【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば上記目的は、
笠木芯材1を被覆体2により覆って形成される手摺笠木であって、
前記被覆体2が、クッション性を有する材料により、外周が多角形をなす断面形状に形成されるとともに、
一部の頂角部が残余の頂角部に比して沈み込み変形容易に形成され
、
かつ、前記沈み込み変形容易な頂角部は、前記頂角部に対応して被覆体2内部、または被覆体2と笠木芯材1との間に空隙3を配置して形成される手摺笠木を提供することにより達成される。
【0007】
本発明において、笠木芯材1を覆う被覆体2は外周が多角形状に形成されるために、頂角部は握った際に適度の抵抗を付与し、周方向の滑りを効果的に防止する。
【0008】
また、複数ある頂角部の一部が残余の頂角部に比して沈み込み変形容易に形成されることから、被覆体2を握った際に掌が当接する頂角部の一部は握力によって他の部分に比して容易に沈み込むために、有効な滑り止め効果に加え、握った際の感触も良好になる上に、残余の部位には相対的な硬質感が発生するために、全体が柔らかい時に感じがちな握った際の不安定感も低減する。
【0009】
被覆体2の外形形状は、適宜の多角形形状、好ましくは正多角形形状に形成されるが、握り、滑るなどの動作性と回転防止機能のバランスを考慮すると、6ないし8角形、望ましくは8角形断面に形成される。
【0010】
沈み込み変形容易な頂角部は、手摺の取付姿勢、当該取付姿勢において利用者が握って身体を支える方向等を考慮して適宜決定可能であるが、沈み込み変形容易な頂角部と、非変形容易頂角部とを一個おきに配置することによって手摺の取付姿勢等を考慮することなく上述した性能を発揮させることができる。
【0011】
沈み込み変形容易な頂角部は、該当頂角部をより柔軟な材料により二重成形する以外に、頂角部に対応して被覆体2内部、または被覆体2と笠木芯材1との間に空隙3を長手通しに配置して形成することが可能であり、笠木芯材1と被覆体2との間に空隙3を形成する場合には、被覆体2の内周壁面をほぼ円形断面に形成するとともに、笠木芯材1の外周壁に凹溝を設けることにより形成することができる。
【0012】
また、手摺笠木は、
笠木芯材1を被覆体2により覆って形成される手摺笠木であって、
前記被覆体2が、クッション性を有する材料により、外周が多角形をなし、かつ、頂角部における向心方向の肉厚が残余の部位に比して肉厚となる断面形状に形成して構成することができる。
【0013】
頂角部における向心方向の肉厚を残余の部位に比して大きくすることによって、被覆体2全体が同一の弾性を有する場合、向心方向に同一の負荷を与えると、頂角部の沈み込み量が最大となる。
【0014】
この結果、被覆体2を握った際に掌が当接する頂角部は他の部分に比して沈み込みやすく、被覆体2全体は、掌の形に応じた変形が生じやすくなるために、有効な滑り止め効果に加え、握った際の感触も良好になる上に、残余の部位には相対的な硬質感が発生するために、全体が柔らかい時に感じがちな握った際の不安定感、あるいは頼りなさ感も低減する。
【0015】
被覆体2には握った際に適度のクッション性能が発揮されるものであれば、例えば軟質塩化ビニル、各種の軟質エラストマー等、種々の材料が利用可能であるが、発泡合成樹脂材を使用した場合、発泡率等の調整によりクッション性能を適度に調整することができる。一般に発泡体は、汚れやすい、傷がつきやすい、引き裂けやすい等の問題があるが、被覆体2の表面に主体部5に比して硬質なスキン層4を配置することにより、これらの問題が効果的に解消される。スキン層4には半硬質合成樹脂材が使用できる。
【0016】
被覆体2は、チューブ状に成形され、熱等により軟化させた被覆体2に笠木芯材1を挿入して笠木芯材1の全周にわたって被覆する以外に、笠木芯材1に機械的に係止させるようなものでもよく、このような手摺笠木は、
笠木芯材1、および被覆体2は、一側方に開放されたほぼC字状の断面形状に形成されるとともに、前記被覆体2は開放端縁部を笠木芯材1の開放端縁に係止させて装着して構成することができる。
【0017】
この場合、被覆体2の笠木芯材1への係止部6を硬質合成樹脂を一体成形して形成すると、笠木芯材1への被覆体2の装着強度が高くなり、不用意な被覆体2の脱落を防止できる。