(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5748866
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】高所作業台用保護レール
(51)【国際特許分類】
E04G 1/34 20060101AFI20150625BHJP
E04G 5/14 20060101ALI20150625BHJP
【FI】
E04G1/34 A
E04G5/14 301G
【請求項の数】14
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-550989(P2013-550989)
(86)(22)【出願日】2012年1月24日
(65)【公表番号】特表2014-507578(P2014-507578A)
(43)【公表日】2014年3月27日
(86)【国際出願番号】IB2012050331
(87)【国際公開番号】WO2012104748
(87)【国際公開日】20120809
【審査請求日】2013年10月4日
(31)【優先権主張番号】1101724.1
(32)【優先日】2011年2月1日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】513191837
【氏名又は名称】テレタワー.コム リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】ウエストン, リチャード
【審査官】
星野 聡志
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭59−024847(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3121487(JP,U)
【文献】
特開平10−121714(JP,A)
【文献】
特開2005−290763(JP,A)
【文献】
実開昭63−179354(JP,U)
【文献】
実開昭63−102850(JP,U)
【文献】
特開2006−342556(JP,A)
【文献】
特開平07−139149(JP,A)
【文献】
特開2003−020787(JP,A)
【文献】
特開平09−025718(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 1/34
E04G 5/14
E04G 7/34
E04G 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの末端と2つのサイドを具備する高所作業台に設置することができる折り畳み可能な構築物であって、
前記構築物は、前記台上の各末端に1つずつ配置される、2つの伸縮自在に折り畳み可能なラダーフレームを備え、
各ラダーフレームは、
伸縮自在に折り畳み可能な複数セクションを有する2つの縦棒と、
2つの縦棒における各セクション間でそれぞれ延在する横棒と、
縦棒セクションを前記ラダーフレームの拡張位置に固定するラッチ機構から形成され、
前記ラダーフレームの各々には、前記ラダーフレームが折り畳まれた状態の場合、前記横棒に対して平行した状態になる保護レールが備わり、
前記保護レールは、第一縦棒周りに回転可能に搭載され且つ第二縦棒に着脱可能に固定され、
前記保護レールは、同じラダーフレームの前記第二縦棒からの解放と前記第一縦棒周りの回転後に、前記台のサイドに平行する状態で他のラダーフレームの第二縦棒に接続できる、折り畳み可能な構築物。
【請求項2】
前記保護レールは、2つのパイプに接続しており、各々のパイプは、前記ラダーフレームにおける各縦棒の一番上のセクションにおいてスライド可能に収容される、請求項1に記載の折り畳み可能な構築物。
【請求項3】
各保護レールに接続している前記パイプは、不等長であり、これによって、短い方のパイプは前記第二縦棒から分離できる一方で、他のパイプは前記保護レールが前記第一縦棒の軸周りを回転できるように前記第一縦棒内で係合したままである、請求項2に記載の折り畳み可能な構築物。
【請求項4】
前記保護レールの一端は、前記第一縦棒に回転可能に固定される第一留め輪に固定され、
前記保護レールの他端は、着脱可能なラッチによって前記第二縦棒に着脱可能に固定される、請求項1に記載の折り畳み可能な構築物。
【請求項5】
前記着脱可能なラッチは、
前記第二縦棒上に搭載される留め輪の一部を形成するラッチピンと、
前記ラッチピンを収容する保護レール末端スロットと、
前記保護レールの末端にスライド可能に搭載される、係止位置において前記ラッチピンが前記スロットから抜け出るのを防止する機能を有する突端部を具備するスリーブと、を備える、請求項4に記載の折り畳み可能な構築物。
【請求項6】
スリーブは、前記突端部を前記係止位置に移動させるように付勢されたスプリングを備え、
前記突端部は、前記ラッチピンとの係合により、前記スプリングの作用に対抗して前記スリーブを自動的に後退させる傾斜表面を有する、請求項5に記載の折り畳み可能な構築物。
【請求項7】
前記突端部は、前記スリーブを前記保護レールに沿って第二留め輪の方へスライドさせることによって前記ラッチピンが解放されるように方向付けられている、請求項6に記載の折り畳み可能な構築物。
【請求項8】
前記保護レールは、配設すると、前記台よりも上の腰の高さに配置され、手摺りとしての役割を果たす、請求項1から7のいずれかに記載の折り畳み可能な構築物。
【請求項9】
前記保護レールは、配設すると、前記台よりも上の膝の高さに配置され、膝レールとしての役割を果たす、請求項1、4から7のいずれかに記載の折り畳み可能な構築物。
【請求項10】
2つの末端と2つのサイドを具備する高所作業台に設置することができる折り畳み可能な構築物であって、
前記構築物は、前記台上の各末端に1つずつ配置される、2つの伸縮自在に折り畳み可能なラダーフレームを備え、
各ラダーフレームは、
伸縮自在に折り畳み可能な複数セクションを有する2つの縦棒と、
2つの縦棒における各セクション間でそれぞれ延在する横棒と、
縦棒セクションを前記ラダーフレームの拡張位置に固定するラッチ機構から形成され、
前記ラダーフレームの各々には、2つの保護レール部品が備わり、各々の保護レール部品は、前記ラダーフレームにおける対応する前記縦棒の周りを回転可能であり、
前記保護レール部品は、前記ラダーフレームが折り畳まれると前記横棒に対して平行になり、互いが着脱可能に接続され、
保護レール部品の各々は、同じラダーフレームに搭載された他の保護レール部品からの解放と前記ラダーフレーム縦棒周りの回転後に、前記台のサイドに平行して延在する保護レールを形成するために他のラダーフレームに搭載された保護レール部品に着脱可能に接続できる、折り畳み可能な構築物。
【請求項11】
前記折り畳み可能な構築物は、壇であり、
前記保護レールは、前記台よりも上の膝の高さに配置され、
各保護レール部品は、支持体に結合しており、
前記支持体の下部末端は、前記ラダーフレームの一番下のセクション上をスライド可能に且つその周りを回転可能に留め輪と接続している、請求項10に記載の折り畳み可能な構築物。
【請求項12】
前記縦棒に回転可能に搭載され且つ前記膝レールに固定された留め輪と、前記支持体の下部末端に接続した前記留め輪は、前記膝レールが回転できる前記縦棒の軸に対して平行する硬質非伸縮性バーによって互いに接続する、請求項11に記載の折り畳み可能な構築物。
【請求項13】
前記保護レール部品は、他の保護レール部品の末端上をスライド可能且つ前記保護レール部品の1つにある後退可能なスリーブにより互いに接続できる、請求項10から13のいずれかに記載の折り畳み可能な構築物。
【請求項14】
前記スリーブは、前記保護レール部品の1つと前記スリーブに搭載された永久磁石によって両保護レール部品が重なる位置に保持される、請求項13に記載の折り畳み可能な構築物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮自在に折り畳み可能な構築物の高所作業台用保護レールに関する。
【0002】
発明の背景
EP 1392940には、高所作業台を備える折り畳み可能な足場タワーが開示されている。作業台が2本のはしご(伸縮自在に折り畳みが可能であり、台上に登るために用いられる)の上部と枢動可能に連結された壇も以前から提案されている。安全要件及び規則を満たすために、どのような高所作業台であっても保護レールによる囲いが必要である。
【0003】
EP 1392940において、足場タワーは適切な支柱及び筋交いによって互に接続した2つの伸縮自在な折り畳み可能ラダーフレームからなり、高所作業台の末端は向かい合う2つの横棒上に設置されている。かかる構造において、作業台より高いラダーフレームの横棒は、タワーの両サイドにおける保護レールとしての機能を果たすことができるが、少なくとも更に2本の保護レールがタワーの正面及び背面に必要である。
【0004】
同様に、壇の場合、台に対して平行状態になるように枢動可能である2つの短い折り畳み可能なラダーフレームを台の各末端にそれぞれ設けることが提案されている。これらのラダーフレームの横棒は、台末端における保護レールとしての役割を果たすことができるが、この場合も、更に2本の保護レールが壇の正面及び背面に必要である。
【0005】
本発明の目的
本発明は、折り畳み可能な構築物であって、高所台の上に立つ人を十分に保護すると共に、折り畳み可能な構築物とは別々に保管且つ運搬される保護レールを必要としないものを提供する。
【0006】
発明の開示
本発明によれば、
2つの末端と2つのサイドを具備する高所作業台に設置することができる折り畳み可能な構築物であって、
上記構築物は、上記台上の各末端に1つずつ配置される、2つの伸縮自在に折り畳み可能なラダーフレームを備え、
各ラダーフレームは、
伸縮自在に折り畳み可能な複数セクションを有する2つの縦棒と、
2つの縦棒における各セクション間でそれぞれ延在する横棒と、
縦棒セクションを上記ラダーフレームの拡張位置に固定するラッチ機構から形成され、
上記ラダーフレームの各々には、上記ラダーフレームが折り畳まれると上記横棒に対して平行する保護レールが備わり、
上記保護レールは、第一縦棒周りに回転可能に搭載され且つ第二縦棒に着脱可能に固定され、
上記保護レールは、同じラダーフレームの上記第二縦棒からの解放と上記第一縦棒周りの回転後に、上記台のサイドに平行する状態で他のラダーフレームの第二縦棒に接続できる、折り畳み可能な構築物が提供される。
【0007】
本発明の第二態様によれば、
2つの末端と2つのサイドを具備する高所作業台に設置することができる折り畳み可能な構築物であって、
上記構築物は、上記台上の各末端に1つずつ配置される、2つの伸縮自在に折り畳み可能なラダーフレームを備え、
各ラダーフレームは、
伸縮自在に折り畳み可能な複数セクションを有する2つの縦棒と、
2つの縦棒における各セクション間でそれぞれ延在する横棒と、
縦棒セクションを上記ラダーフレームの拡張位置に固定するラッチ機構から形成され、
上記ラダーフレームの各々には、2つの保護レール部品が備わり、各々の保護レール部品は、上記ラダーフレームにおける対応する上記縦棒の周りを回転可能であり、
上記保護レール部品は、上記ラダーフレームが折り畳まれると上記横棒に対して平行になり、互いが着脱可能に接続され、
上記保護レール部品の各々は、同じラダーフレームに搭載された他の保護レール部品からの解放と上記ラダーフレーム縦棒周りの回転後に、上記台のサイドに平行して延在する保護レールを形成するために他のラダーフレームに搭載された保護レール部品に着脱可能に接続できる、折り畳み可能な構築物が提供される。
【0008】
添付の図面を参照し、一例として、ここで本発明を更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、高所台の全周に手及び膝の高さの保護レールを提供する、高所台の各末端の1つに配設される折り畳まれたラダーフレームが2つ示されている。
【
図2-4】
図2から4は、
図1に示されるラダーフレームにおける保護レール配置の種々のステージを示している。
【
図5】
図5は、ラダーフレームの縦棒の1つに固定される、保護レールをラッチピンに係止するための着脱可能なラッチを通る断面図を示している。
【
図6】
図6は、ラダーフレームの縦棒の1つに固定される、保護レールをラッチピンに係止するための着脱可能なラッチを通る断面図を示している。
【0010】
好ましい実施形態の詳細な説明
図1は、折り畳まれた状態にある2つのラダーフレーム10及び12を示す。2つのラダーフレームは、高所台の両末端に設置されるものである。高所台は、EP 1392940に記載されているような足場タワーの台であってもよく、壇の一部を形成するものであってもよい。足場の場合、台は、2つのラダーフレーム10及び12を備える折り畳み可能なフレームに搭載してもよい。壇の場合、台の下に収容するために折り畳むことが可能な2本のサポートラダーと台とを枢動可能に永久接続させつつ、同様に、図示された2つのラダーフレーム10及び12と台とを台の上で折り畳めるように接続させてもよい。完全に組み立てられると、
図4に示すように、ラダーフレーム10及び12は、腰の高さ及び膝の高さで、保護レールによって台における全てのサイドが囲まれる安全なケージを提供する。
【0011】
ラダーフレーム10及び12の各々は、2つの縦棒20及び22を備える。これらは、伸縮自在に折り畳み可能な複数のチューブ状セクション(表記:20a、20b、20c及び22a、22b、22c)であって、次第に直径が小さくなるものから構成されている。横棒24a、24b及び24cは、セクション20aと22a、20bと22b及び20cと22cのそれぞれのペア間で延在するように搭載されている。ラダーフレーム10及び12を延ばすと、横棒24a〜24c自体が高所台の両末端で保護レールとしての役割を果たす。
【0012】
加えて、2つのラダーフレーム10及び12の各々は、腰の高さに配置される2つの追加保護レール30a及び30bと、膝の高さに配置される更に2つの追加保護レール32a及び32bを組み立てるための構成部品を備える。配設されると、これらの追加保護レール30及び32は、高所台のサイドに対して平行な状態、即ち、2つのラダーフレーム10及び12の横棒を含む平面に対して垂直な状態になる。
【0013】
保護レール30及び32に関する全ての構成部品は、折り畳まれるとラダーフレームの横棒に対して水平状態になる。この結果、それらを適切に収容することができ、それらのアセンブリのために別途保管する追加構成部品を必要としない点は重要である。
【0014】
保護レール30及び32は、それらの位置に起因して互いに異なる構成である。保護レール30a及び30bの場合、各々は、その両末端でパイプと接続している。上記パイプは、一番上の縦棒セクション20c及び22cとぴったりと合う直径を持つ。
図1において、2本の保護レール30a及び30bはそれぞれのラダーフレームの一番上の横棒24cの上にあり、各保護レール30のパイプは同じラダーフレーム10又は12の頂部セクション20c及び22cに収容されている。
図2に示すように、保護レール30は、それらを収容しているラダーフレームの上方セクション20c、22cから引き抜くことができ、90度回転させると縦棒へと元通りに差し込まれる。従って、保護レール30aのパイプの1つはラダーフレーム10の頂部縦棒セクション22cに収容される一方で、もう1つのパイプはラダーフレーム12の頂部縦棒セクション20cに収容される。保護レール30a及び30bは、このように、2つのラダーフレーム10及び12を互いに接続するように用いて、安定した自立式の骨組みを形成する。
【0015】
保護レール30a及び30bに接続するパイプの1つは、他のものよりも長いことが好ましく、そして、それと関係するラダーフレームから分離できないように(互いに分離出来ない縦棒セクションのように)、長い方のパイプに留め輪を設けることが好ましい。従って、各保護レール30a及び30bは、その短い方の末端が、関係している縦棒から離れるまで保護レールを単に上げて、それを90度回転させ、そして別のラダーフレームの縦棒に短い方のパイプを降ろすことによって配置させることができる。
【0016】
保護レールの末端を縦棒に接続させるこの方法は、膝の高さにある保護レール32a及び32bに対しては用いることができない。その代わりに、各保護レールの1つを縦棒20、22のうちの1つの周りを回転可能な留め輪に永久接続させてもよく、その一方で他方をもう1つの縦棒における回転可能な留め輪に着脱可能に接続させてもよい。
図5及び6は、ラダーフレームの縦棒の1つに固定された、保護レールをラッチピンに係止するための着脱可能なラッチを通る断面図を示す。
【0017】
図5及び6の保護レール36は、その一端において、図面の平面に対する垂線軸周りに回転可能であり、上記レールを指し示している側とは反対の側付近にスロット38が形成されている。スロット38は、向かい側のラダーフレームの縦棒に搭載された留め輪の一部を形成するラッチピン40を収容することができる。スリーブ42は、保護レールの末端上をスライド可能であり、スプリング44によって
図6に示される係止位置に付勢される。この位置において、スリーブ42の突端部46はラッチピン40の下で係合し、これがスロット38から滑り出ることを防止している。これによって、保護レール36は、向かい側の留め輪に固定される。スリーブ425を左に動かすと、
図5に図示されるように、ラッチピン40はもはや突端部46によっては妨げられず、保護レールはそれを留め輪から解放させるために時計回りに回転可能である。
【0018】
突端部46は、傾斜表面48を有するため、ピン40と突端部46とが接触するとスリーブ42が左へ移動する。従って、ラッチは、保護レール36にラッチピン40を降ろすと自動的に作動する。しかしながら、ラッチの解放には、スリーブ42を縦棒に向かう方向へ移動させる必要がある。台の上に立ち、自身を安定させるためにスリーブ42を偶発的に握持している不安定な人は、スリーブ42を隣接した縦棒から離れる方向に引こうとするため意図せずにラッチが保護レールから外れることはないだろう。
【0019】
図1から4に示される膝の高さの保護レール32の別の構成において、各保護レールは、2つの類似する部品に形成される。各部品は、横棒24bより上に設置され且つ縦棒セクション22cと相対変位してスライド可能な第一留め輪50と、横棒24a間に配置され且つ縦棒セクション22a上をスライド可能な第二留め輪52と、を備える。バー(bar)54は、2つの留め輪50と52との間に延在し、強固な折畳式アセンブリを形成する斜め支持体58及び保護レール56の半分を担持する。向かい側の縦棒の折畳式アセンブリとは、摺動スリーブ60によって互いに接続可能である。好ましくは、スリーブ60と半分の保護レール56における永久磁石が、両折畳式アセンブリの末端で重なるロック位置でスリーブを保持させる。
【0020】
図2において、同じラダー構築物における折畳式アセンブリは、互いに接続して、保護レールが横棒24と平行している。一方、
図4において、折畳式アセンブリは、90度回転して、保護レールが台のサイドと平行して延在した状態で互いに接続されている。