(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記巨視的時間Mおよび前記微視的時間Rに係る前記計算は、前記第1パルスが受信された時から、前記受信された第1パルスと前記第2パルスとが重畳するまでの前記第2パルスの数が、均等目盛りの数の半分である半分値より大きい場合と、大きくない場合によって、前記巨視的時間と前記微視的時間を計算するのが第1距離計算部であるか第2距離計算部であるか異なり、
前記均等目盛りの数は、前記第1パルスの周波数と同一の数値である、
ことを特徴とする請求項4に記載の距離測定方法。
前記巨視的時間Mおよび前記微視的時間Rに係る前記計算は、前記第1パルスが受信された時から、前記受信された第1パルスと前記第2パルスとが重畳するまでの前記第2パルスの数が、均等目盛りの数の半分である半分値より大きい場合と、大きくない場合によって、前記巨視的時間と前記微視的時間を計算するのが第1距離計算部であるか第2距離計算部であるか異なり、
前記均等目盛りの数は、前記第1パルスの周波数と同一の数値である、
ことを特徴とする請求項11に記載の距離測定装置。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付した図面を参照して本発明による望ましい一実施形態を詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態による距離測定装置の構成を示すブロック図である。
図1を参照するに、本実施形態による距離測定装置は、クロックパルス発生部110、光パルス照射部120、受光部130、第1カウンタ部140、検査部150、第2カウンタ部160及び距離計算部170で構成され、距離計算部170は、巨視的時間計算モジュール172、微視的時間計算モジュール174及び距離計算モジュール176で構成される。そして、本実施形態でパルスがLowからHighへ行って再びLowに戻るまでを1個のパルスという。
【0012】
クロックパルス発生部110は、一定の周波数を持つクロックパルスを発生させる。このように発生したクロックパルスは第1カウンタ部140及び第2カウンタ部160によりカウントされ、光パルスの往復時間を測定するのに使われる。
【0013】
光パルス照射部120は、クロックパルス発生部110により発生したクロックパルスの上昇時点に、距離を測定しようとする対象物体に一定の周波数を持つ光パルスを照射する。この時、光パルスの周波数は、クロックパルス発生部110により発生したクロックパルスの周波数との周波数差が非常に小さなことが望ましい。その理由は、後述する。
【0014】
受光部130は、光パルス照射部120により照射された光パルスが対象物体に反射して戻ってきた場合、この戻ってきた光パルスを受信する。この時、
図3Aに示したように、光パルスが受信された時点を時点2といい、光パルスの受信時点直前のクロックパルスの上昇時点を時点1という。
【0015】
これらの受光部130には光が受信されれば電荷を蓄積するピクセルがあるが、このピクセルにゲートやスイッチなどを設けることによって、クロックパルス発生部110により発生したクロックパルスがHighであれば、このゲートを開いて受信された光を通過させることによってピクセルに電荷を蓄積させ、逆にクロックパルスがLowであれば、このゲートを閉じて受信された光を通過させないことでピクセルに電荷を蓄積させない。
【0016】
第1カウンタ部140は、光パルス照射部120により光パルスが照射された時点から受光部130により光パルスが受信された時点までの期間中に、クロックパルス発生部110により発生したクロックパルスの数をカウントする。この時、カウントされたクロックパルスの数をnという。
【0017】
検査部150は、クロックパルス発生部110のより発生したクロックパルスと受光部130により受信された光パルスとが重畳するかどうかを検査する。検査部150は、この二つのパルスが重畳するかどうかを、この二つのパルスの上昇時点が一致するかどうかで判断することによって検査できる。この時、この二つのパルスの上昇時点が一致する時を時点3という。
【0018】
特に、検査部150は
図2に示したように、受光部130に蓄積された電荷量をチェックして、蓄積された電荷量が最大である時点を、この二つのパルスの上昇時点が一致する時といえる。これは、受光部130は、クロックパルスと光パルスとがいずれもHighである場合に電荷を蓄積するので、この二つのパルスの上昇時点が一致する場合に蓄積された電荷量が最大になるためである。このために、この二つのパルスがHigh状態を維持する時間を同一にすることが望ましい。
【0019】
第2カウンタ部160は、受光部130により光パルスが受信された時点から、検査部150の検査結果によってクロックパルスと光パルスとが重畳する時点までの期間中に、クロックパルス発生部110により発生したクロックパルスの数及び受光部130により受信された光パルスの数をカウントする。この時、カウントされたクロックパルスの数をn
sといい、カウントされた光パルスの数をn
lという。
【0020】
距離計算部170は、第1カウンタ部140によりカウントされたクロックパルスの数n、第2カウンタ部160によりカウントされたクロックパルスの数n
s及び光パルスの数n
lを利用して光パルスの往復時間を計算し、これに光の速度をかけて2で割ることで距離測定装置と対象物体との距離Dを計算する。この時の光パルスの往復時間は、
図3Aに示したように光パルス照射時点から時点2までの時間である。
【0021】
ところが、従来の発明では単にクロックパルスの数のみをカウントして光パルスの往復時間を計算するため、光パルスの往復時間を光パルスの照射時点から時点1までの時間として計算することによって往復時間の正確度が落ち、この精密度を向上させるために、クロックパルスの周波数として非常に大きい周波数を使用した。これに対し、本実施形態では、光パルスの往復時間を計算するときに、光パルス照射時点から時点1までの時間である巨視的時間Mの計算以外に、時点1から時点2までの時間である微視的時間Rを計算することによって、クロックパルスの周波数を高めなくても非常に正確に光パルスの往復時間を計算できる。
【0022】
まず、巨視的時間計算モジュール172は、
図3Aに示したように、光パルスの照射時点から時点1までの時間である巨視的時間を計算する。このために、巨視的計算モジュール172は、第1カウンタ部140によりカウントされたクロックパルスの数nにクロックパルスの周期Sをかけることによって巨視的時間Mを計算する。すなわち、巨視的時間計算モジュール172は、M=n×Sの演算を行うことによって巨視的時間を計算する。
【0023】
次いで、微視的時間計算モジュール174は、時点1から時点2までの時間である微視的時間を計算する。ところが、時点1から時点2までの時間である微視的時間は、
図3Bに示したように、時点1から時点3までの時間と時点2から時点3までの時間との差に該当する。そして、時点1から時点3までの時間は、クロックパルスの数n
sとクロックパルスの周期Sとの積と同じであり、時点2から時点3まで時間は、光パルスの数n
lと光パルスの周期Lとの積と同じである。したがって、微視的時間計算モジュール174は、クロックパルスの数n
sにクロックパルスの周期Sをかけた値から、光パルスの数n
lに光パルスの周期Lをかけた値を差し引くことで微視的時間Rを計算する。すなわち、微視的時間計算モジュール174は、R=n
s×S−n
l×L演算を行うことによって微視的時間を計算する。
【0024】
最後に、距離計算モジュール176は、巨視的時間計算モジュール172により計算された巨視的時間Mと、微視的時間計算モジュール174により計算された微視的時間Rとを加算することによって光パルスの往復時間を計算し、この光パルスの往復時間に光の速度であるcをかけて2で割ることで、距離測定装置と対象物体との距離Dを計算する。すなわち、距離計算モジュールは、D=1/2×c×{M+R}演算を行うことによって対象物体との距離を計算する。
【0025】
本実施形態による距離測定装置でどれほど測定距離の精密度が向上できるかを次のように説明する。
【0026】
例えば、光パルスの周波数が1MHzであり、クロックパルスの周波数がこれと類似した1.000001MHzとしよう。
【0027】
もし、クロックパルスのみを利用するならば、計算された距離の精密度は1/2×光速×クロックパルスの周期であるので、1/2×(3×10
8)×1/(1,000,001)=150mになる。
【0028】
一方、クロックパルス以外に受信される光パルスも利用して計算された距離の精密度は、次の通りである。この場合、
図4に示したように、二つのパルス間の差であるR、d1、d2、d3…などは、段々増加してから再び減少して時点3から0になり、時点4で再び最初の差と同じRになる。この場合、時点1から時点4までの間に発生したクロックパルスの数は1,000,001であり、光パルスの数は、これより一つ少ない1,000,000である。したがって、距離計算の精密度において、クロックパルス1つの時間を1,000,000で均等に割って測定することと同じ効果をもたらす。すなわち、これらの光パルスを利用すれば、精密度が150m/1,000,000=1.5mmになって、単純にクロックパルスのみを利用する時より百万倍ほど精密度が向上する。この時、1,000,000のように均等に割る数値を均等目盛り数という。
【0029】
ところが、本実施形態では、光パルス照射部120により照射された光パルスの周波数とクロックパルス発生部110により発生したクロックパルスの周波数とは、次の2つの条件を満たすことが望ましい。
【0030】
第1の条件は、光パルスの周波数とクロックパルスの周波数のうちいずれか一つの周波数が他の一つの周波数の整数倍になってはならないということである。本実施形態では、クロックパルスの上昇時点と光パルスの上昇時点とが一致する時点である時点3を探すことが要求されるが、もし、いずれか一つの周波数が他の一つの周波数の整数倍になれば、同時にこの二つのパルスの上昇時点を探せないからである。
【0031】
第2の条件は、光パルスの周波数とクロックパルスの周波数との周波数差がクロックパルスの周波数と比較する時、十分に小さくなければならないということである。もし、この二つの周波数間の差が十分に小さくなければ、クロックパルスの上昇時点と光パルスの上昇時点とが一致する時点である時点3を探すのに難点があるからである。例えば、
図5の上グラフに示したように、二つの周波数間の差が十分に小さな場合には、ピクセル内の電荷量が最大になる時点を容易に探すことができるが、
図5の下グラフに示したように、二つの周波数間の差が大きい場合には、ピクセル内の電荷量が最大になる時点を容易に探せないという問題が発生する。
【0032】
そして、このような第2の条件によって、光パルスの周波数としてクロックパルスの周波数よりすこし小さな周波数を使用する場合には、第2カウンタ部160によりカウントされた光パルス数n
lはクロックパルスの数n
sより1ほど小さいので、別途にn
lをカウントする必要がなく、n
lの代りにn
s−1を使用して微視的時間計算モジュール174が微視的時間を計算すればよい。すなわち、これを利用すれば、微視的時間計算モジュール174は、微視的
時間RをR=n
s×S−(n
s−1)×Lで計算でき、その結果、距離計算モジュールは、距離DをD=1/2×c×[n×S+{n
s×S−(
ns−1)×L}]で計算できる。
【0033】
図6は、本発明の一実施形態による距離測定方法を示すフローチャートである。
図6を参照するに、本実施形態による距離測定方法は、
図1に示した距離測定装置で時系列的に処理されるステップで構成される。したがって、以下省略された内容であっても、
図1に示した距離測定装置に関して以上で記述された内容は本実施形態による距離測定方法にも適用される。
【0034】
610ステップで距離測定装置は、距離を測定しようとする対象物体に一定の周波数を持つ光パルスを照射すると同時にクロックパルスの数をカウントし始める。この時、光パルスの周波数とクロックパルスの周波数との差は、クロックパルスの周波数と比較する時に非常に小さなことが望ましい。また、光パルスの周波数とクロックパルスの周波数とは互いに非整数倍でなければならない。
【0035】
620ステップで、距離測定装置は610ステップで照射された光パルスを受信する。この時、説明の便宜上、光パルスの受信時点を時点2といい、光パルスの受信時点の直前にクロックパルスの上昇時点を時点1という。
【0036】
630ステップで、距離測定装置は620ステップで光パルスが受信されれば、クロックパルスの数カウントを中断し、受信された光パルスの数カウント及びクロックパルスの数カウントを始める。この時、中断時までカウントされたクロックパルスの数をnという。
【0037】
640ステップで距離測定装置は、クロックパルスと620ステップで受信された光パルスとが重畳するかどうかを検査する。この場合、二つのパルスが重畳するかどうかを、この二つのパルスの上昇時点が一致するかどうかを判断することによって検査できる。
【0038】
650ステップで距離測定装置は、640ステップでの検査結果、一致していなければ、光パルスの数カウント及びクロックパルスの数カウントを進め続ける。
【0039】
660ステップで距離測定装置は、640ステップでの検査結果、一致したならば、光パルスの数カウント及びクロックパルスの数カウントを中断する。この時、中断当時の時点を時点3といい、これまでカウントされたクロックパルスの数をn
sといい、これまでカウントされた光パルスの数をn
lという。
【0040】
670ステップで距離測定装置は、630ステップによるクロックパルスの数nにクロックパルスの周期Sをかけることによって、
図2Aに示したように、対象物体に光パルスが照射された時点から時点1までの時間である巨視的時間Mを計算する。これを数式で表現すれば、M=n×Sである。
【0041】
680ステップで距離測定装置は、660ステップによるクロックパルスの数であるn
sと光パルスの数であるn
lとを利用して、時点1から時点2までの時間である微視的時間Rを計算する。
【0042】
680ステップで微視的時間Rを計算する方法は、
図2Bを参照してさらに詳細に説明する。まず、微視的時間Rは、時点1から時点3までの時間と時点2から時点3までの時間との差と同じである。そして、時点1から時点3までの時間は、クロックパルスの数n
sとクロックパルスの周期Sとの積と同じであり、時点2から時点3まで時間は、光パルスの数n
lと光パルスの周期Lとの積と同じである。したがって、微視的時間Rは、クロックパルスの数n
sにクロックパルスの周期Sをかけた値から、光パルスの数n
lに光パルスの周期Lをかけた値を引いた値である。これを数式で表現すれば、R=n
s×S−n
l×Lである。
【0043】
690ステップで距離測定装置は、670ステップで計算された巨視的時間Mと680ステップで計算された微視的時間Rとを加算することによって光パルスの往復走行時間を計算し、この往復走行時間に光速cをかけて2で割ることで、距離測定装置と対象物体間の距離Dを計算する。これを数式で表現すれば、D=1/2×c×{M+R}=1/2×c×{n×S+(n
s×S−n
l×L)}である。
【0044】
図7は、本発明の他の一実施形態による距離測定装置を示すブロック図である。
図7に示したように、光パルス照射部710、第1カウンタ部720、受光部730、検査部740、第2カウンタ部750、計算方法決定部760、第1距離計算部770及び第2距離計算部780で構成され、第1カウンタ部720と第2カウンタ部750とは一つのカウンタ部によっても構成されうる。例えば、第1カウンタ部720で使われたカウンタは、第2カウンタ部750で再び使われうる。すなわち、カウンタを二つ使用せず、1つのカウンタを使用できる。
【0045】
光パルス照射部710は、クロックパルスの上昇時点で距離を測定しようとする対象物体に光パルスを照射する。
【0046】
第1カウンタ部720は、光パルス照射部710により光パルスが照射された時点から、クロックパルスの上昇時点ごとに一つずつクロックパルスに対するカウントを行う。そして、第1カウンタ部720は、受光部730で光パルスを受信してピクセルに電荷が発生すれば、クロックパルスに対するカウントを中断する。この時、中断当時のクロックパルスに対するカウントをP
Mという。
【0047】
受光部730は、対象物体により反射して戻ってきた光パルスを受信する。この時、光パルスの受信時点を時点2といい、光パルスの受信時点の直前にクロックパルスの上昇時点を時点1という。
【0048】
検査部740は、クロックパルスの上昇時点と受光部730を通じて受信された光パルスの上昇時点とが一致するかどうかを検査する。この時、クロックパルスの上昇時点と光パルスの上昇時点とが一致する時点を時点3という。特に、検査部740は、受光部730のピクセルに蓄積された電荷量をチェックして、蓄積された電荷量が最大である場合に、この二つのパルスの上昇時点が一致すると判断できる。
【0049】
第2カウンタ部750は、第1カウンタ部720がカウントを中断してから、クロックパルスの上昇時点ごとに一つずつクロックパルスに対するカウントを行う。そして、第2カウンタ部750は検査部740の検査結果によって、受光部730のピクセルに蓄積された電荷量が最大である時点で1パルスをさらにカウントし、クロックパルスに対するカウントを中断する。その理由は、受光部730に蓄積された電荷量は増加し続けてから減少するが、減少直前の時点が蓄積された電荷量の最大時点であるため、第2カウンタ部750が減少する時点までカウントして初めて検査部740は最大時点が分かるためである。
【0050】
検査部740が、実際に受光部730のピクセルに蓄積された電荷量が最大である場合を判断するためには、第2カウンタ部750がその最大である時点より1パルスさらにカウントするまで待つべきである。
【0051】
この時、中断当時のクロックパルスに対するカウントをP
mSといい、カウントの中断時点計算方法決定部760は、第2カウンタ部750でカウントされたP
mSが均等目盛りの数の半分(以下、“半分値”という。)より大きい値であるかどうかを判断し、判断結果、P
mSが半分値より大きければ、第1距離計算部770が距離を計算できるようにし、P
mSが半分値より大きくなければ、第2距離計算部780が距離を計算できるようにする。
【0052】
第1距離計算部770は、P
mSが半分値より大きい場合に、距離測定装置と対象物体間の距離を計算する。
図8Aは、P
mSが半分値より大きい場合にクロックパルスと光パルスとを示したものであり、
図8Aを参照して、第1距離計算部770が距離測定装置と対象物体間の距離を計算する方法を詳細に説明する。
【0053】
第1距離計算部770は、第1カウンタ部720によるPMを利用して巨視的時間Mを計算し、第2カウンタ部750によるP
mSを利用して巨視的時間を補完する微視的時間Rを計算して、巨視的時間Mに微視的時間Rを加算することによって光パルスの往復時間を計算した後、この往復時間に光速cをかけて2で割ることで、距離測定装置から対象物体間の距離Dを計算する。この時、2で割るのは、距離測定装置で対象物体に光パルスが到達する時間は、光パルスの往復時間の半分であるためである。これを数式で表示すれば、距離Dは、D=1/2×c×(M+R)の通りである。
【0054】
そして、第1距離計算部770は、巨視的時間Mを次の数式を通じて計算する。
【0055】
M=(PM−1)×S
巨視的時間Mは、対象物体に光パルスが照射された時点から時点1までの時間である。したがって、巨視的時間Mは、光パルス照射時点から時点1までのクロックパルスの数とクロックパルスの周期Sとをかけた値と同じである。そして、この時の光パルス照射時点から時点1までのクロックパルスの数は、第1カウンタ部720でカウントされたP
Mから1を減算した値と同じである。ここで、P
Mに1を減算した値と同じ理由は、P
Mはクロックパルスの上昇時点ごとにカウントされた値であるため、実際クロックパルスの数より1ほどさらにカウントされたからである。
【0056】
そして、第1距離計算部770は、微視的時間Rを次の数式を通じて計算する。
【0057】
R=(P
mS−1)×S−(P
mS−2)×Lである。
【0058】
微視的時間Rは、時点1から時点3までの時間と時点2から時点3までの時間との差である。そして、時点1から時点3までの時間は、この期間中のクロックパルスの数とクロックパルスの周期Sとの積と同じである。そして、この時のクロックパルスの数は、第2カウンタ部750でカウントされたP
mSから1を減算した値と同じである。ここで、P
mSから1を減算した値と同じ理由は、第2カウンタ部750は、受光部730のピクセルに蓄積された電荷量が最大である時点を過ぎて1パルスさらにカウントしたため、実際クロックパルスの数より1ほどさらにカウントされたからである。そして、時点2から時点3までの時間は、この期間中の光パルスの数と光パルスの周期Lとの積と同じであるが、光パルスの数はクロックパルスの数より1が小さいので、P
mSから2を減算した値と同じである。
【0059】
したがって、第1距離計算部770は、次の数式を通じて距離Dを計算する。
【0060】
D=1/2×3×10
8×{(P
M−1)×S+(P
mS−1)×S−(P
mS−2)×L)}
第2距離計算部780は、P
mSが半分値より大きくない場合に、距離測定装置と対象物体間の距離を計算する。
図8Bは、P
mSが半分値より大きくない場合にクロックパルス及び光パルスを示したものであり、
図8Bを参照して、第2距離計算部780が距離測定装置と対象物体間の距離を計算する方法を詳細に説明する。
【0061】
第2距離計算部780も第1距離計算部770と同様に、第1カウンタ部720によるP
Mを利用して巨視的時間Mを計算し、第2カウンタ部750によるP
mSを利用して微視的時間Rを計算して、巨視的時間に微視的時間を加算することによって光パルスの往復時間を計算した後、この往復時間に光速cをかけて2で割ることで距離測定装置と対象物体間の距離Dを計算する。ところが、第2距離計算部780は、第1距離計算部770で巨視的Mと微視的時間Rとを計算する方法と若干異なる方法でこれらを計算する。
【0062】
まず、第2距離計算部780は、巨視的時間Mを次の数式を通じて計算する。
【0063】
M=(P
M−2)×S
巨視的時間Mは、対象物体に光パルスが照射された時点から時点1までの時間である。したがって、巨視的時間Mは、光パルス照射時点から時点1までのクロックパルスの数とクロックパルスの周期Sとをかけた値と同じである。ところが、光パルス照射時点から時点1までのクロックパルスの数は、第1カウンタ部720でカウントされたP
Mから2を減算した値と同じである。ここで、P
Mから2を減算した値と同じ理由は、P
Mは、ピクセルに電荷が発生するまでカウントされた値であるため、時点1までもう1つカウントされたために1を減算せねばならず、P
Mは、クロックパルスの上昇時点ごとにカウントされた値であるため、実際クロックパルスの数より1ほどさらにカウントされたためにまた1を減算せねばならないからである。
そして、第2距離計算部780は、微視的時間Rを次の数式を通じて計算する。
【0064】
R=(P
mS)×S−(P
mS−1)×L
微視的時間Rは、時点1から時点3までの時間と時点2から時点3までの時間との差である。そして、時点1から時点3までの時間は、この期間中のクロックパルスの数とクロックパルスの周期Sとの積と同じであり、この時のクロックパルスの数は、第2カウンタ部750でカウントされたP
mSと同じである。
【0065】
これは、P
mSは時点1より1パルス遅くカウントを始めるので、P
mSに1を加算せねばならないためである。また、第2カウンタ部750は、受光部730のピクセルに蓄積された電荷量が最大である時点を過ぎて1パルスさらにカウントしたものであるので、実際クロックパルスの数より1ほどさらにカウントされたために1を減算せねばならないからである。結局、P
mSに1を加算して1を減算せねばならないので、P
mSと同様になる。
【0066】
そして、時点2から時点3までの時間は、この期間中の光パルスの数と光パルスの周期Lとの積と同じであり、この時の光パルスの数はクロックパルスの数より1ほど小さいので、P
mSから1を減算した値と同じである。
【0067】
したがって、第2距離計算部780は、次の数式を通じて距離Dを計算する。
【0068】
D=1/2×3×10
8×{(P
M−2)×S+(P
mS)×S−(P
mS−1)×L)}
図9は、発明の他の一実施形態による距離測定方法を示すフローチャートである。
図9を参照するに、本実施形態による距離測定方法は、
図7に示した距離測定装置で時系列的に処理されるステップで構成される。したがって、以下省略された内容であっても、
図7に示した距離測定装置に関して以上で記述された内容は本実施形態による距離測定方法にも適用される。
【0069】
図9を参照するに、910ステップで距離測定装置は、クロックパルスの上昇時点で距離を測定しようとする対象物体に光パルスを照射する。そして、クロックパルスの上昇時点ごとに一つずつクロックパルスに対するカウントを行う。そして、距離測定装置のセンサー内に光を受信する各ピクセルにゲート電極を設けて、センサーのクロックパルスがHighであれば、ゲートを開いて受信された光を通過させ、逆にセンサーのクロックパルスがLowであれば、ゲートを閉じて受信された光を通過させないようにする。これらのゲートを設けるのは、
図2で説明したように、ピクセルに蓄積された電荷量が最大である時点を、この二つのパルスの上昇時点が一致する時点とするためである。
【0070】
920ステップで距離測定装置は、910ステップで照射された光パルスを受信する。光パルスは距離測定装置で照射された後、対象物体に反射して再び距離測定装置に到達するので、距離測定装置と対象物体間の距離による時間が経過すれば、距離測定装置は光パルスを受信する。この時、光パルスの受信時点を時点2といい、光パルスの受信時点の直前にクロックパルスの上昇時点を時点1という。
【0071】
930ステップで距離測定装置は、920ステップで光パルスを受信してセンサー内のピクセルに電荷が発生すれば、クロックパルスに対するカウントを中断する。この時、中断当時のクロックパルスのカウントを便宜上P
Mという。そして、再び最初からクロックパルスの上昇時点ごとに一つずつクロックパルスに対するカウントを行う。
【0072】
940ステップで距離測定装置は、クロックパルスの上昇時点と920ステップで受信された光パルスの上昇時点とが一致するかどうかを検査する。この時には、
図2で説明したように、クロックパルスと光パルスの上昇時点が一致する時、ピクセルに発生した電荷量が最大という性質を利用してその一致如何を検査する。
【0073】
950ステップで距離測定装置は、940ステップでの検査結果、一致していなければ、クロックパルスの上昇時点ごとに一つずつクロックパルスに対するカウントを行い続ける。
【0074】
960ステップで距離測定装置は、940ステップでの検査結果、一致したならば、クロックパルスに対するカウントを中断する。この時、中断当時のクロックパルスのカウントを便宜上P
mSとし、カウントの中断時点であるクロックパルスの上昇時点と光パルスの上昇時点とが一致する時点を時点3としよう。
【0075】
970ステップで距離測定装置は、930ステップによるP
Mを利用して巨視的時間Mを計算し、960ステップによるP
mSを利用して巨視的時間を補完する微視的時間Rを計算して、巨視的時間に微視的時間を加算することによって光パルスの往復走行時間を計算した後、この往復走行時間に光速cをかけて2で割ることで距離測定装置と対象物体間の距離Dを計算する。この時、2で割るのは、距離測定装置で対象物体に光パルスが到達する時間は、計算された往復走行時間の半分であるからである。これを数式で表示すれば、次の通りである。
【0076】
D=1/2×c×(M+R)
ところが、これらの巨視的時間及び微視的時間は、P
mSが半分値より大きい場合及びP
mSが半分値より小さな場合に、それぞれ異なる方法で計算せねばならない。
【0077】
まず、P
mSが半分値より大きい場合に巨視的距離及び微視的距離を計算する方法を説明する。
【0078】
巨視的時間Mは、対象物体に光パルスが照射された時点から時点1までの時間である。したがって、巨視的時間Mは、光パルス照射時点から時点1までのクロックパルスの数とクロックパルスの周期とをかけた値と同じである。ところが、光パルス照射時点から時点1までのクロックパルスの数は、930ステップでのP
Mから1を減算した値と同じである。ここで、P
Mから1を減算した値と同じ理由は、P
Mは、クロックパルスの上昇時点ごとにカウントされた値であるので、実際クロックパルスの数より1ほど大きい値であるからである。
【0079】
したがって、巨視的時間Mは、次の数式を通じて計算できる。
【0080】
M=(P
M−1)×S
そして、微視的時間Rは、時点1から時点3までの時間と時点2から時点3までの時間との差である。
【0081】
そして、時点1から時点3までの時間は、この期間中のクロックパルスの数とクロックパルスの周期Sとの積と同じであるが、クロックパルスの数は、960ステップのP
mSから1を減算した値と同じである。
【0082】
そして、時点2から時点3までの時間は、この期間中の光パルスの数と光パルスの周期Lとの積と同じであるが、光パルスの数は、クロックパルスの数より1ほど小さいので、P
mSから2を減算した値と同じである。
【0083】
したがって、時点1から時点3までの時間と時点2から時点3までの時間との差である微視的時間Rを数式で表現すれば、R=(P
mS−1)×S−(P
mS−2)×Lである。
【0084】
したがって、最終距離Dは、次の数式を通じて計算できる。
【0085】
D=1/2×3×10
8×{(P
M−1)×S+(P
mS−1)×S−(P
mS−2)×L)}
次いで、まず、P
mSが半分値より大きくない場合に、巨視的距離と微視的距離とを計算する方法を説明する。
【0086】
巨視的時間Mは、対象物体に光パルスが照射された時点から時点1までの時間である。したがって、巨視的時間Mは、光パルス照射時点から時点1までのクロックパルスの数とクロックパルスの周期とをかけた値と同じである。ところが、光パルス照射時点から時点1までのクロックパルスの数は、930ステップでのP
Mから2を減算した値と同じである。
【0087】
したがって、巨視的時間Mを数式で表現すれば、M=(P
M−2)×Sである。
【0088】
そして、微視的時間Rは、時点1から時点3までの時間と時点2から時点3までの時間との差である。そして、時点1から時点3までの時間は、この期間中のクロックパルスの数とクロックパルスの周期Sとの積と同じであるが、クロックパルスの数は960ステップのP
mSと同じである。
【0089】
そして時点2から時点3までの時間は、この期間中の光パルスの数と光パルスの周期Lとの積と同じであるが、光パルスの数はクロックパルスの数より1ほど小さいので、P
mSから1を減算した値と同じである。
【0090】
したがって、時点1から時点3までの時間と時点2から時点3までの時間との差である微視的時間Rを数式で表現すれば、R=(P
mS)×S−(P
mS−1)×Lである。
【0091】
したがって、最終距離Dは、次の数式を通じて計算できる。
【0092】
D=1/2×3×10
8×{(P
M−2)×S+(P
mS)×S−(P
mS−1)×L)}
本発明はまた、コンピュータで読み取り可能な記録媒体にコンピュータで読み取り可能なコードとして具現することができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、コンピュータシステムによって読み取られるデータが保存されるあらゆる種類の記録装置を含む。コンピュータで読み取り可能な記録媒体の例には、ROM、RAM、CD−ROM、磁気テープ、フロッピー(登録商標)ディスク、光データ保存装置などがあり、またキャリアウェーブ(例えば、インターネットを通じた伝送)の形態で具現されるものも含む。またコンピュータで読み取り可能な記録媒体は、ネットワークに連結されたコンピュータシステムに分散されて、分散方式でコンピュータで読み取り可能なコードが保存されて実行されうる。
【0093】
これまで本発明についその望ましい実施形態を中心に説明した。当業者ならば、本発明が本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で変形された形態で具現できるということを理解できるであろう。したがって、開示された実施形態は限定的な観点ではなく説明的な観点で考慮されねばならない。本発明の範囲は、前述した説明ではなく特許請求の範囲に現れており、それと同等な範囲内にあるあらゆる差異点は本発明に含まれていると解釈されねばならない。