特許第5748750号(P5748750)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5748750
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】封入相変化セル構造および方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/105 20060101AFI20150625BHJP
   H01L 45/00 20060101ALI20150625BHJP
【FI】
   H01L27/10 448
   H01L45/00 A
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-517482(P2012-517482)
(86)(22)【出願日】2010年6月10日
(65)【公表番号】特表2012-531740(P2012-531740A)
(43)【公表日】2012年12月10日
(86)【国際出願番号】US2010001666
(87)【国際公開番号】WO2011005284
(87)【国際公開日】20110113
【審査請求日】2011年12月27日
【審判番号】不服2014-5408(P2014-5408/J1)
【審判請求日】2014年3月24日
(31)【優先権主張番号】12/489,957
(32)【優先日】2009年6月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595168543
【氏名又は名称】マイクロン テクノロジー, インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100106851
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 泰久
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】リゥ,ジュン
【合議体】
【審判長】 鈴木 匡明
【審判官】 小野田 誠
【審判官】 加藤 浩一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−303294(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0194294(US,A1)
【文献】 特開2006−351992(JP,A)
【文献】 特開2008−66449(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L27/105,H01L45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相変化セル構造を形成する方法であって、
基板材料中に底部電極を形成することであって、前記底部電極の上面と前記基板材料の上面とが同一平面内にあり、かつ、前記底部電極の下面と前記基板材料の下面とが同一平面内にある、ことと、
前記基板材料による前記底部電極の封入を維持しながら、前記基板材料の一部分を除去することによって、前記底部電極を含む基板突起を形成することであって、互いに隣接する前記基板突起間に凹部が形成され、前記凹部内における前記基板材料の表面が、前記基板材料の前記上面よりも下方にある、ことと、
相変化材料を前記基板突起の上面上、前記基板突起の側壁面上、及び前記凹部内における前記基板材料の前記表面上に形成することであって、前記相変化材料が前記基板突起の前記上面上にある上方部分と、前記基板突起の前記側壁面にあって且つ前記基板突起の前記側壁面に実質的に平行な側壁部分と、前記凹部内における前記基板材料の前記表面上にあって且つ前記凹部内における前記基板材料の前記表面に実質的に平行な下方部分とを含むよう、前記相変化材料は前記基板突起の少なくとも一部分を封入し、前記相変化材料の前記下方部分と前記相変化材料の前記上方部分とが互いに実質的に平行である、ことと、
導電材料を前記相変化材料上に形成することであって、前記導電材料が前記相変化材料の前記下方部分上にある下方部分と、前記相変化材料の前記上方部分上にある上方部分と、前記相変化材料の前記側壁部分上にある側壁部分とを含むよう、前記導電材料が前記相変化材料の少なくとも一部分を封入し、前記相変化材料の前記下方部分および前記導電材料の前記下方部分が前記凹部内に配置される、ことと、
互いに隣接する前記基板突起間の前記凹部内における、前記導電材料の一部分および前記相変化材料の一部分を除去して、封入スタック構造を形成することと、
を含み、
前記凹部の幅は、前記相変化材料の厚さと前記導電材料の厚さの合計の2倍よりも大きい、方法。
【請求項2】
前記基板材料の中に開口部を形成し、かつ、前記開口部に導電体を充填することによって、前記底部電極を形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
非コンフォーマルな堆積法を使用して、前記相変化材料を形成することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
非コンフォーマルな堆積法を使用して、前記導電材料を形成することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記基板突起を形成することは、前記基板材料をフォトパターニングすること、および前記基板材料をエッチングすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記導電材料および前記相変化材料の前記一部分を除去することは、前記封入スタック構造を、それに隣接する封入スタック構造から分離する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
相変化メモリセル構造であって、
基板突起の中に形成された底部電極であって、基板材料中の凹部が、前記基板突起を形成し、かつ、互いに隣接する前記基板突起間に広がっており、前記凹部内における前記基板材料の表面が前記基板突起の上面よりも下方にあり、前記底部電極の上面と前記基板突起の前記上面とが同一平面内にあり、かつ、前記底部電極の下面と前記基板突起の下面とが同一平面内にある、底部電極と、
前記基板突起の少なくとも一部分を封入する相変化材料部分であって、前記相変化材料部分は前記基板突起の前記上面にあって且つ前記基板突起の前記上面に平行な上方部分と、前記基板突起の第1の側壁面上にある第1の側壁部分と、前記基板突起の第2の側壁面上にある第2の側壁部分と、前記凹部内における前記基板材料の前記表面上にある下方部分とを含む、相変化材料部分と、
前記相変化材料部分上に形成された頂部電極であって、前記頂部電極が前記相変化材料部分の前記下方部分上にある下方部分と、前記相変化材料部分の前記上方部分上にある上方部分と、前記相変化材料部分の前記第1の側壁部分上にある第1の側壁部分と、前記相変化材料部分の前記第2の側壁部分上にある第2の側壁部分とを含むよう、前記頂部電極は前記相変化材料部分の少なくとも一部分を封入している、頂部電極と、
を備え
前記凹部の幅は、前記相変化材料部分の厚さと前記頂部電極の厚さの合計の2倍よりも大きい、相変化メモリセル構造。
【請求項8】
前記基板突起の前記第1および第2の側壁は、前記相変化材料部分によって覆われており、前記相変化材料部分の前記第1および第2の側壁部分は、前記頂部電極によって少なくとも部分的に覆われている、請求項7に記載の相変化メモリセル構造。
【請求項9】
前記頂部電極は、前記相変化材料部分を少なくとも部分的に封入する、請求項8に記載の相変化メモリセル構造。
【請求項10】
前記底部電極は、金属コンタクトに結合されている、請求項9に記載の相変化メモリセル構造。
【請求項11】
前記金属コンタクトは、前記相変化メモリセル構造に対応するアクセストランジスタと関連するドレイン領域に結合されている、請求項10に記載の相変化メモリセル構造。
【請求項12】
前記底部電極は、直径が約50ナノメートル(nm)である、請求項11に記載の相変化メモリセル構造。
【請求項13】
前記相変化メモリセル構造は、それに隣接する相変化メモリセル構造から分離されている、請求項12に記載の相変化メモリセル構造。
【請求項14】
前記凹部内における前記基板材料の露出部分が、前記相変化メモリセル構造を、それに隣接する相変化メモリセル構造から分離している、請求項13に記載の相変化メモリセル構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、半導体メモリデバイスおよび方法に関し、より具体的には、相変化セル構造および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メモリデバイスは、一般的に、コンピュータまたは他の電子デバイスの中に、内部の、半導体、集積回路として提供される。数ある種類のメモリの中でも、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、シンクロナスダイナミックランダムアクセスメモリ(SDRAM)、相変化ランダムアクセスメモリ(PCRAM)、フラッシュメモリを含む、数多くの異なる種類のメモリが存在する。
【0003】
PCRAMデバイス等の抵抗変化型メモリデバイスは、例えばデータを記憶するように異なる比抵抗状態にプログラムすることができる、カルコゲナイド合金等の構造相変化材料を含むことができる。相変化メモリセルは、不揮発性であり、相変化メモリセルに記憶されている特定のデータは、セルの抵抗を感知することによって(例えば、相変化材料の抵抗に基づいて電流および/または電圧の変動を感知することによって)読み出すことができる。
【0004】
抵抗変化型メモリデバイスがカルコゲナイド合金を含む場合において、カルコゲナイド合金は、例えば非晶質から結晶質への、可逆構造相変化を呈することができる。少量のカルコゲナイド合金を回路内に集積することができ、これにより、セルは、高速スイッチングプログラマブル抵抗として機能することが可能になる。このプログラマブル抵抗は、結晶質状態(低い比抵抗)と非晶質状態(高い比抵抗)との間の比抵抗の40倍よりも大きいダイナミックレンジを呈することができ、また、各セルにおけるマルチビット記憶を可能にする、複数の中間状態を呈することも可能である。すなわち、抵抗変化型メモリは、メモリセルを多数の異なる抵抗レベルのうちの1つにプログラミングすることを介して、マルチレベルセル(MLC)機能を達成することができる。
【0005】
相変化メモリセルを形成するために使用される種々の以前のプロセスは、相変化材料を、数ある汚染物質の中でも、プラズマ、酸素、および湿気に曝露するため、相変化材料の汚染につながる可能性がある。これらの汚染物質は、セル性能の低下およびセルの不具合を引き起こす可能性がある。また、以前の形成プロセスは、数ある問題の中でも、基板からの相変化メモリセルの層間剥離等の問題をもたらす可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本開示の1つまたは複数の実施形態による相変化構造を含むことができる、相変化メモリアレイの一部分の概略図である。
図2】本開示の1つまたは複数の実施形態による相変化メモリセルをプログラムするために使用することができる、パルスの実施例を示す図である。
図3】先行技術による相変化セル構造の断面図である。
図4】本開示の1つまたは複数の実施形態による相変化セル構造の断面図である。
図5A】本開示の1つまたは複数の実施形態による相変化セル構造の形成を示す断面図である。
図5B】本開示の1つまたは複数の実施形態による相変化セル構造の形成を示す断面図である。
図5C】本開示の1つまたは複数の実施形態による相変化セル構造の形成を示す断面図である。
図5D】本開示の1つまたは複数の実施形態による相変化セル構造の形成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
相変化セル構造と関連する方法、デバイス、およびシステムを本明細書に記述する。1つまたは複数の実施形態において、相変化セル構造を形成する方法は、底部電極を含む、基板突起を形成することと、相変化材料を該基板突起の上に形成することと、導電材料を該相変化材料の上に形成することと、該導電材料の一部分および該相変化材料の一部分を除去して、封入スタック構造を形成することとを含む。
【0008】
本開示の1つまたは複数の実施形態は、数ある利益の中でも、相変化セル構造の形成中のエッチングによる損傷、汚染、および/または層間剥離等の低減などのような様々な利益を提供することができる。例えば、1つまたは複数の実施形態は、相変化セル構造に対するリセット電流の要件を低減すること、および相変化メモリセルと関連する熱クロストークを低減することができ、これは、数ある種々の利益の中でも、データの信頼性および保持力の改善、ならびに読み出しおよび/または書き込み回数の増加を含む、種々の利益を提供することができる。
【0009】
本開示の以下の発明を実施するための形態では、本明細書の一部を形成し、本開示の1つ以上の実施形態がどのように実践される場合があるかをその中で例として示す、添付の図面を参照する。これらの実施形態は、当業者が本開示の実施形態を実践することを可能にするように十分な詳細が説明され、他の実施形態が利用されてもよいこと、および本開示の範囲を逸脱することなく、プロセス、電気的、および/または構造的変更が行われてもよいことが理解される。
【0010】
本明細書中の図面は、上位の桁は、図面の図番号に対応し、残りの桁は、図面の中の要素または構成要素を識別するという、番号規則に従う。 異なる図面間の同様な要素または構成要素は、同様な数字の使用によって識別される場合がある。例えば、420は、図4の要素「20」を参照する場合があり、類似要素が、図5Aの520として参照される場合がある。理解されるように、本明細書の多様な実施形態に示される要素は、本開示のいくつかの追加の実施形態を提供するように、追加、交換、および/または削除することができる。加えて、図面の中に提供される要素の比率および相対スケールは、多様な本発明の実施形態を図示することを目的とし、限定の意味で使用されてはならない。
【0011】
この開示において用いられている場合、「ウエハ」および「基板」という用語は、交換可能に使用され、また、シリコンオンインシュレータ(SOI)またはシリコンオンサファイア(SOS)技術、ドープおよび非ドープ半導体、ベース半導体基礎で支持されるシリコンのエピタキシャル層、および他の半導体構造を含むものとして理解される。さらに、以下の説明で「ウエハ」または「基板」を参照する時には、ベース半導体構造または基材の中に領域または接合部を形成するために、以前のプロセスステップが既に利用されていてもよい。
【0012】
図1は、本開示の1つまたは複数の実施形態による相変化構造を含むことができる、相変化メモリアレイの一部分の概略図である。図1に示される実施形態において、メモリアレイ100は、それぞれが関連するアクセスデバイス102および抵抗変化型素子104(例えば、相変化セル構造104)を有する、多数の相変化メモリセルを含む。アクセスデバイス102は、データプログラミング(例えば、書き込み)、および/または抵抗変化型素子104へのデータ読み出し動作等の動作を実行するために、メモリセルにアクセスするように、例えばオン/オフの動作を行うことができる。
【0013】
図1に示される実施形態において、アクセスデバイス102は、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)である。図1に示されるように、各メモリセルと関連する各MOSFET102のゲートは、多数のアクセス線105−0(WL0)、105−1(WL1)、...、105−N(WLN)のうちの1つに連結される。すなわち、各アクセス線105−0、105−1、...、105−Nは、相変化メモリセルの横列に連結される。アクセス線105−0、105−1、...、105−Nは、本明細書において「ワード線」と称され得る。指示子「N」は、メモリアレイが多数のワード線を含むことができることを示すために使用される。抵抗変化型素子104は、例えばGe2Sb2Te5、Ge1Sb2Te4、Ge1Sb4Te7等のGe−Sb−Te材料といった、ゲルマニウム−アンチモン−テルル(GST)材料等のカルコゲナイド合金を含む相変化材料を有する、相変化セル構造とすることができる。ハイフンを用いた化学組成表記は、本明細書で使用される場合、特定の混合物または化合物に含まれる元素を示し、示された元素を伴う全ての化学量論を表すことを意図している。他の相変化材料としては、数ある種々の相変化材料の中でも、Ge−Te、In−Se、Sb−Te、Ga−Sb、In−Sb、As−Te、Al−Te、Ge−Sb−Te、Te−Ge−As、In−Sb−Te、Te−Sn−Se、Ge−Se−Ga、Bi−Se−Sb、Ga−Se−Te、Sn−Sb−Te、In−Sb−Ge、Te−Ge−Sb−S、Te−Ge−Sn−O、Te−Ge−Sn−Au、Pd−Te−Ge−Sn、In−Se−Ti−Co、Ge−Sb−Te−Pd、Ge−Sb−Te−Co、Sb−Te−Bi−Se、Ag−In−Sb−Te、Ge−Sb−Se−Te、Ge−Sn−Sb−Te、Ge−Te−Sn−Ni、Ge−Te−Sn−Pd、およびGe−Te−Sn−Ptが挙げられる。
【0014】
図1に示される実施形態において、各抵抗変化型素子104は、多数のデータ線107−0(BL0)、107−1(BL1)、...、107−M(BLM)のうちの1つに連結される。すなわち、各データ線107−0、107−1、...、107−Mは、相変化メモリセルの縦列に連結される。データ線107−0、107−1、...、107−Mは、本明細書において「ビット線」または「センス線」と称される場合がある。指示子「M」は、メモリアレイが多数のビット線を含むことができることを示すために使用される。デジタル環境におけるアドレッシングを容易にするために、ワード線105−1、...、105−Nの数およびビット線107−1、...、107−Mの数は、それぞれ、2のある冪乗、例えば、256本のワード線×4096本のビット線とすることができる。しかしながら、実施形態は、ワード線および/またはビット線の特定の数に限定されない。
【0015】
動作中に、アレイ100の相変化メモリセルにデータをプログラムする、および/または該相変化メモリセルからデータを読み出すために、適切な電圧信号および/または電流信号(例えば、パルス)を、ビット線107−0、107−1、...、107−Mおよびワード線105−0、105−1、...、105−Nに印加することができる。一例として、アレイ100の相変化メモリセルによって記憶されるデータは、アクセスデバイス(例えば、102)をオンにし、相変化セル構造(例えば、104)を通過する電流を感知することによって判定することができる。読み出されているメモリセルと関連するビット線(例えば、ビット線107−0、107−1、...、107−M)上で感知された電流は、相変化セル構造104の抵抗レベルに対応し、その結果、特定のデータ値(例えば、1、0、001、111、1011等の2進値)に対応する。
【0016】
本開示の実施形態は、図1に示される例示的なアレイ100に限定されない。例えば、当業者は、特定のメモリセルと関連するアクセスデバイス102は、MOSFET以外のデバイスとすることができることを理解するであろう。いくつかの実施形態において、アクセスデバイス102は、数ある種類のアクセスデバイスの中でも、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)またはダイオードとすることができる。また、当業者によって理解されるように、メモリアレイ(例えば、100)は、図1に示されているもの以外のアーキテクチャを有することができる。
【0017】
1つまたは複数の実施形態において、アレイの中の相変化メモリセルと関連するアクセスデバイスは、ダイオードとすることができる。ダイオードは、数ある種々の種類のダイオードの中でも、PNダイオード、ゼナーダイオード、またはショットキダイオード等の多数の種類のダイオードとすることができる。
【0018】
動作中に、アレイの相変化メモリセルにデータをプログラムする、および/または該相変化メモリセルからデータを読み出すために、適切な電圧信号および/または電流信号(例えば、パルス)を、ビット線およびワード線に印加することができる。一例として、アレイの相変化メモリセルによって記憶されるデータは、ダイオードアクセスデバイスをオンにし、相変化素子を通過する電流を感知することによって判定することができる。読み出されているメモリセルと関連するビット線上で感知された電流は、相変化素子の抵抗レベルに対応し、その結果、特定のデータ値(例えば、1、0、001、111、1011等の2進値)に対応する。
【0019】
当業者が理解するように、図1に示される相変化メモリセルアレイ100は、プログラミング(例えば、書き込回路、および/または感知(例えば、読み出回路(図1には示さず)に連結することができる。例えば、アレイ100は、図6と関連して以下に説明するように、書き込みおよび/または読み出し路に連結することができる。
【0020】
図2は、本開示の1つまたは複数の実施形態による相変化メモリセルをプログラムするために使用することができる、パルスの実施例を示す。図2において、パルス211は、非晶質化(リセット)パルス、例えば、1つまたは複数の相変化メモリセルを、非晶質(高い比抵抗)状態に設定するために使用されるパルスを表す。パルス213は、結晶化(セット)パルス、例えば、1つまたは複数の相変化メモリセルを、結晶質(低い比抵抗)状態に設定するために使用されるパルスを表す。セルの抵抗が特定の所望のデータ状態に対応するような値に変化させられる(例えば、プログラムされる)ような様態で、セルに対応する相変化材料の温度を上昇/降下させることによって、相変化セル構造(例えば、図1に示される相変化セル構造104)の抵抗を変化させるために、リセットパルス211およびセットパルス213を特定のメモリセルに印加することができる。
【0021】
当業者が理解するように、リセットパルス211等のリセットパルスは相変化材料(例えば、図1に示される相変化セル構造104)またはその一部分を、比較的高い抵抗値(例えば、約100キロオーム〜1メガオーム)に対応する、比較的に非晶質の状態に設定するために使用することができる。例えば、図1に示される実施例において、リセットパルス211は、相変化材料を溶解させるのに十分な温度Taまで相変化材料の温度を上昇させるために使用することができる。相変化材料は、相変化材料がその内部結晶質構造のいずれかの部分を再形成しないように、短期間(すなわち、t1)にわたって冷却して、相変化材料を非晶質化する。時間t1は、「クエンチング時間」と称することができる。
【0022】
図2に示されるセットパルス213等のセットパルスは、温度Txを超えて相変化材料の温度を上昇させて、その相変化材料の温度を、相変化材料の結晶化が生じるのを可能にするのに十分な時間(例えば、t2)にわたって維持するために使用することができる。このように、セットパルス213は、例えば約1キロオーム〜10キロオームといった、比較的低い抵抗値に対応する、比較的に結晶質の状態で相変化材料を配置することができる。
【0023】
本開示の実施形態は、図2に示される実施例に示されるリセットおよび/またはセットパルスに限定されない。一例として、本開示の1つまたは複数の実施形態は、相変化材料部分の電場を横方向に分布させ、かつ側面を通して熱を放散させる、電極を封入した相変化セル構造を提供することができ、これは、リセットパルス(例えば、211)と関連するクエンチング時間(例えば、図2に示されるt1)を短縮することができる。例えば、種々の実施形態は、熱を横方向に放散させることによって、リセットパルスと関連するクエンチング速度を高め、かつ底部電極を覆う半球状の非晶質領域の形成を促進するように電流を横方向に分布させることによって、リセットプロセスを改善することができ、これは、尚早なリセットを低減することができる。電流の横方向分布はまた、頂部電極を通しての熱損失、および熱によって誘発された頂部電極の層間剥離を低減することもできる。封入している頂部電極は、熱クロストークを低減するように、隣接する構造からの相変化セル構造の断熱を改善することができる。一例として、いくつかの実施形態では、リセット動作の時間は、約10ナノ秒とすることができる。
【0024】
図3は、先行技術による相変化セル構造の断面図を示す。図3の相変化セル構造は、先行技術による構造を示す。図3において、2つの相変化セル構造304−1および304−2は、誘電層320の中の金属接点(金属コンタクト)322−1および322−2の上に形成される。相変化セル構造304−1および304−2は、基板324の中に形成される底部電極326−1および326−2を含む。基板324は、数ある好適な基板材料の中でも、窒化ケイ素(SiN)、酸化ケイ素(SiO)とすることができる。
【0025】
図3において、活性領域332−1および332−2を含む相変化材料部分330−1および330−2、ならびに頂部電極328−1および328−2は、基板324を覆って形成される。個々の相変化セル構造304−1および304−2は、頂部電極材料の一部分をマスキングし、かつ頂部電極材料および相変化セル材料の一部分をエッチングで除去することによって形成される。相変化セル構造304−1および304−2を形成するための頂部電極材料および相変化セル材料のエッチングは、相変化セル構造304−1および304−2の側壁を、エッチング液に加えて、周囲の酸化物および湿気に曝露する。この曝露は、相変化セル構造を汚染して、酸化を引き起こし、頂部電極と相変化材料部分との間の界面の損傷を引き起こし、かつチタン(Ti)のスパイク等の汚染を相変化材料の中に導入する可能性がある。これらの汚染物質によって、デバイス性能の低下または相変化セル構造と関連するデバイスの不具合が生じる可能性がある。
【0026】
加えて、相変化セル構造を形成するための頂部電極材料および相変化セル材料のエッチングは、エッチング洗浄プロセス中に、基板からの相変化材料部分の層間剥離を引き起こす可能性がある。層間剥離は、ウェットエッチング溶液によって加えられる力の下で、基板に対する相変化材料の弱い付着によって引き起こされる可能性がある。
【0027】
図4は、本開示の1つまたは複数の実施形態による相変化セル構造404−1および404−2の断面図を示す。図4の相変化セル構造404−1および404−2は、相変化材料部分430−1および430−2によって封入される基板突起425−1および425−2と、頂部電極428−1および428−2によって少なくとも部分的に封入される相変化材料部分430−1および430−2とを含む、相変化セルスタックを示す。1つまたは複数の実施形態において、相変化セル構造404−1は、第1のラインストライプ構成の一部とすることができ、相変化セル構造404−2は、第2のラインストライプ構成の一部とすることができ、第1および第2のラインストリップ構成は、多数の相変化セル構造を含む。1つまたは複数の実施形態において、相変化セル構造404−1および相変化セル構造404−2は、それぞれメサ構成の一部とすることができ、各メサは、相変化セル構造を含む。
【0028】
図4において、相変化セル構造404−1および404−2は、基板突起425−1および425−2の中に形成される、底部電極426−1および426−2を含む。底部電極426−1および426−2は、金属接点422−1および422−2に連結される。金属接点422−1および422−5は、誘電体420の中に形成される。相変化セル構造404−1および404−2は、金属接点422−1および422−2ならびに/または頂部電極428−1および482−2を介して、図1に示されるアレイ等の相変化メモリアレイの、数ある素子の中でも、トランジスタ、ダイオード、および/またはビット線等の他の素子に連結される
【0029】
1つまたは複数の実施形態において、底部電極は、数ある寸法の中でも、約50ナノメートル(nm)の直径を有することができる。相変化材料部分は、約100nmの直径、および約100nmの深さを有することができる。本開示の実施形態は、これらの実施例に限定されない。
【0030】
1つまたは複数の実施形態において、相変化セル構造(例えば、404−1)は、基板を曝露するように、相変化材料を少なくとも部分的に封入する頂部電極材料の一部分および基板突起を封入する相変化材料の一部分を除去することによって、別の相変化セル構造(例えば、404−2)から分離される。頂部電極材料および相変化材料の一部分の除去は、エッチングによって行うことができる。それぞれ、相変化材料部分、ならびに基板突起425−1および425−2を封入する、頂部電極材料および相変化材料をエッチングする時、図3に示される構造と関連して説明される、プラズマ、酸化、および湿気による汚染は、図4の相変化材料部分のアクティブスイッチング領域から離れた相変化セル構造の陥凹領域431に限定される。また、封入された基板突起は、相変化材料が基板および基板突起に付着するためのより多くの表面積をもたらす。電極を封入した相変化材料部分は、エッチング洗浄プロセス等の、製造プロセス中の層間剥離の影響をより受け難い、相変化セル構造をもたらす。
【0031】
種々の実施形態では、頂部電極によって封入される相変化材料部分は、相変化材料部分の電場を横方向に分布させることができる。横方向に分布した電場は、相変化材料部分のリセット電流を低減することができ、かつ隣接する相変化メモリセル間の熱クロストークを低減することもできる。種々の実施形態において、封入された相変化材料部分によって引き起こされる電場の横方向分布は、底部電極の上面(例えば、図4の423−1および423−2)を覆う、半球状の非晶質領域(例えば、図4の432−1および432−2)の形成を促進することができる。底部電極を覆う半球状の非晶質領域は、相変化材料の不要および/または尚早なリセットを低減および/または防止することができる。電場の横方向分布はまた、頂部電極を通しての熱損失を低減することもでき、かつ熱によって誘発された頂部電極の層間剥離を低減することもできる。相変化材料部分を封入している頂部電極はまた、隣接する相変化メモリセルとの間の熱クロストークを低減するように、相変化材料をより効率的に断熱することもできる。
【0032】
図5A図5Dは、本開示の1つまたは複数の実施形態による相変化セル構造504−1および504−2の形成を示す断面図である。図5A図5Dに記載される相変化セル構造504−1および504−2は、製造手順の種々の段階での、多数の相変化セル構造の一部分を含む。
【0033】
図5Aは、相変化メモリデバイス製造手順における特定の段階での、2つの相変化セル構造を示す。図5Aに示される実施形態は、金属接点522−1および522−2を伴う誘電体520を含み、該誘電体の上には、図5Dに示される相変化セル構造504−1および504−2が製造される。金属接点522−1および522−2は、誘電体520の中に開口部を形成し、そして、該開口部に、数ある導電体の中でも、チタン(Ti)、タングステン(W)、またはタンタル(Ta)を含む、金属および/または金属合金等の導電体を充填することによって形成することができる。金属または金属合金は、誘電体520、ならびに金属接点522−1および522−2の頂面を含む平面を作成するように、化学機械的平坦化(CMP)または他の好適な平坦化技術を使用して平坦化することができる。金属接点522−1および522−2は、相変化セル構造を、数ある素子の中でも、トランジスタ、ダイオード、および/またはビット線等の、相変化メモリセルの中の他の素子に連結するように、電気および熱伝導経路を提供することができる。
【0034】
図5Aにおいて、基板524は、誘電体520、ならびに金属接点522−1および522−2の上に形成することができる。開口部は、エッチングを介して、金属接点522−1および522−2に対する基板524の一部分を除去することによって、基板524の中に形成することができる。底部電極526−1および526−2は、基板の中の開口部に底部電極材料を充填することによって形成することができる。
【0035】
図5Bでは、基板突起525−1および525−2が形成される。基板524の一部分は、基板突起525−1および525−2を形成するために除去される。種々の実施形態において、例えば図5Aに示される基板524は、基板突起を保護するようにフォトマスキングされ、基板は、基板突起525−1および525−2を形成する基板524の一部分を残して、特定の深さにエッチングされる。基板突起525−1および525−2は、例えば図5Cに示されるように、封入された相変化材料部分を形成するための基部を提供することができる。
【0036】
図5Cは、相変化メモリデバイス製造手順における特定の段階での、2つの相変化セル構造を示す。図5Cにおいて、相変化材料529は、基板突起525−1および525−2を封入するように、基板突起525−1および525−2を覆って形成される。基板突起525−1および525−2は、相変化材料529によって覆うことができる、側壁を含むことができる。頂部電極527は、相変化材料529を覆って形成される。相変化材料529は、頂部電極527によって覆われる、側壁を含むことができる。頂部電極527は、相変化材料部分(例えば、図5Dに示される相変化材料部分530−1および530−2)のうちの少なくとも活性領域を封入することができる。相変化材料529および頂部電極527は、数あるプロセスの中でも、原子層堆積(ALD)等のコンフォーマルな堆積プロセス、および/または物理気相蒸着(PVD)等の非コンフォーマルな堆積プロセスを使用して形成することができる。基板突起525−1および525−2を覆う相変化材料および頂部電極の形成は、相変化セル構造間に陥凹部531を作成することができる。陥凹部531は、相変化材料部分の活性領域から離れている相変化セル構造に対して、さらなるプロセスステップを実行するために使用することができる。例えば、陥凹部を形成した後の相変化セル構造のさらなるエッチングおよび洗浄は、相変化セル構造の活性部分を損なわない。
【0037】
図5Dは、相変化メモリデバイス製造手順の特定の段階での、2つの相変化構造を示す。図5Dにおいて、相変化セル構造504−1および504−2は、形成されて、相互に分離される。相変化材料部分530−1および頂部電極528−1は、基板突起525−1と525−2との間の陥凹部531にある相変化材料529および頂部電極527の一部分を除去することによって、相変化材料部分530−2および頂部電極528−2から分離される。1つまたは複数の実施形態において、相変化材料529および頂部電極527の部分は、エッチングによって除去することができる。1つまたは複数の実施形態において、相変化材料529および頂部電極527の一部分は、フォトパターン化することができ、次いで、相変化材料529および頂部電極527の一部分を、エッチングすることによって除去することができる。相変化材料529および頂部電極527の一部分を除去することで、基板524の一部分を曝露することによって、相変化セル構造504−1および504−2を分離することができる。
【0038】
相変化セル構造体と関連する方法およびデバイスを本明細書に記載する。1つまたは複数の実施形態において、相変化セル構造を形成する方法は、底部電極を含む、基板突起を形成することと、相変化材料を該基板突起の上に形成することと、導電材料を該相変化材料の上に形成することと、該導電材料の一部分および該相変化材料の一部分を除去して、封入スタック構造を形成することとを含む。
【0039】
要素が、別の要素の「〜上にある」、別の要素に「接続される」、または別の要素に「連結される」ものとして言及される時、他の要素の直接的に上にある、他の要素に直接的に接続される、または他の要素に直接的に連結される可能性があるか、または介在要素が存在する場合があることが理解されるであろう。対照的に、要素が、別の要素に対して「直接的に上にある」、「直接的に接続される」、または「直接的に連結される」ものとして言及される時は、いかなる介在要素または層も存在しない。本明細書で使用される場合、「および/または」という用語は、関連する列記された品目うちの1つまたは複数の任意および全ての組み合わせを含む。
【0040】
第1、第2等の用語は、本明細書では、種々の要素を表すために使用されている場合があり、これらの用語によってこれらの要素を限定すべきではないことが理解されるであろう。これらの用語は、ある要素を別の要素と区別するために使用されているに過ぎない。したがって、第1の要素は、本開示の教示を逸脱しない範囲で第2の要素と称される可能性がある。
【0041】
本明細書には具体的な実施形態が図示および記述されているが、当業者は、同じ結果を達成するように考案された配設を、示された具体的な実施形態に代えることができることを理解するであろう。本開示は、本開示の多様な実施形態の適応または変形を包含することを意図する。
【0042】
上記の説明は、制限の様式ではなく、図説の様式において行われたものであることが理解されるであろう。上記の実施形態、および本明細書に具体的に説明されない他の実施形態の組み合わせは、上記の説明を検討することによって、当業者には明らかであろう。本開示の多様な実施形態の範囲は、上記の構造および方法が使用される他の用途を含む。したがって、本開示の多様な実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲に加えて、このような特許請求の範囲が権利を与えられる均等物の完全な範囲を参照して決定されなければならない。
【0043】
前述の発明を実施するための形態では、開示を簡素化するために、多用な特徴が単一の実施形態にまとめられている。この開示方法は、本開示の開示される実施形態が、各請求項に明記されるよりも多くの特徴を用いなければならないという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。
【0044】
そうではなく、以下の特許請求の範囲が反映するように、発明の主題は、単一の開示される実施形態の全ての特徴に満たない中に存する。したがって、以下の特許請求の範囲が本明細書により発明を実施するための形態に組み入れられ、各特許請求の範囲は個別の実施形態として独立する。
図1
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図2