特許第5749327号(P5749327)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5749327発光装置用ガーネット系蛍光体セラミックシート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5749327
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】発光装置用ガーネット系蛍光体セラミックシート
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/50 20100101AFI20150625BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20150625BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20150625BHJP
   H05B 33/14 20060101ALI20150625BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20150625BHJP
   C09K 11/08 20060101ALI20150625BHJP
   C09K 11/00 20060101ALI20150625BHJP
   C09K 11/80 20060101ALI20150625BHJP
   C09K 11/79 20060101ALI20150625BHJP
【FI】
   H01L33/00 410
   H05B33/12 E
   H05B33/14 A
   H05B33/14 Z
   H05B33/10
   C09K11/08 J
   C09K11/00 A
   C09K11/80CPM
   C09K11/79CPR
【請求項の数】31
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-500095(P2013-500095)
(86)(22)【出願日】2011年3月10日
(65)【公表番号】特表2013-526007(P2013-526007A)
(43)【公表日】2013年6月20日
(86)【国際出願番号】US2011027990
(87)【国際公開番号】WO2011115820
(87)【国際公開日】20110922
【審査請求日】2014年3月5日
(31)【優先権主張番号】61/315,763
(32)【優先日】2010年3月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ビン
(72)【発明者】
【氏名】ムケルジー、ラジェッシュ
(72)【発明者】
【氏名】藤井 宏中
(72)【発明者】
【氏名】宮川 浩明
(72)【発明者】
【氏名】パン、コアン
(72)【発明者】
【氏名】中村 年孝
(72)【発明者】
【氏名】望月 周
【審査官】 村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−060747(JP,A)
【文献】 特開2007−150331(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0212697(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光装置であって、
60nm〜500nmのピーク発光の波長を有する光を放射するように構成された光源と、
光源によって放射された光の少なくとも一部を受けるように構成された複合材料と、を含み、
複合材料は、一緒に焼結されている、第1の発光層と、第2の発光層と、を含み、
第1の発光層は、第1のガーネット蛍光体を含み、第2の発光層は、第2のガーネット蛍光体を含み、第1のガーネット蛍光体および第2のガーネット蛍光体は、共通ドーパントでドープされており、
前記共通ドーパントはCeであり、
前記発光装置から発光された光が2000K〜4000Kの範囲内の相関色温度を有する暖色性白色光である、発光装置。
【請求項2】
第2の発光層は、第1の発光層と光源との間に配置されている、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
複合材料は、第1の発光層と第2の発光層との間に樹脂が実質的にない、請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項4】
複合材料は、第1の発光層と第2の発光層との間に接着剤が実質的にない、請求項1〜のうちのいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項5】
第1の発光層および第2の発光層の各々は、少なくとも25%の透過率を有する、請求項1〜に記載の発光装置。
【請求項6】
第1のガーネット蛍光体は、495nm〜560nmのピーク発光の第1の波長を有する、請求項1〜のうちのいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項7】
第2のガーネット蛍光体は、570nm〜650nmのピーク発光の第2の波長を有する、請求項1〜のうちのいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項8】
第1のガーネット蛍光体は、0.05mol%〜10.00mol%の範囲の濃度で共通ドーパントでドープされている、請求項1〜のうちのいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項9】
第2のガーネット蛍光体は、0.05mol%〜10.00mol%の範囲の濃度で共通ドーパントでドープされている、請求項1〜のうちのいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項10】
第1のガーネット蛍光体は、LuAl12:Ce、CaScSi12:Ce、YAl12:Ce、(Y、Tb)Al12:Ce、および(Y、Gd)(Al、Ga)12:Ceからなる群から選択される、請求項1〜のうちのいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項11】
第2のガーネット蛍光体は、LuCaMgSi12:Ceである、請求項1〜10のうちのいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項12】
第1の発光層および第2の発光層は、セラミックプレートまたは積層セラミックテープである、請求項1〜11のうちのいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項13】
複合材料は、第3の発光層をさらに含み、第3の発光層は、ピーク発光の第3の波長を有する第3のガーネット蛍光体を含む、請求項1に記載の発光装置。
【請求項14】
ピーク発光の第3の波長は、495nm〜540nmであり、ピーク発光の第1の波長は、540〜590nmであり、ピーク発光の第2の波長は、570nm〜650nmである、請求項13に記載の発光装置。
【請求項15】
第1の発光層は、第3の発光層と第2の発光層との間に配置されている、請求項13〜14のうちのいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項16】
第1のガーネット蛍光体は、LuAl12:CeおよびCaScSi12:Ceからなる群から選択され、第3のガーネット蛍光体は、YAl12:Ce、(Y、Tb)Al12:Ce、および(Y、Gd)(Al、Ga)12:Ceからなる群から選択される、請求項13〜15のうちのいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項17】
第2のガーネット蛍光体は、LuCaMgSi12:Ceである、請求項13〜16のうちのいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項18】
第1の発光層、第2の発光層、および第3の発光層は、セラミックプレートまたは積層セラミックテープである、請求項13〜17のうちのいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項19】
複合材料は、第1の発光層と第2の発光層との間に配置された第1の非発光層をさらに含み、第1の非発光層は、実質的に透明である、請求項1〜18のうちのいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項20】
第1の非発光層は、セラミックである、請求項19に記載の発光装置。
【請求項21】
非発光層は、ガーネット材料から実質的になる、請求項19〜20のうちのいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項22】
非発光層は、ドーパントが実質的にない、請求項21に記載の発光装置。
【請求項23】
第1の非発光層は、共通ドーパントの拡散を実質的に透過させない、請求項19〜22のうちのいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項24】
複合材料は、第1の発光層と第3の発光層との間に配置された第2の非発光層をさらに含み、第2の非発光層は、実質的に透明である、請求項19〜23のうちのいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項25】
第1の発光層、第2の発光層、および第3の発光層の各々は、少なくとも25%の透過率を有する、請求項24に記載の発光装置。
【請求項26】
光源のピーク発光の波長は、450nm〜500nmである、請求項1〜25のうちのいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項27】
複合材料を作製する方法であって、
第1の層および第2の層を含むアセンブリを提供し、第1の層は、第1のドープされたガーネット蛍光体を含み、第2の層は、第2のドープされたガーネット蛍光体を含み、第1のドープされたガーネット蛍光体および第2のドープされたガーネット蛍光体は、共通ドーパントCeを有すること、
アセンブリを焼結して、複合材料を作製すること、
を含む、方法。
【請求項28】
方法は、アセンブリを焼結した後に、第1の層と第2の層との間に接着剤または樹脂を塗布することを含まない、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
アセンブリを提供することは、
溶媒中に第1のガーネット蛍光体を含む第1の混合物および溶媒中に第2のガーネット蛍光体を含む第2の混合物を提供すること、
第1の基板上に第1の混合物を流延し、溶媒を蒸発させることによって、第1のガーネット蛍光体を含む少なくとも1つの第1のテープを形成すること、
第2の基板上に第2の混合物を流延し、溶媒を蒸発させることによって、第2のガーネット蛍光体を含む少なくとも1つの第2のテープを形成すること、
少なくとも1つの第1のテープおよび少なくとも1つの第2のテープを積み重ねて、テープスタックを形成すること、
テープスタックを圧縮、加熱して、アセンブリを形成すること、
を含む、請求項27〜28のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
少なくとも1つの非発光テープを形成すること、少なくとも1つの第1のテープと少なくとも1つの第2のテープとの間に少なくとも1つの非発光テープを配置すること、をさらに含む、請求項27〜29のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
少なくとも1つの非発光テープは、ガーネット材料から実質的になる、請求項30に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2010年3月19日に出願された米国特許出願第61/315,763号の優先権の利益を要求する。優先権書類は、その全体を引用することによって本明細書に含める。
【0002】
本出願は、ガーネット系発光層の半透明複合材料を含む発光装置に関する。
【背景技術】
【0003】
発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、または時として呼ばれる有機エレクトロルミネセント素子(OEL)、および無機エレクトロルミネセント素子(IEL)などの固相発光装置は、フラットパネルディスプレイ、様々な機器用の指示器、看板、および装飾的イルミネーションなどの様々な用途のために広く利用されている。これらの発光装置の発光効率が向上し続けているので、自動車ヘッドライトおよび一般照明などのはるかに高い輝度強度を必要とする用途が、すぐに実現可能となる可能性がある。これらの用途について、白色LEDが、有望な候補の1つであり、多くの注目を集めている。
【0004】
従来の白色LEDは、エポキシおよびシリコーンなどのプラスチックカプセル材料樹脂中に分散された青色LEDおよび黄色発光YAG蛍光体粉末の組み合わせに基づいて製造されている。しかし、この系のために利用されるYAG蛍光体粉末の粒径は、約1〜10μmであるので、カプセル材料樹脂媒体中に分散されたYAG粉末は、強い光散乱を引き起こす場合がある。その結果、青色LEDからの入射光およびYAG粉末からの黄色発光の両方の相当な部分は、結局、白色発光の損失として後方散乱され、分散される。
【0005】
この問題を解決する1つのアプローチは、透明マトリックス中に懸濁された蛍光体粉末の代わりに、青色発光ダイオードからの発光を受けるように位置する1つ以上の蛍光体セラミックプレートまたは積層フィルムを使用することである。最適化された焼結条件をナノ粒子の形態での蛍光体の使用と組み合わせて、半透明または透明セラミックを得ることが可能である。半透明/透明蛍光体セラミックスを備えたLEDは、より後方散乱損失が少ない一方で、蛍光体層の輝度効率を維持する、またはある場合には増大させるので、従来のYAG粉末/樹脂系よりも強い白色光を放射する可能性がある。さらに、セラミックプレート/フィルムは、UV下でさえ、熱および光放射に対してより安定しているので、LEDの操作特性、耐久性、および寿命の温度変動を改善することができる。
【0006】
YAG:Ce LED系においてより低い相関色温度(CCT)およびより高い演色評価数(CRI)を達成するために、赤色発光成分が必要である。特許文献1は、引用することによってその全体を本明細書に含め、白色発光LEDを開発するために、青色LEDと組み合わせた赤色蛍光体プレートレットおよび緑色蛍光体プレートレットの使用を開示している。特許文献2は、引用することによってその全体を本明細書に含め、LED中で黄色および赤色蛍光体層を使用しており、ここで、赤色蛍光体候補は、ドーパントとしてEu3+を有する必要がある。黄色および赤色層用の異なるドーパントの使用により、それらを別々に調製しなければならない。さらに、Eu3+をドープした化合物は、青色可視光の代わりに、UVスペクトルに主要な吸収範囲を有するので、いくつかの化合物は、青色光によって活性化することができる窒化物または硫化物蛍光体の使用に頼っている。例えば、特許文献3は、引用することによってその全体を本明細書に含め、黄色発光ガーネット(YAG:Ce)蛍光体および赤色発光窒化物または硫化物蛍光体の使用を開示している。しかし、これらの窒化物または硫化物発光素子は、処理の困難および/または化学/熱的安定性の懸案事項により望ましくない。このように、青色光および緑色/黄色/赤色蛍光体層を利用し、簡略化された処理を提供する白色光LED装置の必要性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0215890号
【特許文献2】米国特許第7,446,343号
【特許文献3】米国特許第7,361,938号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
さらに、いくつかの照明装置、特に、工業用途用の高出力照明装置と同様に、常用および景観使用のための照明装置は、多少低い色温度、T≦3500Kを有し、暖色性白色照明のカテゴリーに該当する。色温度がより高い、T>4600Kの場合には、照明装置は、冷白色光として分類される。固相照明の目的のために、暖色性白色光は、標準白熱電球と同じ色温度を有するので特に好ましい。このように、これらのLED装置を作製するための簡単で経済的なプロセスと同様に、青色光および緑色/黄色/赤色蛍光体層を利用する暖色性白色光LED装置の必要性もある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書で開示された、いくつかの実施形態は、発光装置であって、約360nm〜約500nmのピーク発光の波長を有する光を放射するように構成された光源と、光源によって放射された光の少なくとも一部を受けるように構成された複合材料と、を含み、複合材料は、第1の発光層と、第2の発光層と、を含み、第1の発光層は、第1のガーネット蛍光体を含み、第2の発光層は、第2のガーネット蛍光体を含み、第1のガーネット蛍光体および第2のガーネット蛍光体は、共通ドーパントでドープされている、発光装置を提供する。
【0010】
いくつかの実施形態では、第2の発光層は、第1の発光層と光源との間に配置されている。いくつかの実施形態では、複合材料は、第1の発光層と第2の発光層との間に樹脂が実質的にない。
【0011】
いくつかの実施形態では、第1の発光層および第2の発光層は、一緒に焼結されている。いくつかの実施形態では、複合材料は、第1の発光層と第2の発光層との間に接着剤が実質的にない。いくつかの実施形態では、第1の発光層および第2の発光層の各々は、少なくとも25%の透過率を有する。
【0012】
いくつかの実施形態では、第1のガーネット蛍光体は、約495nm〜約560nmのピーク発光の第1の波長を有する。いくつかの実施形態では、第2のガーネット蛍光体は、約570nm〜約650nmのピーク発光の第2の波長を有する。
【0013】
いくつかの実施形態では、第1のガーネット蛍光体は、約0.05mol%〜約10.00mol%の範囲の濃度で共通ドーパントでドープされている。いくつかの実施形態では、第2のガーネット蛍光体は、約0.05mol%〜約10.00mol%の範囲の濃度で共通ドーパントでドープされている。
【0014】
いくつかの実施形態では、共通ドーパントは、Nd、Er、Eu、Cr、Yb、Sm、Tb、Ce、およびPrからなる群から選択される。
【0015】
いくつかの実施形態では、第1のガーネット蛍光体は、LuAl12:Ce、CaScSi12:Ce、YAl12:Ce、(Y、Tb)Al12:Ce、および(Y、Gd)(Al、Ga)12:Ceからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、第2のガーネット蛍光体は、LuCaMgSi12:Ceである。
【0016】
いくつかの実施形態では、第1の発光層および第2の発光層は、セラミックプレートまたは積層セラミックテープである。
【0017】
いくつかの実施形態では、複合材料は、第3の発光層をさらに含み、第3の発光層は、ピーク発光の第3の波長を有する第3のガーネット蛍光体を含む。いくつかの実施形態では、ピーク発光の第3の波長は、約495nm〜約540nmであり、ピーク発光の第1の波長は、約540〜約590nmであり、ピーク発光の第2の波長は、570nm〜約650nmである。いくつかの実施形態では、第1の発光層は、第3の発光層と第2の発光層との間に配置されている。
【0018】
いくつかの実施形態では、第1のガーネット蛍光体は、LuAl12:CeおよびCaScSi12:Ceからなる群から選択され、第3のガーネット蛍光体は、YAl12:Ce、(Y、Tb)Al12:Ce、および(Y、Gd)(Al、Ga)12:Ceからなる群から選択される。
【0019】
いくつかの実施形態では、第2のガーネット蛍光体は、LuCaMgSi12:Ceである。
【0020】
いくつかの実施形態では、第1の発光層、第2の発光層、および第3の発光層は、セラミックプレートまたは積層セラミックテープである。
【0021】
いくつかの実施形態では、複合材料は、第1の発光層と第2の発光層との間に配置された第1の非発光層をさらに含み、第1の非発光層は、実質的に透明である。いくつかの実施形態では、第1の非発光層は、セラミックである。いくつかの実施形態では、非発光層は、ガーネット材料から実質的になる。いくつかの実施形態では、非発光層は、ドーパントが実質的にない。いくつかの実施形態では、第1の非発光層は、共通ドーパントの拡散を実質的に透過させない。
【0022】
いくつかの実施形態では、複合材料は、第1の発光層と第3の発光層との間に配置された第2の非発光層をさらに含み、第2の非発光層は、実質的に透明である。
【0023】
いくつかの実施形態では、第1の発光層、第2の発光層、および第3の発光層の各々は、少なくとも25%の透過率を有する。
【0024】
いくつかの実施形態では、光源のピーク発光の波長は、約450nm〜約500nmである。
【0025】
いくつかの実施形態は、複合材料を作製する方法であって、第1の層および第2の層を含むアセンブリを提供し、第1の層は、第1のドープされたガーネット蛍光体を含み、第2の層は、第2のドープされたガーネット蛍光体を含み、第1のドープされたガーネット蛍光体および第2のドープされたガーネット蛍光体は、共通ドーパントを有すること、アセンブリを焼結して、複合材料を作製すること、を含む、方法を提供する。
【0026】
いくつかの実施形態では、方法は、アセンブリを焼結した後に、第1の層と第2の層との間に接着剤または樹脂を塗布することを含まない。
【0027】
いくつかの実施形態では、アセンブリを提供することは、溶媒中に第1のガーネット蛍光体を含む第1の混合物および溶媒中に第2のガーネット蛍光体を含む第2の混合物を提供すること、第1の基板上に第1の混合物を流延し、溶媒を蒸発させることによって、第1のガーネット蛍光体を含む少なくとも1つの第1のテープを形成すること、第2の基板上に第2の混合物を流延し、溶媒を蒸発させることによって、第2のガーネット蛍光体を含む少なくとも1つの第2のテープを形成すること、少なくとも1つの第1のテープおよび少なくとも1つの第2のテープを積み重ねて、テープスタックを形成すること、テープスタックを圧縮、加熱して、アセンブリを形成すること、を含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、方法は、少なくとも1つの非発光テープを形成すること、少なくとも1つの第1のテープと少なくとも1つの第2のテープとの間に少なくとも1つの非発光テープを配置すること、をさらに含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの非発光テープは、ガーネット材料から実質的になる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1A-C】図1A〜1Cは、2つ以上の発光層を備えた複合材料を有する例示的な照明装置を表す。
【0031】
図2図2は、成形および焼結によって複合材料を形成する1つの実施形態用の調製フローチャートを示す。
【0032】
図3図3は、積層および焼結によって複合材料を形成する1つの実施形態用の調製フローチャートを示す。
【0033】
図4図4は、青色発光LEDによって励起された例示的なYAG:Ce/Lu1:Ce積層複合材料の色度を示す。
【0034】
図5図5は、青色発光LEDによって励起された例示的なYAG:Ce/Lu1:Ce積層複合材料の発光スペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
2つ以上の発光層を含む複合材料を有する照明装置が本明細書で開示され、各発光層は、共通ドーパントでドープされたガーネット蛍光体を有する。出願人らは、複合材料での共通ドーパントの使用が、優れた吸収効率をもたらすことを発見した。特に、吸収効率は、360nm〜約500nm(好ましくは、約460nm)に及ぶ励起波長で向上する。さらに、ガーネット材料を各発光層に使用することによって、複合材料は、優れた透明性、および加熱または冷却の間の亀裂または反りの低減を示す。
【0036】
ガーネット蛍光体を作製するための効率的で経済的なプロセスも開示される。多数の発光層を備えた複合材料を作製するための従来の方法は、個別の条件下で各層を焼結し、続いて、発光層を積み重ねて、複合材料を形成することを必要とする。本明細書で開示されるいくつかの実施形態は、単一ステップで複合材料を焼結して、複合材料を調製するのに必要なコストおよび時間を低減することを提供する。複合材料は、同様のガーネット材料が同じ条件下での焼結を可能にするので、単一ステップである程度焼結されることができる。さらに、各層の中の共通ドーパントは、焼結ステップの間にドーパントの拡散の問題を低減し、各層を別々に焼結する必要性を取り除く。これらおよび他の利点は、本出願の教示によって得られてもよい。
【0037】
(発光装置)
いくつかの実施形態は、光源と、光源によって放射された光の少なくとも一部を受けるように構成された複合材料と、を有する発光装置を提供する。複合材料は、第1の発光層と、第2の発光層と、を含む。第1の発光層は、第1のガーネット蛍光体を含み、第2の発光層は、第2のガーネット蛍光体を含み、第1のガーネット蛍光体および第2のガーネット蛍光体は、共通ドーパントでドープされている。
【0038】
光源は、いくつかの実施形態では、約360nm〜約500nmのピーク発光の波長を有する光を放射するように構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、光源は、約450nm〜約500nmでピーク発光の波長を有する光を放射する。いくつかの実施形態は、半導体LEDである光源を含む。一例として、光源は、電源に結合されたAlInGaN系単結晶半導体材料であってもよい。
【0039】
第1の発光層は、第2の発光層中のドーパントと同じであるドーパントでドープされた第1のガーネット蛍光体を含む。このように、第1および第2の蛍光体は、共通ドーパントでドープされている。ガーネット蛍光体は、組成物D12を有していてもよい。いくつかの実施形態では、DおよびEは、3価の金属から独立して選択される。他の実施形態では、Dは、Lu、Y、Gd、La、およびTbから選択することができ、Eは、Al、Ga、およびInから選択することができる。好ましい実施形態では、Dは、LuおよびYから選択され、EはAlである。共通ドーパントは、Nd、Er、Eu、Cr、Yb、Sm、Tb、Ce、およびPrから選択してもよい。いくつかの実施形態では、共通ドーパントは、Ceである。
【0040】
第1のガーネット蛍光体は、第1のガーネット蛍光体に有効な共通ドーパントの濃度を含んで、約360nm〜約500nmの範囲にピーク発光の波長を有する光を受ける場合に蛍光を示してもよい。いくつかの実施形態では、共通ドーパントは、約0.05mol%〜約2mol%に及ぶ第1のガーネット蛍光体中の濃度を有する。いくつかの実施形態では、第1のガーネット蛍光体中のドーパント濃度は、約0.01mol%〜約5mol%、約0.05mol%〜約3mol%、約0.1mol%〜約1mol%であってもよい。ガーネットの限定しない例としては、YAl12:Ce、(Y、Tb)Al12:Ce、(Y、Gd)(Al、Ga)12:Ce、LuAl12:Ce、およびCaScSi12:Ceが挙げられる。いくつかの実施形態では、第1のガーネット蛍光体は、LuAl12:CeおよびCaScSi12:Ceから選択される。
【0041】
第1のガーネット蛍光体は、発光装置からの発光を調整するために選択することができる。例えば、第1のガーネット蛍光体は、光源にさらされた場合に黄色または緑色光を放射するために選択することができる。緑色発光は、LuAl12:Ceおよび/またはCaScSi12:Ceを選択することによって得ることができ、一方、YAl12:Ceおよび/または(Y、Gd)(Al、Ga)12:Ceを選択することによって黄色発光を得ることができる。いくつかの実施形態では、第1のガーネット蛍光体は、約495nm〜約590nmの間にピーク発光の第1の波長を有する。例えば、ピーク発光の第1の波長は、約495nm〜約540nmであってもよく、または、ピーク発光の第1の波長は、約540nm〜約590nmであってもよい。
【0042】
第2の発光層は、第2のガーネット蛍光体を含んでいてもよい。第2のガーネット蛍光体は、共通ドーパント(つまり、第1のガーネット蛍光体中にも存在する同じドーパント)でドープされたガーネットであってもよい。ガーネットは、例えば、第1のガーネット蛍光体に関して記載された上記材料のいずれかであってもよい。このように、例えば、ガーネットは、組成物D12を有していてもよく、ここで、DおよびEは、3価の金属である。第2のガーネット蛍光体は、第2のガーネット蛍光体に有効な共通ドーパントの濃度を含んで、約360nm〜約500nmの範囲にピーク発光の波長を有する光を受けた場合に蛍光を示してもよい。第2のガーネット蛍光体は、また、約0.05mol%〜約10.0mol%に及ぶ濃度を有する共通ドーパントを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、第2のガーネット蛍光体中のドーパント濃度は、約0.1mol%〜約7.5mol%、約0.25mol%〜約5mol%、約0.5mol%〜約3mol%、または約0.75mol%〜約2mol%であってもよい。好ましい実施形態では、第2の蛍光体は、LuCaMgSi12:Ceである。
【0043】
第2のガーネット蛍光体も、発光装置からの発光を調整するために選択されてもよい。いくつかの実施形態では、第2のガーネット蛍光体は、約570nm〜約650nmのピーク発光の第2の波長を有する。いくつかの実施形態では、ピーク発光の第1の波長およびピーク発光の第2の波長は、実質的に異なる(例えば、波長は、少なくとも約10nm離れている)。
【0044】
第1のガーネット蛍光体および第2のガーネット蛍光体は、異なるガーネットとすることができる。例えば、第1のガーネット蛍光体は、YAl12:Ceであり、第2のガーネット蛍光体は、LuCaMgSi12:Ceである。いくつかの実施形態では、第2のガーネット蛍光体の発光プロフィールと、第1のガーネット蛍光体の発光プロフィールとは、両方の蛍光体が約360nm〜約500nmの範囲にピーク発光の波長を有する光を受ける場合には実質的に異なる。いくつかの実施形態では、第1の蛍光体は、第2の蛍光体によって示されたピーク発光のいずれかの波長とは少なくとも約10nm離れているピーク発光の波長を示す。いくつかの実施形態では、第2のガーネット蛍光体は、第1のガーネット蛍光体中に存在する少なくとも1つのガーネットがない。一例として、第1のガーネット蛍光体は、YAl12:Ceを含み、第2のガーネット蛍光体は、微量のYAl12:Ceしか有さない。いくつかの実施形態では、共通ドーパントの濃度は、第1のガーネット蛍光体および第2のガーネット蛍光体について実質的に異なる。例えば、第1のガーネット蛍光体と第2のガーネット蛍光体とのドーパント濃度の差は、少なくとも0.1mol%、または好ましくは少なくとも0.5mol%である。
【0045】
いくつかの実施形態は、第3のガーネット蛍光体を含む第3の発光層を備えた複合材料を有する。ガーネット蛍光体は、共通ドーパント(つまり、第1のガーネット蛍光体および第2のガーネット蛍光体中にも存在するドーパント)でドープされたガーネットであってもよい。ガーネットは、第1のガーネット蛍光体および/または第2のガーネット蛍光体に関して記載された上記材料のいずれかであってもよい。好ましい実施形態では、第3のガーネット蛍光体は、LuAl12:CeおよびCaScSi12:Ceから選択される。
【0046】
第3のガーネット蛍光体は、発光装置からの発光を調整するために選択されてもよい。いくつかの実施形態では、第3のガーネット蛍光体は、約495nm〜約540nmのピーク発光の第3の波長を有する。いくつかの実施形態では、ピーク発光の第1の波長、ピーク発光の第2の波長、およびピーク発光の第3の波長は、実質的に異なる(例えば、ピーク発光の波長は、各々少なくとも約10nm離れている)。
【0047】
上記と類似して、第3のガーネット蛍光体は、第1のガーネット蛍光体および第2のガーネット蛍光体とは異なるガーネットであってもよい。例えば、第1のガーネット蛍光体は、YAl12:Ceであってもよく、第2のガーネット蛍光体は、LuCaMgSi12:Ceであってもよく、第3のガーネット蛍光体は、LuAl12:Ceであってもよい。いくつかの実施形態では、第3のガーネット蛍光体は、第1のガーネット蛍光体中に存在する少なくとも1つのガーネットおよび第2のガーネット蛍光体中に存在する少なくとも1つのガーネットがない。一例として、第1のガーネット蛍光体は、YAl12:Ceを含んでいてもよく、第2のガーネット蛍光体は、LuCaMgSi12:Ceを含んでいてもよく、第3のガーネット蛍光体は、微量のYAl12:CeおよびLuCaMgSi12:Ceしか有さなくてもよい。いくつかの実施形態では、共通ドーパントの濃度は、第1のガーネット蛍光体、第2のガーネット蛍光体、および第3のガーネット蛍光体の各々について実質的に異なる。
【0048】
複合材料は、任意に、1つ以上の非発光層を含んでいてもよい。層間のドーパントの拡散または移動は、(例えば、発光スペクトルを変化させることによって)発光装置の性能を低減する可能性があり、したがって、非発光層は、発光層間に配置されて、発光層間のドーパントの拡散を低減することが可能である。したがって、いくつかの実施形態では、非発光層は、共通ドーパントの拡散を実質的に透過させない。いくつかの実施形態では、非発光層は、セラミックである。一例としては、非発光層は、YAl12、LuAl12、およびAlから選択された材料であってもよい。いくつかの実施形態では、非発光層は、ガーネットである。例えば、非発光層は、YAl12またはLuAl12であってもよい。
【0049】
非発光層は、発光層と比較して約360nm〜約500nmに及ぶ光を受けた場合に可視スペクトルにおいてわずかな発光(もしあれば)を示す。いくつかの実施形態では、非発光層は、ガーネット、Al、およびそれらの組み合わせから選択された材料から実質的になる。すなわち、非発光層は、非発光特性を実質的に変化させないガーネット、Al、および他の材料を含んでいてもよい。例えば、非発光層は、ガーネット材料を含み、発光をもたらすのに有効なドーパントの量を含まない。いくつかの実施形態では、非発光層は、ガーネットから実質的になる。いくつかの実施形態では、非発光層は、ドーパントがない(例えば、微量のドーパントしか有さない)。
【0050】
いくつかの実施形態では、発光のピーク波長、つまり蛍光体材料の光輝性スペクトルのピーク波長での各発光層の全光線透過率は、理論全光線透過率の少なくとも約25%、好ましくは、理論全光線透過率の少なくとも約40%、好ましくは、理論全光線透過率の少なくとも約60%である。いくつかの実施形態では、各非発光層の全光線透過率も、理論全光線透過率の少なくとも約60%、好ましくは、理論全光線透過率の少なくとも約70%、より好ましくは、理論全光線透過率の少なくとも約80%である。
【0051】
発光および非発光層などの複合材料の層は、一緒に結合されていてもよい。いくつかの実施形態では、層は、焼結によって一緒に結合されている。いくつかの実施形態では、隣接する層が接している間に、層を焼結することによって層は一緒に結合される。一例として、各層用の前駆体材料(例えば、成型物または積層テープ)は、積み重ねられて、アセンブリを形成する。アセンブリは、そのとき、隣接する層が一緒に固定されるように焼結することができる。いくつかの実施形態では、複合材料は、樹脂および/または接着剤を使用することなく一緒に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、複合材料は、隣接する層間に樹脂および接着剤が実質的にない。複合材料は、2つの層を一緒に固定するのに有効な量の樹脂がない場合に「樹脂が実質的にない」。例えば、第1の発光層および第2の発光層を有する複合材料は、第1の発光層と第2の発光層との間に樹脂が実質的にないようにすることができる。従って、第1の発光層と第2の発光層との間の樹脂(もしあれば)の量は、層を一緒に固定するのに不十分である。いくつかの実施形態では、複合材料は、隣接する層間に接着剤が実質的にない。
【0052】
図1Aは、2つの発光層を備えた複合材料を有する例示的な発光装置である。サブマウント100は、その上に取り付けられた光源105(例えば、LED)を有する。第1の発光層110は、第2の発光層115上に配置されており、光源105から放射された光の少なくとも一部を受ける。第2の発光層115は、従来のベースLED105と第1の発光層110との間に配置されている。第2の発光層115は、光源105から放射された光の少なくとも一部を受ける。任意のカプセル材料樹脂120は、光源105、第1の発光層110、および第2の発光層115を覆って設置されている。いくつかの実施形態では、第1の発光層110および第2の発光層115は、一緒に固定されて、複合材料を形成する。
【0053】
図1Bは、2つの発光層および1つの非発光層を備えた複合材料を有する他の例示的な発光装置である。非発光層125は、第1の発光層110と第2の発光層115との間に配置されている。1つの実施形態では、第1の発光層110、第2の発光層115、および非発光層125は、一緒に固定されて、複合材料を形成する。
【0054】
図1Cは、3つの発光層を備えた複合材料を有する例示的な発光装置である。第1の発光層110は、第2の発光層115と第3の発光層130との間に配置されている。第3の発光層130は、光源105から放射された光の少なくとも一部を受けるように構成されている。いくつかの実施形態では、第1の発光層110、第2の発光層115、および第3の発光層130は、一緒に固定されて、複合材料を形成する。
【0055】
発光装置中の様々な要素(例えば、光源105、第1の発光層110など)の位置は、特に限定されていない。いくつかの実施形態では、要素は、第1の発光層および第2の発光層の両方が光源から放射された光の少なくとも一部を受けるように構成されている。第2の発光層から放射された光は、第1の発光層によって再吸収される可能性があり、それは、発光装置の効率および/またはCRIを低減する場合がある。このようにして、第1の発光層および第2の発光層は、第1の発光層によって受けた第2の発光層からの発光を低減するように構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、第2の発光層は、光源と第1の発光層との間に少なくとも部分的に配置されている。いくつかの実施形態では、発光層は、第2の発光層の発光スペクトルと第1の発光層の励起スペクトルとの間に重なりがほとんどないように構成されている。重なりを最小化することによって、第2の層から放射された少量の光のみを、第1の発光層によって吸収することができる。その結果、発光装置の効率および/またはCRIは、減弱または低減しない。
【0056】
蛍光体組成物は、型の中に封入されていてもよい(例えば、封入された蛍光体粉末120によって説明するように)。例えば、組成物は、エポキシ樹脂やシリコーンなどの樹脂中に第1の蛍光体および第2の蛍光体を封入することによって成型物に形成されてもよい。蛍光体を封入する例および方法は、米国特許第5,998,925号および第6,069,440号に開示されており、それらの両方は、引用することによってそれら全体を本明細書に含める。
【0057】
適切な発光層を選択することによって、発光装置は、光を受ける場合に少なくとも70のCRIを示すことができる。他の実施形態では、CRIは、少なくとも72、少なくとも75、または少なくとも80である。CRIは、様々な色を表す能力を称し、0〜100に及ぶ値を有し、100が最良である。CRI用の基準相関色温度(CCT)は、約2000K〜約4000Kの範囲、約2500K〜約3500Kの範囲、または約2600K〜約3400Kの範囲であってもよい。
【0058】
(複合材料を形成するための成形および焼結)
発光装置は、第1のガーネット蛍光体を有する第1の発光層、および第2のガーネット蛍光体を有する第2の発光層を含むことができる(例えば、図1A〜1Cで説明)。発光層は、いくつかの実施形態では、セラミックプレートであってもよい。いくつかの実施形態では、非発光層は、セラミックプレートとすることができる。セラミックプレートは、一緒に固定されて、複合材料を形成してもよい。
【0059】
いくつかの実施形態では、各セラミックプレートは、発光相(例えば、第1のガーネット蛍光体または第2のガーネット蛍光体)の約85体積%〜約99.99体積%および非発光相の約15体積%〜約0.01体積%を有する多相材料を独立して含む。いくつかの実施形態では、発光装置は、第1の蛍光体の少なくとも85体積%を有する第1のセラミックプレート、および第2の蛍光体の少なくとも85体積%を有する第2のセラミックプレートを含んでいてもよい。セラミックプレートは、光源から放射された光の少なくとも一部を受けるように構成されている。
【0060】
セラミックプレートは、蛍光体混合物を成形し焼結することによって調製されてもよい。例示的なセラミックプレートおよびその作製方法は、米国特許出願公開第2009/0212697号に開示されており、それは引用することによってその全体を本明細書に含める。図2は、成形および焼結によって複合材料を形成する1つの実施形態用の調製フローチャートを示す。
【0061】
まず、本明細書で説明された第1のガーネット蛍光体および第2のガーネット蛍光体などの原料のガーネット蛍光体粉末が提供される。原料粉末は、本明細書で説明される流動系熱化学合成手段などのいかなる従来または適切な方法を使用して調製されてもよい。いくつかの実施形態では、複合材料を作製するために使用される蛍光体材料の原料粉末は、典型的には、約1000nm以下、好ましくは約500nm以下、より好ましくは約200nm以下の平均粒径を備えたナノサイズの粒子である。粒径が約1000nmより大きい場合には、そのような大きな粒子は高温高圧焼結条件でさえ互いに容易に結合しないので、全光線透過率を約50%より高くするのは非常に困難である可能性がある。結果は、多くの空気の細孔がセラミックプレートに残る傾向になる。他方では、ナノサイズの粒子は、容易に互いに結合することができ、それは、本願発明者らが微細で空気細孔がないセラミックプレートを調製することを可能にする。
【0062】
原料は、合成した蛍光体セラミックプレートと同じ組成物または結晶構造を有することを必要としない。例えば、YAG:Ceセラミックプレートは、YAG:Ce粉末、Y−Al−O−Ceを含むアモルファス粉末、YAlO:CeおよびAl粉末の混合物、Y、Al、およびCeO粉末の混合物、およびそれらのいずれかの組み合わせを使用して作製されてもよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、少量のフラックス材料(例えば、焼結助剤)が、必要に応じて、焼結特性を向上させるために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、焼結助剤としては、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)、コロイダルシリカ、酸化リチウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化ホウ素、またはフッ化カルシウムが挙げられてもよいが、それらに限定されない。さらなる焼結助剤としては、NaClやKClなどのアルカリ金属ハロゲン化物、および尿素などの有機化合物が挙げられるが、それらに限定されない。いくつかの実施形態では、焼結されたセラミックプレートは、フラックス材料または焼結助剤の約0.01%〜約5%、約0.05%〜約5%、約0.1%〜約4%、または約0.3%〜約1%を含む。焼結助剤は、原料と混ぜることができる。例えば、いくつかの実施形態では、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)は、原料に添加されて、所望の量の焼結助剤をもたらすことができる。1つの実施形態では、TEOSの約0.05重量%〜約5重量%が、焼結されたセラミックプレートにもたらされる。いくつかの実施形態では、TEOSの量は、約0.3重量%〜約1重量%であってもよい。
【0064】
様々な可塑剤も、ガラス転移温度を低下させるおよび/またはセラミックの柔軟性を向上させるためにいくつかの実施形態に含まれていてもよい。可塑剤の限定しない例としては、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ビス(n−ブチル)、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、およびフタル酸ジ−n−ヘキシルなどのジカルボン酸/トリカルボン酸エステル系可塑剤;アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジメチル、アジピン酸モノメチル、およびアジピン酸ジオクチルなどのアジピン酸系可塑剤;セバシン酸ジブチルおよびマレイン酸塩などのセバシン酸系可塑剤;マレイン酸塩、マレイン酸ジブチル;マレイン酸ジイソブチル;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびそれらの共重合体などのポリアルキレングリコール類;安息香酸塩;エポキシ化植物油;N−エチルトルエンスルホンアミド、N−(2−ヒドロキシプロピル)ベンゼンスルホンアミド、およびN−(n−ブチル)ベンゼンスルホンアミドなどのスルホンアミド類;リン酸トリクレジル、リン酸トリブチルなどの有機燐化合物;トリエチレングリコールジヘキサノアート、テトラエチレングリコールジヘプタノアートなどのグリコール類/ポリエーテル類;クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリオクチル、クエン酸アセチルトリオクチル、クエン酸トリヘキシル、クエン酸アセチルトリヘキシル、クエン酸ブチリルトリヘキシル、およびクエン酸トリメチルなどのクエン酸アルキル;アルキルスルホン酸フェニルエステル;およびそれらの混合物が挙げられる。
【0065】
いくつかの実施形態では、混合および成形プロセスは、時々バインダー樹脂および溶媒を原料粉末に添加することによってより簡単とされてもよい。バインダーは、加熱される組成物の粒子の付着を向上させて複合材料を形成するいずれかの物質である。バインダーのいくつかの限定しない例としては、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラール、ポリスチレン、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル類、およびポリビニルブチラート類などが挙げられる。すべての状況ではなくいくつかの状況では、バインダーが十分に揮発性であることは有用である可能性があり、それは、焼結段階中に前駆体混合物から完全に取り除くまたは除去することができる。使用されてもよい溶媒としては、限定されないが、水、限定されないが変性エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、およびそれらの混合物、好ましくは変性エタノール、キシレン類、シクロヘキサノン、アセトン、トルエン、およびメチルエチルケトン、およびそれらの混合物などの低級アルカノールが挙げられる。好ましい実施形態では、溶媒は、キシレン類とエタノールとの混合物である。
【0066】
混合プロセスは、乳鉢および乳棒、ボールミル粉砕機、ビーズミル粉砕機、または他の等価装置を使用して行うことができる。成形プロセスについては、タブレット成形、熱間等静圧圧縮成形(HIP)、または冷間等静圧圧縮成形(CIP)用の簡単な型が利用されてもよい。いくつかの実施形態では、制御量の原料粉末が型に投入され、続いて圧力を加えてプレートを形成する。
【0067】
次いで、2つ以上の成型物が積み重ねられて、アセンブリを形成し、それは、続いて焼結されて、複合材料を形成する。成型物の配置は、最終の複合材料の構成を決定する。このように、例えば、アセンブリは、第1のガーネット蛍光体を有する第1の成型物および第2のガーネット蛍光体を有する第2の成型物を含んでいてもよい。このアセンブリは、次いで、焼結されて、第1の蛍光体を有する第1の発光層、および第2の蛍光体を有する第2の発光層を含む複合材料を形成することができる。一例として、図1Aで説明したように、複合材料は、第1の発光層110および第2の発光層115を含む。従って、当業者は、本願の教示によって指導され、焼結前に適切に成型物を積み重ねることによって、上記開示されたものなどの様々な複合材料の構成を準備することができる。
【0068】
上記開示されたように、非発光層も、複合材料に含まれていてもよい。非発光層は、例えば、蛍光を生成するのに有効な量のドーパントを除外するYAG粉末の成型物を調製することによって調製されてもよい。成型物は、複合材料を形成するために続いて焼結される積み重ねられたアセンブリに含まれていてもよい。
【0069】
アセンブリは、次いで、合成した蛍光体材料の融点を超えない高温で焼結される。このように、2つ以上の成型物を有するアセンブリを焼結することによって、単一の焼結プロセスが、2つ以上の発光層を有する複合材料を調製するために使用される。複合材料中の発光層は、いくつかの実施形態では、焼結プロセスの完了で一緒に結合される。いくつかの実施形態では、複合材料は、焼結プロセスの完了で一緒に固定される。
【0070】
いずれかの種類の適切なセラミック焼結技術が、半透明セラミックプレートを調製するために使用することができる。いくつかの実施形態では、焼結は、圧力を加えながら行ってもよい。温度プロフィール、大気、圧力、および所要時間などの焼結条件は、蛍光体材料の種類によって決まる。
【0071】
(複合材料を形成するための積層および焼結)
複合材料は、2つ以上の成型テープを積層および焼結することによって形成されてもよく、ここで、成型テープは、第1の蛍光体および/または第2の蛍光体を含むことができる。2つ以上の成型テープを積層、焼結する例および方法が、米国特許第7,514,721号および米国特許出願公開第2009/0108507号に開示されており、それらの両方は、引用することによってそれら全体を本明細書に含める。図3は、積層および焼結によってセラミックプレートを形成する1つの実施形態用の調製フローチャートを示す。
【0072】
まず、原料(例えば、YAGを形成するためのYおよびAlなどの硝酸塩または酸化物系原料)の粒径は、任意に調整して、溶媒の蒸発中の毛管力からの成型テープ中の亀裂を低減してもよい。例えば、粒径は、原料粒子をプレアニールすることによって調整して、所望の粒径を得ることができる。原料粒子は、約800℃〜約1800℃(またはより好ましくは、1000℃〜約1500℃)の温度領域でプレアニールして、所望の粒径を得ることができる。プレアニールは、真空、空気、O、H、H/N、または貴ガス(例えば、He、Ar、Kr、Xe、Rn、またはそれらの組み合わせ)中で行われてもよい。1つの実施形態では、各原料(例えば、YAGを形成するためのYおよびAl)は、ほぼ同じ粒径に調整される。他の実施形態では、粒子は、約0.5m/g〜約20m/g(好ましくは、約1.0m/g〜約10m/g、または好ましくは、約3.0m/g〜約6.0m/g)の範囲のBET表面積を有する。
【0073】
次いで、スラリーは、続いてテープに成型するために調製されていてもよい。予め作製された蛍光体(例えば、本明細書で説明される流動系熱化学合成手段によって調製された蛍光体)および/または化学量論の量の原料が、様々な成分と混ぜられて、混合物を形成することができる。混合物の例示的な成分は、ドーパント、分散剤、可塑剤、バインダー、焼結助剤、および溶媒が挙げられるが、それらに限定されない。ドーパント、焼結助剤、可塑剤、バインダー、および溶媒は、成形および焼結プロセスに関して記載された上記のものと同じであってもよい。
【0074】
いくつかの実施形態では、分散剤は、フローレン、魚油、長鎖ポリマー、ステアリン酸、酸化メンハーデン魚油、コハク酸、オービタンモノオレアート、エタン二酸、プロパン二酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、ヘプタン二酸、オクタン二酸、ノナン二酸、デカン二酸、o−フタル酸、p−フタル酸、およびそれらの混合物などのジカルボン酸とすることができる。
【0075】
次いで、混合物は粉砕され、例えば、約0.5時間〜約100時間(好ましくは、約6時間〜約48時間、より好ましくは、約12時間〜約24時間)の範囲の期間、混合物をボールミル粉砕することによって、スラリーを形成してもよい。ボールミル粉砕は、混合物内で混ぜられた成分以外の材料を含む粉砕ボールを利用してもよい(例えば、粉砕ボールは、YAGを形成する混合物用のZnOであってもよい)。1つの実施形態では、ボールミル粉砕は、ろ過または分離の他の公知の方法による期間後、粉砕ボールを分離することを含む。いくつかの実施形態では、スラリーは、約10cP〜約5000cP(好ましくは、約100cP〜約3000cP、またはより好ましくは、400cP〜1000cPの範囲の粘性を有する。
【0076】
第3に、スラリーは、リリース基板(例えば、シリコーン被覆ポリエチレンテレフタレート基板)上に成型されて、テープを形成してもよい。例えば、スラリーは、ドクターブレードを使用して移動キャリア上に流延され、乾燥されてテープを形成してもよい。流延テープの厚みは、ドクターブレードと移動キャリアとの間のギャップを変化させることによって調整することができる。いくつかの実施形態では、ドクターブレードと移動キャリアとの間のギャップは、約0.125mm〜約1.25mm(好ましくは、約0.25mm〜約1.00mm、またはより好ましくは、約0.375mm〜約0.75mm)の範囲にある。一方、移動キャリアの速度は、約10cm/分〜約150cm/分の範囲(好ましくは、約30cm/分〜約100cm/分、またはより好ましくは、約40cm/分〜約60cm/分)の速度を有することができる。移動キャリアの速度およびドクターブレードと移動キャリアとの間のギャップを調整することによって、テープは、約20μm〜約300μmの厚みを有することができる。テープは、成型後に所望の形状に任意に切断されてもよい。
【0077】
2つ以上のテープが積層されて、アセンブリを形成する。積層ステップは、2つ以上のテープ(例えば、2〜100のテープが積み重ねられた)を積み重ねること、積み重ねられたテープに熱および一軸圧力(例えば、テープ表面に垂直な圧力)を加えること、を含むことができる。例えば、積み重ねられたテープは、テープに含まれ、金属型を使用して一軸圧縮されたバインダーのガラス転移温度(Tg)より高い温度に加熱されてもよい。いくつかの実施形態では、一軸圧力は、約1〜約500MPa(好ましくは、約30MPa〜約60MPa)の範囲にある。いくつかの実施形態では、熱および圧力は、約1分〜約60分(好ましくは、約15分〜約45分、またはより好ましくは約30分)の範囲の期間加えられる。積層ステップは、任意に、例えば、成形型を使用して、様々な形状(例えば穴または柱)またはパターンをアセンブリに形成することを含んでいてもよい。
【0078】
アセンブリのいくつかの実施形態は、第1のガーネット蛍光体を有する少なくとも1つのテープ、および第2のガーネット蛍光体を有する少なくとも1つのテープを含む。積み重ねられたテープの配置は、特に限定されないが、第1の蛍光体を含むテープがすべて一緒に積み重ねられ、第2の蛍光体を含むテープがすべて一緒に積み重ねられるように、テープが積み重ねられてもよい。成型物を積み重ねてアセンブリを形成することに関する上記検討と類似して、積み重ねられたテープの構成は、複合材料の配置と一致する。
【0079】
アセンブリは、加熱して複合材料を形成してもよい。加熱ステップは、脱バインダープロセスおよび焼結プロセスを含んでいてもよい。脱バインダープロセスは、アセンブリ内の有機成分の少なくとも一部を分解する(例えば、アセンブリ内のバインダーおよび可塑剤を揮発させる)ことを含む。一例として、アセンブリは、約0.1℃/分〜約10℃/分(好ましくは、約0.3℃/分〜約5℃/分、またはより好ましくは、約0.5℃/分〜約1.5℃/分)の速度で、約300℃〜1200℃(好ましくは、約500℃〜約1000℃、またはより好ましくは約800℃)の範囲の温度に空気中で加熱されてもよい。例示的な加熱ステップは、また、約30分〜約300分の範囲の期間、温度を維持することを含んでいてもよく、それは、アセンブリの厚みに基づいて選択されてもよい。
【0080】
加熱ステップは、また、複合材料を形成するための焼結プロセスを含む。アセンブリは、約1200℃〜約1900℃(好ましくは、約1300℃〜約1800℃、またはより好ましくは、約1350℃〜約1700℃)の範囲の温度で、約1時間〜約100時間(好ましくは、約2時間〜約10時間)の範囲の期間、真空、空気、O、H、H/N、または貴ガス(例えば、He、Ar、Kr、Xe、Rn、またはそれらの組み合わせ)中で焼結されてもよい。いくつかの実施形態では、脱バインダーおよび焼結プロセスは、単一ステップで完了される。
【0081】
アセンブリは、加熱ステップの間にカバープレート間に挟持されて、アセンブリの歪(例えば、ゆがみ、反り、曲がりなど)を低減してもよい。カバープレートは、加熱ステップの間に適用された温度より高い融点を有する材料を含んでいてもよい。さらに、カバープレートは、カバープレートを通って、揮発した成分を運ぶことを可能にするのに十分多孔性であってもよい。一例として、カバープレートは、約40%の気孔率を有する酸化ジルコニウムであってもよい。
【0082】
任意の再酸化ステップも、複合材料の透過率を向上するために含まれていてもよい。再酸化は、約1000℃〜約1500℃(好ましくは、約1400℃)の範囲の温度で、約1℃/分〜約20℃/分(好ましくは、約5℃/分)の加熱速度で、約30分〜約300分(好ましくは、約2時間)の期間、酸素または空気に複合材料を晒すことを含むことができる。
【0083】
発光装置は、非発光層(例えば、図1Bで説明する非発光層125)を含んでいてもよい。非発光層は、上記のものと同様の積層および焼結手順を使用して調製されてもよいセラミックプレートとすることができる。非発光層は、例えば、蛍光を生成するのに有効な量のドーパントを除外するアセンブリにYAG粉末を積層、焼結することによって調製されてもよい。
【実施例】
【0084】
さらなる実施形態が、次の実施例でさらに詳細に開示され、請求の範囲を限定することを決して目的としない。
【0085】
(実施例1 暖色性白色発光複合材料)
次の実施例は、暖色性白色光の発光のための複合材料を形成することを示す。
(実施例1.1 YAG:Ce)
【0086】
イットリウム(III)硝酸塩六水和物(純度99.9%、Sigma−Aldrich)0.14923mol(14.29g)、硝酸アルミニウム九水和物(純度99.97%、Sigma−Aldrich)0.25mol(23.45g)、およびセリウム(III)硝酸塩六水和物(純度99.99%、Sigma−Aldrich)0.015mol(0.081g)を、脱イオン水250mlに溶解し、続いて30分間超音波処理を行って透明前駆体溶液を調製した。0.4Mのこの前駆体溶液を、液体ポンプを使用して、噴霧プローブを介してプラズマ反応チャンバに運んだ。
【0087】
蒸着実験は、すべて、3.3MHzで作動するRF誘導プラズマトーチ(TEKNA Plasma System社、PL−35)で行った。蒸着実験については、チャンバ圧力は、約25kPa〜35kPaの状態にし、RFジェネレータープレート電力は、10〜12kWの範囲であった。プレート電力および蒸着圧力の両方は、ユーザ制御パラメータである。アルゴンは、ガス吸気ポートを介して渦巻きシースガスおよび中心プラズマガスの両方としてプラズマトーチに導入した。シースガス流れが30slm(毎分標準リットル)で維持され、一方、中心ガス流れは10slmであった。
【0088】
反応物質の注入を、放射噴霧プローブ(TEKNA Plasma System社、SDR−772)を使用して行った。プローブは、反応物質注入中にプラズマプルームの中心に位置した。反応物質を、蒸着の間に10ml/分の速度でプラズマプルームに供給した。噴霧ガスとしてのアルゴンを15slmの流速で供給して、液体反応物質の噴霧を行った。噴霧プローブへの冷却水の供給は、メーカーによって推奨されるように、流速4slmおよび圧力1.2MPaで維持した。
【0089】
蒸着された粒子の結晶相は、Bruker AXSミクロ回折計(CuKα)で得られたX線回折(XRD)スペクトルを使用して調査した。得られたサンプルの結晶相は、アモルファスとイットリウムアルミニウムペロブスカイト(YAP)との混合物と確認した。平均粒径(Davg)は、Micrometritics社製モデルGemini2365ガス吸着計から得られたデータに基づくBET表面積から得られた。得られたサンプルのDavgは75nmであった。
【0090】
(例1.2 LuCaMgSi12:Ce)
ルテチウム硝酸塩水酸化物(純度46.8%、Metall Rare Earth Limited、シンセン、中国)52.612g、硝酸カルシウム四水和物(純度99%、Sigma−Aldrich)14.899g、マグネシウム硝酸塩六水和物(純度99%、Fluka)32.374g、アミノプロピルシラントリオール(水中25%、Gelest)102.908g、およびセリウム(III)硝酸塩六水和物(純度99.99%、Sigma−Aldrich)0.543gを脱イオン水250mlに溶解し、その後、30分超音波処理を行って、透明前駆体溶液を調製した以外、実施例1.1の手順に従った。0.4Mのこの前駆体溶液を、液体ポンプを使用して、噴霧プローブを介してプラズマ反応チャンバに運んだ。
【0091】
(実施例1.3 非発光(未ドープ)材料の調製)
イットリウム(III)硝酸塩六水和物0.14923mol(14.29g)(純度99.9%、Sigma−Aldrich)、硝酸アルミニウム九水和物(純度99.97%、Sigma−Aldrich)0.25mol(23.45g)にセリウム(III)硝酸塩六水和物を添加しなかったこと以外、非発光材料は、上記のものと同様に調製した。
【0092】
(実施例1.4 YAG:Ce蛍光体材料の焼結されたセラミックプレートの調製)
焼結されたセラミックプレートは、YAG:Ce蛍光体ナノ粉末を使用して作製した。上記方法によって調製されたナノ粉末4g、ポリ(ビニルブチラール−コ−ビニルアルコール−コ−ビニルアセテート)0.21g(平均Mw90,000〜120,000粉末、Sigma−Aldrich)、ヒュームドシリカ粉末(CAB−O−SIL(登録商標)HS−5、Cabot社)0.012g、およびエタノール10mlを、混合スラリー溶液が非常に滑らかになるまで乳鉢および乳棒によって十分に混合した。ドライヤから熱風を吹き付け、乳棒を動かし続けることによって、エタノールを完全に取り除き、乾燥粉末を得た。次いで、乾燥粉末120mgを3mmの直径の型(Product♯:0012−6646、3mmKBrダイセット、International Crystal Laboratories社)に広げ、その後液圧プレスを使用して4000psiの圧力を加えた。次いで、得られたプレートを、周囲空気下で箱型電気炉を使用して2時間(2℃/分の加熱速度)800℃で、次いで、真空下で管型電気炉を使用して5時間(加熱速度は5℃/分)1500℃で焼結した。すべてのセラミックプレートサンプルの結晶相は、XRDによってイットリウムアルミニウムガーネットと決定した。
【0093】
(実施例1.5 LuCaMgSi12:Ce蛍光体材料の焼結されたセラミックプレートの調製)
実施例1.2で調製されたLuCaMgSi12:Ce4gおよび得られたプレートを真空下で5時間1400℃で焼結した以外、実施例1.4の手順に従った。
【0094】
(実施例2 発光層の積層複合材料)
次の実施例は、積層によって形成された複合材料によって暖色性白色光の発光を示す。
【0095】
(実施例2.1 積層複合材料用非発光層)
高純度Alボールミルジャー50mlを、直径3mmのY安定化ZrOボール55gで充填した。次いで、ガラスバイアル20ml中では、分散剤(Flowlen G−700、Kyoeisha)0.153g、キシレン(Fisher Scientific、実験室グレード)2ml、およびエタノール(Fisher Scientific、試薬アルコール)2mlを、分散剤を完全に溶解するまで混合した。分散溶液および焼結助剤としてのテトラエトキシシラン(0.038g、Fluka)をボールミルジャーに添加した。
【0096】
4.6m/gのBET表面積を備えたY粉末(3.984g、99.99%、lot N−YT4CP、日本イットリウム株式会社)、および6.6m/gのBET表面積を備えたAl粉末(2.998g、99.99%、グレードAKP−30、住友化学株式会社)を、ボールミルジャーに添加した。全体粉末重量は7.0gであり、YとAlの比は、3:5の化学量論比であった。第1のスラリーを、24時間ボールミル粉砕によって、Y粉末、Al粉末、分散剤、テトラエトキシシラン、キシレン、およびエタノールを混合することによって作製した。
【0097】
バインダーと可塑剤の溶液を、キシレン(Fisher Scientific、実験室グレード)12mlおよびエタノール(Fisher Scientific、試薬アルコール)12mlに、ポリ(ビニルブチラール−コ−ビニルアルコール−コ−ビニルアセテート)(Aldrich)3.5g、フタル酸ベンジルn−ブチル(98%、Alfa Aesar)1.8g、およびポリエチレングリコール(Mn=400、Aldrich)1.8gを溶解することによって調製した。第2のスラリーを、第1のスラリーにバインダー溶液4gを添加し、次いで、さらに24時間粉砕することによって作製した。ボールミル粉砕を完了した場合、第2のスラリーを、0.05mmの気孔サイズを備えた注射器支援型金属スクリーンフィルタを通過させた。第2のスラリーの粘性は、室温で攪拌しながらスラリー中の溶媒を蒸発させることによって、400センチポアズ(cP)に調整した。スラリーを、次いで、30cm/分のキャスト速度で、調整可能なフィルム塗布器(Paul N.Gardner社)で、リリース基板、例えば、シリコーン被覆Mylar(登録商標)キャリア基板(テープキャスティングウェアハウス)上に流延した。フィルム塗布器上のブレード隙間を、0.508mm(20mil)に設定した。キャストテープを、周囲雰囲気で一晩中乾燥して、約140μmの厚みのグリーンシートを作製した。
【0098】
(実施例2.2 YAG:Ce層)
約20m/gのBET表面積を備えたイットリウムに対して0.2mol%のセリウムを含むプラズマ生成酸化イットリウムアルミニウム(化学量論Y:Al:O=3:5:12)粉末(5.2g)を、高純度アルミナ燃焼ボートに添加し、その後、空気または3%H/97%N中で2時間、1250℃に3〜5℃/分の加熱勾配で環状炉(MTI GSL−1600)内でアニールした。その後、それを、5℃/分の勾配で室温に冷却した。4.6m/gのBET表面積を備えた黄色粉末を、アニール後に得た。
【0099】
高純度Alボールミルジャー50mlを、直径3mmのY安定化ZrOボール24gで充填した。次いで、ガラスバイアル20ml中では、分散剤(Flowlen G−700、Kyoeisha)0.084g、キシレン(Fisher Scientific、実験室グレード)2ml、およびエタノール(Fisher Scientific、試薬アルコール)2mlを、分散剤を完全に溶解するまで混合した。分散溶液および焼結助剤としてのテトラエトキシシラン(0.045g、純度99%、Fluka)をボールミルジャーに添加した。4.6m/gのBET表面積を備えたアニールされたプラズマYAG粉末(3.0g)を、ボールミルジャーに添加した。第1のスラリーを、24時間ボールミル粉砕によって、YAG粉末、分散剤、テトラエトキシシラン、キシレン、およびエタノールを混合することによって作製した。
【0100】
バインダーと可塑剤の溶液を、キシレン(Fisher Scientific、実験室グレード)18mlおよびエタノール(Fisher Scientific、試薬アルコール)18mlに、ポリ(ビニルブチラール−コ−ビニルアルコール−コ−ビニルアセテート)(Aldrich)5.25g、フタル酸ベンジルn−ブチル(98%、Alfa Aesar)2.6g、およびポリエチレングリコール(Mn=400、Aldrich)2.6gを溶解することによって調製した。第2のスラリーを、第1のスラリーにバインダー溶液1.2gを添加し、次いで、さらに24時間粉砕することによって作製した。ボールミル粉砕を完了した場合、第2のスラリーを、0.05mmの気孔サイズを備えた注射器支援型金属スクリーンフィルタを通過させた。第2のスラリーの粘性は、室温で攪拌しながらスラリー中の溶媒を蒸発させることによって、400センチポアズ(cP)に調整した。スラリーは、次いで、30cm/分のキャスト速度で、調整可能なフィルム塗布器(Paul N.Gardner社)で、リリース基板、例えば、シリコーン被覆Mylar(登録商標)キャリア基板(テープキャストウェアハウス)上に流延した。フィルム塗布器上のブレード隙間を、0.508mm(20mil)にセットした。キャストテープを、周囲雰囲気で一晩中乾燥して、約140μmの厚みの黄色グリーンシートを作製した。
【0101】
(実施例2.3 LuCaMgSi12:Ce)
実施例1.2において調製したように、ルテチウムに対してセリウム1mol%を含むLuCaMgSi12:Ce3.0gを、YAG:Ce粉末の代わりに使用した以外、実施例2.2の手順に従った。
【0102】
(実施例2.4 積層)
アニールされたプラズマLuCaMgSi12:Ce粉末(250μmの厚み)を含む乾燥成型テープと同様に、アニールされたプラズマYAG:Ce粉末を含む第1の蛍光体材料(300μmの厚み)の乾燥成型テープ、およびCe粉末を備えていないYAGを含む非発光材料(100μmの厚み)の乾燥成型テープを、金属穴あけ器で13mmの直径の円形に切断した。穴を開けた円形テープのそれぞれの片を、鏡面研磨された表面を備えたサーキュラダイ間に設置し、ホットプレート上で80℃に加熱し、その後、5メートルトンの一軸圧力で液圧プレス中で5分間圧縮をかけた。発光(第1の蛍光体材料および第2の蛍光体材料)および非発光層の積層複合材料を、このようにして作製した。
【0103】
脱バインダーについては、積層グリーンシートを、ZrOカバープレート(厚み1mm、グレード42510−X、ESL Electroscience社)間に挟持し、厚み5mmのAlプレート上に設置した。挟持された積層品を、次いで、800℃に0.5℃/分の勾配速度で空気中で環状炉内で加熱し、2時間保持して、グリーンシートから有機成分を取り除きプリフォームを生成した。
【0104】
脱バインダー後、プリフォームを、1℃/分の加熱速度で5時間10−1Torrの真空中で1500℃でアニールして、限定されないが、アモルファスイットリウム酸化物、YAP、YAM、またはY、およびAlを含む非発光層中のY−Al−Oの非ガーネット相からイットリウムアルミニウムガーネット(YAG)相への変換、およびアモルファスLuCaMgSi12:Ceから結晶化LuCaMgSi12:Ce相への変換を完了し、最終的なYAGおよびLuCaMgSi12:Ce粒径を増大させた。
【0105】
最初のアニールに続いて、プリフォームを、さらに、5℃/分の加熱速度および室温への10℃/分の冷却速度で、1650℃で2時間10−3Torrの真空中で焼結して、約0.60mmの厚みの半透明YAG/YAG:Ce/LuCaMgSi12:Ce/YAGセラミックシートを作製した。積層グリーンシートを黒鉛ヒータおよびカーボンフェルト内張りを備えた炉内でアニールすると、プリフォームを、1〜5μmの粒径の犠牲未ドープYAG粉末に埋め込んで、サンプルが、強還元雰囲気により構成金属に部分的に還元されることを防止する。褐色焼結セラミックシートを、それぞれ10℃/分および20℃/分の加熱および冷却速度で1400℃で2時間真空下で炉内で再酸化した。
【0106】
(実施例2.5 光学測定)
色度測定は、光ファイバー(大塚電子株式会社)、直径12インチの積分球(Gamma Scientific、GS0IS12−TLS)、全流量測定のために構成された較正光源(Gamma Scientific、GS−IS12−OP1)、励起光源(Cree社の青色LEDチップ、主波長455nm、C455EZ1000−S2001)などの必要な光学部品をともに備えた大塚電子株式会社のMCPD7000多重チャンネル光検知器システムで行った。
【0107】
455nmのピーク波長を備えた青色LEDを、積分球の中央の位置に設置し、25mAの駆動電流で操作した。まず、励起光としての青色LEDベアチップからの放射電力を得た。LEDチップの発光面距離は1mmであった。次に、エポキシ樹脂などの共通のカプセル化樹脂と同様の屈折率(例えば、約1.75)を有するパラフィン油で被覆したダイスカットされた2mm×2mmの積層サンプルを、LEDチップから約100μmの距離に搭載した。次いで、複合材料積層品と青色LEDの組み合わせの放射電力を得た。
【0108】
図4に示すように、複合材料YAG:CeおよびLu1積層品は、実施例2.1〜2.5によって調製され、約0.3986±0.0025のCyおよび約0.4328±0.0025のCxを備えたCIE座標を有しており、約3025K(「暖色性白色」)のCTを有する白色光を示した。合成複合材料は、約70のCRIを示した。一方、図5は、455nmのピーク波長を備えた青色LEDによる、同じYAG:CeおよびLu1積層品の発光スペクトルを示す。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5