(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記押し当て量変更手段が、前記ローラ移動手段にスライド可能に装着され、前記インクローラ及び前記インクローラカバーを支持する、請求項1記載のインク塗布ユニット。
前記ローラ移動手段が、前記インクローラの中心軸が前記被印字媒体の搬送方向に対して略直交するように前記インクローラの姿勢を設定する、請求項1又は2記載のインク塗布ユニット。
前記インクローラが円筒形状を有しており、前記インクローラカバーの前記2つのエッジが前記インクローラの中心軸方向に対して傾いている、請求項1〜3のいずれか1項記載のインク塗布ユニット。
前記インクローラの周面がテーパー形状を有しており、前記インクローラカバーの前記2つのエッジが前記インクローラの中心軸に対して略平行である、請求項1〜3のいずれか1項記載のインク塗布ユニット。
前記インクローラが円筒形状を有しており、前記インクローラカバーの前記2つのエッジが複数段階に位置が異なる階段状に形成されている、請求項1〜3のいずれか1項記載のインク塗布ユニット。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施形態)
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、同一の構成要素には同一の符号を付して、説明を省略する。
図1は、本発明の各実施形態に係るインク塗布ユニットが装備されたプリンタをスタッカーと共に示す概略断面図である。以下においては、被印字媒体(用紙)としてタグ製造用の帯状のシートに印字を行う場合を例にとって説明する。
【0017】
図1に示すように、用紙1が、ロール状に巻回されたロール紙3として、プリンタ20の筐体に設けられた用紙供給軸23に回転可能に支持されている。用紙供給軸23から引き出された用紙1は、プラテンローラ21とサーマルヘッド22との間に供給され、プラテンローラ21とサーマルヘッド22とによって挟持搬送される。その際に、案内ローラ24が、用紙供給軸23から引き出された用紙1を、プラテンローラ21とサーマルヘッド22との間に案内する。
【0018】
また、インクリボン2が、リボン供給軸25とリボン巻取り軸26との間に架け渡されている。リボン巻取り軸26は、プラテンローラ21に連動して回転駆動される。リボン供給軸25にロール状に巻き回された状態で支持された未使用のインクリボン2は、プラテンローラ21とサーマルヘッド22との間に用紙1と共に供給され、転写後のインクリボン2は、リボン巻取り軸26によって巻き取られる。その際に、案内ローラ27が、リボン供給軸25に支持された未使用のインクリボン2をプラテンローラ21とサーマルヘッド22との間に案内し、案内ローラ28及び29が、転写後のインクリボン2をリボン巻取り軸26に案内する。
【0019】
プラテンローラ21及びサーマルヘッド22は、用紙1に印字を行うための印字部を構成している。プラテンローラ21は、筐体内に設けられたモータによって駆動されて回転することにより、用紙1及びインクリボン2を同一方向に同一速度で搬送する。サーマルヘッド22は、電流を流すことによって発熱する複数の微細な発熱体を幅方向に有しており、用紙1及びインクリボン2を介してプラテンローラ21に対向して配置されている。これらの発熱体に電圧を印加して電流を流すことにより発熱体を発熱させ、インクリボン2のインクを用紙1に転写することにより印字が行われる。
【0020】
本発明の各実施形態に係るインク塗布ユニット10は、プリンタ20において用紙1の側面に仕分けのための着色を行う装置であり、印字部の後段に設けられる。インク塗布ユニット10は、制御部50の制御の下で、サーマルヘッド22の位置を通過した用紙1の側面にインクローラを押し当てることにより、必要に応じて用紙1の側面に仕分けのための着色を施す。
【0021】
さらに、インク塗布ユニット10の後段(搬送方向下流側)には、カッターユニット30が設けられている。カッターユニット30は、制御部50の制御の下で、インク塗布ユニット10の位置を通過した用紙1を所定の間隔で切断する。これにより、用紙1が、個々のタグに分離される。分離されたタグは、プリンタ20から排出され、プリンタ20に隣接して配置されたスタッカー80に送り込まれ、印字された順序で積み重ねられる。
【0022】
入力部40は、複数の操作キー、及び/又は、外部のホストコンピュータに接続されるインタフェースを含んでおり、プリンタ20を操作するために用いられる。制御部50は、例えば、CPUとソフトウェアを含んでおり、プリンタ20の各部の動作を制御する。表示部60は、エラーメッセージ等を表示するためのLCDパネルを含んでおり、制御部50から供給される信号に基づいて各種の表示を行う。電源部70は、プリンタ20の各部に電力を供給する。
【0023】
次に、
図1に示すプリンタの動作について詳しく説明する。
用紙1及びインクリボン2がプラテンローラ21とサーマルヘッド22との間に挟持された状態で、モータがプラテンローラ21を回転させることにより、用紙1及びインクリボン2が搬送方向上流側(図中右側)から搬送方向下流側(図中左側)に搬送される。このように用紙1及びインクリボン2を搬送しながら、サーマルヘッド22に印字信号を供給することにより、サーマルヘッド22の発熱体が発熱して、用紙1に印字が行われる。印字動作は、入力部40に入力される印字情報に基づいて、制御部50によって制御される。
【0024】
例えば、A社向けのタグを30枚印字してからB社向けのタグを20枚印字する場合に、制御部50は、印字情報に含まれている印字内容及び印字枚数に基づいて、A社向けの30枚目のタグ又はB社向けの1枚目のタグの側面に仕分けのための着色を施すように、インク塗布ユニット10を制御する。あるいは、制御部50は、A社向けの30枚目のタグに続く1枚のタグに印字を行わないようにしてダミータグとし、ダミータグの側面に仕分けのための着色を施すように、インク塗布ユニット10を制御するようにしても良い。
【0025】
印字が行われた用紙1は、ラベル排出口の近傍に設けられたカッターユニット30によって切断され、個々のタグに分離されて、ラベル排出口から外部に排出される。プリンタ20から排出されたタグは、プリンタ20に隣接して配置されたスタッカー80に送り込まれ、印字された順序で下から順に積み重ねられる。その際に、多数のタグを積み重ねた状態でも、側面に着色が施されたタグを目安として、それらのタグを仕分けすることができる。
【0026】
図2は、本発明の第1の実施形態に係るインク塗布ユニットの構成を示す側面図である。
図2の(a)は、インクローラが用紙の側面に押し当てられて用紙の側面に着色が施される状態を示しており、
図2の(b)は、インクローラが用紙の側面から離されて用紙の側面に着色が施されない状態を示している。
【0027】
図2の(a)及び(b)に示すように、インク塗布ユニット10は、搬送される用紙1の側面に接触したときに用紙1の側面に着色を施すインクローラ11と、インクローラ11の周囲の一部を覆うインクローラカバー12と、インクローラ11及びインクローラカバー12を支持する支持部13と、支持部13が装着された揺動部14と、揺動部14を回動させるシリンダ15とを備えている。
【0028】
揺動部14は、プリンタに固設されている基体17に対して、用紙1の搬送方向と略平行な回動軸16を中心として回動可能に取り付けられている。シリンダ15は、ソレノイド(電磁力によって磁心を駆動するアクチュエータ)を含み、制御部50(
図1)の制御の下で、揺動部14を回動させる。
【0029】
これにより、支持部13に支持されたインクローラ11及びインクローラカバー12が、インクローラ11が用紙1の側面に接触する第1の位置(
図2の(a)参照)と、インクローラ11が用紙1の側面に接触しない第2の位置(
図2の(b)参照)との間で移動する。ここで、揺動部14及びシリンダ15は、インクローラ11及びインクローラカバー12を移動させるローラ移動手段を構成している。
【0030】
図2の(a)に示すように、シリンダ15が、インクローラ11を用紙1の側面に押し当てる方向に揺動部14を回動させることによって、用紙1の側面に着色が施される状態となる。一方、
図2の(b)に示すように、シリンダ15が、インクローラ11を用紙1の側面から離す方向に揺動部14を回動させることによって、用紙1の側面が着色されない状態となる。
【0031】
本実施形態においては、インクローラ11が円筒形状を有しており、搬送される用紙1の側面に接触したときに用紙1の側面に着色を施す。揺動部14は、少なくとも
図2の(a)に示す状態において、インクローラ11の中心軸が印字後の用紙1の搬送方向に対して略直交するように(
図1参照)、インクローラ11の姿勢を設定する。また、用紙1の側面にインクを均等に塗布するために、揺動部14は、
図2の(a)に示す状態において、インクローラ11の周面が印字後の用紙1の主面(図中下面)に対して略直交するように、インクローラ11の姿勢を設定することが望ましい。
【0032】
インクローラカバー12は、インクローラ11が用紙1に押し当てられる方向を除き、インクローラ11の周囲を覆っている。また、インクローラカバー12は、用紙1の側面に対向する2つのエッジ12aを結ぶ面からインクローラ11の周面の一部が突出するように形成されている。従って、これらのエッジ12aが用紙1の側面に当接することにより、インクローラ11が用紙1の側面に対して必要以上に押し当てられないようになっている。即ち、インクローラカバー12の2つのエッジ12aを結ぶ面からのインクローラ11の突出量が、用紙1の側面に対するインクローラ11の押し当て量を規制している。
【0033】
本実施形態においては、インクローラカバー12の2つのエッジ12aが、インクローラ11の中心軸方向に対して傾いて形成されている。その結果、インクローラカバー12の2つのエッジ12aを結ぶ面からのインクローラ11の突出量が、インクローラ11の中心軸方向における位置によって異なっている。
【0034】
図2の(a)を参照すると、インクローラ11の突出量は、図中上方において最も小さく(負の値)、図中下方に向けて単調増加して、図中下方において最も大きくなる。従って、用紙1に対するインクローラ11及びインクローラカバー12の相対的な位置をインクローラ11の中心軸に対して略平行な方向に変更することにより、用紙1の側面に対するインクローラ11の押し当て量を変更して、インク塗布幅を調整することができる。
【0035】
図3は、
図2に示すインクローラ、インクローラカバー、及び、支持部の構成を示す図である。
図3の(a)は、インクローラの中心軸方向から見た平面図であり、
図3の(b)、(c)、(d)は、インクローラの中心軸に直交する方向から見た背面図、側面図、正面図である。
【0036】
図3の(d)に示すように、インクローラ11は、1対の円板が連結軸で連結されているボビン111と、所定の色のインクが染み込んでいる円筒状のスポンジやフェルト等のインク浸透体112とによって構成される。ボビン111の連結軸にインク浸透体112が取り付けられ、ボビン111の中心軸の両端が、支持部13によって支持されている。また、支持部13は、インクローラ11の周囲の一部を覆うインクローラカバー12を支持している。
【0037】
図3の(b)に示すように、支持部13には、インクローラの中心軸に対して略平行な方向に延びる挿通路131が形成されている。ここで、挿通路131の方向は、
図3の(c)に示すインクローラカバー12の2つのエッジ12aと平行になるようにしても良い。挿通路131の内部には、
図4に示す揺動部14に設けられたソケット部141(後述)が挿通路131に挿入された際に、支持部13を進退方向(インクローラの中心軸に対して略平行な方向)において位置決め可能とする凸部132が設けられている。
【0038】
図4は、
図2に示す揺動部の構成を示す図である。
図4の(a)は、揺動部に装着されるインクローラの中心軸方向から見た平面図であり、
図4の(b)及び(c)は、揺動部に装着されるインクローラの中心軸に直交する方向から見た背面図及び側面図である。
【0039】
図4の(b)に示すように、揺動部14には、
図3の(b)に示す支持部13に形成されている挿通路131に挿入されるソケット部141が、用紙の搬送方向に対して略直交する向きに立設されている。挿通路131にソケット部141を挿入することによって、支持部13が、揺動部14にスライド可能に装着される。
【0040】
ソケット部141には、支持部13を進退方向において位置決め可能とする凸部132と嵌合する3つの凹部142が、異なる3箇所の位置に形成されている。3つの凹部142の内のいずれかと凸部132とを嵌合させることによって、支持部13の装着位置を3段階に調整することができる。以下においては、これらの装着位置を、図中下側から順に、第1の装着位置、第2の装着位置、第3の装着位置とする。
【0041】
このように、ソケット部141に対する支持部13の装着位置を調整することによって、用紙に対するインクローラ11及びインクローラカバー12の相対的な位置を、インクローラ11の中心軸に対して略平行な方向に変更することができる。これにより、用紙の側面に対するインクローラ11の押し当て量が変更され、その結果、用紙の側面に対するインク塗布幅が調整される。従って、支持部13は、用紙の側面に対するインクローラ11の押し当て量を変更可能とする押し当て量変更手段として機能する。
【0042】
図5は、本発明の第1の実施形態に係るインク塗布ユニットの動作を説明するための図である。
図5の(a)は、支持部が第1の装着位置にある状態におけるインクローラ及びインクローラカバー等の側面図であり、
図5の(b)は、支持部が第1の装着位置にある状態におけるインクローラ及びインクローラカバーの用紙高さにおける断面と、着色された用紙の側面とを示す図である。
【0043】
図5の(a)に示すように、支持部13が第1の装着位置にある状態においては、用紙ガイド18に一方の側面を接しながら搬送される用紙1の他方の側面が、インクローラ11及びインクローラカバー12の図中上側の位置に接している。そのような状態においては、
図5の(b)に示すように、インクローラカバー12の2つのエッジ12aを結ぶ面からのインクローラ11の突出量が比較的小さいので、用紙1に対するインク塗布幅W1も比較的小さくなる。
【0044】
図5の(c)は、支持部が第2の装着位置にある状態におけるインクローラ及びインクローラカバー等の側面図であり、
図5の(d)は、支持部が第2の装着位置にある状態におけるインクローラ及びインクローラカバーの用紙高さにおける断面と、着色された用紙の側面とを示す図である。
【0045】
支持部13を第2の装着位置に移動させると、
図5の(c)に示すように、用紙1の側面が、インクローラ11及びインクローラカバー12の上下中央付近の位置に接するようになる。そのような状態においては、
図5の(d)に示すように、インクローラカバー12の2つのエッジ12aを結ぶ面からのインクローラ11の突出量が比較的大きいので、用紙1に対するインク塗布幅W2も比較的大きくなる。
【0046】
また、支持部13を第3の装着位置に移動させると、用紙1の側面がインクローラ11及びインクローラカバー12の図中下側の位置に接するようになるので、インクローラカバー12の2つのエッジ12aを結ぶ面からのインクローラ11の突出量がさらに大きくなり、用紙1に対するインク塗布幅もさらに大きくなる。
【0047】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
第1の実施形態に係るインク塗布ユニットにおいては、インクローラが円筒形状を有していたが、第2の実施形態に係るインク塗布ユニットにおいては、インクローラの周面がテーパー形状を有している。また、インクローラカバーの形状も、インクローラの形状に対応して異なっている。その他の点に関しては、第1の実施形態と同様である。
【0048】
図6は、本発明の第2の実施形態に係るインク塗布ユニットの構成及び動作を説明するための図である。
図6の(a)は、支持部が第1の装着位置にある状態におけるインクローラ及びインクローラカバー等の側面図であり、
図6の(b)は、支持部が第1の装着位置にある状態におけるインクローラ及びインクローラカバーの用紙高さにおける断面と、着色された用紙の側面とを示す図である。
【0049】
第2の実施形態においては、
図6の(a)に示すように、インクローラ91の周面がテーパー形状を有しているので、用紙1の側面に対向するインクローラカバー92の2つのエッジ92aは、インクローラ91の中心軸方向に対して略平行に形成されても良い。その場合でも、インクローラカバー92の2つのエッジ92aを結ぶ面からのインクローラ91の突出量は、インクローラ91の中心軸方向における位置によって異なっている。
【0050】
図6の(a)に示すように、支持部13が第1の装着位置にある状態においては、用紙ガイド18に一方の側面を接しながら搬送される用紙1の他方の側面が、インクローラ91及びインクローラカバー92の図中上側の位置に接している。そのような状態においては、
図6の(b)に示すように、インクローラカバー92の2つのエッジ92aを結ぶ面からのインクローラ91の突出量が比較的小さいので、用紙1に対するインク塗布幅W1も比較的小さくなる。
【0051】
図6の(c)は、支持部が第2の装着位置にある状態におけるインクローラ及びインクローラカバー等の側面図であり、
図6の(d)は、支持部が第2の装着位置にある状態におけるインクローラ及びインクローラカバーの用紙高さにおける断面と、着色された用紙の側面とを示す図である。
【0052】
支持部13を第2の装着位置に移動させると、
図6の(c)に示すように、用紙1の側面が、インクローラ91及びインクローラカバー92の上下中央付近の位置に接するようになる。そのような状態においては、
図6の(d)に示すように、インクローラカバー92の2つのエッジ92aを結ぶ面からのインクローラ91の突出量が比較的大きいので、用紙1に対するインク塗布幅W2も比較的大きくなる。
【0053】
また、支持部13を第3の装着位置に移動させると、用紙1の側面がインクローラ91及びインクローラカバー92の図中下側の位置に接するようになるので、インクローラカバー92の2つのエッジ92aを結ぶ面からのインクローラ91の突出量がさらに大きくなり、用紙1に対するインク塗布幅もさらに大きくなる。
【0054】
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、インクローラカバー93のエッジ93aの形態が第1の実施形態のインクローラカバー12と異なる他は、第1の実施形態と同様である。よって、前述した第1の実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
【0055】
図7は、第3の実施形態のインク塗布ユニットの構成及び動作を説明する図である。
インクローラカバー93のエッジ93aは、インクローラ11の突出量が変化する方向(
図7中の左右方向)の位置が異なる3つの面により階段状に構成されている。従って、
図7中の上方において、インクローラ11の突出量が最も少なく、
図7中の下方においてインクローラ11の突出量が最も多くなっている。
【0056】
用紙1に対するインク塗布幅を変更するときには、第1の実施形態の場合と同様にして、用紙1に対するインクローラ11及びインクローラカバー93の相対的な位置を、インクローラ11の中心軸に対して略平行な方向に変更する。これにより、インクローラ11の突出量が異なる部分が用紙1に当接するように変更できる。
【0057】
例えば、
図7(a)のように、
図7中の最も上のエッジ93aが用紙1と対向する位置にすれば、インクローラ11の突出量が比較的小さいので、用紙1に対するインク塗布幅W1も比較的小さくなる(
図7(b)参照)。
一方、
図7(c)のように、
図7中の上下方向の中間部分のエッジ93aが用紙1と対向する位置にすれば、インクローラ11の突出量が比較的大きいので、用紙1に対するインク塗布幅W2も比較的大きくなる(
図7(d)参照)。
さらに、図示は省略するが、
図7中の上下方向の最も下の部分のエッジ93aが用紙1と対向する位置にすれば、インクローラ11の突出量が最も大きいので、用紙1に対するインク塗布幅も最も大きくできる。
なお、エッジ93aを階段状に形成する段数は、3段に限らず、2段でも良いし、4段以上でも良い。
【0058】
このように、第3の実施形態によれば、インクローラカバー93のエッジ93aを階段状に構成したので、インク塗布幅をより簡単かつ確実に所定の幅に変更できる。
【0059】
(第4の実施形態)
第4の実施形態は、インクローラカバー12とインク浸透体112との相対的な位置が変更可能となるように構成した他は、第1の実施形態と同様である。よって、前述した第1の実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
【0060】
図8は、第4の実施形態のインクローラ11、インクローラカバー12、及び、支持部213の構成を示す図である。なお、
図8は、
図3と同様に示している。
第4の実施形態の支持部213は、基部213aと、軸部213bと、ワッシャ213cとを有している。
【0061】
基部213aは、ソケット部141に対して取り付けられる部分である。なお、この第4の実施形態では、支持部213が揺動部14に対して取り付けられる位置を変更する必要はないので、第1の実施形態に示したよりも簡単な構成としても良い。基部213aには、インクローラカバー12が固定されている。さらに、基部213aは、ボビン111の中心軸を延長した方向の両端を挟むような形態に形成されており、その部分にスリット213dを有している。スリット213dは、用紙1側が開放した形態に形成されている。
【0062】
軸部213bは、スリット213dを通してボビン111にねじ込まれて固定されているねじ部材である。軸部213bは、ボビン111にねじ込まれることにより、インクローラ11を基部213aに対して固定する。なお、軸部213bは、ねじの頭に相当する部分が平板状に形成されており、工具を用いることなく、容易にねじ込み操作、及び、緩め操作を行える。
【0063】
ワッシャ213cは、基部213aと軸部213bとの間に設けられた円環状のワッシャである。
【0064】
上述した構成によりインクローラ11を基部213aに対して固定するので、用紙1に接近する方向(
図8(a)及び
図8(c)では左右方向)における基部213aに対するインクローラ11の相対的な位置が調節可能である。ここで、インクローラカバー12は、基部213aに固定されているので、インクローラカバー12の2つのエッジ12aを結ぶ面からのインクローラ11の突出量を自由に調節可能である。よって、インク塗布ユニット10は、用紙1に対するインク塗布幅を容易に調節できる。
【0065】
図9は、第4の実施形態のインク塗布ユニットの構成及び動作を説明する図である。
例えば、
図9(a)のように、インクローラ11の突出量が比較的小さくなるようにインクローラ11を基部213aに固定すれば、用紙1に対するインク塗布幅W1も比較的小さくなる(
図9(b)参照)。
一方、
図9(c)のように、インクローラ11の突出量が比較的大きくなるようにインクローラ11を基部213aに固定すれば、用紙1に対するインク塗布幅W2も比較的大きくなる(
図9(d)参照)。
【0066】
なお、第4の実施形態では、インクローラ11側を移動させる形態を示したが、インクローラ11を固定しておき、インクローラカバー12側を移動させて用紙1に対するインク塗布幅を調節するようにしても良い。
【0067】
このように、第4の実施形態によれば、インクローラ11を移動させることにより、インク塗布幅の変更を容易に行える。
【0068】
(第5の実施形態)
第5の実施形態は、インクローラカバー120の一部が交換可能となるように構成した他は、第1の実施形態と同様である。よって、前述した第1の実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
【0069】
図10は、第5の実施形態のインクローラ11、インクローラカバー120、及び、支持部13の構成を示す図である。なお、
図10は、
図3と同様に示している。
第5の実施形態のインクローラカバー120は、本体部121と、追加部材122,123とを有している。
【0070】
本体部121は、第1実施形態のインクローラカバー12と略同様な形態をしているが、用紙1側へ突出して延在している部分の長さが、第1実施形態のインクローラカバー12よりも短くなっている。
【0071】
追加部材122,123は、本体部121の用紙1側へ突出して延在している部分に対して着脱可能な部材である。追加部材122,123は、同じもの2つを一組として、即ち、追加部材122を2つで一組、又は、追加部材123を2つで一組として本体部121に装着される。なお、
図10(a)では、本体部121の一方に追加部材122を装着し、他方に追加部材123を装着した状態を示しているが、これは、両者の違いをわかりやすく示すためであり、実際にはこのような形態では使用しない。
【0072】
追加部材122,123は、本体部121へ装着された状態で、用紙1の側面に対向する2つのエッジ(122a又は123a)を結ぶ面により、インクローラ11の突出量を規制するようになっている。ここで、追加部材122及び追加部材123は、本体部121へ装着したときのインクローラ11の突出量が異なるように、互いの部品寸法を変えて形成されている。従って、追加部材122を装着するか、追加部材123を装着するかによって、各エッジを結ぶ面からのインクローラ11の突出量を変更できる。
なお、本実施形態では、本体部121へ装着したときに、その装着状態を保つことができるようにするために、本体部121が追加部材122,123へ圧入されるようにしているが、係合部を設けたり、固定用のピンやビス等を用いたりして、追加部材122,123の装着をより確実にしても良い。
【0073】
図11は、第5の実施形態のインク塗布ユニットの構成及び動作を説明する図である。
例えば、
図11(a)のように、追加部材122を本体部121に装着した場合には、インクローラ11の突出量が比較的小さくなり、用紙1に対するインク塗布幅W1も比較的小さくなる(
図11(b)参照)。
一方、
図11(c)のように、追加部材123を本体部121に装着した場合には、インクローラ11の突出量が比較的大きくなり、用紙1に対するインク塗布幅W2も比較的大きくなる(
図11(d)参照)。
【0074】
なお、第5の実施形態では、追加部材122と追加部材123との2種類を交換可能とした例を挙げて説明したが、これに限らず、例えば、より多くの種類の追加部材を利用可能としても良い。また、インクローラカバーを本体部と追加部材とに分けずに、インクローラカバー全体を交換可能な形態としても良い。
【0075】
このように、第5の実施形態によれば、インクローラカバー120の一部を交換可能とすることにより、インク塗布幅の変更を簡単かつ確実に行える。