特許第5749356号(P5749356)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5749356
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】プレート式熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 3/08 20060101AFI20150625BHJP
   F28D 9/02 20060101ALI20150625BHJP
【FI】
   F28F3/08 311
   F28D9/02
【請求項の数】13
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-552489(P2013-552489)
(86)(22)【出願日】2012年1月13日
(65)【公表番号】特表2014-504717(P2014-504717A)
(43)【公表日】2014年2月24日
(86)【国際出願番号】SE2012050025
(87)【国際公開番号】WO2012105888
(87)【国際公開日】20120809
【審査請求日】2013年10月4日
(31)【優先権主張番号】1150080-8
(32)【優先日】2011年2月4日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】502305917
【氏名又は名称】アルファ・ラバル・コーポレイト・エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】バデル、ローゲル
【審査官】 新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2005/0155749(US,A1)
【文献】 特開2000−146469(JP,A)
【文献】 特開2000−097591(JP,A)
【文献】 特開2001−248996(JP,A)
【文献】 特開昭62−026489(JP,A)
【文献】 特開昭62−013996(JP,A)
【文献】 特開平09−089486(JP,A)
【文献】 特開平09−089478(JP,A)
【文献】 特開平07−098188(JP,A)
【文献】 特開平09−152297(JP,A)
【文献】 特表2001−508163(JP,A)
【文献】 特開昭62−013997(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 3/08
F28D 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレート式熱交換器であり、
第一の媒体のための第一のプレート隙間(3)と第二の媒体のための第二のプレート隙間(4)を有しているプレートパッケージ(1)を形成するために互いにそばに設けられた複数の熱交換器プレート(2)を備え、前記第一および第二のプレート隙間(3,4)は、前記プレートパッケージ(1)の中に交互に設けられており、また、
前記プレートパッケージを貫いて延び、前記第一の媒体を前記第一のプレート隙間(3)の中へ、またそこから外へ運ぶように配された第一の入口および出口チャンネル(5,6)を形成している多数の丸穴と、
一つの挿入要素(10)を備え、それは、前記第一の媒体のための前記丸穴の一つの中に設けられており、
環状体(11)と、
前記環状体(11)から外側に突出し、前記プレートパッケージ(1)中の前記熱交換器プレート(2)の二つの間に設けられた環状フランジ(12)を備えており、
前記環状フランジ(12)は第一の側面(12a)と反対の第二の側面(12b)を有しており、それらは前記二つの熱交換器プレート(2)のそれぞれの一つに当接している、プレート式熱交換器において、
前記第一の側面(12a)が、前記環状体(11)の付近の環状溝(15)と、前記環状溝から前記環状フランジ(12)の外側縁の向こうに延びている少なくとも一つの放射状溝(16)を備えていることを特徴とするプレート式熱交換器。
【請求項2】
前記挿入要素(10)は、前記丸穴の中に機能デバイス(20)を配置するように配されている、請求項1に記載のプレート式熱交換器。
【請求項3】
前記挿入要素(11)は、前記丸穴の中に前記機能デバイス(20)を取り付けて保持するように配された取り付け部材を備えている、請求項2に記載のプレート式熱交換器。
【請求項4】
前記取り付け部材は、前記機能デバイス(20)の対応するねじと共同動作するように配されたねじを備えており、これらのねじがねじ結合(13)を形成する、請求項3に記載のプレート式熱交換器。
【請求項5】
前記取り付け部材は、前記機能デバイス(20)の対応する第二の差込みカップリング部分(39)と共同動作するように配された第一の差込みカップリング部分(38)を備えており、これらの部分(38,39)が差込みカップリング(37)を形成する、請求項3に記載のプレート式熱交換器。
【請求項6】
前記取り付け部材は、前記機能デバイス(20)の対応する表面と共同動作するように配された表面を備えており、これらの表面が押圧はめ(29)を形成する、請求項3に記載のプレート式熱交換器。
【請求項7】
前記機能デバイス(20)は、流れ案内デバイスを備えている、請求項2ないし6のいずれか一つに記載のプレート式熱交換器。
【請求項8】
前記プレート式熱交換器は、第一の熱交換器部分(1a)と第二の熱交換器部分(1b)に分けられ、前記挿入要素(10)は、前記第一の熱交換器部分(1a)と前記第二の熱交換器部分(1b)の間に設けられており、前記第一の媒体が、前記第一の熱交換器部分(1a)中の前記第一のプレート隙間(3)を通ってある方向に、また前記第二の熱交換器部分(1b)中の前記第一のプレート隙間(3)を通って反対方向に運ばれるように案内するように配されている、請求項7に記載のプレート式熱交換器。
【請求項9】
前記機能デバイスは、前記第一の媒体が前記少なくとも一つの丸穴を通り抜けるのを少なくとも部分的に防止するために前記少なくとも一つの丸穴を絞るように配されたバルブ(21)を備えている、請求項8に記載のプレート式熱交換器。
【請求項10】
前記バルブ(21)は、前記第一の媒体の温度に応じて前記丸穴を絞るように配されたサーモスタットバルブを備えている、請求項9に記載のプレート式熱交換器。
【請求項11】
前記熱交換器プレート(2)と前記挿入要素(10)は、金属材料の融解によって互いに永久的に接続されており、前記第一の側面(12a)は、前記二つの熱交換器プレート(2)の一方に永久的に接続されており、前記第二の側面(12b)は、前記二つの熱交換器プレート(2)の他方に永久的に接続されている、請求項1ないし10のいずれか一つに記載のプレート式熱交換器。
【請求項12】
前記第二の側面(12b)は平らである、請求項1ないし11のいずれか一つに記載のプレート式熱交換器。
【請求項13】
前記丸穴はまた、前記第二の媒体を、前記第二のプレート隙間(4)の中へ、またそこから外へ運ぶように配された第二の入口および出口チャンネル(7,8)を形成している、請求項1ないし12のいずれか一つに記載のプレート式熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段部によるプレート式熱交換器に関係する。
【背景技術】
【0002】
EP−B−608 195は、第一の媒体のための第一のプレート隙間と第二の媒体のための第二のプレート隙間を有しているプレートパッケージを形成するために互いにそばに設けられた複数の熱交換器プレートを備えているそのようなプレート式熱交換器を開示している。前記第一および第二のプレート隙間は、前記プレートパッケージ中に交互に設けられている。多数の丸穴が、前記プレートパッケージを貫いて延び、前記第一の媒体を前記第一のプレート隙間の中へ、またそこから外へ運ぶように配された第一の入口および出口チャンネルを形成している
浸漬チューブが、前記丸穴の一つの中に設けられており、その中に温度センサーが延びている。
【0003】
多くの熱交換器の利用においては、プレート式熱交換器の丸穴のいずれかの中にさまざまな挿入要素を設ける必要性がある。そのような挿入要素は、さまざまな種類の機能デバイス、たとえばEP−B−608 195に開示されるような温度センサーを保持するために必要とされ得る。このコンテキスト中の問題は、挿入要素を丸穴の中に安心かつ効率的な手法で取り付ける困難さである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】EP−B−608 195
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、プレート式熱交換器の丸穴の中への挿入要素の確実かつ効率的な取り付けを提供することである。
【0006】
この目的は、最初に定められるプレート式熱交換器によって達成され、それは、前記第一の側面が、前記環状体の付近の環状溝と、前記環状溝から前記環状フランジの外側縁の向こうに延びている少なくとも一つの放射状溝を備えていることを特徴とする。
【0007】
そのような環状フランジは、前記プレート式熱交換器の実装に関連して前記二つの熱交換器プレートの間に配置されることによって、容易かつ確実な手法で丸穴の中に配置され得る。それから、熱交換器プレートが互いに対して締め付けられるか、金属材料の融解を通じて接合されたとき、フランジ、したがって挿入要素の位置が、丸穴の中で固定される。
【0008】
本発明の一つの実施形態によれば、前記挿入要素は、前記丸穴の中に前記機能デバイスを配置するように配されている。有利には、前記機能デバイスは、流れ案内デバイスおよび/または感知デバイスを備えていても、それらから成っていてもよい。前記挿入要素のおかげで、希望の機能デバイスが、前記丸穴の中の所望位置に配置され得る。
【0009】
本発明の一つの実施形態によれば、前記環状体は、前記丸穴の中に機能デバイスを取り付けて保持するように配された取り付け部材を備えている。前記取り付け部材は、前記挿入要素への前記機能デバイスの永久的取り付けのために設計されてもよい。前記取り付け部材は、あるいは、前記挿入要素への前記機能デバイスの取り外し可能な取り付けのために設計されてもよい。有利には、前記機能デバイスは、前記挿入要素が前記プレート式熱交換器に装着される前に、前記挿入要素の前記取り付け部材に取り付けられてもよい。
【0010】
本発明の一つの実施形態によれば、前記取り付け部材は、前記機能デバイスの対応するねじと共同動作するように配されたねじを備えており、これらのねじがねじ結合を形成する。有利には、前記取り付け部材は、前記機能デバイスの対応する外側ねじと共同動作するように配された内側ねじを備えていてもよい。そのようなねじ結合で、前記機能デバイスは、容易かつ取り外し可能な手法で前記挿入要素に取り付けられて得る。
【0011】
本発明の一つの実施形態によれば、前記取り付け部材は、前記機能デバイスの対応する第二の差込みカップリング部分と共同動作するように配された第一の差込みカップリング部分を備えており、これらの部分が差込みカップリングを形成する。そのような差込みカップリングで、前記機能デバイスは、容易かつ取り外し可能な手法で挿入要素に取り付けられ得る。
【0012】
本発明の一つの実施形態によれば、前記取り付け部材は、前記機能デバイスの対応する表面と共同動作するように配された表面を備えており、これらの表面が押圧はめを形成する。したがって、前記機能デバイスは、前記二つの表面が互いに対して押圧されることによって、前記挿入要素の押圧力で保持され得る。この実施形態による前記機能デバイスはまた、前記挿入要素の中で縮むことによって取り付けられ得る。
【0013】
本発明の一つの実施形態によれば、前記機能デバイスは、流れ案内デバイスを備えている。有利には、前記プレート式熱交換器は、互いに間に位置する熱交換器プレートの一群から成る第一の熱交換器部分と、互いにそばに位置する熱交換器プレートの別の一群から成る第二の熱交換器部分に分けられ、前記挿入要素は、前記第一の熱交換器部分と前記第二の熱交換器部分の間に設けられており、前記第一の媒体が、前記第一の熱交換器部分中の前記第一のプレート隙間を通ってある方向に、また前記第二の熱交換器部分中の前記第二のプレート隙間を通って反対方向に運ばれるように配されている。
【0014】
本発明の一つの実施形態によれば、前記流れ案内デバイスは、前記第一の媒体が前記少なくとも一つの丸穴を通り抜けるのを少なくとも部分的に防止するために前記少なくとも一つの丸穴を絞るように配されたバルブを備えている。油の冷却のためのプレート熱交換器では、油の温度が低く、したがって冷却の必要性が小さいとき、油の少なくとも一部を、前記丸穴をまっすぐに通して運ぶことができる必要性がある。もしすべての油が熱交換器を通って運ばれるならば、比較的高い圧力低下が得られ、これは、前記プレート隙間の少なくとも一部を通ることによって油がそれを通って運ばれるバルブによって回避され得る。有利には、前記バルブは、前記第一の媒体の温度に応じて前記丸穴を絞るように配されたサーモスタットバルブであってもよい。
【0015】
本発明の一つの実施形態によれば、第一の側面と第二の側面は互いに平行である。
【0016】
本発明の一つの実施形態によれば、前記熱交換器プレートと前記挿入要素は、たとえばろう付けによって、金属材料の融解によって互いに永久的に接続されており、前記第一の側面は、前記二つの熱交換器プレートの一方に永久的に接続されており、前記第二の側面は、前記二つの熱交換器プレートの他方に永久的に接続されている。
【0017】
本発明の一つの実施形態によれば、前記環状溝と前記放射状溝は、融解後の金属材料が前記溝を満たさないような深さを有している。
【0018】
本発明の一つの実施形態によれば、前記第二の側面は平らである。
【0019】
本発明の一つの実施形態によれば、前記丸穴はまた、第二の媒体を、第二のプレート隙間の中へ、またそこから外へ運ぶように配された第二の入口および出口チャンネルを形成する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明は、さまざまな実施形態の説明を通して、また、ここに付けられた図面を参照して、いま、より綿密に説明される。
図1図1は、挿入要素が機能デバイスの第一の変形を有している本発明によるプレート式熱交換器の正面図を概略的に開示している。
図2図2は、図1のII−II線に沿った断面図を概略的に開示している。
図3図3は、図1および2のプレート式熱交換器の挿入要素の正面図を概略的に開示している。
図4図4は、図3のIV−IV線に沿った断面図を概略的に開示している。
図5図5は、挿入要素が機能デバイスの第二の変形を有している本発明によるプレート式熱交換器の正面図を概略的に開示している。
図6図6は、図5のVI−VI線に沿った断面図を概略的に開示している。
図7図7は、図5および6のプレート式熱交換器の挿入要素の正面図を概略的に開示している。
図8図8は、図7のVIII−VIII線に沿った断面図を概略的に開示している。
図9図9は、挿入要素が機能デバイスの第三の変形を有している本発明によるプレート式熱交換器の正面図を概略的に開示している。
図10図10は、図9のX−X線に沿った断面図を概略的に開示している。
図11図11は、図9および10のプレート式熱交換器の挿入要素の正面図を概略的に開示している。
図12図12は、図11のXII−XII線に沿った断面図を概略的に開示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1および2は、それ自体知られている手法で圧縮成型された好ましくは尾根および谷(開示せず)の圧縮成型波形をもつ熱伝達表面を備えている複数の熱交換器プレート2を有しているプレートパッケージ1と、開示された実施形態では曲げられている周囲縁フランジを備えているプレート式熱交換器を開示している。二つの外側熱交換器プレート2’,2”は、プレートパッケージ1のエンドプレートを形成している。二つの外側熱交換器プレート2’,2”は、たとえば厚さおよび/または波形に関して残りの熱交換器プレート2とは別の設計を有していてもよい。それらは、たとえば平らまたは実質的に平らであってよい。外側熱交換器プレート2’,2”と最も近い熱交換器プレート2の間にプレート隙間がないように、外側熱交換器プレート2’,2”をそれぞれの最も近い熱交換器プレート2に対して堅く設けることも可能である。
【0022】
熱交換器プレート2は、第一の媒体のための第一のプレート隙間3と第二の媒体のための第二のプレート隙間4を形成するためにプレートパッケージ1の中に互いにそばに設けられている。第一および第二のプレート隙間3および4は、プレートパッケージ1の中に交互に設けられており、すなわち、一つおきのプレート隙間は第一のプレート隙間3であり、一つおきのプレート隙間は第二のプレート隙間4である(図2参照)。
【0023】
プレート式熱交換器は、プレートパッケージ1を貫いて延びている多数の丸穴を備えている。丸穴は、第一の媒体を第一のプレート隙間3の中へ運ぶための第一の入口チャンネル5と、第一の媒体を第一のプレート隙間3から外へ運ぶための第一の出口チャンネル6を形成している。丸穴はまた、第二の媒体を第二のプレート隙間4の中へ運ぶための第二の入口チャンネルと、第二の媒体を第二の隙間3から外へ運ぶための第二の出口チャンネルを形成している。たとえば第二の入口および出口チャンネル7,8を形成し、プレートパッケージ1の両側面を通る第二のプレート隙間4の入口および出口を提供する丸穴をなしで済ますことも可能である。
【0024】
入口および出口チャンネル5〜8は、下記からより綿密に理解できるように、おそらく一つまたは外側熱交換器プレート2’,2”の一方または両方を除いて、熱交換器プレート2のおのおののそれぞれのポート開口9(図3参照)によって形成されている。
【0025】
プレート式熱交換器は、あらゆる種類の媒体に使用されてよい。利用分野の一つの例は油冷却器であり、第一の媒体は、冷却される油であり、第二の媒体は、冷却媒体たとえば水である。プレート式熱交換器は、局地暖房ネットワークで、または地域暖房ネットワークで、たとえば水道水を加熱するため、ヒートポンプ工場で、工業プロセスで、たとえば乗り物内の冷却および/または暖房のため、その他など、他の用途に使用されてもよいことに注目されるべきである。
【0026】
開示された実施形態では、熱交換器プレート2’,2”は、たとえばろう付けや接着、溶接によって互いに永久的に接続されている。しかしながら、本発明は、締付ボルトによってなど、別の方法で一緒に保持されたプレート式熱交換器にも適用可能であることに注目されるべきである。
【0027】
プレート式熱交換器はまた挿入要素10を備えており、それは、第一の媒体のための丸穴の一つの中に設けられている。挿入要素10の目的は、この丸穴の中に機能デバイス20の配置することである。機能デバイス20は、プレート式熱交換器にさらなる機能または追加の機能を提供する。追加の機能は、能動的、たとえば流れガイド機能、および/または、受動的、たとえば感知機能であってよい。
【0028】
挿入要素10は環状体11と環状フランジ12を備えており、環状フランジは環状体11から外側に突出している。環状体11と環状フランジ12は、開示された実施形態では、一つの部品に設計されている。しかしながら、これらの二つの要素は、挿入要素10に装着される二つの別体の部品であってもよい。
【0029】
環状体10は、丸穴中に機能デバイス20を取り付けて保持するように配された取り付け部材を備えている。図1〜4に示された実施形態では、取り付け部材は、機能デバイスの対応するねじと共同動作するように配されるねじを備えている。取り付け部材のねじは、この対応するねじと一緒に、図3および4に概略的に示されるねじ結合13を形成するように配されている。
【0030】
挿入要素の環状フランジ12は、プレートパッケージ1中の熱交換器プレート2の二つの間に設けられている。開示された実施形態では、環状フランジ12は、第一のプレート隙間3の一つの中に少なくとも部分的に配置されている。環状フランジ12は、第一の側面12aと、対応する第二の側面12bを有しており、それらは、関係のある第一のプレート隙間3を取り囲む二つの熱交換器プレート2のそれぞれ一つに当接している。
【0031】
挿入要素10は、開示された実施形態では、二つの隣接した熱交換器プレート2に永久的に接続されている。それから、第一の側面12aは、二つの熱交換器プレート2の一つに永久的に接続されており、第二の側面12bは、二つの熱交換器プレート2の他方に永久的に接続されている。永久的接続は、プレート式熱交換器の実装に関して達成されてもよく、コンポーネントは、金属材料の前述の溶融によって互いに接続されている。もしプレート式熱交換器が、その代りに、締付ボルトによって保持されているならば、挿入要素は、二つの隣接した熱交換器プレート2の間に環状フランジ12を挟み付けることによって保持されてもよい。
【0032】
機能デバイス20は有利には、熱交換器プレート2に挿入要素10が装着される前に、これに取り付けられ得る。しかしながら、プレート式熱交換器に挿入要素10がすでに装着されているとき、機能デバイス20を挿入要素10に装着することが可能である。開示された実施形態はまた、プレート式熱交換器の分解または丸穴中の位置からの挿入要素10の取り外しなしで、機能デバイス20が交換可能であることを可能にする。
【0033】
特に図3と7と11に見られ得るように、環状フランジ12の第一の側面12aは、環状体11の付近の環状溝15と、環状溝15から外側に環状フランジ12の外側縁の向こうに延びている六つの放射状溝16を備えている。環状溝15は、溝15がポート開口の中に完全または部分的に配置されるような方法で、または、挿入要素10を通る中心軸に関してそのような半径に設けられており、一方、放射状溝16は、それらが熱交換器プレート2の間のポート開口9の外側に配置されるように設けられている(図3参照)。溝15および16は同じ深さを有していてもよい。そして多かれ少なかれ、六つの放射状溝16は環状溝15から延びてもよい。環状フランジ12の第二の側面12bは、開示された実施形態では、平らである。
【0034】
図1〜4に示された実施形態では、機能デバイス20は、流れ案内デバイスを備えている。プレート式熱交換器は、ここで、第一の熱交換器部分1aと第二の熱交換器部分1bに分けられる。挿入要素10は、第一の熱交換器部分1aと第二の熱交換器部分1bの間に設けられ、第一の交換器部分1aと第二の熱交換器部分1bの間の境界または分離デバイスを形成している。挿入要素10は、第一の媒体が第一の熱交換器部分1aの中の第一のプレート隙間3を通ってある方向に、また第二の熱交換器部分1bの中の第一のプレート隙間3を通って反対方向に運ばれるように、第一の媒体をガイドするように配されている。
【0035】
したがって第一の入口チャンネル5と第一の出口チャンネル6は同じ丸穴の中に配置されており、入口チャンネルは、プレート式熱交換器の一方の側面から第一の熱交換器部分1aの第一の外側熱交換器プレート2’と熱交換器プレート2を通って挿入要素10まで延びている。第一の出口チャンネル6は、挿入要素10から第二の熱交換器部分1bの熱交換器プレート2と第二の外側熱交換器プレートを通ってプレート式熱交換器の第二の側面を通って外へ延びている。丸穴はまた、第一の熱交換器部分1aの中の第一のプレート隙間3を第二の熱交換器部分1bの中の第一のプレート隙間3に接続している第一の内部チャンネル5aを形成している。第一の内部チャンネル5aは、二つの外側熱交換器プレート2’および2”を除いてすべての熱交換器プレート2を通って延びており、それは図2および6に見ることができる。
【0036】
したがって、第一の入口チャンネル5に運ばれ挿入要素10に達した第一の媒体は、環状溝15の中へ、そこからさらに放射状溝16に、そしてそこから外へ運ばれる。これは、挿入要素10の環状フランジ12が配置されている第一のプレート隙間3の中へ第一の媒体が運ばれることを意味する。そのような方法で、プレート隙間3,4のいずれも挿入要素10によって妨害されないことが保証される。
【0037】
図1〜4に示された実施形態では、機能デバイス20は、第一の媒体が丸穴を通り抜けることが少なくとも部分的に防止されるように、丸穴の一つ、開示された実施形態では第一の入口チャンネル5を絞るように配されたバルブ21を備えている。バルブ21は適切な設計を有していてよく、概要の例が図4に開示されている。バルブ21は、この例では、バルブ開口23を開閉し得るバルブ本体22を備えていている。スプリング24はバルブ本体22に作用し、図4に示された閉位置の方へこれを押す。バルブ20は、第一の媒体の温度に応じて丸穴を絞るように配されたサーモスタットバルブであってもよい。そのようなサーモスタットバルブは、温度に敏感なスプリング24によって解放され、また、第一の媒体の温度が所定のレベルの下に落ちたとき、本例では、開位置に押し付けられる。スプリング24は、バイメタルまたは形状記憶合金で製造されてよい。
【0038】
そのようなバルブで、バルブ20を閉じることによって、第一の媒体の温度があるレベルを超えて第一の媒体の冷却の必要性があるとき、第一の媒体は、第一の熱交換器部分1aを通って、その後、第二の熱交換器部分1bを通って運ばれる。もし第一の媒体の温度が所定のレベルの下に落ちると、バルブ21は開き、第一の媒体は、第一のプレート隙間3を通り抜けることなく、第一の入口チャンネル5から第一の出口チャンネル6へ直接運ばれ得る。
【0039】
図5〜8に開示される実施形態は、機能デバイス20がフローパイプ28として設計されている点で図1〜4のものと異なっている。このフローパイプ28は、押圧はめ29の形をしている取り付け部材によって挿入要素10に取り付けられており、すなわち、挿入要素10の環状体11は、フローパイプ28の対応する外側円形あるいは円錐形表面と共同動作する内側円形あるいは円錐形表面を有している。フローパイプ28が挿入要素10にしっかりと保持されるように、表面は互いに対して押圧される。また図5〜8に開示されたこの実施形態では、取り付け部材はねじ結合を備えていてもよいことに注目されるきである。
【0040】
したがって、フローパイプ28は、第一の入口チャンネル5の丸穴の中に配置されている。第一の媒体は、フローパイプ28の外側の第一の入口チャンネル5の中へ、第一の熱交換器部分1aの第一のプレート隙間3、すなわち、挿入要素10の上流に配置されたそれらの中へ流れる。それから第一の媒体は、第二の熱交換器部分1bの第一のプレート隙間3を通って第一の出口チャンネル6へ流れ、それから、挿入要素10とフローパイプ28を通ってプレート式熱交換器から外へ運ばれる。この実施形態では、ポート開口9は、第一の入口チャンネル5の延長にある外側熱交換器プレート2”にはない。
【0041】
図9〜11に示された実施形態は、機能デバイス20がどんな流れ案内デバイスも備えていないが受動的感知デバイスを備えている点で図1〜8に示された実施形態と異なっている。開示された実施形態では、機能デバイス20は、第一の媒体の温度を感知するように配された温度センサー31を備えている。感知温度は、第二のプレート隙間4を通る流れを制御するバルブ32の制御のために使用されてよい。温度センサー31は、適切な部材、たとえばおのおのがリング34に接続された三つのスパイク33によって保持されたハブ32によって挿入要素10の中に保持されている。この実施形態で、挿入要素10は開かれており、すなわち、第一の媒体は、挿入要素10を通ってまっすぐに流れ得る。
【0042】
図9〜11に示された実施形態では、取り付け部材は、第一の差込みカップリング部分38を有している差込みカップリング37を備えており、第一の差込みカップリング部分は、たとえば機能デバイス20の二つのピンを備えており、対応する第二の差込みカップリング部分39と共同動作するように配されており、第二の差込みカップリング部分は、たとえば環状体11の二つの溝を備えている。開示された実施形態では、ピンは、リング34から突出している。図9〜11に示された実施形態では、取り付け部材は、ねじ結合13または押圧はめ29を代替的に備えていてもよいことに注目されるべきである。外側熱交換器プレート2”は、この実施形態では、完全であり、すなわち、それは丸穴を欠いている。
【0043】
本発明は、開示された実施形態に限定されないが、続く請求の範囲内において変更および修正されてもよい。
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