(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5749250
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】高圧流体リザーバ用バルブアセンブリ
(51)【国際特許分類】
F16K 17/04 20060101AFI20150625BHJP
F16K 31/06 20060101ALI20150625BHJP
F02M 25/08 20060101ALI20150625BHJP
F02M 37/00 20060101ALI20150625BHJP
【FI】
F16K17/04 Z
F16K31/06 385A
F02M25/08 H
F02M37/00 301H
F02M37/00 341D
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-506593(P2012-506593)
(86)(22)【出願日】2010年4月22日
(65)【公表番号】特表2012-524878(P2012-524878A)
(43)【公表日】2012年10月18日
(86)【国際出願番号】IB2010000910
(87)【国際公開番号】WO2010122414
(87)【国際公開日】20101028
【審査請求日】2013年4月22日
(31)【優先権主張番号】61/171,548
(32)【優先日】2009年4月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390033020
【氏名又は名称】イートン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】EATON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫
(74)【代理人】
【識別番号】100109690
【弁理士】
【氏名又は名称】小野塚 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100104385
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100135035
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 明夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131266
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼ 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】ピファー、ダニエル、エル.
(72)【発明者】
【氏名】ミルズ、ヴォーン、ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】セクストン、ロナルド、イー.
【審査官】
関 義彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−99015(JP,A)
【文献】
特開2006−258135(JP,A)
【文献】
実開平4−105959(JP,U)
【文献】
実開平6−69544(JP,U)
【文献】
特開平7−71335(JP,A)
【文献】
実開昭59−3071(JP,U)
【文献】
特表2008−513651(JP,A)
【文献】
実開平1−173579(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 17
F02M 25/08
F02M 37/00
F16K 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1リザーバ12と第2リザーバ18との間の流体の流れを制御するように構成されたバルブアセンブリ20であって、
該バルブアセンブリ20は、
前記第1リザーバ12から前記第2リザーバ18に向かう方向に流れる燃料蒸気38が通過する、第1の流体流通路と、
第1の流体流通路を迂回して、前記第1リザーバ12から前記第2リザーバ18に向かう方向に流れる燃料蒸気60が通過する、第2の流体流通路と、
第1の流体流通路及び第2の流体流通路を迂回して、前記第1リザーバ12から前記第2リザーバ18に向かう方向に流れる燃料蒸気62A、又は、前記第2リザーバ18から前記第1リザーバ12に向かう方向に流れる燃料蒸気62Bが通過する、第3の流体流通路と、
前記第1リザーバ12内の圧力が第1の既定圧力値を超えた場合に前記第1の流体流通路を開口するように構成されたリリーフバルブ28と、
前記第1リザーバ12から前記第2リザーバ18への流体の流量が既定基準値を超えた状態で、前記第2の流体流通路を開口するように構成されたソレノイドアセンブリ40と、
前記第1リザーバ12から前記第2リザーバ18への流体の流量が既定基準値以下で、かつ、前記第1リザーバ12内の圧力が、第2の既定圧力値以下の場合に、前記第3の流体流通路を開口するように構成された流量制限器50とを含み、
前記ソレノイドアセンブリ40は、前記流量制限器50が備えるピストン52に設けられた通路56を選択的に開閉するように構成されたアーマチュア42と、該アーマチュア42を変位させることにより前記流量制限器50が備えるピストン52に設けられた通路56を閉鎖するために十分な力を発生するように構成されたソレノイドスプリング44と、前記アーマチュア42を励磁して、前記ソレノイドスプリング44に打ち勝って、前記流量制限器50が備えるピストン52に設けられた通路56を開口するように構成されたコイル46とを含んでおり、
さらに、前記流体制限器50を前記アーマチュア42に付勢して前記第3の流体流通路を開口させるように構成されたスプリング58を含んでおり、前記流量制限器50が備えるピストン52に設けられた通路56は前記アーマチュア42により通常閉鎖されるように構成されており、
前記第1リザーバ12から前記第2リザーバ18への流体の流量が既定基準値を超えた状態で、前記ソレノイドアセンブリ40が励磁された前記アーマチュア42を変位させるとき、前記流量制限器50が備えるピストン52に設けられた通路56が開口され、かつ、前記スプリング58が燃料蒸気の流れの力によって圧縮され、前記第2の流体流通路を開口するように構成され、
前記コイル46は、前記流体の流量が前記既定基準値以下の場合に、前記ソレノイドスプリング44に打ち勝ち、また、前記ソレノイドスプリング44は、前記第1リザーバ12が正の圧力の場合には、前記流量制限器50が前記第3の流体流通路を閉鎖するために十分な力を発生するが、前記ソレノイドアセンブリ40が励磁された前記アーマチュア42を変位させる場合、および、前記第1リザーバ12が負の圧力の場合には、前記第3の流体流通路を閉鎖するためには不十分であることにより、前記流量制限器50は前記第3の流体流通路を開口するように構成されており、
前記第1の既定圧力値は、前記第2の既定圧力値より大きいことを特徴とするバルブアセンブリ20。
【請求項2】
さらに、前記第1の流体流通路、前記第2の流体流通路及び前記第3の流体流通路を含むハウジング22を含んでおり、該ハウジング22内に、前記リリーフバルブ28、前記ソレノイドアセンブリ40及び前記流量制限器50が配置されており、また、前記ハウジング22内に、前記リリーフバルブ28、前記流量制限器50及び前記ソレノイドアセンブリ40を保持するように構成されたカバー66を含むことを特徴とする請求項1に記載のバルブアセンブリ20。
【請求項3】
前記リリーフバルブ28及び前記流量制限器50の少なくとも一方は、前記ハウジング22に対して、前記リリーフバルブ28及び前記流量制限器50をシールするように構成された内側に傾斜した圧力シール32、54を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のバルブアセンブリ20。
【請求項4】
前記カバー66は、スナップフィットにより、前記ハウジング22にかみ合って相互に連結されることを特徴とする請求項2に記載のバルブアセンブリ20。
【請求項5】
さらに、前記カバー66を前記ハウジング22にシールするように構成された固定シール70を含むことを特徴とする請求項2に記載のバルブアセンブリ20。
【請求項6】
前記固定シール70は、Oリング型のシールであることを特徴とする請求項5に記載のバルブアセンブリ20。
【請求項7】
前記リリーフバルブ28及び前記流量制限器50の少なくとも一方は、ピストン30、52を含み、該ピストン30、52及びこれらに対応する圧力シール32、54は、単一のピストンアセンブリとして構成されていることを特徴とする請求項3記載のバルブアセンブリ20。
【請求項8】
第1のコネクタ24及び第2のコネクタ26を備えるハウジング22と、
前記ハウジング22と互いに連結されるカバー66と、
流量制限器50とを含み、該流量制限器50は、圧力シール54と、
前記ハウジング22に接し、前記圧力シール54を前記カバー66へと付勢するスプリング58と、
前記圧力シールに接するピストン52と、
前記圧力シール54及び前記ピストン52の間に配置された常閉通路56とを含み、
又、ソレノイドアセンブリ40を含み、該ソレノイドアセンブリ40は、
前記圧力シール54を前記ハウジング22へと常時付勢するアーマチュア42と、
前記アーマチュアを前記ハウジング22へと常時付勢するソレノイドスプリング44と、
前記アーマチュア42を前記カバー66へ向けて引き込むよう制御するコイル46と、
前記ハウジングに設置されるリリーフバルブ28とを含み、
該リリーフバルブ28は、
通路34と、
柔軟なシール32と、
該柔軟なシール32を前記通路34へと常時付勢して閉鎖するスプリング36とを含み、
前記第1のコネクタ24が第1の既定圧力の流体に曝されたとき、前記リリーフバルブ28の前記通路34を流体開放し、前記圧力シール54を前記ハウジング22へと付勢し、
前記第1のコネクタ24の流体の流量が既定基準値を上回り、かつ、前記コイルが前記アーマチュア42を前記カバー66へ向けて引き込むよう制御するとき、前記通路34を開放することなく、前記常閉通路56は、前記第1のコネクタ24と前記第2のコネクタ26との間の流体連通を許容し、
前記第1のコネクタ24の流体の流量が既定基準値以下で、かつ、前記コイルが前記アーマチュア42を前記カバー66へと引き込むよう制御するとき、前記通路34を開放することなく、前記圧力シール54は上昇して前記第1のコネクタ24から前記第2のコネクタ26への流体連通を許容し、
前記第1のコネクタ24が第2の既定圧力よりも低い圧力の流体に曝されたとき、流体は前記圧力シール54を前記カバー66へ向けて押し退け、前記第2のコネクタ26から前記第1のコネクタ24への流体連通を許容することを特徴とするバルブアセンブリ20。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年4月22日に出願された米国仮出願61/171,548号の利益を主張するものであり、この仮出願は、参照することによってその全体がここに組み込まれる。
【0002】
本発明は、高圧リザーバへの流体の流れ及び高圧リザーバからの流体の流れを制御するバルブアセンブリに関するものである。
【背景技術】
【0003】
バルブは、液体及び/または気体の流れを制御するために、各種の産業で採用されている。このような制御バルブの適用の一つとして、車両の燃料システムから漏洩するガソリン蒸気が原因である車両の燃料蒸気ガスの排出を制御するために、貯蔵型の燃料を備えた車両が出現している。現代の車両の燃料蒸発ガスの排出は、多くの国で厳格に規制されている。燃料蒸発ガスの大気中への直接的な排出を防止するために、1970年代から製造された多数の車両は、特別に設計された燃料蒸発ガス排出システムを備えている。また、近年では、車両製造業者は、エンジンに対して完全にシールされた燃料供給の開発に着手した。
【0004】
典型的な燃料蒸発ガス排出システムでは、燃料システムから排出される燃料蒸気は、活性炭を含んでいるパージキャニスタに送られる。このようなキャニスタに使用される活性炭は、燃料蒸気及び/または化学反応物の吸着に有効な大きな表面領域を形成する極めて多孔性のカーボンの形態である。特定のエンジン動作モード中に、特別に設計された制御バルブの助力で、燃料蒸気はキャニスタに吸着される。続いて、他のエンジン動作モード中に、別の制御バルブの助力で、新鮮な空気がキャニスタを通して引き込まれ、燃料蒸気はエンジン内に吸引され、燃焼される。
【発明の概要】
【0005】
本発明の実施の形態は、第1リザーバと第2リザーバとの間の流体の流れを制御するバルブアセンブリである。このバルブアセンブリは、ハウジングの内側に配置され、第1リザーバ内の圧力が第1の既定圧力値を超えた場合に、第1の流体流通路を開口するように構成されたリリーフバルブを含んでいる。
【0006】
本発明の上述した特徴と利点並びに他の特徴と利点は、添付した図面と関連させた、以下の本発明を実施するためのベストモードの詳細な説明から容易に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本発明の一実施の形態に従うバルブアセンブリの断面図であり、燃料タンクとパージキャニスタとの間で燃料蒸気の流れを制御するように構成され、閉状態のバルブを備えたバルブアセンブリが示されている。
【
図2】
図2は、
図1に示されたバルブアセンブリの断面図であり、燃料タンクとパージキャニスタとの間の第1の流通路が開状態で示されている。
【
図3】
図3は、
図1に示されたバルブアセンブリの断面図であり、燃料タンクとパージキャニスタとの間の第2の流通路が開状態で示されている。
【
図4】
図4は、
図1に示されたバルブアセンブリの断面図であり、燃料タンクが圧力下にある場合に、燃料タンクとパージキャニスタとの間の第3の流通路が開状態で示されている。
【
図5】
図5は、
図1に示されたバルブアセンブリの断面図であり、燃料タンクが真空下にある場合に、燃料タンクとパージキャニスタとの間の第3の流通路が開状態で示されている。
【発明を実施するための形態】
【0008】
各図を参照すると、各図を通して、同様の参照番号は、同じまたは類似の構成部材に対応している。
図1には、概略的に符号10で表示された車両が示されている。車両10は、燃料を保持するリザーバとして構成された燃料タンク12を含んでおり、燃料は、当業者に理解されているように、燃料ポンプ(図示省略)を含む燃料供給システムを介して内燃エンジン13に供給される。車両10は、また、エンジン13と燃料供給システムの動作を調整するように構成されたコントローラ14を含んでいる。燃料タンク12は、燃料タンク12で排出された燃料蒸気を収集して、続いて、燃料蒸気をエンジン13にリリースするのに適したパージキャニスタ18を含む燃料蒸発ガスコントロールシステム16に動作可能に接続されている。コントローラ14は、また、排出された燃料蒸気を再捕集して、リサイクルするために、燃料蒸発ガスコントロールシステム16の動作を調整するように構成されている。さらに、コントローラ14は、バルブアセンブリ20の動作、すなわち、燃料タンク12の過圧力と真空を解放するために、選択的に開閉する動作を調整するのに適している。
【0009】
燃料蒸発ガスコントロールシステム16には、バルブアセンブリ20が含まれる。このバルブアセンブリ20は、燃料タンク12とパージキャニスタ18との間で燃料蒸気の流れを制御するように構成されている。図示されたバルブアセンブリ20は、燃料タンク12とパージキャニスタ18との間に配置されているが、パージキャニスタ18とエンジン13との間に配置するように、バルブアセンブリを異なる位置に配置することを排除するものではない。バルブアセンブリ20には、このバルブアセンブリの全ての構成部材をコンパクトな方法で保持するハウジング22が含まれる。このハウジング22は、
(第1の)コネクタ24を介して燃料タンク12に、また、
(第2の)コネクタ26を介してパージキャニスタ18に連結されている。ハウジング22にはリリーフバルブ28が収容されている。リリーフバルブ28には、適当なプラスチックまたはアルミニュームなどの適当な化学的耐性を有する材料から形成されるピストン30が含まれる。リリーフバルブ28には、また、適当な化学的耐性を有する弾性材料から形成される柔軟なシール32が含まれる。
(圧力)シール32は、内側に傾斜した動圧シール、すなわち、シールの外側エッジまたはリップが中心軸Y1に向かって角度付けられているシールである。作動中、シール32は、最初に、このシールの角度付けられた外側エッジに沿ってハウジング22に接触する。その後、ハウジング22に初期接触した後、シール22の外側エッジは、ハウジングに合わせて離脱して、通路34を密閉する。シールの外側エッジが内側に傾斜することで、シール32とハウジング22との間の開口を小さくして燃料蒸気の流れの制御を向上させる。
【0010】
ピストン30とシール32は、当業者に理解されているように、オーバーモールドなどの適宜の製造工程により、単一のピストンアセンブリとして結合させることができる。ピストン30とシール32は、スプリング36によって、通路34を閉鎖するように付勢される。
図2に示されるように、リリーフバルブ28は、燃料タンク12が第1の既定圧力値を超えた場合に、矢印38で示すように、燃料タンク12からパージキャニスタ18に向かう方向に流れる燃料蒸気が通過する
、第1の燃料蒸気流通路の開口を容易とするように構成されている。
第1の燃料蒸気流通路(第1の流体流通路)は、コネクタ24が第1の既定圧力の流体に曝されたとき、ピストン52の周囲を迂回するようにしてリリーフバルブ28に至り、更に、リリーフバルブ28に設けられた通路34を通る経路で、コネクタ24とコネクタ26とを連通させる流体流通路である。図2では、第1の流体流通路に沿って流れる燃料蒸気を、便宜上、矢印38で示している。第1の既定圧力値は、好適には、燃料タンク12の超高圧状態または過圧状態を表す正数である。
【0011】
燃料タンク12の過圧状態は、通常、適切な工業基準に従って指定された設計パラメータによって決定され、一般に、燃料タンクの動作故障を排除する安全性の要因を含んでいる。燃料タンク12内の圧力は、収容される燃料の量と温度などの多くの要因に対応して変化する。第1の既定圧力値は、燃料タンク12とエンジンの燃料供給システムの設計パラメータに基づいて設定され、同様に、試験中及び開発中に得られる実験によって得られるデータに基づいて設定することができる。
【0012】
バルブアセンブリ20には、また、ハウジング22の内側に配置されたソレノイドアセンブリ40が含まれ、このソレノイドアセンブリは、車両のオルタネータまたはエネルギー貯蔵装置(図示省略)から電力を受け取って、コントローラ14からの制御信号によってトリガー、すなわち、励磁される。ソレノイドアセンブリ40には、当業者に理解されているように、アーマチュア42、ソレノイドスプリング44及びコイル46が含まれる。ソレノイドスプリング44は、ソレノイドアセンブリが励磁されていない場合に、ソレノイドアセンブリ40の中から外にアーマチュア42を付勢するのに十分な力を発生するように構成されている。コイル46は、ソレノイドアセンブリ40を励磁して、スプリング44の付勢力に打ち勝ってアーマチュア42をソレノイドアセンブリの中に引き込むように構成されている。
【0013】
バルブアセンブリ20は、さらに、流量制限器50を含んでいる。流量制限器50は、ハウジング22の内側に配置され、適切なプラスチックまたはアルミニュームなどの適当な化学的耐性を有する材料から形成されたピストン52を含んでいる。流量制限器50は、また、適正な化学的耐性を有するゴムから形成された圧力シール54を含んでいる。シール54は、内側に傾斜した動圧シール、すなわち、シールの外側エッジまたはリップが中心軸Y2に向かって角度付けられているシールである。作動中、シール54は、最初に、このシールの角度付けられた外側エッジに沿ってハウジング22に接触する。その後、ハウジング22に初期接触した後、シール54の外側エッジは、ハウジングに合わせて離脱して、通路56を密閉する。シールの外側エッジが内側に傾斜することで、シール54とハウジング22との間の開口を小さくして燃料蒸気の流れの制御を向上させる。
【0014】
上記ピストン30及びシール32と同様に、ピストン52及びシール54は、オーバーモールドなどの適宜の製造工程により、単一のピストンアセンブリとして結合させることができる。ピストン52及びシール54は、スプリング58によって、
(常閉)通路56を閉鎖するように付勢される。
通路56は、ピストン52に設けられた開口からなる通路である。図1に示された実施の形態では、流量制限器50
のピストン52の通路56は、コントローラ14からの制御信号が存在しない場合、ソレノイドスプリング44によって付勢されるアーマチュア42を介して、常に閉鎖されるように構成されている。再び
図2を参照すると、常閉位置の流量制限器は、(上述したように)リリーフバルブ28の開口部に組み合わされ、矢印38で示される第1の燃料蒸気流通路の開口を容易にしている。
【0015】
図3に示されるように、通路56は、コントローラ14からの制御信号によって励磁されたソレノイドアセンブリに応答してアーマチュア42がソレノイドアセンブリ40内に引き込まれた場合に、開口する。スプリング58は、燃料蒸気の流れの力によって圧縮され、流量制限器50は、通路56を容易に開口するように、燃料蒸気の流れによって通路の外に押し出される。開口した通路56により、矢印60で示すように、燃料タンク12からパージキャニスタ18に向かう方向に流れる燃料蒸気が通過する
、第2の燃料蒸気流通路が開口される。
第2の燃料蒸気流通路(第2の流体流通路)は、コネクタ24の流体の流量が既定基準値を上回り、かつ、コイル46がアーマチュア42を後述するカバー66へ向けて引き込むよう制御するとき、リリーフバルブ28を迂回し、ピストン52の通路56を通過する流体流通路、すなわち、リリーフバルブ28に設けられた通路34を含む第1の燃料蒸気流通路を迂回して、コネクタ24とコネクタ26とを連通させる流体流通路である。図3では、第2の流体流通路に沿って流れる燃料蒸気を、便宜上、矢印60で示している。燃料蒸気は、燃料タンク12からパージキャニスタ18への流体の流量が
既定基準値を超えた状態で通路56を開口し、矢印60で示される方向に流れる。
【0016】
燃料タンク12からの流体の流量は、収容される燃料の量、温度及び圧力などの多くの要因に対応して変化する。流体流量の既定基準値は、例えば、ほぼ260リッター/分(LPM)に設定することができるが、より高い既定基準値またはより低い既定基準値に関して設定することもできる。この基準値は、当業者に理解されるように、一般に、特定のエンジンの燃料供給システムの動作パラメータに基づいて予め決定されるか、または、設定される。しかしながら、予め決定された流体の流量は、スプリング58を圧縮して、通路56を開けるために十分に高くなければならない。そのために、スプリング58のばね定数はそれに応じて選択する必要がある。
【0017】
ピストン52及びシール54は、スプリング58によって
アーマチュア42に密着し、通路56を閉鎖するように付勢される。
流量制限器50は、
図4に示される矢印62Aで表わされ、また、
図5に示される矢印62Bで表わされる
方向に流れる燃料蒸気が通過する、第3の燃料蒸気流通路を開口するように構成されている。
第3の燃料蒸気流通路(第3の流体流通路)は、コネクタ24の流体の流量が既定基準値以下で、かつ、コイル46がアーマチュア42を後述するカバー66へと引き込むよう制御するとき、ピストン52の圧力シール54が開放されて流量制限器50に形成される通路64を通過して、リリーフバルブ28及びピストン52の開口56を迂回する流体流通路である。換言すれば、第3の流体流通路は、リリーフバルブ28に設けられた通路34を含む第1の燃料蒸気流通路と、ピストン52の通路56を含む第2の燃料蒸気流通路と、の双方を迂回して、コネクタ24とコネクタ26とを連通させる流体流通路である。図4の矢印62Aは、
便宜上、第3の燃料蒸気流通路を通過して、燃料タンク12からパージキャニスタ18に向かう方向に流れる燃料蒸気
を表しており、また、
図5の矢印62Bは、
便宜上、第3の燃料蒸気流通路を通過して、パージキャニスタ18から燃料タンク12に向かう方向に流れる燃料蒸気
を表している。燃料蒸気は、燃料タンク12からパージキャニスタ18への流体の流量が第1の既定基準値以下の場合に、矢印62
Aで表わされる方向に流れる。
【0018】
図4に示されるように、通路64は、コントローラ14からの制御信号によって励磁されたソレノイドアセンブリに応答してアーマチュア42がソレノイドアセンブリ40内に引き込まれた場合に、開口する。第3の燃料蒸気流通路62Aの燃料蒸気の流れの力は、スプリング58を圧縮するためには不十分である。スプリング58は伸ばされて、通路56を閉鎖すると同時に通路64を開口するように流量制限器50を付勢する。この例では、矢印62Aで表わされた第3の燃料蒸気流通路は、流体の流量が、ほぼ260LPMの既定基準値よりも低い場合に開口されるが、より高い既定基準値またはより低い既定基準値に関して設定することもできる。しかしながら、通路64を開口するために、第3の燃料蒸気流通路の流体の流量は、スプリング58を圧縮することができる必要はない。それゆえに、スプリング58のばね定数はそれに応じて選択する必要がある。
【0019】
上述したように、
流量制限器50は、さらに、燃料タンク12が第2の既定圧力値(
図5に示される)よりも低い場合に、
すなわち、コネクタ24が第2の既定圧力よりも低い圧力の流体に曝されたとき、流体は圧力シール54をカバー66へ向けて押し退け、コネクタ26からコネクタ24への流体連通を許容するものであり、矢印62Bで表わされる方向に流れる燃料蒸気が通過する第3の燃料蒸気流通路を開口するように構成されている。
第1の既定圧力値は第2の既定圧力値よりも大きい値である。第1の既定圧力値は、好適には、燃料タンク12の超高圧状態または過圧状態を表す正数であり、第2の既定圧力値は、好適には、負の数であり、燃料タンク12が真空下にあることを表している。この燃料タンク12内の真空は、スプリング44の力に打ち勝つために十分であり、それによって、通路64を、第3の燃料蒸気流通路に開口させる。スプリング44は、燃料タンク12の特定の真空設定ポイントで第3の燃料蒸気流通路を開口させるように設計されている。このように、ソレノイドスプリング44のばね定数は、燃料タンク12が正圧の場合に、通路64を閉鎖するために十分な力を発生するが、燃料タンク12が真空状態の場合には、この通路を閉鎖するためには不十分である。
【0020】
図1から
図5に示された実施の形態では、バルブアセンブリ20は、カバー66を含んでおり、このカバーは、単一の構成部品から構成されている。カバー66は、溝66Aの内側に入れ子式に嵌め込まれているフランジ22Aによって、ハウジング22に関連させて配置されている。カバー66は、ハウジングに対してスナップフィットを形成するように構成されたタブ付きの延長部68を介して、ハウジング22にかみ合って相互に連結されている。バルブアセンブリ20は、さらに、ハウジング22に対してカバー66を密閉する固定シール70を含んでいる。
図1から
図5に示されるように、また、当業者に理解されるように、シール70は、Oリングの形態である。
【0021】
本発明を実施するための最適な実施の形態を詳細に説明したが、本発明に関連する当業者であれば、添付した請求の範囲内にある発明を実施するための種々の他のデザインや実施の形態を認識するであろう。