
(製法)
上記成分(7)〜(11)を予め混合し粉砕した。70℃にて成分(1)〜(6)を均一に溶解混合した油相に予め粉砕した成分(7)〜(11)の混合物を加えホモディスパーで均一に分散した。成分(12)〜(16)を70℃で均一に混合溶解した水相を前記油相に徐添し、ホモミキサーで均一分散後、冷却し成分(17)を加え乳化粒子を整えリキッドファンデーションを製造した。
【0170】
実施例6(固形白粉の製造)
表5に示す組成の固形白粉を下記の方法により製造した。
【0171】
[表5]
【0172】
(製法)
上記成分(1)〜(5)を均一に混合して、粉末化粧料基剤とした。これにエタノールを粉末化粧基剤に対して、55重量%加え、均一混合した。これを中皿に充填し吸引圧縮成形し、成形物を40℃で24時間乾燥後、固形白粉を製造した。
【0173】
実施例7(パウダーアイシャドウの製造)
表6に示す組成のパウダーアイシャドウを下記の方法により製造した。
【0174】
[表6]
*:精製エステルガム/ミリスチン酸オクチルドデシル = 50/50の混合物(進栄化学(株))
【0175】
(製法)
上記成分のうち、雲母チタン以外の成分(1)〜(4)をヘンシルミキサーで混合した後、アトマイザーで粉砕した。これに成分(3)の雲母チタンを混合し成分(5)〜(10)を均一にしたものを加え均一に混合した。これをアトマイザーで粉砕した後、フルイを通し、中皿に圧縮成形してパウダーアイシャドウを製造した。
【0176】
実施例8(ほほ紅の製造)
表7に示す組成のほほ紅を下記の方法により製造した。
【0177】
[表7]
*:無処理品
【0178】
(製法)
上記成分(1)〜(7)を混合し粉砕機を通して粉砕した。これを高速ブレンダーに移し、成分(8)〜(12)を加熱混合し均一にしたものを加えて、更に混合し均一にした。これを粉砕機に通し、フルイをかけ粒度を揃えた後、圧縮成形してほほ紅を製造した。
【0179】
実施例9(油性ファンデーションの製造)
表8に示す組成の油性ファンデーションを下記の方法により製造した。
【0180】
[表8]
【0181】
(製法)
上記成分(8)〜(10)を予め混合し粉砕した。成分(1)〜(7)を85℃にて混合溶解した油相に予め粉砕した成分(8)〜(10)を加え均一にホモディスパーで分散した。これに香料を加えて、金皿に充填、冷却して油性ファンデーションを製造した。
【0182】
参考例10(乳液の製造)
表9に示す組成の乳液を下記の方法により製造した。
【0183】
[表9]
【0184】
(製法)
上記成分(1)〜(6)を75℃にて混合溶解した油相に成分(7)を加え均一にホモディスパーで分散した。成分(8)〜(12)を均一に75℃で混合溶解した水相を前記油相に徐添し、ホモミキサーで均一分散後、乳化粒子を整えた後、成分(13)を加え乳液を製造した。
【0185】
本発明の上記実施例
及び参考例について、専門パネラー20名により化粧料の官能評価を行った。評価項目として使用時の滑らかさ、皮膚に対する付着性、皮膚上での伸び、仕上り感の4項目を選択し、5段階で評価した。尚、比較例として、それぞれ実施例4と5についてはメチルハイドロジェンポリシロキサンを同量で被覆した粉体を代替として配合し(比較例4と5)、実施例6〜8についてはオクチルトリメトキシシランとトリメチルシロキシケイ酸を1:1で混合したものを同量で被覆した粉体を代替として配合し(比較例6〜8)、更に実施例9及び
参考例10についてはレシチンを同量で被覆した粉体を代替として配合し(比較例9及び10)た。その結果を表10に示す。
【0186】
(評価基準)
5:良い;
4:やや良い;
3:普通;
2:やや悪い;及び
1:悪い。
【0187】
[表10]
*:成形不可
【0188】
表10より明らかな如く、本発明の被覆粉体を配合した化粧料においては、使用時の滑らかさ、皮膚に対する付着性、皮膚上での伸び及び仕上り感等の官能値が大きく向上した。また、固形白粉は通常数%の油性剤を配合して成形するが、本発明の被覆粉体については、粒子の最外層がオイルの被覆層(膜)で覆われているため油性剤を配合しなくとも成形が可能である。
【0189】
参考例11(オイル分散ペーストの製造)
参考例3−1及び2の試料と比較例3−1及び2の試料をスクワランと混合後サンドグラインダー(ビーズ径1mmφ)に3回通し分散させてスクワラン分散体を調製した。この時、各分散体の調製直後の粘度(25℃)が2000±500cp(ビスメトロン粘度計VDA:芝浦システム(株))になるように粉体試料の配合量を調整した。これらの分散体について粒度(D50,D95)と経時安定性(50℃で1ケ月間放置)を観察した。各被覆粉体の配合量と試験結果を表11に示す。なお、表11における「実施例3−1の微粒子酸化チタン」の記載は、「参考例3−1の微粒子酸化チタン」であるものとし、「実施例3−1の微粒子酸化亜鉛」の記載は、「参考例3−2の微粒子酸化亜鉛」であるものとする。また、表13及び表14に関する記載における「実施例13−1」、「実施例の被覆粉体」及び「実施例11の分散体」の記載は、それぞれ「参考例13−1」、「参考例の被覆粉体」及び「参考例11の分散体」であるものとする。
【0190】
[表11]
【0191】
表11より明らかな如く、参考例3−1及び参考例3−2の被覆粉体を配合したオイル分散ペーストは、油性剤への親和性や分散性に優れているため微粒子酸化チタンや微粒子酸化亜鉛の粉体の配合量を大幅に上げることができ、かつ分散している粉体の粒子径も非常に細かい状態に保つことができる。また、このようにして得られた分散ペーストは経時安定性にも優れている。
【0192】
実施例12(UVカットパウダーファンデーションの製造)
表12に示す組成のパウダーファンデーションを下記の方法により製造した。なお、表12における実施例12−1、比較例12−1、実施例12−2及び比較例12−2のUVカットパウダーファンデーションは、いずれも本発明の表面処理粉体を含有するので、本発明の化粧料であるが、比較例12−1及び比較例12−2の場合は、参考例3−
1の微粒子酸化チタンを配合していないという点で「比較例」と表記している。
【0193】
[表12]
*1:実施例3−1で得られた被覆粉体の分散体。
*2:比較例3−1で得られた被覆粉体の分散体。
【0194】
(製法)
上記成分(1)〜(8)を混合し粉砕機を通して粉砕した。これを高速ブレンダーに移し、これに成分(9)〜(13)を混合し均一にしたものを加えて、更に混合し均一にした。このようにして得られた均一な混合物を粉砕機に通し、フルイをかけ粒度を揃えた後、これを圧縮成形してUVカットファンデーションを製造した。
【0195】
参考例13及び比較例13(日焼け止め用W/Oクリームの製造)
表13に示す組成の日焼け止めクリームを下記の方法により製造した。
【0196】
[表13]
*:実施例11の分散体を配合した。
【0197】
(製法)
上記成分(1)〜(9)の油相成分を75℃で溶解した。成分(10)〜(14)の水相成分を75℃で溶解し、均一化したものを油相成分に添加しホモミキサーで乳化して、これに成分(15)を加え冷却し日焼け止めクリームを製造した。
【0198】
本発明の実施例12について、in-vitroPA値及びin-vitroSPF値(SPFアナライザー)を測定し、参考例13及び比較例13について、可視部の透過率、in-vitroPA値、in-vitroSPF値及び経時安定性を評価した。その結果を表14に示す。
【0199】
(可視部透過率の測定)
試料をトランスポアサージカルテープ(住友3M社製)の4.5×4.5cmの面に2mg/cm
2の条件でスポンジで塗布した。その塗布面について分光光度計(島津製作所社製:UV−160)で560nmの透過率を10スポット測定し平均値を求めた。
【0200】
(in-vitroPA値とin-vitroSPF値の測定)
前記可視部透過率で調整した試料をSPFアナライザーで12スポットを測定し平均値を求めた。
【0201】
[表14]
【0202】
表14より明らかなように、参考例3−1及び参考例3−2の被覆粉体を配合した化粧
料は、油性剤への親和性や分散性に優れているため微粒子酸化チタンや微粒子酸化亜鉛の
可視部の透明性や紫外線遮蔽能を大きく向上させることができる。更に、このようにして
得られる化粧料の経時安定性にも優れている。
【0203】
実施例14(エマルジョン型マスカラの製造)
表15に示す組成のマスカラを下記の方法により製造した。
【0204】
[表15]
*:実施例14には実施例3−1の方法で被覆した粉体を、比較例14には比較例3−1の方法で被覆した粉体を、それぞれ配合した。
【0205】
(製法)
上記成分(6)に成分(2)〜(5)を加え予め均一に溶解した。次に、成分(7)〜(9)を混合し粉砕した。成分(1)に成分(7)〜(9)を添加し均一に分散して予め調製した成分(2)〜(6)の均一混合物を加えホモミキサーで均一に分散してエマルジョン型マスカラを製造した。
【0206】
実施例15(ネイルエナメルの製造)
表16に示す組成のネイルエナメルを下記の方法により製造した。
【0207】
[表16]
【0208】
(製法)
上記成分(5)〜(8)を混合し、成分(1)〜(4)を加え均一に溶解した。更に、成分(9)〜(11)を添加し分散させてネイルエナメルを製造した。
【0209】
本発明の実施例14と15で得られた化粧料について、光学特性と分散安定性、及びパネラー20名による使用性と光学特性(ツヤ感)についての官能試験を行った。官能試験は5段階評価で行った。その結果を表17に示す。
【0210】
(官能評価の評価基準)
5:良い;
4:やや良い;
3:普通;
2:やや悪い;及び
1:悪い。
【0211】
(光学特性)
試料をガラス板状に垂らしドクターブレードで10μm厚の塗膜を作製した。この塗膜について変角光沢計(日本電色工業社製:VGS−300A)で20°−20°と60°−60°の光沢値を測定した。
【0212】
(分散安定性)
試料を−10℃〜50℃の48時間サイクルで1ケ月間保存し色分かれの有無を観察した。
【0213】
[表17]
【0214】
表17より明らかな如く、本発明の被覆粉体を配合した化粧料は、親油性液体への親和性や分散性に特に優れており粉体の機能を大きく向上させることができる。更に、その化粧料の使用性や経時での分散安定性にも極めて優れている。特に、ネイルエナメルには粘度向上剤や分散安定化剤として通常、有機変性粘土鉱物が配合されるが、本発明の被覆粉体を配合したネイルエナメルについては粘度向上剤や分散安定化剤を配合しないで剤型の安定化が十分可能となる。