特許第5748857号(P5748857)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5748857チェーンセット型テンショナを有するシート形態の要素の処理機械
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5748857
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】チェーンセット型テンショナを有するシート形態の要素の処理機械
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/02 20060101AFI20150625BHJP
   B65H 5/08 20060101ALI20150625BHJP
   F16H 7/10 20060101ALI20150625BHJP
   F16H 7/18 20060101ALI20150625BHJP
【FI】
   B65H5/02 L
   B65H5/08 A
   F16H7/10
   F16H7/18 B
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-529569(P2013-529569)
(86)(22)【出願日】2011年9月8日
(65)【公表番号】特表2013-538767(P2013-538767A)
(43)【公表日】2013年10月17日
(86)【国際出願番号】EP2011004534
(87)【国際公開番号】WO2012038035
(87)【国際公開日】20120329
【審査請求日】2013年3月21日
(31)【優先権主張番号】10010183.1
(32)【優先日】2010年9月22日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512159605
【氏名又は名称】ボブスト メックス ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】キュエンヌ ルードヴィック
(72)【発明者】
【氏名】モレリ サンドロ
(72)【発明者】
【氏名】ルボー ジャン−クロード
【審査官】 藤井 眞吾
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第01679188(EP,A1)
【文献】 特表平09−500602(JP,A)
【文献】 特開平11−091987(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/02
B65H 5/08
F16H 7/10
F16H 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート形態の要素(10)を処理する機械であって、
-複数のワークステーション(100,200,300,400,500)と、
-各シート(10)を種々のワークステーション(300,400,500)に次々に運搬するコンベヤ装置(70)であって、前記シート(10)の前縁部を掴むことができる複数の横方向グリッパバー(75)の端部に連結された2つの側方チェーンセット(80)を有するコンベヤ装置(70)と、
-前記チェーンセットに張力を生じさせる少なくとも1つのテンショナ装置(50)と、
-各チェーンセット(80)について少なくとも1つのチェーン案内装置(90)と、を有し、
前記テンショナ装置(50)は、大きさが前記機械の生産速度で決まる可変力(Fv)を生じさせることができる少なくとも1つの駆動部材(51)を有し、前記可変力(Fv)は、前記チェーン案内装置(90)のうちの1つに加えられるとともに
前記少なくとも1つのテンショナ装置(50)は、実質的に一定の力(Fc)を前記チェーンセットに付与する少なくとも1つの戻し装置(65)を更に有し、前記一定の力(Fc)は、前記駆動部材(51)によって生じた前記可変力(Fv)と組み合わせて加えられる、シート形態の要素の処理機械。
【請求項2】
前記駆動部材(51)は、リニアモータである、請求項1記載のシート形態の要素の処理機械。
【請求項3】
前記リニアモータ(51)は、電流によって制御される、請求項2記載のシート形態の要素の処理機械。
【請求項4】
前記駆動部材(51)によって生じた前記可変力(Fv)は又、プレス角度(AM)の関数として変化する、請求項1〜3のうちいずれか一に記載のシート形態の要素の処理機械。
【請求項5】
前記駆動部材(51)により生じる前記可変力(Fv)が加えられる前記チェーン案内装置(90)の前記端部のうちの一方(91)は、前記機械のフレーム(1)に対して並進運動可能である、請求項1〜4のうちいずれか一に記載のシート形態の要素の処理機械。
【請求項6】
前記駆動部材(51)は、可変牽引力(Fv)を生じさせる、請求項1〜5のうちいずれか一に記載のシート形態の要素の処理機械。
【請求項7】
前記テンショナ装置(50)は、ベルト(55)によって2つのチェーン案内装置(90)に同時に加えられる可変牽引力(Fv)を発生させる単一の駆動部材(51)を有する、請求項6記載のシート形態の要素の処理機械。
【請求項8】
前記ベルト(55)は、前記駆動部材(51)により生じる前記可変牽引力(Fv)を減少させる滑車装置(56)と協働する、請求項7記載のシート形態の要素の処理機械。
【請求項9】
前記駆動部材(51)により生じる前記可変力が加えられる各チェーン案内装置(90)は、振り子側方レバー(95)の一端部(96)に連結され、前記振り子側方レバーの他端部(97)は、前記機械の前記フレーム(1)に固定されたピボットピン回りに自由に回転することができる、請求項5記載のシート形態の要素の処理機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チェーンセット型テンショナを有するシート形態の要素の処理機械に関する。
【0002】
本発明は、有利には、包装材の製造のための紙又は厚紙のシートをコンバート加工(convert )する機械の分野に利用できるが、これには限定されない。
【背景技術】
【0003】
シート形態の要素の処理機械は、場合によってはシートをコンバート加工するプラテンプレスを有するワークステーションを含む一連のワークステーションを有する。
【0004】
事実、シート形態の要素を処理する機械において紙又は厚紙のシートをコンバート加工する作業を実施することが慣例である。これは、例えば、ホットスタンピングにより、即ち、圧力を用いて1枚又は2枚以上の打ち抜きストリップから取られた着色又は金属化フィルムを被着させることによってテキスト及び/又はパターンの印刷を含む印刷作業であるのが良い。また、これは、エンボス加工又は罫入れを更に含む場合があり、これは、レリーフをシートに型押しするためにシートを変形させることを意味している。これは又、シートを切断してこれを1つ又は2つ以上のコピーにコンバート加工するための切断を含む場合がある。業界では、かかるコンバート加工作業は、通常、シートが1度に1枚導入される堅形プラテンプレスを用いて実施される。
【0005】
図1に概略的に示されている機械の実施例では、各シートをコンバート加工する作業は、プラテンプレスを有するワークステーション300において、水平に固定されたプラテンと垂直往復運動を行うことができるよう設けられたプラテンとの間で実施される。他のステーションは、例えば、切断後に屑を排出除去する作業又は切断後にコピーを分離する作業又はコピー若しくはコンバート加工シートを受け入れる作業を実施することができる。シート形態の要素を処理するこの種の機械は、自動化されているので、各シートをワークステーションの各々に次々に運ぶためにコンベヤ手段が設けられている。
【0006】
事実、これは、通常、グリッパ70を備えた一連の横方向バーである。これら横方向バーは、グリッパバーと通称されており、各横方向バーは、シートの前縁部を掴み、その後、これを機械の種々のワークステーション中に次々に引き込む。
グリッパバー70の端部は、各々、チェーンセット80と通称されているループを形成する側方チェーンに連結されている。欧州特許第448,943(B)号明細書及び同第680,906(B)号明細書は、グリッパバー及びチェーンセットの例示の実施形態を詳細に説明している。
【0007】
チェーンセット80に伝達される運動により、グリッパバー70の全ては、静止位置から始動し、加速し、最大速度に達し、減速し、次に停止状態になり、かくして、或る1つのワークステーションから次のワークステーションへのシートの移送に対応した加速及び速度サイクルを行う。各ステーションは、機械サイクルと通称されているこのサイクルと同期してその作業を実施する。移動量、加速度、速度、力は、横軸に0°〜360°を取った機械サイクルに対応した曲線で表される場合が多い。この種の曲線の横座標値は、プレスアングル(AM)と通称されている。図1に概略的に示されている機械は、8本のグリッパバー70を有する。その結果、この機械では、グリッパバーは、8つの機械サイクルごとに所与の位置を占めることになる。
【0008】
振動現象がチェーンセット80に沿って生じ、これらの動的挙動を乱す。これら振動現象を制限するため、チェーンセット80のためのテンショナとして働くばねが用いられ、かかるばねは、力をチェーンと接触状態にある案内装置に加え、例えば、案内装置は、プーリであることが可能である。
【0009】
機械生産速度の増大により、グリッパバー70及びチェーンセット80は、ますます高い機械的応力を受け、従って、ますます強固でなければならなくなっている。振動現象も又、より激しくなっており、それにより、増大する張力を加えるますます強力なばねが使用されるようになっており、これにより、チェーンセット80に加わる機械的応力が一段と増大し、それにより、ばねの有効寿命が短くなる一方で破断又は破損の恐れが増大している。そこで、チェーンセット80を補強し、従って各サイクル中、チェーンセットを加速させたり減速させたりする駆動及び制動要素の動力を増大させることが必要になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許第448,943(B)号明細書
【特許文献2】欧州特許第680,906(B)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明が解決しようとする技術的課題は、チェーンセット80に沿う振動現象を減少させるよう装置を改良することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の技術的課題の解決手段では、本発明によれば、シート形態の要素の処理機械は、請求項1に記載された特徴を全て組み合わせ状態で有する。
【0013】
本発明は又、以下の説明中に明らかになり、しかも単独で又は技術的に実行可能な組み合わせの状態で検討されるべき特徴に関する。
【0014】
非限定的な例として与えられているこの説明は、本発明の内容についての良好な理解及び本発明の具体化の仕方についての良好な理解を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】シート形態の要素を処理する機械を極めて概略的に示す図である。
図2】プラテン型打ち抜き機械を示す図である。
図3】本発明の特定の一実施形態を上から見た略図である。
図4】本発明の特定の一実施形態の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書全体を通じて、「シート」若しくは「シート形態の要素」又は「シート状要素」という用語は、極めて一般的に言ってシートの形態、例えば厚紙、紙、プラスチック等のシートの形態の任意の印刷支持体又は基材を意味している。
【0017】
図1は、シートのコンバート加工のためのプラテンプレスを示している。この処理機械1は、従来通り、数個のワークステーションで構成され、これらワークステーションは、ユニット組立体を形成するために互いに別個独立の状態で並置されている。かくして、供給ステーション100、供給ボード200、プラテン型コンバート加工装置300、屑排出ステーション400及び受入ステーション500が存在する。
【0018】
図2は、従来型打ち抜き機械を概略的に示している。供給ステーション100は、複数枚のシート10、例えば厚紙のシートが積み重ねられたパレット101から供給が行われる。これらシートは、グリッパ部材によってスタックの頂部から連続的に取り出され、グリッパ部材は、これらシートをすぐ隣の供給ボード200に運搬することができる。或る特定の機械では、シートは、スタックの底部から取り出される。注目されるべきこととして、かかる供給ステーション100及び供給ボード200は、全くの標準型であり、従って、分かりやすくするために、これらは、ここでは詳細には示されていない。
【0019】
供給ボード200のところでは、シート(10)は、グリッパ部材によって直接層の状態に置かれ、このことは、これらシートが部分オーバーラップをなした状態で次々に置かれるということを意味している。次に、層全体をプラテン型コンバート加工装置300に向かって駆動する。このために、従来のベルト型コンベヤシステムが用いられ、このコンベヤシステムは、この場合も又、分かりやすくするための自明な理由で、図示されていない。先頭シートは、層の終わりのところにおいて、例えば前把持具及び側把持具を用いて正確に体系的に位置決めされる。
【0020】
図2に概略的に示されている機械では、供給ボード200のすぐ後ろに配置されたワークステーション300は、プラテン型コンバート加工装置を有する。最後に、図2に示されている打ち抜き機械は、各シートを供給ボード200の出口からワークステーション300,400を経て受入ステーション500まで個々に動かすことができる運搬手段を有している。
【0021】
図1に概略的に示されている機械の場合とちょうど同様、コンベヤ手段は、一連のグリッパバー70を用い、これらグリッパバーは、打ち抜き機械の各側の側方に配置された2つのチェーンセット80を介して横方向並進運動可能に設けられている。各チェーンセット80は、グリッパバー70がプラテンプレス300、屑排出ステーション400及び受入ステーション500を連続して通過する軌道を辿ることができるようにするループ内で移動する。
【0022】
機械内でのシートの処理プロセスは、受入ステーション500のところで終わり、この受入ステーションの主要な機能は、コンバート加工されたシート10をスタックの状態に形作って戻すことにある。図2に示されている打ち抜き機械の場合、シート10は、打ち抜き作業を受けている。他の機械では、これらシートは、シート10をプラテン型切断プレスで切断することによって得られたコピーである場合がある。これを行うため、コンベヤ手段は、シートがこの新たなスタックと一線をなす状態に戻り、従ってスタックの頂部上に真っ直ぐに落下するとシート10又はコピーを自動的に放出するよう配置されている。
【0023】
先行技術の処理機械では、2つのチェーンセット80は、1つ又は2つ以上のテンショナにより生じる張力を受ける。このテンショナ又はこれらテンショナは、同様に好ましくは、チェーンセット80の経路に沿って機械内に位置決めされるのが良く、そして力をチェーン案内装置、例えばプーリに加えるのが良い。テンショナ装置によりチェーン案内装置に加えられる力は、チェーンセット80及びチェーンセットが駆動するグリッパバー70の受ける最も大きな振動現象によって、即ち、機械の最大生産速度によって定められる。チェーンセット80の摩耗によりこれらの動的挙動の質が落ちると、機械の生産速度を減少させなければならず又はテンショナの動力を増大させなければならない。大抵の場合、テンショナ装置は、牽引状態か圧縮状態かのいずれかで働くばねから成る。しかしながら、加えられる力は又、任意形式の戻し装置、例えば、ぶら下げ質量体によっても生じさせることができる。テンショナ装置は又、チェーンセットの摩耗及び膨張に起因して生じる遊びを吸収することができる。
【0024】
先行技術の場合とちょうど同様、本発明のテンショナ装置は、チェーンセット80の経路に沿う任意の場所に配置可能である。
【0025】
本発明によれば、テンショナは、可変力を生じさせることができる少なくとも1つの駆動部材50を有し、この可変力の大きさは、機械の瞬時生産速度で決まる。このことは、テンショナが動的であり、しかも機械の生産速度に従って案内装置に常時加えられる力に適合することを意味している。これは、チェーンセット80に沿う振動が機械生産速度の関数として増大し、張力をそれに応じて調節しなければならないことを意味している。
【0026】
したがって、これを行うため、テンショナ装置は、代表的にはモータである駆動部材50を有する。任意形式のモータを使用することができるが、有利には、リニアモータが用いられる。これは、テンショナ装置により加えられる力を制御することが望ましいからである。この場合、従来型モータは、運動の面で制御され、かかる従来型モータは、閉ループ制御により調節されるチェーンセットに働く張力の測定を必要とし、これに対し、電流によるリニアモータ制御は、モータにより加えられる力の直接的制御、かくしてチェーンセットに働く張力の直接的制御と同等である。その結果として、電流により制御されるリニアモータを用いることによって、開ループ制御を利用して調節できるチェーンセット80の張力を測定する必要がもはやなくなる。
【0027】
したがって、チェーンセット80の張力は、機械の瞬時生産速度の関数でもあり、これにより、振動現象に対する効果的な保護が得られると同時にチェーンセット80に加わる応力が制限される。それにより、チェーンの摩耗を遅くし、チェーン寿命を大幅に延ばすことが可能であり、これは重要である。
【0028】
図3及び図4は、本発明の例示の一実施形態を概略的に示しており、この実施形態では、テンショナ装置は、図1及び図2のワークステーション500に対応した機械の排出ステーションのところに配置されている。
【0029】
本発明の動的テンショナは、チェーンセット80ごとに1つの駆動部材を有するのが良く又は変形例として図3に示されている特に有利な実施形態の場合のように、力を2つの案内装置90に同時に加えることによって両方のチェーンセット80に張力を同時に生じさせる単一の駆動部材50を有しても良く、これらは、1つのチェーンセット80ごとに1つ設けられる案内装置である。
【0030】
さらに、動的テンショナは、圧縮によって、即ち、チェーンセットへの押しつけによって張力をチェーンセット80に加えることができ、又は、牽引によって、即ち、チェーンセットを引くことによって張力をチェーンセット80に加えても良い。有利には、張力は、牽引によって加えられる。これは、図3に示されているように、この種の用途だけがベルト55の使用を可能にするからであり、これに対し、圧縮では、より複雑で且つより高価な機械的手段の使用が必要である。
【0031】
さらに、ベルト55は、滑車装置56、即ち、駆動部材50によって生じた牽引力を減少させるプーリを有する装置と容易に協働できる。
【0032】
図3に概略的に示されている本発明の動的テンショナの実施例では、チェーンセットの牽引力は、単一のリニアモータ50により生じた力を2つのチェーン案内装置に加えることによって生じる。この力は、リニアモータ50により生じる力を1/4に減少させる滑車装置56と協働するベルト55によって加えられる。これにより、それほど強力ではない、かくしてそれほど高価ではないリニアモータの使用が可能である。
【0033】
図4は、本発明の特に有利な一実施形態を概略的に示しており、この実施形態では、テンショナ装置は、特定のチェーン案内装置に作用することによってチェーンセット80に張力を生じさせ、かかるチェーン案内装置の端部のうちの一方は、機械のフレームに対して並進運動を行うことができる。この実施形態により、チェーンセット80に相当大きな張力を生じさせることができると同時にチェーン案内装置の移動量を制限することができる。例えば、張力がチェーンセットの経路の上側部分の中央に配置されたプーリに加えられる場合、同じ張力をチェーンセット80に生じさせるためには、図4に示された案内装置が行う移動量よりもプーリのはるかに大きな移動量が必要になる。
【0034】
チェーン案内装置の2つの端部は、並進運動を行うことができるが、一方の端部だけを並進運動可能にし、チェーン案内装置を振り子レバーの端部に連結することが特に有利であり、振り子レバーの他端部は、フレームに固定されたピボットピン回りに自由に回転することができる。図4に示されているこの特定の実施形態により、チェーン案内装置の第2の端部は、並進運動に近い運動を行うことができると同時にチェーン案内装置の両方の端部が並進運動しか行うことができない実施形態と比較して、摩擦を大幅に減少させることができる。
【0035】
オプションとして、テンショナ装置50は、チェーン案内装置90に加えられる実質的に一定な力Fcを生じさせる少なくとも1つの戻し装置65を更に有する。これは、チェーンセット80に最小の張力を生じさせることが常に望ましいからである。この最小張力により、例えば、チェーンセット80の摩耗又は膨張に起因して生じる遊びを吸収することができる。その結果、実質的に一定の力Fcを生じさせる戻し装置65が設けられていることにより、それほど強力ではない駆動部材51の使用が可能であり且つこの駆動部材により消費されるエネルギーを節約することができる。加うるに、駆動部材51又はその制御回路の故障の場合であっても、チェーンセットに存在するこの最小張力により、機械を依然として使用することができるが、生産速度は減少する。
【0036】
図4では、図示の戻し装置は、圧縮状態で働くばねである。しかしながら、任意形式の戻し装置、例えば牽引力を重量の作用により加える質量体を用いることができる。
【0037】
最後に、一連の図5b〜図5eは、特に有利な実施形態を示している。図5aは、瞬時機械生産速度が同一である場合に機械サイクル中における(従って、プレスアングルMAは、0°から360°まで変化する横軸である)力Fv(従って、Fvは、曲線の立て座標である)の変化を示しており、この機械サイクル中、駆動部材51により生じる下辺力Fvは、この瞬時生産速度にのみ依存する。曲線は、局所的に直線であり、この機械サイクルにわたって一定であるFvの値は、このサイクル中、機械の生産速度にのみ依存する。
【0038】
この場合、理解されるように、機械サイクル中、チェーンセット80は、静止しており、従って、シート形態の要素10をワークステーションでコンバート加工することができ、次に、チェーンセット80が加速してシート形態の要素10を運搬し、シート形態の要素10が次のワークステーション内に正しく配置されると、減速して停止状態になる。その結果、チェーンセット80内の振動現象は、機械サイクル中、大幅に変化する。振動現象は、チェーンセット80が静止しているときにはゼロであり、チェーンセット80が加速すると、急に増大し、次に減少する等する。したがって、駆動部材51により生じる可変力Fvは、機械の瞬時生産速度の関数として変化するだけでなく、機械サイクル中、0°から360°まで変化するプレスアングルAMの関数としても変化する。
【0039】
かくして、図5bは、機械サイクル中、駆動部材51により生じる可変力Fvの変化を表しており、チェーンセットの振動現象がチェーンセットの加速時又は最高速度状態にある場合よりも減速時の方が弱いことを仮定すると、機械の生産速度は、かかる機械サイクルにわたり一定である。この方式では、駆動部材51により生じる可変力Fvは、チェーンセットが加速しているとき又はチェーンセットがこれらの最高速度の状態にあるときのみ最大の状態にある。この図は、エネルギー節約及びとりわけチェーンセット内の張力によりチェーンセットに加わる応力の非常に大きい減少具合を完全に示している。この種の制御により、チェーンセットの寿命をかなり延ばすことができると同時にチェーンの摩耗を減少させることができる。
【0040】
図5cは、駆動部材51により生じる可変力Fvの変化が他のパラメータにも依存することを示している。図5cに対応した機械のチェーンセットは、図5bに対応した機械のチェーンセットよりも迅速に加速したり減速したりし、このことは、可変力Fvの変化の勾配が急であることによって明らかである。
【0041】
図5d及び図5eは、機械サイクル中の振動現象の精緻な分析により、可変力Fvがチェーンセット80の寿命を最適化するために機械サイクル中においてより複雑な仕方で変化することができるようにすることができる。
【0042】
図5b〜図5eでは、駆動部材51により生じる可変力Fvは、値がゼロの場合がある。これは、これらの図が、テンショナ装置50が上述したように実質的に一定の力Fcを生じさせる戻し装置65を更に有する実施形態に対応しているからである。したがって、図5d及び図5eは、極めて効果的なテンショナ装置50を備えた機械に対応している。
【0043】
注目されるべきこととして、本発明との関連において、処理機械の技術的思想は、これら組立体のモジュール構造に鑑みて多種多様な実施形態に及ぶ。用いられるワークステーションの数、性状及びレイアウトに応じて、多種多様な処理機械を得ることが事実上可能である。
【0044】
また、機械の説明との関連において上述したワークステーションとは異なる形式のワークステーションが存在することを強調することが重要である。例えば、切断ステーション、コピー分離ステーション、屑排出ステーション、打ち抜きストリップ供給ステーション等が考慮される。最後に、同一の処理ステーションが同一形式の数個のステーションを備えても申し分のないことは理解されなければならない。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図5d
図5e