特許第5748867号(P5748867)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5748867
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】圧電素子が装着されたバイブレータ
(51)【国際特許分類】
   B06B 1/04 20060101AFI20150625BHJP
   B06B 1/06 20060101ALI20150625BHJP
   H01L 41/09 20060101ALI20150625BHJP
   H01L 41/053 20060101ALI20150625BHJP
【FI】
   B06B1/04 S
   B06B1/06 A
   H01L41/09
   H01L41/053
【請求項の数】11
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-555377(P2013-555377)
(86)(22)【出願日】2012年9月24日
(65)【公表番号】特表2014-512255(P2014-512255A)
(43)【公表日】2014年5月22日
(86)【国際出願番号】KR2012007654
(87)【国際公開番号】WO2013051806
(87)【国際公開日】20130411
【審査請求日】2013年8月27日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0101601
(32)【優先日】2011年10月6日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2012-0038057
(32)【優先日】2012年4月12日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2012-0038058
(32)【優先日】2012年4月12日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】510316556
【氏名又は名称】ハイソニック.カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HYSONIC.CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】チョン,フィ ウォン
(72)【発明者】
【氏名】ソ,ジョン シク
(72)【発明者】
【氏名】チョン,セ ジュン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ミン ギ
【審査官】 宮地 将斗
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/026736(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0212100(US,A1)
【文献】 特開2000−140759(JP,A)
【文献】 特開2009−195895(JP,A)
【文献】 特開平09−052071(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B06B 1/00−3/04
H02N 1/00−2/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状に構成されて両端が対象物に結合される振動部材と、
前記振動部材の上面または下面に結合される圧電素子と、
前記圧電素子に電源を印加する電源部を含んで成り、
前記振動部材は、
水平方向に備えられる第1の可動面及びそれぞれが前記第1の可動面の両端から下向きに折曲されて延長形成された第2の可動面を含んで成る可動部と、
前記可動部の両端に延長形成され前記対象物に結合される固定部から成り、
前記圧電素子は、前記第1の可動面に面接触して結合され、前記電源部から電源が供給されると撓み変形されて前記可動部を変形させて上下方向に振動を発生させる構成であって、
前記可動部は、一端が前記第2の可動面から可動部の内側に水平方向に折曲されて延長形成された第3の可動面をさらに含み、前記第3の可動面の他端が前記固定部に延長結合されると共に、
それぞれの前記固定部は、
前記第3の可動面から平行に延長形成された内側固定片と、それぞれが前記内側固定片の側面から外側方向に上向き折曲されて形成された外側固定片から成り、前記対象物に前記外側固定片が結合される
ことを特徴とする圧電素子が装着されたバイブレータ。
【請求項2】
前記外側固定片と対象物を結合させる締結部材をさらに含んで成り、前記外側固定片は前記第2の可動面方向に延長形成され、前記締結部材は前記第2の可動面と前記内側固定片との間で前記外側固定片と前記対象物を結合することを特徴とする請求項に記載の圧電素子が装着されたバイブレータ。
【請求項3】
前記第1の可動面の長さは、前記第2の可動面と第3の可動面の長さよりも長いことを特徴とする請求項に記載の圧電素子が装着されたバイブレータ。
【請求項4】
前記第2の可動面と第3の可動面の幅は、前記第1の可動面の幅よりも小さいことを特徴とする請求項に記載の圧電素子が装着されたバイブレータ。
【請求項5】
前記第1の可動面の下部に重量体が結合されることを特徴とする請求項1又は2に記載の圧電素子が装着されたバイブレータ。
【請求項6】
前記第1の可動面の両側面に重量体結合板が備えられ、前記重量体結合板との間に重量体が嵌合され、前記第1の可動面の下面に対して離隔するよう結合されることを特徴とする請求項に記載の圧電素子が装着されたバイブレータ。
【請求項7】
前記重量体結合板に対応する重量体の側面に、前記重量体結合板に対応する結合溝が形成されていることを特徴とする請求項に記載の圧電素子が装着されたバイブレータ。
【請求項8】
前記第3の可動面は、上下方向に動くことができる程度に前記対象物と離隔配置されるよう構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の圧電素子が装着されたバイブレータ。
【請求項9】
前記振動部材の下部に配置されて前記振動部材を前記対象物に結合させるベース部材を含んで成り、
前記ベース部材には、前記固定部の外側固定片に対応する位置に垂直固定片が備えられ、前記垂直固定片に対して前記外側固定片が結合され、前記第3の可動面が前記ベース部材の上面と離隔するよう結合されることを特徴とする請求項に記載の圧電素子が装着されたバイブレータ。
【請求項10】
前記電源部を制御して前記圧電素子に印加される電源を制御する制御部をさらに含んで成り、
前記圧電素子は、前記制御部によって印加される電源により変形され、前記振動部材の振動を発生させることを特徴とする請求項1に記載の圧電素子が装着されたバイブレータ。
【請求項11】
前記圧電素子に印加される電圧の周波数は、前記振動部材の固有振動数と一致する共振周波数であることを特徴とする請求項10に記載の圧電素子が装着されたバイブレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電素子が搭載されたバイブレータであって、圧電素子の変形を利用して振動を発生させる圧電素子が装着されたバイブレータに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、小型携帯端末機のタッチスクリーンまたはタッチパッドを介してハプティックフィードバック(Haptick Feedback)を実現するための研究が活発に行なわれている。
【0003】
これらの携帯端末機にハプティックフィードバックを提供するための装置として、振動発生装置が主に用いられているが、このような振動発生装置はソレノイドの原理を利用している。
【0004】
このようにソレノイドを利用した振動発生装置は、ボビンに巻き取られるコイルの数及び電流強度に比例して磁力を発生させる。
【0005】
従って、ソレノイドを用いた振動発生装置は、磁力の強度を増大して振動力を強化するためには、必然的に体積が大きくなったり、消費電力が多くなるという問題がある。
【0006】
このため、振動力を増大しながらも省エネルギーを実現して小型化が可能な振動発生装置の開発は、はるかに遠い実情である。
【0007】
また、従来の振動発生装置は、例えば特許文献1(大韓民国公開特許第2001-0108361)に開示されているように、スプリングによって支持される平板状の振動板に圧電素子が結合される構造であるので、より大きな振動のためには、より長い形状の振動板が求められる。振動板の長さが長くなる場合には、増加する長さに該当するスペースの拡大は避けられず、振動板が適用される電池機器の小型化には不利な短所がある。
【0008】
また、大韓民国登録特許公報第10−1016208号には、振動発生装置を用いたハイブリッド型アクチュエータが開示されている。
【0009】
図1は、このような従来の振動発生装置を用いたアクチュエータの側断面図である。
【0010】
図1に示すように、従来の振動発生装置を用いたハイブリッド型アクチュエータは、印加される電源の強度によって振動を発生させる振動発生装置(11、12)と、前記振動発生装置(11、12)の下部に離隔配置され、弾性を持つ下板20と、前記振動発生装置(11、12)及び下板20間に配置され、電磁気誘導による磁力を介して前記下板20を振動させる電磁力発生装置30と、前記振動発生装置(11、12)及び下板20が相互離隔して振動可能に、前記振動発生装置(11、12)の一端及び下板20の一端を固定する固定手段40を含んで成る。
【0011】
前記振動発生装置(11,12)は、振動部(11)及び圧電素子(12)から成る。
【0012】
前記振動部11は、上下方向に振動可能な薄板状の部材で、弾性体から成る。
【0013】
前記圧電素子12は、ピエゾ(piezo)アクチュエータであって、提供される電源の強度に応じて長手方向に拡張または収縮する。
【0014】
前記圧電素子12は、前記振動部11の一側に結合されて拡張及び収縮しつつ前記振動部11を上下方向に振動させる。
【0015】
しかし、従来の振動発生装置(11、12)を利用したアクチュエータは、ユーザの不注意や製品の落下試験などのその他の要因により強い衝撃が加えられると、前記振動部11が弾性限界点を超えて塑性変形されて作動が不可能な問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、従来技術の問題点を解決するために案出されたもので、本発明の第1の目的は、振動力を増大させながら省エネルギーを図り、小型化可能な圧電素子が装着されたバイブレータを提供する。
【0017】
本発明の第2の目的は、振動力を増大させながらも、より少ないスペースを占めて小型化可能な圧電素子が装着されたバイブレータを提供する。
【0018】
本発明の第3の目的は、振動力を増大させながら、外部の強い衝撃にも振動板の塑性変形を防止し、耐衝撃性が向上された圧電素子が装着されたバイブレータを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記第1の目的及び第2の目的を達成するための本発明の圧電素子が装着されたバイブレータは、平板状に構成されて両端が対象物に結合される振動部材と、前記振動部材の上面または下面に結合される圧電素子と、前記圧電素子に電源を印加する電源部を含んで成り、前記振動部材は、水平方向に備えられる第1の可動面及び、それぞれが前記第1の可動面の両端から下向きに折曲されて延長形成された第2の可動面を含んで成る可動部と、前記可動部の両端に延長形成されて前記対象物に結合される固定部から成り、前記圧電素子は、前記第1の可動面に面接触して結合され、前記電源部から電源が供給されると撓み変形され、前記可動部を変形させて上下方向に振動を発生させることを特徴とする圧電素子が装着されたバイブレータを提供する。
【0020】
前記可動部は、一端が前記第2の可動面から可動部の内側に水平方向に折曲されて延長形成された第3の可動面を含み、前記第3の可動面の他端が前記固定部に延長結合される。
【0021】
それぞれの前記固定部は、前記第3の可動面から平行に延長形成された内側固定片と、それぞれが前記内側固定片の側面から外側方向に上向き折曲形成された外側固定片から成り、前記対象物に前記外側固定片が結合される。
【0022】
前記外側固定片と対象物を結合させる締結部材を含んで成り、前記外側固定片は前記第2の可動面方向に延長形成され、前記締結部材は、前記第2の可動面と前記内側固定片との間で前記外側固定片と前記対象物を結合する。
【0023】
前記第1の可動面は、前記第2の可動面と第3の可動面の長さよりも長く形成されるのが好ましい。また、前記第2の可動面と第3の可動面は、前記第1の可動面の幅よりも小さく形成されるのが好ましい。
【0024】
前記第1の可動面の下部には、重量体が結合される。より詳しくは、前記第1の可動面の両側面に重量体結合板が備えられ、前記重量体結合板との間に重量体が嵌合されて前記第1の可動面の下面に対して離隔するよう結合される。この時、前記重量体結合板に対応する重量体の側面に前記重量体結合板に対応する結合溝が形成されているのが好ましい。
【0025】
前記第3の可動面は、上下方向に動くことができる程度に、前記対象物と離隔配置されるよう構成される。より詳しくは、前記振動部材の下部に配置されて前記振動部材を前記対象物に結合させるベース部材を含んで成り、前記ベース部材には、前記固定部の外側固定片に対応する位置に垂直固定片が備えられ、前記垂直固定片に対して前記外側固定片が結合され、前記第3の可動面が前記ベース部材の上面と離隔するよう結合される。
【0026】
前記電源部を制御して前記圧電素子に印加される電源を制御する制御部をさらに含んで成り、前記圧電素子は、前記制御部により印加される電源によって変形されて前記振動部材の振動を発生させ、前記圧電素子に印加される電圧の波形は、例えば、正弦波、三角波、矩形波などの様々な波形から成る。
【0027】
この時、前記圧電素子に印加される電圧の周波数は、前記振動部材の固有振動数と一致する共振周波数であることが好ましい。
【0028】
前記第3の目的を達成するための本発明の圧電素子が装着されたバイブレータは、上面または下面が振動発生対象物に結合されるケースと、前記ケースの内部に結合される振動部と、前記振動部に結合されて撓み変形されながら前記振動部を上下及び側方向に振動させる圧電素子と、前記圧電素子に電源を印加する電源部と、を含んで成り、前記振動部には側方向に係止突起が突出形成され、前記ケースには、前記係止突起の上下移動距離を制限する係止溝が形成される。
【0029】
前記係止溝は、前記ケースの側面に形成されて前記係止突起が挿入配置され、前記係止溝の上下離隔距離は前記係止突起の上下の厚さよりも長く、前記係止突起は前記係止溝の上面または下面に接して上下及び側方向移動が制限される。
【0030】
前記振動部は、平板状に形成され、両端が下向き折曲されて前記ケースに結合され、上部に前記圧電素子が結合されて前記圧電素子によって振動する振動板と、前記係止突起が突出形成され、前記振動板の下部に結合されて前記振動板と共に振動する重量体と、から成り、前記係止突起により前記圧電素子の変形が制限される。
【0031】
前記重量体は、増量部と、前記増量部と振動板を結合させるコネクタと、から成り、前記コネクタには前記係止突起が一体に突出形成され、前記増量部はタングステン材質から成る。
【0032】
前記圧電素子は、2つで構成されて前記振動板の上部に結合され、2つの前記圧電素子は、前記振動板の中心部を基準に相互離隔配置される。
【0033】
前記振動板の上部に結合されて2つの前記圧電素子の間に配置される第1のダンパと、前記重量体の下部に結合される第2のダンパと、をさらに含んで成る。
【0034】
前記第3の目的を達成するための本発明の圧電素子が装着されたバイブレータは、上面または下面が振動発生対象物に結合されるケースと、前記ケースの内部に結合される振動板と、前記振動板に結合されて撓み変形されながら前記振動板を上下方向に振動させる圧電素子と、前記圧電素子に電源を印加する電源部と、を含んで成り、前記ケースは、ベースと、前記ベースの両側からそれぞれ突出形成され、前記振動板の両側が結合されて前記振動板を上下方向に弾性支持する支持部と、を含んで成り、外部の衝撃によって撓み変形される前記振動板は前記支持部が共に撓み変形されながらその変形量が減少する。
【0035】
前記支持部の厚さは、前記振動板の厚さよりも薄い。
【0036】
前記支持部は、前記ベースの両端からそれぞれ前記振動板が配置された内側方向に突出形成され、前記支持部は、数回折曲形成されて前記振動板を上方向に弾性支持する。
【0037】
前記支持部は、前記ベースと垂直を成す垂直部と、前記垂直部から延長形成され、前記ベースの下面と離隔して平行な水平部と、から構成され、前記垂直部と水平部は反復的に延長形成されて前記振動板に結合される。
【0038】
前記振動板の下部に結合されて前記振動板と共に振動する重量体をさらに含んで成り、前記重量体には、側方向に係止突起が突出形成され、前記ケースには、前記係止突起の上下移動距離を制限する係止溝が形成される。
【発明の効果】
【0039】
〔産業上の利用可能性及び効果〕
本発明に係る圧電素子が装着されたバイブレータは、次のような効果がある。
【0040】
実質的に振動が行われる振動部材が長く、より確実な振動を発生させることができる上に、電子機器で占めるスペースが大きくないだけでなく、振動力を増大させながらも低電力を消費するので、電子機器の小型化に有利である。
【0041】
圧電素子が結合された振動部に係止突起が突出形成されて振動部の上下及び側方向移動距離が制限されることで、外部の強い衝撃にも振動部の過度な変形による塑性変形を防止して耐衝撃性を向上させることができる。
【0042】
また、圧電素子が結合された振動部に係止突起が突出形成されて振動部の上下及び側方向移動距離が制限されることで、圧電素子の過度な変形を制限して圧電素子の破損を防止することができる。
【0043】
また、振動板の下部に比重の大きいタングステンから成る重量体が結合されて共に振動することで、より長い周期の振動でも振動部の共振周波数と一致することになり消費電力を削減しながら、振動力を増大させることができる。
【0044】
また、2つの圧電素子は、振動板の中心部を基準に相互離隔することにより、変形が最大に発生する振動板の中心部によって圧電素子が過度に変形することを防止することができる。
【0045】
また、振動板の上部及び重量体の下部に第1のダンパと第2のダンパが結合されて振動部の振動時にベース及びカバーに接することによって、振動部の振動時に発生する衝撃を吸収して減少させることができる。
【0046】
ベースから突出形成された支持部が振動板を弾性支持して外部の衝撃発生時に支持部が振動板と共に撓み変形されながら、振動板の撓み変形を減少させるので、外部の強い衝撃にも振動板の過度な変形による塑性変形を防止して耐衝撃性を向上させることができる。
【0047】
また、支持部の厚さは、振動板の厚さよりも薄く作製されて外部から強い衝撃が加えられたときに、支持部により多くの変形が発生し振動板が上下方向に振動することによって、振動板の過度な変形及び圧電素子の破損を防止することができる。
【0048】
また、圧電素子が結合された振動板に係止突起が突出形成された重量体が結合されて振動板の上下移動距離が制限されることで、圧電素子の過度な変形を制限して圧電素子の破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】従来の振動発生装置を用いたアクチュエータの側断面図である。
図2】本発明の好ましい第1の実施形態に係るバイブレータの分解斜視図である。
図3】本発明の好ましい第1の実施形態に係るバイブレータにおいて振動部材、圧電素子及び重量体が結合されている様子を示した斜視図である。
図4】本発明の好ましい第1の実施形態に係るバイブレータに適用される振動部材の一部様子を示す図である。
図5図2の構成要素にベース部材が結合されている様子を示す縦断面図である。
図6図2のA−A断面図であって、図6(a)は、作動前の様子を示す図、図6(b)は、振動部材が上方向に振動する様子を、図6(c)は、振動部材が下方向に振動する様子を示す図である。
図7】本発明の第2の実施形態に係る圧電素子が装着されたバイブレータの斜視図である。
図8】本発明の第2の実施形態に係る圧電素子が装着されたバイブレータの分解斜視図である。
図9図2のB−B線を取って見た断面図である。
図10図2のC−C線を取って見た断面図である。
図11】本発明の第3の実施形態に係る圧電素子が装着されたバイブレータの斜視図である。
図12】本発明の第3の実施形態に係る圧電素子が装着されたバイブレータの分解斜視図である。
図13図2のD−D線を取って見た断面図である。
図14図2のE−E線を取って見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
<第1の実施形態>
以下、本発明は、添付された図面を参照して、より詳細に説明する。本発明を説明するにあたって、既に公知された機能或いは構成に対する説明は、本発明の要旨を明瞭にするために省略する。
【0051】
図1には本発明の好ましい第1の実施形態に係るバイブレータが概略的に示されており、図2には、本発明の好ましい第1の実施形態に係るバイブレータにおいて振動部材、圧電素子及び重量体が結合されている様子が示されている。図3は、本発明の好ましい第1の実施形態に係るバイブレータに適用される振動部材の一部様子が示されており、図4は、図2の構成要素のベース部材が結合されている様子が示されている。
【0052】
本発明に係るバイブレータは、図1に示すように、振動部材110、圧電素子130、電源部(図示せず)、重量体150、ベース部材170及びカバー部材180をすべて含んで成るか、或いはこれらのうち一部のみを含んで成り得る。これについては、上記課題の解決手段及び特許請求の範囲に区分されている。以下では、図1に示されているバイブレータの分解斜視図を基に、本発明を説明する。ここで、カバー部材180は、バイブレータを成す必須な構成ではなく、単に外観を成すために求められるものと理解されなければならない。
【0053】
図1図4を参照すると、本発明の一つの好ましい第1の実施形態に係るバイブレータは、振動部材110、圧電素子130、電源部(図示せず)、重量体150及びベース部材170を含む。
【0054】
振動部材110は、符号112、114及び116で示されている可動部と符号20で示されている固定部から構成される。前記可動部(112、114及び116)の一端116と、前記固定部120の一端122は、互いに延ばす形で結合される。より詳細な説明は後述する。
【0055】
振動部材110に含まれる前記可動部(112、114及び116)は、図示されたように水平方向に備えられる第1の可動面112、それぞれが前記第1の可動面112の両端から下方に折曲されて延長形成された第2の可動面114と、それぞれが前記第2の可動面114から可動部(112、114及び116)の内側に水平方向に折曲されて延長形成された第3の可動面116で構成される。これらの振動部材110またはこれに含まれる可動部は、少なくとも圧電素子130の撓み変形に連動して共に撓み変形できる材質で構成されるか、或いは肉厚を持たなければならない。本明細書を完全に理解した当業者であれば、これの材質及び/または肉厚を十分に考慮して選択することもできる。
【0056】
第1の可動面112の上面には、図示されたように粘着剤によって形成される粘着層32の粘着力により圧電素子130が面接触して結合される。第1の実施形態では、圧電素子130が、第1の可動面112の上面に結合されているが、第1の可動面112の下面にも結合できることは勿論である。また、第2の可動面114と第3の可動面116のうちいずれか、または両方にも結合されることができる。これらすべては本発明の範囲に属する。
【0057】
圧電素子130に電源が印加されると、圧電素子130が撓み変形され、このような圧電素子130に発生された撓み変形に連動して圧電素子130が結合されている第1の可動面112も撓み変形される。
【0058】
これにより、第1の可動面112に延長されている第2の可動面114と、第2の可動面114に延長されている第3の可動面116が順次撓み変形されて、これらが含まれている振動部材110が振動することになる。このように発生された可動部(112、114及び116)の振動は、後述する固定部120を経てベース部材170に伝達され、ベース部材170に伝達された振動は、最終的に振動させようとする対象物に伝達される。第1の実施形態では、固定部120とベース部材170が別途備えられて締結部材76によって結合されているが、固定部120とベース部材170無しに可動部(112、114及び116)の一端116が振動させようとする対象物に直接結合されて振動させることもできる。このような場合には、可動部(112、114及び116)の第3の可動面が上下方向に何ら障害なく振動できる下部スペースが求められる。これについては図5を参照して後述する。本発明で使用される圧電素子130は広く公知されているので、これに対する詳細な説明は省略する。図示されてはいないが、圧電素子130には、電源を印加するための電源部が電気的に連結される。
【0059】
第1の可動面112は、図示されたように、第2の可動面114及び/または第3の可動面116よりも長く形成される。これと関連して、第1の可動面112に結合された圧電素子130が撓み変形されるとき、前記第1の可動面112も共に撓み変形されるが、このとき第1の可動面112の長さが長くなると、第1の可動面112の撓み変形の幅が大きくなり、より大きな振動を発生させることができる。
【0060】
可動部(112、114及び116)の両端、すなわち、第3の可動面116には、前記ベース部材170に結合されるそれぞれの固定部120が延長形成される。
【0061】
それぞれの固定部120は、図示されたように、前記第3の可動面116から平行に延長形成される内側固定片122と、それぞれが前記内側固定片122の側面から外側方向に上向き折曲形成された外側固定片123で構成される。
【0062】
外側固定片123の外方部分、すなわち、第2の可動面114方向に延長形成された部分のうち、第2の可動面114と前記内側固定片122間の部分は、符号176で示されている締結部材によってベース部材170と結合される。本発明に属するものの、若し外側固定片123の内方部分を介してベース部材170との結合が行われる場合には、振動部材110の第1の可動面112と第3の可動面116が、これらの締結のために嵌められる締結部材76に衝突する可能性が高くなり、振動部材110の振動を制限する可能性がある。このような理由から、振動部材110のより確実な振動を保障するためには、上述したように外側固定片123の外方延長部を介してベース部材170との結合が行われることが好ましい。
【0063】
このように、固定部120をベース部材170に固定させるためには、前記外側固定片123には、符号124で示されている締結孔が形成され、ベース部材170には、図示されたような締結孔124が形成されている垂直固定片174が備えられる。ベース部材170の垂直固定片174に対して振動部材110の外側固定片123を締結する際には、図4に示されているように、少なくとも振動部材110の第3の可動面116が圧電素子130の撓み変形によって何ら障害なく上下方向に自由に動くことができるように前記第3の可動面116が、前記ベース部材170から離隔するよう結合しなければならない。これは、圧電素子130の撓み変形によって振動部材110の第1の可動面112から第3の可動面116まで全て振動するようにして、小さなスペースでより大きな振動が起こるようにするためである。第1の実施形態では、固定部120がベース部材170に結合されているが、前記ベース部材170無しに振動させようとする対象物に固定部120が直接結合されることができるのは言うまでもない。
【0064】
振動部材110の第1の可動面112の下部には、図示されたように重量体150が、前記第1の可動面112と離隔するよう結合される。より詳しくは、第1の可動面112の両側面には、図示されたような重量体結合板122が備えられ、重量体結合板122に対応する重量体150の側面には、前記重量体結合板122が嵌合可能な結合溝158が形成される。重量体150は、この側面に形成されている結合溝158に第1の可動面112の両側面に備えられる重量体結合板122を嵌合させることにより、第1の可動面112の側面に離隔するよう結合される。重量体30は、前記振動部材110の振動時に振動の発生量をより大きくする役割をする。第1の可動面112と重量体150を離隔して配置することは、圧電素子130により、第1の可動面112が上方向に撓み変形される時に、重量体150の上側角部が接触されないようにすることで、振動部材110をしてより自由な振動が誘発されるようにするためである。
【0065】
このように、上面に圧電素子130が結合された振動部材110とベース部材170間の締結がなされた後は、カバー部材180が、前記ベース部材170に結合される。カバー部材180とベース部材170との間の結合のために、ベース部材170の両端と、これに対応するカバー部材180の両端には締結溝188がそれぞれ形成され、これらの締結溝188を介して符号78で示されている締結部材が嵌められることにより、最終的にカバー部材180がベース部材170に装着される。
【0066】
図5は、図2のA−A断面が示されている。特に、図5(a)には、作動前の断面が示されており、図5(b)には、振動部材が上方向に(upward)振動する断面様子が図示され、図5(c)には、振動部材が下方向に(downward)振動する断面様子が示されている。
【0067】
上記の構成を有する本発明の好ましい第1の実施形態に係るバイブレータは、圧電素子130に電源が印加される前には、図5(a)に示すように、振動部材110の何ら変形もなく保持されるが、圧電素子130に電源が印加されるとこの撓み変形に連動して図5(b)と(c)に示すように、振動部材110も撓み変形されて上下方向に動くようになる。
【0068】
このとき、振動部材110が上方向に動く時には、図5(b)に示すように、第1の可動面112の上方向の動きだけではなく、第2の可動面114の内側方向の動きと第3の可動面116の上方向の動きが同時に行なわれる。逆に、振動部材110が下方向に動く時には、図5(c)に示すように、第1の可動面112の下方向の動きだけではなく、第2の可動面114の外側方向の動きと第3の可動面116の下方向の動きが同時に行なわれる。つまり、このような本発明の構成において、振動部材110の実質的な振動は、第1の可動面112から第3の可動面116まで行われるが、それぞれの可動面(12、14、16)が一直線を成しているときよりも、かなり小さなスペースのみが求められる。
【0069】
この時、第3の可動面116の下面が、前述したように振動させようとする対象物またはベース部材170と十分に離隔されており、振動部材110の上方向の動きを制限しない(図5を参照)。また、第1の可動面112も前述したように重量体150から十分に離隔されており、振動部材110の上方向の動きを制限しない(図4を参照)。
【0070】
また、本発明は、前記電源部を制御して前記圧電素子130に印加される電源を制御する制御部(図示せず)をさらに含んで成る。
【0071】
この時、前記圧電素子130に印加される電圧の波形は、例えば、正弦波、三角波、矩形波などの様々な形態で成り得る。
【0072】
そして、前記圧電素子130に印加される電圧の周波数は、前記振動部材110の固有振動数と一致する共振周波数になるようにする。これにより、前記圧電素子130に電圧が印加されると、印加される電圧の周波数が、前記振動部材110の固有振動数と一致するので、前記振動部材110の変位量を最大化して振動特性をより一層向上させることができる。
【0073】
この時、前記圧電素子130に印加される電圧の周波数は、100〜350Hzであることが好ましい。すなわち、前記振動部材110の固有振動数は、100〜350Hzの周波数であり、前記圧電素子130に印加される電圧の周波数も100〜350Hzであるため、共振現象により前記振動部材110の変位量を大きくすることができる。
<実施形態2>
図7は、本発明の第2の実施形態に係る圧電素子が装着されたバイブレータの斜視図、図8は、本発明の第2の実施形態に係る圧電素子が装着されたバイブレータの分解斜視図、図9は、図7のB−B線を取って見た断面図、図10は、図7のC−C線を取って見た断面図である。
【0074】
本発明の第2の実施形態に係る圧電素子が装着されたバイブレータは、図7ないし図10に示されたように、ケース210、振動部220、圧電素子230、電源部240、第1のダンパ250及び第2のダンパ260から成る。
【0075】
前記ケース210は、上面または下面が振動発生対象物に結合され、ベース210aと前記ベース210aに結合されるカバー210bから成る。
【0076】
前記ベース210aは、下面が前記対象物に面接触して固定され、上部が開放され、内部に前記振動部220、圧電素子230、電源部240、第1のダンパ250及び第2のダンパ260が挿入配置される。
【0077】
前記カバー210bは、前記ベース210aに結合されて前記ベース210aの上部を覆う。
【0078】
このような前記ケース210には、前記振動部220に形成された係止突起225の上下及び側方向の移動距離を制限する係止溝211が形成される。
【0079】
図7及び図8に示されたように、前記ベース210aの側面上端には、下方向に凹溝211aが形成され、前記カバー210bは、前記ベース210aに形成された溝211aに挿入される突起11bが形成され、相互結合された前記ベース210aとカバー210bとの間に前記係止溝211が形成される。
【0080】
前記係止溝211には、前記係止突起225が挿入配置される。
【0081】
このような前記係止溝の上下離隔距離は、前記係止突起225の上下の肉厚よりも長く形成され、前記係止溝211で前記係止突起225が上下移動し、前記係止溝211によって前記係止突起225の上下及び側方向の移動距離が制限される。
【0082】
さらに詳しい説明は、前記係止突起225と共に後述する。
【0083】
一方、前記ケース210には、前記の係止溝211を形成することなく前記係止突起225の上下移動を制限できるよう内側方向に別途の突起を形成することもできるが、第2の実施形態のように、前記ケース210に、前記係止溝211を形成して前記係止突起225が挿入配置されるようにすることで、前記ケース210の体積を最小化することができる。
【0084】
前記振動部220は、前記ケース210の内部に結合され、側方向に前記係止突起225が突出形成される。
【0085】
前記振動部220は、振動板221と重量体222とから成る。
【0086】
前記振動板221は、図8及び図9に示すように、平板状に形成され、両端が下向き折曲された後、相対する方向に折曲される。
【0087】
つまり、前記振動板221の両端は、相対する方向に開放された、‘⊂’状に形成されて前記ベース210aに結合される。
【0088】
そして、前記振動板221は、上部に前記圧電素子230が結合されて前記圧電素子230によって振動する。
【0089】
前記重量体222は、前記振動板221の下部に結合されて前記振動板221と共に振動し、増量部223とコネクタ24から成る。
【0090】
前記増量部223は、タングステン材質から成り、前記コネクタ24により前記振動板221の下部に結合される。
【0091】
タングステンは比重が14〜19.5程度で、7〜8程度の比重を持つ鉄やその他の金属に比べて比重が非常に大きい。
【0092】
そのため、前記の増量部223は、比重の大きいタングステン材質から成り、他の金属材質に比べて前記増量部223の体積を増加させることなく、前記振動部220の質量をさらに増加させたり、同一の質量で体積をさらに小さく形成することができる。
【0093】
また、前記増量部223の質量が増加すると、前記振動部220の共振周波数が小さくなり、前記圧電素子230により前記振動部220が振動する時、共振現象による振動力の増大が容易になる。
【0094】
前記コネクタ24は、前述したように、前記増量部223を前記振動板221に結合させ、前記係止突起225が一体に突出形成される。
【0095】
前記コネクタ24は、前記増量部223と一体形成され、前記振動板221に結合されることができるが、前記増量部223は、タングステン材質から成って加工が難しいため、加工が容易な材質として、その形状を加工して前記増量部223と振動板221を結合させる。
【0096】
前記係止突起225は、前述したように、側方向に突出形成されて前記係止溝211に挿入配置され、図10に示すように、前記係止溝211の上面(R)または下面(F)に接して上下移動距離が制限される。
【0097】
また、前記係止突起225は、前記係止溝211に挿入配置されて側方向、すなわち、前記振動板221の長手方向移動が制限される。
【0098】
また、図10(a)に示すように、前記圧電素子230に電流が印加される前の状態で、前記係止突起225と前記係止溝211の上面(R)との間の距離は、前記圧電素子230とカバー210bとの間の距離よりも短く、前記係止突起225と前記係止溝211の下面(F)間の距離は、前記増量部223とベース210aとの間の距離よりも短い。
【0099】
このように、前記係止突起225が、前記係止溝211に挿入されて上下移動距離が制限されることによって、外部の強い衝撃にも前記振動板221の過度な変形による塑性変形を防止して耐衝撃性を向上させることができる。
【0100】
特に、バイブレータの作製後、製品に発生し得る強い衝撃に対するテストのために、製品を自由落下させる落下実験の際にも、前記振動板221が衝撃によって塑性変形されず、正常に動作され、振動することができる。
【0101】
このため、前述したようなバイブレータが装着された携帯端末機などの一般的な使用環境でも外部からの衝撃に強い特性を持つようになる。
【0102】
また、前記係止突起225の上下及び側方向の移動距離が制限されることによって、前記振動部220に結合された前記圧電素子230の過度な変形を制限して前記圧電素子230の破損を防止することができる。
【0103】
前記圧電素子230は、外部からの衝撃時に前記振動板221に結合された前記増量部223により前記振動板221を振動させるための変形量よりも、多く変形されるため、弾性限界点を超えて破損し得る。
【0104】
これにより、前述したように、前記係止突起225によって前記圧電素子230が結合された前記振動部220の上下及び側方向の移動距離を制限して前記圧電素子230に過度な変形が発生することを防止する。
【0105】
前記圧電素子230は、前記振動部220に結合されて撓み変形されながら前記振動部220を上下方向に振動させる。
【0106】
前記圧電素子230は、前記振動板221に面接触して結合され、前記電源部240から電源を印加されて上下方向に撓み変形される。
【0107】
また、撓み変形される前記圧電素子230により、前記振動板221が上下方向に振動する。
【0108】
この際、前記増量部223が共に振動し、前記圧電素子230によって発生された振動周波数と前記振動部220の固有振動数が一致すると、共振現象により振動力が増大する。
【0109】
前述したように、前記増量部223は、他の素材に比べて比重が大きいタングステンから成るので、振動力を増大させたり、或いは消費電力を低減させることができる。
【0110】
このように、前記振動部220の振動力が増大するにつれて、前記圧電素子230は変形量が増加する。
【0111】
そのため、前記振動部220と共に振動する前記係止突起225を前記係止溝211に挿入配置して、上下及び側方向移動距離を制限することにより、前記圧電素子230の変形量を制限して前記圧電素子230が過度な変形により破損することを防止する。
【0112】
これらの前記圧電素子230は、2つで構成されて前記振動板221の上部に結合される。
【0113】
2つの前記圧電素子230は、図9に示すように、前記振動板221の中心部を基準に左右相互に離隔配置される。
【0114】
前記圧電素子230は1つから成り、前記振動板221の上部に結合されることもできるが、前記振動板221の振動時に前記振動板221の中心部で最も多くの変形が発生するため、前記圧電素子230を前記振動板221の中心部から離隔させて撓み変形による破損を防止する。
【0115】
前記第1のダンパ250は、前記振動板221の上部に結合されて2つの前記圧電素子230の間に配置される。
【0116】
また、前記第2のダンパ260は、前記重量体222の下部に結合される。
【0117】
前記第1のダンパ250と第2のダンパ260は、図10に示すように、前記振動板221と増量部223が共に振動する時、前記ベース210aとカバー210bに最初に当たりながら衝撃を吸収して前記振動部220が振動する時、または前記係止突起225が、前記係止溝211の上面(R)及び下面(F)に当たるときに発生する衝撃を吸収して減少させる。
【0118】
以下、前述した構成から成る本発明の作動過程について見てみる。
【0119】
図9(a)及び図10(a)は前記圧電素子230に電源が印加されていない初期状態で、前記圧電素子230及び振動部220の変形はない。
【0120】
このような状態で、前記圧電素子230に電源が印加されると、前記圧電素子230に撓み変形が発生し、図9(b)及び図9(c)に示すように、前記圧電素子230により前記振動部220が上下に振動する。
【0121】
図9(b)に示すように、前記圧電素子230が上方向に撓み変形されると、前記振動板221が、前記圧電素子230と共に撓み変形されながら前記振動部220が上昇する。
【0122】
この時、図10(b)に示すように、前記第1のダンパ250が、前記カバー210bに最初に接触して圧縮されながら、前記係止突起225が、前記係止溝211の上面11aに接して前記振動部220の上方向移動を制限するようになる。
【0123】
また、図9(c)に示すように、前記圧電素子230が下方向に撓み変形されると、前記振動板221が、前記圧電素子230と撓み変形されながら、前記振動部220が下降する。
【0124】
この時、図10(c)に示すように、前記第2のダンパ260が、前記ベース210aに先に接触して圧縮されながら、前記係止突起225が前記係止溝211の下面11bに接して前記振動部220の下方向移動を制限する。
【0125】
前述したように、前記圧電素子230によって振動する前記振動部220は、前記圧電素子230の振動周波数が、前記振動部220の固有振動数と一致して共振現象が発生することで、その振幅が最大化されて振動力が増大する。
【0126】
これにより、消費電力を低減しながら、前記振動部220の振動力を増大させることができ、強い衝撃による前記振動板221の塑性変形及び前記圧電素子230の破損を防止することができる。
<第3の実施形態>
図11は、本発明の第3の実施形態に係る圧電素子が装着されたバイブレータの斜視図、図12は、本発明の第3の実施形態に係る圧電素子が装着されたバイブレータの分解斜視図、図13は、図11のD−D線を取ってみた断面図、図14は、図11のE−E線を取ってみた断面図である。
【0127】
図14は、外部からの衝撃発生時に支持部が弾性変形され、振動板が上下方向に振動する状態を示した図である。
【0128】
本発明の第3の実施形態に係る圧電素子が装着されたバイブレータは、図11図14に示すように、ケース310、振動板320、重量体330、圧電素子340及び電源部350から成る。
【0129】
前記ケース310は、上面または下面が振動発生対象物に結合される。
【0130】
このような前記ケース310は、図11及び図12に示すように、ベース311、支持部312及びカバー313から成る。
【0131】
前記ベース311は、前記対象物に面接触して固定され、上部が開放され、内部に前記振動板320、重量体330、圧電素子340が挿入配置される。
【0132】
前記支持部312は、前記ベース311の両側からそれぞれ突出形成され、前記振動板320の両側が結合されて前記振動板320を上下方向に弾性支持する。
【0133】
このような前記支持部312は、前記ベース311の両端からそれぞれ前記振動板320が配置された内側方向に突出されて数回折曲形成され、垂直部(312a、312c、312e)と水平部(312b、312d 、312f)から成る。
【0134】
前記垂直部(312a、312c、312e)は、前記ベース311と垂直を成し、前記水平部(312b、312d、312f)は、前記ベース311の下面と離隔して前記ベース311と平行に配置される。
【0135】
詳しくは、前記支持部312は、図13に示すように、前記ベース311から突出形成されて前記ベース311と垂直を成す第1の垂直部312a、前記第1の垂直部312aから延長形成されて前記ベース311と平行に配置された第1の水平部312b、前記第1の水平部312bから延長形成されて前記第1の水平部(312b)と垂直を成す第2の垂直部312c、前記第2の垂直部312cから延長形成されて前記ベース311と平行に配置された第2の水平部312d、前記第2の水平部312dから延長形成されて前記第2の水平部312dと垂直を成す第3の垂直部312e、前記第3の垂直部312eから延長形成されて前記ベース311と平行に配置された第3の水平部312fから成る。
【0136】
前記第3の水平部312fは、前記第3の垂直部312eから前記第2の垂直部312c方向に折曲形成され、前記振動板320が結合される。
【0137】
前記支持部312は弾性体から成り、肉厚は前記振動板320の厚さよりも薄い。
【0138】
つまり、前記支持部312は、前記振動板320の肉厚よりも薄く形成され、前記振動板320が撓み変形されるときに共に撓み変形されながら、前記振動板320の撓み変形を減少させる。
【0139】
これにより、外部からの強い衝撃が加えられたとき、前記支持部312と共に前記振動板320が上下方向に振動することにより、前記振動板320が過度に撓み変形されて塑性変形することを防止することができる。
【0140】
また、前記振動板320に結合された圧電素子340が、前記振動板320と共に過度に撓み変形されながら破損することを防止することができる。
【0141】
場合によっては、前記振動板320と支持部312に厚差を設けず、前記振動板320を前記支持部312よりも剛性の大きい材質で作製して前記支持部312がより多く変形されるようにすることもできる。
【0142】
一方、第3の実施形態では、図13に示すように、前記支持部312の形状を特定したが、前記支持部312は、前述した形状に限定されず、様々な形状に形成して前記振動板320を弾性支持することもできる。
【0143】
前記カバー313は、前記ベース311に結合されて前記ベース311の上部を覆う。
【0144】
前記ケース310には、前記振動板320に形成された係止突起333の上下移動距離を制限する係止溝314が形成される。
【0145】
詳しくは、図11及び図12に示すように、前記ベース311の側面上端には、下方向に凹溝314aが形成され、前記カバー313には、前記ベース311に形成された溝314aに挿入される突起314bが形成され、相互結合された前記ベース311とカバー313との間に前記係止溝314が形成される。
【0146】
前記係止溝314には、前記係止突起333が挿入配置される。
【0147】
前記係止溝314の上下離隔距離は、前記の係止突起333の上下の肉厚よりも長く形成されて前記係止溝314から前記係止突起333が上下移動し、前記係止溝314によって前記係止突起333の上下移動距離が制限される。
【0148】
より詳細な説明は、前記係止突起333と共に後述する。
【0149】
一方、前記ケース310には、前記係止溝314を形成することなく、前記係止突起333の上下移動を制限するよう内側方向に別途の突起を形成することもできるが、第3の実施形態のように、前記ケース310に前記係止溝314を形成して前記係止突起333が挿入配置されるようにすることで、前記ケース310の体積を最小化することができる。
【0150】
前記振動板320は、両端が前記支持部312に結合されて前記ケース310の内部に配置される。
【0151】
前記振動板320は平板状に形成され、前述したように、その厚さは前記支持部312よりも厚い。
【0152】
これにより、外部からの衝撃により前記振動板320よりも厚さが薄い前記支持部312は、前記振動板320と共に撓み変形されながら前記振動板320の撓み変形を減少させるため、外部からの衝撃により前記振動板320が弾性限界点以上に過度に変形されることを防止することができる。
【0153】
また、前記振動板320は、上部に前記圧電素子340が結合されて前記圧電素子340と共に撓み変形されながら上下方向に振動する。
前記重量体330は、前記振動板320の底部に結合されて前記振動板320と共に振動する。
【0154】
前記重量体330は、増量部331とコネクタ332とから成る。
【0155】
前記増量部331は、タングステン材質から成り、前記コネクタ332により前記振動板320の下部に結合される。
【0156】
タングステンは比重が14〜19.5程度で、7〜8程度の比重を持つ鉄やその他の金属に比べて比重が非常に大きい。
【0157】
そのため、前記の増量部331は、比重の大きいタングステン材質から成り、他の金属材質に比べて前記増量部331の体積を増加させることなく、前記振動板320の質量をさらに増加させたり、同一の質量での体積をより小さく形成することができる。
【0158】
また、前記増量部331の質量が増加すると、前記増量部331を含む前記振動板320の固有振動数が小さくなり、前記圧電素子340により前記振動板320が振動する時、共振形状による振動力の増大が容易になる。
【0159】
前記コネクタ332は、前記増量部331を前記振動板320に結合させ、前記係止突起333が一体に突出形成される。
【0160】
前記コネクタ332は、前記増量部331と一体に形成されて前記振動板320に結合することができるが、前記増量部331は、タングステン材質から成って加工が難しいため、前記コネクタ332を加工が容易な材質として、その形状を加工して前記増量部331と振動板320を結合させる。
【0161】
前記係止突起333は、前述したように、側方向に突出形成されて前記係止溝314に挿入配置され、図14に示すように、前記係止溝314の上面または下面に接して上下移動距離が制限される。
【0162】
また図14に示すように、前記外部からの衝撃などの外力が作用しない時または前記圧電素子340に電流が印加される前の状態で、前記係止突起333と前記係止溝314の上面との間の距離は、前記圧電素子340とカバー313間の距離よりも短く、前記係止突起333と前記係止溝314の下面との間の距離は、前記増量部331とベース311間の距離よりも短い。
【0163】
前記係止突起333が、前記係止溝314に挿入されて上下移動距離が制限されることによって、外部の強い衝撃にも前記振動板320の過度な変形による塑性変形を防止して耐衝撃性を向上させることができる。
【0164】
特に、バイブレータの作製後、製品に発生し得る強い衝撃に対するテストのために製品を自由落下させる落下実験でも、前記振動板320が衝撃によって塑性変形されず、正常に作動され、振動することができる。
【0165】
このため、前述したようなバイブレータが装着された携帯端末機などの一般的な使用環境でも外部からの衝撃に強い特性を持つ。
【0166】
また、前記係止突起330の上下移動距離が制限されることによって、前記振動板320に結合された前記圧電素子340の過度な変形を制限して前記圧電素子340の破損を防止することができる。
【0167】
前記圧電素子340は、前記振動板320に結合された前記増量部331により前記振動板320を振動させるための変形量よりも多く変形されるので、前記増量部331による振動力の増大で変形量が増加して破損し得る。
【0168】
これにより、前述したように、前記係止突起333によって、前記圧電素子340が結合された前記振動板320の上下移動距離を制限して前記圧電素子340に過度な変形が発生することを防止する。
【0169】
前記圧電素子340は、前記振動板320に結合されて撓み変形されながら前記振動板320を上下方向に振動させる。
【0170】
前記圧電素子340は、前記振動板320に面接触して結合され、前記電源部350から電源を印加されて上下方向に撓み変形される。
【0171】
また、撓み変形される前記圧電素子340により前記振動板320が上下方向に振動する。
【0172】
前記振動板320が上下方向に振動すると、前記振動板320が結合された前記支持部312が撓み変形されながら上下方向に振動する。
【0173】
すなわち、垂直部と水平部がそれぞれ上下方向に撓み変形されながら前記振動板320が振動することによって、前記振動板320及び圧電素子340の撓み変形量を減少させても、前記振動板320の総上下変位を同一に維持することができる。
【0174】
この際、前記増量部331が共に振動し、前記圧電素子340によって発生した振動周波数と前記増量部331を含む前記振動板320の固有振動数が一致すると、共振現象によって振動力が増大する。
【0175】
また、前述したように、前記増量部331は、他の素材に比べて比重の大きいタングステンから成るので、前記増量部331を含む前記振動板320の固有振動数が小さくなり、振動力を増大させたり、或いは消費電力を減少させることができる。
【0176】
このように、前記振動板320の振動力が増大されるにつれて、前記圧電素子340は変形量が増加する。
【0177】
そのため、前記振動板320と共に振動する前記係止突起333を前記係止溝314に挿入配置して上下移動距離を制限することにより、前記圧電素子340の変形量を制限して前記圧電素子340が過度な変形により破損することを防止する。
【0178】
前記圧電素子340は、2つに分離して前記振動板320の中心部を基準に左右相互に離隔配置させることもできる。
【0179】
前記振動板320の振動時に前記振動板320の中心部で最も多くの変形が発生するため、前記圧電素子340を前記振動板320の中心部から離隔させて過度な撓み変形を防止できる効果がある。
【0180】
また、前記振動板320の上部及び前記増量部331の下部にダンパを結合させて前記振動板320の上下振動時に発生する衝撃を吸収して減少させることもできる。
【0181】
以下、前述した構成から成る本発明の作動過程について説明する。
【0182】
図13は、前記圧電素子340に電源が印加されていない初期状態で、前記圧電素子340及び振動板320の変形はない。
【0183】
このような状態で、前記圧電素子340に電源が印加されると、前記圧電素子340に撓み変形が発生し、前記圧電素子340により前記振動板320が上下に振動する。
【0184】
前記圧電素子340が上方向に撓み変形されると、前記振動板320が、前記圧電素子340と共に撓み変形され、前記振動板320が結合された前記第3の水平部312f及び第1の垂直部312a、第1の水平部312b、第2の垂直部312c、第2の水平部312d、第3の垂直部312eは、それぞれ撓み変形されながら前記振動板320が上下に振動する。
【0185】
前記支持部312は、肉厚が前記振動板320よりも薄いので、前記振動板320と共に撓み変形されながら上下方向に振動するのが容易になる。
【0186】
前述したように、前記圧電素子340によって振動する前記振動板320は、前記圧電素子340の振動周波数が、前記増量部331を含む前記振動板320の固有振動数と一致すると、共振現象が発生することによって、その振幅が最大化されて振動力が増大する。
【0187】
これにより、消費電力を減少しながら、前記振動板320の振動力を増大させることができる。
【0188】
一方、ユーザの不注意などにより、外部からの強い衝撃が発生すると、前記振動板320に弾性限界点以上の外力が作用して前記振動板320が塑性変形されるおそれがある。
【0189】
このとき、図14(b)及び図14(c)に示すように、前記係止突起333によって前記振動板320の上下移動距離が制限されることによって、前記振動板320が過度に撓み変形されて塑性変形されることを防止することができる。
【0190】
また、外部からの衝撃により前記振動板320が上下に振動する時、前記振動板320よりも厚さの薄い前記支持部312が、前記振動板320と共に撓み変形されながら前記振動板320の撓み変形を減少させるため、前記振動板320の過度な変形及び前記圧電素子340の破損を防止することができる。
【0191】
本発明の圧電素子が装着されたバイブレータは、前述した実施形態に限定されず、本発明の技術思想が許容される範囲内で様々に変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0192】
20 下板
30 電磁力発生装置
110 振動部材
112、114、116 可動部
130 圧電素子
170 ベース部材
180 カバー部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14