(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記チューニングチャンネルは、前記複数チャンネルのうちの複数であり、前記自動チューニング補助回路は、チューニングチャンネルごとに設けられることを特徴とする請求項1に記載のワイヤレス給電装置。
前記第1制御部は、前記複数のスイッチそれぞれを、前記駆動電圧と同じ周波数、その奇数倍または奇数分の1倍の周波数でスイッチングすることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のワイヤレス給電装置。
前記自動チューニング補助回路は、トランスを介して、チューニングチャンネルの前記送信アンテナと直列にカップリングされることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のワイヤレス給電装置。
前記電源は、前記送信アンテナおよび前記自動チューニング補助回路の両端間に、トランスを介して交流の駆動電圧を印加することを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載のワイヤレス給電装置。
前記チューニングチャンネルは、前記複数チャンネルのうちの複数であり、前記自動チューニング補助回路は、チューニングチャンネルごとに設けられることを特徴とする請求項14に記載のワイヤレス受電装置。
前記第2制御部は、前記複数のスイッチそれぞれを、前記電力信号と同じ周波数、その奇数倍または奇数分の1倍の周波数でスイッチングすることを特徴とする請求項14から16のいずれかに記載のワイヤレス受電装置。
前記自動チューニング補助回路は、トランスを介して前記受信アンテナと直列にカップリングされることを特徴とする請求項14から20のいずれかに記載のワイヤレス受電装置。
前記チューニングチャンネルは、前記複数チャンネルのうちの複数であり、前記自動チューニング補助回路は、チューニングチャンネルごとに設けられることを特徴とする請求項25に記載のワイヤレス給電装置。
前記第1制御部は、前記複数のスイッチそれぞれを、前記駆動電圧と同じ周波数、その奇数倍または奇数分の1倍の周波数でスイッチングすることを特徴とする請求項25から27のいずれかに記載のワイヤレス給電装置。
前記チューニングチャンネルは、前記複数チャンネルのうちの複数であり、前記自動チューニング補助回路は、チューニングチャンネルごとに設けられることを特徴とする請求項29に記載のワイヤレス受電装置。
前記第2制御部は、前記複数のスイッチそれぞれを、前記電力信号と同じ周波数、その奇数倍または奇数分の1倍の周波数でスイッチングすることを特徴とする請求項29から31のいずれかに記載のワイヤレス受電装置。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0029】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」、あるいは「部材Aが、部材Bとカップリングされた状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0030】
(第1の実施の形態)
(ワイヤレス給電装置)
図2は、第1の実施の形態に係るワイヤレス給電装置2の構成を示す回路図である。ワイヤレス給電装置2は、ワイヤレス受電装置(不図示)に対して電力信号S1を送出する。電力信号S1は、電波になっていない電磁波の近傍界(電界、磁界、あるいは電磁界)が利用される。
【0031】
ワイヤレス給電装置2は、電源10、送信アンテナ20、自動チューニング補助回路30、第1制御部40を備える。
【0032】
送信アンテナ20は、その第1端21とその第2端22の間に設けられた送信コイルL
TXを含む。共振用キャパシタC
TXは、送信コイルL
TXと直列に設けられる。共振用キャパシタC
TXと送信コイルL
TXは入れかえてもよい。
【0033】
自動チューニング補助回路30は、送信アンテナ20と直列にカップリングされる。電源10は、送信アンテナ20および自動チューニング補助回路30の両端間に、所定の送信周波数f
TXを有する交流の駆動電圧V
DRVを印加する。駆動電圧V
DRVは、矩形波、台形波、正弦波をはじめとする任意の交流波形であって構わない。本実施の形態では、駆動電圧V
DRVは、第1電圧レベル(電源電圧V
DD)と第2電圧レベル(接地電圧V
GND=0V)でスイングする矩形波であるものとする。
【0034】
電源10は、直流電源12、第1ハイサイドスイッチSWH1、第1ローサイドスイッチSWL1を含む。直流電源12は、直流の電源電圧V
DDを生成する。第1ハイサイドスイッチSWH1および第1ローサイドスイッチSWL1は、直流電源12の出力端子と固定電圧端子(接地端子)の間に順に直列に設けられる。第1制御部40は、第1ハイサイドスイッチSWH1および第1ローサイドスイッチSWL1を、送信周波数f
TXで相補的にスイッチングする。
【0035】
自動チューニング補助回路30は、第1端子31、第2端子32、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、第1補助キャパシタC
A1を備える。
【0036】
第1スイッチSW1および第1補助キャパシタC
A1は、第1端子31および第2端子32の間に直列に設けられる。第1スイッチSW1と第1補助キャパシタC
A1は入れかえてもよい。第2スイッチSW2は、第1端子31と第2端子32の間に、第1スイッチSW1および第1補助キャパシタC
A1に対して並列に設けられる。第1補助キャパシタC
A1の容量値は、共振用キャパシタC
TXに比べて十分に大きいことが望ましい。
【0037】
第1制御部40は、第1スイッチSW1および第2スイッチSW2を、駆動電圧V
DRVと同じ周波数f
TXで、かつ駆動電圧V
DRVに対してある位相差θ
TXで相補的にスイッチングする。好ましくは位相差θ
TXは、+90°もしくは−90°(270°)付近であってもよい。すなわち第1制御部40の一部は、自動チューニング補助回路30を構成する。
【0038】
第1スイッチSW1、第2スイッチSW2は、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、バイポーラトランジスタ等を用いて構成できる。
図3(a)、(b)は、MOSFETを用いたスイッチの構成例を示す図である。
【0039】
図3(a)は、Nチャンネル、
図3(b)は、PチャンネルのMOSFETを用いた構成を示す。MOSFETのバックゲートをソースと接続すると、バックゲートとドレイン間のボディダイオードがゲート電圧によらずに導通状態となる。したがって、MOSFETを単体で用いたスイッチでは、片方向に対する電流を阻止することができない。本明細書においてこのようなスイッチを片方向スイッチという。
【0040】
図3(c)〜(f)のスイッチは、2つのNチャンネルMOSFET、もしくは2つのPチャンネルMOSFETが、それらのボディダイオードが逆向きとなるように接続される(バックトゥバック接続)。
図3(c)〜(f)では、オフ状態において、いずれの方向にも電流が流れない。本明細書においてこのようなスイッチを、双方向スイッチという。
【0041】
本実施の形態において、各スイッチSW1、SW2は、片方向スイッチ、両方向スイッチのいずれでも構成することができる。なお、片方向スイッチを用いる場合、それらのスイッチングの位相に注意を払う必要がある。これについては後述する。
【0042】
以上がワイヤレス給電装置2の構成である。続いてその動作を説明する。
【0043】
スイッチSW1、SW2はそれぞれ、オフ状態においていずれの方向にも電流を流さない双方向スイッチであるものとする。
【0044】
図4は、
図2のワイヤレス給電装置2の動作を示す波形図である。
図4は、上から順に、第1ハイサイドスイッチSWH1、第1ローサイドスイッチSWL1、駆動電圧V
DRV、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、第1補助キャパシタC
A1の電圧V
CA1、第1端子31の電圧V
A、送信アンテナ20に流れる共振電流I
TX、送信コイルL
TXと共振用キャパシタC
TXの両端間の共振電圧V
TXを示す。スイッチを示す波形は、ハイレベルがオン状態を、ローレベルがオフ状態を示す。また共振電流I
TXおよび共振電圧V
TXは、自動チューニング補助回路30を動作させてから十分な時間が経過した後の定常状態における波形を示す。
【0045】
図4に示すように、第1ハイサイドスイッチSWH1、第1ローサイドスイッチSWL1を相補的にスイッチングすることにより、矩形波の駆動電圧V
DRVが生成され、送信アンテナ20および自動チューニング補助回路30の両端間に印加される。第1制御部40は、駆動電圧V
DRVと同じ周波数で、かつ駆動電圧V
DRVに対してθ
TX(=90°)遅れた位相で、第1スイッチSW1および第2スイッチSW2を相補的にスイッチングする。共振電流I
TXは、第1スイッチSW1のオン時間T
ON1において第1補助キャパシタC
A1に流れ、第2スイッチSW2のオン時間T
ON2において、第2スイッチSW2を介して接地に流れる。つまり、第1補助キャパシタC
A1は、共振電流I
TXによって充放電され、その結果、第1補助キャパシタC
A1には、キャパシタ電圧V
CA1が発生する。
【0046】
自動チューニング補助回路30は、送信アンテナ20の第2端22に補正電圧V
Aを印加する。補正電圧V
Aは、第1スイッチSW1がオンの期間T
ON1において、第1補助キャパシタ電圧V
CA1をとり、第2スイッチSW2がオンの期間T
ON2において、接地電圧V
GNDをとる。自動チューニング補助回路30は、補正電圧V
Aを送信アンテナ20に印加する補正電源と把握することができる。
図5は、
図2のワイヤレス給電装置2の等価回路図である。
【0047】
図6(a)は、自動チューニング補助回路30を動作させない状態、
図6(b)は、自動チューニング補助回路30を動作させたときの波形図である。
はじめに
図6(a)を参照し、自動チューニング補助回路30を動作させない状態、すなわち第1スイッチSW1をオフで固定し、第2スイッチSW2をオンで固定した状態について説明する。これは、補正電圧V
Aが接地電圧V
GNDに固定される状態を示す。
送信アンテナ20のインピーダンスZは式(1)で与えられ、その共振周波数f
cは式(2)で与えられる。なお、ここでは抵抗成分を無視しているが、実際の回路には直列抵抗が寄与することは言うまでもない。
Z=jωL
TX+1/(jωC
TX) …(1)
f
C=1/(2π√(L
TX・C
TX)) …(2)
【0048】
送信アンテナ20は、駆動電圧V
DRVの周波数f
TXが共振周波数f
cより高い(f
TX>f
c)とき誘導性となり、送信アンテナ20に流れる共振電流I
TXの位相は、駆動電圧V
DRVの位相に対して遅れる。反対に、周波数f
TXが共振周波数f
cより低い(f
TX<f
c)とき容量性となり、共振電流I
TXの位相は、駆動電圧V
DRVに対して進む。
【0049】
図6(a)は、f
c>f
TXの状態を示しており、共振電流I
TXの位相は、駆動電圧V
DRVに対して位相差φ進んでいる。φが90°でないのは、共振回路に直列の抵抗成分(不図示)が存在するためである。非共振状態ではインピーダンスZが高くなるため、共振電流I
TXの振幅が小さくなる。この状態では大きな電力を伝送することはできない。
【0050】
続いて、
図6(b)を参照し、自動チューニング補助回路30を動作させたときの動作を説明する。
【0051】
自動チューニング補助回路30を動作させると、送信アンテナ20には駆動電圧V
DRVに対してθ
TX=90°遅れた位相の補正電圧V
Aが印加される。その結果、共振電流I
TXの位相が駆動電圧V
DRVの位相と一致し、擬似的な共振状態となる。これにより、共振電流I
TXの振幅は、非共振状態よりも大きくなる。
【0052】
図7は、f
c<f
TXの場合の、自動チューニング補助回路30による疑似共振状態を説明するフェーザ図(ベクトル図)である。
駆動電圧V
DRVの位相は0°、補正電圧V
Aの位相はθ
TX=90°である。f
c<f
TXにおいて、電流の位相は、電圧に対して位相差φ遅れる。したがって駆動電圧V
DRVと電流成分I
DRVの位相差はφであり、補正電圧V
Aと電流成分I
Aの位相差もφである。
【0053】
「重ねの理」によって、共振電流I
TXは、駆動電圧V
DRVによって誘起される電流成分I
DRVと、補正電圧V
Aによって誘起される電流成分I
Aの和で与えられる。駆動電圧V
DRVと補正電圧V
Aは位相差θ
TX(=90°)を有するため、電流成分I
DRVとI
Aの位相差も90°となる。補正電圧V
Aの振幅、言い換えれば電流成分I
Aの振幅を最適化すれば、2つの電流成分I
DRVとI
Aの合成電流、すなわち共振電流I
TXの位相を、駆動電圧V
DRVの位相(0°)と一致させることができ、疑似共振状態が実現できることが分かる。
【0054】
実施の形態に係るワイヤレス給電装置2の優れた利点のひとつは、疑似共振状態を満足する補正電圧V
Aを自動的に生成できる点である。
図8は、非共振状態および共振状態における共振電流I
TXを示す図である。波形(I)は、非共振状態における共振電流I
TXを示す。スイッチSW1がオンの期間T
ON1において、第1補助キャパシタC
A1は、共振電流I
TXによって充放電される。具体的には、第1補助キャパシタC
A1は、共振電流I
TXが正の期間に充電され、負の期間に放電される。その結果、正の期間が長ければキャパシタ電圧V
CA1は増大し、負の期間が長ければキャパシタ電圧V
CA1は低下する。
【0055】
あるサイクルのオン時間T
ON1において、キャパシタ電圧V
CA1が増大する。そして、増大したキャパシタ電圧V
CA1に応じた補正電圧V
Aが送信アンテナ20に印加される。そうすると、次のサイクルでは、共振電流I
TXの位相が前のサイクルより進む。これを繰り返すと、キャパシタ電圧V
CA1がサイクル毎に増加しながら、共振電流I
TXの位相が徐々に進んでいき、駆動電圧V
DRVの位相と一致するポイント(共振点)までシフトしていく。共振電流I
TXの位相が進みすぎると、反対に第1補助キャパシタC
A1の放電電流の方が大きくなり、キャパシタ電圧VC
A1が低下する方向にフィードバックがかかり、共振点に引き戻される。共振点では1サイクルでの第1補助キャパシタC
A1の充電電流と放電電流がバランスし、キャパシタ電圧V
CA1が平衡状態となり、擬似的な共振状態が持続する。このように、
図2のワイヤレス給電装置2によれば、疑似共振状態を生ずるために必要な補正電圧V
Aを自動的に生成できる。
【0056】
以上がワイヤレス給電装置2の動作である。
このようにワイヤレス給電装置2によれば、送信アンテナ20の共振周波数f
cを調節することなく、疑似共振状態を実現するように回路の状態を自動的にチューニングすることができる。ワイヤレス送電では、ワイヤレス給電装置2とワイヤレス受電装置4の位置関係によって、共振周波数が時々刻々と変化するが、ワイヤレス給電装置2によれば、その変化に高速に追従することができ、高効率な電力伝送が可能となる。
【0057】
またワイヤレス給電で大電力を伝送しようとすると、共振用キャパシタC
TXの両端間の電圧は非常に大きくなるため、バリコン(バリキャップ)の利用は制約される。ワイヤレス給電装置2によれば共振用キャパシタC
TXの容量値を調節する必要がないため、バリコン等を使用する必要がないという利点もある。
【0058】
ここでは、第1スイッチSW1を、第1ハイサイドスイッチSWH1の位相に対してθ
TX=90°遅れた位相でスイッチングさせる場合を説明したが、位相差θ
TXは90°である必要はなく、270°(−90°)であってもよい。この場合、キャパシタ電圧V
CA1が負電圧となるように自動的に調節されるからである。
【0059】
すなわち、f
c<f
TXの場合、θ
TX=90°または270°とすることにより、疑似共振状態を実現できる。
位相差θ
TXは、90°もしくは270°から外れていてもよい。この場合、
図7に示すベクトル図において、電流成分I
DRVとI
Aの位相差θ
TXが90°ではなくなるが、この場合でも、それらを合成した共振電流I
TXの位相が0°となるように、キャパシタ電圧V
CA1が自動的に調節される。ただし、位相差θ
TXが90°もしくは270°に近いほど、電流成分I
Aの振幅、言い換えればキャパシタ電圧V
CA1の絶対値が小さくできるという利点がある。
【0060】
なお、f
c<f
TXの場合にθ
TX=270°とできるのは、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2を双方向スイッチを用いて構成した場合に限られる。第1スイッチSW1、第2スイッチSW2が片方向スイッチである場合には、θ
TX=270°とすることはできない。この場合、ボディダイオードに電流が流れてしまうからである。片方向スイッチを用いる場合、逆導通素子であるボディダイオードに電流が流れないような位相で、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2をスイッチングさせる必要がある。
【0061】
ワイヤレス給電装置2は、f
c<f
TXの場合のみでなく、f
c>f
TXの場合においても、自動的に疑似共振状態を実現できる。この場合、θ
TX=270°(−90°)とすることが好ましい。
【0062】
図9は、f
c>f
TXの場合の、自動チューニング補助回路30による疑似共振状態を説明するフェーザ図である。駆動電圧V
DRVの位相を0°、補正電圧V
Aの位相をθ
TX=270°(−90°)としている。f
c>f
TXにおいて、電流の位相は電圧に対して進むが、この場合であっても、疑似共振状態が実現できる。
【0063】
なおf
c>f
TXにおいて、位相差θ
TXを90°付近としてもよい。この場合、疑似共振状態が得られるように、自動的にキャパシタ電圧V
CA1が負電圧となる。
【0064】
ただし、f
c<f
TXの場合にθ
TX=90°とできるのは、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2を双方向スイッチを用いて構成した場合に限られる。第1スイッチSW1、第2スイッチSW2が片方向スイッチである場合には、θ
TX=90°とすることはできない。上述したように、ボディダイオードに電流が流れてしまうからである。
【0065】
続いて、ワイヤレス給電装置2の変形例を説明する。各変形例は、任意の他の変形例と組み合わせることができ、このような組み合わせも本発明の範囲に含まれる。
【0066】
図10は、第1の変形例に係るワイヤレス給電装置2aの構成を示す回路図である。自動チューニング補助回路30aは、第1端子31と第2端子32の間に、第2スイッチSW2と直列に設けられた第2補助キャパシタC
A2を備える。
【0067】
この変形例において、補正電圧V
Aは、第1スイッチSW1のオン時間T
ON1においてキャパシタ電圧V
CA1と等しくなり、第2スイッチSW2のオン時間T
ON2においてキャパシタ電圧V
CA2と等しくなる。
【0068】
ワイヤレス給電装置2aによれば、キャパシタ電圧V
CA1、V
CA2を最適化されることにより、f
TX>f
c、f
TX<f
cいずれの場合も疑似共振状態を実現できる。
【0069】
図11は、第2の変形例に係るワイヤレス給電装置2bの構成を示す回路図である。自動チューニング補助回路30bは、充電回路34および検出抵抗Rsを備える。検出電流Rsは、共振電流I
TXの経路上に設けられる。検出抵抗Rsには、共振電流I
TXに比例した検出電圧Vsが発生する。充電回路34は、検出電圧Vsにもとづき、第1補助キャパシタC
A1を、疑似共振状態となるようなレベルに充電する。上述のように、キャパシタ電圧V
CA1は自動的に最適なレベルとなるが、充電回路34を設けることにより、より短い時間で、疑似共振状態とすることができる。
【0070】
図12は、第3の変形例に係るワイヤレス給電装置2cの構成を示す回路図である。
これまでは電源がハーフブリッジ回路の場合を説明したが、
図12の電源10cはHブリッジ回路で構成される。第2ハイサイドスイッチSWH2および第2ローサイドスイッチSWL2は、直流電源12の出力端子と固定電圧端子(接地端子)の間に順に直列に設けられる。
【0071】
第1制御部40cは、第1ハイサイドスイッチSWH1と第2ローサイドスイッチSWL2のペアがオンの状態と、第2ハイサイドスイッチSWH2と第1ローサイドスイッチSWL1のペアがオンの状態を、交互に繰り返す。
第1ハイサイドスイッチSWH1と第1ローサイドスイッチSWL1の接続点(第1出力端子)OUT1と、第2ハイサイドスイッチSWH2と第2ローサイドスイッチSWL2の接続点(第2出力端子)OUT2には、互いに逆相の駆動電圧V
DRV、#V
DRVが発生する。送信アンテナ20および自動チューニング補助回路30cは、第1出力端子OUT1と第2出力端子OUT2の間に直列にカップリングされる。
【0072】
図12のワイヤレス給電装置2cによっても、これまで説明したワイヤレス給電装置と同様の効果を得ることができる。
【0073】
図13(a)、(b)は、それぞれ第4、第5の変形例に係るワイヤレス給電装置2d、2eの構成を示す回路図である。第1制御部40は省略される。
図13(a)のワイヤレス給電装置2dにおいて、自動チューニング補助回路30dは、第1トランスT1を介して送信アンテナ20と直列にカップリングされる。具体的には、第1トランスT1の2次巻線W2は第1端子31と第2端子32の間に設けられ、その1次巻線W1は、送信アンテナ20と直列に設けられる。電源10は、送信アンテナ20と1次巻線W1の両端間に駆動電圧を印加する。
【0074】
このワイヤレス給電装置2dでは、第1トランスT1を介して送信アンテナ20と自動チューニング補助回路30dの間のエネルギーの授受が行われる。この構成によっても、これまで説明したワイヤレス給電装置と同様の効果を得ることができる。
【0075】
図13(b)では、電源10が第2トランスT2を介して送信アンテナ20および自動チューニング補助回路30dの両端間に駆動電圧V
DRVを印加する。具体的には第2トランスT2の2次巻線W2は、送信アンテナ20と直列に設けられる。電源10は、第2トランスT2の1次巻線W1の両端に駆動電圧V
DRVを印加する。
【0076】
このワイヤレス給電装置2eでは、駆動電圧V
DRVは、第2トランスT2を介して送信アンテナ20と自動チューニング補助回路30dの両端間に印加される。この構成によっても、これまで説明したワイヤレス給電装置と同様の効果を得ることができる。ワイヤレス給電装置2eにおいて、第1トランスT1を省略してもよい。
図13(a)、(b)における電源10は、Hブリッジ回路、ハーフブリッジ回路、その他の電源のいずれであってもよい。
【0077】
(ワイヤレス受電装置)
上述した自動チューニング補助回路は、ワイヤレス受電装置にも利用することができる。以下では、ワイヤレス受電装置について説明する。
【0078】
図14は、第1の実施の形態に係るワイヤレス受電装置4の構成を示す回路図である。ワイヤレス受電装置4は、上述の、あるいは全く別構成のワイヤレス給電装置から送信される電力信号S1を受ける。電力信号S1は、電波になっていない電磁波の近傍界(電界、磁界、あるいは電磁界)が利用される。
【0079】
ワイヤレス受電装置4は、受信アンテナ50、自動チューニング補助回路60および電力を供給すべき負荷70を備える。負荷70には、図示しない整流回路、検波回路などが内蔵されてもよい。
【0080】
受信アンテナ50は、第1端51と第2端52の間に直列に設けられた受信コイルL
RXおよび共振用キャパシタC
RXを含む。
【0081】
自動チューニング補助回路60は、上述の自動チューニング補助回路30と同様に構成される。具体的には、第3スイッチSW3および第3補助キャパシタC
A3は、第1端子61と第2端子62の間に直列に設けられる。第4スイッチSW4は、第1端子61と第2端子62の間に、第3スイッチSW3および第3補助キャパシタC
A3と並列に設けられる。
【0082】
第2制御部64は、第3スイッチSW3および第4スイッチSW4を、電力信号S1と同じ周波数で、かつ送信側においてアンテナに印加される駆動電圧(V
DRV)に対してある位相差θ
RXで相補的にスイッチングする。たとえばθ
RX=180°または0°であることが好ましい。
【0083】
自動チューニング補助回路60は、受信アンテナ50と直列にカップリングされる。また電力を供給すべき負荷70は、第3補助キャパシタC
A3に接続される。
【0084】
以上がワイヤレス受電装置4の構成である。続いてその動作を説明する。
図15は、
図14のワイヤレス受電装置4の等価回路図である。ワイヤレス給電装置2における自動チューニング補助回路30と同様に、自動チューニング補助回路60は、補正電圧V
Aを受信アンテナ50に印加する補正電源と把握することができる。補正電圧V
Aは、第3スイッチSW3のオン時間T
ON3において、第3補助キャパシタC
A3の電圧V
CA3となり、第4スイッチSW4のオン時間T
ON4において接地電圧となる。
【0085】
図16は、
図14のワイヤレス受電装置4の動作を示す波形図である。
図16は上から順に、第3スイッチSW3、第4スイッチSW4、補正電圧V
A、受信アンテナ50に流れる共振電流I
RX、受信コイルL
RXと共振用キャパシタC
RXの両端間の共振電圧V
RXを示す。スイッチを示す波形は、ハイレベルがオン状態を、ローレベルがオフ状態を示す。共振電流I
RXおよび共振電圧V
RXは、実線が自動チューニング補助回路60を動作させてから十分な時間が経過した後の定常状態(疑似共振状態)における波形を、破線が自動チューニング補助回路60を動作させない非共振状態における波形を示す。
【0086】
第3スイッチSW3および第4スイッチSW4を、ワイヤレス給電装置側の駆動電圧V
DRVに対して180°または0°シフトした位相θ
RXで相補的にスイッチングさせることにより、第3補助キャパシタC
A3が充電、または放電される。そして補正電圧V
Aが受信アンテナ50に印加されることにより、共振電流I
Aの位相が、送信側の駆動電圧V
DRVの位相と一致し、疑似共振状態が実現できる。
【0087】
疑似共振状態を実現するためには、第3スイッチSW3および第4スイッチSW4を適切な周波数f
TXおよび位相θ
RXでスイッチングさせる必要がある。そこでワイヤレス給電装置2からワイヤレス受電装置4に対して、周波数f
TXおよび位相θ
RXを示すデータを送信してもよい。あるいはワイヤレス受電装置4は、位相θ
RXをスイープし、最適な位相θ
RXを検出してもよい。
【0088】
以上がワイヤレス受電装置4の動作である。
このように
図14のワイヤレス受電装置4によれば、共振用キャパシタC
RXの容量値を調節することなく、自動的に共振状態を実現することができる。
【0089】
続いてワイヤレス受電装置4の変形例を説明する。
【0090】
図14では、負荷70が第3補助キャパシタC
A3と接続される場合を説明したが、負荷70は別の位置に設けられてもよい。
図17(a)、(b)は、第1、第2の変形例に係るワイヤレス受電装置の構成を示す回路図である。
図17(a)のワイヤレス受電装置4aにおいて、負荷70aは、受信アンテナ50および自動チューニング補助回路60と直列に設けられる。具体的には負荷70aは受信アンテナ50の第1端51に接続される。
【0091】
図17(b)のワイヤレス受電装置4bは、第3トランスT3を備え、受信アンテナ50と負荷70bは、第3トランスT3によって絶縁される。第3トランスT3の1次巻線W1は、受信アンテナ50と直列に設けられ、2次巻線W2に負荷70bが接続される。
【0092】
図17(a)、(b)に示すように、受信アンテナ50と直列に負荷を接続した場合、負荷のインピーダンスが低い場合には、自動チューニング補助回路60による調整をしなくても、ある程度の電力を取り出すことができるという利点がある。一方で、負荷の抵抗成分によって受信アンテナ50のQ値が低下するため、大電力が取り出しにくくなる。
【0093】
反対に
図4のように自動チューニング補助回路60から電力を取り出す場合、負荷70によって受信アンテナ50のQ値が低下しないため、負荷70のインピーダンスが高い場合でも、大電力を取り出すことができる。一方、負荷70のインピーダンスが低すぎる場合、自動チューニング補助回路60の動作が阻害されるという問題がある。
【0094】
したがって、負荷をいずれの位置に配置するかは、送電すべき電力や、負荷のインピーダンス等を考慮して決定すればよい。
【0095】
図18は、第3の変形例に係るワイヤレス受電装置4cの構成を示す回路図である。自動チューニング補助回路60cは、第1端子61と第2端子62の間に第4スイッチSW4と直列に設けられた第4補助キャパシタC
A4をさらに備える。負荷70の位置は限定されない。
【0096】
この変形例において、補正電圧V
Aは、第3スイッチSW3のオン時間T
ON3においてキャパシタ電圧V
CA3と等しくなり、第4スイッチSW4のオン時間T
ON4においてキャパシタ電圧V
CA4と等しくなる。このワイヤレス受電装置4cによれば、f
TX>f
c、f
TX<f
cそれぞれの状態において疑似共振状態となるように、キャパシタ電圧V
CA1、V
CA2を最適化することができる。
【0097】
ワイヤレス受電装置において、第3スイッチSW3、第4スイッチSW4は、片方向スイッチ、双方向スイッチのいずれで構成してもよい。片方向スイッチで構成する場合、それぞれの逆導通素子に電流が流れない位相で、第3スイッチSW3、第4スイッチSW4をスイッチングする必要がある。
【0098】
図19(a)、(b)はそれぞれ、第4、第5の変形例に係るワイヤレス受電装置の構成を示す回路図である。第2制御部64は省略される。
図19(a)のワイヤレス受電装置4dにおいて、自動チューニング補助回路60dは、第4トランスT4を介して受信アンテナ50と直列にカップリングされる。具体的には、第4トランスT4の2次巻線W2は第1端子61と第2端子62の間に設けられ、その1次巻線W1は、受信アンテナ50と直列に設けられる。
【0099】
このワイヤレス受電装置4dでは、第4トランスT4を介して受信アンテナ50と自動チューニング補助回路60dの間のエネルギーの授受が行われる。この構成によっても、これまで説明したワイヤレス受電装置と同様の効果を得ることができる。
【0100】
図19(b)では、負荷70が第5トランスT5を介して受信アンテナ50および自動チューニング補助回路60dとカップリングされる。具体的には第5トランスT5の1次巻線W1は、受信アンテナ50と直列に接続される。負荷70は、第5トランスT5の2次巻線W2の両端に接続される。
【0101】
この構成によっても、これまで説明したワイヤレス受電装置と同様の効果を得ることができる。ワイヤレス受電装置4eにおいて、第4トランスT4を省略してもよい。
図19(a)において負荷70を第3補助キャパシタC
A3とカップリングしてもよい。あるいは
図19(b)において負荷70を第3補助キャパシタC
A3と第5トランスT5を介してカップリングしてもよい。
【0102】
(ワイヤレス送電システム)
上述のワイヤレス給電装置とワイヤレス受電装置を組み合わせることにより、ワイヤレス送電システムを実現できる。
【0103】
図20は、第1の実施の形態に係るワイヤレス送電システムの構成例を示す回路図である。ワイヤレス送電システム1は、ワイヤレス給電装置2とワイヤレス受電装置4を備える。
【0104】
負荷70は、負荷回路76に加えて、整流回路72およびスイッチングレギュレータ74を備える。整流回路72は同期検波回路であり、平滑用キャパシタC3、第3ハイサイドスイッチSWH3、第3ローサイドスイッチSWL3を備える。
【0105】
スイッチングレギュレータ74は、昇降圧コンバータであり、負荷回路76に対して最大電力を供給できるように制御される。スイッチングレギュレータ74の構成および動作は公知であるため、ここでの説明は省略する。
【0106】
以上がワイヤレス送電システム1の構成である。
図21は、
図20のワイヤレス送電システム1の動作を示す波形図である。
【0107】
ワイヤレス給電装置2において、第1スイッチSW1および第2スイッチSW2は、駆動電圧V
DRVに対してθ
TX=90°遅れた位相で駆動される。その結果、ワイヤレス給電装置2において疑似共振状態が成立する。
【0108】
ワイヤレス受電装置4においては、ワイヤレス給電装置2側の駆動電圧V
DRVに対してθ
RX=180°遅れた位相で、第3スイッチSW3および第4スイッチSW4が駆動される。また第3スイッチSW3は、第1スイッチSW1に対して90°遅れた位相で駆動される。その結果、ワイヤレス受電装置4においても疑似共振状態が成立する。
【0109】
整流回路72の第3ハイサイドスイッチSWH3および第3ローサイドスイッチSWL3は、第3スイッチSW3および第4スイッチSW4に対して90°遅れた位相で駆動される。その結果、平滑用キャパシタC3に直流電圧が発生する。この直流電圧は、スイッチングレギュレータ74によって負荷回路76に最適な電圧レベルに変換される。
【0110】
以上がワイヤレス送電システム1の動作である。このようにワイヤレス送電システム1によれば、ワイヤレス給電装置2、ワイヤレス受電装置4それぞれに自動チューニング補助回路を設けることにより、負荷70に対して最大電力を送信することが可能となる。
【0111】
当然ながら、変形例を含めた任意のワイヤレス給電装置2と、任意のワイヤレス受電装置4が組み合わせ可能であることは言うまでもない。
【0112】
図20では、ワイヤレス給電装置2、ワイヤレス受電装置4の両方に自動チューニング補助回路を実装する場合を説明したが、本発明はそれには限定されない。
ワイヤレス給電装置2にのみ自動チューニング補助回路を設け、ワイヤレス受電装置は、従来のように共振用キャパシタC
RXの調節を行ってもよい。
反対にワイヤレス受電装置4にのみ自動チューニング補助回路を設け、ワイヤレス給電装置2は、従来のように共振用キャパシタC
TXの調節を行ってもよい。
【0113】
さらには、ワイヤレス給電装置2にのみ自動チューニング補助回路を設け、ワイヤレス受電装置4は、一切の調節機構を有さなくてもよい。あるいはワイヤレス受電装置4にのみ自動チューニング補助回路を設け、ワイヤレス給電装置2は、一切の調節機構を有さなくてもよい。
これらの場合、単一の自動チューニング補助回路によって、電源10と負荷70の間のインピーダンスマッチングがとれるようにチューニングされ、高効率な電力伝送が可能となる。この場合に、自動チューニング補助回路のスイッチングの位相θ
TX(θ
RX)の最適値は90°もしくは270°(180°もしくは0°)から外れることに留意すべきである。
【0114】
以上、本発明について、第1の実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
【0115】
自動チューニング補助回路30を備えるワイヤレス給電装置2においては、共振用キャパシタC
TXを省略しても疑似共振状態が実現できる場合がある。この場合、共振用キャパシタC
TXを省略してもよい。同様に自動チューニング補助回路60を備えるワイヤレス受電装置4において、共振用キャパシタC
RXを省略してもよい。
【0116】
ワイヤレス給電装置2は、所定の規則(暗号コード)に従い、駆動電圧V
DRVの周波数f
TXおよび位相の少なくとも一方を変化させ、電力信号S1を暗号化する。暗号コードを知っているワイヤレス受電装置4は、その暗号コードにもとづき、自動チューニング補助回路60のスイッチング周波数、位相を制御する。その結果、電力信号S1が暗号化されている場合でも、それを復号して電力供給を受けることができる。暗号コードを知らないワイヤレス受電装置は、自動チューニング補助回路60のスイッチを適切に制御できないため、電力を受信することができなくなる。ワイヤレス電力伝送では、悪意の利用者による盗電が問題となりうるが、自動チューニング補助回路を利用することにより、この問題を解決することができる。
あるいは、単一のワイヤレス給電装置2が複数のワイヤレス受電装置4に給電する際に、自動チューニング補助回路を利用することにより端末毎の給電量を制御できる。
【0117】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、2つのスイッチSW1、SW2を含む自動チューニング補助回路を説明した。第2の実施の形態における自動チューニング補助回路は、4つのスイッチを含んで構成される。自動チューニング補助回路80を除くブロックの構成については、第1の実施の形態と同様である。また、第1の実施の形態で説明したさまざまな変形例は、第2の実施の形態においても有効である。
【0118】
(ワイヤレス給電装置)
図22は、第2の実施の形態に係るワイヤレス給電装置2の構成を示す回路図である。ワイヤレス給電装置2は、ワイヤレス受電装置(不図示)に対して電力信号S1を送出する。電力信号S1は、電波になっていない電磁波の近傍界(電界、磁界、あるいは電磁界)が利用される。
【0119】
ワイヤレス給電装置6は、電源10、送信アンテナ20、自動チューニング補助回路80、第1制御部40を備える。
【0120】
送信アンテナ20は、その第1端21とその第2端22の間に設けられた送信コイルL
TXを含む。共振用キャパシタC
TXは、送信コイルL
TXと直列に設けられる。共振用キャパシタC
TXと送信コイルL
TXは入れかえてもよい。
【0121】
自動チューニング補助回路80は、送信アンテナ20と直列にカップリングされる。電源10は、
図2と同様にハーフブリッジ回路で構成され、送信アンテナ20および自動チューニング補助回路80の両端間に、所定の送信周波数f
TXを有する交流の駆動電圧V
DRVを印加する。駆動電圧V
DRVは、矩形波、台形波、正弦波をはじめとする任意の交流波形であって構わない。本実施の形態では、駆動電圧V
DRVは、第1電圧レベル(電源電圧V
DD)と第2電圧レベル(接地電圧V
GND=0V)でスイングする矩形波であるものとする。
【0122】
電源10は、
図2の電源10と同様にハーフブリッジ回路で構成される。第1制御部40は、第1ハイサイドスイッチSWH1および第1ローサイドスイッチSWL1を、送信周波数f
TXで相補的にスイッチングする。
【0123】
第2の実施の形態において、自動チューニング補助回路80は、第1端子81、第2端子82、第1スイッチSWc1〜第4スイッチSWc4、第1補助キャパシタC
A5を備える。
【0124】
第1スイッチSWc1および第2スイッチSWc2は、第1端子81と第2端子82の間に順に直列に設けられる。第3スイッチSWc3および第4スイッチSWc4は、第1端子81と第2端子82の間に順に直列に、かつ第1スイッチSWc1および第2スイッチSWc2に対して並列に設けられる。第1補助キャパシタC
A5は、第1スイッチSWc1と第2スイッチSWc2の接続点N1と、第3スイッチSWc3と第4スイッチSWc4の接続点N2の間に設けられる。第1補助キャパシタC
A5の容量値は、共振用キャパシタC
TXに比べて十分に大きいことが望ましい。
【0125】
第1制御部40は、第1スイッチSWc1〜第4スイッチSWc4を、駆動電圧V
DRVと同じ周波数f
TXで、かつ駆動電圧V
DRVに対してある位相差θ
TXでスイッチングする。好ましくは位相差θ
TXは、+90°もしくは−90°(270°)付近であってもよい。すなわち第1制御部40の一部は、自動チューニング補助回路80を構成する。
【0126】
第1の実施の形態と同様に、第1スイッチSWc1〜第4スイッチSWc4は、双方向スイッチ、あるいは片方向スイッチのいずれかでも構成できる。片方向スイッチを用いる場合、それらのスイッチングの位相に注意を払う必要があることも、すでに説明した通りである。
【0127】
以上がワイヤレス給電装置6の構成である。続いてその動作を説明する。
【0128】
図23は、
図22のワイヤレス給電装置6の動作を示す波形図である。
図23は、上から順に、第1ハイサイドスイッチSWH1、第1ローサイドスイッチSWL1、駆動電圧V
DRV、第1スイッチSWc1、第2スイッチSWc2、第3スイッチSWc3、第4スイッチSWc4、第1端子81に生ずる補正電圧V
A、送信アンテナ20に流れる共振電流I
TX、送信コイルL
TXと共振用キャパシタC
TXの両端間の共振電圧V
TXを示す。スイッチを示す波形は、ハイレベルがオン状態を、ローレベルがオフ状態を示す。また共振電流I
TXおよび共振電圧V
TXは、自動チューニング補助回路30を動作させてから十分な時間が経過した後の定常状態における波形を示す。
【0129】
図23に示すように、第1ハイサイドスイッチSWH1、第1ローサイドスイッチSWL1を相補的にスイッチングすることにより、矩形波の駆動電圧V
DRVが送信アンテナ20および自動チューニング補助回路30の両端間に印加される。第1制御部40は、駆動電圧V
DRVと同じ周波数で、かつ駆動電圧V
DRVに対してθ
TX(=90°)遅れた位相で、第1スイッチSWc1および第4スイッチSWc4を含む第1のペアP1を駆動し、第1のペアP1と相補的に、すなわち180°ずれた位相で、第2スイッチSWc2および第3スイッチSWc3を含む第2のペアP2を駆動する。
【0130】
共振電流I
TXは、第1のペアP1のオン時間T
ON1において、第1スイッチSWc1、第1補助キャパシタC
A5、第4スイッチSWc4を含む経路に流れ、第2のペアP2のオン時間T
ON2において、第3スイッチSWc3、第1補助キャパシタC
A5、第2スイッチSWc2を含む経路に流れる。
【0131】
つまり、第1補助キャパシタC
A5は、共振電流I
TXによって充放電され、その結果、第1補助キャパシタC
A5には、キャパシタ電圧V
CA5が発生する。
【0132】
自動チューニング補助回路80は、送信アンテナ20の第2端22に補正電圧V
Aを印加する。補正電圧V
Aは、第1のペアP1がオンの期間T
ON1において第1の極性をとり、第2のペアP2がオンの期間T
ON2において第2の極性をとる。自動チューニング補助回路80は、補正電圧V
Aを送信アンテナ20に印加する補正電源と把握することができる。すなわち、ワイヤレス給電装置6の等価回路は、
図5の等価回路と同等とみなすことができ、その動作原理も同様であることがわかる。
【0133】
すなわち自動チューニング補助回路80を動作させると、送信アンテナ20に対して、駆動電圧V
DRVに対してθ
TX=90°遅れた位相の補正電圧V
Aが印加される。その結果、共振電流I
TXの位相が駆動電圧V
DRVの位相と一致し、擬似的な共振状態となる。これにより、共振電流I
TXの振幅は、非共振状態よりも大きくなる。これは、
図7、
図9のフェーザ図に示される通りである。
【0134】
第2の実施の形態における自動チューニング補助回路80の動作は、第1の実施の形態において
図8を参照して説明した通りであり、疑似共振状態を満足する補正電圧V
Aを自動的に生成することができる。
【0135】
以上がワイヤレス給電装置6の動作である。
このようにワイヤレス給電装置6によれば、送信アンテナ20の共振周波数f
cを調節することなく、疑似共振状態を実現するように回路の状態を自動的にチューニングすることができる。ワイヤレス送電では、ワイヤレス給電装置とワイヤレス受電装置の位置関係によって、共振周波数が時々刻々と変化するが、ワイヤレス給電装置6によれば、その変化に高速に追従することができ、高効率な電力伝送が可能となる。
【0136】
またワイヤレス給電で大電力を伝送しようとすると、共振用キャパシタC
TXの両端間の電圧は非常に大きくなるため、バリコン(バリキャップ)の利用は制約される。ワイヤレス給電装置6によれば共振用キャパシタC
TXの容量値を調節する必要がないため、バリコン等を使用する必要がないという利点もある。
【0137】
ここでは、第1スイッチSWc1、第4スイッチSWc4を含む第1ペアを、第1ハイサイドスイッチSWH1(駆動電圧V
DRV)の位相に対してθ
TX=90°遅れた位相でスイッチングさせる場合を説明したが、位相差θ
TXは90°である必要はなく、270°(−90°)であってもよい。この場合、キャパシタ電圧V
CA1が逆極性となるように自動的に調節されるからである。ただし、第1スイッチSWc1〜第4スイッチSWc4を片方向スイッチを用いて構成する場合には、逆導通素子に電流が流れない位相でスイッチングする必要がある。具体的には、
f
c<f
TXのときにθ
TX=90°
f
c>f
TXのときにθ
TX=270°
とすることが望ましい。
【0138】
また第1の実施の形態で説明したように、位相差θ
TXは、90°もしくは270°から外れていてもよい。
【0139】
続いて、ワイヤレス給電装置6の変形例を説明する。各変形例は、任意の他の変形例と組み合わせることができ、このような組み合わせも本発明の範囲に含まれる。
【0140】
図24は、第1の変形例に係るワイヤレス給電装置6aの構成を示す回路図である。
図24の電源10cはHブリッジ回路で構成される。送信アンテナ20および自動チューニング補助回路80aは、電源10cの第1出力端子OUT1と第2出力端子OUT2の間に直列に設けられる。さらに直流阻止用のキャパシタC2が、送信アンテナ20と自動チューニング補助回路80aと直列に設けられる。自動チューニング補助回路80aにおいて、第1補助キャパシタC
A5の一端(N2)は接地される。
【0141】
図24のワイヤレス給電装置6aによっても、これまで説明したワイヤレス給電装置と同様の効果を得ることができる。
【0142】
第1の実施の形態で説明したように、電源、自動チューニング補助回路、その両方は、トランスを介して送信アンテナ20とカップリングされてもよい。
図25(a)〜(c)は、それぞれ第2〜第4の変形例に係るワイヤレス給電装置6b〜6dの構成を示す回路図である。第1制御部40は省略される。
【0143】
図25(a)のワイヤレス給電装置6bでは、自動チューニング補助回路80aは、第6トランスT6を介して送信アンテナ20と直列にカップリングされる。具体的には、第6トランスT6の1次巻線W1が、送信アンテナ20と直列に設けられ、その2次巻線W2は、自動チューニング補助回路80aの第1端子61と第2端子62の間に設けられる。電源10cは、送信アンテナ20と第6トランスT6の1次巻線W1の両端間に駆動電圧を印加する。
【0144】
図25(b)のワイヤレス給電装置6cでは、電源10cは、第7トランスT7を介して、送信アンテナ20および自動チューニング補助回路80aとカップリングされる。電源10cは、第7トランスT7の1次巻線W1の両端に駆動電圧を印加する。送信アンテナ20および自動チューニング補助回路80aは、2次巻線W2と直列に設けられる。
【0145】
図25(c)のワイヤレス給電装置6dでは、ハーフブリッジ構成の電源10が、第7トランスT7を介して送信アンテナ20および自動チューニング補助回路80aとカップリングされる。電源10の出力端子と第7トランスT7の第1巻線W1の間には、直流阻止用のキャパシタC3が設けられる。
【0146】
さらに
図25(a)〜(c)の変形例を組み合わせて、電源、自動チューニング補助回路の両方を、送信アンテナに対してトランスで結合してもよい。
【0147】
これらの変形例によっても、これまで説明したワイヤレス給電装置と同様の効果を得ることができる。
【0148】
(ワイヤレス受電装置)
上述した第2の実施の形態に係る自動チューニング補助回路は、ワイヤレス受電装置にも利用することができる。以下では、ワイヤレス受電装置について説明する。
【0149】
図26は、第2の実施の形態に係るワイヤレス受電装置8の構成を示す回路図である。ワイヤレス受電装置8は、上述の、あるいは全く別構成のワイヤレス給電装置から送信される電力信号S1を受ける。電力信号S1は、電波になっていない電磁波の近傍界(電界、磁界、あるいは電磁界)が利用される。
【0150】
ワイヤレス受電装置8は、受信アンテナ50、自動チューニング補助回路90および電力を供給すべき負荷70を備える。負荷70には、図示しない整流回路、検波回路などが内蔵されてもよい。
【0151】
受信アンテナ50は、第1端51と第2端52の間に直列に設けられた受信コイルL
RXおよび共振用キャパシタC
RXを含む。
【0152】
自動チューニング補助回路90は、
図22の自動チューニング補助回路80と同様に構成される。具体的には、自動チューニング補助回路90、第1端子91、第5スイッチSWc5〜第8スイッチSWc8、第2補助キャパシタC
A6を備える。
【0153】
第5スイッチSWc5および第6スイッチSWc6は、第1端子91と第2端子92の間に直列に設けられる。第7スイッチSWc7および第8スイッチSWc8は、第1端子91と第2端子92の間に順に直列に、かつ第5スイッチSWc5および第6スイッチSWc6に対して並列に設けられる。第2補助キャパシタC
A6は、第5スイッチSWc5と第6スイッチSWc6の接続点N3と、第7スイッチSWc7と第8スイッチSWc8の接続点N4の間に設けられる。第2補助キャパシタC
A6の容量値は、共振用キャパシタC
RXに比べて十分に大きいことが望ましい。
【0154】
第2制御部94は、第5スイッチSWc5〜第8スイッチSWc8を、電力信号S1と同じ周波数で、かつ送信側においてアンテナに印加される駆動電圧(V
DRV)に対してある位相差θ
RXでスイッチングする。たとえばθ
RX=180°または0°であることが好ましい。
【0155】
自動チューニング補助回路90は、受信アンテナ50と直列にカップリングされる。また電力を供給すべき負荷70は、受信アンテナ50および自動チューニング補助回路90と直接に設けられる。
【0156】
以上がワイヤレス受電装置8の構成である。続いてその動作を説明する。ワイヤレス受電装置8の等価回路図は、
図15のワイヤレス受電装置4と同等である。ワイヤレス給電装置6における自動チューニング補助回路80と同様に、自動チューニング補助回路90は、補正電圧V
Aを受信アンテナ50に印加する補正電源と把握することができる。
【0157】
図27は、
図26のワイヤレス受電装置8の動作を示す波形図である。
図27は上から順に、第5スイッチSWc5〜第8スイッチSWc8、補正電圧V
A、受信アンテナ50に流れる共振電流I
RX、受信コイルL
RXと共振用キャパシタC
RXの両端間の共振電圧V
RXを示す。スイッチを示す波形は、ハイレベルがオン状態を、ローレベルがオフ状態を示す。
【0158】
第5スイッチSWc5および第8スイッチSWc8を含む第1のペアは、ワイヤレス給電装置側の駆動電圧V
DRVに対して180°または0°シフトした位相θ
RXで相補的にスイッチングされる。第6スイッチSWc6および第7スイッチSWc7を含む第2のペアは、第1のペアと相補的にスイッチングされる。共振電流I
RXは、第1のペアのオン時間T
ON1において、第5スイッチSWc5、第2補助キャパシタC
A6、第8スイッチSWc8を含む経路に流れ、第2のペアのオン時間T
ON2において、第6スイッチSWc6、第2補助キャパシタC
A6、第7スイッチSWc7を含む経路に流れる。
【0159】
第2補助キャパシタC
A6は、共振電流I
RXによって充放電され、その結果、第2補助キャパシタC
A6には、キャパシタ電圧V
CA6が発生する。そしてキャパシタ電圧V
CA6に応じた補正電圧V
Aが受信アンテナ50に印加されることにより、共振電流I
Aの位相が、送信側の駆動電圧V
DRVの位相と一致し、疑似共振状態が実現できる。
【0160】
疑似共振状態を実現するためには、第5スイッチSWc5および第8スイッチSWc8を適切な周波数f
TXおよび位相θ
RXでスイッチングさせる必要がある。そこでワイヤレス給電装置からワイヤレス受電装置8に対して、周波数f
TXおよび位相θ
RXを示すデータを送信してもよい。あるいはワイヤレス受電装置8は、位相θ
RXをスイープし、最適な位相θ
RXを検出してもよい。
【0161】
以上がワイヤレス受電装置8の動作である。
このように
図26のワイヤレス受電装置8によれば、共振用キャパシタC
RXの容量値を調節することなく、自動的に共振状態を実現することができる。
【0162】
続いてワイヤレス受電装置8の変形例を説明する。
【0163】
図26では、負荷70の一端を接地して基準電位としているが、負荷70の一端を接地する代わりに、自動チューニング補助回路90の第2補助キャパシタC
A6の一端、すなわち接続点N3またはN4の一方を接地してもよい。
【0164】
図28(a)、(b)は、第2、第3の変形例に係るワイヤレス受電装置の構成を示す回路図である。
【0165】
図26では、負荷70が受信アンテナ50と直列に接続される場合を説明したが、負荷70は別の位置に設けられてもよい。
図28(a)に示す第1の変形例に係るワイヤレス受電装置8aでは、自動チューニング補助回路90aの接続点N4が接地される。負荷70aは、第2補助キャパシタC
A6と並列に設けられる。すなわち負荷70aには、第2補助キャパシタC
A6に生ずるキャパシタ電圧V
CA6が供給される。
【0166】
図28(b)に示す第2の変形例に係るワイヤレス受電装置8bでは、負荷70bは、受信アンテナ50および自動チューニング補助回路90aと直列な経路に、第8トランスT8を介してカップリングされる。
【0167】
図28(c)、(d)は、負荷の構成例を示す回路図である。
図28(c)の負荷70cは、ダイオード整流回路72cと、負荷回路76を含む。
図28(d)の負荷70dは、同期検波回路72dと負荷回路76を含む。負荷回路は、
図20に示すようにさらにスイッチングレギュレータ74を備えてもよい。
【0168】
自動チューニング補助回路90は、受信アンテナ50に対してトランスを介して直列に結合されてもよい。
図29は、第3の変形例に係るワイヤレス受電装置8cの構成を示す回路図である。自動チューニング補助回路90aは、第9トランスT9を介して、受信アンテナ50と直列にカップリングされる。負荷は、受信アンテナ50および1次巻線W1と直列に設けられてもよいし、第2補助キャパシタC
A6と並列に設けられてもよい。
【0169】
これらの変形例によっても、
図26のワイヤレス受電装置8と同様の効果を得ることができる。
【0170】
図26のように受信アンテナ50と直列に負荷を接続した場合、負荷のインピーダンスが低い場合には、自動チューニング補助回路90による調整をしなくても、ある程度の電力を取り出すことができるという利点がある。一方で、負荷の抵抗成分によって受信アンテナ50のQ値が低下するため、大電力が取り出しにくくなる。
【0171】
反対に
図28(a)のように自動チューニング補助回路90aから電力を取り出す場合、負荷70によって受信アンテナ50のQ値が低下しないため、負荷70aのインピーダンスが高い場合でも、大電力を取り出すことができる。一方、負荷70aのインピーダンスが低すぎる場合、自動チューニング補助回路60の動作が阻害されるという問題がある。
【0172】
したがって、負荷をいずれの位置に配置するかは、送電すべき電力や、負荷のインピーダンス等を考慮して決定すればよい。
【0173】
第5スイッチSWc5〜第8スイッチSWc8は、双方向スイッチ、あるいは片方向スイッチのいずれかでも構成できる。片方向スイッチを用いる場合、それらのスイッチングの位相に注意を払う必要があることも、すでに説明した通りである。
【0174】
(ワイヤレス送電システム)
第2の実施の形態で説明したワイヤレス給電装置6とワイヤレス受電装置8を組み合わせることにより、ワイヤレス送電システムを実現できる。
【0175】
また、ワイヤレス給電装置6、ワイヤレス受電装置8の両方に自動チューニング補助回路を実装する場合を説明したが、本発明はそれには限定されない。
ワイヤレス給電装置6にのみ自動チューニング補助回路を設け、ワイヤレス受電装置は、従来のように共振用キャパシタC
RXの調節を行ってもよい。反対にワイヤレス受電装置8にのみ自動チューニング補助回路を設け、ワイヤレス給電装置6は、従来のように共振用キャパシタC
TXの調節を行ってもよい。
【0176】
さらには、ワイヤレス給電装置6にのみ自動チューニング補助回路を設け、ワイヤレス受電装置8は、一切の調節機構を有さなくてもよい。あるいはワイヤレス受電装置8にのみ自動チューニング補助回路を設け、ワイヤレス給電装置6は、一切の調節機構を有さなくてもよい。
これらの場合、単一の自動チューニング補助回路によって、電源10と負荷70の間のインピーダンスマッチングがとれるようにチューニングされ、高効率な電力伝送が可能となる。この場合に、自動チューニング補助回路のスイッチングの位相θ
TX(θ
RX)の最適値は90°もしくは270°(180°もしくは0°)から外れることに留意すべきである。
【0177】
あるいは、第1の実施の形態に係るワイヤレス給電装置2を、第2の実施の形態に係るワイヤレス受電装置8と組み合わせてもよいし、ワイヤレス受電装置4をワイヤレス給電装置6と組み合わせてもよい。
【0178】
以上、本発明について、第2の実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
【0179】
自動チューニング補助回路80を備えるワイヤレス給電装置6においては、共振用キャパシタC
TXを省略しても疑似共振状態が実現できる場合がある。この場合、共振用キャパシタC
TXを省略してもよい。同様に自動チューニング補助回路90を備えるワイヤレス受電装置8において、共振用キャパシタC
RXを省略してもよい。
【0180】
ワイヤレス給電装置6は、所定の規則(暗号コード)に従い、駆動電圧V
DRVの周波数f
TXおよび位相の少なくとも一方を変化させ、電力信号S1を暗号化する。暗号コードを知っているワイヤレス受電装置8は、その暗号コードにもとづき、自動チューニング補助回路90のスイッチング周波数、位相を制御する。その結果、電力信号S1が暗号化されている場合でも、それを復号して電力供給を受けることができる。暗号コードを知らないワイヤレス受電装置は、自動チューニング補助回路90のスイッチを適切に制御できないため、電力を受信することができなくなる。ワイヤレス電力伝送では、悪意の利用者による盗電が問題となりうるが、自動チューニング補助回路を利用することにより、この問題を解決することができる。
あるいは、単一のワイヤレス給電装置6が複数のワイヤレス受電装置8に給電する際に、自動チューニング補助回路を利用することにより端末毎の給電量を制御できる。
【0181】
自動チューニング補助回路30の用途は、ワイヤレス電力電送には限定されず、チューニングが必要なさまざまな用途に利用できる。
【0182】
(第3の実施の形態)
第1、第2の実施の形態において、単一の送信コイルL
TXあるいは単一の受信コイルL
RXが設けられていた。これに対して、第3の実施の形態では、複数の送信コイルL
TX、複数の受信コイルL
RXが設けられる。
【0183】
(ワイヤレス給電装置)
図30は、第3の実施の形態に係るワイヤレス給電装置3の構成を示す回路図である。ワイヤレス給電装置3は、複数n(nは2以上の整数)チャンネルの送信アンテナ20_1〜20_nを有する。各送信アンテナ20は、直列に接続された共振用キャパシタC
TXおよび送信コイルL
TXを有する。第3の実施の形態では、第1、第2の実施の形態ではひとつであった送信コイルL
TXが、複数の送信コイルL
TXに分割されており、これを本実施の形態において「コイル分割」と称する。各チャンネルの送信コイルL
TXは、共通の磁性体(コア)に巻き付けられており、磁気的に互いに結合されている。複数の送信コイルL
TXは空芯コイルであってもよい。この場合でも、コアを用いた場合に比べて結合度は低下するものの、コイル同士がある程度近接していれば複数の送信コイルL
TXは磁気的に結合される。
【0184】
複数チャンネルのひとつ(
図30においてはn番目のチャンネル)は、チューニングチャンネルとされる。チューニングチャンネルにおいて、上述のいずれかの実施の形態、あるいはその変形例で説明した自動チューニング補助回路30もしくは80が、送信アンテナ20_nと直列にカップリングされる。
【0185】
電源10は、チューニングチャンネルにおいて、送信アンテナ20_nと自動チューニング補助回路30(80)の両端間に、交流の駆動電圧V
DRVを印加する。また電源10は、その他のチャンネルにおいては、送信アンテナ20の両端間に交流の駆動電圧V
DRVを印加する。
【0186】
電源10は、チャンネルごとに設けられた電源10_1〜10_nを含む。各電源10_1〜10_n−1は、対応する送信アンテナ20_1〜20_n−1に駆動電圧V
DRVを印加し、電源10_nは、送信アンテナ20_nと自動チューニング補助回路30(80)の両端間に駆動電圧V
DRVを印加する。上述したように、駆動電圧V
DRVは、矩形波、台形波、正弦波をはじめとする任意の交流波形であって構わない。
【0187】
図31は、第3の実施の形態の第1の変形例に係るワイヤレス給電装置3aの構成を示す回路図である。この変形例において、送信アンテナ20_1〜20_nそれぞれの駆動電圧V
DRVが印加される端子を共通に接続し、単一の電源によって、送信アンテナ20_1〜20_nが駆動される。
【0188】
続いて、コイル分割の原理を説明する。
図32(a)は、単一のコイルを有するワイヤレス給電装置2rを、
図32(b)、(c)は、2個に分割されたコイルを有するワイヤレス給電装置を、
図32(d)は、N個に分割されたコイルを有するワイヤレス給電装置3を示す図である。
【0189】
図32(a)のワイヤレス給電装置は、単一の送信コイルL1と、共振用キャパシタC1を有し、
図1のワイヤレス給電装置2rに対応する。
図32(b)の送信コイルL1
1、L1
2は、
図32(a)の送信コイルL1を2分割したものであり、分割前の送信コイルL1のインダクタンスをLとするとき、分割後のコイルL1
1、L1
2のインダクタンスは、L/2であることが直ちに理解される。また、
図32(b)の共振用キャパシタC1
1、C1
2は、
図32(a)のキャパシタC1を2分割したものであり、キャパシタC1の容量値をCとするとき、共振用キャパシタC1
1、C1
2の容量値が2×Cであることが直ちに理解される。
【0190】
そして、
図32(b)のコイルL1
1、L1
2と、共振用キャパシタC1
1、C1
2の順序を任意に入れ替えたとしても、交流電源10から送信アンテナ(共振回路14)を見たインピーダンスは変わらない。したがって、各送信コイルL1
1、L1
2に流れる電流も変わらず、生成される電力信号S1の強度も同じである。つまり
図32(c)に示すように、分割された送信コイルL1と分割された共振用キャパシタC1が交互に配置されるように並び替えたとしても、
図32(a)と同じ強度の磁界を発生することができる。分割数を2より大きい整数Nに一般化すると、
図32(d)のワイヤレス給電装置3の構成が導かれる。この場合、分割されたコイルL1
1〜L1
nのインダクタンスはL/nであり、分割された共振用キャパシタC1
1〜C1
nの容量値は、n×Cである。
【0191】
図32(a)の送信コイルL1の両端間の電圧の振幅をV
L、共振用キャパシタC1の両端間の電圧の振幅をVC
とする。共振条件を満たすとき、V
L=V
Cが成り立つ。
図32(d)のワイヤレス給電装置3においては、分割された送信コイルL1
iの両端間の電圧はV
L/nで与えられ、分割された共振用キャパシタC1
iの両端間の電圧はV
C/nで与えられる。
【0192】
図32(d)のワイヤレス給電装置3の利点は、
図1のワイヤレス給電装置2rとの対比によって明確となる。
図1のワイヤレス給電装置2rによって大電力を供給するためには、送信コイルL1に大電流を流す必要があり、共振電圧V
C、V
Lは、数百Vあるいはそれ以上となりうる。
【0193】
ワイヤレス給電装置の現実的な用途を考慮すると、共振周波数の調整やQ値の変更のために、共振用キャパシタC1の容量値および/または送信コイルL1のインダクタンスは調節可能に構成しておく必要がある。ところが、共振電圧V
C、V
Lが数百Vの場合、耐圧が低いトランジスタ素子やダイオードなどの電子回路部品を用いることは、困難であるため、機械的な手段を用いる必要がある。
【0194】
これに対して
図32(d)のワイヤレス給電装置3によれば、コイル数nを増やすことにより、分割された送信コイルL1、分割された共振用キャパシタC1それぞれの共振電圧V
Ci、V
Liの振幅を小さくすることができ、これによりトランジスタ素子やダイオードなどの電子回路部品を用いた電気的手段によって、共振周波数やQ値の調節などが可能となる。言い換えれば分割数nは、共振電圧V
C1、V
L1が、電子回路部品が利用可能な程度まで低下するように決めればよい。電気的手段による共振周波数やQ値が調整は、モータ駆動のバリコンなどを用いた機械的な調整に比べて高速であるという利点もある。
【0195】
共振電圧V
C、V
Lを従来よりも小さくすることにより、トランジスタ素子を用いたインプリメントが可能となる。そしてトランジスタ素子に印加される電圧を数V程度まで下げることにより、CMOSプロセスを用いて半導体基板上に形成することができる。つまり複数の交流電源10を単一のICに集積化したり、共振用キャパシタC1や送信コイルL1の定数を変化させるためのスイッチ素子を単一のICに集積化することが可能となる。
【0196】
以下の考察により、
図32(d)のワイヤレス給電装置3から、
図30のワイヤレス給電装置3が導かれることが明らかになる。
図32(d)のワイヤレス給電装置3において、隣接する分割された送信コイルL1
iと分割された共振用キャパシタC1
iのペアは、共振回路14
iを形成していると把握できる。そして
図32(d)の交流電源10が生成する電気信号S2の電圧振幅をV
DRVとするとき、共振回路14
1〜14
nそれぞれには、V
DRV/nの電圧が印加されている。なぜなら各共振回路14
1〜14
nそれぞれのインピーダンスは等しいからである。
【0197】
したがって、
図30交流電源10_1〜10_nが生成する駆動電圧が、
図32(d)の交流電源10が生成する駆動電圧V
DRVの1/n倍であり、
図30の分割された送信コイルL1
1〜L1
nの結合度Kが、
図32(d)の分割された送信コイルL1
1〜L1
nの結合度Kと等しければ、
図30のワイヤレス給電装置3は、
図32(d)のワイヤレス給電装置3と同じ強度の電気信号S2を発生させることができる。
【0198】
以上がワイヤレス給電装置3の構成である。
【0199】
第1、第2の実施の形態において、送信アンテナ20には、数十〜数百Vを超える共振電圧が発生する。したがって、自動チューニング補助回路30(80)を構成するスイッチおよび補助キャパシタを、高耐圧素子を用いて構成する必要がある。
これに対して第3の実施の形態では、自動チューニング補助回路30(80)に印加される電圧が低下するため、低耐圧素子を用いて自動チューニング補助回路30(80)を構成することができる。したがって、低コスト化が実現でき、あるいは設計の自由度を高めることができる。
【0200】
さらに複数の送信コイルL
TXを磁性体により結合させた場合、あるチャンネルにおいて回路の状態を制御すると、その影響が他のチャンネルに及ぶ。言い換えれば、チューニングチャンネルの自動チューニング補助回路30(80)は、ワイヤレス給電装置3全体として擬似的な共振状態が成立するように動作することになる。したがって、すべてのチャンネルに自動チューニング補助回路30(80)を設ける必要がないため、回路を簡略化することができる。
【0201】
また、送信コイルの個数が増えることにより、送信コイルひとつが発生する磁束密度を下げることができるため、磁界の空間的な集中を抑制できる。これは、人体保護の観点において有利である。
【0202】
(ワイヤレス受電装置)
図33は、第4の実施の形態に係るワイヤレス受電装置5の構成を示す回路図である。ワイヤレス受電装置5は、複数n(nは2以上の整数)チャンネルの受信アンテナ50_1〜50_nを有する。各受信アンテナ50は、直列に接続された共振用キャパシタC
RXおよび受信コイルL
RXを有する。各チャンネルの受信コイルL
RXは、共通の磁性体(コア)に巻き付けられており、磁気的に互いに結合されている。複数の受信コイルL
RXは空芯コイルであってもよい。この場合でも、コアを用いた場合に比べて結合度は低下するものの、コイル同士がある程度近接していれば複数の受信コイルL
RXは磁気的に結合される。
【0203】
複数の受信アンテナ50により受信された電力は、共通の負荷70に供給される。負荷70と受信アンテナ50の接続態様は限定されず、上述のいずれかの形態を採用しうる。複数チャンネルのひとつ(
図33においてはn番目のチャンネル)は、チューニングチャンネルとされる。チューニングチャンネルにおいて、上述のいずれかの実施の形態、あるいはその変形例で説明した自動チューニング補助回路60もしくは90が、受信アンテナ50_nと直列にカップリングされる。
【0204】
以上がワイヤレス受電装置5の構成である。
このワイヤレス受電装置5によれば、受信アンテナ50の個数nを増やすにしたがい、共振用キャパシタC
RX、受信コイルL
RXそれぞれに生ずる共振電圧の振幅を小さくできる。
【0205】
第1、第2の実施の形態において、受信アンテナ50には、数十〜数百Vを超える共振電圧が発生する。したがって、自動チューニング補助回路60(90)を構成するスイッチおよび補助キャパシタを、高耐圧素子を用いて構成する必要がある。
これに対して第3の実施の形態では、自動チューニング補助回路60(90)に印加される電圧が低下するため、低耐圧素子を用いて自動チューニング補助回路60(90)を構成することができる。したがって、低コスト化が実現でき、あるいは設計の自由度を高めることができる。
【0206】
さらに複数の受信コイルR
TXを磁性体により結合させた場合、あるチャンネルにおいて回路の状態を制御すると、その影響が他のチャンネルに及ぶ。言い換えれば、チューニングチャンネルの自動チューニング補助回路60(90)は、ワイヤレス受電装置5全体として擬似的な共振状態が成立するように動作することになる。したがって、すべてのチャンネルに自動チューニング補助回路60(90)を設ける必要がないため、回路を簡略化することができる。
【0207】
また、受信コイルの個数が増えることにより、各受信コイルの周辺に発生する磁束密度を下げることができるため、磁界の空間的な集中を抑制できる。これは、人体保護の観点において有利である。
【0208】
(第4の実施の形態)
(ワイヤレス給電装置)
図34は、第4の実施の形態に係るワイヤレス給電装置3bの構成を示す回路図である。第3の実施の形態で説明したように、複数の送信コイルが、ある程度強く結合している場合、単一のチャンネルのみに自動チューニング補助回路30(80)を設けることにより、すべてのチャンネルにおいて、擬似的な共振状態を実現することができる。ところが、第3の実施の形態では、複数のコイル同士が結合している必要があるため、コイルのレイアウトに制約が生ずる。
【0209】
以下で説明する第4の実施の形態に係るワイヤレス給電装置3bは、複数のコイルの結合が弱い場合に利用可能である。
【0210】
図30のワイヤレス給電装置3では、チューニングチャンネルがひとつであったが、この実施の形態では、チューニングチャンネルは複数であり、チューニングチャンネルごとに自動チューニング補助回路30(80)が設けられる。
図34には、すべてのチャンネルに自動チューニング補助回路30(80)が設けられる場合を示す。
【0211】
続いて、
図34のワイヤレス給電装置3bの動作を説明する。ワイヤレス給電装置3bにおいて、各チャンネルの電源10は、送信アンテナ20および自動チューニング補助回路30(80)の両端間に、同じ位相で駆動電圧を印加する。また、各チャンネルの自動チューニング補助回路30(80)も、駆動電圧に対して同じ角度シフトした位相でスイッチングする。
【0212】
ワイヤレス給電装置3bの利点は、
図30のワイヤレス給電装置3との対比によって明確となる。そこで
図30のワイヤレス給電装置3において生じうる問題を説明する。理解の容易化のため、n=2であり、かつ2つのチャンネルの送信コイルの結合が非常に小さいものとする。
【0213】
いま、2つのチャンネルのコイルに対して、ワイヤレス受電装置が近接したとする。給電装置と受電装置はそれぞれが相互作用を及ぼす。ワイヤレス受電装置の近接により、各チャンネルそれぞれの共振条件が変化する。このとき、自動チューニング補助回路30(80)が設けられたチューニングチャンネルでは、擬似的な共振状態が成立するようにコイル電流の位相がシフトする。一方、他方の非チューニングチャンネルでは、そのチャンネルの送信アンテナ20とワイヤレス受電装置の合成インピーダンスに応じた位相で、コイル電流が流れる。
【0214】
このとき、2つのチャンネルの送信コイルに流れる電流の位相は一致しないため、2つのチャンネルの送信コイルが発生する電力信号(電磁界)は互いに打ち消し合ってしまい、ワイヤレス受電装置に、大きな電力を送信できない。
【0215】
これに対して、
図34のワイヤレス給電装置3bによれば、複数のチャンネルそれぞれにおいて、擬似的な共振状態が成立する。つまりすべてのチャンネルにおいて、一様に、コイル電流の位相が駆動電圧に対して90度シフトした状態となる。
【0216】
したがって、2つのチャンネルの送信コイルが発生する電力信号(電磁界)は打ち消し合わずに、ワイヤレス受電装置に大きな電力を送信できる。
【0217】
(ワイヤレス受電装置)
図35は、第4の実施の形態に係るワイヤレス受電装置5aの構成を示す回路図である。第3の実施の形態で説明したように、複数の受信コイルが、ある程度強く結合している場合、単一のチャンネルのみに自動チューニング補助回路60(90)を設けることにより、すべてのチャンネルにおいて、擬似的な共振状態を実現することができる。ところが、第3の実施の形態では、複数のコイル同士が結合している必要があるため、コイルのレイアウトに制約が生ずる。
【0218】
以下で説明する第4の実施の形態に係るワイヤレス受電装置5aは、複数のコイルの結合が弱い場合に利用可能である。
【0219】
図33のワイヤレス受電装置5では、チューニングチャンネルがひとつであったが、第5の実施の形態では、チューニングチャンネルは複数であり、チューニングチャンネルごとに自動チューニング補助回路60(90)が設けられる。
図35には、すべてのチャンネルに自動チューニング補助回路60(90)が設けられる場合を示す。
【0220】
続いて、
図35のワイヤレス受電装置5aの動作を説明する。ワイヤレス受電装置5aにおいて、各チャンネルの自動チューニング補助回路60(90)は、同じ位相でスイッチングする。
【0221】
図35のワイヤレス受電装置5aによれば、複数の受信コイルL
RX同士の結合が弱い場合に、大きな電力を受信し、負荷70に供給できる。
【0222】
図36(a)、(b)は、第4の実施の形態における複数の送信コイルもしくは受信コイルのレイアウト例を示す図である。
図36(a)では、複数の送信コイル(もしくは受信コイル)が、同一平面上に複数の配置される。
【0223】
図36(b)では、複数の送信コイル(もしくは受信コイル)が、異なる平面に配置される。より具体的には、各コイルのループを含む平面が、互いに垂直となるように配置される。
図36(a)のレイアウトでは、電力強度が非常に弱いヌル点が生じうるが、
図36(b)のレイアウトでは、ヌル点を減らすことができる。
【0224】
図36(a)、(b)に示すように、第4の実施の形態では、複数のチャンネルに自動チューニング補助回路を設けたことにより、複数の送信コイル同士、複数の受信コイル同士の結合度が低くてもよいため、柔軟なレイアウトが可能となる。
【0225】
実施の形態にもとづき本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。