【実施例】
【0077】
以下に実施例、試験例及び製剤例を示し、本発明を更に詳細に説明する。
【0078】
(実施例1)<A結晶>
(1−1)
特許第3488099号公報の実施例8に記載の方法と同様の方法で得た5−(4−{[6−(4−アミノ−3,5−ジメチルフェノキシ)−1−メチル−1−H−ベンツイミダゾール−2−イル]メトキシ}ベンジル)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンの塩酸塩(4.0g)を、窒素気流下で、室温でテトラヒドロフラン(40ml)−水(12ml)混合液に懸濁させ、ここへ25%水酸化ナトリウム水溶液(2.4g)を滴下し、溶液とした。この溶液を、窒素気流下で調整した活性炭(0.4g)のテトラヒドロフラン(12ml)縣濁液に滴下し、同温度で20分間攪拌した。活性炭を濾別した後、活性炭をテトラヒドロフラン(12ml)で洗浄した。濾液と洗浄液を合わせ、ここへ水(12ml)を加えた。この溶液に38%塩酸(3.2g)とテトラヒドロフラン(12ml)の混合溶液を滴下した。反応混合液を45分間攪拌し、0℃まで冷却後、さらに2時間攪拌した。得られた結晶を濾別し、約80Pa、50℃で12時間乾燥した。この結晶を大気中で3時間放置し、5−(4−{[6−(4−アミノ−3,5−ジメチルフェノキシ)−1−メチル−1−H−ベンツイミダゾール−2−イル]メトキシ}ベンジル)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン 2塩酸塩・1水和物(3.64g)の結晶を得た。
【0079】
(1−2)
(1−1)で得られた結晶(2.0g)を水(40ml)に懸濁し、80℃で20分間間攪拌した。ここへ同温度で38%塩酸(1.1g)と水(8.4ml)の混合液を5分間かけて滴下し、1時間攪拌した。40℃まで冷却後、結晶を濾別し、水(6ml)で洗浄し5−(4−{[6−(4−アミノ−3,5−ジメチルフェノキシ)−1−メチル−1−H−ベンツイミダゾール−2−イル]メトキシ}ベンジル)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン 2塩酸塩・1水和物の吸湿結晶を得た。得られた結晶を約80Pa、50℃で14時間乾燥した。この結晶を大気中で3時間放置し、
図1に示す粉末X線回折の回折パターンを示す結晶形を有する5−(4−{[6−(4−アミノ−3,5−ジメチルフェノキシ)−1−メチル−1−H−ベンツイミダゾール−2−イル]メトキシ}ベンジル)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン 2塩酸塩・1水和物(1.83g)の白色結晶(A結晶)を得た。
【0080】
(1−3)
(1−2)で得られた結晶の粉末X線回折(CuKα、λ=1.54オングストローム)の回折パターン図を
図1に、
図1に示す回折パターン図において最大ピーク強度を100とした場合の相対強度10以上のピークを表1に示す。
図1中の数字は表1中のピーク番号に対応する。
【0081】
【表1】
これらのピークの中で、面間隔d値が、7.06、5.79、5.43、4.44、4.18、3.97、3.91、3.68、3.61、3.48、3.24及び2.97オングストロームであるピークが、特にA結晶に特徴的な主ピークである。
【0082】
(1−4)
図2に示差熱分析(DSC)チャートを示す。
【0083】
(実施例2)<A結晶>
(2−1)
特許第3488099号公報の実施例8に記載の方法と同様の方法で得た5−(4−{[6−(4−アミノ−3,5−ジメチルフェノキシ)−1−メチル−1−H−ベンツイミダゾール−2−イル]メトキシ}ベンジル)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンの塩酸塩(2.0g)を室温でテトラヒドロフラン(20ml)−水(6ml)混合液に懸濁させ、ここへ25%水酸化ナトリウム水溶液(1.2g)を滴下し、溶液とした。この溶液を、脱気後、窒素置換処理した活性炭(0.2g)のテトラヒドロフラン(6ml)縣濁液に滴下し、同温度で20分間攪拌した。活性炭を濾別した後、活性炭をテトラヒドロフラン〈6ml〉で洗浄した。濾液と洗浄液を合わせ、ここへ水(6ml)を加えた。この溶液に38%塩酸(1.6g)とテトラヒドロフラン(6ml)の混合溶液を滴下した。反応混合液を45分間攪拌し、0℃まで冷却後、さらに2時間攪拌した。得られた結晶を濾別後、水洗し、5−(4−{[6−(4−アミノ−3,5−ジメチルフェノキシ)−1−メチル−1−H−ベンツイミダゾール−2−イル]メトキシ}ベンジル)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン 2塩酸塩・1水和物の湿品結晶を得た。
【0084】
(2−2)
(2−1)で得た湿品結晶を水〈40ml〉に懸濁し、80℃で20分間間攪拌した。ここへ同温度で38%塩酸(1.1g)と水(8.4ml)の混合液を5分間かけて滴下し、1時間攪拌した。40℃まで冷却後、結晶を濾別し、水(6ml)で洗浄し5−(4−{[6−(4−アミノ−3,5−ジメチルフェノキシ)−1−メチル−1−H−ベンツイミダゾール−2−イル]メトキシ}ベンジル)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン 2塩酸塩・1水和物の湿品結晶を得た。得られた湿品結晶を 4.3kPa、50℃で、12時間乾燥し、請求項2に記載した結晶形を有する5−(4−{[6−(4−アミノ−3,5−ジメチルフェノキシ)−1−メチル−1−H−ベンツイミダゾール−2−イル]メトキシ}ベンジル)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン 2塩酸塩・1水和物の白色結晶を得た。この結晶の粉末X線回折パターンおよび示差熱分析チャートは実施例1で得られたA結晶のものと一致した。
【0085】
(実施例3)<A結晶>
(3−1)
実施例(1−1)と同様の方法で得た5−(4−{[6−(4−アミノ−3,5−ジメチルフェノキシ)−1−メチル−1−H−ベンツイミダゾール−2−イル]メトキシ}ベンジル)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン 2塩酸塩・1水和物(2.0g)を水(100mL)に懸濁し、2時間還流した。0℃まで冷却し、1時間攪拌後、結晶を濾別し、水で洗浄した。えられた湿品結晶を約80kPa、50℃で14時間乾燥し、5−(4−{[6−(4−アミノ−3,5−ジメチルフェノキシ)−1−メチル−1−H−ベンツイミダゾール−2−イル]メトキシ}ベンジル)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンと塩酸の比が約1対1.1となった結晶を得た。
【0086】
(3−2)
(3−1)で得た結晶を、を水(40ml)に懸濁し、80℃で38%塩酸(1.1g)と水(8.4ml)の混合液を5分間かけて滴下し、1時間攪拌した。0℃まで冷却後、結晶を濾別し、水(6ml)で洗浄し5−(4−{[6−(4−アミノ−3,5−ジメチルフェノキシ)−1−メチル−1−H−ベンツイミダゾール−2−イル]メトキシ}ベンジル)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン 2塩酸塩・1水和物の湿品結晶を得た。得られた結晶を約80Pa、50℃で14時間乾燥した。この結晶を大気中で3日間放置し、請求項2に記載した結晶形を有する5−(4−{[6−(4−アミノ−3,5−ジメチルフェノキシ)−1−メチル−1−H−ベンツイミダゾール−2−イル]メトキシ}ベンジル)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン 2塩酸塩・1水和物(1.83g)の白色結晶を得た。この結晶の粉末X線回折パターンおよび示差熱分析チャートは実施例1で得られたA結晶のものと一致した。
【0087】
(実施例4)<A結晶>
実施例(1−1)と同様の方法で得た5−(4−{[6−(4−アミノ−3,5−ジメチルフェノキシ)−1−メチル−1−H−ベンツイミダゾール−2−イル]メトキシ}ベンジル)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン 2塩酸塩・1水和物(4.0g)を窒素雰囲気下、水(160mL)に懸濁し、80℃で25%水酸化ナトリウム水溶液(1.08g)を滴下し、1時間攪拌した。65℃まで冷却後、同温度で38%塩酸(0.65g)と水(4mL)の混合液を滴下した。ここへ、A結晶(0.2g)を添加し、1時間攪拌後、同温度で38%塩酸(5.11g)と水(31.6mL)の混合液を1時間かけて滴下した。同温度で30分間攪拌した後、40℃まで冷却した。得られた結晶を濾別し、38%塩酸(0.31g)と水(12mL)の混合液で洗浄した。得られた結晶を約4.3KPa、50℃で17時間乾燥し、A結晶(3.98g)を得た。この結晶の粉末X線回折パターンおよび示差熱分析チャートは実施例1で得られたA結晶のものと一致した。
【0088】
(実施例5)<A結晶>
実施例(1−1)と同様の方法で得た5−(4−{[6−(4−アミノ−3,5−ジメチルフェノキシ)−1−メチル−1−H−ベンツイミダゾール−2−イル]メトキシ}ベンジル)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン 2塩酸塩・1水和物(5.0g)を窒素雰囲気下、水(300mL)に懸濁し、ここへ38%塩酸(1.94g)を滴下後、95℃で攪拌し溶液とした。ここへ同温度で38%塩酸(0.81g)と水(5mL)の混合液を滴下した。ここへA結晶(0.25g)を添加し、30分間攪拌した。さらに同温度で38%塩酸(6.14g)と水(38mL)の混合液を2時間かけて滴下し、30分間攪拌した。40℃まで冷却後、結晶を濾別し、38%塩酸(0.39g)と水(15mL)の混合液で洗浄した。得られた結晶を約4.3KPa、50℃で16時間乾燥し、A結晶(5.01g)を得た。この結晶の粉末X線回折パターンおよび示差熱分析チャートは実施例1で得られたA結晶のものと一致した。
【0089】
(実施例6)<B結晶>
(6−1)
実施例1と同じ方法で得た5−(4−{[6−(4−アミノ−3,5−ジメチルフェノキシ)−1−メチル−1−H−ベンツイミダゾール−2−イル]メトキシ}ベンジル)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン 2塩酸塩・1水和物の結晶(2.5g)をメタノール(50ml)に懸濁し、60℃で溶解させた。この溶液を0℃まで冷却し同温度で26時間攪拌した後、得られた結晶を約80Pa、50℃で16時間乾燥し、5−(4−{[6−(4−アミノ−3,5−ジメチルフェノキシ)−1−メチル−1−H−ベンツイミダゾール−2−イル]メトキシ}ベンジル)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン 2塩酸塩の約0.5水和物を得た。
【0090】
(6−2)
(6−1)で得られた5−(4−{[6−(4−アミノ−3,5−ジメチルフェノキシ)−1−メチル−1−H−ベンツイミダゾール−2−イル]メトキシ}ベンジル)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン 2塩酸塩の約0.5水和物の結晶を室温、相対湿度約100%下で19時間放置し、
図3に示す粉末X線回折の回折パターンを示す結晶形を有する5−(4−{[6−(4−アミノ−3,5−ジメチルフェノキシ)−1−メチル−1−H−ベンツイミダゾール−2−イル]メトキシ}ベンジル)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン 2塩酸塩・1水和物(1.6g)の白色結晶(B結晶)を得た。
【0091】
(6−3)
(6−2)で得られた結晶の粉末X線回折(CuKα、λ=1.54オングストローム)の回折パターン図を
図3に、
図3に示す回折パターン図において最大ピーク強度を100とした場合の相対強度7以上のピークを表2に示す。
図3中の数字は表2中のピーク番号に対応する。
【0092】
【表2】
これらのピークの中で、面間隔d値が、10.42、5.85、5.52、3.84、3.46及び2.95オングストロームであるピークが、特にB結晶に特徴的な主ピークである。
【0093】
(6−4)
図4に示差熱分析(DSC)チャートを示す。
【0094】
(比較例1)
特許第3488099号公報の実施例8に記載の方法で、5−(4−{[6−(4−アミノ−3,5−ジメチルフェノキシ)−1−メチル−1−H−ベンツイミダゾール−2−イル]メトキシ}ベンジル)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンの塩酸塩を製造した。得られた化合物は、微赤紫色を呈した。この化合物の粉末X線回折(Cu Kα、λ=1.54 オングストローム)の回折パターン図を
図5に示す。
(試験例)
【0095】
(試験例1)<含量測定>
実施例1で得られたA結晶と、比較例1で得られた化合物(実施例1に記載の、原料とした特許第3488099号公報の実施例8に記載の方法と同様の方法で得た5−(4−{[6−(4−アミノ−3,5−ジメチルフェノキシ)−1−メチル−1−H−ベンツイミダゾール−2−イル]メトキシ}ベンジル)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンの塩酸塩である。以下、同様である。)の含量をHPLCにて以下の分析法で測定した。
【0096】
0.01mol/mL酢酸水溶液に、0.01mol/mL酢酸アンモニウム水溶液を加え、pH=4.5に調整し、0.01mol/mL酢酸アンモニウム緩衝液とした。
【0097】
水、アセトニトリル、メタノールを体積比でそれぞれ、55対40対5の比率で混合し、試料溶解液とした。
【0098】
4−ヒドロキシ安息香酸イソアミル0.2gを試料溶解液に溶かし、200mLとし、内標準溶液とした。
【0099】
5−(4−{[6−(4−アミノ−3,5−ジメチルフェノキシ)−1−メチル−1−H−ベンツイミダゾール−2−イル]メトキシ}ベンジル)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン 2塩酸塩・1水和物の標準品約0.03949gを精密に量り、200mLのメスフラスコに移し、試料溶解液に溶かして、200mLとした。この液5mLを正確に量り50mLのメスフラスコに移し、このメスフラスコに内標準液10mLを正確に加え、さらに試料溶解液を加え、50mLにし、標準溶液とした。
【0100】
含量測定の対象物約0.01gを精密に量り、10mLのメスフラスコに移し、ジメチルスルホキシド約2.5mLを加え溶液とした後、試料溶解液を加え10mLとした。この液2mLを正確に量り100mLのメスフラスコに移し、このメスフラスコに、内標準液20mLを正確に加え、さらに試料溶解液を加え、100mLにし、試料溶液とした。
【0101】
以下の試験条件で、含量を測定した。
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:290nm)
カラム:Waters社製、Symmetry C18(4.6mm x 100mm)
カラム温度:40℃
移動相:0.01mol/mL酢酸アンモニウム緩衝液−アセトニトリル(3対2)
流量:1mL/min(本条件では5−(4−{[6−(4−アミノ−3,5−ジメチルフェノキシ)−1−メチル−1−H−ベンツイミダゾール−2−イル]メトキシ}ベンジル)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンは、約8分の保持時間を示した。)
標準溶液および試料溶液の注入量:10μL
ピーク面積測定範囲:注入開始から約20分。
【0102】
含量は、以下の計算式で与えられる。
【0103】
含量(%)=(Q
T×W
S×F
P)÷(Q
S×W
T)
式中、
標準溶液調製時の標準品秤取量(g):W
S
試料溶液調製時の試料秤取量(g):W
T
標準品の純度係数:F
P
標準溶液のクロマトグラムにおける標準品のピーク面積を内標準のピーク面積で除した値:Q
S
試料溶液のクロマトグラムにおける試料のピーク面積を内標準のピーク面積で除した値:Q
T
得られた測定結果を表3に示す。
【0104】
【表3】
本発明のA結晶は、従来得られていた5−(4−{[6−(4−アミノ−3,5−ジメチルフェノキシ)−1−メチル−1−H−ベンツイミダゾール−2−イル]メトキシ}ベンジル)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンの塩酸塩(比較例1の化合物)より著しく純度が向上しており、また同時に本発明のA結晶取得法が高い精製効果を有していることがわかる。
【0105】
(試験例2)<不純物>
実施例1で得られたA結晶、及び、比較例1で得られた化合物の不純物の含有率をHPLCにて、以下に示す分析法で測定した。
【0106】
ここで、不純物の含有率とは、以下に示す測定条件のもと、ピーク面積比率が0.01%以上として測定された全てのピークの積分面積から、化合物(I)のピーク、及び、溶媒のみを注入したときに検出されるピークを除いたピーク面積の、化合物(I)のピーク面積に対する比率をいう。
【0107】
また、個々の不純物とは、ピーク面積比率が0.01%以上として測定されたピークで、化合物(1)のピーク、及び、溶媒のみを注入したときに検出されるピークを除いたピークの面積比率をいう。
【0108】
0.01mol/mL酢酸水溶液に、0.01mol/mL酢酸アンモニウム水溶液を加え、pH=4.5に調整し、0.01mol/mL酢酸アンモニウム緩衝液とした。
水、アセトニトリルを体積比でそれぞれ、3対2の比率で混合し、試料溶解液とした。
測定対象物0.01gを精密に量り、20mLの褐色メスフラスコに移し、ジメチルスルホキシド約1mLを加え溶液とした後、20mLとし、試料溶液とした。
【0109】
試料溶液1mLを正確に量り、100mLの褐色メスフラスコに移し、試料溶解液を加え、100mLとし、標準溶液とした。
【0110】
以下の試験条件で、測定した。
【0111】
HPLC測定条件(1)
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:230nm)
カラム:Waters社製、XTerra RP
18(4.6mm × 150mm)
カラム温度:40℃
移動相:0.01mol/mL酢酸アンモニウム緩衝液−アセトニトリル(65対35)
流量:1mL/min(本条件では、化合物(1)は約25分の保持時間を示した。)
標準溶液および試料溶液の注入量:10μL
面積測定範囲:注入開始から70分間。
【0112】
HPLC測定条件(2)
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:230nm)
カラム:Waters社製、XTerra RP
18(4.6mm × 150mm)
カラム温度:40℃
移動相:0.01mol/mL酢酸アンモニウム緩衝液−アセトニトリル(56対44)
流量:1mL/min(本条件では、化合物(1)は約8分の保持時間を示した。)
標準溶液および試料溶液の注入量:10μL
面積測定範囲:化合物(I)との相対保持時間が1.48のピークの次に溶出するピークから70分間。
【0113】
不純物の含有率を、以下の計算式により算出した。
【0114】
不純物の含有率(%)
= [HPLC測定条件(1)で測定した0.01%以上の個々の不純物の合計]+[HPLC測定条件(2)で測定した0.01%以上の個々の不純物の合計]
式中、
HPLC測定条件(1)で測定した0.01%以上の個々の不純物の合計(%)
=A
i1/A
S1
HPLC測定条件(2)で測定した0.01%以上の個々の不純物の合計(%)
=A
i2/ A
S2
上記式中、
HPLC測定条件(1)で測定した標準溶液中の化合物(1)のピーク面積:A
S1
HPLC測定条件(1)で測定した0.01%以上の個々の不純物のピーク面積:A
i1
HPLC測定条件(2)で測定した標準溶液中の化合物(1)のピーク面積:A
S2
HPLC測定条件(2)で測定した0.01%以上の個々の不純物のピーク面積:A
i2
得られた測定結果を、表4に示す。
【0115】
【表4】
本発明のA結晶取得法が高い不純物除去効果を有していることがわかる。
【0116】
(試験例3)<残留溶媒>
実施例で得られたA結晶とB結晶、及び、比較例1で得られた化合物の残留溶媒を下記分析法に準じてガスクロマトグラフにて測定した。
(1).A結晶およびB結晶のサンプル調整法
ジメチルホルムアミドと水を体積比で7対3の比率で混合し、希釈液とした。
【0117】
t−ブチルアルコール1mLを正確に量り、100mLのメスフラスコに移し、希釈液で溶かし、100mLとした。この液10mLを正確に量り、500mLのメスフラスコに移し、希釈液を加え500mLにし、内標準液とした。
【0118】
テトラヒドロフラン2mL、ジイソプロピルエーテル2mL、メタノール2mL、酢酸エチル2mL、酢酸2mL、および1,4−ジオキサン2mLを正確に量り、250mLのメスフラスコに移し、内標準溶液を加え、250mLとした。この液1mLを正確に量り、100mLのメスフラスコに移し、内標準溶液を加え、100mLとした。得られた溶液100mLから6mLを正確に量り、20mLのヘッドスペース用バイアル瓶に移した。バイアル瓶にゴム栓をし、アルミニウムキャップで巻き閉めて密栓し、標準溶液とした。
【0119】
測定対象試料0.1gを正確に量り、20mLのヘッドスペース用バイアル瓶に移し、
内標準溶液6mLを正確に加えた。バイアル瓶にゴム栓をし、アルミニウムキャップで巻き閉めて密栓した。60〜70℃の水浴中で振り混ぜながら試料を完全に溶かし、試料溶液とした。
(2).比較例1の化合物のサンプル調整法
t−ブチルアルコール1mLを正確に量り、100mLのメスフラスコに移し、クロロベンゼンで溶かし、100mLとした。この液10mLを正確に量り、500mLのメスフラスコに移し、クロロベンゼンを加え500mLにし、内標準液とした。
【0120】
テトラヒドロフラン2mL、ジイソプロピルエーテル2mL、メタノール2mL、酢酸エチル2mL、酢酸2mL、および1,4−ジオキサン2mLを正確に量り、250mLのメスフラスコに移し、内標準溶液を加え、250mLとした。この液1mLを正確に量り、100mLのメスフラスコに移し、内標準溶液を加え、100mLとした。得られた溶液100mLから6mLを正確に量り、20mLのヘッドスペース用バイアル瓶に移した。バイアル瓶にゴム栓をし、アルミニウムキャップで巻き閉めて密栓し、標準溶液とした。
【0121】
測定対象試料0.1gを正確に量り、20mLのヘッドスペース用バイアル瓶に移し、
内標準溶液6mLおよびトリブチルアミン100μLを正確に加えた。バイアル瓶にゴム栓をし、アルミニウムキャップで巻き閉めて密栓した。60〜70℃の水浴中で振り混ぜながら試料を完全に溶かし、試料溶液とした。
【0122】
(3)試験条件
以下の試験条件で、溶媒の残留量を測定した。
検出器:水素炎イオン化検出器
カラム:J&W社製、DB−624(0.53mm × 30m)
カラム温度:40℃(5分保持)→昇温(10℃/分)→260℃(3分保持)
試料気化室温度:250℃
検出器温度:300℃
キャリアーガス:ヘリウム
カラム流量:5mL/分(テトラヒドロフランの保持時間が約7分になるように調整した。)
スプリット比:1対10
試料注入方法:スプリット法
面積測定範囲:20分間。
【0123】
(4)ヘッドスペース装置の操作条件
バイアル内平衡温度(オーブン温度):85℃
バイアル内平衡時間:15分間
注入ライン温度
サンプルループ温度:95℃
トランスファーライン温度:110℃
キャリアーガス:ヘリウム
バイアル加圧時間:0.20分間
バイアル加圧圧力:約10kPa
サンプルループ充填時間:0.15分間
サンプルループ平衡時間:0.05分間
注入時間:1.0分間
試料注入量:1mL。
【0124】
(5)残留溶媒の計算方法
各溶媒の残留量は、以下の式で与えられる。
各溶媒の残留量(ppm)
=(2×D×Q
T×6×10000000)÷(Q
S×25000×W)
式中、
試料秤取量(g):W
各溶媒の密度(g/mL):D
標準溶液の各溶媒の内標準物質のピーク面積に対する面積の比:Q
S
試料溶液の各溶媒の内標準物質のピーク面積に対する面積の比:Q
T
得られた測定結果を、表5に示す。
【0125】
【表5】
本発明のA結晶およびB結晶には残留溶媒は1種しかなく、その量も非常に少ないことがわかる。
【0126】
(試験例4)<色調>
被検物質約1gを白紙上に取り、色調を観察した。試験結果を表6に示す。
【0127】
【表6】
本発明のA結晶取得法が高い脱色効果を有していることがわかる。
【0128】
(試験例5)<溶解性試験>
以下の方法で模擬胃液に対する化合物(I)のA結晶とB結晶の溶解度を測定した(フリー体換算)。
【0129】
10倍濃度の日局崩壊試験法第1液(関東化学より購入)を精製水で10倍に希釈し、模擬胃液とした。測定対象となる結晶約80mgを正確に量り、25mLのメスフラスコに移し、メタノールで溶かし25mLとした。この液2mLを50mLのメスフラスコに移し、模擬胃液を加え50mLとし、標準溶液とした。
【0130】
溶出試験機NTR−6100A(富山産業社製)を用いて、37℃の模擬胃液500mLに対象となる結晶約100mgを投入し、パドル(250rpm)で攪拌した。60分後、試験液をサンプリングした。標準溶液およびサンプリングした試験液の289nmおよび360nmの吸光度を、紫外可視分光光度計で測定した。
【0131】
溶解度は、以下の式で算出される。
溶解度(μg/mL)={(A
S289−A
S360)×W
S×1000×502.58}
÷{(A
T289−A
T360)×625×593.52}
式中、
標準溶液調製に使用した結晶の秤取量(mg):W
S
標準溶液の289nmでの吸光度:A
S289
標準溶液の360nmでの吸光度:A
S360
試験液の289nmでの吸光度:A
T289
試験液の360nmでの吸光度:A
T360
化合物(I)の2塩酸塩・1水和物の分子量:593.52
化合物(I)のフリー体の分子量:502.58
得られた試験結果を、表7に示す。
【0132】
【表7】
本発明のA結晶及びB結晶は、医薬品の原体として、十分な溶解度を示した。
(製剤例)
【0133】
(製剤例1)<カプセル剤>
実施例1で得られたA結晶5g、乳糖115g、トウモロコシデンプン58gおよびステアリン酸マグネシウム2gをV型混合機を用いて混合した後、3号カプセルに180mgずつ充填するとカプセル剤が得られる。
【0134】
(製剤例2)<錠剤>
実施例1で得られたA結晶5g、乳糖90g、トウモロコシデンプン 34g、結晶セルロース20gおよびステアリン酸マグネシウム1gをV型混合機を用いて混合した後、1錠当り150mgの質量で錠剤機で打錠すると錠剤が得られる。
【0135】
(製剤例3)<懸濁剤>
メチルセルロースを精製水に分散、溶解させた分散媒を調製し、実施例1で得られたA結晶を乳鉢に量り取り、前述した分散媒を少量ずつ加えながらよく練合し、精製水を加えて懸濁液100gを調製する。