特許第5748816号(P5748816)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5748816電子部品組立用の基板における層間紙の除去方法及び除去装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5748816
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】電子部品組立用の基板における層間紙の除去方法及び除去装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/50 20060101AFI20150625BHJP
   H05K 13/02 20060101ALI20150625BHJP
【FI】
   H01L21/50 D
   H05K13/02 U
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-201508(P2013-201508)
(22)【出願日】2013年9月27日
(65)【公開番号】特開2015-70037(P2015-70037A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2013年9月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000146179
【氏名又は名称】エムテックスマツムラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100065053
【弁理士】
【氏名又は名称】新関 和郎
(72)【発明者】
【氏名】森谷 武彦
【審査官】 堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−077119(JP,A)
【文献】 特開2002−217214(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/50
H05K 13/02
B65H 3/00 − 3/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変位移動を可能とした支持鈑に、下端にそれぞれ吸着パットを装備せる複数の吸着部材を、所定の配置構成に配置して装架せしめて、それら吸着部材の吸着作動と上昇作動と移動作動とにより段積み基板の上面から基板を一枚ずつ取り出し搬出するようにした基板吸着搬送手段を用いて、基板と基板との間に挿入された層間紙を、該基板吸着搬送手段の吸着部材の吸着作動と上昇作動と移動作動とにより取り出し除去する層間紙の除去方法において、前記基板吸着搬送手段の支持鈑に装架せる複数の吸着部材を、下降作動と吸着作動とにより、段積基板の最上層に位置する基板の上面側に付着重合している層間紙の上面に対し当接させて吸着せしめた状態から上昇させるときに、前記基板吸着搬送手段の支持鈑に、所定の配置構成で装架せしめ複数の吸着部材のうちで、左右の一側に偏る位置に配置されて、基板に吸着して上昇したときにその基板に弯曲変形を生ぜしめることのない部位に配置されている吸着部材を、先に上昇させて、層間紙の、該吸着部材に吸着した吸着部分とその周辺部位に座屈変形を生ぜしめて、層間紙と基板との間に大気と通ずる隙間を形成し、その後に該吸着部材を、他の吸着部材と共に上昇させて層間紙を基板の上面から剥離せしめて層間紙だけを吊り上げるようにすることを特徴とする電子部品組立用の基板における層間紙の除去方法。
【請求項2】
変位移動を可能にした支持鈑に、下端にそれぞれ吸着パットを装備せる複数の吸着部材を所定の配置構成により組み付け支架せしめ、それら複数の吸着部材の真空吸着による吸着作動により基板を吸着して搬送する基板搬送手段を用い、基板と基板との間に挿入された層間紙を、吸着部材の吸着により取り出し除去する層間紙の除去装置において、基板搬送手段の支持鈑に組み付けた複数の吸着部材のうちの、前後に並ぶ中間で、かつ、左右の一側に偏る位置にある吸着部材を、支持鈑に対し昇降可能に組み付け、上下駆動する駆動機構に連結支持せしめることを特徴とする電子部品組立用の基板における層間紙の除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の配線部材や接続端子となる基板から、その基板の輸送・供給の際に、積み重ねた基板と基板との間に挿入した層間紙を除去するための、層間紙の除去手段についての改良に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品を組み立て製造するとき、その部品の配線部材や接続端子を構成するように用いる基板Aは、通常、図1の平面図、図2の底面図、図3の側面図にあるよう、厚さが0.05ミリ程度の極く薄い金属材から、巾が略65ミリ長さが略150ミリ程度の長方形状の金属板に板どりし、その金属板の表面側に、例えば図4にあるように、半導体チップaを載置し、リード線bを介して接続する状態にボンディングするための単位枠を、図1にあるよう細分した多数の升目状に、金属箔で印刷して成形したもので、半導体チップaをボンディングするときは、図4にあるように、その半導体チップaに装備せしめるリード線bとなる部位を残して金属箔を溶融し、そこに、半導体チップaを載置して樹脂材によりモールドし、升目cごとに切断して電子部品に組み立て製造するように用いるものである。
【0003】
この電子部品組立用の基板Aは、専門の製造元で製造され、電子部品を製造する工場に輸送して供給されるが、その輸送・供給の際、各々数十枚乃至数百枚の単位で、積み重ねて束ねて包装し、梱包した状態として、輸送し供給される。
【0004】
このとき、積み重ねてブロック状に束ねる基板Aは、裸のまま積み重ねると、輸送の際、及び供給の行程における取り扱いの際に、積み重ねた基板Aと基板Aとの接触により、傷や打痕、変形などのダメージが発生する場合があるので、このダメージの発生を防止するため、積み重ねる基板と基板との間には薄紙よりなるシート状の層間紙Bが図5にあるように挿入される。
【0005】
この層間紙Bは、電子部品の組み立て製造のために基板Aを加工するときは、障碍になるものであるから、基板Aを加工する前に除去しておかなければならないものであるが、その層間紙Bの除去は、基板Aを、積み重ねた基板の束から一枚ずつ取り出して加工するときに、その基板Aの取り出しと併行して行われ、基板Aを加工するまでは行われない。
【0006】
基板Aは、供給を受ける電子部品工場では、電子部品の組立・製造に基板Aを用いるまでは、層間紙Bを挿入して積み重ねて包装した状態で取り扱われる。そして、基板を加工して電子部品に組み立てる半導体組立装置に供給するときに、包装を解いて、裸の状態とするが、層間紙Bを介装して積層し段積みした状態は維持して取り扱われる。
【0007】
例えば、図6の正面図、図7の平面図にあるように、基板Aに対する最初の加工工程であるID情報を焼き付ける工程を行うために、焼き付け印字機構dを機体1に装架して構成している半導体組立装置Wに対して、基板Aを送給するときは、その直前において、包装を解き、裸に露出させた状態とするが、まず、層間紙Bを間に挿入して積み重ねて束ねた状態のまま、焼き付け印字機構dの手前に配置して機体1に装架してある基板載置台eの上面に載置してセットする。そして、該装置Wの焼き付け印字機構dに対して基板Aを供給するとき、その基板載置台eと焼き付け印字機構dとの間に配位して機体1に組み付け支架してある基板吸着搬送手段fにより、基板載置台e上に載置されている束に積み重ねた状態の基板を、最上層の基板から順次一枚ずつ吸引して剥ぎとるように取り出して焼き付け印字機構dに送給する。この工程を行う際、基板と基板との間に挿入されている層間紙Bを除去するようにしている。
【0008】
基板を吸着して搬送する吸着搬送手段fは、通常、図8に示しているように、機体1に前後方向(図8で矢印(イ)方向)の移動作動を可能に装架した組付ブロック10と、その組付ブロック10に、組み付けた作動アーム21が水平な方向に沿い左右方向(図8で矢印(ロ)方向)に出入する横作動ブロック20と、この横作動ブロック20の前記作動アーム21の突出端部に組み付けた、昇降アーム31が上下方向(図8で矢印(ハ)方向)に出入する縦作動ブロック30と、からなるロボットアームを機体1に装架し、このロボットアームの、前記昇降アーム31の下端部に、基板Aに略対応する大きさに形成した支持鈑4を、水平な姿勢に保持せしめて取り付け、この支持鈑4に、真空ポンプ等の真空排気系に対しエアーチューブ(図示省略)を介して連通する吸着パット50が下端に装備された軸筒状の吸着部材5を、複数本、例えば、前後方向に3本並ぶ列が、左右に2列に並ぶよう、複列に整列させて取り付けることで構成されている。
【0009】
そして、これにより、ロボットアームの作動で、複数の吸着部材5を並列させて組み付けている支持鈑4を、基板載置台eの上面に載置されている段積みされた基板Aの束の上方に位置させ、その状態から昇降アーム31の作動で、支持鈑4を下降させて、その支持鈑4に支持せしめている複数の吸着部材5の各下端に設けている吸着パット50を、基板載置台e上の段積み基板の上面に当接させ、この状態で真空排気系の制御作動により吸着パット50を作動させて段積み基板の最上層に位置する基板Aの上面に吸着させながらロボットアームの作動で支持鈑4を上昇させて、吸着した基板Aを、段積み基板の上面から剥ぎ取るように吊り上げて取り出し、前述した焼き付け印字機構dに送給するようにしている。
【0010】
この基板を吸着して取り出す基板吸着搬送手段fは、基板と基板との間に挿入した層間紙Bの吸着除去にそのまま用いられる。即ち、基板Aの取り出しで、次位の基板Aが上面に層間紙Bが重合した状態で露出してきたときに、その層間紙Bを、基板Aに対して行った作動と同様の作動で、基板A上面から剥ぎ取るように吊り上げ、除去するように用いられる。
【0011】
このことから、基板吸着搬送手段fには、吸着部材5で吸着したものが、基板Aであるか、層間紙Bであるかを、判別する光センサを設けて、層間紙Bであると判断された場合には、吸着して取り出したものを基板載置台eの近傍に配位して機体1に装設しておく層間紙回収ボックスg内に落下させて投棄し、基板Aであると判断されたものだけを焼き付け印字機構dに送給するようにしている。
【0012】
この層間紙Bであるか、基板Aであるかを判別するよう支持鈑4に組み付け装設しているセンサsは、吸着搬送手段fのロボットアームの作動で、吸着部材5を支持する支持鈑4が、基板載置台e上に載置されている段積み基板の上方に位置して、その段積み基板の上面に対向する状態となったときに、その支持鈑4と対向する段積み基板の最上層にあるものが、基板Aであるか層間紙Bであるかの判断を行い、この判別が行われた後に、吸着部材5による吸着作動と、ロボットアームの作動による取出作動が行われるようにしている。
【0013】
このように、基板の個別分離取出装置である基板の吸着搬送手段fを用いて行う基板層間紙Bの除去手段には、以下の問題が生じている。
(1)層間紙を吸着するとき、層間紙Bは、通気性があることから、基板Aの上面に重ねられている層間紙Bに対し、吸着部材5の吸着パット50を当接させて吸着作動を行わせたとき、吸着パット50内の吸引圧が層間紙Bを通して下の基板Aに及び、層間紙Bと一緒に基板Aまで吸着して吊り上げる場合があり、基板Aを層間紙Bと共に廃棄してしまう不具合を発生させる問題が生じている。
【0014】
この対策として、支持鈑4に並列させて設けた吸着部材5のうちの、例えば、吸着部材5が図9にあるように、支持鈑4の長手方向に沿い、左右に3本ずつ計6本設けられているとして、その支持鈑4の長手方向の端部に位置する2本の吸着部材5を、支持鈑4に対して昇降可能に支架しておいて、これに、昇降作動する昇降機構6を連繋して、この2本の吸着部材5を他の吸着部材5と別に上昇作動させ、この状態で支持鈑4を吊り上げることで、吸着した層間紙Bを、端から剥がすようにする手段を試みたが、層間紙Bを通して吸着した基板Aの端部が、層間紙Bと共に上方に反り返るように弯曲変形してくることで、層間紙Bと基板Aとが重合した状態に保持されることにより層間紙Bだけの剥離は得られず、基板Aを一緒に吊り上げる結果となった。
【0015】
このことから、層間紙Bと吸着部材5により吸着させて取り出すときに、層間紙Bと一緒に基板Aを吸着しているか否かを確認するセンサを設置して、そのセンサが誤って基板まで吸着していることを感知した場合には、エラーとして機械装置の作動を停止させ、誤って吸着した基板を、手作業で取り外すようにする手段を講じている。しかし、この手段は、高頻度でエラーが発生することで、機械装置が停止する頻度が多く、機械装置の稼動率を悪くする問題を生ぜしめている。
【0016】
(2)また、層間紙Bの基板Aに対する付着が強く剥がれにくいことで、基板Aを吸着部材5の吸着により吊り上げて取り出すときに、層間紙Bが、吊り上げた基板Aの裏面に付着して友釣りされ、基板Aと共に焼き付け印字機構dに供給される不都合を生ぜしめる場合がある。
【0017】
これには、前述の並列設置した吸着部材5のうちの端に位置する吸着部材5を上昇させて、吸着した基板Aを弯曲変形させる手段で対応させているが、層間紙Bが基板Aと共に弯曲変形することで剥離が得られず、対策に苦慮している問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明において解決しようとする課題は、変位・移動作動を自在とした支持鈑に、列状に配置して装架した複数の吸着部材の吸着作動により、積み重ねて段積みした基板の束の最上面から、基板を一枚ずつ分離させて個別に取り出す基板の吸着搬送手段を用い、積み重ねた基板と基板との間に挿入された層間紙を、吸着部材の吸着により取り出し除去する層間紙の除去方法において、層間紙の下面に位置している基板まで吸着することなく、基板上面に付着重合している層間紙だけを基板から剥離せしめて除去せしめ得る手段を構成する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上述の課題を解決するための手段として、本発明においては、変位移動を可能とした支持鈑に、下端にそれぞれ吸着パットを装備せる複数の吸着部材を、所定の配置構成に配置して装架せしめて、それら吸着部材の吸着作動と上昇作動と移動作動とにより段積み基板の上面から基板を一枚ずつ取り出し搬出するようにした基板吸着搬送手段を用いて、基板と基板との間に挿入された層間紙を、該基板吸着搬送手段の吸着部材の吸着作動と上昇作動と移動作動とにより取り出し除去する層間紙の除去方法において、前記基板吸着搬送手段の支持鈑に装架せる複数の吸着部材を、下降作動と吸着作動とにより、段積基板の最上層に位置する基板の上面側に付着重合している層間紙の上面に対し当接させて吸着せしめた状態から上昇させるときに、前記基板吸着搬送手段の支持鈑に、所定の配置構成で装架せしめ複数の吸着部材のうちで、左右の一側に偏る位置に配置されて、基板に吸着して上昇したときにその基板に弯曲変形を生ぜしめることのない部位に配置されている吸着部材を、先に上昇させて、層間紙の、該吸着部材に吸着した吸着部分とその周辺部位に座屈変形を生ぜしめて、層間紙と基板との間に大気と通ずる隙間を形成し、その後に該吸着部材を、他の吸着部材と共に上昇させて層間紙を基板の上面から剥離せしめて層間紙だけを吊り上げるようにすることを特徴とする電子部品組立用の基板における層間紙の除去方法を提起するものである。
また、これに併せて、変位移動を可能にした支持鈑に、下端にそれぞれ吸着パットを装備せる複数の吸着部材を所定の配置構成により組み付け支架せしめ、それら複数の吸着部材の真空吸着による吸着作動により基板を吸着して搬送する基板搬送手段を用い、基板と基板との間に挿入された層間紙を、吸着部材の吸着により取り出し除去する層間紙の除去装置において、基板搬送手段の支持鈑に組み付けた複数の吸着部材のうちの、前後に並ぶ中間で、かつ、左右の一側に偏る位置にある吸着部材を、支持鈑に対し昇降可能に組み付け、上下駆動する駆動機構に連結支持せしめることを特徴とする電子部品組立用の基板における層間紙の除去装置を提起するものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明による層間紙の除去手段は、所定の配置構成で支持鈑に組み付け支架せる複数の吸着部材のうちで、基板に吸着して吊り上げたときに基板に弯曲変形を生ぜしめない位置にある吸着部材を、先に上昇させて、層間紙に座屈変形を形成して、基板と層間紙との間に大気に通ずる隙間を作り、基板に層間紙を密着させている大気圧を破り、その後に他の吸着部材と共に上昇して層間紙を吊り上げるようにしているのだから、層間紙が確実に基板から剥がれて、層間紙だけが取り出せるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】基板の平面図である。
図2】同上基板の底面図である。
図3】同上基板の側面図である。
図4】同上基板にリード線を加工成形した状態の説明図である。
図5】層間紙を間に挿入して基板を積み重ねた段積み基板の側面図である。
図6】半導体組立装置の平面図である。
図7】同上装置の正面図である。
図8】基板吸着搬送手段の斜視図である。
図9】同上手段の支持鈑に設けられる複数の吸着部材の配置構成の説明図である。
図10】本発明手段を実施せる基板吸着搬送手段の斜視図である。
図11】同上手段の正面図である。
図12】同上の平面図である。
図13】同上の右側面図である。
図14】同上の左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に本発明の実施の態様を、実施例につき図面に従い詳述する。
【実施例1】
【0023】
図10乃至図14は、本発明手段の実施に用いる基板吸着搬送手段を示し、図10は斜視図、図11は正面図、図12は平面図、図13は右側面図、図14は左側面図である。図において、fは、図面では組み付けた機体及びその機体に組み付ける組付ブロックを省略しているが、電子部品の組立装置である半導体組立装置の機体(図示省略)に対し、その機体に装設せる基板載置台上に載架せる段積された基板の束から、基板を一枚ずつ取り出すように装設した基板の吸着搬送手段を示す。
【0024】
該吸着搬送手段fは、半導体組立装置の機体に前後方向の移動可能に組み付け支架せしめる組付ブロック(図示省略)と、この組付ブロックに組み付け支架せる作動アーム21が水平な方向に沿い出入する横移動ブロック20と、この横移動ブロック20の、前記作動アーム21の出入端部に組み付け支架せる、昇降アーム31が縦方向に沿い昇降する縦移動ブロック30とでロボットアームを構成し、このロボットアームの前記昇降アーム31の下端部に、略基板Aに対応する形状・大きさの支持鈑4を支架し、この支持鈑4に所定の配置構成に配置して組み付け支架せる複数個の吸着部材5と、それら吸着部材5の各下端にそれぞれ設けられる吸着パット50とを装備せしめて、吸着搬送手段に構成したもので、組付ブロック10、横移動ブロック20、縦移動ブロック30からなるロボットアームの作動で、支持鈑4を載置台e上に載置されている段積み基板の上方に位置させ、この状態から支持鈑4を下降させて吸着部材5の各下端の吸着パット50を、段積み基板の上面に当接させ、各吸着部材5に接続している真空排気系の作動により、吸着パット50を吸着作動させ、この状態から支持鈑4を上昇させることで段積み基板の上面から基板Aまたは層間紙Bを一枚ずつ取り出すようにしていることについては、従前の基板の吸着搬送手段と同様のものである。
【0025】
しかして、支持鈑4に列状に配置して装架する複数の吸着部材5は、この例においては、前記図9の説明図にあるように、支持鈑4の左右の側縁に寄る部位に、それぞれ3本の吸着部材5が、支持鈑4の前後方向(長手方向)に列状に並ぶ配置構成として、合計6本を装架してある。そして、これら6本の吸着部材5のうちで、左右の一方の列の中間に位置する1本の吸着部材5’だけは、支持鈑4に対し昇降自在に装架せしめてあり、かつ、支持鈑4に組み付けたエアシリンダよりなる上下駆動機構hに連結してこれに支持せしめてあって、この上下駆動機構hの作動で、独立して支持鈑4に対し昇降するようにしてある。
【0026】
そして、この上下駆動機構hにより他の吸着部材5から独立して支持鈑4に対し昇降するようにした吸着部材5’は、吸着搬送手段fのロボットアームの制御作動により、支持鈑4を、段積み基板の上方に位置させた状態から、下降させ、支持鈑4に組み付け支架せる複数の吸着部材5の各吸着パット50が、段積み基板の最上層に位置する基板Aの表面に重合する層間紙Bの上面に当接して、吸着作動を行った状態時に、上下駆動機構hの作動で上昇作動し、支持鈑4が上昇して組付ブロック10、横移動ブロック20、縦移動ブロック30等からなるロボットアームの作動で、搬送すべき所定の位置に移動していく間の適宜の時機に復元下降するように制御されている。
【0027】
これにより、この実施例の基板の吸着搬送手段fは、段積み基板の最上層に位置する基板Aの上面に載置されている層間紙Bを、取り出すように作動させる際、複数の吸着部材5の吸着パット50が層間紙Bの上面に当接して吸着作動を行ったときに、独立して昇降する吸着部材5’だけが先に上昇作動して、この吸着部材5’に吸着した層間紙Bと基板Aの吸着部分を、吊り上げるようになるが、基板Aの吸着部材5’に吸着した局部(吸着部分)の周辺部が、他の吸着部材5で押さえられていることで、弯曲変形することがなく、平板の状態を保持するようになるので、基板Aの上面に重合する層間紙Bの、吸着部材5’の吸着パット50’に吸着した局部(吸着部分)とその周辺部分が、座屈変形して引き上げられ、層間紙Bと基板Aの間に、空気の入り込む隙間を形成してくる。そして、この状態となったところで、支持鈑4の上昇作動で、他の吸着部材5と一緒に上昇して、基板Aの上面に重合している層間紙Bを吊り上げるようになる。
【0028】
このため、表面に吸着した吸着部材5により吊り上げられる層間紙Bは、該層間紙Bを基板Aの上面に密着させている大気圧による押さえ付ける圧力が、層間紙Bの座屈変形により生じた隙間からの空気の進入により破れることで、層間紙Bが基板Aの表面から剥離して吊り上げられるようになり、従って、確実に層間紙Bだけが吊り上げられるようになる。
【0029】
この他の吸着部材5から独立して支持鈑4に対し昇降するように設ける吸着部材5’は、吸着作動した状態での上昇作動の際に、層間紙Bを通して吸着してくる基板Aを、弯曲変形させることなく、層間紙Bだけに座屈変形を生ぜしめる位置に配置されていればよく、例えば、8本の吸着部材5を、4本ずつ左右に2列に整列する配置構成として設けた場合には、左右の一方の列の2番目、または3番目に配置されている吸着部材5’を選定してよい。また、前述したように8本の吸着部材5を2列に整列させた配置構成とした例の如く、多数本を並列させた場合には、前述の例における2番目と3番目とを昇降する吸着部材5’とするよう列の中間に位置する複数の吸着部材5を併せて選定してよく、複数本とする場合がある。ただし、2本の吸着部材5が、前記図8の説明図における左方の列の中間に位置する吸着部材5と右方の列の中間に位置する吸着部材5とのように左右に対称する関係の2本の場合には、適応しない。この場合には、2本の吸着部材5で吊り上げたとき、層間紙Bを通して吸着した基板Aが弯曲してきて、これと一緒に層間紙Bが弯曲して座屈を生ぜしめるようにならないからである。
【0030】
また、図において、6は、前述した配置構成で支持鈑4に組み付け装架せる6本の吸着部材5のうちの、前端側に位置する2本の吸着部材5を支持鈑4に対し昇降させるよう支持鈑4上に組み付けた電磁式の昇降機構で、通電のオン・オフの作動で昇降作動するピストン60の上端部に、チャンネル状に屈曲成形したブラケット61を取り付け、そのブラケット61の左右の端部を、前述した支持鈑4の前端側に設けた2本の吸着部材5の各上端部に連結することで、その2本の吸着部材5をピストン60を介して支持し、通電によりピストン60が上昇作動したときに、前記2本の吸着部材5を支持鈑4に対し上昇させるようにしている。
【0031】
この昇降機構6は、吸着部材5の吸着作動により基板Aを取り出す作業において、吸着して吊り上げた基板Aの裏面に層間紙Bが付着して友釣りされてきた場合に、それを感知するよう支持鈑4に設けたセンサ(図示省略)が、友釣りを感知する作動を行ったときに上昇作動を行うよう制御されており、作動によって、吸着している基板Aの前端側を、上方に向け反り返すように弯曲変形させる。そして、このとき、同期して作動するよう制御せしめて支持鈑4に装設してあるエアーの噴射ノズル7から、エアーを噴射させて、その噴風を反り返ってきた基板Aの端部に吹き付けることで、基板Aの裏面に付着して友釣りされた層間紙Bを、基板Aから剥がし落とすようにするためのものであり、省略する場合がある。
【符号の説明】
【0032】
A 基板
B 層間紙
W 半導体組立装置
a 半導体チップ
b リード線
c 升目
d 印字機構
e 基板載置台
f 基板吸着搬送手段
g 層間紙回収ボックス
h 上下駆動機構
s センサ
1 機体
10 組付ブロック
20 横作動ブロック
21 作動アーム
30 縦作動ブロック
31 昇降アーム
4 支持鈑
5 5’ 吸着部材
50 50’ 吸着パット
6 昇降機構
60 ピストン
61 ブラケット
7 噴射ノズル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14