特許第5748789号(P5748789)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5748789
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 35/38 20060101AFI20150625BHJP
   B41J 2/325 20060101ALI20150625BHJP
【FI】
   B41J35/38 A
   B41J2/325 A
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-36179(P2013-36179)
(22)【出願日】2013年2月26日
(65)【公開番号】特開2014-162149(P2014-162149A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2013年12月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000235
【氏名又は名称】特許業務法人 天城国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三村 季文
【審査官】 下村 輝秋
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−264275(JP,A)
【文献】 特開昭61−179793(JP,A)
【文献】 特開昭62−050186(JP,A)
【文献】 特開2002−113891(JP,A)
【文献】 特開2005−186411(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J17/00−17/42
B41J27/00−27/22
B41J31/00−35/38
B41J2/315−2/345
B41J2/42−2/425
B41J2/475−2/48
B41J29/00−29/70
B41M5/18
B41M5/035
B41M5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
像情報に応じて、消色インクリボンの消色インクを前記消色インクの消色温度より低い温度の発色状態で記録媒体に熱転写する熱転写部と、
前記熱転写部を通過後の前記消色インクリボンを前記消色温度以上加熱して、前記消色インクリボンに残る消色インクを消色する加熱部とを具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記加熱部は、送りローラから送り出され、前記熱転写部を通過した後巻取りローラに巻き取られる前記消色インクリボンを、前記熱転写部通過後から前記巻取りローラに至る加熱することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記加熱部は、前記消色インクリボン前記熱転写部から前記巻取りローラに至るまでの間に配置されることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記加熱部は、前記巻取りローラの芯部に配置されることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
画像情報に応じて、非消色インクリボン非消色インクを前記熱転写部による熱転写温度と異なる温度で記録媒体に熱転写する第2の熱転写部を更に備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、消色インクリボンを熱転写して画像形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
熱転写インクリボン方式の画像形成装置では、機密保持のために、転写終了後にインクリボンに残るインクあるいはインクリボンを溶かして、インクリボンの残像を認識できないようにする装置がある。他方消色インクリボンを用いて印字したシート上の画像を消色して、シートをリユースする技術がある。消色インクリボンを用いた場合にも、消色インクリボンに残る印字の跡を認識できないようにして機密保持を図ることが要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−638号公報
【特許文献2】特開2008−302531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明が解決しようとする課題は、印字画像をシートに熱転写したした後に、消色インクリボンに残る印字の跡を認識できないようにして、機密性に優れた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を達成するために、実施形態の画像消去装置は、像情報に応じて、消色インクリボンの消色インクを前記消色インクの消色温度より低い温度の発色状態で記録媒体に熱転写する熱転写部と、前記熱転写部を通過後の前記消色インクリボンを前記消色温度以上加熱して、前記消色インクリボンに残る消色インクを消色する加熱部とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態のMFPを示す概略構成図。
図2】実施形態の消色インクリボンカートリッジ収容部及び消色インクリボンカートリッジを示す概略上面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態について図1および図2を参照して説明する。図1は実施形態の画像形成装置の一例である熱転写インクリボン方式のMulti Function Peripheral(以下MFPと略称する。)10を示す概略構成図である。MFP10は、例えば、自動原稿送り装置11、スキャナ12、コントロールパネル13、消色部15、給紙部16、17、プリンタ部18および排紙部22を備える。MFP10は印字モード時にプリンタ部18で印字動作を行い、消色モード時に消色部15で消色動作を行う。
【0008】
自動原稿送り装置11は、原稿トレイ11aの原稿Gをスキャナ12に給紙する。スキャナ12は、原稿Gの画像を読み取る。コントロールパネル13は、例えば入力キー13aとタッチパネル式の表示部13bを備える。入力キー13aは例えばユーザによる入力を受け付ける。表示部13bは例えばユーザによる入力を受け付けあるいはユーザへの表示を行う。コントロールパネル13を操作して、MFP10の印字モードと消色モードとを切替える。
【0009】
消色部15は、例えばヒートローラ15aと、プレスローラ15bを備える。消色部15は、ヒートローラ15aとプレスローラ15b間のニップに印字済みシートP3(消色部15で画像を消色しようとするシート)を挟んで走行する。消色部15は印字済みシートP3を消色温度以上で加熱加圧して印字済みシートP3に形成された消色可能なインク画像を消色する。
【0010】
給紙部16、17は、上段給紙カートリッジ16a、下段給紙カートリッジ16b、上段手差し給紙トレイ17a、下段手差し給紙トレイ17bを備える。例えば、上段給紙カートリッジ16a、下段給紙カートリッジ16bおよび下段手差し給紙トレイ17bは、記録媒体である未使用のシートP1或いはリユースのシート(例えば画像を消色処理により画像を消色したシート)P2を給紙可能である。上段手差し給紙トレイ17aは、例えば印字済みシートP3を給紙可能である。
【0011】
ジョブセパレータ22cは、排紙部22を、上排紙部22aと下排紙部22bとに区分けする。上排紙部22aには、消色部15で印字画像を消色されたリユースシートを排紙する。下排紙部22bには、プリンタ部18で画像を印字された印字済みシートを排紙する。
【0012】
プリンタ部18は、上段給紙カートリッジ16a、下段給紙カートリッジ16bあるいは下段手差し給紙トレイ17bから排紙部22に到る搬送路21を備える。プリンタ部18は、搬送路21に沿って、Y(イエロ)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の4組の非消色インクリボンカートリッジ収容部20Y、20M、20Cあるいは20Kを備える。プリンタ部18は、搬送路21に沿って消色インクリボンカートリッジ収容部20Eを備える。
【0013】
プリンタ部18は、搬送路21を介して非消色インクリボンカートリッジ収容部20Y、20M、20Cあるいは20Kと対向する位置にプラテンローラ19Y、19M、19Cあるいは19Kをそれぞれ備える。プリンタ部18は、搬送路21を介して消色インクリボンカートリッジ収容部20Eと対向する位置にプラテンローラ19Eを備える。
【0014】
Y(イエロ)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の4組の非消色インクリボンカートリッジ収容部20Y、20M、20Cあるいは20Kは、Y(イエロ)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の非消色インクリボンカートリッジ23Y、23M、23Cあるいは23Kをそれぞれ装着する。非消色インクリボンカートリッジ23Y、23M、23Cあるいは23Kは、例えばプラスチックフィルム等の基材に、加熱により消色しない非消色のインクを塗布したインクリボンを収納する。
【0015】
消色インクリボンカートリッジ収容部20Eは任意の色の消色インクリボンカートリッジ23Eを装着する。消色インクリボンカートリッジ23Eは、消色インクを塗布した消色インクリボンを収納する。消色インクは、例えば所定の温度で加熱することにより消色する。消色インクに使用する色材は加熱により消色するものであれば特に限定されない。消色インクは、色材と顕色剤、消色材、変色温度調節剤等を適宜組み合わせて、ある一定の温度以上で発色が消えるような構成を選択できる。色材として、ロイコ染料が一般的によく知られたものとして使われる。
【0016】
ロイコ染料とは、顕色剤により発色することが可能な電子供与性の化合物である。例えばロイコ染料として、ジフェニルメタンフタリド類、フェニルインドリルフタリド類、インドリルフタリド類、ジフェニルメタンアザフタリド類、フェニルインドリルアザフタリド類、フルオラン類、スチリノキノリン類、ジアザローダミンラクトン類等が挙げられる。
【0017】
具体的には、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−〔2−エトキシ−4−(N−エチルアニリノ)フェニル〕−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3,6−ジフェニルアミノフルオラン、3,6−ジメトキシフルオラン、3,6−ジ−n−ブトキシフルオラン、2−メチル−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、2−N,N−ジベンジルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−メチル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(3−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(N−メチルアニリノ)−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−キシリジノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンツ−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)フルオラン、1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、2−(3−メトキシ−4−ドデコキシスチリル)キノリン、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジエチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジ−n−ブチルアミノ)−4−メチル−、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(N−エチル−N−i−アミルアミノ)−4−メチル−、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジ−n−ブチルアミノ)−4−フェニル、3−(2−メトキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−ペンチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド等である。さらに、ピリジン系、キナゾリン系、ビスキナゾリン系化合物等を挙げることができる。2種以上のロイコ染料を混合して使用しても良い。
【0018】
実施形態に用いる顕色剤は、ロイコ染料にプロトンを与える電子受容性化合物である。例えば顕色剤として、フェノール類、フェノール金属塩類、カルボン酸金属塩類、芳香族カルボン酸及び炭素数2〜5の脂肪族カルボン酸、ベンゾフェノン類、スルホン酸、スルホン酸塩、リン酸類、リン酸金属塩類、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステル金属塩類、亜リン酸類、亜リン酸金属塩類、モノフェノール類、ポリフェノール類、1、2、3−トリアゾール及びその誘導体等がある。さらに置換基としてアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基及びそのエステル又はアミド基、ハロゲン基等を有するもの、及びビス型、トリス型フェノール等、フェノール−アルデヒド縮合樹脂等、さらにそれらの金属塩が挙げられる。2種以上の顕色剤を混合して使用しても良い。
【0019】
具体的には、フェノール、o−クレゾール、ターシャリーブチルカテコール、ノニルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ドデシルフェノール、n−ステアリルフェノール、p−クロロフェノール、p−ブロモフェノール、o−フェニルフェノール、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸n−オクチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、ジヒドロキシ安息香酸またはそのエステル、たとえば2,3−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸メチル、レゾルシン、没食子酸、没食子酸ドデシル、没食子酸エチル、没食子酸ブチル、没食子酸プロピル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ドデカン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、2,4−ジヒドロキシアセトフェノン、2,5−ジヒドロキシアセトフェノン、2,6−ジヒドロキシアセトフェノン、3,5−ジヒドロキシアセトフェノン、2,3,4−トリヒドロキシアセトフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,4’−ビフェノール、4,4’−ビフェノール、4−[(4−ヒドロキシフェニル)メチル]−1,2,3−ベンゼントリオール、4−[(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル]−1,2,3−ベンゼントリオール、4,6−ビス[(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル]−1,2,3−ベンゼントリオール、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)ビス(ベンゼン−1,2,3−トリオール)]、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)ビス(1,2−ベンゼンジオール)]、4,4’,4’’−エチリデントリスフェノール、4,4’−(1−メチルエチリデン)ビスフェノール、メチレントリス−p−クレゾール等がある。
【0020】
実施形態に用いる消色剤は、呈色性化合物、顕色剤、消色剤の3成分系において、熱によりロイコ染料と顕色剤による発色反応を阻害し、無色にできるものであれば、公知のものが使用できる。消色剤として、例えばアルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、酸アミド類が挙げられる。消色剤は、2種以上混合して使用しても良い。
【0021】
非消色インクリボンカートリッジ収容部20Y、20M、20C或いは20Kは、それぞれ印字ヘッド24Y、24M、24C或いは24Kを備える。消色インクリボンカートリッジ収容部20Eは、熱転写部である印字ヘッド24Eを備える。
【0022】
図2を参照して消色インクリボンカートリッジ収容部20E及び消色インクリボンカートリッジ23Eについて詳述する。消色インクリボンカートリッジ23Eは、送りローラ26からテンションローラ27a、27bを経て巻き取りローラ28に掛け渡される消色インクリボン30を収納する。消色インクリボンカートリッジ23Eは、ICチップ33を備える。ICチップ33は、例えば消色インクリボンカートリッジ23Eの期限管理、印字枚数等の各種管理情報或いは海賊版防止等のセキュリティ管理情報を記憶する。
【0023】
印字ヘッド24Eは、装着した消色インクリボンカートリッジ23Eのテンションローラ27a、27b間の消色インクリボン30に対向する位置にある。消色インクリボンカートリッジ収容部20Eは、シートP1、P2の用紙幅(シートP1、P2の搬送方向と垂直な方向の幅)に応じて矢印mの幅方向に往復移動する。
【0024】
印字ヘッド24Eは、シートP1あるいはシートP2に消色インクを熱転写して、シートP1あるいはシートP2に消色インクによる印字画像を形成する。MFP10は、印字ヘッド24Eの熱転写温度を、消色インクが消色する消色温度より低い温度に設定する。印字ヘッド24Eは、消色印字情報に対してのみ発熱して、消色インクリボン30の消色インクをシートP1あるいはシートP2に熱転写する。消色印字情報に対しては、印字ヘッド24Y、24M、24C、24Kは転写動作をしない。消色インクによる印字画像に非消色インクが付着することにより、印字画像を消色した場合にリユースシートに非消色インクが残り、消色不良を生じるのを防止する。
【0025】
消色インクリボンカートリッジ収容部20Eは、加熱部であるヒータ32を備える。消色インクリボンカートリッジ23Eの、テンションローラ27bから巻き取りローラ28に至る消色インクリボン30は、ヒータ32に対向する。ヒータ32は、消色インクリボン30を消色インクの消色温度以上に加熱して、熱転写後に消色インクリボン30に残った消色インクを消色する。
【0026】
プリンタ部18の非消色インクリボンカートリッジ収容部20Y、20M、20C及び20Kの構成は、ヒータ32を備えていない事を除けば、消色インクリボンカートリッジ収容部20Eと同じ構成である。非消色インクリボンカートリッジ収容部20Y、20M、20C及び20Kについての図面を用いての説明を省略する。
【0027】
非消色インクリボンカートリッジ収容部20Y、20M、20Cあるいは20Kは、消色インクリボンカートリッジ収容部20Eと同様に、シートP1、P2の用紙幅に応じて幅方向に往復移動する。印字ヘッド24Y、24M、24Cあるいは24Kは、シートP1あるいはシートP2にそれぞれの非消色インクを熱転写して、シートP1あるいはシートP2に非消色インクによる印字画像を形成する。
【0028】
MFP10は、各印字ヘッド24Y、24M、24Cあるいは24Kの加熱温度を、非消色インクリボンの非消色インクを良好に熱転写できる温度に設定する。各印字ヘッド24Y、24M、24Cあるいは24Kは、それぞれの色の印字情報がある場合にのみ、それぞれの非消色インクリボンの非消色インクをシートP1あるいはシートP2に熱転写する。印字情報がない場合に非消色インクリボンを無駄に消費するのを防止する。
【0029】
これらの構成によってMFP10は印字モード時に、プリンタ部18で印字情報に応じた印字画像を、シートP1あるいはシートP2に形成する。印字情報が、使用後に消色する機密保持情報である場合に、プリンタ部18は、印字ヘッド24EによりシートP1あるいはシートP2に消色インクを熱転写して印字画像を形成する。印字画像形成後MFP10は、シートP1あるいはシートP2を下排紙部22bに排紙する。
【0030】
消色インクリボンカートリッジ収容部20Eは、印字動作に伴い消色インクリボン30を、巻き取りローラ28により矢印n方向に巻き取る。巻き取りローラ28で消色インクリボン30を巻き取る間、ヒータ32は消色インクリボン30を消色温度以上に加熱する。ヒータ32は、印字画像を熱転写した後に消色インクリボン30に残る印字の跡を有する消色インクを消色する。巻き取りローラ28に巻き取られた消色インクリボン30からは、熱転写後に消色インクリボン30に残る印字の跡を認識出来ない。
【0031】
印字情報が、機密保持情報でない場合に、プリンタ部18は、印字ヘッド24Y、24M、24Cあるいは24KによりシートP1あるいはシートP2に所望の色の非消色インクを熱転写して印字画像を形成する。印字画像形成後MFP10は、シートP1あるいはシートP2を下排紙部22bに排紙する。
【0032】
熱転写後、非消色インクリボンカートリッジ収容部20Y、20M、20C或いは20Kは、インクリボンを加熱することなく、非消色インクリボンカートリッジ23Y、23M、23Cあるいは23K内に巻き取る。
【0033】
例えばリユースシートを得る場合、ユーザは、コントロールパネル13を操作して、MFP10を印字モードから消色モードに切替える。消色モード時にMFP10は、上段手差し給紙トレイ17aから消色部15に印字済みシートP3を給紙する。消色部15は、印字済みシートP3を消色温度以上で加熱加圧して印字済みシートP3上の消色インクによる印字画像を消色する。消色後MFP10は、印字済みシートP3を上排紙部22aに排紙して、リユースシートを得る。
【0034】
実施形態によれば、印字ヘッド24Eを通過後の消色インクリボン30をヒータ32により消色インクの消色温度以上に加熱する。画像情報を熱転写した後の消色インクリボン30を消色して、熱転写後に消色インクリボン30に残った印字跡を認識出来ないようにする。消色インクリボン30に残った印字跡から印字した画像情報を読み取ることが出来ず、印字した画像情報の機密を保持できる。実施形態によれば、消色インクリボン30の消色インクあるいは基材を溶融する必要がなく、溶融時に比べてより低い加熱温度で消色インクを消色して、情報の機密を保持できる。
【0035】
以上説明した実施形態の画像形成装置の構成は限定されない。画像形成装置は、例えば複数色の消色インクリボンを用いて印字画像を形成するものであっても良いし、非消色インクリボンを全く備えない装置であっても良い。画像形成装置の加熱部による消色インクに対する加熱温度は限定されない。また加熱部の形状或いは配置など限定されない。例えば実施形態において、加熱部は消色インクリボン30に接触するヒートローラであっても良い。或いは実施形態において、加熱部として巻き取りローラ28の芯にヒータを配置しても良い。巻き取りローラ28の芯に配置したヒータは、使い終わった消色インクリボンカートリッジ23Eを加熱して消色インクリボンを消色する。使い終わった消色インクリボンカートリッジ23Eは消色インクリボンを消色後に新品と交換する。
【0036】
この発明の実施形態を説明したが、実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0037】
10…MFP
13…コントロールパネル
18…プリンタ部
20E…消色インクリボンカートリッジ収容部
23E…消色インクリボンカートリッジ
24Y、24M、24C、24K、24E…印字ヘッド
26…送りローラ
28…巻き取りローラ
30…消色インクリボン
32…ヒータ
図1
図2