(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
回路基板に電気部品が実装された部品実装基板に対して行う電気的検査において電気信号の入出力を行うための当該部品実装基板における検査ポイントを示すポイント情報を含む検査用データを作成可能に構成されたデータ作成装置であって、
前記検査用データの作成時に参照させる図であって前記回路基板の配線および前記電気部品の配置を示す配置図を表示部に表示させる表示制御部を備え、
前記表示制御部は、前記配置図を表示させる際に、予め設定された条件を満たす前記電気部品の図示を省略すると共に当該図示を省略した電気部品の配置位置に対応する位置に図示を省略した旨を示す標識を図示して前記配置図を表示させる第1表示処理を実行可能に構成されているデータ作成装置。
前記表示制御部は、前記配置図を表示させる際に、前記電気部品の図示を省略することなく表示させる第2表示処理を実行可能に構成され、指定操作によって指定された前記第1表示処理および前記第2表示処理のいずれか一方を実行する請求項1記載のデータ作成装置。
回路基板に電気部品が実装された部品実装基板に対して行う電気的検査において電気信号の入出力を行うための当該部品実装基板における検査ポイントを示すポイント情報を含む検査用データの作成時に参照させる図であって当該回路基板の配線および当該電気部品の配置を示す配置図を表示部に表示させる表示制御方法であって、
予め設定された条件を満たす前記電気部品の図示を省略すると共に当該図示を省略した電気部品の配置位置に対応する位置に図示を省略した旨を示す標識を図示して前記配置図を表示させる第1表示処理を実行する表示制御方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、発明者らが既に開発している上記の基板検査装置には、改善すべき以下の課題がある。すなわち、上記の基板検査装置では、全ての配線や電気部品が図示された配置図を表示している。この場合、
図8に示すように、2つの抵抗器R101,R102が直列接続され、これら2つの抵抗器と並列に抵抗器R103が接続されている場合において、抵抗器R103の抵抗値を測定しようとするときには、抵抗器R103が接続されている配線W101,W102の一方(例えば、配線W101)を検査用信号のHi側供給用の検査ポイント、他方(配線W102)を検査用信号のLo側供給用の検査ポイントとしてそれぞれ設定すると共に、配線W103を配線W101と同電位とする検査ポイント(以下、この検査ポイントを「ガードポイント」ともいう)として設定する。このように設定することで、抵抗器R101,R102への検査用信号の流れ込みが規制されるため、配線W101,W102間に流れる電流値と配線W101,W102間の電圧値とに基づいて抵抗器R103の抵抗値が測定される。
【0006】
一方、例えば、コイルのように抵抗値が十分に小さい電気部品や、電気部品の端子間にジャンパ線が接続されている電気部品が実装されている場合において、これらの電気部品以外の電気部品を検査する際には、これらの電気部品を配線の一部とみなして検査ポイントを設定する必要が生じることがある。具体的には、
図9に示すように、抵抗値が十分に小さいコイルL101と、抵抗器R102とが直列接続され、これら2つの電気部品と並列に抵抗器R103が接続されている場合には、上記の例のように配線W101を検査用信号のHi側供給用の検査ポイント、配線W102を検査用信号のLo側供給用の検査ポイント、配線W103をガードポイントとしてそれぞれ設定したとしても、抵抗器R102に検査用信号が流れる結果、配線W101,W102間に流れる電流値と配線W101,W102間の電圧値とに基づいて測定した抵抗値は、並列接続されている抵抗器R102,R103の合成抵抗となる。このため、このような場合においては、抵抗器R103単独の抵抗値の測定はできないことから、配線W101,W103を1つの配線とみなして(つまり、コイルL101を配線W101,W103の一部とみなして)、ガードポイントを非設定とし、かつ抵抗器R103の良否を判定する判定用の基準値を抵抗器R102,R103の合成抵抗(または、その合成抵抗に近い値)とする必要がある。しかしながら、従来の基板検査装置では、全ての電気部品を図示した配置図を表示しているため、配線の一部とみなすべき電気部品(上記の例では、コイルL101)を配置図から一目では認識することが困難であり、これに起因して、作業効率の向上が困難となったり、不要な検査ポイント(ガードポイント)を設定したりするという課題が存在する。
【0007】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、検査ポイントや判定用の基準値を正確かつ効率的に設定し得るデータ作成装置、基板検査装置および
表示制御方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成すべく請求項1記載のデータ作成装置は、回路基板に電気部品が実装された部品実装基板に対して行う電気的検査において電気信号の入出力を行うための当該部品実装基板における検査ポイントを示すポイント情報を含む検査用データを作成可能に構成されたデータ作成装置であって、前記検査用データの作成時に参照させる図であって前記回路基板の配線および前記電気部品の配置を示す配置図を表示部に表示させる表示制御部を備え、前記表示制御部は、前記配置図を表示させる際に、予め設定された条件を満たす前記電気部品の図示を省略
すると共に当該図示を省略した電気部品の配置位置に対応する位置に図示を省略した旨を示す標識を図示して前記配置図を表示させる第1表示処理を実行可能に構成されている。
【0010】
また、請求項
2記載のデータ作成装置は、請求項
1記載のデータ作成装置において、前記表示制御部は、前記配置図を表示させる際に、前記電気部品の図示を省略することなく表示させる第2表示処理を実行可能に構成され、指定操作によって指定された前記第1表示処理および前記第2表示処理のいずれか一方を実行する。
【0011】
また、請求項
3記載のデータ作成装置は、請求項1
または2記載のデータ作成装置において、前記条件を設定する設定操作が可能に構成され、前記表示制御部は、前記設定操作によって設定された前記条件に基づいて前記第1表示処理を実行する。
【0012】
また、請求項
4記載の基板検査装置は、請求項1から
3のいずれかに記載のデータ作成装置と、当該データ作成装置によって作成された前記検査用データを用いて前記部品実装基板に対する電気的検査を行う検査部とを備えている。
【0013】
また、請求項
5記載の
表示制御方法は、回路基板に電気部品が実装された部品実装基板に対して行う電気的検査において電気信号の入出力を行うための当該部品実装基板における検査ポイントを示すポイント情報を含
む検査用データの作成時に参照させる図であって
当該回路基板の配線および
当該電気部品の配置を示す配置図を表示部に表示させる
表示制御方法であって、予め設定された条件を満たす前記電気部品の図示を省略
すると共に当該図示を省略した電気部品の配置位置に対応する位置に図示を省略した旨を示す標識を図示して前記配置図を表示させる第1表示処理を実行する。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載のデータ作成装置、および請求項
5記載の
表示制御方法では、検査用データの作成時に参照させる図であって配線および電気部品の配置を示す配置図を表示部に表示させる際に、予め設定された条件を満たす電気部品の図示を省略して表示させる第1表示処理を実行する。このため、このデータ作成装置および
表示制御方法では、例えば、電気部品の抵抗値が十分に小さいことを条件として設定することで、抵抗値が小さいコイルなどの電気部品の図示が省略され、その電気部品が直接接続されている複数の配線が1つの配線のように表示される。この結果、この配置図を参照することで、抵抗値が小さい電気部品の図示を省略していない状態では一目では並列に接続されていることを認識することが困難な複数の電気部品が、実質的に並列に接続されていることを一目で認識することができる。したがって、このデータ作成装置および
表示制御方法によれば、例えば、電気部品の抵抗値を測定し、その抵抗値から電気部品の良否を検査する場合において、この配置図を参照することで、電気信号の入出力を行うための検査ポイントとして設定すべき配線や、良否判定用の基準値を正確かつ効率的に入力して設定することができる。
【0015】
また、
このデータ作成装置
および表示制御方法によれば、第1表示処理において、図示を省略した電気部品の配置位置に対応する位置に図示を省略した旨を示す標識を図示させることにより、標識が図示された位置に何らかの電気部品が配設されていることを認識させることができる。このため、このデータ作成装置および
表示制御方法によれば、図示を省略した電気部品に接続されている複数の配線が存在する場合において、図示された標識によってその電気部品と配線との位置関係を容易に把握することができる。したがって、このデータ作成装置および
表示制御方法によれば、例えば、検査用のプローブを接触させる検査ポイントとしての配線をそれら複数の配線の中から選択する際に、プローブと電気部品との接触を回避するには、各配線のうちのどの配線を選択すべきかを、これらの位置関係から容易に判断することができる。
【0016】
また、請求項
2記載のデータ作成装置によれば、配置図を表示させる際に、電気部品の図示を省略することなく表示させる第2表示処理を実行可能に構成され、指定操作によって指定された第1表示処理および第2表示処理のいずれか一方を実行することにより、例えば検査の内容に応じて、電気部品の図示を省略した配置図の表示と、電気部品の図示を省略しない配置図の表示とを任意に切り替えることができる結果、検査用データを作成する際の利便性を十分に向上させることができる。
【0017】
また、請求項
3記載のデータ作成装置によれば、図示の省略の対象とする電気部品の条件を設定する設定操作を可能にしたことにより、条件を変更することで所望の電気部品だけの図示を省略した任意の配置図を確実かつ容易に表示させることができるため、検査用データを作成する際の利便性をさらに向上させることができる。
【0018】
また、請求項
4記載の基板検査装置によれば、上記のデータ作成装置を備えたことにより、上記のデータ作成装置が有する効果と同様の効果を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、データ作成装置、基板検査装置および
表示制御方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0021】
最初に、基板検査装置1の構成について説明する。
図1に示す基板検査装置1は、基板検査装置の一例であって、部品実装基板100a,100b(以下、区別しないときには「部品実装基板100」ともいう)に対する電気的検査を実行可能に構成されている。この場合、部品実装基板100aは、
図2に示すように、配線W1〜W3が形成された回路基板B1と、配線W1〜W3に接続されて回路基板B1に実装された電気部品E(例えば、同図に示す抵抗器R1〜R3およびコンデンサC1)とを備えて構成されている。また、部品実装基板100bは、
図4に示すように、配線W4〜W9(以下、上記した配線W1〜W3、および配線W4〜W9を区別しないときには「配線W」ともいう)が形成された回路基板B2と、配線W4〜W9に接続されて回路基板B2に実装された電気部品E(例えば、同図に示す抵抗器R4〜R6、コイルL1,L2およびコンデンサC2)とを備えて構成されている。
【0022】
一方、基板検査装置1は、
図1に示すように、データ作成装置2および検査部3を備えて構成されている。データ作成装置2は、操作部11、表示部12、記憶部13および制御部14を備えて、部品実装基板100に対して行う電気的検査において用いられる検査用データDtを作成可能に構成されている。
【0023】
操作部11は、キーボード等の入力装置を備えて構成されて、操作に応じて制御部14に対して操作信号を出力する。表示部12は、制御部14の制御に従い、後述する配置
図F1〜F4(以下、区別しないときには「配置
図F」ともいう)などの各種の画像を表示する。記憶部13は、検査用データDtを記憶する。また、記憶部13は、制御部14によって実行される第1表示処理および第2表示処理において用いられる配線データDaおよび電気部品データDbを記憶する。この場合、配線データDaは、部品実装基板100の各配線Wについての形状や配設位置を特定可能な例えばガーバデータで構成されている。また、電気部品データDbは、部品実装基板100の各電気部品Eについての種類や規格(抵抗値、容量、インダクタンスなど)、および各電気部品Eについての形状や配設位置を特定可能な情報を含んで構成されている。
【0024】
制御部14は、操作部11から出力される操作信号に基づき、各種の処理を実行すると共に、表示部12や検査部3を制御する。具体的には、制御部14は、操作部11から出力される操作信号に基づいて検査用データDtを作成し、記憶部13に記憶させる。ここで、検査用データDtは、一例として、検査用信号S(電気信号の一例)を供給する検査ポイントとしての配線Wを示すポイント情報、ガードポイント(検査用信号Sを供給すべき配線Wと同電位とするポイント)として機能させる検査ポイントとしての配線Wを示すポイント情報、および電気部品Eの良否を判定するための良否判定用の基準値などが検査対象の電気部品E毎に記述されて構成されている。
【0025】
また、制御部14は、表示制御部として機能し、
表示制御方法に従って、第1表示処理を実行して、例えば
図5に示す配置
図F2を表示部12に表示させ、第2表示処理を実行して、例えば
図3,6に示す配置
図F1,F3を表示部12に表示させる。ここで、配置
図Fは、検査用データDtを作成する際(操作部11に対する入力作業を行う際)に参照させる図であって、各
図3,5,6に示すように、部品実装基板100の各配線Wおよび各電気部品Eの配置が図示されると共に、各配線Wの符号や電気部品Eの種類などを示す情報が図示されている。
【0026】
また、
図5に示す配置
図F2は、予め設定された条件を満たす電気部品Eの図示を省略すると共に、図示を省略した電気部品Eの配置位置に対応する位置にその旨(図示を省略した旨)を示す標識Mを図示した配置図であり、
図3,6に示す配置
図F1,F3は、このような電気部品Eの図示を省略していない配置図である。この場合、この基板検査装置1では、操作部11を操作(設定操作)することにより、上記した条件を任意に設定することが可能となっている。一例として、電気部品Eの抵抗値が十分に小さく、その電気部品Eが接続されている複数の配線Wを1つの配線とみなした方が都合のよいときには、抵抗値が小さいことを上記した条件として設定する。具体的には、「電気部品Eの抵抗値が基準値(例えば、1Ω)以下である」、「電気部品Eがコイルである」および「配線Wに接続されている電気部品Eの端子間にジャンパ線が接続されている」などの条件を上記した条件として設定することができる。
【0027】
検査部3は、
図1に示すように、基板保持台21、プローブユニット22、プロービング機構23、スキャナ部24、検査用信号生成部25、および測定部26を備えて構成されている。
【0028】
基板保持台21は、部品実装基板100を保持可能に構成されている。プローブユニット22は、部品実装基板100の各配線Wに接触可能な複数のプローブピン31を備えて治具型に構成されている。プロービング機構23は、制御部14の制御に従い、プローブユニット22を移動させることによってプロービングを行う。
【0029】
スキャナ部24は、複数のスイッチ(図示せず)を備えて構成され、制御部14の制御に従って各スイッチをオン状態またはオフ状態に移行させることにより、プローブユニット22のプローブピン31と検査用信号生成部25との接断(接続および切断)、およびプローブピン31と測定部26との接断を行う。検査用信号生成部25は、検査用信号S(例えば、直流定電流信号)を生成する。測定部26は、検査用信号Sの供給によって電気部品Eの両端間に生じる電圧の電圧値と検査用信号Sの電流値とに基づいて電気部品Eの抵抗値を測定する。
【0030】
次に、基板検査装置1を用いて
図2,4に示す部品実装基板100a,100bについての検査用データDtを作成するデータ作成方法、およびその検査用データDtに基づいて基板検査装置1を用いて部品実装基板100a,100bを検査する方法について、図面を参照して説明する。なお、電気部品Eがコイルであることが、第1表示処理において電気部品Eの図示を省略する条件として予め設定されているものとする。
【0031】
最初に、
図2に示す部品実装基板100aについての検査用データDtを作成する方法について説明する。この検査用データDtの作成に当たっては、部品実装基板100aの各配線Wおよび各電気部品Eの配置が図示された配置
図Fを
表示制御方法に従って表示させ、この配置
図Fを参照しつつ作成作業を行うのが作業効率を向上させる上で好ましい。ここで、同図に示すように、部品実装基板100aには、電気部品Eとしてのコイルが実装されていない(つまり、省略すべき電気部品Eが実装されていない)。このため、この場合には、操作部11を操作して、電気部品Eの図示を省略しない配置
図F(
図3に示す配置
図F1)の表示を指示する。
【0032】
この際に、操作部11が操作信号を出力し、制御部14が操作信号に従って第2表示処理を実行する。この第2表示処理では、制御部14は、記憶部13から配線データDaおよび電気部品データDbを読み出す。次いで、制御部14は、配線データDaおよび電気部品データDbに基づき、電気部品Eの図示を省略することなく、全ての電気部品Eを図示する配置
図F1を表示させるのに必要な画像データを生成する。次いで、制御部14は、生成した画像データを表示部12に出力する。これにより、
図3に示すように、配置
図F1が表示部12に表示される。次いで、配置
図F1を参照しつつ操作部11を操作して、検査ポイントとして設定する配線Wを示す値や良否判定用の基準値などを各電気部品E毎に入力する。
【0033】
一例として、部品実装基板100aの抵抗器R1についての検査ポイントおよび良否判定用の基準値を入力する例について説明する。この場合、
図3に示す配置
図F1を参照すると、抵抗器R2,R3が直列接続され、これら2つの抵抗器と並列に抵抗器R1が接続されていることを一目で認識することができる。また、このことから、抵抗器R1の抵抗値を測定するには、抵抗器R1が接続されている配線W1,W3の一方(例えば、配線W1)を検査用信号SのHi側供給用の検査ポイントとして設定し、配線W1,W3の他方(配線W3)を検査用信号SのLo側供給用の検査ポイントとしてそれぞれ設定すると共に、配線W2をガードポイント(配線W1と同電位とする検査ポイント)として設定すればよいことが判断される。このように判断したときには、操作部11を操作して、配線W1〜W3を示す値を入力する。また、良否判定用の基準値として、抵抗器R1の抵抗値である85.71Ωの約90%に相当する77.14Ωを入力する。
【0034】
また、制御部14は、入力操作に応じて操作部11から出力される操作信号に基づき、入力された配線Wを示す値(検査ポイントを示す情報)や良否判定用の基準値などを含んだ検査用データDtを生成して記憶部13に記憶させる。以上により、部品実装基板100aについての検査用データDtの作成が終了する。
【0035】
次に、
図4に示す部品実装基板100bについての検査用データDtを作成する方法について説明する。ここで、同図に示すように、部品実装基板100bには、コイルL1,L2が実装されており、検査用データDtの作成に当たっては、コイルL1,L2が接続されている複数の配線Wを1つの配線とみなした方が都合がよい。このため、この場合には、操作部11を操作して、コイルL1,L2の図示を省略した配置
図F(
図5に示す配置
図F2)の表示を指示する。
【0036】
この際に、制御部14は、操作部11からの操作信号に従って第1表示処理を実行する。この第1表示処理では、制御部14は、記憶部13から読み出した配線データDaおよび電気部品データDbに基づき、配置
図F2を表示させるのに必要な画像データを生成する。この場合、この例では、コイルを図示から除外する旨の条件が設定されている。このため、制御部14は、コイルL1,L2(
図4参照)の図示を省略すると共に、コイルL1,L2の配置位置に対応する位置P1,P2(
図5参照:以下、区別しないときには「位置P」ともいう)に、図示を省略した旨を示す標識M(同図参照)を図示した画像データ生成する。
【0037】
続いて、制御部14は、生成した画像データを表示部12に出力する。これにより、
図5に示すように、配置
図F2が表示部12に表示される。次いで、配置
図F2を参照しつつ操作部11を操作して、検査ポイントとして設定する配線Wを示す値や良否判定用の基準値などを各電気部品E毎に入力する。
【0038】
一例として、部品実装基板100bの抵抗器R4についての検査ポイントおよび良否判定用の基準値を入力する例について説明する。この場合、
図5に示す配置
図F2を参照すると、コイルL1,L2の図示が省略されているため、抵抗器R4〜R6が並列に接続されていること(実質的にそれと同等の状態であること)を一目で認識することができる。このため、この例では、同図における配線W4(または、配線W6)を検査用信号SのHi側供給用の検査ポイントとして設定するために、配線W4(または、配線W6)を示す値を入力し、配線W9を検査用信号SのLo側供給用の検査ポイントとして設定するために、配線W9を示す値を入力する。また、良否判定用の基準値として、抵抗器R4〜R6の合成抵抗である28.57(85.71/3)Ωの約90%に相当する25.71Ωを入力する。
【0039】
一方、図示を省略した電気部品E(上記の例では、コイルL1,L2)についての検査(例えば、導通検査)を行うための検査ポイントや良否判定用の基準値を設定する際には、設定した条件(この例では、「コイルであること」)を満たす電気部品Eが実装されていても、その電気部品Eの図示を省略しない配置
図F(
図6に示す配置
図F3)を表示させる必要がある。この場合には、操作部11を操作して配置
図F3の表示を指示する。
【0040】
この際に、制御部14は、操作部11からの操作信号に従って上記した第2表示処理を実行することにより、電気部品Eの図示を省略しない配置
図F3を表示させるのに必要な画像データを生成して、表示部12に出力する。これにより、
図6に示すように、配置
図F3が表示部12に表示される。続いて、配置
図F3を参照しつつ操作部11を操作して、検査ポイントとして設定する配線Wを示す値や良否判定用の基準値などを入力する。
【0041】
また、制御部14は、入力操作に応じて操作部11から出力される操作信号に基づき、入力された配線Wを示す値(検査ポイントを示す情報)や良否判定用の基準値などを含んだ検査用データDtを生成して記憶部13に記憶させる。以上により、部品実装基板100bについての検査用データDtの作成が終了する。
【0042】
次に、部品実装基板100の検査を行う方法について説明する。まず、部品実装基板100を検査部3の基板保持台21に載置して保持させる。続いて、操作部11を操作して、検査の開始を指示する。この際に、制御部14が、操作部11から出力された操作信号に従い、検査部3のプロービング機構23を制御してプローブユニット22を移動させる。これにより、プローブユニット22の各プローブピン31の先端部が部品実装基板100の各配線Wに接触(プロービング)させられる。
【0043】
次いで、制御部14は、検査処理を実行する。この検査処理では、制御部14は、記憶部13から検査用データDtを読み出し、続いて、検査用データDtに基づき、検査対象の電気部品E(例えば、
図2に示す部品実装基板100aの抵抗器R1)についての検査ポイントを特定する。次いで、制御部14は、検査部3の検査用信号生成部25を制御して検査用信号Sを生成させる。続いて、制御部14は、検査部3のスキャナ部24を制御して、検査ポイントとして設定されている配線W(この例では、配線W1および配線W3)に接触しているプローブピン31と検査用信号生成部25および測定部26とを接続する。これにより、検査用信号生成部25によって生成された検査用信号Sが配線W1および配線W3に供給される。
【0044】
次いで、測定部26が検査用信号Sの供給によって生じる配線W1,W3間の電圧の電圧値と検査用信号Sの電流値とに基づいて配線W1,W3間(つまり抵抗器R1の両端間)の抵抗値を測定する。続いて、制御部14が、測定部26によって測定された測定値と、検査用データDtに含まれている良否判定用の基準値とを比較して、抵抗器R1の良否を判定する。次いで、制御部14は、上記した各処理を実行して、他の電気部品Eに対する検査を実行する。また、制御部14は、各電気部品Eについての判定結果を表示部12に表示させる。
【0045】
このように、この基板検査装置1、データ作成装置2および
表示制御方法では、検査用データDtの作成時に参照させる図であって部品実装基板100の配線Wおよび電気部品Eの配置を示す配置
図Fを表示部12に表示させる際に、制御部14が予め設定された条件を満たす電気部品Eの図示を省略して表示させる第1表示処理を実行する。このため、この基板検査装置1、データ作成装置2および
表示制御方法では、例えば、電気部品Eの抵抗値が十分に小さいことを条件として設定することで、抵抗値が小さいコイルなどの電気部品Eの図示が省略され、その電気部品Eが直接接続されている複数の配線Wが1つの配線Wのように表示される。この結果、この配置
図Fを参照することで、抵抗値が小さい電気部品Eの図示を省略していない状態では一目では並列に接続されていることを認識することが困難な複数の電気部品Eが、実質的に並列に接続されていることを一目で認識することができる。したがって、この基板検査装置1、データ作成装置2および
表示制御方法によれば、例えば、電気部品Eの抵抗値を測定し、その抵抗値から電気部品Eの良否を検査する場合において、この配置
図Fを参照することで、検査用信号Sを供給するための検査ポイントや検査用信号Sの供給によって生じる電圧の入力(電気信号の入出力)を行うための検査ポイントとして設定すべき配線Wや、良否判定用の基準値を正確かつ効率的に入力して設定することができる。
【0046】
また、この基板検査装置1、データ作成装置2および
表示制御方法によれば、第1表示処理において、図示を省略した電気部品Eの配置位置に対応する位置Pに省略した旨を示す標識Mを図示させることにより、標識Mが図示された位置Pに何らかの電気部品Eが配設されていることを認識させることができる。このため、この基板検査装置1、データ作成装置2および
表示制御方法によれば、図示を省略した電気部品Eに接続されている複数の配線Wが存在する場合において、図示された標識Mによってその電気部品Eと各配線Wとの位置関係を容易に把握することができる。したがって、この基板検査装置1、データ作成装置2および
表示制御方法によれば、例えば、検査用のプローブを接触させる検査ポイントとしての配線Wをそれら複数の配線Wの中から選択する際に、プローブと電気部品Eとの接触を回避するには、各配線Wのうちのどの配線Wを選択すべきかを、これらの位置関係から容易に判断することができる。
【0047】
また、この基板検査装置1、データ作成装置2および
表示制御方法によれば、配置
図Fを表示させる際に、電気部品Eの図示を省略することなく表示させる第2表示処理を実行可能に構成され、第1表示処理および第2表示処理を指定操作に従って実行することにより、例えば検査の内容に応じて、電気部品Eの図示を省略した配置
図Fの表示と、電気部品Eの図示を省略していない配置
図Fの表示とを任意に切り替えることができる結果、検査用データを作成する際の利便性を十分に向上させることができる。
【0048】
また、この基板検査装置1、データ作成装置2および
表示制御方法によれば、図示の省略の対象とする電気部品Eの条件を設定する設定操作を可能にしたことにより、条件を変更することで所望の電気部品Eだけの図示を省略した任意の配置
図Fを確実かつ容易に表示させることができるため、検査用データを作成する際の利便性をさらに向上させることができる。
【0049】
なお、
図5に示す配置
図F2は一例であって、適宜変更することができる。例えば、
図7に示す配置
図F4のように、1つの配線Wとみなすことができる複数の配線W(
図5の配置
図F2内に図示されている配線W4と配線W5との間の縦(同図において上下方向の)配線W、および配線W6配線W7との間の縦の(同図において上下方向の)配線W)をまとめて1本の配線Wとして図示することができる。なお、
図7に示す配置
図F4では、
図5に示す配置
図F2と同じ構成要素については、同じ符号を付している。
【0050】
また、電気部品Eの抵抗値が小さいことを図示の省略の対象とする条件として設定する上記の例とは逆にして、電気部品Eの抵抗値が大きいことを図示の省略の対象とする条件として設定することで、抵抗値が大きい電気部品Eの図示を省略した配置
図Fを表示させる構成および方法を採用することもできる。また、黒丸の標識M(
図5,7参照)を採用した例について上記したが、標識Mの形態は黒の四角および三角や、白の丸、四角および三角など任意に設定することができる。また、標識Mに代えて、図示を省略した旨を示す文字を図示する構成および方法を採用することもできる。