特許第5749405号(P5749405)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5749405車両のフロントガラス上の雨滴を検出するための方法およびカメラアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5749405
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】車両のフロントガラス上の雨滴を検出するための方法およびカメラアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/17 20060101AFI20150625BHJP
   B60S 1/08 20060101ALI20150625BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20150625BHJP
【FI】
   G01N21/17 E
   B60S1/08 H
   G06T1/00 330Z
【請求項の数】11
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-528866(P2014-528866)
(86)(22)【出願日】2011年9月7日
(65)【公表番号】特表2014-531576(P2014-531576A)
(43)【公表日】2014年11月27日
(86)【国際出願番号】EP2011004507
(87)【国際公開番号】WO2013034167
(87)【国際公開日】20130314
【審査請求日】2014年5月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】508108903
【氏名又は名称】ヴァレオ・シャルター・ウント・ゼンゾーレン・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100179338
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(72)【発明者】
【氏名】サミア、アヒアド
(72)【発明者】
【氏名】カロリーヌ、ロベール
【審査官】 松谷 洋平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−052601(JP,A)
【文献】 特開2010−223685(JP,A)
【文献】 特開2007−125940(JP,A)
【文献】 特開2008−157924(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00−21/01
G01N 21/17−21/61
G01V 1/00−99/00
B60S 1/00− 1/68
G06T 1/00− 1/40
G06T 3/00− 5/50
G06T 9/00− 9/40
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1枚の画像(18,28,30,32,34)がカメラ(12)によって取り込まれる、車両のフロントガラス上の雨滴(26)を検出するための方法であって、
前記カメラ(12)によって取り込まれる前記少なくとも1枚の画像(18,28,30,32,34)から抽出された対象物は、前記抽出された対象物に割り当てられた(S20)信頼値が所定の閾値を上回った場合に、雨滴(26)として特定され、
前記閾値は、前記車両の経路内のアイテム(16)の存在に応じて変更される(S22)ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記閾値は、前記カメラ(12)の視野内のアイテム(16)の存在に応じて変更される(S22)ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記閾値は、前記カメラ(12)と前記アイテム(16)との間および/または車両と前記アイテム(16)との間の距離が所定の距離よりも短い場合に増加する(S26)ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記抽出された対象物の輪郭および/またはコントラストおよび/または明度は、前記対象物を雨滴(26)として特定するために考慮されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記カメラの視野内の前記アイテム(16)の存在は、前記カメラ(12)の手段を用いて決定されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記車両の経路内の前記アイテム(16)の存在は、信号を発し前記アイテム(16)により反射された信号を受けるように構成される検出手段によって決定されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記画像(18,28,30,32,34)が二焦点カメラ(12)によって取り込まれ、前記雨滴(26)の検出は、フロントガラス上に焦点が合った前記取り込み画像(18,28,30,32,34)の画像領域(22)から抽出された対象物に対して行われることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記アイテム(16)の存在は、無限遠に焦点が合った前記取り込み画像(18,28,30,32,34)の他の画像領域(20)内で決定されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1枚の前記画像(18,28,30,32,34)から抽出された対象物の間で雨滴(26)を特定するために、教師あり学習マシンが利用されることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記アイテム(16)がもはや前記車両の経路内に存在しない場合には、前記閾値は、所定の値にリセットされることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1枚の画像(18,28,30,32,34)を取得するためのカメラ(12)を備える、車両のフロントガラス上の雨滴(26)を検出するためのカメラアセンブリであって、
前記カメラアセンブリは、
前記カメラ(12)によって取り込まれる前記少なくとも1枚の画像(18,28,30,32,34)から抽出された対象物を、前記抽出された対象物に割り当てられた(S20)信頼値が所定の閾値を上回った場合に、雨滴(26)として特定し、且つ、
前記車両の経路内のアイテム(16)の存在に応じて前記閾値を変更する(S22)、
ように構成される評価手段(14)を備えることを特徴とするカメラアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のフロントガラス上の雨滴を検出するための方法であって、少なくとも一枚の画像がカメラによって取り込まれる方法に関する。また、本発明は、車両のフロントガラス上の雨滴を検出するためのカメラアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車においては、単一のカメラまたは複数のカメラにより取り込まれた画像を使用する幾つかの運転支援システムが知られている。得られた画像は、例えばダッシュボードにあるスクリーン上での表示を可能にするために処理され得る、あるいは、特に危険の場合にドライバに警告するためにあるいは単にドライバの視認性を高めるためにフロントガラス上に投影されてもよい。また、画像は、車両のフロントガラス上の雨滴または霧を検出するために利用することもできる。そのような雨滴検出または霧検出は、車両の機能的なユニットの自動的な起動に関与し得る。例えば、雨が検出されれば、ドライバに警告することができ、制動補助システムを作動させることができ、フロントガラスワイパーを作動させることができ、および/または、ヘッドライトのスイッチを入れて作動させることができる。
【0003】
カメラによって取り込まれた画像に基づく車両のフロントガラス上の雨滴検出は、カメラにより取り込まれた画像から雨滴として抽出された対象物の誤った解釈に起因して幾つかの困難に直面する場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、車両のフロントガラス上の雨滴を検出するための特に信頼できる方法およびカメラアセンブリをもたらすことである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1の特徴を伴う方法によって、および、請求項11の特徴を伴うカメラアセンブリによって達成される。本発明の都合のよい更なる進展を伴う有利な実施形態が従属請求項に示される。
【0006】
本発明によれば、車両のフロントガラス上の雨滴を検出するための方法において、少なくとも1枚の画像がカメラによって取り込まれる。カメラによって取り込まれる少なくとも1枚の画像から抽出された対象物は、抽出された対象物に割り当てられた信頼値が所定の閾値を上回った場合に、雨滴として特定される。信頼値は、当該対象物が実際に雨滴であって他の対象物でない確率を示す。本方法において、閾値は、車両の経路内のアイテムの存在に応じて変更される。これは、カメラに比較的近いアイテムが該アイテムの一部分を画像内の雨滴の特徴に類似するこれらの部分の画像内の特徴に起因して雨滴であるとする誤った解釈をもたらす場合があるという所見に基づく。アイテムが車両の経路内に存在する場合に閾値を変更することにより、画像から抽出された雨滴ではない対象物と実際の雨滴との混同を少なくともかなりの程度まで回避できる。したがって、閾値の変更は、車両のフロントガラス上の雨滴のより信頼できる検出をもたらす。そのため、アイテムは、必ずしも画像内で検出される必要がない。ある別の手段においては、車両の経路内で検出されるアイテムが通常はカメラに近いがカメラの視野外となることさえあり得る。その場合、アイテムは、それにもかかわらず、例えばカメラの視野内で光を散乱する先行車両のバックライトのようなアイテムの光源からくる何らかの想定し得る障害に起因して雨滴検出に影響を及ぼす可能性がある。アイテムが車両の経路内にある一方で光源がカメラの視野内にない場合であっても、雨滴検出における何らかの誤った解釈をもたらす場合がある何らかの散乱光がカメラによって検出され得る。
【0007】
本発明の有利な実施形態において、閾値は、カメラとアイテムとの間の距離が所定の距離よりも短い場合に増加される。これは、カメラがフロントガラス上の雨滴を検出するように構成されるときにカメラから遠い対象物がかなりぼやけて見えるという事実に起因する。その結果、対象物がかなり近いときには、その対象物の画像が非常に鮮明である。これは、同様にフロントガラスの画像内で鮮明に見えるフロントガラス上の雨滴との混同をもたらす場合がある。閾値を増大させることにより、雨滴であるという高い確率をもたらす画像から抽出された対象物だけが実際に雨滴として特定される。アイテムがカメラにかなり近い場合に閾値を増大させることにより、雨滴と類似するアイテムの一部分の特徴に起因する誤った検出を回避できる。
【0008】
アイテムとカメラとの間の距離は、車両内のカメラの位置と車両のサイズとに依存するため、車両とアイテムとの間の距離が所定の距離よりも短い場合に閾値を増大させることもできる。また、車両とアイテムまたは障害物との間の距離は、例えば駐車支援手段によってかなり容易に決定できる。
【0009】
アイテムがカメラの視野内に存在する場合に閾値が変更される場合には、抽出された対象物の輪郭および/またはコントラストおよび/または明度が考慮されれば、雨滴を容易に特定することができる。画像から抽出された対象物のそのような特徴は、容易に決定できるとともに、良好な検出結果をもたらす。
【0010】
また、カメラの視野内のアイテムの存在がカメラを用いて決定されると有利であることが分かってきた。この場合、アイテムの存在またはアイテムとカメラとの間の距離を決定するために他の検出手段を設ける必要がない。
【0011】
少なくとも2つのカメラが存在する場合には、1つのカメラを用いてアイテムに関するデータを得るとともに、他のカメラを用いて雨滴検出のための画像を取得することもできる。また、フロントガラス上の雨滴を検出するために専らフロントガラス上に焦点が合った1つのカメラのみを用いてアイテムに関するデータを得ることもできる。
【0012】
これに代えてあるいはこれに加えて、車両の経路内のアイテムの存在は、信号を発しアイテムにより反射された信号を受けるように構成される検出手段によって決定することができる。特に、そのような検出手段、例えば、駐車支援などの他の運転支援機能のために利用される超音波検出器および/またはレーダー検出器を車両が備える場合には、これらの検出手段によって得られるデータを容易に利用して、雨滴検出を依然として妨げるカメラの視野外のアイテムの検出さえも可能にする車両の経路内のアイテムの存在の検出を行うことができる。
【0013】
本発明の他の有利な実施形態では、画像が二焦点カメラによって取り込まれ、その場合、雨滴の検出は、フロントガラス上に焦点が合った取り込み画像の画像領域から抽出された対象物に対して行われる。そのような二焦点カメラは、一方では、雨滴検出を可能にし、他方では、同じ取り込み画像に基づいて他の運転支援機能を可能にする。また、このようにすると、幾つかの運転支援機能のために1つのカメラだけで済む。
【0014】
アイテムの存在は、無限遠に焦点が合った取り込み画像の他の画像領域内で容易に決定され得る。雨滴検出のために利用される画像領域とは異なる焦点を有するこの他の画像領域から得られる情報を用いると、カメラの視野内のアイテムの存在および/または距離を容易に決定できる。
【0015】
少なくとも1枚の画像から抽出された対象物の間で雨滴を特定するために教師あり学習マシンを利用することができる。雨滴を特定する際には、そのような教師あり学習マシン、例えばサポートベクターマシンが特に強力である。
【0016】
最後に、アイテムがもはや車両の経路内またはカメラの視野内に存在しない場合に、閾値が所定の値にリセットされれば有利であることが分かってきた。車両経路からアイテムが消失する場合には、アイテムの一部分とフロントガラス上に実際に存在する雨滴との混同の可能性はもはや与えられず、したがって、これ以上閾値を変更する必要がない。
【0017】
また、アイテムが車両の経路内またはカメラの視野内に存在する期間にわたって検出プロセスを中断することもできる。
【0018】
車両のフロントガラス上の雨滴を検出するように構成される本発明に係るカメラアセンブリは、少なくとも1枚の画像を取得するためのカメラを備える。カメラアセンブリは、カメラによって取り込まれる少なくとも1枚の画像から抽出された対象物を、抽出された対象物に割り当てられた信頼値が所定の閾値を上回った場合に、雨滴として特定するように構成される評価手段を更に備える。また、評価手段は、カメラの視野内のアイテムの存在に応じて閾値を変更するように構成される。そのようなカメラアセンブリは、閾値を変更することによってアイテムの一部分と雨滴との混同を回避できるため、フロントガラス上の雨滴を検出する際に特に信頼できる。
【0019】
雨滴を検出するための方法に関して与えられる好ましい実施形態およびその対応する利点は、本発明に係るカメラアセンブリに適用され、逆もまた同様である。
【0020】
先の説明で言及された特徴および特徴組み合わせの全て、並びに、図の説明において以下で言及されるおよび/または図のみに示される特徴および特徴組み合わせは、それぞれで特定された組み合わせで使用できるだけでなく、本発明の範囲から逸脱することなく他の組み合わせでもあるいは単独でも使用できる。
【0021】
本発明の更なる利点、特徴、および、詳細は、特許請求の範囲から、好ましい実施形態の以下の説明から、および、図面から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】車両の車室内に設置される二焦点カメラによって撮られた第1の画像を示し、画像の下部は、フロントガラス上に焦点が合わされ、フロントガラス上の雨滴と混同される場合がある対象物を含む。
図2】二焦点カメラを備える車両の前方における車両の存在がフロントガラス上の雨滴の誤った検出をもたらす場合がある、同様の状況の他の画像を示す。
図3】カメラの近い視野内にアイテムが存在する場合に、対象物を雨滴として特定するための信頼のレベルを規定する閾値が増加される、フロントガラス上の雨滴を検出するための方法を表すフローチャートを示す。
図4】フロントガラス上の雨滴の検出を行うように構成されるカメラアセンブリを非常に概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
車両のフロントガラス上の雨滴を検出するためのカメラアセンブリ10(図4参照)はカメラ12を備え、該カメラは、CMOSイメージセンサまたはCCDイメージセンサを含んでもよく、車両のフロントガラスを見るように構成される。カメラ12は、車両のフロントガラス上に焦点が合ったとともに無限遠に焦点が合った二焦点カメラである。したがって、車両の車室内に設置されるカメラ12は、車両のフロントガラス上の対象物を見るように構成される。
【0024】
フロントガラスは、カメラアセンブリ10がフロントガラス上の雨滴を検出する場合には、ワイパーブレードを用いて拭き取られ得る。カメラ12はフロントガラスの画像を取得し、また、画像処理によって、フロントガラス上の対象物が雨滴であるか否かが決定される。
【0025】
カメラアセンブリ10は、カメラ12により取り込まれた画像から抽出された対象物を雨滴として特定するように構成される評価手段14(図4参照)を備える。この評価のために、抽出された対象物に割り当てられた信頼値が閾値と比較される。信頼値は、カメラ12により取り込まれた画像内の対象物が雨滴である確率を示す。例えば、画像から抽出された対象物の分類後に、各対象物に対して、−100と100との間で異なり得る信頼値が割り当てられた。この場合、100の値は、対象物を雨滴として特定するための最大の信頼値またはスコアである。−100の値は、雨滴でないとしての対象物の拒絶につながる最小の信頼値である。閾値が0に設定されれば、0を上回る信頼値を有する各対象物は雨滴として特定され、また、マイナスの信頼値を有する各対象物は雨滴でないとして特定される。
【0026】
しかしながら、カメラアセンブリ10が設置される車両の前方にある車両16などのアイテムまたは障害物は、雨滴を検出する際に困難をもたらし得る。
【0027】
図1は、二焦点カメラ12により取り込まれた画像18を示す。取り込み画像18の上部20または画像領域は無限遠に焦点が合わされ、また、車両の前方にある車両16は、主に、画像18のこの上部20に位置付けられる。画像18の下部22または下側画像領域は、カメラアセンブリ10を備える車両のフロントガラス上に焦点が合った。
【0028】
カメラ12を備える車両の前方にある車両16の一部分は、画像18の下部22内に位置するようになる。この車両16のバンパーまたはテールランプの一部分などのその車両16の一部分24は、カメラ12を備える車両にかなり近い。したがって、カメラ12の視野内に位置されるこれらの部分24は、画像18の下部22内において、かなり鮮明な対象物として現れる。同様に、画像18の下部22内の雨滴26も、通常はそのような抽出された対象物の雨滴26としての特定につながる特徴として、鮮明な輪郭を有する。
【0029】
テールランプなどの車両16の一部分24が雨滴26と同様に見える場合があるため、車両16などのアイテムがカメラ12の視野内に存在するときには常に、とりわけアイテムまたは車両16がかなり近いときには、画像18内でこれらの対象物を区別することが困難になる。画像18の下部22内の車両16のこれらの部分24のコントラストのある鮮明な特徴は、これらの部分と雨滴26との混同をもたらす場合がある。また、接近した車両16のテールランプによって照らされるフロントガラス上の雨滴は、テールランプと同様の特徴、例えば、画像18の下部22から抽出された対象物内の赤色成分の高い明度および優位性を表示する場合がある。
【0030】
図2は、車両16がカメラアセンブリ10を備える車両の前方に近接する画像28の他の例を示す。ここでも先と同様に、車両16の一部分24は、カメラアセンブリ10を備える車両と該車両の前方にある車両16との間の短い距離に起因して雨滴26と同様に見える。
【0031】
カメラ12の近い視野内の車両16の存在は、雨滴26を検出する際に困難をもたらす場合がある。したがって、図3を参照して説明するように、取り込み画像30,32,34の下部22から抽出された対象物に割り当てられた信頼値と比較される閾値が変更される。
【0032】
第1のステップS10において、二焦点カメラ12は、上部20が無限遠に合焦されるとともに下部22がフロントガラス上に合焦される画像30、32,34を取得する。ステップS12では、この二重焦点画像30,32,34から、上部20が障害物検出のために解析される。車両16などの障害物またはアイテムのこの検出は、画像30の上部20を処理することによって行うことができる。これに代えてあるいはこれに加えて、超音波検出器および/またはレーダー検出器などの検出器を利用して、カメラアセンブリ10を備える車両の前方における車両16の存在を検出することができる。
【0033】
ステップS14では、取り込み画像30,32,34の下部22から対象物が抽出された。次のステップS16では、抽出された対象物にラベルが付される。取り込み画像30,32,34の下部22内の対象物のこの分類またはラベル付けは、対象物の形状、明度、テクスチャ、コントラストなどを表してもよい一組の記述子に基づく。ステップS18では、記述子に基づいて、対象物の選択が行われる。この選択は、取り込み画像30,32,34の下部22内の想定し得る雨滴26のリストをもたらす。ステップS20では、想定し得る雨滴のこのリストを作り上げる際に、信頼値またはスコアが想定し得る雨滴のそれぞれに対して割り当てられた。
【0034】
取り込み画像30の上部20内の車両16などのアイテムの検出後、ステップS22において、カメラ12からの車両16の距離が決定される。例えば、車両16が5メートルよりも近い、特にカメラ12から3−4メートルの距離にある場合には、信頼値と比較される閾値が増加される。逆に、車両16がカメラ12の視野から比較的遠い、例えば4メートルを超える距離にある場合には、ステップS24において、信頼値との比較のために、標準的な閾値が利用される。信頼値が−100と100との間にある例においては、ステップS24で選択される閾値が0であってもよい。一方、車両16が遠くなくカメラ12に近い場合には、ステップS26において、信頼値との比較のために、増大された閾値が利用される。車両16がカメラ12から3〜4メートルの距離にある場合には、信頼値が−100と100との間で異なり得るならば、ステップS26で選択された増大された閾値が50の値を有することができる。
【0035】
ステップS28では、ステップS24またはステップS26のそれぞれで選択された閾値を信頼値が上回るかどうかが決定される。これが当てはまる場合には、ステップS30において、取り込み画像30,32,34の下部22から抽出された対象物が雨滴として特定される。そうでない場合には、ステップS32において、対象物が拒絶される。すなわち、抽出された対象物が雨滴でないとして特定される。
【0036】
フロントガラス上の雨滴26の数およびサイズに応じて、ワイパーブレードがONに切り換えられてもよく、あるいは、制動支援システムなどの運転支援システムを起動させることができ、および/または、カメラアセンブリ10を備える車両のヘッドライトをONに切り換えることができる。これに加えてあるいはこれに代えて、雨状態が存在することをドライバに警告することができる。
【0037】
カメラ12の前方に接近して車両16またはそのようなアイテムが存在する場合には、閾値が変更されるため、画像の下部22から抽出された対象物を雨滴26として特定するためには、より高い信頼度が必要である。あるいは、カメラ12を備える車両の前方における車両16またはそのような障害物あるいはアイテムの存在の期間中に、雨滴26の検出プロセスを中断することができる。車両16がカメラ12を備える車両から十分遠く離れると直ぐに、より低い標準的な閾値を利用する雨滴検出を再開できる。
図1
図2
図3
図4