特許第5748735号(P5748735)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 5748735-粘着シート 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5748735
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】粘着シート
(51)【国際特許分類】
   G03F 1/00 20120101AFI20150625BHJP
   G03F 1/48 20120101ALI20150625BHJP
   C09J 7/02 20060101ALI20150625BHJP
   C09J 133/04 20060101ALI20150625BHJP
【FI】
   G03F1/00 Z
   G03F1/48
   C09J7/02 Z
   C09J133/04
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-501731(P2012-501731)
(86)(22)【出願日】2011年2月9日
(86)【国際出願番号】JP2011052748
(87)【国際公開番号】WO2011105217
(87)【国際公開日】20110901
【審査請求日】2013年12月12日
(31)【優先権主張番号】特願2010-36746(P2010-36746)
(32)【優先日】2010年2月23日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2010-36745(P2010-36745)
(32)【優先日】2010年2月23日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000125978
【氏名又は名称】株式会社きもと
(74)【代理人】
【識別番号】110000888
【氏名又は名称】特許業務法人 山王坂特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松下 武司
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 剛
(72)【発明者】
【氏名】栗嶋 進
【審査官】 澤村 茂実
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−203920(JP,A)
【文献】 特開2006−143961(JP,A)
【文献】 特開2007−262213(JP,A)
【文献】 特開平10−204395(JP,A)
【文献】 特開2010−189605(JP,A)
【文献】 塗料の研究,日本,関西ペイント株式会社,2010年10月22日,No.152 Oct ,p.37-40
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 1/00− 1/92
C09J 1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚み6μm以下の基材上に厚み0.5μm以上12μm以下の粘着層を有し、
前記粘着層は、アクリル系粘着剤とエポキシ系硬化剤とを含み、
前記アクリル系粘着剤は、重量平均分子量が1万〜100万の分子量アクリル系粘着剤であり、
エポキシ系硬化剤は、0.01重量%〜0.3重量%であり、
クリープ率が2.5%以下、弾性変形率が73%以上であって、マルテンス硬さが80N/mm2以下であることを特徴とするフォトマスク用粘着シート。
【請求項2】
前記粘着シートの粘着層の厚みが、0.5〜2.0μmであることを特徴とする請求項1に記載の粘着シート。
【請求項3】
請求項1または2に記載の粘着シートの、前記基材の粘着層が設けられた反対面に、機能層が設けられたことを特徴とする粘着シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着シートに関し、特に、強い圧力が繰り返し加わっても、粘着層の光透過率が低下することを防止する粘着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、プリント配線板や樹脂凸版は、液状フォトレジストなどの粘着性のあるフォトレジストにフォトマスク(露光用原稿)を密着露光して作製される。このため、フォトマスクの表面に何らかの処理を施さないと、露光終了後フォトマスクをフォトレジストから剥がす際に、フォトレジストの一部がフォトマスク表面に付着し、拭き取ってもフォトマスク上に残存してしまい、露光精度の低下を招いてしまうという問題を生じる。このような事情から、従来からフォトマスク上のフォトレジストに対向する面に、離型性を有する表面保護フィルムを設けて、フォトレジストがフォトマスクに付着することを防止している。
【0003】
このようなフォトマスク用の表面保護フィルムとしては、プラスチックフィルムの一方の面に離型性を有する表面保護膜を有し、もう一方の面に粘着層を有するものが提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
そして、このような表面保護フィルムは、フォトレジストに対向する面に、粘着層を介して貼り合わされるが、フォトマスク等に段差部があると、粘着層で覆った段差部分に気泡が残ってしまう(気泡の巻き込みともいう)といった問題があり、気泡を巻き込まない粘着層が求められている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−7121号公報(段落番号0002)
【特許文献2】特開2003−322958号公報(従来の技術)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
粘着層をやわらかくし、段差に追従しやすくすることで、気泡の巻き込みを防止することができるが、その場合、密着露光を繰り返すことにより、粘着層の一部が白化し、光透過率が低下するといった問題が発生した。
【0007】
そこで、本発明では、密着露光を繰り返しても、粘着層が白化することなく、光透過率が低下することを防止することができる粘着フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、プリント配線板等の基となる基板のスルーホール等の凹凸により、密着露光される際に凸部は平滑部よりも強い圧力が加わることがわかった。そして当該凸部が、露光を繰り返すごとに、粘着層に強く押し付けられるため、粘着層に強い変形が起こり、変形した部分で光の散乱が起こるため、粘着層の光透過率が低下することを見出し、これを解決するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、粘着層に生じる不可逆的な変形が上述した光透過率低下の原因になること、そして粘着層の変形に関わる物理的特性を所定の範囲とすることにより、光透過率の低下即ち白化の問題を解決することを見出したものである。
本発明の粘着シートは、基材上に粘着層を有し、前記粘着層は、クリープ率が2.5%以下、及び/または、弾性変形率が73%以上であることを特徴とする。
【0010】
また、前記粘着シートの粘着層は、マルテンス硬さが80N/mm2以下であることを特徴とするものである。
【0011】
さらに、前記粘着シートの粘着層の厚みが、0.5〜20μmであることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の粘着シートは、粘着シートの、前記基材の粘着層が設けられた反対面に、機能層が設けられたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の粘着シートは、粘着シート表面と凹凸のある部材とが接触を繰り返す場合にも、粘着層の光透過率が低下することを防止することができる。
さらに、本発明の粘着シートは、被着体へ貼り合わせる際に、気泡の混入を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の粘着シートの一実施形態とその使用例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の粘着シートの実施の形態について説明する。
【0016】
基材として用いられる合成樹脂フィルムとしては、ポリエステル、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)、ポリスチレン、ポリカーボネート、アクリル、ポリオレフィン、セルロース樹脂、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリアミド、塩化ビニル系樹脂、フッ素樹脂などの合成樹脂フィルムなどがあげられる。その中でも平面性に優れるものが好適に用いられ、特に延伸加工、二軸延伸加工されたポリエステルフィルムが機械的強度、寸法安定性に優れ、さらに腰が強いため好ましい。また、厚みは、1〜100μm程度が好ましい。
【0017】
特に、粘着シートをフォトマスク保護用の粘着シートとする場合には、露光の際に使われる紫外線の光透過率の高いものが好ましく、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、トリアセチルセルロース、アクリル、ポリ塩化ビニルなどの透明性に優れる高分子フィルムが用いられる。特に二軸延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムが機械的強度、寸法安定性に優れているため好適に使用され、適宜易接着層などを設けたものも好適に使用される。透明高分子フィルムの厚みは、解像度に影響するため薄いほうが好ましいが、取り扱い性も考慮して、厚みの下限としては、1μm以上、好ましくは2μm以上、さらに4μm以上がより望ましく、上限としては、50μm以下、好ましくは25μm以下、さらに12μm以下の範囲がより望ましい。
【0018】
次に、粘着層としては、一般に使用されるアクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤などの透明粘着剤が使用できるが、粘着層にしたときに、後述する所定の物理的特性を持つように調整される必要がある。また、帯電防止などの性能を持つ粘着剤を使用しても良い。粘着剤に用いる樹脂の分子量(重量平均分子量)は、1万〜100万が好ましく、特に30万〜80万が好ましい。
【0019】
本発明の粘着シートを、画像などの保護を目的とする場合には、粘着剤も透明でそれ自体高い耐光性を有していることが望ましい。このような粘着剤としては、ウレタン架橋性またはエポキシ架橋性の高分子量アクリル系粘着剤が好適である。特に、粘着力を低下させずに、所望のクリープ率を維持するためには、エポキシ架橋性の高分子量アクリル系粘着剤が好ましい。また、エポキシ架橋剤と、ウレタン架橋剤とを併用した架橋性(高分子量アクリル系)粘着剤でもよい。
【0020】
また粘着層は、粘着性その他の特性を調整するために、硬化剤を含むことができる。硬化剤としては、エポキシ系硬化剤、イソシアネート系硬化剤などが挙げられるが、このうち、エポキシ系硬化剤は特性の調整が容易であり、好適である。
【0021】
次に粘着層の特性について説明する。一般的に粘着層に求められる特性は、粘着力、硬さ、弾性などがある。
【0022】
まず粘着力は、被着体へのJIS Z0237に準拠した方法で測定した粘着力が、0.5〜5.0N/25mm幅であることが好ましく、より好ましくは、1.0N/25mm幅以上、4.0N/25mm幅以下、更に好ましくは、3.5N/25mm幅以下である。0.5N/25mm以上とすることにより、露光作業中にフォトマスクから容易に剥離することを防止することができ、5.0N/25mm幅以下とすることにより、保護フィルムの貼り替えを行うことができる。
【0023】
硬さは、ISO−14577−1に準拠した方法で測定したマルテンス硬さが80N/mm2以下であることが好ましく、さらに好ましくは、60N/mm2以下、特に好ましく50N/mm2以下である。マルテンス硬さを80N/mm2以下とすることにより、貼着時の気泡の巻き込みを防止することができる。
【0024】
マルテンス硬さとは、ビッカース圧子により接着層の表面を押し込んだときの試験荷重と押し込み表面積から求められる接着層の硬さ(凹み難さ)を表し、接着層の硬さの指標となるものである。
【0025】
このように、貼着時の気泡の巻き込みを防止するために、粘着層をマルテンス硬さの小さな比較的柔らかいものにすることが有効な手段であるが、単に柔らかい粘着層にしたのでは、粘着層の変形を生じさせやすくする。そのため、本発明では、粘着層の変形を生じさせないように、クリープ率を2.5%以下とするか、弾性変形率を73%以上とする。
【0026】
本発明において、クリープ率とは、ISO−14577−1に準拠した方法で測定したものであり、具体的には、負荷荷重(1mN)に達したときの押し込み深さと、一定の保持時間(5秒)後の押し込み深さとから次式により求められるものである。
[クリープ率]={(h2−h1)/h1}×100(%)
h1:負荷荷重(1mN)に達した時(負荷開始から20秒後)の押し込み深さ
h2:保持時間(5秒)後の押し込み深さ
【0027】
本発明において、弾性変形率とは、ISO−14577−1に準拠した方法で測定したものであり、具体的には、測定対象時に対し所定の荷重(1mN)をかけたときの仕事量(全仕事量Wt)と、一定の保持時間(5秒)後、圧子の荷重を0mNに戻すときの仕事量(塑性変形仕事量Wp)とから、弾性変形率を求めることができる。
We=Wt−Wp (We:弾性変形仕事量)
[弾性変形率]=We/Wt
【0028】
クリープ率は、2.5%以下であり、好ましくは、2.0%以下である。また粘着層の弾性変形率は、73%以上、好ましくは、77%以上である。本発明者らの検討によれば、クリープ率と弾性変形率との間には相関があり、弾性変形率が高いほど、クリープ率は低下する。クリープ率を2.5%以下、また弾性変形率を73%以上とすることによって、凹凸のある部材の凸部が、強い圧力で粘着層に押し付けられ、粘着層に変形が起こっても元の状態に戻ることができる。その結果、粘着層の変形部分で光の散乱が起こって光透過率を低下させる現象即ち粘着層の白化を防止することができる。
【0029】
上述した粘着層の特性(クリープ率、弾性変形率及びマルテンス硬さ)は、粘着層に用いる粘着剤の分子量や分岐鎖の率、粘着剤と硬化剤の配合比や硬化剤の種類などにより調整することができる。例えば、クリープ率は分子量が大きくなるほど小さくなり、また粘着層の全固形分中の硬化剤の含有量が多いほど小さくなる。弾性変形率は、分子量が大きくなるほど大きく、また粘着層の全固形分中の硬化剤の含有量が多いほど、大きくなる。ただし、マルテンス硬さも、分子量が大きくなるほど大きく、また粘着層の全固形分中の硬化剤の含有量が多いほど、大きくなるので、マルテンス硬さが、大きくなり過ぎないように調整することが必要である。分岐鎖率の高いものを使用した場合には、マルテンス硬さを大きくすることなく、クリープ率を小さく、弾性変形率を大きくすることができる。
【0030】
具体的には、粘着剤の分子量(重量平均分子量)としては、1万〜100万が好ましく、特に30万〜80万が好ましい。粘着層の全固形分中に硬化剤は、0.01〜5重量%の範囲が好ましい。特に、エポキシ系硬化剤の場合には、0.01〜2重量%が好ましい。弾性変形率を大きく且つクリーム率を小さくしたままで、マルテンス硬さを小さくするには、分岐鎖の長いものを使用する。
【0031】
粘着層の厚みは、透明性(解像度)を阻害せず、適度な粘着性が得られるよう、下限として0.5 μm以上、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上の範囲が望ましく、上限としては20μm以下、好ましくは12μm以下、より好ましくは6μm以下の範囲が望ましい。
【0032】
また、粘着層には、その粘着性によって粘着シートの取り扱い性が低下しないようにするために、表面に離型処理を施した離型フィルムを貼り合わせることも適宜行うことができる。
【0033】
本発明の粘着シートの粘着層が設けられていない面には、離型層、ハードコート層、防曇層、光触媒層、記録層、ブロッキング防止層などの機能層を設けても良い。
【0034】
離型層は、粘着シート表面にフォトレジストなどを付着しにくくするための層で、バインダー樹脂に離型剤を含有した層である。離型層を有することにより、被着体へのフォトレジストの付着を防止することができる。
【0035】
ハードコート層は、粘着シート表面の傷付きを防止するための層で、硬化型樹脂により形成された層である。ハードコート層を有することにより、被着体に傷をつきにくくすることができる。ハードコート層中には、写り込み防止のためにマット剤を添加することができる。また、上述の離型層の機能をあわせ持たせることも可能である。
【0036】
防曇層は、水蒸気による曇りを防止するための層で、親水化樹脂や界面活性剤によって表面を親水化した層である。光触媒層は、二酸化チタン等の光触媒からなり光により親水性を発現する層で、表面に付着した埃やごみを水で洗い落とすことができる機能を有する。
【0037】
記録層は、粘着シートにインクジェット記録、レーザープリンタ等による記録などのインク受容性を付与するための層で、記録方式に応じた公知の記録層を形成することができる。ブロッキング防止層は、粘着シートどうしあるいは他のフィルムを重ねる際のブロッキング防止するための層であり、ハードコート層などの他の機能層にブロッキング防止機能をあわせ持たせることも可能である。これら機能層中には、レベリング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などの添加剤を添加してもよい。
【0038】
機能層は、その機能に応じて適宜組み合わせて設けることも可能である。例えば、ブロッキング防止層の上に記録層を設けることもできる。
【0039】
機能層は、粘着層と同様に、機能層を構成する材料を含む塗布液をロールコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、エアナイフコーティング法などの公知の方法によりプラスチックフィルム上に塗布し、必要に応じて加熱や電離放射線照射することにより形成することができる。
【0040】
以上のように本実施形態によれば、粘着層として所定の範囲の特性を有するものとしたことにより、粘着シート表面と凹凸のある部材とが接触を繰り返す場合にも、粘着層の光透過率が低下することを防止することができる。また、本発明の粘着シートは、被着体へ貼り合わせる際に、気泡の混入を防止することができる。
【0041】
本発明の粘着シートの一実施形態を図1に示す。図1に示す例では、粘着シート10は、基材11と、基材の一方の面に形成された粘着層12と、粘着層12を覆う離型フィルム13と、基材11の他方の面に形成された機能層14とから構成されている。
このような構成の粘着シートは、離型フィルム13を剥離し、所望の被接着部材15に粘着層12を圧着することにより、部材15の表面保護フィルムとして用いることができる。必要に応じて、部材15から剥離し、再接着することが可能である。本発明の粘着シートは、フォトマスクの表面保護フィルムとして好適に用いられる他、被接着部材15の表面に特定の機能を付与するための粘着シートとして用いることもできる。
【実施例】
【0042】
以下、実施例により本発明を更に説明する。なお、「部」、「%」は特に示さない限り、重量基準とする。
【0043】
[実施例1]
厚み6μmの透明高分子フィルム(ルミラー:東レ社)の一方の表面に下記組成の離型層用塗布液をバーコーティングにより塗布、120℃で5分加熱硬化させ、厚み約0.5μmの離型層を形成した。更にもう一方の面に下記処方の粘着層用塗布液を塗布し、乾燥させることにより、厚み約2μmの粘着層を形成して、表面保護フィルムとして使用できる粘着シートを作製した。粘着層には、取り扱い上のために厚み25μmのポリエチレンテレフタレート離型フィルム(MRB:三菱樹脂社)を貼り合わせた。
【0044】
<離型層用塗布液>
・電離放射線硬化型樹脂 33部
(デソライト7501:固形分50%、JSR社)
・シリコーンアクリレート離型剤 0.2部
(シリコーン含有率70%、固形分100%)
・多価不飽和有機化合物 4部
(KAYARAD R167:固形分100%、日本化薬社)
・シランカップリング剤 0.1部
(KBM5103:固形分100%、信越シリコーン社)
・希釈溶媒 65部
【0045】
<粘着層用塗布液>
・アクリル系粘着剤 (表1記載の部)
(SK‐1442:固形分45%、綜研化学社)
・表1記載の硬化剤 (表1記載の部)
・希釈溶媒 (表1記載の部)
【0046】
【表1】
【0047】
なお、表1中の硬化剤Aは、エポキシ系硬化剤(E−5XM:固形分5%、線研化学社)を示す。硬化剤Bは、イソシアネート系硬化剤(L−45:固形分45%、綜研化学社)を示す。
【0048】
得られた粘着シート(実験例1〜8)と市販の表面保護フィルム(タックウェル#157SD-N4、積水化学工業社)(参考例1、2)について、下記の評価を行った。結果を表2に示す。
【0049】
[クリープ率および弾性変形率]
実験例1〜8および参考例1、2の粘着シートから、離型フィルムを剥離し、粘着シートをフォトマスクの表面にラミネートし、透明高分子フィルム(離型層)面側から、温度20℃、相対湿度60%の雰囲気下で、超微小硬さ試験装置(商品名:フィッシャー・スコープ HM2000、フィッシャー・インストルメンツ社)により、ISO−14577−1に準拠した方法で、クリープ率および弾性変形率を測定した。
【0050】
測定条件
使用圧子:ダイアモンドビッカース圧子
負荷条件
負荷荷重:1mN
押し込む負荷時間:20秒
保持時間:5秒
除荷条件:20秒
【0051】
[マルテンス硬さ]
実験例1〜8および参考例1、2の粘着シートから、離型フィルムを剥離し、粘着シートをフォトマスクの表面にラミネートし、透明高分子フィルム(離型層)面側から、温度20℃、相対湿度60%の雰囲気下で、超微小硬さ試験装置(商品名:フィッシャー・スコープ HM2000、フィッシャー・インストルメンツ社)により、ISO−14577−1に準拠した方法で、マルテンス硬さを測定した。但し、最大試験荷重:1mNで測定した値である。
【0052】
[打点試験]
打点先端部がショア硬度60のゴム材先端に銅線をつけた打点耐久試験装置を使用して、荷重20g、打点サイクル1万回/時間で、実験例1〜8および参考例1、2の粘着シートの透明高分子フィルム(離型層)側を、100回打点の後に、粘着層を観察し、粘着層への押し痕の有無を確認した。顕微鏡で粘着層に押し痕が確認できないものを「◎」、顕微鏡では押し痕が確認できたが、目視では確認できないものを「○」、目視で押し痕が確認できたものを「×」として評価した。
【0053】
[粘着力]
実験例1〜8および参考例1、2の粘着シートを100mm×25mm幅にカットとし、離型フィルムを剥離し、被着体(ルミラーT60−100μm)に貼り合せ、20分経過後、180°剥離を行い、JIS Z0237に準拠した方法で、粘着力を測定した。また、実験例1〜8および参考例1、2の粘着シートを、フォトマスクの表面保護フィルムとして用い、露光作業とその後の張替作業を行い、剥離性を確認した。
【0054】
[気泡の混入]
実験例1〜8および参考例1、2の粘着シートの離型フィルムを剥離し、フォトマスクに貼り合せた状態で、フォトマスク段差部において粘着層に含まれる気泡を顕微鏡で観察した。目視では気泡が確認できないものを「○」、目視で気泡が確認できたものを「×」として評価した。
【表2】
【0055】
実験例1〜4の粘着シートは、クリープ率が2.5%以下であったため、強い圧力で押し付けられ粘着層に変形が起こった場合でも、粘着層が元の状態に戻りやすく、粘着層の変形が見られなかった。実験例1〜4の粘着シートは、弾性変形率が73%以上であった。また粘着層打点試験の結果も良好であった。
【0056】
特に、実験例1〜3の粘着シートは、クリープ率が2.0以下、弾性変形率が77%以上であったため、打点試験において、粘着層の変形がみられず、良好なものであった。
【0057】
また、実験例1〜4の粘着シートは、粘着力が、1〜3.5N/25mmであったため、実際にフォトマスクの表面保護フィルムとして用い、露光作業中にフオトマスクに貼着した時に、フォトマスクから容易に剥離することがなく、表面保護フィルムの貼り替えでフォトマスクから剥離する際、容易に剥離することができた。
【0058】
実験例5〜7の粘着シートは、クリープ率が2.5%より大きく、弾性変形率も73%より小さいものであったため、打点試験において、粘着層に変形がみられた。
【0059】
また、実験例6、7の粘着シートは、粘着力が3.5〜5N/25mmであったため、実際にフォトマスクの表面保護フィルムとして用い、露光作業中にフォトマスクに貼着した時に、フォトマスクから容易に剥離することはなかったが、表面保護フィルムの貼り替えでフォトマスクから剥離する際、実験例1〜4、8と比較して剥離しにくいものであった。
【0060】
実験例1〜7の粘着シートは、マルテンス硬さが80N/mm2以下であったため、気泡が混入することなく、被着体への貼り合せも良好に行うことができるものであったが、実験例8の粘着シートは、マルテンス硬さが80N/mm2より大きかったため、気泡の混入が見られた。
【0061】
参考例1、2の粘着シートは、マルテンス硬さが80N/mm2以下であったため、気泡が混入することなく、被着体への貼り合せも良好に行うことができるものであったが、クリープ率も2.5%より大きく、また弾性変形率が73%より小さいものであったため、打点試験において、粘着層に変形がみられた。
【符号の説明】
【0062】
10・・・粘着シート
11・・・基材
12・・・粘着層
13・・・離型フィルム
14・・・機能層
図1