特許第5749158号(P5749158)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5749158
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】嫌気性硬化性組成物のための硬化促進剤
(51)【国際特許分類】
   C07C 229/60 20060101AFI20150625BHJP
   C08G 18/30 20060101ALI20150625BHJP
   C07C 271/20 20060101ALI20150625BHJP
   C07C 227/02 20060101ALI20150625BHJP
   C09J 4/00 20060101ALI20150625BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20150625BHJP
【FI】
   C07C229/60
   C08G18/30 Z
   C07C271/20
   C07C227/02
   C09J4/00
   C09J11/06
【請求項の数】9
【全頁数】67
(21)【出願番号】特願2011-508594(P2011-508594)
(86)(22)【出願日】2009年5月5日
(65)【公表番号】特表2011-519945(P2011-519945A)
(43)【公表日】2011年7月14日
(86)【国際出願番号】US2009042808
(87)【国際公開番号】WO2009137455
(87)【国際公開日】20091112
【審査請求日】2012年5月2日
(31)【優先権主張番号】12/116,634
(32)【優先日】2008年5月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514056229
【氏名又は名称】ヘンケル アイピー アンド ホールディング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100106297
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 克博
(74)【代理人】
【識別番号】100129610
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 暁子
(72)【発明者】
【氏名】メッサーナ、 アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ジェーコビーン、 アンソニー エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ナコス、 スティーブン トーマス
(72)【発明者】
【氏名】グラサー、 ディビッド エム.
【審査官】 品川 陽子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04058550(US,A)
【文献】 カナダ国特許出願公開第01094057(CA,A1)
【文献】 仏国特許出願公開第02407912(FR,A1)
【文献】 国際公開第2008/509176(WO,A1)
【文献】 特開昭52−148036(JP,A)
【文献】 特開2005−060650(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)以下のアミノ安息香酸(1)と、
(b)以下のグリシドール(2)との付加物であって、
2つの−OHであるペンダント官能基を含むアミノ安息香酸−グリシドール付加物(3)である嫌気性硬化促進剤。
【化1】
(式中、RおよびRは、それぞれ独立に、H、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキルおよびチオアルキルからなる群から選択される。)
【請求項2】
前記アミノ安息香酸(1)が、
【化2】
である、請求項1に記載の嫌気性硬化促進剤。
【請求項3】
構造式(A)
【化3】
の化合物である、請求項に記載の嫌気性硬化促進剤。
【請求項4】
請求項1または3に記載の付加物と、さらに、少なくとも1種類のイソシアネート官能性材料とから調製される嫌気性硬化促進剤。
【請求項5】
請求項に記載の嫌気性硬化促進剤がイソシアネート官能性残基を含み、ヒドロキシ官能性材料、アミノ官能性材料、チオ官能性材料、ならびにそれらの組合せおよび混合物からなる群から選択される少なくとも1種類の官能性材料とさらに反応される、嫌気性硬化促進剤。
【請求項6】
請求項1〜のいずれか1項に記載の嫌気性硬化促進剤を含む嫌気性硬化性組成物。
【請求項7】
少なくとも1種類の嫌気性硬化成分をさらに含む、請求項に記載の嫌気性硬化性組成物。
【請求項8】
(a)以下のアミノ安息香酸(1)と、
(b)以下のグリシドール(2)との付加物を調製する、
2つの−OHであるペンダント官能基を含むアミノ安息香酸−グリシドール付加物(3)である嫌気性硬化促進剤の製造方法。
【化4】
(式中、RおよびRは、それぞれ独立に、H、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキルおよびチオアルキルからなる群から選択される。)
【請求項9】
請求項に記載の付加物と、さらに、少なくとも1種類のイソシアネート官能性材料と反応させることを含む、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着剤および封止剤などの嫌気性硬化性組成物に対して有用となり得る新規な硬化促進剤に関する。
【背景技術】
【0002】
嫌気性接着剤組成物は、一般に周知である。例えば、「Handbook of Adhesive Technology」、29、467〜79頁、A.PizziおよびK.L.Mittal編、Marcel Dekker、Inc.、New York(1994年)のR.D.Rich、「Anaerobic Adhesives」、およびそれに引用されている参考文献を参照のこと。それらの使用は多岐にわたっており、新しい用途の開発が継続されている。
【0003】
従来の嫌気性接着剤は、通常、ラジカル重合可能なアクリレートエステルモノマーを、ペルオキシ開始剤および重合抑制成分と一緒に含む。かかる嫌気性接着剤組成物は、組成物が硬化する速度を増大する促進成分を含有することも多い。
【0004】
硬化を誘発し促進する、望ましい嫌気性硬化誘発性組成物は、サッカリン、N,N−ジエチル−p−トルイジン(「DE−p−T」)およびN,N−ジメチル−o−トルイジン(「DM−o−T」)などのトルイジン、アセチルフェニルヒドラジン(「APH」)、マレイン酸、ならびにナフトキノンおよびアントラキノンなどのキノンの1つまたは複数を含むことができる。例えば、米国特許第3,218,305号(Krieble)、同第4,180,640号(Melody)、同第4,287,330号(Rich)および同第4,321,349号(Rich)を参照のこと。
【0005】
サッカリンおよびAPHは、嫌気性接着剤硬化系の標準的な硬化促進剤成分として使用されている。現在、Henkel Corporationから入手可能なLOCTITEブランドの嫌気性接着剤製品は、その嫌気性接着剤の大部分に、サッカリンのみ、またはサッカリンとAPHの両方を使用している。しかし、これらの成分は、世界の特定の地域では規制監視下にあり、したがって代替としての候補を特定するための研究が行われている。
【0006】
嫌気性接着剤のための他の硬化剤の例には、チオカプロラクタム(例えば、米国特許第5,411,988号参照)およびチオ尿素[例えば、米国特許第3,970,505号(Hauser)(テトラメチルチオ尿素)、ドイツ特許第1 817 989号(アルキルチオ尿素およびN,N’−ジシクロヘキシルチオ尿素)および同第2 806 701号(エチレンチオ尿素)、ならびに特開平07−308,757(アシル、アルキル、アルキリデン、アルキレンおよびアルキルチオ尿素)参照]が含まれ、後者の幾つかは、約20年前まで商業上使用されていた。
【0007】
Loctite(R&D)Ltd.は、嫌気性接着剤組成物の硬化剤として有効な、新しい種類の材料であるトリチアジアザペンタレンを見いだした。驚くべきことに、従来の硬化剤(APHなど)の代替として、これらの材料を嫌気性接着剤に添加することによって、それから形成される反応生成物に少なくとも同程度の硬化速度および物理特性が付与される。米国特許第6,583,289号(McArdle)参照。
【0008】
米国特許第6,835,762号(Klemarczyk)は、(メタ)アクリレート成分と、アセチルフェニルヒドラジンおよびマレイン酸を実質的に含まない嫌気性硬化誘発性組成物と、−C(=O)−NH−NH−結合および同じ分子上に有機酸基を有する嫌気性硬化促進化合物(但し該嫌気性硬化促進化合物は、1−(2−カルボキシアクリロイル)−2−フェニルヒドラジンを含まない)をベースにした嫌気性硬化性組成物を提供している。該嫌気性硬化促進剤は、
【0009】
【化1】
(式中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素およびC1〜4から選択され、Zは、炭素−炭素単結合または炭素−炭素二重結合であり、qは、0または1であり、pは、1〜5の間の整数である。)
によって包含され、その例は、3−カルボキシアクリロイルフェニルヒドラジン、メチル−3−カルボキシアクリロイルフェニルヒドラジン、3−カルボキシプロパノイルフェニルヒドラジンおよびメチレン−3−カルボキシプロパノイルフェニルヒドラジンである。
【0010】
米国特許第6,897,277号(Klemarczyk)は、(メタ)アクリレート成分と、サッカリンを実質的に含まない嫌気性硬化誘発性組成物と、以下の構造
【0011】
【化2】
(式中、Rは、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルケニル、カルボキシルおよびスルホネートから選択され、Rは、水素、アルキル、アルケニル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルケニルおよびアラルキルから選択される)
の嫌気性硬化促進化合物(その例は、フェニルグリシンおよびN−メチルフェニルグリシンである)をベースにした嫌気性硬化性組成物を提供している。
【0012】
米国特許第6,958,368号(Messana)は、嫌気性硬化性組成物を提供している。この組成物は、(メタ)アクリレート成分と、サッカリンを実質的に含まない以下の構造の嫌気性硬化誘発性組成物をベースにしている。
【0013】
【化3】
(式中、Yは、C1〜6アルキルもしくはアルコキシ、またはハロ基によって最大5つの位置において場合によって置換されている芳香環であり、Aは、C=O、S=OまたはO=S=Oであり、Xは、NH、OまたはSであり、Zは、C1〜6アルキルもしくはアルコキシ、またはハロ基によって最大5つの位置において場合によって置換されている芳香環であり、あるいはYおよびZは、一緒になって同じ芳香環または芳香環系に結合することができ、但しXがNHである場合、o−安息香酸スルフィミドは該構造から除外される。)上記の構造によって包含される嫌気性硬化促進化合物の例には、2−スルホ安息香酸環状無水物および3H−1,2−ベンゾジチオール−3−オン−1,1−ジオキシドが含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
これらの最先端技術にもかかわらず、既存の製品とは区別され、かつ原料の不足または供給停止の事態においても供給の保証が得られる嫌気性硬化促進剤の代替技術を見出すことが今も求められている。さらに、嫌気性硬化誘発性組成物に使用される原料の幾つかは、多かれ少なかれ、規制監視下に置かなければならないため、代替成分が望まれる。したがって、嫌気性硬化性組成物の硬化において硬化成分として機能する新しい材料を特定することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
幾つかの非限定的な実施形態では、a)構造式(I)によって表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物
【0016】
【化4】
(式Iにおいて、Xは、アリーレンまたはヘテロアリーレンであり、RおよびRは、それぞれ独立に、H、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキルおよびチオアルキルからなる群から選択され、Rは、H、ヒドロキシ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキルおよびチオアルキルからなる群から選択される)、およびb)構造式(II)によって表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物
【0017】
【化5】
(式IIにおいて、Z’’は、−O−、−S−および−NH−からなる群から選択され、qは、1〜4であり、Rは、独立に、ヒドロキシアルキル、アミノアルキルおよびチオアルキルからなる群から選択され、nは、少なくとも1である)を含む反応物質から調製される反応生成物を提供し、該反応生成物は、−OH、−NHおよび−SHからなる群から独立に選択される少なくとも2つのペンダント官能基を含む。
【0018】
幾つかの非限定的な実施形態では、(a)(i)構造式(I)によって表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物
【0019】
【化6】
(式Iにおいて、Xは、アリーレンまたはヘテロアリーレンであり、RおよびRは、それぞれ独立に、H、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキルおよびチオアルキルからなる群から選択され、Rは、H、ヒドロキシ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキルおよびチオアルキルである)、および(ii)構造式(II)によって表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物
【0020】
【化7】
(式IIにおいて、Z’’は、−O−、−S−および−NH−からなる群から選択され、qは、1〜4であり、Rは、独立に、ヒドロキシアルキル、アミノアルキルおよびチオアルキルからなる群から選択され、nは、少なくとも1である)を含む反応物質から調製される少なくとも1つの反応生成物(該反応生成物は、−OH、−NHおよび−SHからなる群から独立に選択される少なくとも2つのペンダント官能基を含む)、ならびに(b)少なくとも1つのイソシアネート官能性材料
を含む反応物質から調製される反応生成物を提供する。
【0021】
幾つかの非限定的な実施形態では、(a)構造式(III)によって表される化合物の群から選択される化合物
【0022】
【化8】
(式(III)において、Xは、アリーレンまたはヘテロアリーレンであり、RおよびRは、それぞれ独立に、H、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキルおよびチオアルキルからなる群から選択され、各Rは、独立に、H、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、チオアルキルおよび−C(O)Rからなる群から選択され、各Rは、存在する場合、独立に、H、アルキル、ヒドロキシおよびアルコキシからなる群から選択され、該化合物は、−OH、−NHおよび−SHからなる群から独立に選択される少なくとも2つのペンダント官能基を含む)、および(b)少なくとも1つのイソシアネート官能性材料
を含む反応物質から調製される反応生成物を提供する。
【0023】
幾つかの非限定的な実施形態では、(a)構造式(III)によって表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物
【0024】
【化9】
(式(III)において、Xは、アリーレンまたはヘテロアリーレンであり、RおよびRは、それぞれ独立に、H、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキルおよびチオアルキルからなる群から選択され、各Rは、独立に、H、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、チオアルキルおよび−C(O)Rからなる群から選択され、各Rは、存在する場合、独立に、H、アルキル、ヒドロキシおよびアルコキシからなる群から選択され、該化合物は、−OH、−NHおよび−SHからなる群から独立に選択される少なくとも2つのペンダント官能基を含む)、(b)少なくとも1つのイソシアネート官能性材料、ならびに(c)ヒドロキシ官能性材料、アミノ官能性材料、チオ官能性材料ならびにそれらの組合せおよび混合物からなる群から選択される少なくとも1つの官能性材料
を含む反応物質から調製される反応生成物を提供する。
【0025】
また、上記の反応生成物から調製される組成物および製品を提供する。
【0026】
幾つかの非限定的な実施形態では、a)構造式(I)によって表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物
【0027】
【化10】
(式Iにおいて、Xは、アリーレンまたはヘテロアリーレンであり、RおよびRは、それぞれ独立に、H、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキルおよびチオアルキルからなる群から選択され、Rは、H、ヒドロキシ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキルおよびチオアルキルからなる群から選択される)と、b)構造式(II)によって表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物
【0028】
【化11】
(式IIにおいて、Z’’は、−O−、−S−および−NH−からなる群から選択され、qは、1〜4であり、Rは、独立に、ヒドロキシアルキル、アミノアルキルおよびチオアルキルからなる群から選択され、nは、少なくとも1である)とを反応させるステップを含む、反応物質から調製される反応生成物(該反応生成物は、−OH、−NHおよび−SHからなる群から独立に選択される少なくとも2つのペンダント官能基を含む)の製造方法を提供する。
【0029】
幾つかの非限定的な実施形態では、(a)(i)構造式(I)によって表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物
【0030】
【化12】
(式Iにおいて、Xは、アリーレンまたはヘテロアリーレンであり、RおよびRは、それぞれ独立に、H、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキルおよびチオアルキルからなる群から選択され、Rは、H、ヒドロキシ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキルおよびチオアルキルである)、および(ii)構造式(II)によって表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物
【0031】
【化13】
(式IIにおいて、Z’’は、−O−、−S−および−NH−からなる群から選択され、qは、1〜4であり、Rは、独立に、ヒドロキシアルキル、アミノアルキルおよびチオアルキルからなる群から選択され、nは、少なくとも1である)を含む反応物質から調製される少なくとも1つの反応生成物(該反応生成物は、−OH、−NHおよび−SHからなる群から独立に選択される少なくとも2つのペンダント官能基を含む)と、(b)少なくとも1つのイソシアネート官能性材料と
を反応させるステップを含む、反応物質から調製される反応生成物の製造方法を提供する。
【0032】
幾つかの非限定的な実施形態では、(a)構造式(III)によって表される化合物の群から選択される化合物
【0033】
【化14】
(式(III)において、Xは、アリーレンまたはヘテロアリーレンであり、RおよびRは、それぞれ独立に、H、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキルおよびチオアルキルからなる群から選択され、各Rは、独立に、H、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、チオアルキルおよび−C(O)Rからなる群から選択され、各Rは、存在する場合、独立に、H、アルキル、ヒドロキシおよびアルコキシからなる群から選択され、該化合物は、−OH、−NHおよび−SHからなる群から独立に選択される少なくとも2つのペンダント官能基を含む)と、(b)少なくとも1つのイソシアネート官能性材料と
を反応させるステップを含む、反応物質から調製される反応生成物の製造方法を提供する。
【0034】
幾つかの非限定的な実施形態では、(a)構造式(III)によって表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物
【0035】
【化15】
(式(III)において、Xは、アリーレンまたはヘテロアリーレンであり、RおよびRは、それぞれ独立に、H、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキルおよびチオアルキルからなる群から選択され、各Rは、独立に、H、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、チオアルキルおよび−C(O)Rからなる群から選択され、各Rは、存在する場合、独立に、H、アルキル、ヒドロキシおよびアルコキシからなる群から選択され、該化合物は、−OH、−NHおよび−SHからなる群から独立に選択される少なくとも2つのペンダント官能基を含む)と、(b)少なくとも1つのイソシアネート官能性材料と、(c)ヒドロキシ官能性材料、アミノ官能性材料、チオ官能性材料ならびにそれらの組合せおよび混合物からなる群から選択される少なくとも1つの官能性材料と
を反応させるステップを含む、反応物質から調製される反応生成物の製造方法を提供する。
【0036】
上記の概要ならびに以下の詳細な説明は、添付の図と併せて読むと、よりよく理解されよう。図は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の実施例1のDMABA−グリシドール反応生成物のIRスペクトルである。
図2】対照接着剤組成物および本発明のジメチルアミノ安息香酸−グリシドール(DMABA−グリシドール)系反応生成物を含む接着剤組成物の、鋼製ねじ部品に対する離脱(breakloose)およびプリベリングトルクの棒グラフである。
図3】対照接着剤組成物および本発明のトルエンジイソシアネート系反応生成物を含む接着剤組成物の、鋼製ねじ部品に対する離脱およびプリベリングトルクの棒グラフである。
図4】対照接着剤組成物および本発明のトルエンジイソシアネート系反応生成物を含む接着剤組成物の、鋼製ねじ部品に対する離脱およびプリベリングトルクの棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
実施例以外で、または別段指定されない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用される成分の量、熱条件等を表す全ての数字は、いかなる場合も「約」という用語によって修正されると理解すべきである。したがって、そうでないと示されない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に記載の数値パラメータは近似であり、この近似は、本発明によって得られることが求められる所望の特性に応じて変わり得る。それぞれの数値パラメータは、少なくとも特許請求の範囲に相当する原則の適用を制限することなく、少なくとも、報告された有効桁数に照らして、通常の丸めを適用することによって解釈されるべきである。
【0039】
本発明の広範な範囲を示す数値範囲およびパラメータが近似であっても、具体的な実施例に示した数値は、可能な限り正確に報告されている。しかし、いかなる数値も、それらの、それぞれの試験測定に見られる標準偏差からどうしても生じてしまう幾らかの誤差を本質的に含む。さらに、変動範囲の数値範囲が本明細書に示される場合、記載した値を含むこれらの値の任意の組合せを使用できることを企図する。
【0040】
また、本明細書に記載した任意の数値範囲は、本明細書に包含される全てのサブ範囲を含むことを企図することを理解されたい。例えば「1〜10」という範囲は、記載の最小値1および記載の最大値10を含み、それらの間の全てのサブ範囲を含む、即ち最小値1以上および最大値10以下を有することを企図する。
【0041】
本明細書で使用される場合、「組成物」という用語は、特定量の特定成分を含む製品、ならびに特定量の特定成分の組合せから直接または間接的に得られる任意の製品を包含することを企図する。
【0042】
本明細書で使用される場合、「から形成される」または「から調製される」はオープンな、例えば「含む」というクレーム用語を示す。したがって、記載の成分の一覧「から形成される」または「から調製される」組成物は、少なくともこれらの記載の成分または少なくともこれらの記載の成分の反応生成物を含む組成物であり、その組成物の形成または調製中に、記載されていない他の成分をさらに含み得ることを企図する。
【0043】
本明細書で使用される場合、「の反応生成物」という句は、記載の成分の化学反応生成物を意味し、部分的な反応生成物ならびに完全に反応した生成物を含み得る。
【0044】
本明細書で使用される場合、「ポリマー」という用語は、オリゴマーを包含することを意味し、それに限定されるものではないが、ホモポリマーおよびコポリマーの両方を含む。「プレポリマー」という用語は、ポリマーを調製するために使用される化合物、モノマーまたはオリゴマーを意味し、それに限定されるものではないが、ホモポリマーおよびコポリマーのオリゴマーの両方を含む。「オリゴマー」という用語は、わずか数個のモノマー単位から最大約10個のモノマー単位からなるポリマー、例えば二量体、三量体または四量体を意味する。
【0045】
本明細書で使用される場合、組成物に関連して使用される「硬化する」という用語、例えば「硬化した場合の組成物」または「硬化した組成物」という用語は、組成物の任意の硬化性または架橋性成分が、少なくとも部分的に硬化し、または架橋することを意味する。本発明の幾つかの非限定的な実施形態では、架橋性成分の化学的変換率、即ち架橋度は、完全な架橋の約5%〜約100%の範囲であり、完全な架橋とは、全ての架橋性成分の完全な反応を意味する。他の非限定的な実施形態では、架橋度は、完全な架橋の約15%〜約80%または約50%〜約60%の範囲である。当業者は、架橋の存在および架橋度、即ち架橋密度が、ASTM D4065−01に従って−65°F(−18℃)〜350°F(177℃)の範囲にわたって、TA Instruments DMA 2980DMA分析器を使用して窒素下で実施される動的機械熱分析(DMA)などの様々な方法によって決定され得ることを理解されよう。この方法は、コーティングまたはポリマーの自由膜のガラス転移温度および架橋密度を決定する。硬化材料のこれらの物理特性は、架橋網目構造に関係している。
【0046】
重合可能な組成物の硬化は、それに限定されるものではないが、加熱などの硬化条件に組成物を曝し、それによって組成物の反応基を反応させ、重合および固体重合物を形成することによって得ることができる。重合可能な組成物を硬化条件に曝す場合、重合後、反応基の大部分が反応した後に、残りの未反応の反応基の反応速度は次第に緩慢になる。幾つかの非限定的な実施形態では、重合可能な組成物は、それが少なくとも部分的に硬化するまで硬化条件に曝すことができる。「少なくとも部分的に硬化した」という用語は、重合可能な組成物を、該組成物の反応基の少なくとも一部分の反応が生じる硬化条件に曝して、固体重合体を形成することを意味する。幾つかの非限定的な実施形態では、重合可能な組成物を、実質的に完全な硬化が達成されるような硬化条件に曝すことができるが、硬化条件へのさらなる曝露は、強度または硬度などのポリマー特性にさらなる著しい改善をもたらさない。
【0047】
本発明者らは、嫌気性組成物のための硬化促進剤として有用な反応生成物または樹脂を見いだした。驚くべきことに、従来の嫌気性硬化促進剤(トルイジン、アセチルフェニルヒドラジンおよび/またはクメンヒドロペルオキシドなど)の一部または全ての量の代替として、かかる反応生成物を硬化促進剤として嫌気性接着剤に添加することによって、それらから形成される反応生成物に、従来の嫌気性硬化性組成物から得られるものと比較して、少なくとも同程度の硬化速度および物理特性が付与される。したがって、これらの材料は、それに限定されるものではないが、嫌気性硬化性組成物の臭気および安全性の問題の低減、バイオアベイラビリティの低減、良好な配合安定性および良好な安定性など、嫌気性接着剤組成物に多くの利点を付与する。
【0048】
上記の通り、幾つかの非限定的な実施形態では、本発明は、a)構造式(I)によって表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物
【0049】
【化16】
(式Iにおいて、X、R、RおよびRは、上記に定義される通りである)、およびb)構造式(II)によって表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物
【0050】
【化17】
(式IIにおいて、Z’’、n、qおよびRは、上記に定義される通りである)を含む反応物質から調製される反応生成物(該反応生成物は、−OH、−NHおよび−SHからなる群から独立に選択される少なくとも2つのペンダント官能基を含む)を提供する。
【0051】
上記の式(I)の化合物では、Xは、アリーレンおよびヘテロアリーレンからなる群から選択される。
【0052】
本明細書で使用される場合、「アリーレン」は、以下に定義される通りのものなどのアリール基から水素原子を除去することによって得られる二官能基を意味する。
【0053】
「アリール」は、約6〜約14個の炭素原子、好ましくは約6〜約10個の炭素原子を含む芳香族単環式または多環式環系を意味する。アリール基は、同じであっても異なっていてもよい本明細書に定義される通りの1つまたは複数の「環系置換基」で場合によって置換されていてもよい。適切なアリール基の非限定的な例には、フェニルおよびナフチルが含まれる。
【0054】
「ヘテロアリーレン」は、以下に定義される通りのものなどのヘテロアリール基から水素原子を除去することによって得られる二官能基を意味する。
【0055】
「ヘテロアリール」は、約5〜約14個の環原子、好ましくは約5〜約10個の環原子を含み、この環原子の1つまたは複数が、炭素以外の元素、例えば窒素、酸素または硫黄の単独またはそれらの組合せである芳香族単環式または多環式系を意味する。有用なヘテロアリールの非限定的な例には、約5〜約6個の環原子を含有するものが含まれる。「ヘテロアリール」は、同じであっても異なっていてもよい本明細書で定義の通りの1つまたは複数の「環系置換基」によって場合によって置換されていてもよい。ヘテロアリールという語幹名の前の接頭語アザ、オキサまたはチアは、それぞれ窒素、酸素または硫黄原子の少なくとも1つが環原子として存在することを意味する。ヘテロアリールの窒素原子は、対応するN−オキシドに場合によって酸化することができる。適切なヘテロアリールの非限定的な例には、ピリジル、ピラジニル、フラニル、チエニル、ピリミジニル、ピリドン(N−置換ピリドンを含む)、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、フラザニル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、キノキサリニル、フタラジニル、オキシインドリル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、イミダゾ[2,1−b]チアゾリル、ベンゾフラザニル、インドリル、アザインドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、イミダゾリル、チエノピリジル、キナゾリニル、チエノピリミジル、ピローロピリジル、イミダゾピリジル、イソキノリニル、ベンゾアザインドリル、1,2,4−トリアジニル、ベンゾチアゾリル等が含まれる。「ヘテロアリール」という用語はまた、例えば、テトラヒドロイソキノリル、テトラヒドロキノリルなどの部分的に飽和のヘテロアリール部分を指す。
【0056】
「環系置換基」は、例えば環系上の利用可能な水素を置き換えている、芳香環または非芳香環系に結合している置換基を意味する。環系置換基は、同じであっても異なっていてもよく、そのそれぞれは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキルアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、アルキルヘテロアリール、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アシル、アロイル、ハロ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアラルキルチオ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、−C(=N−CN)−NH、−C(=NH)−NH、−C(=NH)−NH(アルキル)、YN−、YN−アルキル−、YNC(O)−、YNSO−および−SONYからなる群から独立に選択され、YおよびYは、同じであっても異なっていてもよく、水素、アルキル、アリール、シクロアルキルおよびアラルキルからなる群から独立に選択される。「環系置換基」はまた、環系上の2つの隣接する炭素原子上の2個の利用可能な水素(各炭素上に1個のH)を同時に置き換える単一部分を意味することができる。
【0057】
「置換されている」という用語は、指定の原子上の1つまたは複数の水素が、示された基から選択されるもので置き換えられていることを意味し、但し、存在する状況では指定の原子の標準的な原子価を超えず、該置換は安定な化合物をもたらすものとする。置換基および/または変数の組合せは、かかる組合せが安定な化合物をもたらす場合にのみ許容される。「安定な化合物」または「安定な構造」は、反応混合物からの有用な純度での単離、および有効な治療剤への配合に耐えるのに十分に強い化合物を意味する。「場合によって置換されている」という句は、特定の基、ラジカルまたは部分による任意選択の置換を意味する。
【0058】
ヘテロ原子を含有する本発明の環系においては、N、OまたはSに隣接している炭素原子上にヒドロキシル基が存在せず、別のヘテロ原子に隣接している炭素上にNまたはS基が存在しないことに留意されたい。したがって、例えば以下の環
【0059】
【化18】
において、2および5の印を付けた炭素に直接結合している−OHは存在しない。例えば、以下の部分
【0060】
【化19】
などの互変異性体は、本発明の特定の実施形態において等価であるとみなされることにも留意されたい。
【0061】
本明細書の文脈、スキーム、実施例および表において、未充足の価数を有する任意の炭素ならびにヘテロ原子が、その価数を充足するのに十分な数の水素原子を有すると想定されることにも留意されたい。
【0062】
任意の変数(例えば、アリーレン、アルキル、R等)が、任意の構成成分または式I等において2回以上発生する場合、各発生に対するその定義は、全ての他の発生におけるその定義とは独立である。
【0063】
式(I)の化合物において、RおよびRは、それぞれ独立に、H、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキルおよびチオアルキルからなる群から選択される。
【0064】
「アルキル」とは、鎖中に約1〜約20個の炭素原子、鎖中に約1〜約12個の炭素原子、または鎖中に約1〜約6個の炭素原子を含む、直鎖であっても分岐であってもよい脂肪族炭化水素基を意味する。分岐とは、メチル、エチルまたはプロピルなどの1つまたは複数の低級アルキル基が、アルキル直鎖に結合していることを意味する。「低級アルキル」は、直鎖であっても分岐であってもよい鎖中に約1〜約6個の炭素原子を有する基を意味する。アルキル基は、非置換であってよく、あるいは同じであっても異なっていてもよい1つまたは複数の置換基によって場合によって置換されていてもよく、各置換基は、独立に、ハロ、アルキル、アリール、シクロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、−NH(アルキル)、−NH(シクロアルキル)、−N(アルキル)、カルボキシおよび−C(O)O−アルキルからなる群から選択される。適切なアルキル基の非限定的な例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルおよびt−ブチルが含まれる。幾つかの非限定的な実施形態では、RおよびRは、それぞれメチルなどのアルキルである。
【0065】
「ヒドロキシアルキル」は、アルキルが上記に定義される通りのHO−アルキル基を意味する。好ましいヒドロキシアルキルは、低級アルキルを含有する。適切なヒドロキシアルキル基の非限定的な例には、ヒドロキシメチルおよびヒドロキシエチルが含まれる。
【0066】
「アルコキシ」は、アルキル基が上記の通りのアルキル−O−基を意味する。適切なアルコキシ基の非限定的な例には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシおよびn−ブトキシが含まれる。親部分との結合は、エーテル酸素を介する。「アルコキシアルキル」は、アルコキシおよびアルキルが上記に定義される通りのアルコキシ−アルキル基を意味する。適切なアルコキシアルキル基の非限定的な例には、メトキシアルキル基が含まれる。
【0067】
「アミノアルキル」は、アルキル基が上記の通りのアミノ−アルキル基を意味する。親部分との結合は、アルキル基を介する。
【0068】
「チオアルキル」は、アルキル基が上記の通りのチオ−アルキル基を意味する。親部分との結合は、アルキル基を介する。
【0069】
上記の式(I)の化合物において、Rは、H、ヒドロキシ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキルおよびチオアルキルからなる群から選択される。幾つかの非限定的な実施形態では、Rは、ヒドロキシまたはメトキシである。
【0070】
上記の式(II)の化合物において、Z’’は、−O−、−S−および−NH−からなる群から選択され、qは、1〜4であってよく、Rは、独立に、ヒドロキシアルキル、アミノアルキルおよびチオアルキルからなる群から選択することができ、nは、少なくとも1である。別の実施形態では、式(VI)によって表される反応物質は、グリシドールである。
【0071】
【化20】
【0072】
上記の通り、反応生成物は、−OH、−NHおよび−SHからなる群から独立に選択される少なくとも2つのペンダント官能基を含む。幾つかの非限定的な実施形態では、反応生成物は、2つまたは3つのペンダント官能基を含む。幾つかの非限定的な実施形態では、反応生成物は、2つまたは3つのペンダントヒドロキシ官能基を含む。
【0073】
非限定的な一実施形態では、式(I)の化合物は、ジメチルアミノ安息香酸(「DMABA」)である。
【0074】
別の非限定的な実施形態では、反応生成物を、以下の反応スキームに示す通り、DMABA(式(I)の化合物、以下化合物1と示す)およびグリシドール(式(II)の化合物、以下化合物2と示す)から調製して、1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル4−(ジメチルアミノ)安息香酸を形成する(4−ジメチルアミノ安息香酸−グリシドール付加物、以下化合物3と示す)。
【0075】
【化21】
【0076】
幾つかの非限定的な実施形態では、式(I)の化合物と式(II)の化合物のモル比は、約5:1〜約1:5もしくは約3:1〜約1:3の範囲であり、または約1:1であり得る。
【0077】
幾つかの非限定的な実施形態では、反応は、溶媒の存在下で実施される。幾つかの非限定的な実施形態では、式(I)の化合物を、式(II)の化合物との反応の前に溶媒に溶解する。適切な溶媒の非限定的な例には、それに限定されるものではないが、ミネラルスピリット、メタノール、エタノールまたはブタノールなどのアルコール、キシレンなどの芳香族炭化水素、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコールエーテル、エステル、脂肪族および上記のいずれかの混合物が含まれる。幾つかの実施形態では、残留溶媒を、例えば蒸留またはクロマトグラフィーによって反応生成物から抽出する。
【0078】
幾つかの非限定的な実施形態では、反応生成物を精製して、反応副生成物、またはキャリヤーなどの反応物質に伴う不純物などの不純物を除去する。反応生成物は、例えば濾過、抽出またはクロマトグラフィーによって精製することができ、その結果、精製した反応生成物は、実質的に不純物を含まず、または約1重量パーセント未満の不純物を含み、または不純物を含まない。
【0079】
式(I)の化合物および式(II)の化合物の反応生成物の製造方法を、以下詳細に記載する。
【0080】
幾つかの非限定的な実施形態では、本発明は、(1)式(I)の化合物およびOH、−NHおよび−SHからなる群から独立に選択される少なくとも2つのペンダント官能基を含む式(II)の化合物の上記の反応生成物、ならびに(2)少なくとも1つのイソシアネート官能性材料を含む反応物質から調製される反応生成物(A)を提供する。
【0081】
幾つかの非限定的な実施形態では、式(I)の化合物および式(II)の化合物の反応生成物は、反応生成物を調製するために使用される反応物質の総重量の約5〜約99重量パーセント、または反応物質の約50〜約95重量パーセント、または約85重量パーセントを構成することができる。幾つかの非限定的な実施形態では、イソシアネート官能性材料は、反応生成物を調製するために使用される反応物質の総重量の約1〜約30重量パーセント、または反応物質の約10〜約30重量パーセント、または約25重量パーセントを構成することができる。
【0082】
幾つかの非限定的な実施形態では、上記のヒドロキシ−、アミノ−および/またはチオ官能性化合物とイソシアネート官能性材料の反応生成物は、イソシアネート官能性残基を有することができる。
【0083】
幾つかの非限定的な実施形態では、ヒドロキシ−、アミノ−および/またはチオ官能性化合物とイソシアネート官能性材料の反応生成物は、約100〜約20,000グラム/モル、または約500〜約5,000グラム/モル、または約3,000グラム/モルの数平均分子量を有することができる。
【0084】
本明細書で使用される場合、「イソシアネート官能性材料」という用語には、少なくとも1つもしくは少なくとも2つの−N=C=O官能基および/または少なくとも1つもしくは少なくとも2つの−N=C=S(イソチオシアネート)基を含む化合物、モノマー、オリゴマーおよびポリマーが含まれる。単官能性イソシアネートは、重合中に連鎖停止剤として、または末端基をもたらすために使用することができる。本明細書で使用される場合、「ポリイソシアネート」は、ジイソシアネートまたはトリイソシアネートなどの、少なくとも2つの−N=C=O官能基を含むイソシアネート、ならびにイソシアネートの二量体および三量体またはビウレットおよびそれらの混合物を意味する。適切なイソシアネートは、ヒドロキシ官能基などの反応基と共有結合を形成することができる。本発明において有用なイソシアネートは、分岐であっても非分岐であってもよい。
【0085】
本発明において有用なイソシアネートには、「修飾」イソシアネート、「非修飾」イソシアネート、ならびに「修飾」および「非修飾」イソシアネートの混合物が含まれる。イソシアネートは、「遊離」、「ブロックされた」または部分的にブロックされたイソシアネート基を有することができる。「修飾」という用語は、前述のイソシアネートを公知のように変更して、ビウレット、尿素、カルボジイミド、ウレタンもしくはイソシアヌレート基またはブロック基を導入することを意味する。幾つかの非限定的な実施形態では、「修飾」イソシアネートは、イソシアネートの二量体および三量体、即ちポリイソシアネートを得るための環化付加過程によって得られる。遊離イソシアネート基は、反応性が極めて高い。イソシアネート基を含有する成分の反応性を制御するために、イソシアネート基を室温で反応性水素化合物に対して不活性にする、特定の選択された有機化合物を用いて、NCO基をブロックすることができる。ブロックされたイソシアネートは、高温に、例えば約90℃〜約200℃の範囲に加熱するとブロック剤を放出し、元のブロックされていない、すなわち遊離イソシアネートと同じ方式で反応する。
【0086】
一般に、イソシアネートをブロックするために使用される化合物は、活性な水素原子を有する有機化合物、例えば、揮発性アルコール、ε−カプロラクタムまたはケトオキシム化合物である。適切なブロック化合物の非限定的な例には、フェノール、クレゾール、ノニルフェノール、ε−カプロラクタムおよびメチルエチルケトオキシムが含まれる。
【0087】
本明細書で使用される場合、NCO:OH比のNCOは、ブロック剤の放出後の、遊離イソシアネートを含有する材料、およびブロックされた、または部分的にブロックされたイソシアネートを含有する材料の遊離イソシアネートを表す。幾つかの場合、ブロック剤の全てを除去することは不可能である。こうした場合、所望のレベルの遊離NCOを得るために、より多くのブロックされたイソシアネートを含有する材料が使用され得る。
【0088】
イソシアネート官能性材料の分子量は、広範に変わり得る。代替の非限定的な実施形態では、それぞれの数平均分子量(Mn)は、少なくとも約100グラム/モル、または少なくとも約150グラム/モル、または約15,000グラム/モル未満、または約5,000グラム/モル未満であってよい。数平均分子量は、ポリスチレン標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)などによって、公知の方法を使用して決定することができる。
【0089】
適切なイソシアネート官能性材料の非限定的な例には、脂肪族、脂環式、芳香族および複素環式イソシアネート、それらの二量体および三量体、ならびにそれらの混合物が含まれる。芳香族ポリイソシアネートを使用する場合、硬化は、一般にポリウレタンを着色(例えば黄色)しない材料を選択するように行うべきである。
【0090】
幾つかの非限定的な実施形態では、脂肪族および脂環式ジイソシアネートは、直鎖に結合し、または環化した、2つのイソシアネート反応性末端基を有する約6〜約100個の炭素原子を含むことができる。
【0091】
適切な脂肪族イソシアネートの非限定的な例には、エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビス(イソシアネートエチル)−カーボネートおよびビス(イソシアネートエチル)エーテルなどの直鎖イソシアネートが含まれる。
【0092】
適切な脂肪族イソシアネートの他の非限定的な例には、トリメチルヘキサンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、2,2’−ジメチルペンタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、2,4,4,−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−(イソシアネートメチル)オクタン、2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアネート−5−(イソシアネートメチル)オクタン、2−イソシアネートプロピル−2,6−ジイソシアネートヘキサノエート、リシンジイソシアネートメチルエステルおよびリシントリイソシアネートメチルエステルなどの分岐イソシアネートが含まれる。
【0093】
適切な脂環式イソシアネートの非限定的な例には、イソプロピリデン基または1〜3個の炭素原子のアルキレン基によって架橋されている二核化合物が含まれる。適切な脂環式イソシアネートの非限定的な例には、1,1’−メチレン−ビス−(4−イソシアネートシクロヘキサン)または4,4’−メチレン−ビス−(シクロヘキシルイソシアネート)(Bayer Corp.から市販されているDESMODUR Wなど)、4,4’−イソプロピリデン−ビス−(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4−シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、Arco Chemical Co.から市販されている3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネートまたはIPDIとしても公知の分岐イソシアネート)およびメタ−テトラメチルキシリレンジイソシアネート[商標TMXDI(メタ)脂肪族イソシアネートでCytec Industries Inc.から市販されている、1,3−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)−ベンゼンとしても公知の分岐イソシアネート]、ならびにそれらの混合物が含まれる。
【0094】
他の有用な二核脂環式ジイソシアネートには、1〜3個の炭素原子のアルキレン基を介して形成されるものが含まれ、これは、ヒドロキシル基(または活性な水素)と反応しないニトロ、塩素、アルキル、アルコキシおよび他の基で、それらがイソシアネート基を非反応性にするような位置にない限り置換されていてもよい。水素化トルエンジイソシアネートなどの水素化芳香族ジイソシアネートを使用することもできる。ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルイソプロピリデンジイソシアネートおよびジフェニレンジイソシアネートなどの部分的に水素化している芳香族ジイソシアネートによって調製される、環の一方が飽和しており、他方が不飽和である二核ジイソシアネートを使用することもできる。
【0095】
脂環式ジイソシアネートと脂肪族ジイソシアネートおよび/または芳香族ジイソシアネートの混合物を使用することもできる。一例には、4,4’−メチレン−ビス−(シクロヘキシルイソシアネート)と、トルエンジイソシアネートまたはメタ−フェニレンジイソシアネートの市販の異性体混合物がある。
【0096】
上記のジイソシアネートに対応するチオイソシアネート、ならびにイソシアネートおよびチオイソシアネート基の両方を含有する混合化合物を使用することができる。
【0097】
適切なイソシアネート官能性材料の非限定的な例には、それに限定されるものではないが、Bayer Corp.から市販されているDESMODUR W、DESMODUR N3300(ヘキサメチレンジイソシアネート三量体)、DESMODUR N3400(60%ヘキサメチレンジイソシアネート二量体および40%ヘキサメチレンジイソシアネート三量体)が含まれ得る。
【0098】
適切なポリイソシアネートの他の非限定的な例には、エチレン性不飽和ポリイソシアネート;脂環式ポリイソシアネート;芳香族ポリイソシアネート;脂肪族ポリイソシアネート;イソシアネートのハロゲン化、アルキル化、アルコキシル化、ニトロ化、カルボジイミド修飾、尿素修飾およびビウレット修飾誘導体;ならびにイソシアネートの二量体および三量体化生成物が含まれる。
【0099】
適切なエチレン性不飽和ポリイソシアネートの非限定的な例には、ブテンジイソシアネートおよび1,3−ブタジエン−1,4−ジイソシアネートが含まれる。適切な脂環式ポリイソシアネートの非限定的な例には、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、ビス(イソシアネートシクロヘキシル)メタン、ビス(イソシアネートシクロヘキシル)−2,2−プロパン、ビス(イソシアネートシクロヘキシル)−1,2−エタン、2−イソシアネートメチル−3−(3−イソシアネートプロピル)−5−イソシアネートメチル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、2−イソシアネートメチル−3−(3−イソシアネートプロピル)−6−イソシアネートメチル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、2−イソシアネートメチル−2−(3−イソシアネートプロピル)−5−イソシアネートメチル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、2−イソシアネートメチル−2−(3−イソシアネートプロピル)−6−イソシアネートメチル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、2−イソシアネートメチル−3−(3−イソシアネートプロピル)−6−(2−イソシアネートエチル)−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、2−イソシアネートメチル−2−(3−イソシアネートプロピル)−5−(2−イソシアネートエチル)−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタンおよび2−イソシアネートメチル−2−(3−イソシアネートプロピル)−6−(2−イソシアネートエチル)−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタンが含まれる。
【0100】
適切な芳香族ポリイソシアネートの非限定的な例には、α,α’−キシレンジイソシアネート、ビス(イソシアネートエチル)ベンゼン、α,α,α’,α’−テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,3−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン、ビス(イソシアネートブチル)ベンゼン、ビス(イソシアネートメチル)ナフタレン、ビス(イソシアネートメチル)ジフェニルエーテル、ビス(イソシアネートエチル)フタレート、メシチレントリイソシアネートおよび2,5−ジ(イソシアネートメチル)フラン、フェニレンジイソシアネート、エチルフェニレンジイソシアネート、イソプロピルフェニレンジイソシアネート、ジメチルフェニレンジイソシアネート、ジエチルフェニレンジイソシアネート、ジイソプロピルフェニレンジイソシアネート、トリメチルベンゼントリイソシアネート、ベンゼンジイソシアネート、ベンゼントリイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、メチルナフタレンジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、トルイジンジイソシアネート、トリリデンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ビス(3−メチル−4−イソシアネートフェニル)メタン、ビス(イソシアネートフェニル)エチレン、3,3’−ジメトキシ−ビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリマー性4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレントリイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4,4’−トリイソシアネート、4−メチルジフェニルメタン−3,5,2’,4’,6’−ペンタイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、ビス(イソシアネートフェニルエーテル)エチレングリコール、ビス(イソシアネートフェニルエーテル)−1,3−プロピレングリコール、ベンゾフェノンジイソシアネート、カルバゾールジイソシアネート、エチルカルバゾールジイソシアネートならびにジクロロカルバゾールジイソシアネートが含まれる。
【0101】
幾つかの非限定的な実施形態では、イソシアネート官能性材料は、少なくとも1つのトリイソシアネートまたは少なくとも1つのポリイソシアネート三量体を含む。かかるイソシアネートの非限定的な例には、トリス(4−イソシアネートフェニル)メタン(DESMODUR R)、1,3,5−トリス(3−イソシアネート−4−メチルフェニル)−2,3,6−トリオキソヘキサヒドロ−1,3,5トリアジン(DESMODUR IL)などの芳香族トリイソシアネート;2,4−トリレンジイソシアネート(TDI、2,4−ジイソシアネートトルエン)およびトリメチロールプロパン(DESMODUR L)の付加物などの芳香族ジイソシアネートの付加物;ならびにN−イソシアネートヘキシルアミノカルボニル−N,N’−ビス(イソシアネートヘキシル)尿素(DESMODUR N)、2,4,6−トリオキソ−1,3,5−トリス(6−イソシアネートヘキシル)ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン(DESMODUR N3390)、2,4,6−トリオキソ−1,3,5−トリス(5−イソシアネート−1,3,3−トリメチルシクロヘキシルメチル)ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン(DESMODUR Z4370)および4−(イソシアネートメチル)−1,8−オクタンジイソシアネートなどの脂肪族トリイソシアネート由来のものが含まれる。上記のDESMODUR製品は、Bayer Corp.から市販されている。ヘキサンジイソシアネート、ポリマー性メタンジイソシアネートおよびポリマー性イソホロンジイソシアネートのビウレットも有用である。ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートおよびテトラメチルキシリレンジイソシアネートの三量体。
【0102】
幾つかの非限定的な実施形態では、イソシアネート官能性材料は、イソプロピリデン基または1〜3個の炭素原子のアルキレン基によって架橋されている二核化合物などの脂環式化合物である。
【0103】
幾つかの非限定的な実施形態では、イソシアネート官能性材料は、メチレンビス(フェニルイソシアネート)(MDIとしても公知);2,4−トルエンジイソシアネート(2,4−TDI);2,4−および2,6−トルエンジイソシアネートの80:20混合物(TDIとしても公知);3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI);m−テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI);ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI);ならびに4,4’−メチレン−ビス−(シクロヘキシルイソシアネート)(Desmodur Wとして市販)などのジイソシアネートである。
【0104】
幾つかの非限定的な実施形態では、イソシアネート官能性材料は、イソシアネート官能性(メタ)アクリレートを含むことができる。
【0105】
幾つかの非限定的な実施形態では、式(I)の化合物および式(II)の化合物のヒドロキシ官能性反応生成物は、イソシアネート官能性材料と反応して、ウレタン結合を形成する。幾つかの非限定的な実施形態では、式(I)の化合物および式(II)の化合物のヒドロキシ官能性反応生成物は、ポリイソシアネート化合物と反応して、イソシアネート官能性ウレタンプレポリマーを形成し、その後ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートなどの反応性(メタ)アクリレートモノマーと反応して、官能性硬化促進部分を含むジ(メタ)アクリレート系ポリマーまたは樹脂を生成する。
【0106】
幾つかの非限定的な実施形態では、式(I)の化合物および式(II)の化合物のアミノ官能性反応生成物は、イソシアネート官能性材料と反応して、尿素結合を形成する。幾つかの非限定的な実施形態では、式(I)の化合物および式(II)の化合物のアミノ官能性反応生成物は、ポリイソシアネート化合物と反応して、イソシアネート官能性尿素プレポリマーを形成し、その後ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートなどの反応性(メタ)アクリレートモノマーと反応して、官能性硬化促進部分を含むジ(メタ)アクリレート系ポリマーまたは樹脂を生成する。
【0107】
幾つかの非限定的な実施形態では、式(I)の化合物および式(II)の化合物のチオール官能性反応生成物は、イソシアネート官能性材料と反応して、カルバモチオエート結合を形成する。幾つかの非限定的な実施形態では、式(I)の化合物および式(II)の化合物のチオール官能性反応生成物は、ポリイソシアネート化合物と反応して、イソシアネート官能性カルバモチオエートプレポリマーを形成し、その後ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートなどの反応性(メタ)アクリレートモノマーと反応して、官能性硬化促進部分を含むジ(メタ)アクリレート系ポリマーまたは樹脂を生成する。
【0108】
幾つかの非限定的な実施形態では、反応生成物は、イソシアネート官能性残基を有することができ、これは、以下に詳細に記載する通り、ヒドロキシ、アミノおよび/またはチオ官能性アクリレート、それらの組合せ(ヒドロキシおよびアミノ官能性を有するアクリレートなど)、ならびにそれらの混合物(ヒドロキシ官能性アクリレートとチオ官能性アクリレートなど)とさらに反応することができる。
【0109】
幾つかの非限定的な実施形態では、反応生成物を精製して、上記の通り、反応副生成物、またはキャリヤーなどの反応物質に伴う不純物などの不純物を除去する。
【0110】
幾つかの非限定的な実施形態では、a)構造式(I)によって表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物
【0111】
【化22】
と、b)構造式(II)によって表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物
【0112】
【化23】
とを反応させるステップを含む、反応物質から調製される反応生成物の製造方法を提供する。
【0113】
式(I)の化合物と式(II)の化合物の反応は、上記の通り、溶媒の存在下で実施することができる。幾つかの非限定的な実施形態では、式(I)および/または(II)の化合物は、溶媒に溶解することができる。式(II)の化合物を混合物に添加し、発熱させ、必要に応じて約2時間〜約7日間、約0℃〜約60℃、または約60℃の温度で加熱することができる。溶媒は、所望に応じて、例えば約60℃の温度および100torrの真空で除去し、所望に応じて冷却することができる。
【0114】
幾つかの非限定的な実施形態では、
(a)構造式(III)によって表される化合物の群から選択される化合物
【0115】
【化24】
(式(III)において、X、R、R、RおよびRは、上記の通りであり、該反応生成物は、−OH、−NHおよび−SHからなる群から独立に選択される少なくとも2つのペンダント官能基を含む)、ならびに(b)上記のものなどの少なくとも1つのイソシアネート官能性材料を含む反応物質から調製される反応生成物を提供する。式(III)の化合物の適切な部分X、R、Rは、式(I)の化合物に関して上記に詳説されている。各Rは、独立に、H、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、チオアルキルおよび−C(O)Rからなる群から選択される。幾つかの非限定的な実施形態では、Rは、−C(O)Rまたは−CHである。各Rは、存在する場合、独立に、H、アルキル、ヒドロキシおよびアルコキシからなる群から選択される。幾つかの非限定的な実施形態では、Rは、ヒドロキシである。幾つかの非限定的な実施形態では、式(III)の適切な化合物は、2,2’−(p−トリルイミノジエタノール)
【0116】
【化25】
などのトリルイミノジエタノールを含むことができる。幾つかの非限定的な実施形態では、式(III)の適切な化合物は、N−フェニルジエタノールアミン
【0117】
【化26】
などのフェニルジエタノールアミンを含むことができる。
【0118】
幾つかの非限定的な実施形態では、式(III)の化合物は、反応生成物を調製するために使用される反応物質の総重量の約5〜約75重量パーセントを構成することができる。幾つかの非限定的な実施形態では、イソシアネート官能性材料は、反応生成物を調製するために使用される反応物質の総重量の約5〜約75重量パーセント、または約15〜約30重量パーセント、または約25重量パーセントを構成することができる。
【0119】
幾つかの非限定的な実施形態では、式(III)の化合物のヒドロキシ官能性反応生成物は、イソシアネート官能性材料と反応して、ウレタン結合を形成する。幾つかの非限定的な実施形態では、式(III)の化合物のヒドロキシ官能性反応生成物は、ポリイソシアネート化合物と反応して、イソシアネート官能性ウレタンプレポリマーを形成し、その後ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートなどの反応性(メタ)アクリレートモノマーと反応して、官能性硬化促進部分を含むジ(メタ)アクリレート系ポリマーまたは樹脂を生成する。
【0120】
幾つかの非限定的な実施形態では、式(III)の化合物のアミノ官能性反応生成物は、イソシアネート官能性材料と反応して、尿素結合を形成する。幾つかの非限定的な実施形態では、式(III)の化合物のアミノ官能性反応生成物は、ポリイソシアネート化合物と反応して、イソシアネート官能性尿素プレポリマーを形成し、その後ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートなどの反応性(メタ)アクリレートモノマーと反応して、官能性硬化促進部分を含むジ(メタ)アクリレート系ポリマーまたは樹脂を生成する。
【0121】
幾つかの非限定的な実施形態では、式(III)の化合物のチオール官能性反応生成物は、イソシアネート官能性材料と反応して、カルバモチオエート結合を形成する。幾つかの非限定的な実施形態では、式(III)の化合物のチオール官能性反応生成物は、ポリイソシアネート化合物と反応して、イソシアネート官能性カルバモチオエートプレポリマーを形成し、その後ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートなどの反応性(メタ)アクリレートモノマーと反応して、官能性硬化促進部分を含むジ(メタ)アクリレート系ポリマーまたは樹脂を生成する。
【0122】
幾つかの非限定的な実施形態では、反応生成物は、イソシアネート官能性残基を有することができ、これは、以下に詳細に記載する通り、ヒドロキシ、チオおよび/またはアミノ官能性アクリレートなどのヒドロキシ、チオおよび/またはアミノ官能性材料とさらに反応することができる。
【0123】
幾つかの非限定的な実施形態では、反応生成物を精製して、上記の通り、反応副生成物、またはキャリヤーなどの反応物質に伴う不純物などの不純物を除去する。式(III)の化合物と(b)イソシアネート官能性材料の反応生成物の製造方法を、以下に詳細に記載する。
【0124】
幾つかの非限定的な実施形態では、反応物質は、構造式(IV)によって表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含むことができる
【0125】
【化27】
(式IVにおいて、Rは、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、Xは、直接結合、−O−、−S−、−NH−、アルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクリレン、アリーレン、アルカリーレンおよびヘテロアリーレンからなる群から選択され、Yは、少なくとも2つの連続する炭素原子を有するアルキレン主鎖を含む、1つまたは複数の−O−、−S−または−NH−部分によって場合によって遮断されていてもよい置換アルキレン基であり、但しYの各−O−、−S−または−NH−部分は、存在する場合、Xの−O−、−S−または−NH−と隣接しておらず、Yの該アルキレン基は、−OH、−NH、−SH、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から独立に選択される置換基を有しており、またはYの同じ炭素原子上の2つの水素原子は、カルボニルによって置き換えられており、Yの少なくとも2つの置換基は、それぞれ独立に、−OH、−NHおよび−SHからなる群から選択され、但し、−OH、−NHまたは−SH基のそれぞれは、Yの同じ炭素原子にも、Yの−O−、−S−もしくは−NH−主鎖部分にも結合していない)。
【0126】
本明細書で使用される場合、「アルキレン」は、以下に定義されるものなどのアルキル基から水素原子を除去することによって得られる二官能基を意味する。アルキレン基の非限定的な例には、メチレン、エチレンおよびプロピレンが含まれる。
【0127】
「ヘテロシクレン」は、以下に定義されるものなどのヘテロシクリル基から水素原子を除去することによって得られる二官能基を意味する。「ヘテロシクリル」は、約3〜約10個の環原子、好ましくは約5〜約10個の環原子を含み、該環系の原子の1つまたは複数は、炭素以外の元素、例えば窒素、酸素または硫黄の単独またはそれらの組合せである非芳香族の飽和単環式または多環式環系を意味する。該環系には、隣接する酸素および/または硫黄原子は存在しない。好ましいヘテロシクリルは、約5〜約6個の環原子を含有する。ヘテロシクリルという語幹名の前の接頭語アザ、オキサまたはチアは、それぞれ少なくとも1つの窒素、酸素または硫黄原子が環原子として存在することを意味する。ヘテロシクリル環の任意の−NHは、例えば−N(Boc)、−N(CBz)、−N(Tos)基などとして、保護されて存在することができ、かかる保護も、本発明の一部であるとみなされる。ヘテロシクリルは、同じであっても異なっていてもよい上記に定義される通りの1つまたは複数の「環系置換基」によって、場合によって置換されていてもよい。ヘテロシクリルの窒素または硫黄原子は、対応するN−オキシド、S−オキシドまたはS,S−ジオキシドに場合によって酸化することができる。適切な単環式ヘテロシクリル環の非限定的な例には、ピペリジル、ピロリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリジニル、1,4−ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ラクタム、ラクトン等が含まれる。
【0128】
「アルカリーレン」は、以下に定義されるものなどのアルカリール基から水素原子を除去することによって得られる二官能基を意味する。「アルカリール」または「アルキルアリール」は、アルキルおよびアリールが上記の通りのアルキル−アリール基を意味する。好ましいアルキルアリールは、低級アルキル基を含む。適切なアルキルアリール基の非限定的な例は、トリルである。親部分との結合は、アリールを介する。
【0129】
式(IV)の化合物において、Yは、少なくとも2つの連続する炭素原子を有するアルキレン主鎖を含む置換アルキレン基である。アルキレン基Yは、場合によって、1つまたは複数の−O−、−S−または−NH−部分によって遮断されていてもよく、但し、Yの各−O−、−S−または−NH−部分は、存在する場合、Xの−O−、−S−または−NH−と隣接していない。Yのアルキレン基は、−OH、−NH、−SH、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から独立に選択される置換基を有し、またはYの同じ炭素原子上の2つの水素原子は、カルボニルによって置き換えられている。本明細書で使用される場合、「シクロアルキル」は、約3〜約10個の炭素原子、約5〜約10個の炭素原子または約5〜約7個の環原子を含む非芳香族の単環式または多環式環系を意味する。シクロアルキルは、同じであっても異なっていてもよい上記に定義される通りの1つまたは複数の「環系置換基」で場合によって置換されていてもよい。適切な単環式シクロアルキルの非限定的な例には、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロへプチル等が含まれる。適切な多環式シクロアルキルの非限定的な例には、1−デカリニル、ノルボルニル、アダマンチル等が含まれる。
【0130】
Yの少なくとも2つの置換基は、それぞれ独立に、−OH、−NHおよび−SHからなる群から選択され、但し−OH、−NHまたは−SH基のそれぞれは、Yの同じ炭素原子にも、Yの−O−、−S−もしくは−NH−主鎖部分にも結合していない。幾つかの非限定的な実施形態では、Yは、2つ、または3つの−OH置換基を含む。
【0131】
幾つかの非限定的な実施形態では、式(IV)の化合物は、以下の構造式IV(a)によって表される
【0132】
【化28】
(式中、RおよびYは、上記の通りである)。
【0133】
幾つかの非限定的な実施形態では、式(IV)の化合物は、以下に示す構造式IV(b)および構造式IV(c)によって表される
【0134】
【化29】
(式中、XおよびRは、上記の通りである)。
【0135】
一実施形態では、式(IV)の化合物は、構造式(A1)によって表される。
【0136】
【化30】
【0137】
別の実施形態では、式(IV)の化合物は、構造式(B1)によって表される。
【0138】
【化31】
【0139】
別の実施形態では、式(IV)の化合物は、構造式(C1)によって表される。
【0140】
【化32】
【0141】
別の実施形態では、本発明の式(IV)の化合物は、構造式(D1)によって表される。
【0142】
【化33】
【0143】
幾つかの非限定的な実施形態では、式(IV)の化合物は、反応性生成物を調製するために使用される反応物質の総重量の約1〜約50重量パーセントを構成することができる。
【0144】
幾つかの非限定的な実施形態では、反応生成物は、(a)構造式(V)によって表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物
【0145】
【化34】
(式Vにおいて、Rは、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される)、および(b)構造式(VI)および構造式(VII)によって表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物
【0146】
【化35】
(式VIにおいて、Xは、直接結合、−O−、−S−、−NH−、アルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクリレン、アリーレン、アルカリーレンおよびヘテロアリーレンからなる群から選択され、Yは、少なくとも2つの連続する炭素原子を有するアルキレン主鎖を含む、1つまたは複数の−O−、−S−または−NH−部分によって場合によって遮断されていてもよい置換アルキレン基であり、但しYの各−O−、−S−または−NH−部分は、存在する場合、Xの−O−、−S−または−NH−と隣接しておらず、Yの該アルキレン基は、−OH、−NH、−SH、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から独立に選択される置換基を有しており、またはYの同じ炭素原子上の2つの水素原子は、カルボニルによって置き換えられており、Yの少なくとも2つの置換基は、それぞれ独立に、−OH、−NHおよび−SHからなる群から選択され、但し、−OH、−NHまたは−SH基のそれぞれは、Yの同じ炭素原子にも、Yの−O−、−S−もしくは−NH−主鎖部分にも結合しておらず、Rは、−OR、−NHR、アルキルおよびアリールアルキルからなる群から選択され、Rは、H、アルキルまたはアリールアルキルである)
【0147】
【化36】
(式VIIにおいて、ZおよびZ’は、それぞれ独立に、−O−、−S−および−N(R)−からなる群から選択され、Rは、Hまたはアルキルであり、mは、少なくとも1であり、各Rは、独立に、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、チオアルキル、ヒドロキシル置換シクロアルキル、少なくとも1つの−OH、−NHまたは−SH基を有するアリールアルキルおよび少なくとも1つの−OH、−NHまたは−SH基を有するヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、但し、置換可能な環の炭素原子に結合しているのは、わずか1個のR置換基であり、pは、1または2である)
を含む反応物質から調製される少なくとも1つの反応生成物Bを、さらに含むことができる。
【0148】
上記の式Vにおいて、Rは、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される。幾つかの非限定的な実施形態では、Rはフェニルである。適切な式(II)の化合物の非限定的な例は、構造式V(a)によって表されるフェニルヒドラジンである。
【0149】
【化37】
【0150】
上記の式VIにおいて、Xは、直接結合、−O−、−S−、−NH−、アルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクリレン、アリーレン、アルカリーレンおよびヘテロアリーレンからなる群から選択される。幾つかの非限定的な実施形態では、Xは−O−である。
【0151】
式VIにおいて、Yは、少なくとも2つの連続する炭素原子を有するアルキレン主鎖を含む、1つまたは複数の−O−、−S−または−NH−部分によって場合によって遮断されていてもよい置換アルキレン基であり、但しYの各−O−、−S−または−NH−部分は、存在する場合、Xの−O−、−S−または−NH−と隣接していない。Yのアルキレン基は、−OH、−NH、−SH、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から独立に選択される置換基を有しており、またはYの同じ炭素原子上の2つの水素原子は、カルボニルによって置き換えられている。Yの少なくとも2つの置換基は、それぞれ独立に、−OH、−NHおよび−SHからなる群から選択され、但し、−OH、−NHまたは−SH基のそれぞれは、Yの同じ炭素原子にも、Yの−O−、−S−もしくは−NH−主鎖部分にも結合していない。Rは、−OH、−OR、−NHR、アルキルおよびアリールアルキルからなる群から選択され、Rは、アルキルまたはアリールアルキルである。幾つかの非限定的な実施形態では、Yは、2つまたは3つの−OH置換基を含む。
【0152】
幾つかの非限定的な実施形態では、式(VI)の化合物は、式(VI(a))、(VI(b))または(VI(c))によって表すことができる。
【0153】
【化38】
【0154】
上記の式VIIにおいて、ZおよびZ’は、それぞれ独立に、−O−、−S−および−N(R)−からなる群から選択され、Rは、Hまたはアルキルである。変数mは、少なくとも1である。幾つかの非限定的な実施形態では、mは、1または2である。各Rは、独立に、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、チオアルキル、ヒドロキシル置換シクロアルキル、アリールアルキルのアルキル基またはアリール基に結合している少なくとも1つの−OH、−NHまたは−SH基を有するアリールアルキル、およびヘテロアリールアルキルのアルキル基またはアリール基に結合している少なくとも1つの−OH、−NHまたは−SH基を有するヘテロアリールアルキルからなる群から選択される。幾つかの非限定的な実施形態では、Rは、ヒドロキシアルキルである。pは、1または2である。
【0155】
幾つかの非限定的な実施形態では、式(VII)の化合物は、構造式(VII(a))または(VII(b))によって表すことができる。
【0156】
【化39】
【0157】
幾つかの非限定的な実施形態では、式(V)の化合物と式(VI)および/または(VII)の化合物のモル比は、約5:1〜約1:5もしくは約3:1〜約1:3の範囲であり、または約1:1であり得る。
【0158】
幾つかの非限定的な実施形態では、反応生成物Bは、反応生成物を調製するために使用される反応物質の総重量の約1〜約50重量パーセントを構成することができる。
【0159】
幾つかの非限定的な実施形態では、反応生成物は、(a)構造式(VIII)によって表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物
【0160】
【化40】
(式VIIIにおいて、Rは、ヒドロキシアルキルおよびカルボキシアルキルからなる群から選択される)、および(b)構造式(II)によって表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物
【0161】
【化41】
(式IIにおいて、Z’’、q、nおよびRは、上記に定義される通りである)を含む反応物質から調製される少なくとも1つの反応生成物Cを、さらに含むことができる。
【0162】
本発明の一実施形態では、式(VIII)によって表される反応物質は、
【0163】
【化42】
(「SPH」)であり、これは、無水コハク酸およびフェニルヒドラジンの反応生成物であり、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第6,835,782号に従って調製することができる。幾つかの実施形態では、SPHおよびグリシドールの反応生成物は、構造式(D1)および/または(D2)によって表すことができる。
【0164】
【化43】
【0165】
幾つかの非限定的な実施形態では、式(VIII)の化合物と式(II)の化合物のモル比は、約5:1〜約1:5もしくは約3:1〜約1:3の範囲であり、または約1:1であり得る。
【0166】
幾つかの非限定的な実施形態では、反応は、溶媒の存在下で実施される。幾つかの非限定的な実施形態では、化合物の幾つかを、他の反応物質との反応の前に溶媒に溶解する。適切な溶媒の非限定的な例には、それに限定されるものではないが、ミネラルスピリット、メタノール、エタノールまたはブタノールなどのアルコール、キシレンなどの芳香族炭化水素、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコールエーテル、エステル、脂肪族および上記のいずれかの混合物が含まれる。幾つかの実施形態では、残留溶媒を、例えば蒸留またはクロマトグラフィーによって反応生成物から抽出する。
【0167】
幾つかの非限定的な実施形態では、反応生成物を精製して、反応副生成物、またはキャリヤーなどの反応物質に伴う不純物などの不純物を除去する。反応生成物は、例えば濾過、抽出またはクロマトグラフィーによって精製することができ、その結果、精製した反応生成物は、実質的に不純物を含まず、または約1重量パーセント未満の不純物を含み、または不純物を含まない。
【0168】
幾つかの非限定的な実施形態では、(1)イソシアネート官能性材料と、(2)式(I)および(II)の化合物の反応生成物または式(III)の化合物との反応生成物を調製するための反応物質は、以下に詳細に記載する通り、ヒドロキシ、アミノおよび/またはチオ官能性材料、それらの組合せ(ヒドロキシおよびアミノ官能性を有するアクリレートなど)、ならびにそれらの混合物(ヒドロキシ官能性アクリレートおよびチオ官能性アクリレートなど)からなる群から選択される少なくとも1つの官能性材料を、さらに含むことができる。
【0169】
これらの官能性材料は、所望に応じて、ヒドロキシ−、アミノ−および/またはチオ官能性化合物ならびにイソシアネート官能性材料と同時に反応することができ、あるいはヒドロキシ−、アミノ−および/またはチオ官能性化合物ならびにイソシアネート官能性材料の反応生成物と後に反応することができる。
【0170】
幾つかの非限定的な実施形態では、(a)構造式(III)によって表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物
【0171】
【化44】
(式(III)において、Xは、アリーレンまたはヘテロアリーレンであり、RおよびRは、それぞれ独立に、H、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキルおよびチオアルキルからなる群から選択され、各Rは、独立に、H、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、チオアルキルおよび−C(O)Rからなる群から選択され、各Rは、存在する場合、独立に、H、アルキル、ヒドロキシおよびアルコキシからなる群から選択され、該化合物は、−OH、−NHおよび−SHからなる群から独立に選択される少なくとも2つのペンダント官能基を含む)、(b)少なくとも1つのイソシアネート官能性材料、ならびに(c)ヒドロキシ官能性材料、アミノ官能性材料、チオ官能性材料ならびにそれらの組合せおよび混合物からなる群から選択される少なくとも1つの官能性材料
を含む反応物質から調製される反応生成物を提供する。適切な式(III)の化合物およびイソシアネート官能性材料は、上記の通りである。
【0172】
幾つかの非限定的な実施形態では、式(III)の化合物は、フェニルジエタノールアミンであり、イソシアネート官能性材料は、トルエンジイソシアネートであり、ヒドロキシ官能性材料は、ヒドロキシエチルアクリレートであり、反応物質はさらに、ビスフェノールAなどのポリオールを含む。幾つかの非限定的な実施形態では、フェニルジエタノールアミン、トルエンジイソシアネート、ヒドロキシエチルアクリレートおよびビスフェノールAは、以下の一般反応スキームに従って反応することができる。
【0173】
【化45】
上記の反応を、以下の実施例でさらに詳説する。
【0174】
適切なヒドロキシ官能性材料の非限定的な例には、ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートおよびヒドロキシ官能性ビニルエーテルが含まれる。
【0175】
「ヒドロキシル官能性(メタ)アクリレート」という句は、キャップされたウレタン材料を生成し、使用するのに適していると思われる任意のヒドロキシル置換アクリレートまたはメタクリレート化合物を意味する。適切なヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートの非限定的な例には、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレートおよびそれらの混合物が含まれる。適切なヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートの他の非限定的な例には、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)および4−ヒドロキシブチルアクリレートが含まれる。
【0176】
「ヒドロキシ官能性ビニルエーテル」という句は、キャップされたウレタンオリゴマーを生成し、使用するのに適していると思われる任意のヒドロキシ置換ビニルエーテルを意味する。適切なヒドロキシ官能性ビニルエーテルの非限定的な例は、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ならびにエチレングリコールモノビニルエーテルとシクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテルなどのそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0177】
幾つかの非限定的な実施形態では、少なくとも1つのアクリレート基を有するヒドロキシ官能性材料は、約80〜約1,000グラム/モル、または約100〜約800グラム/モル、または約110〜約600グラム/モルの数平均分子量を有することができる。
【0178】
幾つかの非限定的な実施形態では、少なくとも1つのアクリレート基を有するヒドロキシ官能性材料は、ウレタンを調製するために使用される反応物質の約1〜約30重量パーセント、または反応物質の約2〜約15重量パーセント、または反応物質の約3〜約12重量パーセントを構成することができる。
【0179】
本発明の反応生成物は、約500〜約10,000グラム/モルまたは約1000〜約7000グラム/モルの範囲の数平均分子量を有することができる。
【0180】
嫌気性硬化性組成物は、一般に、(メタ)アクリレート成分と、嫌気性硬化誘発性組成物をベースにする。幾つかの非限定的な実施形態では、本発明の嫌気性硬化性組成物は、(メタ)アクリレート成分と、好ましくは少なくとも低減されたレベルのAPHを有し(従来の嫌気性硬化性組成物に使用されるその重量の約50%以下など)、APHを実質的に含まず(約10重量パーセント未満、約5重量パーセント未満、または約1重量パーセント未満)、またはAPHを含まない嫌気性硬化誘発性組成物をベースにする。APHの一部または全ての代わりに、式Iの化合物または上記の反応生成物などの本発明の硬化促進剤を用いる。
【0181】
本発明の(メタ)アクリレート成分として使用するのに適した(メタ)アクリレートモノマーは、HC=CGCO(式中、Gは、水素、ハロゲンまたは1〜約4個の炭素原子を有するアルキル基であってよく、Rは、1〜約16個の炭素原子を有する、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルカリール、アラルキルまたはアリール基から選択することができ、そのいずれもが、シラン、ケイ素、酸素、ハロゲン、カルボニル、ヒドロキシル、エステル、カルボン酸、尿素、ウレタン、カーボネート、アミン、アミド、硫黄、スルホネート、スルホン等で場合によって置換されていてもよく、または遮断されていてもよい)によって表されるものなどの、多種多様な材料から選択することができる。
【0182】
本発明で使用するのに適した追加の(メタ)アクリレートモノマーには、多官能性(メタ)アクリレートモノマー、例えばポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフラン(メタ)アクリレートおよびジ(メタ)アクリレートなどの二官能性または三官能性(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート(「HPMA」)、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(「TMPTMA」)、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート(「TRIEGMA」)、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジ(ペンタメチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、テトラエチレンジグリコールジ(メタ)アクリレート、ジグリセロール テトラ(メタ)アクリレート、テトラメチレンジ(メタ)アクリレート、エチレンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ならびにエトキシ化ビスフェノール−A(メタ)アクリレート(「EBIPMA」)などのビスフェノール−Aモノおよびジ(メタ)アクリレート、ならびにエトキシ化ビスフェノール−A(メタ)アクリレートなどのビスフェノール−Fモノおよびジ(メタ)アクリレートが含まれる。
【0183】
本発明で使用することができるさらに他の(メタ)アクリレートモノマーには、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第5,605,999号(Chu)によって教示され、特許請求されているものなどのシリコーン(メタ)アクリレート部分(「SiMA」)が含まれる。
【0184】
他の適切なモノマーには、式
【0185】
【化46】
によって表されるポリアクリレートエステルが含まれ、式中、Rは、水素、ハロゲンおよび1〜約4個の炭素原子のアルキルからなる群から選択される基であり、qは、少なくとも1の整数であり、好ましくは1〜約4であり、Xは、少なくとも2つの炭素原子を含有し、q+1の全結合能力を有する有機基である。Xの炭素原子の数の上限に関して、本質的にいかなる値でも機能できるモノマーが存在する。しかし実際、一般的な上限は炭素原子約50個であり、好ましくは30個、最も好ましくは約20個である。
【0186】
例えばXは、式
【0187】
【化47】
の有機基であってよく、式中、YおよびYは、有機基、好ましくは少なくとも2つの炭素原子、好ましくは2〜約10個の炭素原子を含有する炭化水素基であり、Zは、有機基、好ましくは少なくとも1つの炭素原子、好ましくは2〜約10個の炭素原子を含有する炭化水素基である。
【0188】
有用なモノマーの他の種類は、フランス特許第1,581,361号に開示のものなどの、ジ−またはトリ−アルキロールアミン(例えば、エタノールアミンまたはプロパノールアミン)とアクリル酸の反応生成物である。
【0189】
有用なアクリル酸エステルオリゴマーの非限定的な例には、以下の一般式を有するものが含まれる
【0190】
【化48】
(式中、Rは、水素、1〜約4個の炭素原子の低級アルキル、1〜約4個の炭素原子のヒドロキシアルキルおよび
【0191】
【化49】
からなる群から選択される基を表し、
は、水素、ハロゲンおよび1〜約4個の炭素原子の低級アルキルからなる群から選択される基であり、Rは、水素、ヒドロキシルおよび
【0192】
【化50】
からなる群から選択される基であり、
mは、少なくとも1に等しい整数、例えば1〜約15以上、好ましくは1〜約8であり、nは、少なくとも1に等しい整数、例えば、1〜約40以上、好ましくは約2〜約10の間であり、pは、0または1である)。
【0193】
上記の一般式に相当するアクリル酸エステルオリゴマーの一般的な例には、ジ−、トリ−およびテトラエチレングリコールジメタクリレート、ジ(ペンタメチレングリコール)ジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジ(クロロアクリレート)、ジグリセロールジアクリレート、ジグリセロールテトラメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートならびにトリメチロールプロパントリアクリレートが含まれる。
【0194】
ジ−および他のポリアクリレートエステル、特に先の段落に記載のポリアクリレートエステルが望ましいが、単官能性アクリレートエステル(1つのアクリレート基を含有するエステル)を使用することもできる。単官能性アクリレートエステルを用いて処理する場合、比較的極性の高いアルコール部分を有するエステルを使用することがかなり好ましい。かかる材料は、低分子量アルキルエステルよりも揮発しにくく、より重要なことには、極性基は、硬化中および硬化後に分子間引力をもたらす傾向があり、したがって、より望ましい硬化特性ならびにより耐久性のある封止剤または接着剤が得られる。より好ましくは、極性基は、不安定な水素、複素環、ヒドロキシ、アミノ、シアノおよびハロ極性基からなる群から選択される。このカテゴリーの化合物の一般的な例は、シクロヘキシルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、シアノエチルアクリレートおよびクロロエチルメタクリレートである。
【0195】
モノマーの別の有用な種類は、官能性置換基上に活性な水素原子を含有する単官能性置換アルキルまたはアリールアクリレートエステルの反応によって調製される。このアクリレート末端をもつ単官能性材料は、適切な割合で有機ポリイソシアネートと反応して、イソシアネート基の全てをウレタンまたはウレイド基に変換する。単官能性アルキルおよびアリールアクリレートエステルは、好ましくは、その非アクリレート部分上にヒドロキシまたはアミノ官能基を含有するアクリレートおよびメタクリレートである。使用に適したアクリレートエステルは、式
【0196】
【化51】
(式中、Xは、−O−および
【0197】
【化52】
からなる群から選択され、Rは、水素および1〜7個の炭素原子の低級アルキルからなる群から選択され、Rは、水素、塩素ならびにメチルおよびエチル基からなる種類から選択され、Rは、1〜8個の炭素原子の低級アルキレン、フェニレンおよびナフチレンからなる群から選択される2価の有機基である)を有する。これらの基は、ポリイソシアネートと適切に反応すると、以下の一般式のモノマーを生成する
【0198】
【化53】
(式中、nは、2〜約6の整数であり、Bは、置換および非置換両方のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、アラルキル、アルカリールおよび複素環式基からなる群から選択される多価有機基であり、R、RおよびXは、上記に示した意味を有する)。
【0199】
上記のモノマー生成物の調製で使用するのに適したヒドロキシおよびアミン含有材料としては、それに限定されるものではないが、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、アミノエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、アミノプロピルメタクリレート、ヒドロキシヘキシルアクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、ヒドロキシオクチルメタクリレートなどの材料が例示される。
【0200】
反応物質を組み合わせることができる割合は、幾らか変動し得るが、一般に、わずかな過剰までの化学当量の反応物質、例えば1当量過剰のポリイソシアネートを使用することが好ましい。本明細書で使用される場合、「化学当量」という表現は、ヒドロキシまたはアミノ基1個あたり、1個のイソシアネート基を提供するのに必要な量を指す。
【0201】
反応は、希釈剤を用いて、または希釈剤を用いずに達成することができる。好ましくは、脂肪族、脂環式および芳香族炭化水素、例えば、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素を含む希釈剤が使用されるが、所望に応じて、特に封止系との完全な相溶性が望ましい場合に、メチルイソブチルケトン、ジアミルケトン、イソブチルメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレートおよびシクロヘキシルメタクリレートなどの他の希釈剤を有利に利用することもできる。
【0202】
反応に使用される温度も、広範囲に変わり得る。成分を、およそ化学当量で、またはわずかに過剰のイソシアネート反応物質と組み合わせる場合、有用な温度は、室温以下、例えば10℃〜15℃から、最高100℃〜175℃までの温度で変わり得る。より簡単なイソシアネートを反応させる場合、成分は、好ましくは20℃〜30℃の範囲の温度などの室温、またはそれに近い温度で組み合わされる。過剰のイソシアネートを使用する、高分子量のイソシアネート付加物の調製では、反応物質を室温で組み合わせる、または好ましくは約40℃〜約150℃の範囲の温度で加熱することができる。約90℃〜120℃で実施される反応は、かなりスムーズに進行することが見出されている。
【0203】
当然のことながら、これらの(メタ)アクリレートモノマーの組合せを使用することもできる。
【0204】
(メタ)アクリレート成分は、組成物の総重量に対して約60〜約90重量パーセントなど、組成物の約10〜約90重量パーセントを構成することができる。
【0205】
幾つかの非限定的な実施形態では、反応物質は、少なくとも1つのポリオールをさらに含むことができる。本明細書で使用される場合、「ポリオール」という用語は、少なくとも2つのヒドロキシル基(ジオールなど)または少なくとも3つのヒドロキシル基(トリオールなど)、それより高い官能性のポリオールを含む化合物、モノマー、オリゴマーおよびポリマー、およびそれらの混合物を含む。適切なポリオールは、イソシアネート官能基などの反応基との共有結合を形成することができる。
【0206】
適切なポリオールの非限定的な例には、炭化水素ポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびそれらの混合物が含まれる。本明細書で使用される場合、炭化水素ポリオールは、飽和脂肪族ポリオール、オレフィンなどの不飽和脂肪族ポリオール、脂環式ポリオールおよび芳香族ポリオールを意味する。
【0207】
適切なジオールの非限定的な例には、直鎖アルカンジオール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオールおよび1,3−プロパンジオールなどのプロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオールおよび1,4−ブタンジオールなどのブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオールおよび2,4−ペンタンジオールなどのペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールおよび2,5−ヘキサンジオールなどのヘキサンジオール、2,4−ヘプタンジオールなどのヘプタンジオール、1,8−オクタンジオールなどのオクタンジオール、1,9−ノナンジオールなどのノナンジオール、1,10−デカンジオールなどのデカンジオール、1,12−ドデカンジオールなどのドデカンジオール、1,18−オクタデカンジオールなどのオクタデカンジオール、ソルビトール、マンニトールおよびそれらの混合物が含まれる。幾つかの非限定的な実施形態では、ジオールは、1,2−プロパンジオールおよび1,3−プロパンジオールなどのプロパンジオール、または1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオールおよび1,4−ブタンジオールなどのブタンジオールである。幾つかの非限定的な実施形態では、ポリオールの1つまたは複数の炭素原子は、N、SまたはOなどの1つまたは複数のヘテロ原子で置き換えることができ、例えばジチオ−オクタンビスジオールなどのスルホン化ポリオール、2,2−チオジエタノールなどのチオジエタノールまたは3,6−ジチア−1,2−オクタンジオールであってよい。
【0208】
適切なジオールの他の非限定的な例には、以下の式によって表されるものが含まれる
【0209】
【化54】
(式中、Rは、C〜C18の二価の直鎖または分岐脂肪族、脂環式、芳香族、複素環式またはオリゴマー性飽和アルキレン基またはそれらの混合物;炭素および水素原子に加えて硫黄、酸素およびケイ素からなる群から選択される少なくとも1つの元素を含有するC〜C18の二価の有機基;C〜C18の二価の飽和シクロアルキレン基;あるいはC〜C18の二価の飽和ヘテロシクロアルキレン基を表し、R’およびR’’は、存在してもしなくてもよく、存在する場合、それぞれ独立に、C〜C18の二価の直鎖または分岐脂肪族、脂環式、芳香族またはアリール、複素環式、ポリマー性またはオリゴマー性の飽和アルキレン基あるいはそれらの混合物である)。
【0210】
適切なジオールの他の非限定的な例には、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−ブタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、ジブチル1,3−プロパンジオール、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコールおよびそれらの混合物などの分岐鎖アルカンジオールが含まれる。
【0211】
幾つかの非限定的な実施形態では、ジオールは、シクロペンタンジオールなどのシクロアルカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのシクロヘキサンジメタノール(CHDM)、シクロドデカンジオール、4,4’−イソプロピリデン−ビスシクロヘキサノール、ヒドロキシプロピルシクロヘキサノール、シクロヘキサンジエタノール、1,2−ビス(ヒドロキシメチル)−シクロヘキサン、1,2−ビス(ヒドロキシエチル)−シクロヘキサン、4,4’−イソプロピリデン−ビスシクロヘキサノール、ビス(4−ヒドロキシシクロヘキサノール)メタンおよび4,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンおよびそれらの混合物であってよい。
【0212】
幾つかの非限定的な実施形態では、ジオールは、ジヒドロキシベンゼン、1,4−ベンゼンジメタノール、キシレングリコール、ヒドロキシベンジルアルコールおよびジヒドロキシトルエンなどの芳香族ジオール;4,4’−イソプロピリデンジフェノール(ビスフェノールA)、4,4’−オキシビスフェノール、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−チオビスフェノール、フェノールフタレイン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4’−(1,2−エテンジイル)ビスフェノールおよび4,4’−スルホニルビスフェノールなどのビスフェノール;4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジブロモフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジクロロフェノール)および4,4’−イソプロピリデンビス(2,3,5,6−テトラクロロフェノール)などの水素化ビスフェノール、ハロゲン化ビスフェノール;例えばエトキシ、プロポキシ、α−ブトキシおよびβ−ブトキシ基を有することができるアルコキシル化ビスフェノール;ならびに4,4’−イソプロピリデン−ビスシクロヘキサノール、4,4’−オキシビスシクロヘキサノール、4,4’−チオビスシクロヘキサノールおよびビス(4−ヒドロキシシクロヘキサノール)メタンなどの、対応するビスフェノールを水素化することによって調製できるビスシクロヘキサノール、1モルの2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノール−A)および2モルのプロピレンオキシドのアルコキシル化生成物、メタまたはパラビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートなどのヒドロキシアルキルテレフタレート、ビス(ヒドロキシエチル)ヒドロキノンおよびそれらの混合物であってよい。
【0213】
幾つかの非限定的な実施形態では、ジオールは、複素環式ジオール、例えば1,4−ビス(ヒドロキシエチル)ピペラジンなどのジヒドロキシピペリジン;アミドまたはアルカンアミド[エタンジアミド(オキサミド)など]のジオール、例えばN,N’,ビス(2−ヒドロキシエチル)オキサミド;2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル−2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピオネートなどのプロピオン酸エステルのジオール;ビスヒドロキシプロピルヒダントインなどのヒダントインのジオール;メタまたはパラビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートなどのフタレートのジオール;ジヒドロキシエチルヒドロキノンなどのヒドロキノンのジオール;ならびに/あるいはジヒドロキシエチルイソシアヌレートなどのイソシアヌレートのジオールであってよい。
【0214】
使用に適した三官能性、四官能性または高次官能性ポリオールの非限定的な例には、グリセロールまたはグリセリンなどの分岐鎖アルカンポリオール、テトラメチロールメタン、トリメチロールエタン(例えば1,1,1−トリメチロールエタン)、トリメチロールプロパン(TMP)(例えば1,1,1−トリメチロールプロパン)、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ソルビタン、それらのアルコキシル化誘導体(以下に記載する)およびそれらの混合物が含まれる。
【0215】
幾つかの非限定的な実施形態では、ポリオールは、トリメチレンビス(1,3,5−シクロヘキサントリオール)などのシクロアルカンポリオールまたはトリメチレンビス(1,3,5−ベンゼントリオール)などの芳香族ポリオールであってよい。
【0216】
適切なポリオールのさらなる非限定的な例には、エトキシ化、プロポキシル化およびブトキシル化などのアルコキシル化誘導体であってよい前述のポリオールが含まれる。代替の非限定的な実施形態では、以下のポリオール:グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ベンゼントリオール、シクロヘキサントリオール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジペンタエリスリトールおよびトリペンタエリスリトールは、1〜10個のアルコキシ基でアルコキシル化されていてもよい。適切なアルコキシル化ポリオールの非限定的な例には、エトキシ化トリメチロールプロパン、プロポキシル化トリメチロールプロパン、エトキシ化トリメチロールエタンおよびそれらの混合物が含まれる。
【0217】
幾つかの非限定的な実施形態では、ポリオールは、Nippon Soda Co Ltd.から市販されているNISSO GI−1000、約1500の算出された数平均分子量および約60〜120KOHmg/gのヒドロキシル値を有するヒドロキシ末端をもつ水素化1,2−ポリブタジエン(HPBD樹脂)などの不飽和脂肪族ポリオールであってよい。
【0218】
幾つかの非限定的な実施形態では、本発明で使用するためのポリオールは、ジチオールまたはポリチオールなどのSH含有材料であってよい。適切なポリチオールの非限定的な例には、それに限定されるものではないが、脂肪族ポリチオール、脂環式ポリチオール、芳香族ポリチオール、複素環式ポリチオール、ポリマー性ポリチオール、オリゴマー性ポリチオールおよびそれらの混合物が含まれ得る。本明細書で使用される場合、「チオール」、「チオール基」、「メルカプト」または「メルカプト基」という用語は、イソシアネート基とのチオウレタン結合(即ち、−NH−C(O)−S−)またはイソチオシアネート基とのジチオウレタン結合(即ち、−NH−C(S)−S−)を形成することができる−SH基を指す。
【0219】
幾つかの非限定的な実施形態では、ポリオールは、1つまたは複数のポリエーテルポリオールであってよい。ポリエーテルポリオールの非限定的な例には、ポリ(オキシアルキレン)ポリオールまたはポリアルコキシル化ポリオールが含まれ得る。ポリ(オキシアルキレン)ポリオールは、公知の方法に従って調製することができる。非限定的な一実施形態では、ポリ(オキシアルキレン)ポリオールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロールおよびソルビトールなどの多価開始剤または多価開始剤の混合物を用いて、酸または塩基触媒による付加を使用して、アルキレンオキシドまたはアルキレンオキシドの混合物を縮合することによって調製することができる。相溶性があるポリエーテルポリオール混合物を使用することもできる。本明細書で使用される場合、「相溶性がある」とは、2つ以上の材料が、互いに相溶性があり、したがって実質的に単相を形成することを意味する。アルキレンオキシドの非限定的な例には、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、アミレンオキシド、スチレンオキシドなどのアラルキレンオキシド、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの混合物が含まれ得る。幾つかの非限定的な実施形態では、ポリオキシアルキレンポリオールは、アルキレンオキシド混合物を用いて、ランダムに、または段階的にオキシアルキル化して調製することができる。かかるポリ(オキシアルキレン)ポリオールの非限定的な例には、ポリエチレングリコールなどのポリオキシエチレンポリオールおよびポリプロピレングリコールなどのポリオキシプロピレンポリオールが含まれる。
【0220】
他のポリエーテルポリオールには、エチレンオキシド−プロピレンオキシドおよび/またはエチレンオキシド−ブチレンオキシドのブロックを有するものなどのブロックポリマーが含まれる。幾つかの非限定的な実施形態では、ポリエーテルポリオールは、以下の式
HO−(CHRCHR−O)−(CHRCHR−O)−(CHRCHR−O)−H
のブロックコポリマーを含み、式中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素またはメチルを表すことができ、a、bおよびcは、それぞれ独立に、0〜300の整数から選択することができ、a、bおよびcは、ポリオールの数平均分子量が、GPCによって決定して約32,000グラム/モル未満または約10,000グラム/モル未満となるように選択される。
【0221】
幾つかの非限定的な実施形態では、ポリアルコキシル化ポリオールは、以下の一般式によって表すことができ、
【0222】
【化55】
式中、mおよびnは、それぞれ正の整数であってよく、mおよびnの合計は5〜70であり、RおよびRは、それぞれ、水素、メチルまたはエチルであり、Aは、直鎖または分岐鎖のアルキレンなどの二価の連結基であり、これは1〜8個の炭素原子、フェニレンおよびC〜Cアルキル置換フェニレンを含有することができる。mおよびnの値は、選択された二価の連結基と組み合わせて、ポリオールの分子量を決定することができる。ポリアルコキシル化ポリオールは、当技術分野で公知の方法によって調製することができる。非限定的な実施形態では、4,4’−イソプロピリデンジフェノールなどのポリオールは、エチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはブチレンオキシドなどのオキシラン含有材料と反応して、ヒドロキシル官能基を有するエトキシ化、プロポキシル化またはブトキシ化ポリオールと一般に呼ばれるものを形成することができる。
【0223】
幾つかの非限定的な実施形態では、ポリエーテルポリオールは、BASF Corp.から市販されているPLURONIC RおよびPLURONIC L62DなどのPLURONICエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマーならびに/あるいはTETRONIC RなどのエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドをベースとするTETRONIC四官能性ブロックコポリマーであってよい。
【0224】
本明細書で使用される場合、「ポリエーテルポリオール」という句は、それに限定されるものではないが、ボロントリフルオリド、塩化スズ(IV)および塩化スルホニルなどのルイス酸触媒の存在下で、テトラヒドロフランを重合化することによって調製したポリ(オキシテトラメチレン)ジオールも含み得る。
【0225】
幾つかの非限定的な実施形態では、適切なポリエーテルポリオールの非限定的な例には、ポリ(プロピレンオキシド)ジオール、コポリ(エチレンオキシド−プロピレンオキシド)ジオールおよびポリ(テトラメチレンオキシド)ジオールが含まれる。
【0226】
幾つかの非限定的な実施形態では、ポリエーテルポリオールは、Lyondellから市販されているPOLYMEG(登録商標)2000ポリテトラメチレンエーテルグリコール(分子量約1900〜2100およびヒドロキシル数約53.0〜約59.0を有する、エーテル結合によって結合している反復テトラメチレン単位の主鎖を有し、第1級ヒドロキシルでキャップされている直鎖ジオール)であってよい。
【0227】
他の実施形態では、ポリエーテルポリオールは、ヒドロキシル基が、反復するテトラメチレンエーテル基:HO(CHCHCHCH−O−)H(nは平均14である)によって分離され、ヒドロキシル数107〜118を有する直鎖ジオールのブレンドである、INVISTAから市販されているTERATHANE(登録商標)1000ポリテトラメチレンエーテルグリコール、またはPOLYMEG(登録商標)1000であってよい。
【0228】
幾つかの非限定的な実施形態では、ポリオールは、1つまたは複数のポリエステルポリオールであってよい。幾つかの非限定的な実施形態では、ポリエステルポリオールは、ポリエステルグリコール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオールおよびそれらの混合物からなる群から選択される。適切なポリエステルポリオールの非限定的な例には、ジカルボン酸またはそれらの無水物とジ−、トリ−またはテトラ−アルコールとの重合縮合反応によって生成されたポリラクトンポリエステルおよびポリエステルポリオールなどの任意の周知のジ−、トリ−またはテトラヒドロキシ末端をもつポリエステルが含まれる。
【0229】
かかるポリエステルポリオールの非限定的な例には、ポリエステルグリコール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオールおよびそれらの混合物が含まれる。ポリエステルグリコールには、それに限定されるものではないが、アジピン酸、コハク酸またはセバシン酸などの、4〜10個の炭素原子を有する1つまたは複数のジカルボン酸と、それに限定されるものではないが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオールおよび1,10−デカンジオールなどの、2〜10個の炭素原子を有する1つまたは複数の低分子量グリコールとのエステル化生成物が含まれ得る。ポリエステルポリオールを生成するためのエステル化手順は、例えば、D.M.Youngら、「Polyesters from Lactone」Union Carbide F−40、147頁に記載されている。
【0230】
ポリカプロラクトンポリオールの非限定的な例には、水または低分子量グリコール、例えばエチレングリコールおよびプロピレングリコールなどの二官能性活性水素材料の存在下で、カプロラクトンを縮合することによって調製されるものが含まれる。適切なポリカプロラクトンポリオールの非限定的な例には、第1級ヒドロキシル基末端をもち、平均分子量830および135mgKOH/gの一般的なOH値を有する、カプロラクトンモノマー由来のCAPA 2085直鎖ポリエステルジオールなどの、Solvay Chemical of Houston、テキサス州から市販されているCAPAポリカプロラクトンポリオール、ならびにTONE 0201、0210、0230および0241などの、Dow Chemical of Midland、ミシガン州のTONEシリーズが含まれ得る。幾つかの非限定的な実施形態では、ポリカプロラクトンポリオールは、1モルあたり約500〜約2000グラムまたは1モルあたり約500〜約1000グラムの範囲の分子量を有する。
【0231】
ポリカーボネートポリオールの非限定的な例には、脂肪族ポリカーボネートジオール、例えばアルキレングリコール、エーテルグリコール、脂環式グリコールまたはそれらの混合物をベースとするものが含まれる。幾つかの非限定的な実施形態では、ポリカーボネートポリオールを調製するためのアルキレン基は、5〜10個の炭素原子を含むことができ、直鎖、シクロアルキレンまたはそれらの組合せであってよい。かかるアルキレン基の非限定的な例には、ヘキシレン、オクチレン、デシレン、シクロヘキシレンおよびシクロヘキシルジメチレンが含まれる。適切なポリカーボネートポリオールは、非限定的な例では、当業者に周知の方式で、ヒドロキシ末端をもつアルキレングリコールを、メチル、エチル、n−プロピルもしくはn−ブチルカーボネートなどのジアルキルカーボネート、またはジフェニルもしくはジナフチルカーボネートなどのジアリールカーボネートと反応させることによって、あるいはヒドロキシ末端をもつアルキレンジオールを、ホスゲンまたはビスクロロギ酸と反応させることによって調製することができる。適切なポリカーボネートポリオールの非限定的な例には、Arch Chemicalから市販されているPOLY−CD210ヒドロキシル末端をもつ1000MWポリ(1,6−ヘキサンジオール)カーボネートポリオールが含まれる。
【0232】
上記のポリオールの任意の混合物を使用することができる。
【0233】
幾つかの非限定的な実施形態では、ポリオールは、数平均分子量約100〜約10,000グラム/モル、または約500〜約5,000グラム/モル、または約600〜約3500グラム/モルを有することができる。
【0234】
幾つかの非限定的な実施形態では、ポリオールは、ウレタンを調製するために使用される反応物質の約10〜約90重量パーセント、または反応物質の約30〜約70重量パーセント、または反応物質の約35〜約65重量パーセントを構成することができる。
【0235】
最近、配合物またはその反応生成物の物理特性を変えるために、追加の成分が、従来の嫌気性接着剤に含まれるようになってきた。例えば、マレイミド成分の1つまたは複数、熱耐性を付与する共反応物質、高温条件で反応する希釈成分、モノ−またはポリ−ヒドロキシアルカン、高分子可塑剤およびキレート剤(参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第6,391,993号参照)を、配合物の物理特性および/または硬化プロファイルならびに/あるいは硬化した接着剤の強度または温度耐性を改変するために含むことができる。
【0236】
マレイミド、共反応物質、反応性希釈剤、可塑剤および/またはモノ−もしくはポリ−ヒドロキシアルカンは、使用される場合、組成物の総重量に対して約1重量パーセント〜約30重量パーセントの範囲の量で存在することができる。
【0237】
本発明の組成物は、ラジカル開始剤、ラジカル共促進剤およびラジカル発生の抑制剤ならびに金属触媒などの他の従来の成分を含むこともできる。
【0238】
それに限定されるものではないが、クメンヒドロペルオキシド(「CHP」)、パラ−メンタンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド(「TBH」)およびt−ブチル過安息香酸などのヒドロペルオキシドを含む、ラジカル重合の周知の開始剤の幾つかが、一般に本組成物に組み込まれる。他のペルオキシドには、ベンゾイルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ジアセチルペルオキシド、ブチル4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)吉草酸、p−クロロベンゾイルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、t−ブチル過安息香酸、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチル−ペルオキシヘキシ−3−イン、4−メチル−2,2−ジ−t−ブチルペルオキシペンタンおよびそれらの組合せが含まれる。
【0239】
本発明では、かかるペルオキシド化合物は、一般に組成物の総重量に対して約0.1〜約10重量パーセントの範囲で使用されるが、約1〜約5重量パーセントが望ましい。
【0240】
記載した通り、ラジカル重合の従来の促進剤は、過去に使用された量未満で、本発明の嫌気性硬化促進剤と共に使用することもできる。かかる促進剤は、米国特許第4,287,350号(Rich)および米国特許第4,321,349号(Rich)に開示される通り、一般にヒドラジン種(例えばAPH)である。通常、マレイン酸がAPHを含有する嫌気性硬化系に添加される。本発明の1つの利益は、本発明の嫌気性硬化促進剤によって、嫌気性接着剤組成物の調製においてかかる酸が不要になることである。
【0241】
それに限定されるものではないが、安息香酸スルフィミド(サッカリンとしても公知)などの有機アミドおよびイミドを含むラジカル重合の共促進剤を、本発明の組成物に使用することもできる(米国特許第4,324,349号参照)。
【0242】
安定剤および重合抑制剤(ヒドロキノンおよびキノンを含むフェノールなど)を使用して、早期のペルオキシド分解および本発明の組成物の重合を制御し、防止することもでき、キレート剤[エチレンジアミンテトラ酢酸(「EDTA」)のテトラナトリウム塩など]を使用して、それら由来の微量の金属不純物を捕捉することもできる。キレート剤は、使用される場合は、通常、組成物の総重量に対して約0.001重量パーセント〜約0.1重量パーセントの量で組成物に存在することができる。
【0243】
本発明の嫌気性硬化促進剤は、組成物の総重量に対して約1〜約2重量パーセントなど、約0.1〜約5重量パーセントの量で使用することができる。本発明の促進剤は、従来の促進剤と併用される(かかる従来の促進剤よりも低い濃度であるが)場合、組成物の総重量に対して0.02〜2重量パーセントなど、0.01〜5重量パーセントの量で使用されるべきである。
【0244】
金属触媒溶液またはその混合物(プレミックス)は、約0.03〜約0.1重量パーセントの量で使用される。
【0245】
増粘剤、非反応性可塑剤、充填剤、強化剤(エラストマーおよびゴムなど)などの他の添加剤および他の周知の添加剤は、当業者が望ましいと思われる場合に、組み込むことができる。
【0246】
本発明はまた、本発明の嫌気性接着剤組成物ならびに該組成物の反応生成物の調製方法および使用方法を提供する。
【0247】
本発明の組成物は、当業者に周知の従来の方法を使用して調製することができる。例えば、本発明の組成物の成分は、その成分が組成物において発揮するはずの役割および機能と合致する任意の従来の順で混合することができる。公知の装置を使用する従来の混合技術を使用することができる。
【0248】
本発明の組成物を様々な基材に塗布して、本明細書に記載の所望の利益および利点を付与することができる。例えば、適切な基材は、鋼、真鍮、銅、アルミニウム、亜鉛および他の金属ならびに合金、セラミックおよび熱硬化性樹脂から構成され得る。本発明の組成物は、鋼、真鍮、銅および亜鉛に対して特に良好な結合強度を示す。嫌気性硬化性組成物に適したプライマーを、選択した基材の表面に塗布して、硬化速度を高めることができる。あるいは、本発明の嫌気性硬化促進剤をプライマーとして基材の表面に塗布することができる。例えば、米国特許第5,811,473号(Ramos)参照。
【0249】
さらに本発明は、嫌気性硬化性組成物の調製方法を提供し、その一ステップは、(メタ)アクリレート成分、上記の式(I)の嫌気性硬化促進剤化合物を含む嫌気性硬化誘発性組成物または反応生成物を一緒に混合することを含む。
【0250】
本発明はまた、本発明の嫌気性硬化性組成物から反応生成物を調製する方法を提供し、そのステップは、組成物を所望の基材表面に塗布し、組成物を硬化するのに十分な時間、該組成物を嫌気性環境に曝露することを含む。
【0251】
本発明はまた、嫌気性硬化性組成物の硬化促進剤として、上記の式(I)の化合物または反応生成物を使用する方法を提供する。
【0252】
さらに本発明は、(I)嫌気性硬化促進剤化合物を嫌気性硬化性組成物中に混合するステップ、または(II)基材表面上に嫌気性硬化促進剤化合物を塗布し、その上に嫌気性硬化性組成物を塗布するステップを含む、嫌気性硬化促進剤化合物の使用方法を提供する。当然のことながら、本発明はまた、一体にされる基材間に、本発明の組成物によって形成される結合を与える。
【0253】
本発明の上記の説明から、広範な実用的可能性が与えられることが明らかである。以下の実施例は単に例示目的であり、本明細書の教示を制限するように決して解釈されるべきではない。
【実施例】
【0254】
(実施例1)
DMABA−グリシドール反応生成物の合成
例えば接着剤などの嫌気性硬化性組成物におけるAPH硬化促進剤の代替として、4−(ジメチルアミノ)安息香酸およびグリシドールの反応生成物を評価するために、研究を行った。
【0255】
本発明の嫌気性硬化促進剤を、以下に示した合成スキームに従って調製した。
【0256】
【化56】
【0257】
4−(ジメチルアミノ)安息香酸およびグリシドールを、表1に示す通り、アセトニトリルの存在下で以下に記載の量および方式で反応させて、DMABA−グリシドール反応生成物(付加物)を形成した。
【0258】
【表1】
【0259】
磁気撹拌器、還流冷却器、圧力平衡添加漏斗、窒素パージおよび熱プローブを備えた500mlの3つ口丸底フラスコに、DMABA(1)およびアセトニトリルを添加した。DMABAは、80℃ではアセトニトリルに溶けにくかった。グリシドールを約20分かけて添加し、混合物を80℃で終夜撹拌した。その朝、かなりの量のDMABAが溶解したことが明らかになった(紫色および固体減少が証拠である)。反応を週末にかけて継続した(約92時間)。その朝、薄紫色の混合物が完全に溶解していた。混合物を約25℃に冷却し、得られた固体を濾過し、アセトニトリルで最小限洗浄した。濾液を冷却し続けたので、濾液には幾らかの固体が含まれていた。固体および濾液をFTIRによってスクリーニングして、反応の質的な程度を決定した。濾液を真空内で濃縮して、固体を得た。両方の固体を、一定量に達するまで真空内で50℃および<200mTorrにおいて乾燥させた。DSCによって決定した生成物の融点は106℃であった。
【0260】
【表2】
【0261】
DMABA−グリシドール付加物を、FT−IR(図1に示す)およびH−NMRによって分析した。H−NMR(DMSO−d6、300MHz)δ7.75、6.60、4.20、4.10、3.75、3.45、2.90および2.0。Varian 300MHzのGemini分光光度計を使用してプロトン核磁気共鳴分析を実施した。TA Instrument 2920示差走査熱量計で融点を得た。
【0262】
嫌気性硬化性組成物の調製
以下の通り、選択した成分を予め混合した後、嫌気性ベース組成物の残りの成分と混合した。
【0263】
【表3】
【0264】
プレミックスAの成分は、約25℃で従来通り撹拌することによって混合した。
【0265】
【表4】
【0266】
プレミックスBの成分は、約25℃で従来通り撹拌することによって混合した。
【0267】
プレミックスAおよびBを使用して、表2に従って以下の通り配合物を調製した。
【0268】
【表5】
【0269】
最初の5種類の成分を、表2に列挙した順で混合した。成分を、ステンレス鋼製プロペラ型ミキサーを使用して混合すると、成分が溶解した。成分を混合すると、増粘成分がゆっくりと配合物「に溶解し」、増粘して混合物を形成した。一部の成分は、完全に溶解するために追加の混合時間を必要とした(最短で終夜)。残りの成分を混合物に添加し、上記の通り混合した。DEPTを、追加の促進剤として配合物Aに入れた。上記のDMABA−グリシドール付加物を、追加の促進剤として配合物Cに入れた。配合物Bには追加の促進剤は使用しなかった(対照)。
【0270】
物理特性の評価
本発明のDMABA−グリシドール付加物硬化系(配合物C)を、82℃での加速安定性試験および鋼製ナット/ボルトの試験品に対する接着試験によって、従来の硬化成分DEPTを含有する配合物(配合物A)および対照配合物B(追加の促進剤なし)と比較した。
【0271】
保存安定性
配合物の82℃での安定性は、接着性配合物が82℃で3時間以上液体であり続ける場合に、該配合物が許容される保存安定性を有すると判断される評価に従って決定した。上記の配合物A〜Cのそれぞれの3つの試験品を、82℃で評価した。表3に示す通り、本発明の配合物Cのサンプルは、一般に、82℃でDEPTを含有する配合物Aのサンプルと同程度の安定性を示した。
【0272】
【表6】
【0273】
固定時間
離脱/プリベリング接着試験を、ASTM D5649に従って実施した。離脱トルクは、固定された(seated)組立体の軸荷重を低減または排除するのに必要な最初のトルクである。締結(bond)の最初の破壊後のプリベリングトルクを、ナットの360°回転中の任意の点で測定する。プリベリングトルクは、通常、ナットの180°回転で測定される。鋼製の3/8×16のナットおよびボルトを、1,1,1−トリクロロエチレンで脱脂し、接着剤をボルトに塗布し、スペーサーとして鋼製カラーを使用して、ナットをボルトにねじ込んだ。
【0274】
20個のナットおよびボルト試験品を、試験するそれぞれの接着性配合物に対して組み立てた。離脱/プリベリング接着試験のために、試験品を、組立後に周囲温度で15分、30分、1時間および24時間維持した(それぞれ5個の試験品)。次いで、離脱およびプリベリングトルク強度(in−lb)を、周囲温度(25℃)および45〜50%の相対湿度において、それぞれ15分、30分、1時間および24時間後に、それぞれの接着性配合物の5個の試験品について記録した。トルク強度を、較正済みの自動トルク分析器を使用して測定した。これらの評価に関するデータを、以下の表4および図2に示す。
【0275】
このデータは、本発明の配合物Bが、基材上に塗布され硬化する場合に、従来の嫌気性(メタ)アクリレート系接着剤と比較して、室温において一般に類似の離脱およびプリベリング特性を示すことを示している。
【0276】
【表7】
【0277】
DMABA−グリシドール樹脂反応生成物の仮定的合成
以下の略語は、本明細書で使用される場合、以下の意味を有する。
Bi(Oct)は、King Industries製のビスマス2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキサン酸中70%を意味する。
BHTは、ブチル化ヒドロキシトルエンを意味する。
DBTDLは、ジラウリン酸ジブチルスズを意味する。
IPDIは、イソホロンジイソシアネートを意味する。
MeHQは、パラメトキシフェノールまたはモノメチルエーテルヒドロキノンを意味する。
MWは、数平均分子量を意味する。
TRIEGMAは、トリエチレングリコールジメタクリレートを意味する。
【0278】
例AのDMABA−グリシドール反応生成物を使用して、本発明の樹脂を調製することができる。表5の以下の成分を、以下に記載する通り反応させて、本発明の促進性樹脂を形成することができる。
【0279】
【表8】
【0280】
プレミックスB、CAPA2085ポリカプロラクトンポリオール、IPDI、TRIEGMA、IRGANOX1010フェノール性抗酸化剤、MeHQおよびDBTDLを、反応フラスコに添加し、乾燥空気下、75℃で1時間撹拌する。HEMAを添加し、混合物を75℃で1時間撹拌する。反応生成物を、「B」段階のNCOのために滴定することができる。DMABA−グリシドール付加物およびBi(Oct)を添加し、混合物を75℃で10時間撹拌する。理論的IRは、0.04wt%のNCOが残ることを示す。理論的収量:理論的分子量3023.8g/モルおよび45.9重量パーセントの理論的軟性セグメントを有する、薄黄色の非常に粘性の高い樹脂268.4g。
(実施例2)
樹脂の調製A
トルエンジイソシアネート系反応生成物(樹脂)の合成
一般的な理想的反応スキーム
【0281】
【化57】
当業者は、上記のものなどの他の適切なアクリレート、イソシアネート等が、一般反応スキームにおいて使用できることを理解されよう。
【0282】
手順
機械的撹拌器および乾燥空気ブランケットを備えた1リットルのジャケット付きガラス反応器に、イソボルニルメタクリレート(309.0グラム)、安定剤溶液(イソボルニルメタクリレート93.86グラムに溶解したBHT1.96グラムおよびMEHQ1.96グラムの溶液6.76グラム)、水素化ビスフェノールA66.9グラム、N−フェニルジエタノールアミン67.0グラムおよびジラウリル酸ジブチルスズ0.59グラムを添加した。
【0283】
混合物を70℃に加熱し、ジャケット温度をその温度で維持した。トルエンジイソシアネート(2,4および2,6異性体の80/20混合物200g)を急速に添加した。反応温度を、5分かけて125℃に上げ、反応混合物が70℃に冷却するまで、1.5時間かけて混合した。
【0284】
次いで、ヒドロキシプロピルメタクリレートを添加し(215.9グラム)、反応温度を10分間で83℃に上げた。反応混合物を70℃に冷却し、さらに2時間撹拌した。反応生成物は、澄んだ、白色の、粘性の高い水溶液であった。
【0285】
樹脂の調製BおよびC
2,2’−トリルイミノジエタノール系反応生成物(樹脂)の合成
樹脂の調製B
表6の以下の成分を、以下に記載する通り反応させて、本発明の促進性樹脂を形成した。
【0286】
【表9】
【0287】
CAPA2085ポリカプロラクトンポリオール、IRGANOX1010フェノール性抗酸化剤、MeHQ、IPDI、IBOMA(イソボルニルメタクリレート)およびDBTDLを、反応フラスコに添加し、乾燥空気下、75℃で1.5時間撹拌した。HEMAを添加し、混合物を75℃で1時間撹拌した。2,2’−トリルイミノジエタノールおよびBi(Oct)を添加し、混合物を75℃で8時間撹拌した。収量:理論的分子量3004.5g/モルおよび44.2重量パーセントの理論的軟性セグメントを有する、粘性の高い樹脂424.4g。
【0288】
樹脂の調製C
表7の以下の成分を、以下に記載する通り反応させて、本発明の促進性樹脂を形成した。
【0289】
【表10】
【0290】
【化58】
【0291】
IRGANOX1010フェノール性抗酸化剤、MeHQ、TMXDI(m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート)、HDDM I(ヘキサンジオールジメタクリレートの部分I)およびDBTDL Iを、反応フラスコに添加し、2,2’−トリルイミノジエタノールを、反応フラスコに分けて添加すると、80℃まで発熱した。反応生成物を、乾燥空気下で75℃において1時間撹拌した。CD570、HDDM IIおよびDBTDL IIを添加し、混合物を75℃で2時間撹拌した。収量:理論的分子量1453.8g/モルを有する、薄い琥珀色の流動性樹脂487.94g。
【0292】
嫌気性硬化性組成物の調製
以下の通り、選択した成分を予め混合した後、嫌気性ベース組成物の残りの成分と混合した。
【0293】
【表11】
【0294】
プレミックスAの成分は、約25℃で従来通り撹拌することによって混合した。
【0295】
【表12】
【0296】
プレミックスBの成分は、約25℃で従来通り撹拌することによって混合した。
【0297】
プレミックスAおよびBを使用して、表8〜12に従って以下の通り嫌気性硬化性組成物Bを調製した。
【0298】
【表13】
【0299】
【表14】
【0300】
【表15】
【0301】
【表16】
【0302】
【表17】
【0303】
成分を、表8〜12に列挙した順で、ステンレス鋼製プロペラ型ミキサーを使用して混合すると、成分が溶解した。成分を混合すると、増粘成分がゆっくりと配合物「に溶解し」、増粘して混合物を形成した。一部の成分は、完全に溶解するために追加の混合時間を必要とした(最短で終夜)。トルエンジイソシアネート付加物樹脂またはトリルイミノジエタノール付加物樹脂を、促進剤として、表9〜12に示した通り様々な量で配合物5〜28に入れた。
【0304】
物理特性の評価
本発明のトルエンジイソシアネート付加物樹脂(配合物5、6、11、12、17、18、23および24)またはトリルイミノジエタノール付加物樹脂(配合物7〜10、13〜16、19〜22および25〜28)を、82℃での加速安定性試験および鋼製ナット/ボルトの試験品に対する接着試験によって、従来の硬化成分であるサッカリンおよびDEPTを含有する配合物(配合物1〜4)と比較した。
【0305】
保存安定性
配合物の82℃での安定性は、接着性配合物が82℃で3時間以上液体であり続ける場合に、該配合物が許容される保存安定性を有すると判断される上記の実施例1において記載した通りの方式で決定した。上記の配合物1〜28のそれぞれの3つの試験品を、82℃で評価した。表13に示す通り、本発明の配合物5〜28のサンプルは、82℃で、一般に許容される安定性を示すことができる。
【0306】
【表18】
【0307】
固定時間
離脱/プリベリング接着試験を、上記の通りの方式で、ASTM D5649に従って実施した。離脱およびプリベリングトルク強度(in−lb)を、周囲温度(25℃)および45〜50%の相対湿度において、それぞれ15分、30分、1時間および24時間後に、それぞれの接着性配合物の5個の試験品について記録した。これらの評価に関するデータを、以下の表14〜17ならびに図3および4に示す。
【0308】
図3において、1〜6、11および12と示した離脱およびプリベリングデータは、それぞれ上記の配合物1〜6、11および12に対応する。配合物5、6、11および12は、促進剤として例Aのトルエンジイソシアネート付加物樹脂を含む。
【0309】
図4において、1〜4、17、18、23および24と示した離脱およびプリベリングデータは、それぞれ上記の配合物1〜4、17、18、23および24に対応する。配合物17、18、23および24は、促進剤として例Aのトルエンジイソシアネート付加物樹脂を含む。
【0310】
このデータは、本発明の配合物5〜28が、基材上に塗布され硬化する場合に、従来の嫌気性(メタ)アクリレート系接着剤と比較して、室温において類似の離脱およびプリベリング特性を示すことを示している。
【0311】
【表19】
【0312】
【表20】
【0313】
【表21】
【0314】
【表22】
図1
図2
図3
図4