特許第5749265号(P5749265)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5749265超音波外科装置及びケイ素導波管、並びにその使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5749265
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】超音波外科装置及びケイ素導波管、並びにその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/00 20060101AFI20150625BHJP
【FI】
   A61B17/36 330
【請求項の数】13
【全頁数】47
(21)【出願番号】特願2012-524932(P2012-524932)
(86)(22)【出願日】2010年8月16日
(65)【公表番号】特表2013-501599(P2013-501599A)
(43)【公表日】2013年1月17日
(86)【国際出願番号】US2010045622
(87)【国際公開番号】WO2011020097
(87)【国際公開日】20110217
【審査請求日】2013年8月2日
(31)【優先権主張番号】61/233,945
(32)【優先日】2009年8月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595057890
【氏名又は名称】エシコン・エンド−サージェリィ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Ethicon Endo−Surgery,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ディエツ・ティモシー・ジー
(72)【発明者】
【氏名】ダナハー・ウィリアム・ディー
(72)【発明者】
【氏名】ハウザー・ケビン・エル
(72)【発明者】
【氏名】オルソン・ウィリアム・エイ
(72)【発明者】
【氏名】リー・ソラ
(72)【発明者】
【氏名】シュテューレン・フォスター・ビー
(72)【発明者】
【氏名】ウィリス・ジョン・ダブリュ
【審査官】 井上 哲男
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−084740(JP,A)
【文献】 特開2007−175509(JP,A)
【文献】 特開2006−034651(JP,A)
【文献】 特表2005−505341(JP,A)
【文献】 特表2004−504898(JP,A)
【文献】 特開平11−192275(JP,A)
【文献】 特開平09−266916(JP,A)
【文献】 実開平07−024311(JP,U)
【文献】 特開昭61−272045(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位端と、該遠位端から近位方向に取り付けられた超音波放射装置とを有する医療用超音波ハンドピースであって、前記超音波放射装置が、前記遠位端の方向に前記超音波放射装置から所定の距離に焦点を有する超音波エネルギーのビームを発生するように構成され、集束化放射面を備えた少なくとも1つのモノリシック超音波源、又は電子的に集束可能なアレイとして構成された少なくとも1つのアレイ型超音波源を有する、医療用超音波ハンドピースと、
顔面要素の周囲に配置するためのガイド部材と、を備え、
皮膚の内部に前記焦点を位置決めするために前記皮膚の表面に沿って摺動することができるように、前記超音波ハンドピースは取り外し可能かつ摺動可能に前記ガイド部材と嵌合している、超音波外科装置。
【請求項2】
前記所定の距離が、下記の機構、すなわち、アレイ型超音波源の電気的調節、前記ガイド部材の厚さの機械的調節、又は、機械的位置決めシステムによる前記遠位端に対する前記超音波放射装置の位置の機械的調節、のいずれかによって調節可能である、請求項1に記載の超音波外科装置。
【請求項3】
前記ガイド部材が、顔面要素の周囲に配置される位置決めリングである、請求項1に記載の超音波外科装置。
【請求項4】
前記位置決めリングが接着裏材を有する、請求項3に記載の超音波外科装置。
【請求項5】
前記医療用超音波ハンドピースが真空ポートを有し、前記位置決めリングがチャンバを画定し、前記超音波ハンドピースが前記ガイド部材と嵌合される際に前記チャンバ内部の前記真空ポートによって作用させられる真空によって前記位置決めリングが前記顔面要素の周囲の皮膚の表面に接着される、請求項3に記載の超音波外科装置。
【請求項6】
前記位置決めリングが、最大5psi(34.5kPa)の負荷で基本的に圧縮されない可撓性の発泡材シートで形成される、請求項3に記載の超音波外科装置。
【請求項7】
前記ガイド部材が位置決めベースであり、前記位置決めベースは前記遠位端を受容するように構成された摺動可能な連動シャトル部材を備える、請求項1に記載の超音波外科装置。
【請求項8】
前記位置決めベースが接着裏材を有する、請求項7に記載の超音波外科装置。
【請求項9】
前記遠位端が、再配置可能な脚部を与える、請求項7に記載の超音波外科装置。
【請求項10】
前記超音波ハンドピースにそれぞれ着脱可能に取り付けることが可能な、異なる厚さを有する複数の再配置可能な脚部の1つを、前記医療用超音波ハンドピースに着脱可能に取り付けることによって、前記遠位端に対する前記超音波放射装置の位置を変化させる、請求項9に記載の超音波外科装置。
【請求項11】
前記超音波ハンドピースにそれぞれ着脱可能に取り付けることが可能な、異なる面積を有する複数の再配置可能な脚部の1つを、前記医療用超音波ハンドピースに着脱可能に取り付けることによって、前記焦点付近の拡散超音波エネルギーの皮膚への作用を制御する、請求項9に記載の超音波外科装置。
【請求項12】
前記医療用超音波ハンドピースが、前記ガイド部材に対する前記焦点の位置を監視するように構成された整合システムを有する、請求項1に記載の超音波外科装置。
【請求項13】
前記医療用超音波ハンドピースが、前記ガイド部材に対する前記焦点の軌跡を監視するように構成された整合システムを有する、請求項1に記載の超音波外科装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、本願にその全容を援用する2009年8月14日出願の米国仮特許出願第61/233,945号の利益を主張するものである。
【0002】
(発明の分野)
以下の様々な実施形態は、超音波外科装置、より詳細には、皮膚充填剤をずり流動化するための超音波外科器具及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ヒトの皮膚は表皮及び真皮の2つの主な層で構成されている。これらの層の下には皮下組織があるが、これは通常は皮膚の層としては分類されない。皮膚の薄い外層である表皮は、外部環境に対するバリアを与える。表皮は一般的に約0.05〜1.5mmの厚さを有している(まぶたにおける最小の厚さから手のひら及び足の裏における最大の厚さまでの幅がある)。表皮は、ケラチノサイト、メラノサイト、及びランゲルハンス細胞などの多くの異なる種類の細胞で構成されている。ケラチノサイトは主要な細胞型であり(全細胞数の約75〜80%)、体内に水分を保持し、他の有害な化学物質及び病原体の体内への侵入を防止する機能を有している。表皮は、下層に基底膜を有する重層扁平上皮から成り立っている。表皮には血管は存在せず、真皮からの拡散によって栄養供給されている。
【0004】
皮膚の厚い内層である真皮はヒトの皮膚の主要な構成要素である。真皮(dermis又はcorium)は一般的に約0.3〜5mmの厚さを有している(まぶたにおける最小の厚さから背中における最大の厚さまでの幅がある)。真皮は、皮膚に強度、弾性及び厚みを与える結合組織のネットワークによって構成され、毛細血管、神経終末、毛嚢、平滑筋、分泌腺、及びリンパ組織などの他の構造を含んでいる。真皮の主な細胞型は線維芽細胞であり、コラーゲン、エラスチン、及びグリコサミノグリカン類などの真皮のマトリクス成分の合成及び分泌に関与している。コラーゲンは皮膚に強度を与え、エラスチンは皮膚に弾力を与え、グリコサミノグリカン類は皮膚に潤い及びハリを与える。年齢とともに真皮層の厚みは減少するが、これが加齢した皮膚における皺の形成の原因の一部となっているものと考えられる。
【0005】
皮下組織(hypodermis)は、一般的に皮下脂肪層又は皮下の組織(subcutaneous tissue)とも呼ばれ、真皮の下にある。その目的は、皮膚をその下の骨と筋肉に付着させ、真皮に血管及び神経を供給することである。皮下組織はゆるい結合組織とエラスチンで構成されている。主な細胞型は線維芽細胞、マクロファージ及び脂肪細胞である。皮下組織は全身の脂肪の約50%を含み、こうした脂肪は身体のクッション、断熱材及びエネルギー貯蔵所として機能している。
【0006】
顔の老化は、皮膚内部における内因的変化、重力の影響、皮膚に作用する顔面筋の影響(表情による皺)、軟組織の消失又は移動、骨の消失、及び組織の弾性が徐々に失われることなどの幾つかの要因によって起こるものである。表皮が薄くなりはじめると、真皮との接合部が平坦化する。コラーゲンも減少し、皮膚のツルゴールを与えるコラーゲンの束がゆるくなり、強度を失う。皮膚は弾性を失うと引張りに耐える力が低下する。重力、筋肉による引張り、及び組織の変化によって皮膚に皺が形成されはじめる。水分の損失及び細胞間の結合の破壊によっても皮膚のバリア機能は弱まり、皮膚の小孔のサイズが大きくなりうる。
【0007】
ヒトが年をとるにしたがって、顔はそのボリューム、軟組織及び脂肪を失う。顎のたるみ及び皺の出現は通常、顔面の組織のたれさがること、及び皮膚がその下の筋肉に付着して支持されている部位を覆うように折り重なることによって引き起こされる。軟組織の減少によって、顔はこけてみえる。額、目、鼻、中顔面、及び下顔面などの様々な顔面領域における加齢にともなう変化についてはよく調べられている。例えば額の領域においては、額及び眉が時間とともにたれさがり、これにより眉毛が下がり、上まぶたの皮膚がひだになる。これらの変化に抗して眉及びまぶたを上げた状態に保とうとすることにより額の皺が出現する。目の領域がしばしば、加齢の兆候が見られる最初の顔の構造であることはよく知られている。皮膚は目の周囲において最も薄いために目の周囲の皮膚の変化は顔の他の部分よりも早期に生じる。この領域の皮膚はまた、分泌腺が少なく、まばたき、目を細める、目をこする、目を引っ張るといった動作に常に曝されている。
【0008】
中顔面中領域は、加齢して頬がたれさがりはじめ、鼻の両脇から口角へと延びる線であるほうれい線が生じる。これらの皺のフェイシャルフィラーによる治療が知られている。鼻の領域では、鼻が伸びて見えるようになる。一般的な伸びの原因は、軟組織が薄くなり弾性が失われることにより、「鼻先のたれさがり」が生じ、骨が浮き出ることで新たなこぶが形成されることである。
【0009】
下顔面領域では、顔面組織が下がっていわゆる「笑い皺」が生じる。これらの皺及び線のフェイシャルフィラーによる治療が知られている。下顔面の更に下側においては、口角がたれさがり、顎のたるみが下がることでしばしば「マリオネットライン」と呼ばれる皺が生じうる。更に、顔面筋が顎骨に付着している顎に沿った固定点の周囲に頬がたれさがることによって顎のたるみが生じる。
【0010】
各種の注入剤が顔の組織の損失を修復するために使用されてきた。1980年代から注射用コラーゲンが顔の皺、線、及び瘢痕を充填するための軟組織充填剤として使用されている。コラーゲンは皮膚、腱、及び靱帯などの身体の様々な部分を支持する天然のタンパク質である。ボリュームを増し、皺及び線を充填し、唇を強調するために脂肪注入も用いられてきた。脂肪注入では、患者の身体の一部(通常は腹部、大腿部、又は臀部)から脂肪を取って、顔の皮下に再注入する。首のけいれん、脳神経障害及び眼瞼けいれんの治療用に最初に承認されたボツリヌス毒素も美容目的で「承認適応外」で使用されてきた。近年、眉間領域における美容用途でのボトックスの使用がFDAにより承認されたことから、この薬剤は表情による皺の一時的な治療に広く使用されつつある。充填剤と異なり、ボツリヌス毒素は顔面筋に注射されることで神経インパルスを一時的に遮断して筋肉を弛緩させていわゆる「眉間のしわ」を滑らかにするものである。
【0011】
ヒアルロン酸は最も一般的に用いられている美容皮膚充填剤の1つである。ヒアルロン酸は、あらゆる生物に存在する直鎖状の多糖であり、体組織の細胞外空間に普遍的な成分である。ヒアルロン酸の構造はすべての種及び組織において同じであるため、この多糖類は健康及び医療用途における生体材料としての使用に理想的な物質である。ヒアルロン酸はヒトの身体の多くの部位に存在している。ヒアルロン酸は皮膚にボリュームを与え、目元に膨らみを与え、関節に弾力を与える。ヒアルロン酸は結合組織において最も高濃度で見出され、ヒトの身体によって生産されるヒアルロン酸の大部分(約56%)は皮膚に見られる。
【0012】
ヒアルロン酸の各種の形態が、多くの製造者によって市販されている。最も一般的に用いられているヒアルロン酸は、透明なゲルの形態で流通している、連鎖球菌を用いた細菌発酵によって製造される非動物性安定化ヒアルロン酸(NASHA)である。動物由来のヒアルロン酸と異なり、非動物由来のヒアルロン酸には動物性タンパク質は含まれていない。そのため、動物に基づく疾患の伝染やアレルギー反応の発生のリスクが抑えられている。最もよく知られている非動物性安定化ヒアルロン酸は、Q−med AB(Seminariegatan,Uppsala,Sweden)により製造される、Restylane(登録商標)の商品名で市販されるものである。1996年のその商品化以来、全世界で2,500,000例の治療が行われているものと推定される。他の非動物性安定化ヒアルロン酸の製品としては、Q−medより販売される、Restylane(登録商標)よりも大きな粒子を有するPerlane(登録商標)、及びGenzyme Corporationより販売されるCaptique(商標)が挙げられる。別の一般的に用いられている充填剤は、Genzyme Corporationにより製造され、Hylaform Plusの商品名で市販されるヒアルロン酸誘導体である。Hylaform Plusは、ヒアルロナンの架橋分子で構成される、無菌、非発熱性、粘弾性の、澄んだ、無色透明なゲルインプラントである。ヒアルロン酸及びその誘導体は最も一般的に使用されている皮膚充填剤であるが、長期の使用性は限定されている。この材料は、体内におけるヒアルロナンの代謝のために定期的に、通常は4〜12ヶ月ごとに再注入しなければならない。
【0013】
皮膚充填剤の寿命を延ばすために高分子量の製剤が開発されている。しかしながら、分子量を大きくすると粘度はより高くなる。粘度が高いほど、所望の位置に所望の量の皮膚充填剤を注入すること、又は過剰分を抜き取ることが困難となる。更に、皮膚充填剤は既存の皮膚層内に注入しなければならず、内部に充填剤が収容されるポケットを形成することは容易ではないことから、既存の皮膚組織の内部において高分子量の充填剤を操作して所望の美容効果を得ることは困難である。更に、高分子量の皮膚充填剤は、一旦注入されると異なる位置に移動して望ましくない美容上の欠陥を生じる可能性がある。過剰な、又は不要な充填剤を除去するための溶解剤の使用を必要とする現在の方法では、天然組織に対する作用が大きく異ならないことから、隣接組織に損傷を与え、美容上の予後不良のリスクが大幅に高まる。
【0014】
超音波エネルギーを利用して粘度の高い物質をずり流動化することが可能であり、出願人らは超音波エネルギーを効果的に利用してコラーゲンを主成分とする皮膚充填剤をずり流動化することが可能であることを見出したものである。エネルギーは、直接接触式超音波(20〜200kHzの周波数)によって、又は高密度焦点式超音波すなわちHIFU(50kHz〜20MHz)によって作用させることができる。HIFU発生源からは非熱的なせん断作用が得られることが望ましいことから、対象とする周波数は、高周波の医療用超音波の従来の周波数の下限である500kHzよりも低い、少なくとも100kHzとなる。周波数の下限は、一般的には治療用の焦点の所望の解像度によって決まる。超音波エネルギーを利用して組織下に穿孔するか若しくは組織を切開する、皺を解放する、又は組織内部にポケットを形成することもできる。
【0015】
接触式超音波を供給するための装置とHIFUを供給するための装置とでは、必要条件及び構造は異なる。接触式装置は、超音波要素により充填材料をずり流動化するためには充填剤と直接接触させなければならない。一方、HIFU装置は、充填材料をずり流動化するうえで超音波放射装置と充填剤とを直接接触させることなく電界効果超音波(field effect ultrasound)を集束する。しかしながら、公知の装置は、接触式装置は組織表面の巨視的な凝固又は焼灼を目的として概ね設計されており、一方、HIFU装置は深部組織の画像誘導による高温の凝固、又はキャビテーション誘導による破壊を目的として概ね設計されている点で不完全なものである。したがって、非熱的な浅い深さの皮膚科学的処置を行うための安全かつ効果的な改良された超音波装置が求められている。更に、高分子量、高粘度の皮膚充填剤と浅い顔面組織を操作するための方法が望まれている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
超音波外科装置の第1の実施形態は、遠位端と、遠位端から近位方向に取り付けられた超音波放射装置とを有する医療用超音波ハンドピースを含むものである。超音波放射装置は、遠位端の方向に超音波放射装置から所定の距離に焦点を有する超音波エネルギーのビームを発生するように構成され、集束化放射面を備えた少なくとも1つのモノリシック超音波源、又は電子的に集束可能なアレイとして構成された少なくとも1つのアレイ型超音波源を有する。第1の実施形態は更に、顔面要素の周囲に配置するためのガイド部材であって、その際、皮膚の内部に焦点を位置決めするように超音波ハンドピースがガイド部材と摺動可能に嵌合するガイド部材を含む。
【0017】
第1の実施形態の装置を使用する方法は、顔面要素の真皮内に皮膚充填剤を注入する工程と、第1の実施形態の遠位側ガイド部材を顔面要素を囲むように皮膚の表面上に配置する工程と、顔面要素上の皮膚に音響ジェルを塗布する工程と、第1の実施形態の超音波ハンドピースの遠位端を配置されたガイド部材に嵌め込む工程と、超音波ハンドピースを配置されたガイド部材上で摺動させて移動することにより、注入された皮膚充填剤の内部に超音波放射装置の焦点を位置決めし、次いで超音波放射装置を作動させて皮膚充填剤をずり流動化する工程と、を含む。
【0018】
超音波外科装置の第2の実施形態は、遠位端と、顔面要素上に配置するための遠位側転動部材と、遠位端から近位方向に取り付けられた超音波放射装置と、を有する医療用超音波ハンドピースを含むものである。超音波放射装置は、遠位端の方向に超音波放射装置から所定の距離に焦点を有する超音波エネルギーのビームを発生するように構成され、集束化放射面を備えた少なくとも1つのモノリシック超音波源、又は電子的に集束可能なアレイとして構成された少なくとも1つのアレイ型超音波源を有する。本実施形態の特定の表現形態では、遠位側転動部材は、医療用超音波ハンドピース内に通常入れられる音響結合媒体によって超音波放射装置と外部において結合される。本実施形態の他の表現形態では、遠位側転動部材は、遠位側転動部材の内部に入れられた集束超音波放射装置と内部において結合される。
【0019】
第2の実施形態の装置を使用する方法は、顔面要素の真皮内に皮膚充填剤を注入する工程と、顔面要素上の皮膚の表面上に第2の実施形態の装置の遠位側転動部材を配置する工程と、顔面要素上の皮膚に音響ジェルを塗布する工程と、遠位側転動部材を皮膚上に転がして移動させることにより、注入された皮膚充填剤の内部に集束超音波放射装置の焦点を位置決めし、次いで超音波放射装置を作動させて皮膚充填剤をずり流動化する工程と、を含む。
【0020】
超音波外科装置の第3の実施形態は、超音波トランスデューサーと、超音波トランスデューサーと結合されたエンドエフェクターとを有する医療用超音波ハンドピースアセンブリを含むものである。エンドエフェクターは、順に、遠位側プローブ先端部、プローブネック、プローブ拡張領域、及び超音波活性を有するシャフトを有し、シャフトは超音波に対して不活性なプローブシース内に同軸的に収容される。プローブ拡張領域は、プローブ先端部の平均外径及びプローブネックの平均外径に等しいか又はそれよりも大きい平均外径を有するように構成される。プローブシースが、プローブ拡張領域の外径とほぼ等しい外径を有するように構成されることにより、プローブシースとプローブ拡張領域との間に均一な接合部が形成される。本実施形態の特定の表現形態では、接合部は、プローブシースとプローブ拡張領域との間で緊密であってよい。本実施形態の他の表現形態では、接合部は緩くとも自己洗浄性のものであればよい。
【0021】
第3の実施形態の装置を使用する方法は、顔面要素内に皮膚充填剤を注入する工程と、皮膚の表面下及び注入された皮膚充填剤内に第3の実施形態の装置の少なくとも遠位側プローブ先端部を挿入する工程と、超音波トランスデューサーを作動させてプローブ先端部を動作させる工程と、注入された皮膚充填剤内に少なくとも遠位側プローブ先端部を挿入する工程と、を含む。好ましい方法の1つは、作動させる工程の後に、皮膚の表面下にプローブ拡張領域を挿入することによってプローブの超音波活性を有する部分との不用意な接触から皮膚の表面を保護する工程を更に含む。
【0022】
超音波外科装置の第4の実施形態は、超音波トランスデューサーと、超音波トランスデューサーと結合されたエンドエフェクターとを有する医療用超音波ハンドピースアセンブリを含むものである。エンドエフェクターは、順に、遠位側プローブ先端部、プローブネック、及び超音波活性を有するシャフトを有し、シャフトは超音波に対して不活性なプローブシース内に同軸的に収容される。プローブシースは、プローブシースの遠位端が少なくともプローブ先端部を覆い、更にこれを露出させるように摺動可能に動作するように構成される。本実施形態の特定の表現形態では、プローブシースの遠位端は、プローブシースに所定の長手方向の抗力が作用する際に摺動して縮むように構成される。本実施形態の他の表現形態では、プローブシースの近位端は、プローブシースの遠位端を摺動により縮めたり伸ばしたりするための調節機構に結合される。
【0023】
第4の実施形態の装置を使用する方法は、皮膚の表面下に第4の実施形態の装置の少なくとも遠位側プローブ先端部を挿入する工程と、超音波トランスデューサーを作動させて遠位側プローブ先端部を動作させる工程と、超音波トランスデューサーが作動されている状態で皮膚の表面下に超音波に対して不活性なプローブシースの遠位端を挿入する工程と、超音波トランスデューサーが作動されている状態でプローブ先端部を前進させる工程と、プローブシースの遠位端を縮めて遠位側プローブ先端部のより大きな長さを露出させる工程と、を含む。調節機構を有する装置と使用するための好ましい方法は、遠位側プローブ先端部を挿入する工程の後に、皮膚の表面下にプローブシースの遠位端を挿入することによってプローブの超音波活性を有する部分との不用意な接触から皮膚の表面を保護する工程を更に含む。本方法は、注入された皮膚充填剤及び眼瞼形成術に適用することができる。
【0024】
超音波外科装置用の超音波コアの第5の実施形態は、長手方向に細長い、ほぼ平面状の単結晶又は多結晶材料の導波管に取り付けられたトランスデューサー構造を含むものである。導波管は、順に、第1の共振子又は近位側端部、変換部分、及び第2の共振子を有する。第5の実施形態は、少なくとも超音波活性を有するシャフトとして機能するように導波管にモノリシック又は共振可能に結合された単結晶又は多結晶材料のエンドエフェクター部分を更に含んでもよい。
【0025】
開示される超音波装置及び皮膚充填剤をずり流動化するための方法の他の態様は、以下の説明文、添付の図面、及び付属の特許請求の範囲から明らかになるであろう。複数の効果及び利益が本発明の実施形態の1又は2以上の表現形態から得られる。1つの例では、本明細書において開示される超音波装置は、高分子量、高粘度の皮膚充填剤を生体内において実用的に操作することを可能とするものである。別の例では、本明細書において開示される超音波装置は、上側の組織を保護しつつ特定の層内又は特定の深さにおける組織の超音波による操作を可能とする。更に別の例では、本明細書において開示される皮膚充填剤物質をずり流動化する方法は、予め注入された皮膚充填剤の生体内における再成形を可能とする。他の例では、装置及び方法を眼瞼形成術のような顕微鏡下手術の用途に使用する。一般に、皮膚充填剤物質の分子量及び/又は物質が「ゲル化」する性能を永久的に低下させることなく、皮膚充填剤物質の粘度を瞬間的に低下させるために効果的に使用することが可能であることにより、注入式の皮膚充填剤治療の長期的効果を高めるような、接触式及び非接触式の装置が開示される。表皮及び真皮などの敏感な軟組織の周辺又はその内部における精密制御された超音波の適用を可能とする装置の特徴は、他の種類の皮膚科学的及び顕微鏡下手術においても有用であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】医療用超音波ハンドピース及びガイド部材の側断面図。
図2】説明上、医療用超音波ハンドピースの遠位端を破線で示した、ガイド部材の平面図。
図3】説明上、医療用超音波ハンドピースを破線で示した、図2のガイド部材の側断面図。
図4】受動的ワイヤループを有するガイド部材の概略平面図。理解を助けるため能動的ワイヤループを有する医療用超音波ハンドピースを破線で示している。
図5】医療用超音波ハンドピースの概略側面図。
図6】医療用超音波ハンドピースの概略側面図。
図7】遠位側転動部材又は「ボール」を有する医療用超音波ハンドピースの切欠斜視図。ボールの隠れた部分は破線で示し、取り付け構造、電気的接続などは省略してある。
図8】遠位端及び遠位側転動部材の概略側面詳細図。
図9】医療用超音波ハンドピース、及び遠位側転動部材又は「ボール」に取り付けるための複数のリングを示す正面図。
図10図9の「ボール」、及び「ボール」に取り付けるための複数のリングを示す側面図。
図11図9〜10の「ボール」の部分分解正面断面図。
図12図9〜11の「ボール」の側断面図。
図13】医療用超音波ハンドピースのトランスデューサー構造の概略側面図。
図14】異なるエンドエフェクタープローブの構成の側断面図。
図15】遠位側プローブ先端部の側面図。
図16図15に示される遠位側プローブ先端部の正面図。
図17図15に示される遠位側プローブ先端部の正面図。
図18】プローブネック(鈍端の遠位側プローブ先端部を含む)の斜視図。
図19】それぞれのプローブネックの断面端面図。
図20】プローブネック(鈍端の遠位側プローブ先端部を含む)の斜視図。
図21】それぞれのプローブネックの断面端面図。
図22】流体連通した構成に関連する医療用ハンドピースアセンブリの各態様の概略側面図。
図23】流体連通した構成に関連する医療用ハンドピースアセンブリの各態様の概略側面図。
図24】流体連通した構成に関連する医療用ハンドピースアセンブリの各態様の概略側面図。
図25】プローブシースの収縮機構の切欠側面図。
図26】別のプローブシースの収縮機構を示す側面図(収縮前)及び断面平面図(収縮後)を合わせた図。
図27】プローブシースの動作に関連する医療用ハンドピースアセンブリの概略側面図。
図28】プローブシースの動作に関連する医療用ハンドピースアセンブリの概略側面図。
図29】異なるプローブの構成の斜視図。
図30】異なるプローブの構成の斜視図。
図31】異なるプローブの構成の斜視図。
図32】カニューレを有するプローブの構成の概略側面図。
図33】超音波コアの側面及び縁部の概略図。
図34】例示的な積層超音波コア構造の概略側縁図。
図35】例示的なエンドエフェクター部分の側断面図。
図36】例示的な第2の共振子の構成の概略側面図。
図37】例示的な第2の共振子の構成の概略側面図。
図38】例示的な第2の共振子の構成の斜視図であって、共振した横方向の振動モードが誇張された物理的表現で破線で示されている図(上側のみ)。
図39】例示的な第2の共振子の構成の概略側面図。
図40】例示的な第2の共振子の構成の概略側面図。
図41】トランスデューサー利得部分を有する例示的な第2の共振子の構成の概略側面図。
図42】例示的なトランスデューサー/導波管の接着状態及び出力構造の概略端面図。
図43】導波管の電気接点の概略詳細図(注、変換部分594の構造はあくまで一例である)。
図44】内部トランスデューサーを有する積層された導波管の概略斜視図。第1の共振子592は説明上、一部を破線で示している。
図45】第1及び第2の共振子を省略した、変換部分の概略斜視図。
図46】説明上、トランスデューサーの位置を破線で示した、導波管の変換部分の側面図。
図47図46の導波管の側縁断面図。
図48】導波管の変換部分の分解側面図。
図49】プレート及び圧縮締結具を有する図48の導波管の側縁断面図。
図50】対称的に配置されたトランスデューサー、プレート、及び圧縮締結具を有する点以外は図48に示されるものと同様の装置の側縁断面図。
図51】金属バンドを適用する前後の導波管の変換部分の斜視図。
図52】見やすくするために誇張した、鑞付け601を有する導波管の側縁図。
図53】導波管の変換部分の分解斜視図。
図54】超音波コアトランスデューサー構造の概略側縁図。
図55】超音波コアトランスデューサー構造の概略側縁図。
図56】超音波コアトランスデューサー構造の概略側面図。
図57】超音波トランスデューサー電極構造の側縁図(細部の挿入図も示す)。
図58】表面実装アセンブリ用に構成された超音波トランスデューサー及び導波管の概略側面図。
図59】表面実装された超音波トランスデューサーを有する導波管の概略側縁図。
図60】導波管の第1の共振子の分解側面図。
図61】圧縮締結具を有する、図60の導波管の側縁断面図。
図62】第1の共振子の側縁図(歯状接続部の細部の挿入図も示す)。
図63】相互接続管腔を有する第1の共振子及び端部質量部材の側縁断面図。
図64】説明上、相互接続管腔を破線で示した、図63の第1の共振子及び端部質量部材の概略側面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の幾つかの実施形態を詳細に説明するのに先立って、これらの表現及び実施形態はその用途又は使用において付属の図面及び説明文に示される部材の構造及び配置、並びに工程の細部に限定されない点に留意されたい。これらの例示的な表現形態及び実施形態は、他の表現形態、実施形態、変形形態、及び改変形態として実施するかあるいはこれらに組み込むことが可能であり、様々な方法で実施又は実行することが可能である。更に、特に断らないかぎり、本明細書において用いる用語及び表現は、読者の便宜のために本明細書の例示的な実施形態を説明する目的で選択されたものであって、本発明を限定する目的のものではない。
【0028】
以下に述べる表現形態、実施形態、実施例などのいずれか1又は2以上を、他の以下に述べる表現形態、実施形態、実施例などのいずれか1又は2以上と組み合わせることが可能である点は更に理解される。こうした改変及び変形は、特許請求の範囲内に含まれるものとする。
【0029】
本発明の第1の実施形態を図1〜4に示す。第1の実施形態は、遠位端102、及び遠位端から近位方向に取り付けられた集束超音波放射装置104を有する医療用超音波ハンドピース100を含むものである。超音波放射装置104は、超音波放射装置104から遠位端102の方向の所定の距離dに焦点fを有する超音波エネルギーのビームを発生するように構成されている。この構成は、真皮(真皮接合部を含む)内に移植された皮膚充填剤12のポケットを有する顔面要素10の内部に超音波エネルギーを集束することによって皮膚充填剤12をずり流動化させるために使用される。超音波放射装置104は、集束化放射面を備えた少なくとも1つのモノリシック超音波源、電子的に集束可能なアレイとして構成された少なくとも1つのアレイ型超音波源、又はこれらの超音波源の組み合わせを有している。アレイ型超音波源の例は、国際特許出願公開第WO/2006/082573号に開示されており、参照することによりその全容を本明細書に援用するものである。
【0030】
集束化モノリシック超音波源は、発生する音波プロファイルの周縁部において最も強い剪断力を発生するため、超音波源のビーム軸B〜Bが焦点fにほぼ収束することで焦点の近傍に剪断力を発生する装置の性能が高められるように更なる超音波源を構成することができる。図6に示されるような、互いに重なり合っていない収束的に集束化されたアセンブリとして複数の超音波源を構成することによって、放射される超音波エネルギーの相対的な位相及び強度が変化することによりこうしたエッジ効果を更に高めることができる。しかしながら、この利点は、このように動作するトランスデューサーの大きなアレイは1つのアレイの超音波源の機能に近いものとなるため(すなわち、改変度及び複雑度が増すと多数にする効果は急速に減少する)、小数の集束化されたモノリシック超音波源を有する装置に実用的には限定されてしまう。超音波放射装置104は、縦方向及び横方向の音波の両方を発生するように構成することが好ましく、皮膚14との結合性を高め、皮膚14に沿って動かせるように遠位端102の潤滑性を高めるように機能する音響ジェル16によって皮膚と結合される必要がある。音響ジェルの使用及びこうしたジェルの調剤は当該技術分野では周知のものである。例えば、米国特許出願公開第2008/0027328号を参照されたい。超音波放射装置104は、約1〜20ワットの有効出力を放射し、これによって発生する熱は連続的な超音波励起の間における傷害を防止するために熱放射、熱伝導、又は熱質量若しくは容量によって放散又は除去されなければならない。音響ジェル16を使用することでこうした熱の放散又は除去を促進することができる。
【0031】
エネルギー供給が深すぎる位置に集束されると重要な神経及び/又は筋肉が傷つく可能性がある点は注意を要する。しかしながら、エネルギー供給が浅すぎる位置に集束されると、表皮が火傷する可能性がある。第1の実施形態は、顔面要素10の周囲に配置するためのガイド部材106を更に有している。ガイド部材106は、処置を行う領域を画定し、その領域の周囲の皮膚14を焦点付近の拡散超音波エネルギー(又はハンドピースの操作ミス)から保護する機能を有する。所定の距離dは、アレイ型超音波源の内部で電気的に、ガイド部材106の厚さを変化させることによって(又は更なる部材106を追加することにより)機械的に、かつ/又は、遠位端102に対する集束超音波放射装置104の位置を機械的位置決めシステムによって変化させることによって機械的に、大まかに調節することができる。しかしながら、ガイド部材106は、施術時に所定の距離dが、表皮でも皮下組織でもなく、真皮(真皮の接合部を含む)の内部に確実に含まれるようにすることで施術時に距離dを調節する必要が最小に抑えられるようにハンドピース100の適用時の皮膚14の局所的な歪みに抗する機能も有しうる。
【0032】
図1に示される第1の実施形態の第1の表現形態では、遠位側ガイド部材106は、顔面要素10の周囲に配置される位置決めリング108とすることができる。1つの構成では、位置決めリング108は接着裏材109によって顔面要素10の周囲の皮膚14の表面に接着することができる。別の構成では、位置決めリング108は、位置決めリング108内(及び医療用超音波ハンドピース100と皮膚14との間)に画定されたチャンバ112に接続された真空ポート110によって部分真空を作用させることによって顔面要素10の周囲の皮膚14の表面に接着することもできる。これら又は他の構成において、チャンバ112には真空ポート110又は別の流体ポート114から音響ジェル16を供給することができる。例示的な1つの構成では、位置決めリング108は可撓性の発泡材シートで形成される。発泡材は、顔面にぴったりと一致するような可撓性を有することが好ましいが、その形状厚みを維持するうえで通常の負荷(最大34.5kPa(5psi))の作用下では基本的に圧縮されないことが好ましい。発泡材は、真空のための経路を与え、チャンバ112外周の周囲の音波からの保護性を高めるために開放セル型のものであることが好ましい。位置決めリング108はチャンバ112のほぼ環状の外周を画定するものでもよいが、処置を行う所定の領域の外周を画定するように使用者が切り取るようなものでもよい。遠位端102は、皮膚14の内部に焦点fが位置決めされるように位置決めリング108と摺動可能に嵌合される。
【0033】
図2及び3に示される第1の実施形態の第2の表現形態では、遠位側ガイド部材106は、摺動可能な連動シャトル部材120を有する位置決めベース118であってもよい。1つの構成では、位置決めベース118は接着裏材119によって顔面要素10の周囲の皮膚14の表面に接着することができる。シャトル部材120は、再配置可能な脚部122として機能するか、又はこれを与える医療用超音波ハンドピース100の遠位端102を受容するように構成される。再配置可能な脚部122は、顔面要素10内の一連の連続した「スポット」を連続的に処置することを可能とすることにより、より広い領域又は長い軌跡を処置することができる。再配置可能な脚部122は、使用者又はコンピュータ制御によって位置決めベース118内において摺動可能に再配置される。1つの構成では、再配置可能な脚部122は医療用超音波ハンドピース100から取り外し可能とすることができる。変形形態の1つでは、再配置可能な脚部122は使い捨ての消耗部材とすることができる。別の変形形態では、再配置可能な脚部122は再使用可能な滅菌可能な部材とすることができる。例示的な1つの構成では、異なる厚さを有する複数の再配置可能な脚部122の1つを超音波ハンドピース100に着脱可能に取り付けることによって、遠位端102に対する集束超音波放射装置104の位置、したがって皮膚14内部において所定の距離dが見出される深さを機械的に変化させることができる。別の例示的な構成では、異なる面積を有する複数の再配置可能な脚部122の1つを超音波ハンドピース100に着脱可能に取り付けることによって、焦点付近の拡散超音波エネルギーの皮膚14への作用を制御することができる。遠位端102は、皮膚14内部において焦点fを位置決めするためにシャトル120によって位置決めベース118に摺動可能に嵌合される。
【0034】
第1の実施形態の第3の表現形態では、医療用超音波ハンドピース100は、遠位側ガイド部材106に対する焦点fの位置及び/又は軌跡を監視するように構成された整合システム124を有する。整合及び追跡システムには以下のものが含まれうる。すなわち、器具の位置を追跡するためのソフトウェア;ガイド部材106に取り付けられた受動ワイヤループ125(直列接続された抵抗及びコンデンサなどの負荷を有する)と、超音波ハンドピース100内に配設された無線周波要素127によって励起される能動ワイヤループ126とによって構成された、近接状態を警告するための電気的共振リング;ガイド部材106に高感受性材料又は永久磁性材料を装填することによって一部確立される超音波ハンドピース100とガイド部材106との間の近接状態を警告するための磁気結合;ガイド部材106及び皮膚14の異なる導電率を検出するように構成された、外周部のはみだしを警告するための導電率センサー(図に示されていない);又は超音波治療の前後における組織の電気分極率の差を間接的に測定するように構成された、器具の位置(より正確には治療前の位置)を間接的に追跡するための分極センサー(図に示されていない)、である。ガイド部材106を大きく異なる電気分極率を有するように設計することによって分極センサーを外周部のはみだしを警告するために使用することも可能である。超音波エネルギーの供給は、超音波ハンドピース100がガイド部材106内において皮膚14の表面上を前後に動かされる際に顔面要素10の任意の特定部分上に超音波ハンドピース100が滞在する時間に基づいて手動又は自動で制御することが可能である。超音波エネルギーの供給は、処置の過程における治療前及び治療後の組織の電気分極率などの超音波治療の際の皮膚の特性の測定値に基づいて自動的に制御することもできる。
【0035】
第1の実施形態の各表現形態を使用する方法においては、顔面要素10の真皮内に皮膚充填剤12を注入し、遠位側ガイド部材106を顔面要素10を囲むように皮膚14の表面上に配置する。皮膚充填剤12は、ガイド部材106を配置する前又は配置した後で注入することができる。医療用超音波ハンドピース100をガイド部材106上に置き、音響ジェル16を顔面要素10上の皮膚14に塗布する。例えば別のアプリケーター、又はハンドピースポート110若しくは114を介した塗布など、ゲルの供給源に応じて、ガイド部材106上に超音波ハンドピース100を配置する前又は配置した後で音響ジェル16を塗布することができる。超音波ハンドピース100の遠位端102をガイド部材106に嵌め込み、ガイド部材106上で摺動させて移動することにより、注入された皮膚充填剤12の内部に集束超音波放射装置104の焦点fを位置決めし、その時点で超音波放射装置104を作動させて皮膚充填剤12をずり流動化する。本方法の変形形態の1つでは、超音波ハンドピース100をガイド部材106と嵌合した状態から取り外し、皮膚充填剤12をずり流動化した状態で皮膚14の表面から操作する。本方法の別の変形形態では、超音波ハンドピース100及びガイド部材106の両方を皮膚14から取り外し、皮膚充填剤12をずり流動化した状態で皮膚14の表面から操作する。
【0036】
本方法の実現形態の1つでは、顔面要素10の皮膚14は、遠位側ガイド部材106によって画定されるチャンバ112内に部分真空によって引き込まれる。これは、皺の存在下で皮膚表面の平面をより明確に画定することを可能とするものであり、集束超音波放射装置104及び焦点fに対して皮膚14の表面を正確に位置決めする役割を果たす。次いで、集束超音波放射装置104を作動させて注入された皮膚充填剤12をずり流動化させる。本方法の別の実現形態では、顔面要素10の皮膚14を張力下におき、次に遠位側ガイド部材を皮膚14の、張力をかけられた表面に接着する。これにより同様に、皮膚表面の平面の画定性が改善され、超音波放射装置104に対する皮膚14の表面の位置決めの正確さが改善される。次いで、超音波放射装置104を作動させて注入された皮膚充填剤12をずり流動化させる。
【0037】
本発明の第2の実施形態を図5〜8に示す。第2の実施形態は、遠位端202、顔面要素10上に配置するための遠位側転動部材206、及び遠位端202から近位方向に取り付けられた集束超音波放射装置204を有する医療用超音波ハンドピース200を含むものである。超音波放射装置204は、その他の点では第1の実施形態に関連して述べたものと同様の、所定の距離dに焦点fを有する超音波エネルギーのビームを発生させるように構成されている。
【0038】
図5及び6に示される第2の実施形態の第1の表現形態では、遠位側転動部材206は、皮膚14の表面に沿った運動を促進するために遠位端202に配置されたローラーベアリング又はボールベアリングなどのベアリング208のリングであってよい。医療用超音波ハンドピース200の遠位端202は、流体又はジェルなどの内部音響結合媒体218によって集束超音波放射装置204と結合された音響ヘッド216を有している。音響ヘッド216は、ポリスルホン、REXOLITE(登録商標)(C−LEC Plastics(Willingboro,NJ)により市販される、ポリスチレンをジビニルベンゼンと架橋することにより製造される熱可塑性材料)、又は「LOTEN」(Sigma Transducers(Kennewick WA)により販売されるもの)で形成されることが好ましい。使用される材料とは関係なく、音響ヘッド216の音響インピーダンスは、水の音響インピーダンスである1.5×10kg/m2*秒の5倍以内でなければならない。超音波エネルギーの反射を最小に抑えることを目的とした更なる構成の詳細は当該技術分野では周知のものである。これについては米国特許第6,082,180号及び同第6,666,825号を参照されたい。1つの構成では、音響ヘッド216は、音響ヘッド216を皮膚14の表面との接触から遮蔽するように構成された分離式界面ブーツ220を有している。シリコーンは妥当なインピーダンスの一致を与え、患者との接触において生体適合性であることから、界面ブーツ220は、シリコーンで形成されることが好ましい。機能的には、シリコーンは使用者によって音響ヘッド216全体に引き伸ばして緊密かつ隙間なく密着させることもできる。界面ブーツ220は使い捨ての消耗部材、あるいは再使用可能な滅菌可能な部材として扱うことができる。別の構成では、真空マニホールド212によって皮膚14の遠位端202の近傍に部分真空を作用させることによって音響ヘッド216と皮膚14との接触性を高めることができる。この構成又は他の構成において、遠位端202には、真空マニホールド212から、又は音響ヘッド216の近傍に配置された流体ポート214から音響ジェル16を供給することができる。変形形態の1つでは、超音波ハンドピース200が真空マニホールド212及び流体ポート214の両方を有し、流体ポート214が真空マニホールド212の内部において真空源210と周方向の反対側に位置するようにしてもよい。
【0039】
図7及び8に示される第2の実施形態の第2の表現形態では、遠位側転動部材206は、遠位端202に配置された、以後、「ボール」という用語で一般的に表現する円筒体又は例えば切頭楕円体、半楕円体、球体などのほぼ滑らかに湾曲した回転体228とすることができる。ボール228は、医療用超音波ハンドピース200内に通常入れられる音響結合媒体218によって集束超音波放射装置204と外部において結合される。1つの構成では、ボール228は音響透過性の材料で形成することができる。別の構成では、ボールの表面はボール228の内部に入れられた音響結合流体又はジェル226によって内部において結合されうる。1つの構成では、音響ジェル16は、ボール228の露出した表面と皮膚14の表面との間の潤滑剤及び音響結合媒体として用いられるボール228の表面上のコーティングとして超音波ハンドピース200の内部から供給されてもよい。別の構成では、音響ジェル16は、遠位端202において別の流体ポート214からボール228上に供給されてもよい。
【0040】
図9〜12に示される第2の実施形態の第3の表現形態では、遠位側転動部材206はやはりボール228とすることができる。しかしながら、ボール228は医療用超音波ハンドピース200に、所定の軸Rを中心として回転するように取り付けることができる。実際には、ボール228は、医療用超音波ハンドピース200の遠位端202として一部機能し、集束超音波放射装置204がボール228の内部に配置され、ボール228は、ボール228内に入れられた音響結合流体226により超音波放射装置204と内部において結合される。ボール228は、ボール228の回転軸の軸端RとRとの間に延びる固定子230、固定子230と軸端R及びRとの界面の周囲に配置された1又は2以上のシール232、並びに必要に応じて、固定子230と軸端R及びRとの界面に配置されたベアリング234を有しうる。超音波放射装置204は、超音波ハンドピース200のハンドル部分250に対して方向を固定、又は使用者により調節可能に固定することが可能な固定子230に取り付けられる。1つの構成では、固定子は、固定子230とハンドル部分250との間のピン/プラグ連結機構236によってハンドルに対して方向を固定される。別の構成では、固定子は、ピンとプラグとが複数の位置のいずれにおいても互いに形状が一致するように相互連結されうる(例示の目的で長方形の突起及び空隙として示されている)ようなピン/プラグ連結機構236によってハンドル部分250に対して方向を使用者により調節可能に固定される。変形形態の1つでは、ハンドル部分250は使い捨ての消耗部材とすることができる。別の変形形態では、ハンドル部分250は再使用可能な滅菌可能な部材とすることができる。
【0041】
第3の表現形態の実現形態の1つでは、材料のリング240をボール228に着脱可能に取り付けることができる。リング240は、患者との回転接触面として機能する。変形形態の1つでは、リング240は使い捨ての消耗部材とすることができる。別の変形形態では、リング240は再使用可能な滅菌可能な部材とすることができる。例示的な1つの構成では、異なる材料の厚さを有する複数のリング240の1つをボール228に着脱可能に取り付けることによって、遠位端202に対する集束超音波放射装置204の位置、したがって皮膚14内部において所定の距離dが見出される深さを機械的に変化させることができる。別の例示的な構成では、異なる幅を有する複数のリング240の1つをボール228に着脱可能に取り付けることによって、ボール228から直線状の顔面要素10に隣接した皮膚14の部分への拡散超音波エネルギーの伝達を機械的に制限することができる。
【0042】
第2の実施形態の表現形態を使用する方法においては、顔面要素10の真皮内に皮膚充填剤12を注入し、遠位側転動部材206を顔面要素10上の皮膚14の表面上に配置する。例えば別のアプリケーター、ハンドピースポート214を介した塗布、又は遠位側転動部材206の表面からの転写など、音響ジェルの供給源に応じて、皮膚14上に遠位側転動部材206を配置する前又は配置した後に音響ジェル16を顔面要素10上の皮膚14に塗布することができる。遠位側転動部材206を皮膚14上に転がして移動させることにより、注入された皮膚充填剤12の内部に集束超音波放射装置204の焦点fを位置決めし、その時点で超音波放射装置204を作動させて皮膚充填剤12をずり流動化する。本方法の変形形態の1つでは、超音波放射装置204を停止させ、遠位側転動部材206を皮膚14上に更に転がして移動させることによって皮膚充填剤をずり流動化した状態で皮膚14の表面から操作する。本方法の別の変形形態の1つでは、超音波ハンドピース200を取り外し、皮膚充填剤12をずり流動化した状態で皮膚14の表面から操作する。
【0043】
第1の表現形態に関連した方法の実現形態の1つでは、顔面要素10の皮膚14を部分真空によって音響ヘッド216に対して引きつける。これは、皺の存在下で皮膚表面の平面をより明確に画定することを可能とするものであり、集束超音波放射装置204及び焦点fに対して皮膚14の表面を正確に位置決めする役割を果たす。次いで集束超音波放射装置204を作動させ、注入された皮膚充填剤12をずり流動化する。
【0044】
本発明の第3の実施形態を図13〜21に示す。第3の実施形態は、「ランジュバン型積層体」として構成することが可能な超音波トランスデューサー310を有する医療用超音波ハンドピースアセンブリ300を含むものである。「ランジュバン型積層体」は、順に、第1の共振子又はエンドベル312、トランスデューサー部分314、及び第2の共振子又はフォアベル316、並びに、要素312、314及び316の間に配置するかあるいはこれらの周囲に配設することが可能なマウント、中間利得ステージなどの様々な補助的要素を一般的に有している。このような一般的な構成を有する超音波外科器具の例は、米国特許第5,322,055号及び同第5,954,736号に開示されている。トランスデューサー部分312のトランスデューサー材料は圧電性のものであってもよいが、コイル318及び永久磁石319がトランスデューサー材料を包囲した磁歪性のもの、あるいは電歪性のものであってよい。特に断らないかぎり、上記に述べたようなコイル及び磁石として特化されたトランスデューサー要素を省略した図は、開示内容を限定するものとしてではなく、一般的かつ概略的な表現として理解すべきものである。超音波ハンドピースアセンブリ300及び超音波トランスデューサー310は、下記に更に述べるようにエンドエフェクター320と結合される。超音波ブレード及び他の外科用エンドエフェクターに結合された医療用超音波ハンドピースの例は、いずれも参照することにより本願に援用するところの米国特許第6,278,218号、同第6,283,981号、同第6,309,400号、同第6,325,811号、及び同第6,423,082号、並びに、2007年3月22日出願の発明の名称が「超音波外科器具(Ultrasonic Surgical Instruments)」である米国特許出願第11/726,625号、及び2007年11月30日出願の発明の名称が「超音波外科器具のブレード(Ultrasonic Surgical Instrument Blades)」である米国特許出願第11/998,543号に開示されている。超音波トランスデューサー310及び結合されたエンドエフェクター320は、1/2波長の整数倍(nλ/2)の系の長さを有することが好ましい。特に断らないかぎり、通常の要素を省略した図面、又は部分的な構造を示した図面は、開示内容を限定するものとしてではなく、一般的かつ概略的な表現として理解すべきものである。
【0045】
エンドエフェクター320は、順に、遠位側プローブ先端部322、プローブネック324、近位側プローブ拡張領域326、及び超音波活性を有するシャフト328を有し、シャフトは超音波に対して不活性なプローブシース330内に同軸的に収容され、拡張領域326と動作可能に連結されている。プローブ先端部322は概ね丸味を帯びたパドル状の形状を有するが、下記に述べるように小さな最遠位ブレード部分323を有してもよい。拡張領域326は、プローブ先端部322の平均外径及びプローブネックの平均外径に等しいか又はそれよりも大きい平均外径を有するように構成されている。プローブシース330は、拡張領域326の外径とほぼ等しい外径を有するように構成されている。拡張領域326は近位側の波腹332に位置し、最初の穿孔下でプローブシース330を挿入する際にともなう挿入力を最小に抑えて皮膚14の表面を拡張するために使用される。プローブ先端部322又は別の器具によって小径の最初の孔を形成した後、可逆的な拡張を行うことにより、皮膚14の表面に最小の孔が長期にわたって形成されるようである。エンドエフェクターは、約1〜20ワットの有効出力を放射する必要があるが、皮膚14の貫通時には最大で約30ワットが瞬間的に要求される場合もある。皮膚充填剤による方法は、術後の美容的観点からこうした装置の主たる用途であるが、当該装置は、装置のブレード/プローブ322〜326からプローブシース330への挿入の移行時に組織表面へのプローブシース330のひっかかりが問題となる深部鈍的切開法(deep blunt dissection)又は彫刻法(sculpting procedure)において使用できるように有利に適合可能である点は注意を要する。
【0046】
図14に示される第3の実施形態の第1の表現形態では、プローブ拡張領域326は、プローブ先端部322から近位方向に第1の波腹332に隣接して位置している。第1の実施形態の変形形態においては、拡張領域は更に近位側の波腹に隣接して位置してもよい。1つの構成では、拡張領域326と、超音波に対して不活性なプローブシース330との接合部(エンドエフェクター320が閉じている場合)は、波腹332から近位方向の波節334に位置しうる。これにより極めて緊密な接合が可能となり、拡張領域326とプローブシース330との界面に組織がひっかかる確率が最小に抑えられる。別の構成では、拡張領域326とプローブシース330との接合部(エンドエフェクター320が閉じている場合)は、波腹332に位置してもよい。接合部は、プローブネック324と拡張領域326との間の移行部と同じ波腹332に位置することが好ましい。後者の構成によれば、超音波利得による影響が最小に抑えられるが、拡張領域326とプローブシース330との間に間隙を設けることが必要となる。この間隙の影響は、超音波活性を有するシャフト328及び拡張領域326は接合部において活性であり、自己洗浄の傾向を有することからある程度は緩和される。
【0047】
図15に示される第3の実施形態の第2の表現形態では、遠位側プローブ先端部322は、熱拡散を最小に抑えた速やかな貫通を容易にするために最遠位機械的ブレード部分323を有するように尖端化することができる。機械的ブレード部分323は、速やかな皮膚への貫通を可能とするうえで有用なものであるが、鈍的切開された組織をずり流動化し、かつ/又は脂肪を乳化させるためにプローブ先端部322が前後に動かされる際に他の組織構造が不用意に損傷又は破砕される確率を低減するため、サイズ及び広がりが最小に抑えられることが好ましい。また、図14の最上段の例、及び図16の端面図に示される第3の実施形態の第3の表現形態では、プローブ先端部322は鈍端であってもよい。鈍端の先端部が、鈍的切開モードにおいて使用者がプローブ先端部322を安全に押し動かすことを可能にするのに対して、皮膚の最初の穿孔及び拡張は動力を有さない針又は閉塞子によって行われる。
【0048】
図17〜21に示される第3の実施形態の第4の表現形態では、遠位側プローブ先端部322及び/又はプローブネック324の少なくとも一方を、断面が波形の外周を有するように構成することによって、これらの構造の表面積を増大させる一方で、各部材の断面積を一定に保つ。これにより、皮膚充填剤12及び/又は他の標的組織内への出力伝達効率が高められる。図14の最下段の例、及び図17の端面図に示される1つの構成では、プローブ先端部322は、プローブ先端部322の一部分がプローブ拡張領域326の幅よりも広くなるような高いアスペクト比を有してもよい。高アスペクト比のプローブ先端部322により、装置の表面積対体積比を大きくすることができるが、こうしたプローブ先端部322は、皮膚14の表面の小さな切開状のスリットを通じて挿入されるか、あるいはそれ自体がスリットを形成しうるものである。このような構成は、拡張領域326がプローブ先端部322の平均外径に等しいか又はこれよりも大きい平均外径を有するような装置の範囲に含まれるものである。図18及び19に示される別の構成では、プローブネック324の一部を、内部管腔331への開口部324bを有する、長手方向に延び、周方向に配列された複数のスラット324aを有するように構成することができる。スラット324aはシート状の断面形状を有してもよく、あるいは装置の表面積対体積比を大きくするためにリブ324cのような1又は2以上の外側に突出した構造を有するように構成してもよい。図20及び21に示されるような更なる別の構成では、遠位側プローブ先端部322及び/又はプローブネック324の一部を、中実ロッドとして構成し、中実ロッドが、長手方向に延び、周方向に配列された複数の凹部324dと交互に形成された、同様に配列された複数のリブ324cを画定することができる。後者の構造の改変形態の1つでは、プローブネック324の近位側部分を、プローブ先端部322の付近において流動性物質を注入及び/又は吸引するための凹部324dと流体連通した内部管腔331を提供するように構成することができる。
【0049】
最後に、異なる構成において、図14の中段の例に示されるように、エンドエフェクター320、特にプローブ先端部322及び/又はプローブネック324は、軸対称であってもよく、あるいは軸に対して非対称であってもよく、そのため、直径なる用語は、単一の長手方向中心軸に対して定義される幾何学的な直径ではなく、対象となる部材の固有の幅を指すものとして概ね理解されるべきである点は注意を要する。
【0050】
第3の実施形態の第5の表現形態では、医療用超音波ハンドピースアセンブリ300は、エンドエフェクター320内の1又は2以上の管腔の内部を通過する物質をずり流動化又は流動化するように構成される。正確な量の皮膚充填剤を、鼻唇ひだなどの顔面要素10に沿った正確な位置に注入することの困難性は、皮膚充填剤の粘度が高くなるほど、また、注射針の管腔の径が小さくなるほど高くなる。超音波エネルギーを使用して、皮膚充填剤が外科器具のリザーバからエンドエフェクター320内の管腔を通過する際に皮膚充填剤をずり流動化することができる。超音波エネルギーを使用して、皮膚充填剤及び他の物質がエンドエフェクター320内を通過する際にこれらの物質をずり流動化又は流動化することもできる。したがって、超音波ハンドピース300は、エンドエフェクター320と流体連通した少なくとも1つの流体管腔302を有しうる。1つの構成では、超音波活性を有するシャフト328は内部管腔331を有し、流体管腔302と内部管腔331は流体連通している。図22に示される例示的な構成の1つでは、シャフト328は、流体経路が組み込まれた「ランジュバン型積層体」として構成することが可能な超音波トランスデューサー310に固定される。別の構成では、超音波に対して不活性なプローブシース330とシャフト328との間の介在空間329は流体管腔として機能し、プローブシース330及び介在空間329の近位端と流体管腔302が流体連通する。図23に示される例示的な構成の1つでは、流体管腔302は、ハンドピースアセンブリ300内部において超音波トランスデューサー310を迂回し、エンドエフェクター320のハンドピースアセンブリ300との組み立て時にプローブシース330の近位端を受容するマニホールド304と接続される。変形形態の1つでは、内部管腔331はエンドエフェクター320の遠位端から物質を吸引するために使用され、介在空間329は皮膚充填剤又は灌注液などの物質を注入するために使用される。別の変形形態では、内部管腔331は皮膚充填剤又は灌注液などの物質を注入するために使用され、介在空間329はエンドエフェクター320の遠位端から物質を吸引するために使用される。他の変形形態では、1つの構造のみが流体管腔として機能し、両方の機能がその管腔を通じてまかなわれるようにしてもよい。介在空間239が流体管腔として使用される場合、拡張領域326からプローブシース330を縮めることによってエンドエフェクターを開くことができる。プローブシース330を縮めるための調節機構について、下記に述べる本発明の第4の実施形態に関連して詳細に述べる。
【0051】
図24に示される第5の表現形態の実現形態の1つでは、超音波活性を有するシャフト328は、流体管腔302として機能する、反対側に突出した部分336を有する。部分336は、超音波トランスデューサー310の近位端から、例えば、ルアーロック接続機構に見られるような、相補的に構成されたポート306及び注射器先端部342を介して注射器340に接続されるように構成されたハンドピースポート306の内部に突出する。部分336は少なくとも注射器先端部342内部に突出し、その状態で、超音波トランスデューサーの動作時に部分336に伝達された超音波エネルギーが、注射器340内に収容された皮膚充填剤をずり流動化する。ハンドピースポート306は、突出部分336の波節334に位置することが好ましい。突出部分336の自由端は、比較的狭い通孔を有する流体管腔302の入口におけるずり流動化を最大化するために波腹332に位置することが好ましい。他の実現形態では、ポート306が一体化される注射器構造に対する内部接続点となるように注射器340をハンドピースアセンブリ300内にユニットとして組み合わせることもできる。
【0052】
第3の実施形態の表現形態を使用する方法の1つでは、皮膚充填剤12を顔面要素10に注入し、少なくとも装置の遠位側プローブ先端部322を皮膚14の表面下に挿入する。皮膚充填剤12は、例えば、別のアプリケーター又はエンドエフェクター320の流体管腔(介在空間329又は内部管腔331など)からの注入など、皮膚充填剤の供給源に応じて皮膚内部への遠位側プローブ先端部322の挿入の前又は後で注入することができる。また、プローブ先端部322は、皮膚14に予め形成された穿孔(アプリケーター又は閉塞子によって形成されたものなど)から挿入してもよく、あるいはプローブ先端部322の最遠位ブレード部分323によって形成された穿孔から挿入してもよい。超音波トランスデューサー310を作動させてプローブ先端部322を動作させ、プローブ先端部を皮膚充填剤12内に挿入して充填剤をずり流動化する。本方法の変形形態の1つでは、超音波トランスデューサー310を停止させ、ずり流動化した状態の皮膚充填剤12を皮膚14の表面から操作する。本方法の別の変形形態では、超音波トランスデューサー310を停止させ、プローブ先端部322を皮膚から引き抜き、その時点でずり流動化した状態の皮膚充填剤12を皮膚14の表面から操作する。
【0053】
本方法の好ましい実現形態の1つでは、超音波トランスデューサー310を作動させた後、皮膚14の表面下にプローブ拡張領域326を挿入し、その状態で超音波に対して不活性なプローブシース430を皮下に挿入することによってプローブの超音波活性を有する部分との不用意な接触から皮膚14の表面を保護する。プローブシース430、拡張領域326、及びプローブ先端部422を抜去する前に超音波トランスデューサー320を停止させることによって皮膚14の表面を更に保護することが可能である。別々の器具によって皮膚の最初の穿孔及び拡張が行われる可能な実現形態の1つの変形形態では、拡張領域326を皮膚の表面と接触させ、その状態で超音波トランスデューサー320を作動させ、拡張領域326及びプローブシース430を皮下に挿入する。
【0054】
第3の実施形態の表現形態を使用する別の方法では、本装置を使用して眼瞼形成術を行うことが可能である。遠位側プローブ先端部322を眼窩周囲の脂肪パッドの上の皮膚の表面下に挿入する。プローブ先端部322は皮膚14に予め形成された穿孔(閉塞子によって形成されるような)から挿入してもよいが、プローブ先端部322の最遠位ブレード部分323によって皮膚に穿孔することが好ましい。超音波トランスデューサー310を作動させてプローブ先端部322を動作させ、遠位側プローブ先端部322を眼窩周囲の脂肪パッド内に進める。有利な点として、一般的な皮膚充填剤を用いた方法に適合された装置は、眼瞼形成術にも適しており、プローブ拡張領域326及び超音波に対して不活性なプローブシース330を、遠位側プローブ先端部322を前進させる際に皮膚14の表面下に挿入することが可能である。これにより皮膚14はプローブの超音波活性を有する部分との長時間の接触から隔離される。眼窩周囲の脂肪パッドの内部に到達した時点で、遠位側プローブ先端部322及び場合によりプローブネック324の遠位部を眼窩周囲の脂肪パッド内で操作し、同時に超音波トランスデューサー310を作動させて眼窩周囲の脂肪を流動化し移動又は溶解して除去する。遠位側プローブ先端部322を使用して眼窩周囲の脂肪パッドに注入された皮膚充填剤12をずり流動化させることにより、更にパッドを成形したり、あるいは先に除去された脂肪に置き換えて皮膚充填剤12を注入することも可能である。
【0055】
本発明の第4の実施形態を図25〜33に示す。第4の実施形態は、これまでに述べた第3の実施形態と概ね同様であるが、プローブ拡張領域326、したがって超音波に対して不活性なプローブシース330と拡張領域326との接合部が省略されている。参照する図において、例えば遠位側プローブ先端部322と422のように前の桁のみが異なるの参照番号の要素は、上記に示した相違点を除けば第3の実施形態に関連して述べた要素と類似、又は同一として理解されるべきである。第4の実施形態の詳細に関し、超音波活性を有するシャフト428は、超音波に対して不活性なプローブシース430の内部において同軸的に保持され、プローブネック424と動作可能に接続されている。プローブシース430は、プローブシース430の遠位端が少なくともプローブ先端部422を覆い、更に露出させるように摺動可能に動作するように構成されている。方法によっては、顎の線などの顔面要素を変化させるため、真皮の充分下側、特に筋肉組織と骨膜との界面又はその上に皮膚充填剤が注入される点は注意を要する。したがって、本実施形態の一部の表現形態は、こうした用途、又は極めて正確な位置に物質を注入、除去するか若しくは組織を切開する目的で超音波器具を使用する同様の顕微鏡下手術における使用に適合される。
【0056】
図25に示される第4の実施形態の第1の表現形態では、超音波に対して不活性なプローブシース430の少なくとも一部が長手方向に可撓性を有し、S字状の襞442を有している。襞442によって、プローブシース430の遠位端は、プローブシース430の前進に対する長手方向の抗力に応じて摺動して縮むことが可能となっている。詳細には、前進に対する充分かつ連続した長手方向の抗力に応じてプローブシース430の、襞442に遠位側で隣接した部分が、襞442を近位方向に覆うように摺動し、最終的にはシースに連続して遠位側で隣接した部分の下側に折り畳まれることが可能となっている。このような折り畳み動作によって、プローブシース430はプローブの超音波活性を有する部分に対して縮み、プローブ先端部422及びプローブネック424のより大きな長さを露出させる。プローブシース430の硬さは、プローブシース430の、襞442に遠位側で隣接した部分が、プローブ先端部422及びプローブシース430が軟組織中に前進させられる際には襞に折り畳まれないが、プローブ先端部422が筋肉などの剛性組織又は骨などの硬組織中に前進させられる際には襞に折り畳まれるように適合させることができる。この硬さは、硬組織に対してのみ適合させることもできる。これにより、挿入の軌跡の近傍の軟組織を、プローブの前進時及びその後の両方においてプローブの超音波活性を有する部分から実質的に保護することが可能となる。
【0057】
図26に示される第4の実施形態の第2の表現形態では、超音波に対して不活性なプローブシース430の遠位端が、通常はプローブシース430の最遠位部分446を近位側で隣接した部分448から延出させるが、プローブシース430の前進に対する充分な長手方向の抗力に応じて最遠位部分446を摺動により縮ませるように構成されたバネ付勢機構450を有している。1つの構成では、バネ付勢機構450は、両端が最遠位部分446と近位側部分448とにそれぞれ固定された、周方向に対向して配置された少なくとも2つの弾性ドッグボーン452を有する。弾性ドッグボーン452は、近位側部分の長手方向スロット454の中で伸張することによって、各ドッグボーン452の近位端と各長手方向スロット454の近位端とが干渉して最遠位部分446の移動を制限するように構成されることが好ましい。この構成の改変形態では、近位側部分448の内側の内側係止部、最遠位部分446の外側の外側係止部、及び最遠位部分446の近位端の長手方向溝などの他の構造が移動制限構造として機能しうる。他の構成では、コイルバネ又は渦巻きバネを固定要素、スロット、係止要素の様々な組み合わせとともに使用することができる。
【0058】
バネ付勢機構450のバネ力は、最遠位部分446が軟組織中に前進させられる際にはプローブ先端部422の近位部を大きく露出しないが、プローブ先端部422が筋肉などの剛性組織又は骨などの硬組織中に前進させられる際には動作するように適合させることができる。これにより、挿入の軌跡の近傍の軟組織を、プローブの前進時及びその後の両方においてプローブの超音波活性を有する部分から実質的に保護することが可能となる。プローブシース430及びシース部分446、448は同等の剛性を有する材料で作製され、ULTEM(登録商標)(SABIC Americas,Inc.(Houston,Texas)より販売されるポリエーテルイミド)、繊維強化複合材料(例えば引き抜き成形ガラス又は炭素繊維チューブ)、又は編組カテーテルチューブなどの熱可塑性材料で作製されることが好ましい。
【0059】
図27及び28に示される第4の実施形態の第3の表現形態では、超音波に対して不活性なプローブシース430の近位部は、少なくとも遠位側プローブ先端部422上でプローブシース430の遠位端を確実に位置決めするように構成された調節機構460と結合されている。1つの構成では、調節機構460は、プローブシース430の近位部の外側ねじ切り部464と結合する内側のねじ切りを有する駆動部材462を有する。こうしたねじ切りは、プローブシース430の近位部と一体に形成されてもよく、あるいはプローブシース430の近位部に結合されたアダプターの一部としてもよい。別の構成では、調節機構は、プローブシース430の近位部に機械的に連結されるか又は化学的に結合された摺動部材466を有する。調節機構は、少なくとも遠位側プローブ先端部422を覆うようにプローブシース430の遠位端を摺動により動作させるように手動により又は機械的に作動される。
【0060】
調節機構は医療用超音波ハンドピースアセンブリ400の構成要素であることが好ましい。ハンドピースアセンブリからの、少なくとも遠位側プローブ422を覆ったプローブシース430の遠位端の確実な位置決めにより、組織と少なくとも遠位側プローブ先端部422との間の接触長さを所望の目標に適した長さに容易に変更することが可能である。例えば、皮膚充填剤が注入された層の広がりに対応したプローブ先端部422の所定の長さ(及び下記に更に述べるように場合によりプローブネック424)が露出するようにプローブシース430の最遠位端を縮めることができる。単一の小さな層に注入される場合、小さな接触長さのみが必要とされ、接触長さが大きくなると不要な組織の損傷のリスクが増大する。複数の層に注入される場合、1回の処置で層化された深さの全体がずり流動化されるようにより大きな接触長さが望ましい。最後に他の処置、特に脂肪吸引などの処置では、外科装置を効率的に用いるうえで極めて大きな接触長さが必要とされる場合もある。更なる例では、上記に述べたように、皮膚充填剤が特定の処置において筋肉組織の下に注入される場合もある。ハンドピースアセンブリからの、遠位側プローブ先端部422を覆ったプローブシース430の遠位端の確実な位置決めにより、挿入軌道の近傍のようなより浅い組織(剛性又は靱性組織であっても)を、プローブの超音波活性を有する部分が更に前進させられた後にプローブの超音波活性を有する部分から実質的に保護することが可能となる。
【0061】
図29に示される第4の実施形態の各表現形態の各実現形態では、遠位側プローブ先端部422は、内部管腔431への開口部がプローブネック424及び超音波活性を有するシャフト428を通って延びることでハンドピースアセンブリ400との流体連通が確立された鈍端であってもよい。鈍端は非侵襲性であり、一旦導入されると脂肪ポケットのような構造の内部に留まる傾向を有する。鈍端は、骨及び軟骨を削る、又は沈着物を除去するために他の処置において使用される場合もある。また、プローブ先端部422は、最遠位ブレード部分423及び内部管腔431への開口部を有する、斜角がつけられた針先端部であってもよい。針先端部は、筋膜などの強靱な組織に貫通するうえで有用である。第3の実施形態に関連して述べたようなプローブ先端部及びプローブネックの構成も考えられる。最後に、超音波に対して不活性なプローブシース430の最遠位部分は鈍端であってもよいが、軟組織への挿入を促進するために斜角がつけられてもよい。
【0062】
図30及び31に示される第4の実施形態の表現形態の更なる実現形態では、プローブネック424が内部管腔431内に開口する複数のスロット470を有してもよい。上記に示したように、第3の実施形態に関連して述べたようなプローブ先端部の構成も考えられ、内部管腔431は遠位側プローブ先端部422へと遠位方向に延びても、あるいは延びずともよい。第1の構成では、複数のスロットは長手方向のスロット472のアレイとして構成される。これにより、装置が、プローブネック424が露出している場合に活性プローブの延在する長さに沿った更なる注入又は吸引力を与えることが可能となる。第2の構成では、複数のスロットは、同様に細長く、同様に配置された複数のブリッジ476と交互に配された、長手方向に細長い、周方向に配列された複数のスロット474として構成される。いうまでもなく、各ブリッジは、プローブネック424の近位部と遠位部とを連結するものである。しかしながら、ブリッジは、プローブネック424(及び超音波活性を有するシャフト428及びプローブ先端部422)が超音波トランスデューサー410によって長手方向に駆動される際に横方向の振動モードを発生させるものでもある。複数のスロット474と交互に配されたブリッジ476は波節434に位置することが好ましい。ブリッジ476が横方向の振動をすると近傍の皮膚充填剤は容易にずり流動化される。組織の除去、又は脂肪吸引などの他の処置が行われる場合、ブリッジ476の近傍の軟組織はエンドエフェクター420によって吸引されるように容易に溶解される。出願人らは、他の処置において、プローブシース430を別の閉塞子のために部分的又は完全に省略し、プローブの残りの部分を一般的に皮膚用途には適さない寸法に適合させることが可能であることに着目した。プローブシース430が用いられる場合には、エンドエフェクターの遠位端が数インチ以上露出している状態でエンドエフェクター420の近位端のプローブ428の活性部分と誤って接触することから使用者を保護する機能を有する。更に、長手方向のスロット472のアレイは、アレイの長手方向のそれぞれの位置において、同様に細長く、同様に配置された複数のブリッジ476と交互に配された、長手方向に細長い、周方向に配列された複数のスロット474を含む、長手方向のアレイとして構成することができる。アレイの長手方向の各位置は、波節434に対応している。このような大きな長さの装置は、基本的に皮下組織の内部で行われる従来の脂肪吸引法において有効に用いることができる。
【0063】
超音波活性を有するシャフト428、プローブネック424、及び遠位側プローブ先端部422がいずれも内部管腔431を有し、シャフト428及び超音波に対して不活性なプローブシース430が介在空間429を形成するような第4の実施形態の表現形態の更なる実現形態では、プローブネック424の近位部は、内部管腔431と介在空間429とを流体連通する横孔480、及び、横孔480から近位側に配置されて内部管腔431を封止するシール482を有してよい。内側管腔486を与える少なくとも1つのカニューレ484がシール482を貫通し、横孔480から遠位方向に延びてよい。変形形態の1つでは、カニューレ484は遠位側プローブ先端部422にまで遠位方向に延びる。別の変形形態では、プローブネック484の近位部は、ベルの幅が狭まる部分に横孔480が配置された、遠位側に開口したベル486として構成される。この変形形態では、プローブシースは、プローブネック424に対して封止することが好ましい(一般的にこのシールは完全である必要も特に効率的である必要もない)。カニューレ484は、皮膚充填剤又は灌注液などの物質を吸引又は注入するために使用することができる。内部管腔431の遠位部、すなわちシール482の遠位側の部分も、皮膚充填剤又は灌注液などの物質を吸引又は注入するためにやはり使用することができる。好ましい動作の態様の1つでは、カニューレ484が吸引に使用され、内部管腔が灌注に使用される。上記で述べたスロット472又は474が存在してもよい。この好ましい動作の態様では、スロット472又は474は灌注経路として機能することにより、プローブ先端部422及びプローブネック424の超音波動作によって発生する組織及び組織片の長手方向の「洗い流し回路」を確立する。
【0064】
第4の実施形態の表現形態を使用する方法の1つでは、装置の遠位側プローブ先端部422を皮膚14の表面下に挿入する。プローブ先端部422は、皮膚14に予め形成された穿孔(アプリケーター又は閉塞子によって形成されたものなど)から挿入してもよく、あるいはプローブ先端部422の最遠位ブレード部分423によって形成された穿孔から挿入してもよい。超音波トランスデューサー410を作動させてプローブ先端部422を動作させる。超音波に対して不活性なプローブシース430の遠位端を皮膚14の表面下に挿入する。プローブ先端部が前進させられるにしたがって、少なくともプローブ先端部422がより長く露出するようにプローブシース430の遠位端が縮む。変形形態の1つでは、プローブシース430の遠位端の収縮は、プローブシース430の遠位端の前進に対する長手方向の抗力によって生じる。別の変形形態では、使用者は調節機構460を使用してプローブシースの遠位端を縮める。別の変形形態では、プローブシース430の遠位端は、最初、プローブ先端部422の近位部のほぼ全体を覆い、プローブシースの遠位端が縮むことで皮膚の最初の貫通後にのみプローブ先端部の近位部が露出する。
【0065】
本方法の実現形態の1つでは、皮膚充填剤12を顔面要素10内に注入する。皮膚充填剤12は、例えば、別のアプリケーター又はエンドエフェクター420の流体管腔(介在空間429又は内部管腔431など)からの注入など、皮膚充填剤の供給源に応じて皮膚内部へのプローブ先端部422の挿入の前又は後で注入することができる。プローブ先端部を使用して皮膚充填剤12をずり流動化する。本実現形態の変形形態の1つでは、超音波トランスデューサー410を停止させ、ずり流動化した状態の皮膚充填剤12を皮膚14の表面から操作する。本方法の別の変形形態では、超音波トランスデューサー410を停止させ、プローブ先端部422及びプローブシース430を皮膚から引き抜き、その時点でずり流動化した状態の皮膚充填剤12を皮膚14の表面から操作する。
【0066】
本方法の別の実現形態では、本装置を使用して眼瞼形成術を行う。遠位側プローブ先端部422を眼窩周囲の脂肪パッドの上の皮膚の表面下に挿入する。眼窩周囲の脂肪パッドの内部に到達した時点で、遠位側プローブ先端部422及び場合によりプローブネック424の遠位部を眼窩周囲の脂肪パッド内で操作し、同時に超音波トランスデューサー410を作動させて眼窩周囲の脂肪を流動化して移動又は溶解して除去することが可能である。遠位側プローブ先端部422を使用して眼窩周囲の脂肪パッドに注入された皮膚充填剤12をずり流動化させることにより、更にパッドを成形したり、あるいは先に除去された脂肪に置き換えて皮膚充填剤12を注入することも可能である。本実現形態との関連において示される方法の変形形態の1つでは、例えば、ミシン目又は切れ目が入れられた外周部を与えるプローブシース430の破断可能な部分を分離することにより、あるいはプローブシースの遠位部と近位部との間の連結部を分離することにより、超音波に対して不活性なプローブシース430の遠位端を超音波外科器具から分離することが可能である。プローブシース430の遠位端を器具から分離し(ただし器具上に同軸的に配置した状態のまま)、その状態で器具を引き抜く一方、プローブシースの分離された遠位端は皮膚の表面下の定位置に留まる。これにより、分離されたプローブシース430の遠位端が閉塞子として機能し、その後、超音波外科器具をこの閉塞子から再挿入することができる。更に、他の外科器具、診査器具、カニューレなどをより大きな外科的処置の一環としてこの閉塞子から挿入することが可能である。いうまでもなく、全体の外科的処置のその段階を完了するため、分離されたプローブシースの遠位端は最終的に皮下から引き抜かれる。
【0067】
第3及び第4の実施形態の各表現形態は、その有利な点として皮膚充填剤をずり流動化することで注入処置をより正確とすると同時に、高分子量、長寿命の生体材料の使用を可能とするものである。同じ超音波エンドエフェクターを使用して、皮膚充填剤を注入し、組織の無血切開を促進すると同時に、皮膚充填剤用のポケットを形成し、かつ/又は脂肪などの不要な組織を除去することが可能である。エンドエフェクター320及び420は、予め注入された充填剤を所望の位置及び厚さに指でマッサージすることができるように流動化するばかりでなく、充填剤が誤って注入された場合に過剰な充填剤を除去するために生体内において使用することも可能である。組織ポケットを灌注することが望ましい場合、同じ流体管腔を吸引灌注用、並びに皮膚充填剤の注入及び調節用に使用することができる。
【0068】
図33〜64に示される本発明の第5の実施形態では、医療用超音波ハンドピースアセンブリ300又は400(及び同様の装置)及び接触エンドエフェクター320又は420(及び同様の装置)の活性部分を、単一の結晶又は多結晶性共振材料、主としてケイ素で形成することができるが、ゲルマニウム、ダイヤモンド、及びサファイアを使用することも可能である。これらの構造は、既存の半導体プロセスを用いて製造可能であるように半導体ウェーハから製造されることが好ましい。更に、トランスデューサー材料を、チタン酸バリウムなどの無鉛圧電材料、又はニッケル若しくは「GALFENOL」(ETREMA Products,Inc.(Ames,Iowa)により販売されるガリウム/鉄合金)などの磁歪材料としてもよく、これにより装置が使い捨て装置として使用するうえで充分に安価となり、鉛を含有する有害廃棄物としてでなく、通常の医療廃棄物として処分するのに適したものとなる。セラミックPZT材料及び電歪材料、並びに単結晶材料などの他のトランスデューサー材料を使用することもできる。PZT材料は鉛を含有しているが、一般により優れた圧電性能を有している。電歪材料はしばしば鉛を含有し、圧電材料よりも低いヒステリシスを示し、圧電材料よりも高い歪みエネルギー密度を有し、電極化する必要がないが、電歪材料はまた、より高い温度感受性を有し、より高い電位差を必要とし、異なる電気制御モードを必要とする(歪みは、印加された電圧に対して直線的ではなく二次関数的に変化するため)。
【0069】
図33及び34に概略的に示される第5の実施形態は、単結晶又は多結晶材料で形成された長手方向に細長い、ほぼ平面状の導波管590、及び導波管590に取り付けられたトランスデューサー構造600を有する、超音波外科装置用の超音波コア510を含むものである。導波管材料はケイ素であることが好ましい。以下の考察の理解を助けるうえで、「端」なる用語は、長手方向の境界又はそのような境界を表す表面のことを指すものとして理解され、「縁部」なる用語は、導波管590の平面内の方向における側方の境界又はそのような境界を表す表面のことを指すものとして理解され、「側面」なる用語は、導波管590の平面に垂直な方向における側方の境界又はそのような境界を表す表面のことを指すものとして理解される。
【0070】
導波管590は、順に、第1の共振子又は近位側端部592、変換部分594、第2の共振子又は遠位側端部596、並びに要素592、594及び596の間に形成することができる、マウント又はマウント接続部、中間利得ステージ構造などの必要に応じて用いられる補助的構造を有する。1つの構成では、導波管590はモノリシック構造である。図34に示される別の構成では、導波管590は材料の複数の平面状の層590a、590bなどを含む積層構造である。後者の構成の変形形態の1つでは、例えば590a、590bのような2つの隣接層が、例えば内部管腔591として機能しうる長手方向の通路、又は他の内部空間を画定してもよい。後者の構成の別の変形形態では、隣接層590cと590eとは、積層構造中において下記に更に述べるような他の材料によって分離されてもよい。第5の実施形態は、超音波活性を有するシャフト528として少なくとも機能するように構成された、単結晶又は多結晶材料のエンドエフェクター部分520aを更に有してもよい。エンドエフェクター部分520aは、例えば図35に示されるように、超音波活性を有するシャフト528、プローブ拡張領域526(設けられる場合)、プローブネック524、及び遠位側プローブ先端部522を有するもののような完全な外科用プローブ(プローブシース530のような超音波に対して不活性な要素を除く)として機能するように構成されることが好ましい。1つの構成では、エンドエフェクター部分520a及び導波管590(又はその複数の層)はモノリシック構造であり、したがってモノリシック的に結合される。このような構造は、皮膚科手術、上記に述べたもののような皮膚充填剤処置、又は神経若しくは手の手術などの精密な顕微鏡下手術に適している。別の構造では、エンドエフェクター部分520aと導波管590とは共振可能に接合される。すなわち、振動モードが伝達されるように波節534において共振可能に接続されることにより共振可能に結合される。第5の実施形態の様々な表現形態及び構成を、第3又は第4の実施形態の活性構造として使用するか、あるいはこれらの実施形態において述べた様々な非トランスデューサー構造と組み合わせるか、あるいは当該技術分野において知られる他の超音波外科器具ハンドピース及び/又はエンドエフェクターの構成と組み合わせることができる。
【0071】
図36〜41に示される第5の実施形態の第1の表現形態では、導波管590の第2の共振子596は、エンドエフェクター部分520a内への伝達の前に変換部分594内に生じる超音波振動の大きさ及び/又はモードを変化させるように構成されている。第2の共振子596は、第1の横方向の大きさ(例えば幅w)を有する近位端596a、第2のより小さい横方向の大きさ(例えば幅w)を有する遠位端596b、及び、振動利得を生じるように第1の横方向の大きさと第2の横方向の大きさとの間で概ね幅が狭くなる本体を有している。異なる構成において、第2の共振子596の縁部596c及び596dは、正弦波状に湾曲(図37、下段)、凸状又は凹状に湾曲(図36、上段及び下段)、一定のテーパ状(図37、上段左)、不連続的な階段状(図37、上段右)の形状、又は上記の任意の組み合わせを有するように形成されることにより、超音波振動のモードを変化させ、一般的には望ましい振動モードを望ましくない振動モードから分離することができる。図37の下段の例に示されるように、トランスデューサー602の各部分は、本導波管590などのモノリシック構造では波節534、又は(図37の下段におけるように)遠位側の積層体波節535の近くの急激な形状の変化によって一般的に区別される、第2の共振子596の近位端596a上に延びてもよい。
【0072】
図38に示される第1の表現形態の第1の構成では、第2の共振子596は、導波管590の長手方向の中心軸に対して対称であり、遠位端596bの第2の横方向の大きさと一致する基本的に一定の横方向の大きさを有する実質的な本体部を有している。このような対称で極めて均一な構成により、変換部分594がオートパラメトリック共振のために長手方向に一次振動数ωで振動させられる場合に、分数調波振動数ω/N(ここでN=1,2,3,...)の横方向の振動モードを生じることができる。第2の共振子596と結合されたエンドエフェクター部分520aを分数調波振動数に等しい振動数の横方向の作動モードで動作するように構成することにより、超音波振動のモードを、振動数ωの長手方向の駆動モードから振動数ω/Nの横方向の作動モードに効果的に変換することができる。
【0073】
第1の表現形態の第2の構成では、第2の共振子596は、導波管590の長手方向の中心軸に対して非対称である。図39に示される例示的な構成では、第2の共振子の各縁部は導波管590の長手方向の中心軸に対して非対称であり、第2の共振子596の一方の縁部596cが正弦波状に湾曲し、第2の共振子596の反対側の縁部596dが凹状に湾曲している。他の例示的な構成では、縁部596c及び596dは、上記の形状の1又は2以上を有するように形成されてもよいが、同じ形状には形成されない。これらの非対称的な構成は、対称的なせん断モード振動を生じ、これにより、変換部分594が長手方向に振動させられる際に近位端596aに更なる横方向の振動モードが生じる。図40に示される別の例示的な構成では、第2の共振子の本体は、少なくとも1つの開口部597によって導波管590の長手方向の中心軸に対して非対称となっている。開口部597は、第2の共振子596の縁部596c又は596dから一部長手方向かつ一部横方向内側に延びるスロットとすることができる。改変形態の1つ(図40、中段)では、開口部597は互い違いに配された孔の配列である。別の改変形態(図40、下段)では、開口部597は長手方向に延びる正弦波状のスロットとすることができる。これらの非対称的な構成により、変換部分594が長手方向に振動させられる際に更なる捻り振動モードに結合されるような長手方向の共振モードが生じる。
【0074】
図41に示される第1の表現形態の第3の構成では、第2の共振子596は導波管590の隣接した変換部分594に一般的に取り付けられるトランスデューサー602の利得部分603を有してもよい。利得部分603は、第1の横方向の大きさ(例えば幅w)を有する近位端603a、第2のより小さい横方向の大きさ(例えば幅w)を有する遠位端603b、及び振動利得を生じるように第1の横方向の大きさと第2の横方向の大きさの間で概ね幅が狭くなる本体を有しうる。異なる構成において、利得部分603の縁部603c及び603dは、正弦波状に湾曲、凸状又は凹状に湾曲、一定のテーパ状、不連続的な階段状の形状、又は上記の任意の組み合わせを有するように形成されることにより、第2の共振子596の遠位端596bにおける超音波振動のモードを変化させることができる。利得部分603は構造化し、第2の共振子596に取り付け、トランスデューサー602及び変換部分594に関連して下記に述べるのとほぼ同様の要領で作動させることができる。利得部分603の露出面もまた、近位端603aから遠位端603bへとテーパしてよい。すなわち、利得部分603は利得を増大させる更なる手段として厚さが漸減してもよい。
【0075】
図42〜53に示される第5の実施形態の第2の表現形態では、少なくとも1つのトランスデューサー602が導波管590の変換部分594の側面に取り付けられる。図42に示される第2の表現形態の第1の構成では、トランスデューサー602は、変換部分594の側面に直接接着された圧電又は電歪セラミックである。第1の構成の第1の変形形態では、変換部分594の接着面は、トランスデューサー602を変換部分594から絶縁するために例えば二酸化ケイ素(SiO)のような酸素に富んだ表面層で基本的に構成することができる。第1の構成の第2の変形形態では、変換部分594の接着面は、元素ケイ素(Si)、ドーパントを含有する元素ケイ素(Si)、又はケイ化物のみから基本的になるものでよい。第2の変形形態の変換部分594の基板は、元素ケイ素又はドーパントを含有する元素ケイ素(すなわち、バルクドープしたケイ素)のみから基本的になるものでよい。変換部分594の準表面が非ドープの元素ケイ素のみから基本的になるものである場合、ドーパントを含有するケイ素、又はケイ化物の埋め込み経路610を選択的な電流経路を与えるために設けることができる。導波管590の他の表面を、導波管590上に形成された酸素に富んだ表面層により絶縁することによって不用意な接地を防止することができる。少なくとも1つの電気接点612を、導波管上(例えば変換部分594の露出した表面上)の波節534の近傍に設けることができる。図43に断面図で示される例示的な電気接点612は、酸素に富んだ表面層(設けられている場合)を貫通して変換部分の準表面と電気的に接触し、更に埋め込み経路610(設けられている場合)と電気的に接触したはんだパッドである。例示的な構成の1つでは、電気接点612は、アルミニウム/銅合金接着層614、ニッケルパッド616、及び金トップコート618を含む。接地線を電気接点612にはんだ付けすることでトランスデューサー602の接地経路が完成する。
【0076】
図44及び45に示される第1の構成の第3の変形形態では、トランスデューサー602は、積層された導波管590の隣接又は近接層590a及び590bの変換部分594の両面に直接接着された圧電又は電歪セラミックである。更なる変形形態では、一方の層が介在配置されたトランスデューサー602の電源として機能し(電源に接続された場合)、他方の隣接又は近接層が電気的接地として機能しうる(接地される場合)。このような変形形態では、層590a及び590bの両方の変換部分594の構造は上記に述べたものと同様であってよく、酸素に富んだ表面層により各層の変換部分594に隣接した部分(存在する場合)が絶縁される。また、隣接層590a及び590bの間の積層体を絶縁体としてもよい。例示的な積層体(「他の材料」として解釈されるものではなく、層590a及び590bが近接ではなく隣接しているものとみなされるようにするものでもない)としては、ケイ素/ケイ素アノード性接着ガラス層がある。
【0077】
図46及び47に示される第1の構成の第4の変形形態では、トランスデューサー602は変換部分594の両面に直接接着された圧電又は電歪セラミックである。変換部分594は、モノリシックトランスデューサー602のブリッジ部分604によって充填された少なくとも1つの開口部595を有している。トランスデューサー602の当接部分606a及び606bは、変換部分594のそれぞれの側面の少なくとも1つの開口部595に隣接する位置で当接する。トランスデューサー602の変換部分594との直接接着以外に、トランスデューサー602の各部分604、606a、606bと変換部分594との機械的当接によって、トランスデューサーは変換部分594の側面に対して更に固定される。トランスデューサー602は、トランスデューサー材料を変換部分594上にスリップ成形及び焼結することによって定位置に形成することができる。
【0078】
第2の表現形態の第2の構成では、トランスデューサー602は変換部分594の側面にクランプ固定される。このクランプ固定された構成は取り付け用の単純な機構であるが、トランスデューサー602のせん断モードでの動作時に出力及び変位を増大させるためにセラミック及び単結晶トランスデューサーを予め装填するために使用することもできる。図48及び49に示される第2の構成の第1の変形形態では、変換部分594は少なくとも1つの開口部595を有し、トランスデューサー602は少なくとも1つの対応した開口部605を有する。開口部595は波腹532に位置することが好ましい。対応する開口部595及び605は軸方向に整列され、ボルト又はリベットなどの圧縮締結具620を受容する。改変形態の1つでは、締結力をトランスデューサー602全体に分散させるためにプレート622がトランスデューサー602の(プレートがないと仮定した場合の)露出面と締結具620との間に配置される。別の改変形態(具体的に示されていない)では、変換部分594の開口部595に隣接した位置の局所的応力を軽減するためにプレート624が変換部分594の(プレートがないと仮定した場合の)露出面と締結具620との間に配置される。図50に示されるように、複数のトランスデューサー602及び必要に応じて複数のプレート622を同じ圧縮締結具620によって変換部分594にクランプ固定することができる。図51に示される第2の構造の第2の変形形態では、金属バンド626を変換部分594及びトランスデューサー602の周囲に固定することができる。金属バンドは、締結力を生じるために加熱し、配置してから冷却することが好ましい。改変形態の1つでは、締結力をトランスデューサー602全体に分散させるためにプレート622がトランスデューサー602の(プレートがないと仮定した場合の)露出面と金属バンド626との間に配置される。別の改変形態(具体的に示されていない)では、変換部分594の金属バンド626の下における局所的応力を軽減するためにプレート624が変換部分594の(プレートがないと仮定した場合の)露出面と金属バンド626との間に配置される。図51に示されるように、複数のトランスデューサー602及び必要に応じて複数のプレート622を同じ金属バンド626によって変換部分594にクランプ固定することができる。
【0079】
第2の表現形態の第3の構成では、トランスデューサー602は、接着剤又は鑞付け601により変換部分594に間接的に接着される。例示的な接着剤としてはエポキシ及びシアノアクリレートがあり、例示的な鑞付けについては表1に示す。第3の構成の第1の変形形態では、超音波トランスデューサー602の近位端602a及び遠位端602bが、接着剤又は鑞付け601による接着時に長手方向に圧縮される。接着剤が硬化するか、又は鑞付けが冷却した後、超音波トランスデューサー602は、トランスデューサー602、接着剤又は鑞付け601、及び変換部分594の間に確立される接着により残余的に圧縮状態に維持される。図52に示される更なる変形形態では、遠位端プレート628が遠位端602bと当接関係となるように導波管590と同様に接着されることにより、露出面におけるトランスデューサー602の復元に抗するとともに、製造時にトランスデューサー602の遠位端602b全体に圧縮力を分散させることができる。遠位端プレート628は、一体に接着されたアセンブリを形成するように遠位端602bと同様に便宜よく接着することができる。図52にやはり示される更なる変形形態では、端部質量部材640が、近位端602aと当接関係となるように導波管590の第1の共振子又は近位側端部592と同様に接着されることにより、露出面におけるトランスデューサー602の復元に抗するとともに、製造時にトランスデューサー602の近位端602a全体に圧縮力を分散させることができる。必要又は望ましい場合には、接着層を接着面に適用してもよい。本明細書において述べる組成物の1つにより導電性表面を鑞付けするための接着層は、例えばニッケルメッキ又は金トップコートによって調製することができる。
【表1】
引用元:Charles A.Harper,Electronic Packaging and Interconnection Handbook(4th Ed.),McGraw−Hill,2004。
【0080】
図53に示される第3の構成の第2の変形形態では、トランスデューサー602は鑞付け601によって担体630に間接的に接着され、担体630はサブアセンブリとして変換部分594に接着される。担体630はケイ素で形成されることが好ましいが、同様の温度耐性を有する他の基板を使用することもできる。担体/トランスデューサーのサブアセンブリを、導波管590、第1の共振子592、第2の共振子596、及び任意のエンドエフェクター部分520aなどの非トランスデューサー構造の作製とは別に作製できる点は有利である。担体630は低温プロセスにより変換部分594と接着してもよく、これにより、変換部分524への担体/トランスデューサーサブアセンブリの取り付けに先立って例えば電気接点612のような電気接点の設置が可能となり、トランスデューサー602の潜在的な脱分極が防止される。これは、高温の鑞付け(275℃よりも高い固相線融点)によってトランスデューサー602をケイ素に接着しなければならないような場合に特に有利となりうる。更なる変形形態の1つでは、担体630は、表1に示されるようなSn−Bi及びSn−In合金のような低温鑞付け601により変換部分594と間接的に接着される。別の更なる変形形態では、ケイ素担体630はケイ素/ガラス/ケイ素アノード性接着によって変換部分594に積層される。二酸化ケイ素の層をケイ素担体630及び変換部分594上に成長させ、ガラス層を二酸化ケイ素層の1つの上にスパッタリング又はゾルゲル法により成膜した後、アセンブリの両側に加えられた直流電圧を用いて組み立て及び接着を行うことにより、二酸化ケイ素とガラス層とを共有結合させることができる。
【0081】
図54〜56に示される第2の表現形態の第4の構成では、少なくとも1つのトランスデューサー602が導波管590の変換部分594に取り付けられ、横方向の振動モードを生じるように構成されている。図54に示される第4の構成の第1の変形形態では、トランスデューサー602は変換部分594の露出面に取り付けられ、導波管590の平面に垂直な横方向の共振モードで動作するように構成されている。変換部分594の反対側の露出面にはトランスデューサーは取り付けられていない。変換部分594の近位部は、トランスデューサー602の重心から長手方向の距離dの位置に例えばハンドピースマウントMによって振動に対して固定される。トランスデューサー602の動作により、トランスデューサー602の重心に波腹532が形成され、導波管590の平面から横方向の振動モードが生じる。長手方向の距離dを変化させることにより、振動の共振モードの振動数、すなわち定常波の波長が変化する。第1の構成の改変形態では、大きな端部質量部材640を第1の共振子又は近位側端部592に取り付けることにより、変位に対する大きな静止質量の抵抗のために仮想的な波節534が形成される。トランスデューサー602及び端部質量部材640の重心同士の、長手方向の間隔を変化させることにより、振動の共振モードの振動数が変化する。
【0082】
図55に示される第4の構成の第2の変形形態では、第1のトランスデューサー602は変換部分594の露出面に取り付けられ、第2のトランスデューサー602は変換部分594の反対側の露出面に取り付けられている。第1及び第2のトランスデューサー602の重心同士は長手方向の距離dだけ離間しており、第1のトランスデューサー602が第2のトランスデューサー602と180°位相がずれた、導波管590の平面に垂直な横方向の共振モードで動作するように構成されている。各トランスデューサーの動作によって導波管590の平面から横方向の振動モードが生じ、第1のトランスデューサーと第2のトランスデューサーとの間のd/2の位置に波節が形成される。長手方向の距離dを変化させることにより、振動の共振モードの振動数、すなわち定常波の波長、及び振動モードの振幅が変化する。
【0083】
図56に示される第4の構成の第3の変形形態では、第1のトランスデューサー602は変換部分594の一方の縁部594aに隣接する位置に取り付けられ、第2のトランスデューサー602は変換部分594の反対側の縁部594bに隣接する位置に取り付けられ、第1のトランスデューサーと第2のトランスデューサーとは、導波管590の長手方向の中心軸によって分離されている。第1及び第2のトランスデューサー602は、第1のトランスデューサー602が第2のトランスデューサー602と180°位相がずれた、長手方向に沿ったせん断モードで動作するように構成されている。各トランスデューサーの動作により、導波管590の平面内の横方向の一次振動モード、及び長手方向の二次振動モードが生じる。
【0084】
第2の表現形態の実現形態では、トランスデューサー602は多要素型の圧電、電歪、又は場合により磁歪トランスデューサー積層体として構成することができる。多要素型トランスデューサー積層体は一般に、導波管内部で発生した振動モードの出力及び振幅を増大させるものである。磁歪トランスデューサーは、磁気励起時の渦電流損失が低減されるように多要素型トランスデューサー積層体として構成されることが好ましい。特に第5の実施形態に関して、更に他の実施形態又は公知の装置一般との組み合わせに関して超音波トランスデューサー602について述べる場合には、単一要素型トランスデューサーとして構成されたトランスデューサー及び多要素型トランスデューサーとして構成されたトランスデューサーの双方を含むことを想定している点は理解されたい。
【0085】
第2の表現形態の第5の構成では、変換部分594は変換部分594の露出面上に配置された少なくとも1つの電気接点612を有するように構成され、トランスデューサー602は電気接点612への表面実装による電気的接続のための電極部分608を有するように構成され、電極部分608は鑞付け601によって電気接点612と電気的に接合されている。電気接点612及び変換部分594は上記に述べたのと同様に構成することができるが、この構成では、電気接点は、変換部分594に直接接着される代わりに、少なくとも電極部分608を介して変換部分に間接的に接着されるトランスデューサー602に隣接して、あるいは更にはその下に配置することが可能である。トランスデューサー602は、機械的安定性を高めるために接着剤により変換部分594と接着してもよい。電極部分608は、例えばニッケルパッド607及び金トップコート609を有する電気接点612と同様の構成を有してもよい。図57に示されるように、電極608はトランスデューサー602上に直接形成してもよく、ワイヤ又はシム619などの電源を、トランスデューサー602の露出面上に配置された電極608にはんだ付け又は鑞付けすることができる。
【0086】
図58及び59に示される第5の構成の第2の変形形態では、変換部分594は変換部分594の露出面上に配置された第1(632a)及び第2(632b)のほぼ直線状の電気接点612のアレイを有するように構成されている。第1のアレイ632aは、電源と電気的に接続可能な離れた電気接点612と電気的に接続され、第2のアレイ632bは、接地と電気的に接続可能な離れた電気接点612と電気的に接続されている。電気的接続は上記に述べたような埋め込み経路としてもよく、又は例えば二酸化ケイ素(SiO)などの酸素に富んだ表面層を覆う導電性材料の表面トレースとしてもよい。このような表面トレースは、ガラス上への印刷に適した低温焼成銀インクであるDuPont 7723などの材料を使用したスクリーン印刷技術によって形成することができる。トランスデューサー602は、多要素型トランスデューサー積層体として構成され、この多要素型トランスデューサー積層体が、積層体の各要素の間に配置された積層電極から延びる第1(608a)及び第2(608b)のほぼ直線状の電極部分608のアレイを有し、第1(608a)及び第2(608b)のアレイは積層体を通じて連続した積層電極に交互に接続されている。トランスデューサー608の第1(608a)及び第2(608b)のアレイは、それぞれ第1(632a)及び第2(632b)の電気接点612のアレイへの表面実装による電気的接続がなされるように構成され、個々の電極部分608a及び608bは鑞付け601によって対応する個々の電気接点612と電気的に接合される。
【0087】
第5の構成の他の変形形態では、変換部分594は第1の複数の電源用電気接点632c及び第2の複数の接地用電気接点632dを有するように構成してもよく、複数の電気接点632c及び632dは両方とも変換部分594の露出面上に配置される。第1の複数の電気接点632cは電源と電気的に接続され、第2の複数の電気接点632dは電気的接地に電気的に接続される。多要素型トランスデューサー積層体602は、電力を供給するために積層体の各要素に電気的に接続された第1の複数の電源用電気接点608c、及び接地を与えるように積層体の各要素に電気的に接続された第2の複数の接地用接点608dを少なくとも介して変換部分594と間接的に接着され、トランスデューサー積層体602の第1の複数の電源用電気接点608cは、変換部分594の第1の複数の電源用電気接点632cと導電可能に接着され、トランスデューサー積層体602の第2の複数の接地用電気接点608dは、変換部分594の第2の複数の接地用電気接点632dと導電可能に接着される。トランスデューサー積層体の第1(608c)及び第2(608d)の複数の接点は、トランスデューサー積層体から突出してもよく、トランスデューサー積層体上に配置されてもよく、担体630の変換部分接着面上に配置されてもよく、あるいは上記の任意の組み合わせとしてもよい。
【0088】
図60〜63に示される第5の実施形態の第3の表現形態では、端部質量部材640が第1の共振子592に取り付けられている。図60及び61に示される第3の表現形態の第1の構成では、第1の共振子592が少なくとも1つの開口部593を有し、端部質量部材640が少なくとも1つの対応する開口部643を有している。対応する開口部593及び643は軸方向に整列され、ボルト又はリベットなどの圧縮締結具620を受容する。図61に示されるように、複数の端部質量部材640を同じ圧縮締結具620によって第1の共振子592に取り付けることができる。
【0089】
図62に示される第3の表現形態の第2の構成では、第1の共振子592の側面は、大きく傾斜した近位側表面644aとほぼ垂直な遠位側表面644bとを有する複数の歯644を有している。端部質量部材640は第1の共振子592を受容するように構成された通路642、及びほぼ垂直な近位側表面646aと、対応する傾斜した遠位側表面646bとを有する複数の歯646を有している。複数の歯644と646とは、通路642が第1の共振子592を受容すると基本的に不可逆的に噛み合う。第2の構成は、トランスデューサーを作製する際にトランスデューサー602を圧縮するか、あるいは予め作製されたトランスデューサーを圧縮するために使用することができる。
【0090】
図63及び64に示される第3の表現形態の第3の構成では、端部質量部材が第1の共振子592を受容するように構成された通路642を有している。端部質量部材640は、接着剤又は鑞付け601により第1の共振子592に間接的に接着される。第3の構成の変形形態の1つでは、第1の共振子592は例えば図34に示される上段の構造のような管腔531を有する積層構造であり、端部質量部材は対応するように配置された管腔647を有する。管腔647は、端部質量部材640の近位端上の例えばルアー嵌合要素のような嵌合要素648と連通しうる。
【0091】
第3の表現形態の構成の実現形態では、端部質量部材640の遠位端はトランスデューサー602と当接しうる。第1の共振子592の開口部593などの構造を、端部質量部材640がトランスデューサー602を長手方向に圧縮するように構成することができる。第1の共振子592の複数の歯644及び646、並びに端部質量部材640のような構造によって、端部質量部材640を、トランスデューサー602により長手方向に圧縮された状態に機械的にロックすることができる。最後に、第1の共振子592及び端部質量部材640の通路642は、端部質量部材640が第1の共振子に接着される一方で端部質量部材がトランスデューサー602を長手方向に圧縮するような寸法とすることができる。接着剤が硬化するか、又は鑞付けが冷却した後、超音波トランスデューサー602は、第1の共振子592と端部質量部材640との間に確立される接着により残余的に圧縮状態に維持される。
【0092】
以上、複数の実施形態の説明によって本発明を例示したが、付属の特許請求の範囲の趣旨及び範囲をこうした詳細に制限又は限定することは出願人の意図するところではない。当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく多くの変形、変更、及び代用が想到されるであろう。更に、本発明に関連する各要素の構造は、その要素によって行われる機能を与えるための手段として述べることもできる。したがって本発明は、付属の「特許請求の範囲」の趣旨及び範囲によってのみ限定されるものとする。
【0093】
〔実施の態様〕
(1) 遠位端と、該遠位端から近位方向に取り付けられた超音波放射装置とを有する医療用超音波ハンドピースであって、前記超音波放射装置が、前記遠位端の方向に前記超音波放射装置から所定の距離に焦点を有する超音波エネルギーのビームを発生するように構成され、集束化放射面を備えた少なくとも1つのモノリシック超音波源、又は電子的に集束可能なアレイとして構成された少なくとも1つのアレイ型超音波源を有する、医療用超音波ハンドピースと、
顔面要素の周囲に配置するためのガイド部材であって、その際、皮膚の内部に前記焦点を位置決めするように前記超音波ハンドピースが前記ガイド部材と摺動可能に嵌合する、ガイド部材と、を備えた、超音波外科装置。
(2) 前記所定の距離が、下記の機構、すなわち、アレイ型超音波源の電気的調節、前記遠位側ガイド部材の厚さの機械的調節、又は、機械的位置決めシステムによる前記遠位端に対する前記超音波放射装置の位置の機械的調節、のいずれかによって調節可能である、実施態様1に記載の超音波外科装置。
(3) 前記遠位側ガイド部材が、顔面要素の周囲に配置される位置決めリングである、実施態様1に記載の超音波外科装置。
(4) 前記位置決めリングが接着裏材を有する、実施態様3に記載の超音波外科装置。
(5) 前記医療用超音波ハンドピースが真空ポートを有し、前記位置決めリングがチャンバを画定し、前記超音波ハンドピースが前記ガイド部材と嵌合される際に前記チャンバ内部の前記真空ポートによって作用させられる真空によって前記位置決めリングが前記顔面要素の周囲の皮膚の表面に接着される、実施態様3に記載の超音波外科装置。
(6) 前記位置決めリングが、最大5psi(34.5kPa)の負荷で基本的に圧縮されない可撓性の発泡材シートで形成される、実施態様3に記載の超音波外科装置。
(7) 前記遠位側ガイド部材が、前記遠位端を受容するように構成された摺動可能な連動シャトル部材を有する位置決めベースである、実施態様1に記載の超音波外科装置。
(8) 前記位置決めベースが接着裏材を有する、実施態様7に記載の超音波外科装置。
(9) 前記遠位端が、再配置可能な脚部を与える、実施態様7に記載の超音波外科装置。
(10) 前記超音波ハンドピースにそれぞれ着脱可能に取り付けることが可能な、異なる厚さを有する複数の再配置可能な脚部の1つを、前記医療用超音波ハンドピースに着脱可能に取り付けることによって、前記遠位端に対する前記超音波放射装置の位置を変化させる、実施態様9に記載の超音波外科装置。
【0094】
(11) 前記超音波ハンドピースにそれぞれ着脱可能に取り付けることが可能な、異なる面積を有する複数の再配置可能な脚部の1つを、前記医療用超音波ハンドピースに着脱可能に取り付けることによって、前記焦点付近の拡散超音波エネルギーの皮膚への作用を制御する、実施態様9に記載の超音波外科装置。
(12) 前記医療用超音波ハンドピースが、前記遠位側ガイド部材に対する前記焦点の位置を監視するように構成された整合システムを有する、実施態様1に記載の超音波外科装置。
(13) 前記医療用超音波ハンドピースが、前記遠位側ガイド部材に対する前記焦点の軌跡を監視するように構成された整合システムを有する、実施態様1に記載の超音波外科装置。
(14) 超音波外科装置を使用する方法であって、前記超音波外科装置が、
遠位端と、該遠位端から近位方向に取り付けられた超音波放射装置とを有する医療用超音波ハンドピースであって、前記超音波放射装置が、前記遠位端の方向に前記超音波放射装置から所定の距離に焦点を有する超音波エネルギーのビームを発生するように構成され、集束化放射面を備えた少なくとも1つのモノリシック超音波源、又は電子的に集束可能なアレイとして構成された少なくとも1つのアレイ型超音波源を有する、医療用超音波ハンドピースと、
顔面要素の周囲に配置するためのガイド部材であって、その際、皮膚の内部に前記焦点を位置決めするように前記超音波ハンドピースが前記ガイド部材と摺動可能に嵌合するガイド部材と、を備え、
前記方法が、
顔面要素の真皮内に皮膚充填剤を注入する工程と、
前記遠位側ガイド部材を前記顔面要素を囲むように前記皮膚の表面上に配置する工程と、
前記顔面要素上の前記皮膚に音響ジェルを塗布する工程と、
前記超音波ハンドピースの前記遠位端を前記配置されたガイド部材に嵌め込む工程と、
前記超音波ハンドピースを前記配置されたガイド部材上で摺動させて移動することにより、前記注入された皮膚充填剤の内部に前記超音波放射装置の前記焦点を位置決めし、次いで前記超音波放射装置を作動させて前記皮膚充填剤をずり流動化する工程と、を含む方法。
(15) 前記遠位側ガイド部材が、チャンバを画定する位置決めリングであり、前記医療用超音波ハンドピースが前記チャンバと連通する真空ポートを有し、
前記超音波ハンドピースが前記位置決めリングと嵌合される際、前記真空ポートによって前記チャンバの内部に真空を作用させる工程を更に含み、
次いで前記超音波放射装置が上記に述べたように作動させられる、実施態様14に記載の方法。
(16) 前記皮膚を張力下におき、次いで前記遠位側ガイド部材を前記皮膚の、張力をかけられた表面に接着する工程を更に含む、実施態様14に記載の方法。
(17) 遠位端と、顔面要素上に配置するための遠位側転動部材と、前記遠位端から近位方向に取り付けられた超音波放射装置と、を有する医療用超音波ハンドピースであって、前記超音波放射装置が、前記遠位端の方向に前記超音波放射装置から所定の距離に焦点を有する超音波エネルギーのビームを発生するように構成され、更に、集束化放射面を備えた少なくとも1つのモノリシック超音波源、又は電子的に集束可能なアレイとして構成された少なくとも1つのアレイ型超音波源を有する、医療用超音波ハンドピースを備えた、超音波外科装置。
(18) 前記遠位側転動部材が、前記遠位端に配置されたベアリングのリングであり、前記遠位端が、内部音響結合媒体によって前記超音波放射装置と結合された音響ヘッドを有する、実施態様17に記載の超音波外科装置。
(19) 前記医療用超音波ハンドピースが、前記遠位端と連通した真空マニホールドを有する、実施態様18に記載の超音波外科装置。
(20) 前記遠位側転動部材が、前記遠位端に配置され、かつ前記医療用超音波ハンドピース内に通常入れられる音響媒体によって前記超音波放射装置と外部において結合されるボールである、実施態様17に記載の超音波外科装置。
【0095】
(21) 前記医療用超音波ハンドピースの内部から、前記ボールの表面上のコーティングとして音響ジェルが供給される、実施態様20に記載の超音波外科装置。
(22) 前記遠位側転動部材が、所定の軸を中心として回転するように前記医療用超音波ハンドピースに取り付けられたボールであり、前記超音波放射装置が前記ボールの内部に配置され、前記ボールが、前記ボールの内部に入れられた音響結合流体によって前記超音波放射装置と内部において結合される、実施態様17に記載の超音波外科装置。
(23) 前記ボールが、該ボールの回転軸の軸端間に延びる固定子、及び該固定子と前記軸端との界面の周囲に配置された1又は2以上のシールを有する、実施態様22に記載の超音波外科装置。
(24) 前記固定子が、ピン/プラグ連結機構によって前記医療用超音波ハンドピースのハンドル部分に対して方向を使用者により調節可能に固定され、前記ピンが前記プラグ内の複数の位置に形状が一致するように受容されうる、実施態様23に記載の超音波外科装置。
(25) 前記ボールにそれぞれ着脱可能に取り付けることが可能な、異なる材料の厚さを有する複数のリングの1つを前記ボールに着脱可能に取り付けることによって、前記遠位端に対する前記超音波放射装置の位置を機械的に変化させる、実施態様22に記載の超音波外科装置。
(26) 超音波外科装置を使用する方法であって、前記超音波外科装置が、
遠位端と、顔面要素上に配置するための遠位側転動部材と、前記遠位端から近位方向に取り付けられた超音波放射装置と、を有する医療用超音波ハンドピースであって、前記超音波放射装置が、前記遠位端の方向に前記超音波放射装置から所定の距離に焦点を有する超音波エネルギーのビームを発生するように構成され、更に、集束化放射面を備えた少なくとも1つのモノリシック超音波源、又は電子的に集束可能なアレイとして構成された少なくとも1つのアレイ型超音波源を有する、医療用超音波ハンドピースを備え、
前記方法が、
前記顔面要素の真皮内に皮膚充填剤を注入する工程と、
前記顔面要素上の前記皮膚の表面上に前記遠位側転動部材を配置する工程と、
前記顔面要素上の前記皮膚に音響ジェルを塗布する工程と、
前記遠位側転動部材を前記皮膚上に転がして移動させることにより、前記注入された皮膚充填剤の内部に前記超音波放射装置の前記焦点を位置決めし、次いで前記超音波放射装置を作動させて前記皮膚充填剤をずり流動化する工程と、を含む方法。
(27) 前記超音波放射装置を停止させ(depowering)、次いで前記遠位側転動部材を前記皮膚上に転がして移動させることによって前記皮膚充填剤をずり流動化した状態で前記皮膚の表面から操作する工程を更に含む、実施態様26に記載の方法。
(28) 超音波トランスデューサーを有する医療用超音波ハンドピースアセンブリと、
前記超音波トランスデューサーと結合されたエンドエフェクターであって、順に、遠位側プローブ先端部、プローブネック、プローブ拡張領域、及び超音波活性を有するシャフトを有し、該シャフトが超音波に対して不活性なプローブシース内に同軸的に収容された、エンドエフェクターと、を備え、
前記プローブ拡張領域が、前記プローブ先端部の平均外径及び前記プローブネックの平均外径に等しいか又はそれよりも大きい平均外径を有するように構成され、
前記プローブシースが前記プローブ拡張領域の外径とほぼ等しい外径を有するように構成されることにより、前記プローブシースと前記プローブ拡張領域との間に均一な接合部が形成される、超音波外科装置。
(29) 前記遠位側プローブ先端部が最遠位ブレード部分を有する、実施態様28に記載の超音波外科装置。
(30) 前記プローブ拡張領域が、前記遠位側プローブ先端部から近位側の第1の波腹の近傍に位置する、実施態様28に記載の超音波外科装置。
【0096】
(31) 前記プローブ拡張領域と前記超音波に対して不活性なプローブシースとが接合部を形成し、該接合部が前記近位側波腹から近位側の波節に位置する、実施態様30に記載の超音波外科装置。
(32) 前記プローブ拡張領域と前記超音波に対して不活性なプローブシースとが接合部を形成し、該接合部が前記第1の波腹に位置する、実施態様30に記載の超音波外科装置。
(33) 前記遠位側プローブ先端部が、断面が波形の外周を有する、実施態様28に記載の超音波外科装置。
(34) 前記遠位側プローブ先端部が、前記プローブ先端部の一部分が前記プローブ拡張領域の幅よりも広くなるような高いアスペクト比を有する、実施態様33に記載の超音波外科装置。
(35) 前記プローブネックが、断面が波形の外周を有する、実施態様28に記載の超音波外科装置。
(36) 前記プローブネックの一部が、内部管腔への開口部を有する、長手方向に延び、周方向に配列された複数のスラットを有するように構成された、実施態様35に記載の超音波外科装置。
(37) 前記プローブネックの近位部が、中実ロッドとして構成され、前記中実ロッドが、長手方向に延び、周方向に配列された複数の凹部と交互に形成された、長手方向に延び、周方向に配列された複数のリブを画定する、実施態様35に記載の超音波外科装置。
(38) 前記医療用超音波ハンドピースアセンブリが、前記エンドエフェクターと流体連通した少なくとも1つの流体管腔を有し、前記超音波活性を有するシャフトが内部管腔を有し、前記医療用超音波ハンドピースアセンブリの前記少なくとも1つの流体管腔が前記内部管腔と流体連通する、実施態様28に記載の超音波外科装置。
(39) 前記医療用超音波ハンドピースアセンブリが、前記超音波トランスデューサーの近位端から前記医療用超音波ハンドピースアセンブリのハンドピースポート内部に突出する、前記超音波活性を有するシャフトの反対側に突出した部分を有する、実施態様38に記載の超音波外科装置。
(40) 前記ハンドピースポートが注射器先端部を有する注射器に接続されるように構成され、前記反対側に突出した部分が、前記注射器先端部の少なくとも内部に突出するように構成された、実施態様39に記載の超音波外科装置。
【0097】
(41) 前記医療用超音波ハンドピースアセンブリが、前記エンドエフェクターと流体連通した少なくとも1つの流体管腔を有し、前記超音波に対して不活性なプローブシースと前記超音波活性を有するシャフトとの間の介在空間が流体管腔として機能し、前記医療用超音波ハンドピースアセンブリの前記少なくとも1つの流体管腔が、前記超音波に対して不活性なプローブシースの前記近位端及び前記介在空間と流体連通する、実施態様28に記載の超音波外科装置。
(42) 超音波外科装置を使用する方法であって、前記超音波外科装置が、
超音波トランスデューサーを有する医療用超音波ハンドピースアセンブリと、
前記超音波トランスデューサーと結合されたエンドエフェクターであって、順に、遠位側プローブ先端部、プローブネック、プローブ拡張領域、及び超音波活性を有するシャフトを有し、該シャフトが超音波に対して不活性なプローブシース内に同軸的に収容された、エンドエフェクターと、を備え、
前記プローブ拡張領域が、前記プローブ先端部の平均外径及び前記プローブネックの平均外径に等しいか又はそれよりも大きい平均外径を有するように構成され、
前記プローブシースが前記プローブ拡張領域の外径とほぼ等しい外径を有するように構成されることにより、前記プローブシースと前記プローブ拡張領域との間に均一な接合部が形成され、
前記方法が、
顔面要素内に皮膚充填剤を注入する工程と、
前記皮膚の表面下に少なくとも前記遠位側プローブ先端部を挿入する工程と、
前記超音波トランスデューサーを作動させて前記プローブ先端部を動作させる工程と、
少なくとも前記遠位側プローブ先端部を前記注入された皮膚充填剤内に挿入する工程と、を含む方法。
(43) 前記作動させる工程の後に、
前記皮膚の表面下に前記プローブ拡張領域を挿入することによって前記プローブの超音波活性を有する部分との不用意な接触から前記皮膚の表面を保護する工程を更に含む、実施態様42に記載の方法。
(44) 超音波外科装置を使用する方法であって、前記超音波外科装置が、
超音波トランスデューサーを有する医療用超音波ハンドピースアセンブリと、
前記超音波トランスデューサーと結合されたエンドエフェクターであって、順に、遠位側プローブ先端部、プローブネック、プローブ拡張領域、及び超音波活性を有するシャフトを有し、該シャフトが超音波に対して不活性なプローブシース内に同軸的に収容された、エンドエフェクターと、を備え、
前記プローブ拡張領域が、前記プローブ先端部の平均外径及び前記プローブネックの平均外径に等しいか又はそれよりも大きい平均外径を有するように構成され、
前記プローブシースが前記プローブ拡張領域の外径とほぼ等しい外径を有するように構成されることにより、前記プローブシースと前記プローブ拡張領域との間に均一な接合部が形成され、
前記方法が、
前記遠位側プローブ先端部を眼窩周囲の脂肪パッドの上の皮膚の表面下に挿入する工程と、
前記超音波トランスデューサーを作動させて前記遠位側プローブ先端部を動作させる工程と、
前記眼窩周囲の脂肪パッド内に前記遠位側プローブ先端部を前進させる工程と、
前記遠位側プローブ先端部が前進させられる際に、前記プローブ拡張領域及び前記超音波に不活性なプローブシースを前記皮膚の表面下に挿入することによって前記皮膚を前記プローブの超音波活性を有する部分から隔離する工程と、
前記超音波トランスデューサーを作動させた状態で前記眼窩周囲の脂肪パッド内の前記遠位側プローブ先端部を操作する工程と、を含む方法。
(45) 超音波トランスデューサーを有する医療用超音波ハンドピースと、
前記超音波トランスデューサーと結合されたエンドエフェクターであって、順に、遠位側プローブ先端部、プローブネック、及び超音波活性を有するシャフトを有し、該シャフトが超音波に対して不活性なプローブシース内に同軸的に収容された、エンドエフェクターと、を備え、
前記プローブシースが、該プローブシースの前記遠位端が少なくとも前記プローブ先端部を覆い、更にこれを露出させるように摺動可能に動作するように構成されている、超音波外科装置。
(46) 前記超音波に対して不活性なプローブシースの少なくとも一部が長手方向に可撓性であり、S字状の襞を有し、前記プローブシースの前進に対する長手方向の抗力に応じて前記プローブシースの前記遠位端が摺動して縮むことを可能とするように適合されている、実施態様45に記載の超音波外科装置。
(47) 前記超音波に対して不活性なプローブシースの部分の硬さが、前記プローブシースの、前記襞に遠位側で隣接した部分が、前記プローブ先端部及び前記プローブシースが軟組織中に前進させられる際に前記襞に折り畳まれないように適合されている、実施態様46に記載の超音波外科装置。
(48) 前記超音波に対して不活性なプローブシースの前記遠位端が、前記プローブシースの前進に対する長手方向の抗力に応じて前記プローブシースの近位側部分の内部において前記プローブシースの最遠位部分を摺動により縮ませるように構成されたバネ付勢機構を有する、実施態様45に記載の超音波外科装置。
(49) 前記バネ付勢機構が、両端が前記最遠位部分と前記近位側部分とにそれぞれ固定された、周方向に対向して配置された少なくとも2つの弾性ドッグボーンを有する、実施態様48に記載の超音波外科装置。
(50) 前記バネ付勢機構のバネ力が、前記プローブ先端部及び前記超音波に対して不活性なプローブシースが軟組織中に前進させられる際に、前記最遠位部分が前記遠位側プローブ先端部の近位側部分を大きく露出させないように適合されている、実施態様48に記載の超音波外科装置。
【0098】
(51) 前記超音波に対して不活性なプローブシースの近位部が、少なくとも前記遠位側プローブ先端部上で前記超音波に対して不活性なプローブシースの前記遠位端を確実に位置決めするように構成された調節機構と結合されている、実施態様45に記載の超音波外科装置。
(52) 前記調節機構が、前記超音波に対して不活性なプローブシースの前記近位部の外側ねじ切り部と回転可能に結合する内側のねじ切りを有する駆動部材を有する、実施態様51に記載の超音波外科装置。
(53) 前記調節機構が、前記超音波に対して不活性なプローブシースの前記近位部に固定された摺動部材を有する、実施態様51に記載の超音波外科装置。
(54) 前記調節機構が前記医療用超音波ハンドピースの要素である、実施態様51に記載の超音波外科装置。
(55) 前記プローブネックが内部管腔内に開口する複数のスロットを有する、実施態様45に記載の超音波外科装置。
(56) 前記複数のスロットが長手方向のスロットのアレイとして構成されている、実施態様55に記載の超音波外科器具。
(57) 前記複数のスロットが、長手方向に細長い、周方向に配列された複数のブリッジと交互に配された、長手方向に細長い、周方向に配列された複数のスロットとして構成されている、実施態様55に記載の超音波外科器具。
(58) 前記複数のスロットが波節に位置する、実施態様57に記載の超音波外科器具。
(59) 前記超音波活性を有するシャフト、プローブネック、及び遠位側プローブ先端部が内部管腔を有し、
前記超音波活性を有するシャフトと前記超音波に対して不活性なプローブシースとが介在空間を形成し、
プローブネックの近位部が、前記内部管腔と前記介在空間とを流体連通する横孔、及び前記横孔から近位側に配置されたシールを有する、実施態様45に記載の超音波外科器具。
(60) 少なくとも1つのカニューレが前記シールを貫通して前記横孔を超えて遠位方向に延びる、実施態様59に記載の超音波外科装置。
【0099】
(61) 前記プローブネックの前記近位部が遠位側に開口したベルとして構成され、前記ベルの幅が狭まる部分に前記横孔が配置されている、実施態様59に記載の超音波外科装置。
(62) 超音波外科装置を使用する方法であって、前記超音波外科装置が、
超音波トランスデューサーを有する医療用超音波ハンドピースと、
前記超音波トランスデューサーと結合されたエンドエフェクターであって、順に、遠位側プローブ先端部、プローブネック、及び超音波活性を有するシャフトを有し、該シャフトが超音波に対して不活性なプローブシース内に同軸的に収容されるとともに前記プローブネックと動作可能に接続された、エンドエフェクターと、を備え、
前記プローブシースが、該プローブシースの前記遠位端が少なくとも前記プローブ先端部を覆い、更にこれを露出させるように摺動可能に動作するように構成されており、
前記方法が、
前記皮膚の表面下に少なくとも前記遠位側プローブ先端部を挿入する工程と、
前記超音波トランスデューサーを作動させて前記プローブ先端部を動作させる工程と、
前記超音波トランスデューサーが作動されている状態で前記皮膚の表面下に前記超音波に対して不活性なプローブシースの前記遠位端を挿入する工程と、
前記超音波トランスデューサーが作動されている状態で前記プローブ先端部を前進させる工程と、
前記プローブシースの遠位端を縮めて少なくとも前記遠位側プローブ先端部のより大きな長さを露出させる工程と、を含む方法。
(63) 顔面要素内に皮膚充填剤を注入する工程と、
少なくとも前記遠位側プローブ先端部を前記注入された皮膚充填剤内に挿入する工程と、を更に含む、実施態様62に記載の方法。
(64) 遠位側プローブ先端部が眼窩周囲の脂肪パッドの上の皮膚の表面下に挿入され、前記超音波トランスデューサーが作動されている状態で前記眼窩周囲の脂肪パッド内で少なくとも前記遠位側プローブ先端部を操作する工程を更に含む、実施態様62に記載の方法。
(65) 前記超音波に対して不活性なプローブシースの前記遠位端が前記超音波外科装置から分離可能であり、
前記超音波外科装置から前記超音波に対して不活性なプローブシースの前記遠位端を分離する工程と、
前記超音波に対して不活性なプローブシースの前記分離された遠位端が前記皮膚の表面下の定位置に留まった状態で前記超音波外科装置を引き抜く工程と、を更に含む、実施態様62に記載の方法。
(66) 単結晶又は多結晶材料で形成された長手方向に細長い、ほぼ平面状の導波管であって、順に、第1の共振子又は近位側端部、変換部分、及び第2の共振子を有する、導波管と、
該導波管に取り付けられたトランスデューサー構造と、を備えた、超音波外科器具用の超音波コア。
(67) 前記導波管材料が、ケイ素、又はドーパントを含むケイ素のみから基本的になる、実施態様66に記載の超音波コア。
(68) 前記導波管がモノリシック構造である、実施態様66に記載の超音波コア。
(69) 前記導波管が、前記単結晶又は多結晶材料の複数の平面状の層を有する積層構造である、実施態様66に記載の超音波コア。
(70) 2つの近接層が内部管腔を画定する、実施態様69に記載の超音波コア。
【0100】
(71) 前記単結晶又は多結晶材料で形成されたエンドエフェクター部分を更に備えた、実施態様66に記載の超音波コア。
(72) 前記導波管及び前記エンドエフェクター部分がモノリシック構造である、実施態様71に記載の超音波コア。
(73) 前記導波管と前記エンドエフェクターとが共振可能に近接している、実施態様71に記載の超音波コア。
(74) 前記エンドエフェクター部分が、順に、超音波活性を有するシャフト、プローブネック、及び遠位側プローブ先端部を有する、実施態様71に記載の超音波コア。
(75) 前記第2の共振子が、前記変換部分に生じた超音波振動のモードの大きさを変化させるように構成されている、実施態様66に記載の超音波コア。
(76) 前記第2の共振子が、第1の横方向の大きさを有する近位端、第2のより小さい横方向の大きさを有する遠位端、及び、前記第1及び第2の横方向の大きさの間で概ね幅の狭くなる本体を有している、実施態様75に記載の超音波コア。
(77) 前記トランスデューサー構造のトランスデューサーの一部が、前記第2の共振子の前記近位端上に延びる、実施態様76に記載の超音波コア。
(78) 前記第2の共振子が、前記導波管の長手方向の中心軸に対して対称であり、前記第2の横方向の大きさと一致する基本的に一定の横方向の大きさを有する実質的な本体部を有している、実施態様76に記載の超音波コア。
(79) 前記トランスデューサー構造が前記変換部分を一次振動数で長手方向に振動させ、前記第2の共振子と結合されたエンドエフェクター部分が前記一次振動数の分数調波振動数の横方向の作動モードで動作するように構成されることにより、前記超音波振動のモードが振動数ωの長手方向の駆動モードから振動数ω/Nの横方向の作動モードに効果的に変換される、実施態様78に記載の超音波コア。
(80) 前記第2の共振子が、前記導波管の長手方向の中心軸に対して非対称である、実施態様76に記載の超音波コア。
【0101】
(81) 前記第2の共振子の縁部が、前記導波管の前記長手方向の中心軸に対して非対称である、実施態様80に記載の超音波コア。
(82) 少なくとも1つの開口部が前記第2の共振子内に非対称的に配置されている、実施態様80に記載の超音波コア。
(83) 前記開口部が、前記第2の共振子の縁部から一部長手方向かつ一部横方向内側に延びるスロットである、実施態様82に記載の超音波コア。
(84) 前記第2の共振子が前記トランスデューサー構造のトランスデューサーの利得部分を有し、該利得部分が、第1の横方向の大きさを有する近位端、第2のより小さい横方向の大きさを有する遠位端、及び前記第1及び第2の横方向の大きさの間で概ね幅が狭くなる本体を有する、実施態様76に記載の超音波コア。
(85) 前記トランスデューサー構造が、圧電又は電歪セラミックで形成されたトランスデューサーを含み、該トランスデューサーが前記変換部分の側面に直接接着される、実施態様66に記載の超音波コア。
(86) 前記トランスデューサーが、積層された導波管の隣接又は近接層の前記変換部分の両面に直接接着される、実施態様85に記載の超音波コア。
(87) 前記変換部分が少なくとも1つの開口部を有し、前記トランスデューサーが前記開口部を通じて前記変換部分を架橋するブリッジ部分を有し、前記トランスデューサーが前記変換部分の両面に直接接着される、実施態様85に記載の超音波コア。
(88) 前記トランスデューサー構造がトランスデューサーを含み、該トランスデューサーが前記変換部分の側面にクランプ固定される、実施態様66に記載の超音波コア。
(89) 前記トランスデューサー構造がトランスデューサーを含み、該トランスデューサーが前記変換部分に接着剤又は鑞付けによって間接的に接着される、実施態様66に記載の超音波コア。
(90) 前記トランスデューサーの近位端及び遠位端が、前記接着剤又は鑞付けによる接着時に長手方向に圧縮されることにより、前記トランスデューサーが、前記トランスデューサー、前記接着剤又は鑞付け、及び前記変換部分の間の接着により残余的に圧縮状態に維持される、実施態様89に記載の超音波コア。
【0102】
(91) 前記トランスデューサー構造が担体に間接的に接着されたトランスデューサーを有し、該担体が前記変換部分に積層又は間接的に接着される、実施態様66に記載の超音波コア。
(92) 前記担体が、ケイ素/ガラス/ケイ素アノード性積層体によって前記変換部分に積層される、実施態様91に記載の超音波コア。
(93) 前記担体が、鑞付けにより前記変換部分に間接的に接着される、実施態様91に記載の超音波コア。
(94) 前記トランスデューサー構造が、前記変換部分に取り付けられ、横方向の振動モードを発生するように構成された少なくとも1つのトランスデューサーを有する、実施態様66に記載の超音波コア。
(95) 前記トランスデューサーが前記変換部分の露出面に取り付けられるとともに前記導波管の平面に垂直な横方向の共振モードで動作するように構成され、前記変換部分の反対側の露出面にはトランスデューサーは取り付けられておらず、前記変換部分の近位部は振動に対して固定されている、実施態様94に記載の超音波コア。
(96) 第1のトランスデューサーが前記変換部分の露出面に取り付けられ、第2のトランスデューサーが前記変換部分の反対側の露出面に取り付けられ、該第1及び第2のトランスデューサーは、該第1のトランスデューサーが該第2のトランスデューサーと180°位相がずれた、前記導波管の平面に垂直な横方向の共振モードで動作するように構成されている、実施態様94に記載の超音波コア。
(97) 第1のトランスデューサーが前記変換部分の一方の縁部に隣接する位置に取り付けられ、第2のトランスデューサーが前記変換部分の反対側の縁部に隣接する位置に取り付けられ、該第1のトランスデューサーと第2のトランスデューサーとは、前記導波管の長手方向の中心軸によって分離され、該第1及び第2のトランスデューサーは、該第1のトランスデューサーが該第2のトランスデューサーと180°位相がずれた、長手方向に振動するせん断モードで動作するように構成されている、実施態様94に記載の超音波コア。
(98) 前記変換部分が該変換部分の露出面上に配置された少なくとも1つの電気接点を有し、前記トランスデューサー構造が前記変換部分に取り付けられたトランスデューサーを有し、前記トランスデューサーが前記電気接点に鑞付けによって接合された電極部分を有する、実施態様66に記載の超音波コア。
(99) 前記変換部分が該変換部分の露出面上に配置された第1及び第2のほぼ直線状の電気接点のアレイを有し、前記第1のアレイは、第1の離れた電気接点と電気的に接続され、前記第2のアレイは、第2の離れた電気接点と電気的に接続されている、実施態様66に記載の超音波コア。
(100) 前記トランスデューサー構造がトランスデューサーを有し、該トランスデューサーが、多要素型トランスデューサー積層体として構成され、該多要素型トランスデューサー積層体が、該積層体の各要素の間に配置された積層電極から延びる第1及び第2のほぼ直線状の電極部分のアレイを有し、前記第1及び第2のアレイは前記積層体を通じて連続した積層電極に交互に接続されている、実施態様99に記載の超音波コア。
【0103】
(101) 前記トランスデューサーの前記第1及び第2のアレイが、前記第1及び第2の電気接点のアレイに接続され、個々の前記電極部分が鑞付けによって対応する個々の電気接点と電気的に接合されている、実施態様100に記載の超音波コア。
(102) 前記変換部分が、いずれも前記変換部分の露出面上に配置された第1の複数の電源用電気接点及び第2の複数の接地用電気接点を有するように構成され、前記第1の複数の電気接点が電源と電気的に接続され、前記第2の複数の電気接点が電気的接地に電気的に接続され、多要素型トランスデューサー積層体が、電力を供給するために前記積層体の各要素に電気的に接続された第1の複数の電源用電気接点及び接地を与えるように前記積層体の各要素に電気的に接続された第2の複数の接地用接点を少なくとも介して前記変換部分594と間接的に接着され、前記トランスデューサー積層体の前記第1の複数の電源用電気接点が、前記変換部分の前記第1の複数の電源用電気接点と導電可能に接着され、前記トランスデューサー積層体の前記第2の複数の接地用電気接点が、前記変換部分の前記第2の複数の接地用電気接点と導電可能に接着されている、実施態様66に記載の超音波コア。
(103) 端部質量部材(end mass)が前記第1の共振子又は近位端に取り付けられている、実施態様66に記載の超音波コア。
(104) 前記第1の共振子又は近位端が、少なくとも1つの開口部を有する前記導波管の突出部分であり、前記端部質量部材が少なくとも1つの対応する開口部を有し、前記突出部分と前記端部質量部材とは、前記開口部に受容された圧縮締結具によって接合される、実施態様103に記載の超音波コア。
(105) 前記第1の共振子又は近位端が前記導波管の突出部分であり、前記端部質量部材が、前記突出部分を受容するように構成された通路を有する、実施態様103に記載の超音波コア。
(106) 前記突出部分が、大きく傾斜した近位側表面とほぼ垂直な遠位側表面とを有する複数の歯を有し、前記端部質量部材の前記通路が、ほぼ垂直な近位側表面と、対応する傾斜した遠位側表面とを有する複数の歯を有する、実施態様105に記載の超音波コア。
(107) 前記突出部分が接着剤又は鑞付けによって前記端部質量部材に接着される、実施態様105に記載の超音波コア。
(108) 前記突出部分が管腔を有し、前記端部質量部材が該突出部分の管腔と流体連通した、対応する位置に配置された管腔を有する、実施態様105に記載の超音波コア。
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