特許第5748819号(P5748819)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5748819
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】ジャーナルフォイルエアベアリング
(51)【国際特許分類】
   F16C 27/02 20060101AFI20150625BHJP
【FI】
   F16C27/02 A
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-208136(P2013-208136)
(22)【出願日】2013年10月3日
(62)【分割の表示】特願2012-524628(P2012-524628)の分割
【原出願日】2009年10月29日
(65)【公開番号】特開2014-37890(P2014-37890A)
(43)【公開日】2014年2月27日
【審査請求日】2013年10月3日
(31)【優先権主張番号】10-2009-0081103
(32)【優先日】2009年8月31日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】509267753
【氏名又は名称】ニューロス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Neuros Co., Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】100092956
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 栄男
(74)【代理人】
【識別番号】100101018
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 正
(72)【発明者】
【氏名】キム・ギョンス
【審査官】 小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2005/0163407(US,A1)
【文献】 特開2008−200823(JP,A)
【文献】 特開2002−061645(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローターが配置される中空を有するベアリングハウジングと、
前記ベアリングハウジングの中空の円周内面に沿って設置されたバンプフォイルと、
前記バンプフォイルの上部に沿って配置されるものであって、円周方向に沿って一個が設置されるトップフォイルを含んで成り、ここで、前記トップフォイルの両端は外側に折り曲げられた折曲部を有し、前記折曲部が前記ベアリングハウジングの中空の内面に形成されたスロットに円周及び半径方向に流動可能に装着され、
前記トップフォイルは、前記両端の折曲部が相互に突き合わせて設置され、それら折曲部を中心に対称であることを特徴とするジャーナルフォイルエアベアリング。
【請求項2】
前記ベアリングハウジングの中空内面のスロットには、前記中空に向かってスロットが形成されたスロット本体部が装着され、前記トップフォイルの両端の折曲部は前記スロット本体部のスロットに相互に突き合わせて挟んで装着され、ここで、前記スロット本体部のスロットには前記トップフォイルの両端の折曲部が円周方向及び半径方向に流動することができる遊隔が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のジャーナルフォイルエアベアリング。
【請求項3】
前記ベアリングハウジングの中空の円周内面に形成されたスロットには、前記スロット本体部と前記バンプフォイルの一端の折曲部が相互に接触するように挟んで装着され、前記ベアリングハウジングの中空の円周内面のスロットにおいて、前記スロット本体部は円周方向に流動することができることを特徴とする、請求項2に記載のジャーナルフォイルエアベアリング。
【請求項4】
前記トップフォイルは、多数個を重ねて配置されたものであることを特徴とする、請求項1に記載のジャーナルフォイルエアベアリング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジャーナルフォイルエアベアリング(Journal foil air bearing)に関するもので、より詳細には、ジャーナルフォイルエアベアリングのフォイルが高速回転時にローブ(lobe)を形成してローターの動的不安定性を解消することができ、またローターが両方向に回転することができ、組み立てと設置の便宜性を提供して意図しない方向のローター回転によるベアリングの破損を防止することができる、ジャーナルフォイルエアベアリングに関するものである。
【背景技術】
【0002】
フォイルエアベアリングは、ローター(rotor)の高速回転によってローターまたはベアリングディスクとそれと接するフォイル間に粘性を有する流体である空気が流入して圧力を形成して荷重を支持するベアリングを意味する。
【0003】
このようなフォイルエアベアリングの中で、ローターの回転を支持するジャーナルフォイルエアベアリングと関連して、ローターの高速回転時の動的不安定性の問題が発生し得る。すなわち、ローターが高速で回転する時にローターの回転が安定せずに震動などの問題が発生するのである。
【0004】
このような動的不安定性は、ローターとフォイル間の圧力分布によって発生し得、その他にフォイル構造物の摩擦減殺やローター質量の不均衡などによっても影響を受け得る。
【0005】
このような動的不安定性は、ローターの回転性能に悪影響を及ぼすので、これを解消する必要がある。
【0006】
一般的に、ジャーナルフォイルエアベアリングは、一個のバンプフォイル(bump foil)と一個のトップフォイル(top foil)で構成されるか、または、3個のバンプフォイルと3個のトップフォイルの各々3個で構成されている。その中で各々3個のバンプフォイルとトップフォイルで構成される場合が、荷重支持力及び動的安定性の面で有利であることが知られているが、この場合、ベアリングの部品数が増加して製作費用が多くなって、各々3個のバンプフォイルとトップフォイルがすべて同一の公差を有するように製作して組み立てなければならず、また、トップフォイルの固定部がすべてローターに直接露出するため固定部の信頼度を確保しなければならないという問題がある。
【0007】
したがって、全体的にフォイルの数を減らすことが有利であり、特にトップフォイルの数を減らすことが、トップフォイルの固定部の信頼度を確保するのに好ましいといえる。
【0008】
一般的なジャーナルフォイルエアベアリングにおいてトップフォイルは、一端がベアリングハウジングの中空(hole)の円周内面に固定され、もう一方の端は固定されない自由端を形成し、その円形の形態に沿って弾性的にその半径が増加したり減少したりするようになっている。これは、ローターが高速で回転することによってローターとトップフォイル間の間隔(gap)が増加してローターの回転中に発生する熱変形とローターとトップフォイル間に形成される圧力を受容するようにするためのものである。これは、ローターの回転に対してトップフォイルはその半径が増加する方向に設置しなければならないことを意味する。もし、ローターの正常回転方向に対してトップフォイルが逆に設置された場合、ローターの回転によってローターとトップフォイル間の間隔が減少してローターが回転することができずにベアリングが破損し得る。
【0009】
したがって、ローターの両方向回転をすべて許容することができるトップフォイルの構造が提供されれば好ましい。このような場合は、前述の問題がなく、組み立てと設置が便利で、その管理が容易になってベアリング破損の可能性が減少する。
【0010】
ゆえに、まず1個のトップフォイルを提供して部品数を減らしてトップフォイルの固定部の露出を最小化することができれば好ましいと言えるのだが、これと関連してローターの高速回転による動的不安定性を解消して、また両方向回転が可能になるようにできれば、さらに好ましいと言える。また他の側面で、ローターの高速回転による動的不安定を解消するためにトップフォイルにローブを形成することができるが、この場合、そのローブ空間の大きさ及び位置を容易に調整することができれば好ましい。本発明は、このような要請を満足させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、1個のトップフォイルを提供して部品数を減らしてトップフォイル固定部の露出を最小化しながらローターの高速回転による動的不安定性を解消することができるジャーナルフォイルエアベアリングの構造を提供することである。また本発明の目的は、1個のトップフォイルを提供して部品数を減らしてトップフォイル固定部の露出を最小化しながらローターの両方向回転を許容するジャーナルフォイルエアベアリングの構造を提供することである。さらに、本発明の目的は、1個のトップフォイルを提供して部品数を減らしてトップフォイル固定部の露出を最小化しながらローターの高速回転による動的不安定性を解消し、同時にローターの両方向回転を許容するジャーナルフォイルエアベアリングの構造を提供することである。
【0012】
一方で、本発明のまた他の目的は、ローターの動的不安定性を解消するためにローブ空間を形成するにおいて、その位置及び大きさを容易に調整することができるジャーナルフォイルエアベアリングの構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このような本発明の目的によって、本発明はローターが配置される中空を有するベアリングハウジングと、前記ベアリングハウジングの中空の円周内面(inner periphery)に沿って相互に離隔して二個以上が設置されるバンプフォイルと、前記二個以上のバンプフォイルの上部に沿って配置されるもので円周方向に沿って1個設置されるトップフォイルを含んで成り、前記ローターの高速回転時に前記トップフォイルが前記バンプフォイルが相互間に離隔した所から外側にローブ形態に変形することを特徴とするジャーナルフォイルエアベアリングを提供する。
【0014】
本発明の場合、前記二個以上のバンプフォイルの間でバンプが存在しない所の円周距離は、ベアリングハウジングの中空の半径Rと、隣接するバンプフォイルにおいて前記ベアリングハウジングの中空の中心に対してバンプの終わる所が成す角度を掛けた値であり、ここで、前記角度は5゜から45゜の間であることが好ましい。
【0015】
本発明の場合、前記トップフォイルは多数個重ねて配置することができる。
【0016】
本発明の場合、前記トップフォイルの両端は、外側に曲がった折曲部を有し、前記折曲部が前記ベアリングハウジングの中空の内面に形成されたスロットに、円周及び半径方向に流動可能に装着することが好ましい。
【0017】
この場合、前記トップフォイルは前記両端の折曲部が相互に突き合わせて設置され、これら折曲部を中心に対称であることがさらに好ましい。
【0018】
本発明の実施例で、前記ベアリングハウジングの中空内面のスロットには、前記中空に向かってスロットが形成されたスロット本体部が装着され、前記トップフォイルの両端の折曲部は、相互に突き合わせて前記スロット本体部のスロットに挟んで装着され、ここで、前記スロット本体部のスロットには、前記トップフォイルの両端の折曲部が円周方向及び半径方向に流動することができる遊隔(あそび)が形成されている。
【0019】
本発明の実施例では、また、前記ベアリングハウジングの中空の円周内面に形成されたスロットには、前記スロット本体部と前記バンプフォイルの一端の折曲部が相互に接触するように挟んで装着され、前記スロット筐体は前記ベアリングハウジングの中空の円周内面のスロットにおいて円周方向に流動することができる。
【0020】
本発明は、また、ローターが配置される中空を有するベアリングハウジングと、前記ベアリングハウジングの中空の円周内面に沿って設置されたバンプフォイルと、前記バンプフォイルの上部に沿って配置されるもので円周方向に沿って1個が設置されるトップフォイルを含んで成り、ここで、前記トップフォイルの両端は外側に曲げられた折曲部を有し、前記折曲部が前記ベアリングハウジングの中空の内面に形成されたスロットに円周及び半径方向に流動可能に装着されることを特徴とするジャーナルフォイルエアベアリングを提供する。
【0021】
この場合、前記トップフォイルは、前記両端の折曲部が相互に突き合わせられて設置され、これら折曲部を中心に対称であることが好ましい。
【0022】
本発明の実施例で、前記ベアリングハウジングの中空内面のスロットには、前記中空に向かってスロットが形成されたスロット本体部が装着され、前記トップフォイルの両端の折曲部は、相互に突き合わせて前記スロット本体部のスロットに挟んで装着され、ここで、前記スロット本体部のスロットには、前記トップフォイルの両端の折曲部が円周方向及び半径方向に流動することができる遊隔が形成されている。
【0023】
本発明の実施例では、また、前記ベアリングハウジングの中空の円周内面に形成されたスロットには、前記スロット本体部と前記バンプフォイルの一端の折曲部が、相互に接触するように挟んで装着され、前記スロット本体部は前記ベアリングハウジングの中空の円周内面のスロットにおいて円周方向に流動することができる。
【0024】
本発明の場合、前記トップフォイルは、多数個重ねて配置することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、円周方向に1個のトップフォイルを提供して部品数を減らして、トップフォイル固定部の露出を最小化しながらローターの高速回転による動的不安定性を解消することができ、さらにローターの両方向回転を許容するジャーナルフォイルエアベアリングの構造を提供する。一方で、本発明は、ローターの動的不安定性を解消するためにローブ空間を形成するにおいて、その位置及び大きさを容易に調整することができるジャーナルフォイルエアベアリングの構造を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、本発明の一番目の実施例によるジャーナルフォイルエアベアリングの構造を示した図。
図2図2は、本発明の一番目の実施例によるジャーナルフォイルエアベアリングの構造を示した図。
図3図3は、本発明の二番目の実施例によるジャーナルフォイルエアベアリングの構造を示した図。
図4図4は、本発明の二番目の実施例によるジャーナルフォイルエアベアリングの構造を示した図。
図5図5は、本発明の三番目の実施例によるジャーナルフォイルエアベアリングの構造を示した図。
図6図6は、本発明の他の側面によるジャーナルフォイルエアベアリングの構造を示した図。
図7図7は、本発明の他の側面によるジャーナルフォイルエアベアリングの構造を示した図。
図8図8は、本発明の他の側面によるジャーナルフォイルエアベアリングの構造を示した図。
図9図9は、本発明のまた他の側面によるジャーナルフォイルエアベアリングの構造を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の好ましい実施例を添付した図面を参照して説明する。
【0028】
図1は、本発明の一番目の実施例によるジャーナルフォイルエアベアリング1000を示した図である。
【0029】
図に示されたように、ベアリングハウジング10が提供され、前記ベアリングハウジング10は、ローター8が配置される中空18を有する。
【0030】
前記ベアリングハウジング10の中空18の円周内面188に沿ってバンプフォイルが設置され、前記バンプフォイルの上部に沿ってトップフォイルが設置される。
【0031】
本発明の場合、前記バンプフォイルは円周に沿って二個以上が提供されて、それらは相互に離隔している。また、前記トップフォイルは円周方向に沿って一個が提供される。後述のように、前記トップフォイルは、円周方向に沿って一個が提供されるが、半径方向に沿って二個またはそれ以上を重ねてダンピング(damping)を増加させることができる。
【0032】
本実施例で、前記バンプフォイルは、ベアリングハウジングの中空の円周188の内面に沿って二個、20aと20bが提供されるが、一個20aは、スペーサーブロック4aに点溶接して設置され、他の一個はスペーサーブロック4bに点溶接して設置されている。
【0033】
前記バンプフォイル20a、20bの上部にトップフォイル30が配置される。前記トップフォイル30は、前記バンプフォイル20a、20bの上部の円周方法に沿って一個形成される。このようなトップフォイル30は、一端のエッジ部が前記スペーサーブロック4aに点溶接して設置されていて、反対の端は自由端を形成している。
【0034】
図に示されたように、前記バンプフォイル20a、20bは、ベアリングハウジングの中空の円周188の内面に沿って各々相互に離隔しており、それによって、ローター8が高速で回転すると、前記トップフォイル30は、前記中空18に形成される圧力によって、前記バンプフォイル20a、20bが相互に離隔した所から外側にローブ(lobe)形態で変形が起きる。
【0035】
すなわち、前記バンプフォイル20a、20bの間で、バンプ2が存在しない所ではバンプ2の支持力が及ばず、中空18に形成される空気の圧力によってトップフォイル30が外側に加圧されて、ローブ形態で変形が起きるのである。(図2参照)
ここで、前記バンプフォイル20a、20bの間でバンプ2が存在しない所の円周距離Bは、前記ベアリングハウジングの中空の半径Rと、隣接するバンプフォイル20a、20bにおいて、前記ベアリングハウジングの中空の中心Oに対して、バンプ2が終わる所B1とB2が成す角度θを掛けた値になるが、前記角度θは、5゜から45゜の間であることが好ましい。
【0036】
万一、前記角度θが5゜より小さい場合は、後述するローブ形態の変形が少なくてその効果が微々であり、万一45゜を越える場合は、トップフォイルで発生する圧力が減少し過ぎてベアリングの荷重支持力の減少を引き起こし得る。
【0037】
ここで、バンプフォイル20aの場合、バンプの終わる所はバンプの一部が形成された所22の末端B1になる。バンプフォイル20bに関して、バンプフォイル20bの末端であるB0は、バンプが終わる所ではないエッジ部の末端であって、基準にすることができない。
【0038】
図2は、図1の一番目の実施例によって、バンプフォイル20a、20bが離隔した所でローブL1、L2が形成されたことを示している。
【0039】
ローター8が低い速度で回転する場合、トップフォイル30の弾性力でトップフォイル30はその形態を維持するが、回転速度が増加しながらベアリング内部の圧力が高くなると、バンプフォイルによって支持されない所でトップフォイル30が外側に変形するようになるが、本実施例の場合、前記バンプフォイル20a、20bが相互に離隔した所でトップフォイル30が外側に加圧されてローブ形態L1、L2を成すようになる。
【0040】
本実施例で上部のローブ空間L2は、トップフォイル30が連続していないので完全なローブ形態に変形しないが、全体的にローブ形態を有するようになる。
【0041】
このようにローブL1、L2が形成されることによって、ローブL1、L2において、ローター8とトップフォイル30間の間隔は広くなる。一方それ以外の部分ではその間隔が狭くなって、それによってローブ空間以外の部分で空気が相対的に強く圧搾されてローター8を中空18の中心O方向に押すようになり、それによってローター8の動的安定性が確保される。また、この場合ローター8とトップフォイル30の間の間隔は、ローブ空間によって全体的には広くなるので、摩擦熱が減少して冷却効果を得ることができる。
【0042】
図3は、本発明の二番目の実施例によるジャーナルフォイルエアベアリング2000を示している。
【0043】
この場合、ベアリングハウジング10の中空18の円周内面188に沿ってバンプフォイル20c、20dが相互に離隔して設置されていて、その上部に沿ってトップフォイル30が設置される。
【0044】
前記トップフォイル30は、前記バンプフォイル20c、20dの上部の円周方向に沿って一個形成され、一端のエッジ部が前記スペーサーブロック4cに点溶接で設置されていて、反対端は自由端を形成している。
【0045】
前記バンプフォイル20c、20dは、各々その一端に折曲部23c、23dが形成され、このような折曲部23c、23dがベアリングハウジング10の中空の円周内面188に形成されたスロット13c、13dに各々挟んで結合されている。
【0046】
これらバンプフォイル20c、20dは相互に離隔しているが、この場合、これらバンプフォイル20c、20dの間でバンプ2が存在しない所の円周距離Bは、前記ベアリングハウジングの中空の半径Rと、隣接するバンプフォイル20c、20dにおいて、前記ベアリングハウジングの中空の中心Oに対して、バンプ2が終わる所B3とB4が成す角度θを掛けた値になり、前記角度θは5゜から45゜の間であることが好ましい。その理由は、一番目の実施例の場合と同じである。
【0047】
図4を参照して、ローター8が遅い速度で回転する場合、トップフォイル30の弾性力でトップフォイル30はその形態を維持するが、回転速度が増加しながらベアリング内部の圧力が高くなると、バンプフォイルによって支持されない所でトップフォイル30が外側に変形するようになり、それによって、前記バンプフォイル20c、20dが相互に離隔した所でトップフォイル30が外側に加圧されてローブ形態L3、L4を形成するようになる。
【0048】
本実施例で、上部のローブ空間L4は、トップフォイル30が連続していないので完全なローブ形態には変形されないが、全体的にローブ形態を有するようになる。
【0049】
このようにローブL3、L4が形成されることによって、ローブL3、L4において、ローター8とトップフォイル30の間の間隔は広くなった一方、それ以外の部分ではその間隔が狭くなって、それによってローブ空間以外の部分で空気が相対的に強く圧搾されてローター8を中空18の中心O方向へ押すようになって、それによってローター8の動的安定性が確保される。またこの場合、ローター8とトップフォイル30の間の間隔は、ローブ空間によって全体的には広くなるので摩擦熱が減少して冷却効果を得ることができる。
【0050】
図5は、本発明の三番目の実施例によるジャーナルフォイルエアベアリング3000を示しているが、この場合、円周方向に一個ずつが提供されるトップフォイル30a、30bが半径方向にそって二個が重ねて配置され、それによって、ダンピング効果が増大する。
【0051】
本実施例で、前記ベアリングハウジング10の中空18の円周内面188にはスロット14が形成され、そこにスペーサーブロック4dが装着されるが、前記スペーサーブロック4dと前記スロット14との間の遊隔に、トップフォイル30a、30bの各々の折曲部34a、34bを挟んで結合されている。これらトップフォイル30a、30bの各々の折曲部34a、34bの反対端は自由端を形成している。
【0052】
図6は、本発明の他の側面によるジャーナルフォイルエアベアリング4000を示している。
【0053】
この場合、ベアリングハウジング10の中空18の内部にローター8が配置され、その円周面188に沿ってバンプフォイル200が設置されている。
【0054】
この場合、前記バンプフォイル200は、円周方向に沿って一個を設置することもできるが、前述の実施例のように相互に離隔して多数個を形成することもできる。本実施例の場合は、円周方向に沿って一個が設置されたものが示されている。
【0055】
本発明による場合、トップフォイルは前記バンプフォイルの上部に沿って配置されて、円周方向に沿って一個が設置されるが、ここで、トップフォイルの両端は外側に折り曲げられた折曲部を有し、前記折曲部が前記ベアリングハウジングの中空の内面に形成されたスロットに円周及び半径方向に流動可能に装着される。
【0056】
このように、トップフォイルの両端の折曲部が、中空円周内面のスロットに円周及び半径方向に流動可能に装着されることによって、ローターのいずれの方向の回転に対してもトップフォイルの半径が増加するようになって、ローターの回転中に発生する熱変形とローターとトップフォイル間に形成される圧力を受容することができるようになる。
【0057】
この場合、前記トップフォイルは、前記両端の折曲部が相互に突き合わせて設置され、これら折曲部を中心に対称であることが好ましい。
【0058】
図6及び図7を参照に、本実施例の場合、前記トップフォイル300の両端は、外側に折り曲げられた折曲部308a、308bを形成している。
【0059】
また、前記ベアリングハウジングの中空の内面には、スロット140が形成され、このようなスロット140にスロット本体部40が装着される。前記スロット本体部40はまた、スロット414を有するが、前記トップフォイル300の両端の折曲部308a、308bが、前記スロット本体部40のスロット414に相互に突き合わせて挟んで装着される。
【0060】
この場合、前記スロット本体部40のスロット414には、前記トップフォイル300の両端の折曲部308a、308bが、円周方向及び半径方向に流動することができる遊隔c1、c2が形成されている。
【0061】
また、本実施例の場合、前記ベアリングハウジングの中空の円周内面に形成されたスロット140には、前記スロット本体部40と前記バンプフォイル200の一端の折曲部208が相互に接触するように挟んで装着されている。これによって、前記ベアリングハウジング10の中空18の円周内面188のスロット140において遊隔c3を形成して、 前記スロット本体部40が、円周方向に流動することを可能にしている。
【0062】
この場合、トップフォイル300は、スロット414でその両端が支持され、また、円周方向の遊隔c1及び半径方向の遊隔c2によって流動が可能で、ローターの回転がいずれの方向であっても、半径方向に膨脹が起きるようになる。
【0063】
これによって、ローターの回転による熱変形及び圧力増加による半径方向の膨脹をいずれの方向でも受容することができるようになる。すなわち、ローター8の回転方向の方向性に影響を受けないのである。
【0064】
特別に、この場合、前記スロット本体部40も前記スロット140に対して遊隔c3を与えることによって、より弾性的にローターの回転に対応するようにしている。
【0065】
本発明の場合、円周方向に一個が提供されるトップフォイルは、半径方向に重ねてダンピングを増加させることができる。すなわち、図8にみられるように円周方向のトップフォイル300と300’を相互に重なるように配置することができるのである。この場合、各々のトップフォイル300と300’の両端の折曲部308a、308b、308a’、308b’が、前記スロット本体部40のスロット414に挟んで結合されている。
【0066】
本発明の場合、バンプフォイルを中空の円周内面に沿って相互に離隔して二個以上を提供して、またトップフォイルの両端の折曲部を中空円周内面に形成されるスロットに円周及び半径方向に流動可能になるように装着することで、ローターの高速回転時の動的安定性を高めて、またローターの両方向の回転を許容するようにできる。図9に、このような場合の実施例を示した。
【0067】
この場合、ベアリングハウジング10の中空18の円周内面188のスロット140にスロット本体部40が設置されている。前記スロット本体部40のスロット414に円周方向にそって一個が提供されるトップフォイル300の両端の折曲部308a、308bが挟んで結合されている。ここで、前記スロット本体部40のスロット414には、前記トップフォイル300の両端の折曲部308a、308bが円周方向及び半径方向に流動することができる遊隔c1、c2が形成されている。
【0068】
また、前記ベアリングハウジングの中空の円周内面188に沿ってバンプフォイル20c、20dが相互に離隔して配置され、この場合、これらバンプフォイル20c、20d間でバンプ2が存在しない所の円周距離Bは、前記ベアリングハウジングの中空の半径Rと、隣接するバンプフォイル20c、20dにおいて、前記ベアリングハウジングの中空の中心Oに対してバンプ2が終わる所B3とB4が成す角度θを掛けた値になり、前記角度θは5゜から45゜の間にあるようになる。
【0069】
このような構造によって、まず前記トップフォイル300はローターのいずれの方向の回転においてもその半径が膨脹して、ローターの両方向回転を受容することができ、ローター8が高速で回転する時、前記バンプフォイル20c、20dが離隔した所でローブ空間が形成されて動的安定性が大きく増大する。
【0070】
したがって、本発明の場合、ローターの両方向回転を受容しながら併せて動的安定性を大きく増大させることができる。
【0071】
本発明の場合、前述したジャーナルフォイルエアベアリング1000、2000、3000、5000のように、バンプフォイルを中空の円周内面188に沿って多数個を離隔して配置する場合、ローター8の高速回転によってこれらバンプフォイルが離隔した所でトップフォイルがローブを形成して高速回転時のローターの動的安定性を増大させる。このような場合、バンプフォイルの個数及び位置そして前記バンプフォイル間でバンプが存在しない所の円周距離を決定することで、ローブの位置と大きさを決定することができるようになり、それによって動的安定性を容易に確保することができる。
【0072】
本発明の実施例では、ベアリングハウジングの中空の円周内面に沿って二個の相互に離隔したバンプフォイルを示したが、それ以上を提供することができるのはもちろんである。
【0073】
このように本発明は、円周方向に沿って一個のトップフォイルを提供し、部品数を減らしてトップフォイル固定部の露出を最小化しながら、高速回転時のローターの動的安定性を増大させることができ、ローターの両方向回転を許容してトップフォイルの組み立てと設置の便宜性を提供し、意図しない方向へのローターの回転によるベアリングの破損を防止することができるジャーナルフォイルエアベアリングを提供する。
【0074】
このように、本発明の目的が達成されたことを理解することができるであろう。
【0075】
本発明は、実施例を中心に説明したが、これに限定されず、本発明の思想に沿ってその権利の範囲は、特許請求の範囲による。
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